JP2005171030A - 剥離シート担持粘着シート - Google Patents

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崇二 須美
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Abstract

【課題】剥離シートと粘着シートとの剥離力の制御が容易で、帯電性が低く、廉価な剥離シート担持シリコーン粘着シートを提供する。
【解決手段】剥離シート担持シリコーン粘着シート10は、
(1)紙支持体12とその紙支持体の一方の表面上に設けた剥離性樹脂層13とを含む剥離原紙に対してエンボス処理を行うことによって形成され、前記紙支持体側から前記剥離性樹脂層の方向に突出する複数の突起部15を有するエンボス剥離シート11、及び
(2)基材22と、その基材の少なくとも一方の表面上に設けたシリコーン粘着剤層23とを含む粘着シート21
を有し、前記粘着シートのシリコーン粘着剤層を、前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層の各突起部先端領域と接触させることにより前記エンボス剥離シートで保護していることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、剥離シート担持粘着シートに関する。本発明によれば、剥離シートと粘着シートとの剥離力の制御が容易で、帯電性が低く、廉価な剥離シート担持シリコーン粘着シートを提供することができる。
シリコーン粘着テープあるいはシリコーン粘着シートは、従来から、スプライシングテープや耐熱性ダイシングテープなどに広く採用されている。このようなシリコーン粘着テープ用の剥離材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製支持体にフルオロ剥離処理を施したフルオロシリコーン剥離材が主流として用いられてきた(特許文献1)。しかしながら、フルオロシリコーン剥離材は大変高価である。また、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製支持体は静電気を帯びるので、剥離材にダストが付着し、テープ巻き取り時などに粘着テープの基材表面に傷が発生するなどの問題があった。更に、前記シリコーン粘着テープをダイシングテープ用として用いる場合には、帯電した剥離シートを剥がす際に粘着テープにも静電気が発生するため、貼合した基板回路に静電破壊を誘発させるなどの悪影響を及ぼす欠点があった。
また、シリコーン粘着テープ用の剥離材としては、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含有する剥離層組成物を有する剥離シートも知られている(特許文献2)。しかしながら、この剥離層組成物に含まれるフッ素樹脂も高価である、また、剥離シートの支持体に合成樹脂を用いると、静電気を帯びるので、前記と同様の欠点が生じる。
更に、シリコーン粘着テープ用の剥離材として、ポリオレフィン製支持体上に、エチレンプロピレン共重合体と低密度ポリエチレンとの混合物からなる剥離層を有する剥離フィルムも知られている(特許文献3)。しかしながら、この剥離フィルムは、支持体としてポリオレフィンフィルムを用いるので、静電気を帯びるため、前記と同様の欠点を有する。更に、この剥離フィルムは、シリコーン粘着テープとの粘着力が大きいために、円滑な剥離操作を行うことができないという欠点もあった。前記特許文献3には、エンボス加工を施した剥離フィルムを用いることができる旨の記載もあるが、エンボス加工によって形成する突起部の形状や密度、更には剥離力についての具体的な開示は全くなく、更に、ポリオレフィン支持体を用いるので、静電気を帯びる欠点は解消されない。
特許第2584918号公報 特許第3025262号公報 実公昭62−23792号公報
本発明者は、シリコーン粘着シート用の剥離材における前記の問題点を解消する手段を鋭意研究していたところ、エンボス加工を施すことにより廉価な剥離処方にて円滑な剥離操作を行うことができ、紙支持体を用いることにより、帯電性が低く、適切な剥離材を提供することができることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
(1)紙支持体とその紙支持体の一方の表面上に設けた剥離性樹脂層とを含む剥離原紙に対してエンボス処理を行うことによって形成され、前記剥離性樹脂層が複数の突起部を有するエンボス剥離シート、及び
(2)基材と、その基材の少なくとも一方の表面上に設けたシリコーン粘着剤層とを含む粘着シート
を有し、前記粘着シートのシリコーン粘着剤層を、前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層の各突起部先端領域と接触させることにより前記エンボス剥離シートで保護していることを特徴とする、剥離シート担持粘着シートに関する。
本発明の好ましい態様においては、前記エンボス剥離シートに形成された突起部は、ドット状に分散した山形突起部であり、そして、それに加えて、前記山形突起部の頂点間平均距離が200〜2000μm(より好ましくは300〜1500μm)であることができ、更にまた、それらに加えて、前記山形突起部の平均高さは20〜300μmであり、平均底面直径は20〜1500μmであることができる。
更に、本発明の別の好ましい態様においては、前記剥離性樹脂層の樹脂は、オレフィン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン樹脂とを含み、そして、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂密度は0.80〜0.90g/cmであることができる。
更に、本発明の別の好ましい態様においては、前記粘着シート上の前記シリコーン粘着剤層の層厚は5〜60μm(より好ましくは10〜50μm)である。
更に、本発明の別の好ましい態様においては、前記エンボス剥離シートと前記粘着シートとの剥離力は50〜4000mN/50mm(より好ましくは100〜3500mN/50mm)である。
更に、本発明の別の好ましい態様においては、前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層側に印加電圧10KVを帯電させて得られる帯電圧の半減期が10分以下の剥離シート担持粘着シートである。
更にまた、本発明の別の好ましい態様においては、前記エンボス剥離シートは、紙支持体と剥離性樹脂層との間に接着増強層を有する。
本発明によれば、剥離シートと粘着シートとの剥離力の制御が容易で、帯電性が低く、廉価な剥離シート担持シリコーン粘着シートを提供することができる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層側に印加電圧10KVを帯電させた際の帯電圧半減期が10分以下であるので、帯電性が低くなる。
本発明の剥離シート担持粘着シートは、前記の通り、
(1)エンボス剥離シート、及び
(2)シリコーン粘着シート
を有する。そして、前記のエンボス剥離シート(1)は、
(1a)紙支持体と、
(1b)その紙支持体の一方の表面上に設けた剥離性樹脂層と
を含み、更に、前記剥離性樹脂層が複数の突起部を有する。前記の突起部は、紙支持体と剥離性樹脂層とを含む剥離原紙に対してエンボス処理を行うことによって形成される。
本発明の剥離シート担持粘着シートの一態様を図1(模式的断面図)及び図2(模式的断面図)に示す。図1及び図2に示す剥離シート担持粘着シート10は、それぞれ、エンボス剥離シート11と、シリコーン粘着シート21とを含む。また、エンボス剥離シート11は、紙支持体12と剥離性樹脂層13とを含み、場合により、紙支持体12と剥離性樹脂層13との間に接着増強層14を有することができる。紙支持体12と剥離性樹脂層13との間に接着増強層14を有していない態様を図1に示し、紙支持体12と剥離性樹脂層13との間に接着増強層14を有する態様を図2に示す。更に、剥離性樹脂層13の表面には、複数の突起部15が形成されている。
一方、シリコーン粘着シート21は、基材22と、その基材22の少なくとも一方の表面上に設けたシリコーン粘着剤層23とを含む。更に、シリコーン粘着シート21のシリコーン粘着剤層23は、前記エンボス剥離シート11の剥離性樹脂層13と接触することによって保護されている。ただし、その際、各突起部15の先端領域のみがシリコーン粘着剤層23と接触し、剥離性樹脂層13の非突出領域16はシリコーン粘着剤層23と接触しない。
前記のエンボス剥離シートの紙支持体12は、剥離性樹脂層13(場合により、接着増強層を介して)を担持することができ、エンボス加工によって形成される突起部の形状を維持することのできる紙材料である限り特に限定されず、任意の紙を用いることができる。支持体用の紙としては、例えば、未晒クラフト紙、晒クラフト紙、上質紙、中質紙、片艶未晒クラフト紙、純白ロール、グラシン紙、無塵紙、合成紙、和紙、又は各種コート紙を挙げることができる。
更に、前記紙支持体12の厚さは、10〜300μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。紙支持体12の厚さが10μm未満になると、紙の強度が低下し剥離時に破断が生じ易くなるという欠点があり、300μmより大きくなると、ロール形状として加工が難しくなり、作業性が悪化するという欠点がある。
前記剥離性樹脂層13には、シリコーン粘着剤層23に対して剥離性を有する剥離性樹脂を用いる。例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン樹脂との混合物を用いるのが好ましい。
前記のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、樹脂密度が、好ましくは0.80〜0.90g/cm、より好ましくは0.85〜0.88g/cmであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、例えば、エチレンプロピレン共重合体、又はエチレンオクテン共重合体を主成分とするものを挙げることができる。その中で特に、エチレンプロピレン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましい。
なお、オレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂密度が0.80g/cm未満になると、耐熱性が不充分になるという欠点があり、0.90g/cmを超えると、剥離性が不充分になるという欠点がある。
一方、ポリエチレン樹脂としては、密度が、好ましくは0.890〜0.925g/cm、より好ましくは0.900〜0.922g/cmのポリエチレンを用いることができる。ここで、ポリエチレンの前記密度が0.890g/cm未満になるか、あるいは前記密度が0.925g/cmを超えると、いずれも充分な剥離性が得られないという欠点がある。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー及び前記ポリエチレン樹脂の重量比(オレフィン系熱可塑性エラストマー/ポリエチレン樹脂)は、1/3〜3であることが好ましく、2/3〜3/2であることがより好ましい。重量比が1/3未満になると、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン樹脂の種類によっては充分な剥離性が得られないという欠点があり、3を超えると、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン樹脂の種類によっては充分な耐熱性が得られないという欠点がある。
前記剥離性樹脂層13の厚さは、0.1〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。ここで剥離性樹脂層の厚さが0.1μm未満の場合又は50μmより厚い場合には、剥離性に劣るという欠点がある。
前記剥離シート11は、紙支持体と剥離性樹脂層13との間に接着増強層14を有することができ、接着増強層によって、剥離性樹脂層13と紙支持体12との密着性を向上させることができる。剥離性樹脂層と紙支持体との密着性が向上すると、剥離シート担持粘着シート10から剥離シート11を剥離する際に、剥離性樹脂層13と紙支持体12との境界面での剥離を防止したり、剥離シート11の剥離後に、剥離性樹脂層13の一部がシリコーン粘着剤層23上に残存することをより効果的に防止することができる。
接着増強樹脂層14を構成する材料としては、剥離性樹脂層13と紙支持体12との密着性を向上させる任意の接着性樹脂を用いることができ、好ましくは、接着性ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、又は変性ポリエチレンを挙げることができる。また、接着増強樹脂層14の厚さは、特に限定されないが、5〜50μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがより好ましい。接着増強樹脂層14の厚さが5μm未満になると、剥離性樹脂層13の接着不良が起きやすくなり、50μmより厚くなっても効果の向上が得られないのにコストが上昇するという問題が生ずる。
前記紙支持体12と前記剥離性樹脂層13とを含む剥離原紙(すなわち、エンボス処理前)は、任意の公知の方法で調製することができる。例えば、剥離性樹脂層13は、紙支持体12の上に直接塗工することで、又は後述の接着増強層14の上に塗工することで形成することができる。塗工する方法としては、押出ラミネート等を挙げることができる。接着増強層14は紙支持体12の上に塗工することで形成され、塗工する方法としては押出ラミネート等を挙げることができる。
こうして得られた剥離原紙の紙支持体12側から前記剥離性樹脂層13の方向に、あるいは逆方向にエンボス処理を施すことによって、前記紙支持体12側から前記剥離性樹脂層13の方向に突出する複数の突起部を形成させることにより、本発明で用いるエンボス剥離シート11を調製することができる。こうして得られるエンボス剥離シート11は、前記紙支持体12側から前記剥離性樹脂層13の方向に突出する複数の突起部15を有し、前記紙支持体12の裏面に、突起部15に相当する形状の窪みを有している。また、本発明で用いるエンボス剥離シート11は、前記剥離性樹脂層13側の表面に複数の突起部15を有し、前記紙支持体12の裏面が平坦面で、窪みを有していないこともできる。
エンボス加工は、任意の公知の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、凹凸形状が形成されているエンボスロールを剥離シート面上に押圧させることにより得ることができる。
本発明で用いるエンボス剥離シート11に形成することのできる突起部の形状を図2に示す態様に関して、添付図面に沿って説明する。
図3は、本発明による剥離シート担持粘着シート10から、エンボス剥離シート11を剥離する操作の途中を模式的に示す斜視図である。エンボス剥離シート11の剥離性樹脂層13の表面上には、ドット状に分散して設けた山形突起部15が形成されており、シリコーン粘着シート21のシリコーン粘着剤層23の表面には、山形突起部15によって形成され、その除去によって残留する凹状の残留痕跡24が観察される。
本明細書において、突起部15に関して「山形」とは、突起部が、大略半球体ないし半球体の一部(例えば、1/3〜1/5の球体)と同様の形状を有するか、あるいは円錐状を有することを意味する。なお、前記の突起部15は、ドット状に限定されず、帯状であることもでき、断面が半円形あるいは半楕円形の帯状突起部や、断面が台形の帯状突起部を設けることもできる。
図3及び図4に示す山形突起部15の配置方法も特に限定されず、例えば、図5(模式的平面図)に示すとおり、各山形突起部15を碁盤の升目の交点に配置する〔図5(a)〕か、あるいは、各山形突起部15を千鳥状に配置する〔図5(b)〕こともできる。
山形突起部15の個々の寸法も特には限定されないが、例えば、図6(模式的断面図)に示すとおり、山形突起部15の高さ(H)の平均値が、好ましくは20〜300μm、より好ましくは30〜150μmであり、山形突起部15の底面直径(D)の平均値が、好ましくは20〜1500μm、より好ましくは40〜1000μmであることができる。なお、突起部15の高さ(H)及び底面直径(D)は、いずれも、エンボス剥離シート11の平坦部表面Sを基準にする。
山形突起部15の頂点間距離(L)の平均値は、好ましくは200〜2000μm、より好ましくは300〜1500μmであることができる。
山形突起部の平均高さ、平均底面直径、及び頂点間平均距離が、それぞれ前記の好適な範囲内の場合には、剥離シート11と粘着シート21との剥離力の制御が容易になり、適切な剥離力を付与することができる。一方、山形突起部の平均高さが20μm未満の場合、山形突起部の平均底面直径が20μm未満の場合、あるいは山形突起部15の頂点間平均距離が200μm未満の場合には、エンボス剥離シートと粘着シートとの接触面積が大きくなりすぎ、剥離強度が大きくなりすぎることがある。逆に、山形突起部15の平均高さが300μmを超える場合、山形突起部の平均底面直径が1500μmを超える場合、あるいは山形突起部の頂点間平均距離が2000μmを超える場合には、エンボス剥離シート11と粘着シートとの接触面積が小さくなり、剥離強度が小さくなりすぎる場合がある。
剥離シートの剥離剤処理面側に印加電圧10KVを帯電させた際の半減期が10分間以下となる剥離シート担持粘着シートであることが望ましい。前記半減期が10分間より長い剥離シート担持粘着シートでは、粘着シートロールの保管時に静電気による塵や埃が付着したり、ダイシングテープ用途に関しては剥離シートを剥がす際に発生する静電気によって、貼合した基板回路に静電破壊を誘発させるなどの悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明の剥離シート担持粘着シート10においては、前記の通り、前記エンボス剥離シート11によって、シリコーン粘着シート21の粘着剤層23を保護する。前記エンボス剥離シート11によって保護されるシリコーン粘着シート21は、従来公知の任意のシリコーン粘着シートであり、従って、その基材22の材質は、一般的な任意の粘着シートの基材として必要な物性を有する材料であれば特に限定されないが、合成樹脂である場合、飽和ポリエステル樹脂、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
前記シリコーン粘着シート21上に形成されるシリコーン系粘着剤23としては、ジメチルシロキサン、あるいはそのメチル基の一部をフェニル基で置換したものなどを主体とする公知のシリコーン系粘着剤を用いることができる。粘着剤は架橋構造とすることが一般的でありその場合、過酸化物等による適宜な架橋方式を採用することができるが、シリコーン系粘着剤中に予めSi−CH=CH基やSi−H基を導入しておき、白金系触媒で付加反応させる架橋方式が好ましい。また、接着性を調整するために、カーボニッケル等のフィラー類等を添加してもよい。
前記シリコーン粘着シート21上に形成されるシリコーン系粘着剤層23の層厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜60μm、より好ましくは10〜50μmである。シリコーン系粘着剤層23の層厚が5μm未満になると、前記エンボス剥離シート11と前記粘着シート21との剥離力が低くなりすぎる場合があり、60μmを超えると、前記剥離力が高くなりすぎる場合がある。
本発明の剥離シート担持粘着シート10では、前記エンボス剥離シート11と前記粘着シート21との剥離力も、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜4000mN/50mm、より好ましくは100〜3500mN/50mmである。前記の剥離力が50mN/50mm未満になると、トンネリングが発生しやすくなり、4000mN/50mmを超えると、剥離時に破断が生じ易くなる。なお、トンネリングとは、剥離シート担持粘着シート10をロール状に巻回した場合に、前記エンボス剥離シート11と前記粘着シート21とが剥離して、それらの間に空間層が形成される現象である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
(1)エンボス剥離シートの製造
紙支持体としての無塵紙(商品名=クリーンペーパー;リンテック社製;厚さ=60μm)の一方の表面に、260℃の温度下で、エチレンプロピレン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー(タフマーP−2080G;三井化学社製;密度=0.87g/cm)50重量部及び低密度ポリエチレン樹脂(J−REX807A;日本ポリオレフィン社製;密度=0.916g/cm)50重量部からなる剥離性樹脂を押出ラミネートにて、厚さが20μmとなるように剥離性樹脂層を形成し、剥離原紙を作成した。次に、エンボッサーにて、ドット状に分散した多数の山形突起部を形成し、エンボス剥離シートを製造した。
なお、得られたエンボス剥離シート上に形成された山形突起部の頂点間平均距離は780μm、平均高さは70μm、そして平均底面直径は520μmであった。
(2)シリコーン粘着シートの製造
PETフィルム基材〔PET38 T−60;東レ(株)社製;厚さ=38μm〕の一方の表面に、シリコーン粘着剤(SD−4580;東レダウコーニング社製)100重量部及び白金触媒(SRX−212;東レダウコーニング社製)0.9重量部からなるシリコーン粘着剤層を塗布し、120℃で1分間にて乾燥して、厚さが30μmのシリコーン粘着剤層を形成し、シリコーン粘着シートを製造した。
(3)剥離シート担持粘着シートの製造
前項(2)で製造したシリコーン粘着シートのシリコーン粘着剤層を、前項(1)で製造したエンボス剥離シートの剥離性樹脂層の各突起部先端領域と接触させるように、前記シリコーン粘着シートと前記エンボス剥離シートとを貼着することによって剥離シート担持粘着シートを得た。
《実施例2》
(1)エンボス剥離シートの製造
紙支持体としての無塵紙(商品名=クリーンペーパー;リンテック社製;厚さ=60μm)の一方の表面に、300℃の温度下で低密度ポリエチレン樹脂(L−405H;住友化学社製)を押出ラミネートにて、厚さが15μmとなるように接着増強層を形成した。続いて、その接着増強層側の表面に、260℃の温度下で、エチレンプロピレン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー(タフマーP−2080G;三井化学社製;密度=0.87g/cm)50重量部及び低密度ポリエチレン樹脂(J−REX807A;日本ポリオレフィン社製;密度=0.916g/cm)50重量部からなる剥離性樹脂を押出ラミネートにて、厚さが10μmとなるように剥離性樹脂層を形成し、剥離原紙を作成した。次に、エンボッサーにて、ドット状に分散した多数の山形突起部を形成し、エンボス剥離シートを製造した。このエンボス剥離シートの表面形状を図7(25倍の顕微鏡写真)に示す。
なお、得られたエンボス剥離シートに形成された山形突起部の頂点間平均距離は780μm、平均高さは70μm、そして平均底面直径は520μmであった。
(2)剥離シート担持粘着シートの製造
前記実施例1(2)で製造したシリコーン粘着シートのシリコーン粘着剤層を、前項(1)で製造したエンボス剥離シートの剥離性樹脂層の各突起部先端領域と接触させるように、前記シリコーン粘着シートと前記エンボス剥離シートとを貼着することによって剥離シート担持粘着シートを得た。
《実施例3》
実施例2のエンボス剥離シートに代えて、山形突起部の頂点間平均距離が1400μmであり、平均高さが70μmであり、そして平均底面直径が520μmであるエンボス剥離シートを用いること以外は、実施例1と同様の操作により、剥離シート担持粘着シートを得た。
《実施例4》
実施例1のシリコーン粘着テープに代えて、シリコーン粘着剤層が厚さ10μmであるシリコーン粘着テープを用いること以外は、実施例2と同様の操作により、剥離シート担持粘着シートを得た。
《実施例5》
実施例1のシリコーン粘着テープに代えて、シリコーン粘着剤層が厚さ45μmであるシリコーン粘着テープを用いること以外は、実施例2と同様の操作により、剥離シート担持粘着シートを得た。
《実施例6》
実施例2のエンボス剥離シートに代えて、山形突起部の頂点間平均距離が300μmであり、平均高さが70μmであり、そして平均底面直径が150μmであるエンボス剥離シートを用いること以外は、実施例2と同様の操作により、剥離シート担持粘着シートを得た。
《比較例1》
実施例1のエンボス剥離シートに代えて、エンボス加工を施していない平坦剥離シートを用いること以外は、実施例1と同様の操作により、剥離シート担持粘着シートを得た。
《物性評価》
(1)剥離力の評価
前記エンボス剥離シートと前記粘着シートとの剥離力は以下の方法で測定した。
すなわち、前記実施例1〜6及び比較例1で製造した剥離シート担持粘着シートを、幅50mm、長さ250mmにカットし、剥離力測定器[テンシロンRTA−T−2M;(株)エー・アンド・デイ社製]にて剥離力を測定した。具体的には、剥離シート側を固定し、180°の角度で粘着シート側を剥がした(剥離スピード=300mm/min)。
結果を表1に示す。
(2)帯電圧の半減期
前記実施例1〜6及び比較例1で製造した剥離シート担持粘着シートを、静電気帯電減衰測定機(S−5109;宍戸商会社製)に装着し、エンボス剥離シートの剥離性樹脂層側に印加電圧10KVを帯電させて得られる帯電圧の半減期を測定した。
結果を表1に示す。なお、前記の方法で測定される半減期が10分以下であれば、粘着シートロール保管時に静電気による塵や埃が付着したりすることがなく、ダイシングテープ用途に関しては剥離シートを剥がす際に発生する静電気によって、貼合した基板回路に静電破壊を誘発させるなどの悪影響を及ぼす可能性がない。
(3)ロール保管性
前記実施例1〜6及び比較例1で製造した剥離シート担持粘着シートを、直径8.5cmの円筒状プラスチック管に、直径40cmになるように巻き取り、23℃及び65%RHの条件下で宙づり状態で1週間放置した。宙づり状態とはロールが地と接しておらず浮いた状態を意味する。
結果を表1に示す。表1において「良好」とは、剥離シートと粘着シートとが剥離して空間層が発生すること(トンネリング発生)がなく、外観上変化がないことを意味する。
(4)総合評価
剥離力が50〜4000mN/50mmであって、剥離特性が優れており、しかもロール保管性試験においてもトンネリングが発生しない場合を優良として、表1に「○」で示した。また、剥離力が4000mN/50mmを超える場合を不可として、表1に「×」で示した。
Figure 2005171030
本発明による剥離シート担持粘着シートは、エンボス剥離シートを剥離して得られるシリコーン粘着シートを、例えば、耐熱保護シリコーン粘着シートやスプライシング用シリコーン粘着シートなどに使用することができる。
本発明の剥離シート担持粘着シートの一態様を模式的に示す断面図である。 本発明の剥離シート担持粘着シートの別の態様を模式的に示す断面図である。 本発明による剥離シート担持粘着シートから、エンボス剥離シートを剥離する操作の途中を模式的に示す斜視図である。 本発明で用いるドット状分散山形突起部含有エンボス剥離シートの模式的斜視図である。 本発明で用いるドット状分散山形突起部含有エンボス剥離シートにおける山形突起部の配置を示す模式的平面図である。 本発明で用いるドット状分散山形突起部含有エンボス剥離シートにおける山形突起部の頂点間平均距離(L)、高さ(H)、及び底面直径(D)を示す模式的断面図である。 実施例2で製造した本発明で用いるドット状分散山形突起部含有エンボス剥離シートの表面構造を示す図面に代わる写真である。
符号の説明
10・・・剥離シート担持粘着シート;
11・・・エンボス剥離シート;
12・・・紙支持体;
13・・・剥離性樹脂層;
14・・・接着増強層;
15・・・突起部;
16・・・非突出領域;
21・・・シリコーン粘着シート;
22・・・基材;
23・・・シリコーン粘着剤層;
24・・・凹状残留痕跡。

Claims (10)

  1. (1)紙支持体とその紙支持体の一方の表面上に設けた剥離性樹脂層とを含む剥離原紙に対してエンボス処理を行うことによって形成され、前記剥離性樹脂層が複数の突起部を有するエンボス剥離シート、及び
    (2)基材と、その基材の少なくとも一方の表面上に設けたシリコーン粘着剤層とを含む粘着シート
    を有し、前記粘着シートのシリコーン粘着剤層を、前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層の各突起部先端領域と接触させることにより前記エンボス剥離シートで保護していることを特徴とする、剥離シート担持粘着シート。
  2. 前記エンボス剥離シートに形成された突起部が、ドット状に分散した山形突起部である、請求項1に記載の剥離シート担持粘着シート。
  3. 前記山形突起部の頂点間平均距離が200〜2000μmである、請求項2に記載の剥離シート担持粘着シート。
  4. 前記山形突起部の平均高さが20〜300μmであり、平均底面直径が20〜1500μmである、請求項2又は3に記載の剥離シート担持粘着シート。
  5. 前記剥離性樹脂層の樹脂が、オレフィン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン樹脂とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離シート担持粘着シート。
  6. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂密度が0.80〜0.90g/cmである、請求項5に記載の剥離シート担持粘着シート。
  7. 前記粘着シート上の前記シリコーン粘着剤層の層厚が5〜60μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離シート担持粘着シート。
  8. 前記エンボス剥離シートと前記粘着シートとの剥離力が50〜4000mN/50mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剥離シート担持粘着シート。
  9. 前記エンボス剥離シートの剥離性樹脂層側に印加電圧10KVを帯電させて得られる帯電圧の半減期が10分以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の剥離シート担持粘着シート。
  10. 前記エンボス剥離シートが、紙支持体と剥離性樹脂層との間に接着増強層を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の剥離シート担持粘着シート。
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