本発明は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫においてクレーンの各々に対して分岐して物品を各クレーンまで搬送する搬送手段を制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に関する。
従来、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫においてクレーンの各々に対して分岐して物品を各クレーンまで搬送する搬送手段を制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に関するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載された自動倉庫の制御システムは、搬送手段の入り口と分岐点とにおいてそれぞれ物品に付されたバーコード等の識別符号を読み取ることで、入庫制御を行うものである。このため、バーコード等の識別用の媒体の汚れや破損等が発生した場合、適切に入庫制御を行うことができないという問題がある。一方、特許文献2に記載されたコンベヤの制御方法は、コンベヤ(搬送手段)上の荷物(物品)のトラッキングや分岐装置への分岐指示をトラッキング管理機能を有するコンベヤ制御装置により制御するものである。これにより、識別用媒体の汚れや破損等による問題を解消することを目的としている。
特開2002−160803号公報(第4頁、第1図)
特開平8−151115号公報(第3頁、第1図)
特許文献2に記載されているコンベヤの制御方法は、各荷物(物品)に対してユニークな管理ナンバーを付け、コンベヤ制御装置内にてトラッキング(トラッキング情報)を生成することで、自動倉庫への搬送を可能としている。しかしながら、コンベヤでの搬送途中で監視者が不良物品と判定して取り除いたり、またその際のトラッキング情報の修正ミス等が発生することにより、コンベヤ制御装置内部で生成しているトラッキング情報にずれが生じる場合がある。この場合、このコンベヤ制御方法では、トラッキングに生じたずれを速やかに検知する構成を備えていないため、トラッキングずれの発見が遅れてしまい易い。このため、トラッキングがずれた荷物が自動倉庫から出庫されるまで気づかれない可能性も高く、大量に棚在庫ずれが生じる恐れもある。また、このコンベヤ制御方法の構成では、トラッキングずれが生じた場合に、どこでずれが生じているかを特定することも容易ではないと考えられる。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、識別用媒体を用いる必要が無く、クレーンへ物品を搬送する搬送手段における情報のずれを容易で速やかに検知することができる自動倉庫の入庫制御を実現することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の自動倉庫の入庫制御方法は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫において前記クレーンの各々に対して分岐して物品を当該各クレーンまで搬送する搬送手段を入庫管理装置により制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御方法であって、前記入庫管理装置において、入庫予定の物品に対して前記複数のクレーンのうちのいずれか1つのクレーンを特定するクレーン情報を各々割り付けるクレーン情報設定ステップと、前記クレーン情報が割り付けられた物品の前記搬送手段での位置を前記入庫管理装置において特定するトラッキング情報を当該物品の前記搬送手段での移動に応じて更新するトラッキング情報更新ステップと、前記入庫管理装置において、前記各クレーンに対して分岐している分岐点に対応する位置まで前記各トラッキング情報が移動したときに、当該トラッキング情報に対応する物品に割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが一致している場合、当該物品が当該分岐点にて分岐されて搬送されるように前記入庫管理装置から前記搬送手段に対して分岐搬送指令を発する分岐搬送制御ステップと、前記入庫管理装置において、前記搬送手段における前記各分岐点で区切られるブロックごとに、当該ブロックに対応するトラッキング情報の個数と、前記搬送手段で搬送されている物品の有無を検出する在荷センサで検出されている当該ブロック内の物品の個数とを照合するブロック内照合ステップと、を備えていることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫において前記クレーンの各々に対して分岐して物品を当該各クレーンまで搬送する搬送手段を入庫管理装置により制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に用いられ、前記入庫管理装置に、入庫予定の物品に対して前記複数のクレーンのうちのいずれか1つのクレーンを特定するクレーン情報を各々割り付けるクレーン情報設定ステップ、前記クレーン情報が割り付けられた物品の前記搬送手段での位置を前記入庫管理装置において特定するトラッキング情報を当該物品の前記搬送手段での移動に応じて更新するトラッキング情報更新ステップ、前記各クレーンに対して分岐している分岐点に対応する位置まで前記各トラッキング情報が移動したときに、当該トラッキング情報に対応する物品に割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが一致している場合、当該物品が当該分岐点にて分岐されて搬送されるように前記入庫管理装置から前記搬送手段に対して分岐搬送指令を発する分岐搬送制御ステップ、及び、前記搬送手段における前記各分岐点で区切られるブロックごとに、当該ブロックに対応するトラッキング情報の個数と、前記搬送手段で搬送されている物品の有無を検出する在荷センサで検出されている当該ブロック内の物品の個数とを照合するブロック内照合ステップ、を実行させることを特徴とする。
本発明に係る自動倉庫の入庫制御方法及びプログラムによると、搬送先のクレーンは各物品に割り付けられたクレーン情報によって特定され、搬送手段での物品の搬送中は、入庫管理装置によってそのトラッキング情報が実際の搬送状況に応じて管理される。さらに、搬送手段の分岐点では、クレーン情報に対応するクレーンへと各物品が搬送されることになる。このため、バーコード等の識別用媒体を用いる必要が無い。そして、分岐点で区切られるブロックごとに、トラッキング情報の個数と在荷センサでの物品の検出数とを照合するため、搬送途中での物品の取り外しやトラッキング情報の修正ミスなどによるトラッキング情報のずれをブロック単位ですぐに検知することができる。即ち、搬送手段のどこでトラッキング情報のずれが生じているかを容易な構成で速やかに検知することができる自動倉庫の入庫制御を実現することができる。
また、本発明に係る自動倉庫の入庫制御方法は、前記クレーンごとに、当該クレーンを介して入庫予定の物品の個数と当該クレーンに対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数とを前記入庫管理装置において照合する入庫予定数照合ステップをさらに備えていることが望ましい。
また、本発明に係るプログラムは、前記入庫管理装置に、前記クレーンごとに、当該クレーンを介して入庫予定の物品の個数と当該クレーンに対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数とを照合する入庫予定数照合ステップをさらに実行させることが望ましい。
これら自動倉庫の入庫制御方法及びプログラムの構成によると、クレーンごとに、入庫予定の物品の個数とそれに対応するトラッキング情報の個数とを照合するため、クレーンと搬送手段との間においてもトラッキング情報のずれが生じていないかどうかを検知することができる。また、ブロック内照合ステップにおけるブロックごとの照合でトラッキング情報の個数と実際の物品の個数との確認もできていることで、新たに投入する物品(新たにクレーン情報を割り付けていく物品)に対するトラッキング情報のずれが生じることも無く、棚在庫ずれが大量に発生してしまうことを防止できる。
また、本発明に係る自動倉庫の入庫制御方法は、前記各分岐点より搬送方向下流側の各ブロックにトラッキング情報が対応して位置している物品について、前記クレーン情報により特定されるクレーンと、当該分岐点に対応するクレーン又は当該分岐点より搬送方向上流側に位置している分岐点に対応するクレーンと、を照合するクレーン情報照合ステップをさらに備えていることが望ましい。
この自動倉庫の入庫制御方法の構成によると、クレーン情報が対応するクレーンへの分岐点で分岐されずにその分岐点を誤って通過してしまった物品を速やかに検知することができる。
本発明の第1の観点による入庫管理装置は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫において前記クレーンの各々に対して分岐して物品を当該各クレーンまで搬送する搬送手段を制御することで入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に用いられる入庫管理装置であって、入庫予定の物品に対して前記複数のクレーンのうちのいずれか1つのクレーンを特定するクレーン情報を各々割り付けるクレーン情報設定手段と、前記クレーン情報が割り付けられた物品の前記搬送手段での位置を特定するトラッキング情報を当該物品の前記搬送手段での移動に応じて更新するトラッキング情報更新手段と、前記各クレーンに対して分岐している分岐点に対応する位置まで前記各トラッキング情報が移動したときに、当該トラッキング情報に対応する物品に割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが一致している場合、当該物品が当該分岐点にて分岐されて搬送されるように前記搬送手段に対して分岐搬送指令を発する分岐搬送制御手段と、前記搬送手段における前記各分岐点で区切られるブロックごとに、当該ブロックに対応するトラッキング情報の個数と、前記搬送手段で搬送されている物品の有無を検出する在荷センサで検出されている当該ブロック内の物品の個数とを照合するブロック内照合手段と、を備えていることを特徴とする。
この入庫管理装置の構成によると、搬送先のクレーンは各物品に割り付けられたクレーン情報によって特定され、搬送手段での物品の搬送中は、入庫管理装置によってそのトラッキング情報が実際の搬送状況に応じて管理される。さらに、搬送手段の分岐点では、クレーン情報に対応するクレーンへと各物品が搬送されることになる。このため、バーコード等の識別用媒体を用いる必要が無い。そして、分岐点で区切られるブロックごとに、トラッキング情報の個数と在荷センサでの物品の検出数とを照合するため、搬送途中での物品の取り外しやトラッキング情報の修正ミスなどによるトラッキング情報のずれをブロック単位ですぐに検知することができる。即ち、搬送手段のどこでトラッキング情報のずれが生じているかを容易な構成で速やかに検知することができる自動倉庫の入庫制御を実現することができる。
また、本発明の第2の観点による入庫管理装置は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫において前記クレーンの各々に対して分岐して物品を当該各クレーンまで搬送する搬送手段を制御することで入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に用いられる入庫管理装置であって、入庫予定の物品に対して前記複数のクレーンのうちのいずれか1つのクレーンを特定するクレーン情報を各々割り付けるクレーン情報設定手段と、前記クレーン情報が割り付けられた物品の前記搬送手段での位置を特定するトラッキング情報を当該物品の前記搬送手段での移動に応じて更新するトラッキング情報更新手段と、前記各クレーンに対して分岐している分岐点に対応する位置まで前記各トラッキング情報が移動したときに、当該トラッキング情報に対応する物品に割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが一致している場合、当該物品が当該分岐点にて分岐されて搬送されるように前記搬送手段に対して分岐搬送指令を発する分岐搬送制御手段と、前記クレーンごとに、当該クレーンを介して入庫予定の物品の個数と当該クレーンに対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数とを照合する入庫予定数照合手段と、を備えていることを特徴とする。
この入庫管理装置の構成によると、搬送先のクレーンは各物品に割り付けられたクレーン情報によって特定され、搬送手段での物品の搬送中は、入庫管理装置によってそのトラッキング情報が実際の搬送状況に応じて管理される。さらに、搬送手段の分岐点では、クレーン情報に対応するクレーンへと各物品が搬送されることになる。このため、バーコード等の識別用媒体を用いる必要が無い。そして、クレーンごとに、入庫予定の物品の個数とそれに対応するトラッキング情報の個数とを照合するため、クレーンと搬送手段との間においてもトラッキング情報のずれが生じていないかどうかを検知することができる。即ち、搬送手段のどこでトラッキング情報のずれが生じているかを容易な構成で速やかに検知することができる自動倉庫の入庫制御を実現することができる。
また、本発明の第3の観点による入庫管理装置は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫において前記クレーンの各々に対して分岐して物品を当該各クレーンまで搬送する搬送手段を制御することで入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に用いられる入庫管理装置であって、入庫予定の物品に対して前記複数のクレーンのうちのいずれか1つのクレーンを特定するクレーン情報を各々割り付けるクレーン情報設定手段と、前記クレーン情報が割り付けられた物品の前記搬送手段での位置を特定するトラッキング情報を当該物品の前記搬送手段での移動に応じて更新するトラッキング情報更新手段と、前記各クレーンに対して分岐している分岐点に対応する位置まで前記各トラッキング情報が移動したときに、当該トラッキング情報に対応する物品に割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが一致している場合、当該物品が当該分岐点にて分岐されて搬送されるように前記搬送手段に対して分岐搬送指令を発する分岐搬送制御手段と、前記各分岐点で区切られるブロックであって前記各分岐点よりそれぞれ搬送方向下流側の各ブロックにトラッキング情報が対応して位置している物品について、前記クレーン情報により特定されるクレーンと、当該分岐点に対応するクレーン又は当該分岐点より搬送方向上流側に位置している分岐点に対応するクレーンと、を照合するクレーン情報照合手段と、を備えていることを特徴とする。
この入庫管理装置によると、搬送先のクレーンは各物品に割り付けられたクレーン情報によって特定され、搬送手段での物品の搬送中は、入庫管理装置によってそのトラッキング情報が実際の搬送状況に応じて管理される。さらに、搬送手段の分岐点では、クレーン情報に対応するクレーンへと各物品が搬送されることになる。このため、バーコード等の識別用媒体を用いる必要が無い。そして、クレーン情報が対応するクレーンへの分岐点で分岐されずにその分岐点を誤って通過してしまった物品を速やかに検知することができる。従って、搬送手段のどこでトラッキング情報のずれが生じているかを容易な構成で速やかに検知することができる自動倉庫の入庫制御を実現することができる。
また、本発明の第1の観点による入庫管理装置は、前記クレーンごとに、当該クレーンを介して入庫予定の物品の個数と当該クレーンに対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数とを照合する入庫予定数照合手段をさらに備えていることが望ましい。
この入庫管理装置の構成によると、クレーンごとに、入庫予定の物品の個数とそれに対応するトラッキング情報の個数とを照合するため、クレーンと搬送手段との間においてもトラッキング情報のずれが生じていないかどうかを検知することができる。また、ブロック内照合手段によるブロックごとの照合でトラッキング情報の個数と実際の物品の個数との確認もできていることで、新たに投入する物品(新たにクレーン情報を割り付けていく物品)に対するトラッキング情報のずれが生じることも無く、棚在庫ずれが大量に発生してしまうことを防止できる。
また、本発明の第1の観点による入庫管理装置は、前記各分岐点より搬送方向下流側の各ブロックにトラッキング情報が対応して位置している物品について、前記クレーン情報により特定されるクレーンと、当該分岐点に対応するクレーン又は当該分岐点より搬送方向上流側に位置している分岐点に対応するクレーンと、を照合するクレーン情報照合手段をさらに備えていることが望ましい。
この入庫管理装置の構成によると、クレーン情報が対応するクレーンへの分岐点で分岐されずにその分岐点を誤って通過してしまった物品を速やかに検知することができる。
また、本発明の第1の観点による入庫管理装置は、前記ブロック内照合手段においてブロックに対応するトラッキング情報の個数として、当該ブロックにおける分岐点で分岐する前の状態のトラッキング情報の個数を計数することが望ましい。
この入庫管理装置の構成によると、分岐点から分岐した後のトラッキング情報については、ずれが生じる可能性が極めて低いと考えられることから、分岐点で分岐後のトラッキング情報の照合を省略して、情報処理の簡略化を図ることができる。
また、本発明の第1の観点による入庫管理装置は、前記ブロック内照合手段において照合されたトラッキング情報の個数と物品の個数とが一致していない場合に監視者に対して報知する第1報知手段をさらに備えていることが望ましい。
この入庫管理装置の構成によると、ブロックごとにおけるトラッキング情報のずれが発生した場合に速やかに監視者に報知することができる。
また、本発明の入庫管理装置は、前記入庫予定数照合手段において照合された入庫予定の物品の個数とトラッキング情報の個数とが一致していない場合に監視者に対して報知する第2報知手段をさらに備えていることが望ましい。
この入庫管理装置の構成によると、クレーンと搬送手段との間におけるトラッキング情報のずれが発生した場合に速やかに監視者に報知することができる。
また、本発明の入庫管理装置は、前記入庫予定数照合手段において前記入庫予定の物品の個数は、前記クレーン情報設定手段でクレーン番号が割り付けられた物品の個数であってクレーンに移載される前又はクレーンから移載されて入庫される前の物品の個数であることが望ましい。
この入庫管理装置によると、自動倉庫への入庫タイミングをクレーンへの移載したタイミング又はクレーンから移載されたタイミングで統一して、正確に、入庫予定の物品の個数を計数することができる。
なお、本発明に係るプログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、FD(Flexible Disk)、MO(Magneto-Optic)などのリムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る自動倉庫の入庫制御方法、プログラム、及び入庫管理装置は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫においてクレーンの各々に対して分岐して物品を各クレーンまで搬送する搬送手段を制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御に適用される。
図1は、本実施形態に係る入庫制御方法が適用される自動倉庫1を例示した平面図であって、模式して示した図である。自動倉庫1は、並列して配設された複数の棚3、複数のクレーン4、及び搬送手段5を備えている。また、自動倉庫1は、本実施形態に係る入庫管理装置2を備えており、この入庫管理装置2によって本実施形態に係るプログラムの各ステップが実行されることで、本実施形態に係る入庫管理方法が実施されることになる。
自動倉庫1の棚3は、物品である荷を収納する収納スペース6をそれぞれ複数備えた物品保管手段として構成されている。収納スペース6は、各棚3において、高さ方向(紙面垂直方向)と奥行き方向とに格子状に配置されている。また、棚3間には奥行き方向に沿って通路7が適宜配置されており、この通路7側から各棚3に対して荷の入庫及び出庫が行われる。
クレーン4は、各通路7を往復して移動できるように配置されている。図1では、1号機から3号機(No.1〜No.3クレーン)までの3台配置されている場合を例示している。搬送手段5から搬送されてきた荷は、クレーン4に移載され、クレーン4によって棚3の所定の収納スペース6の近傍まで搬送される。そして、その収納スペース6の前でクレーン4が停止すると、図示しない移載装置によってクレーン4から荷が移載され、所定の収納スペース6に入庫されることになる。
搬送手段5は、例えば、コンベヤ装置(以下、コンベヤ装置5という)として構成されている。自動倉庫1に入庫される荷は、まずこのコンベヤ装置5の搬送開始位置8に載置される。そして、搬送開始位置8に載置された荷が、クレーン4の各々に対して分岐して各クレーン4まで搬送されるようになっている。また、コンベヤ装置5は、複数の分岐点(第1分岐点9、第2分岐点10)を備え、各分岐点で区切られるブロック単位で管理できるようになっている。
搬送開始位置8から第1分岐点9までで区切られるブロックが第1ブロック11を、第1分岐点9を通過した以降で第2分岐点10までで区切られるブロックが第2ブロック12を、第2分岐点10を通過した以降の部分が第3ブロック13を、それぞれ構成している。例えば、第1ブロック11にはブロック番号「1」(NB=1)が、第2ブロック12にはブロック番号「2」(NB=2)が、第3ブロック13にはブロック番号「3」(NB=3)が付されて管理される。また、第1ブロック11においては、第1分岐点9で分岐前の主搬送路を形成する部分をブロック1A、分岐後No.1クレーン4へと到る分岐路を形成する部分をブロック1Bとしてさらに細かく管理することもできる。同様に、第2ブロック12をさらにブロック2A及びブロック2Bとして、第3ブロック13をさらにブロック3A及びブロック3Bとして、細かく管理することもできる。
図2は、コンベヤ装置5の第1ブロック11付近を拡大して示す平面図である。図2に示すように、コンベヤ装置5において、荷Wは、軸を平行にして配列された複数のローラ15を回転駆動することによって、各ブロック内で搬送される。ブロック内は、複数のゾーン14に区分けされており、各ゾーンに対応する複数のローラ15が、ゾーンごとに同期して回転駆動または停止させることができるようになっている。これにより、ゾーン単位で荷Wを移動させることができるようになっている。なお、図2に示す第1ブロック11だけでなく、他のブロック(12、13)についても同様の構成になっている。
また、コンベヤ装置5においては、各ゾーン14に対応してその側方に在荷センサ16がそれぞれ配置されている。在荷センサ16は、例えば、反射型センサとして構成され、コンベヤ装置5上を搬送されている荷Wの有無を検出する。この在荷センサ16により、各ゾーン14における荷Wの有無を検知することができる。なお、第1ブロック11だけでなく、他のブロック(12、13)においても、同様に在荷センサ16が配置されている。
また、コンベヤ装置5には、ストッパー装置17とプッシャー装置19とが備えられている。ストッパー装置17は、分岐点9の直下流側において主搬送路に対して垂直に突出及び退避する進退自在なストッパー部材18を備えている。ストッパー部材18が突出している状態(図2に示す状態であって、主搬送路を横切るように飛び出している状態)では、ローラ15が回転していたとしても荷Wが分岐点9の下流側へと移動することが防止されるようになっている。一方、ストッパー部材18がストッパー装置17内に退避している状態では、主搬送路が開放され、ローラ15の回転により荷Wを分岐点9の下流側へと搬送可能なようになっている。
プッシャー装置19は、分岐点9の側方に配置されており、分岐点9の位置において主搬送路に対して垂直に突出及び退避する進退自在なプッシャー部材20を備えている。プッシャー部材20は、突出した状態において荷Wの側面に当接することで、荷Wを分岐路であるブロック1Bに向かって押し出せるように幅広に形成されている。分岐点9において分岐して搬送される必要がある(No.1クレーンへ移送される予定の)荷Wが分岐点9に達すると、プッシャー部材20を突出させることで所望のクレーン4へと誘導して搬送することができるようになっている。
なお、第2分岐点10の近傍においても、第1分岐点9近傍と同様にストッパー装置17及びプッシャー装置19が配置されている。
次に、本実施形態に係る入庫管理装置2について説明する。図1に示すように、入庫管理装置2は、システム制御コンピュータ21とコンベヤコントローラ22とを備えるシステムとして構築されている。図3は、自動倉庫1における全体のシステム構成を示すブロック図である。
システム制御コンピュータ21は、荷Wの入庫情報及び出庫情報を管理するとともに、本実施形態に係る入庫制御方法における一部のステップを実行する。また、システム制御コンピュータ21は、図3に示すように、各クレーン4(No.1〜No.3クレーン)の動作を制御する各クレーンコントローラ23(No.1〜No.3クレーンコントローラ)と通信可能に接続されている。そして、各クレーン4の動作指令を送信するとともに、各クレーン4の動作実績信号(クレーン4による移載動作完了信号等)等を受信することができるようになっている。また、システム制御コンピュータ21は、コンベヤコントローラ22とも通信可能に接続されており、入庫制御に関する種々のデータや信号の送受信を行うことができるようになっている。
コンベヤコントローラ22は、システム制御コンピュータ21との間で入庫制御に関する種々のデータや信号の送受信を行うとともに、コンベヤ装置5の各ブロックにおける装置と接続されている。各ブロックにおける装置(コンベヤ本体、ストッパー装置17、プッシャー装置19)は、コンベヤコントローラ22からの指令に従って動作するようになっている。即ち、コンベヤ装置5は、入庫管理装置2によって制御されるように構成されている。なお、コンベヤ装置5における各在荷センサ16は、コンベヤコントローラ22に接続されている。これにより、所定のゾーン14における荷Wの存在がそのゾーン14に対応する在荷センサ16によって検出されると、その在荷検出信号がコンベヤコントローラ22に送信されるようになっている。
また、システム制御コンピュータ21及びコンベヤコントローラ22は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory))、インターフェイス、操作部(操作端末)、表示部(ディスプレイ)などをそれぞれ備えて構成されている。メモリには、システム制御コンピュータ21やコンベヤコントローラ22をそれぞれ動作させるために用いられる各種プログラムや、当該入庫管理装置2に本実施形態に係る入庫制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムを含む各種ソフトウェアが格納されている。また、このメモリには、入庫制御方法を実施する際や自動倉庫1における入出庫管理を実施する際に入力、設定、演算等される各種データ等も格納される。
上述したハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、図4の機能ブロック図に示す各部(24〜36)が入庫管理装置2内に構築され、また、本実施形態に係る入庫制御方法の各ステップが実行される。
図4は、入庫管理装置2の構成を示す機能ブロック図を例示したものである。入庫管理装置2のコンベヤコントローラ22は、クレーン情報設定部(クレーン情報設定手段)24、トラッキング情報記憶部25、トラッキング情報更新部(トラッキング情報更新手段)26、コンベヤ搬送制御部27、分岐搬送制御部(分岐搬送制御手段)28、ブロック内照合部(ブロック内照合手段)29、クレーン情報照合部(クレーン情報照合手段)30、第1報知部(第1報知手段)31、及び第3報知部32を備えている。また、システム制御コンピュータ21は、クレーン動作部33、在庫管理部34、入庫予定数照合部(入庫予定数照合手段)35、第2報知部(第2報知手段)36を備えている。
なお、上記各部(24〜35)が作動することで、本実施形態に係る入庫制御方法の各ステップが実行される。即ち、クレーン情報設定部24の作動によりクレーン情報設定ステップが、トラッキング情報更新部26の作動によりトラッキング情報更新ステップが、分岐搬送制御部28の作動により分岐搬送制御ステップが、ブロック内照合部29の作動によりブロック内照合ステップが、クレーン情報照合部30の作動によりクレーン情報照合ステップが、入庫予定数照合部35の作動により入庫予定数照合ステップが、それぞれ実行されることになる。
コンベヤコントローラ22において、クレーン情報設定部24は、入庫予定の荷Wに対して複数のクレーン4のうちのいずれか1つのクレーン4を特定するクレーン情報を各々割り付ける。荷Wへのクレーン情報の割り付けは、入庫予定の荷Wがコンベヤ装置5における搬送開始位置8に載置された段階で行われる(図1参照)。即ち、搬送開始位置8に荷Wが載置されると、搬送開始位置8に対応する在荷センサ16が、それまで荷Wを検出していなかった状態から荷Wを検出した状態へと移行し、在荷検出信号がコンベヤコントローラ22に送信される。この信号が受信されると、クレーン情報設定部24では、載置された荷Wに対応する新たなトラッキング情報を生成し、このトラッキング情報に関連付けて1つのクレーン4に対応するクレーン情報の割り付けを行う。なお、割り付けるクレーン情報は、例えば、当該荷Wが搬送開始位置8に載置される際に、新たな搬送対象となる荷Wの情報としてシステム制御コンピュータ21から送信された所定のクレーン4の番号が割り付けられる。
トラッキング情報記憶部25では、クレーン情報設定部24にてクレーン情報が割り付けられた荷Wのコンベヤ装置5での位置を特定するトラッキング情報を記憶する。このトラッキング情報は、クレーン情報と関連付けられたトラッキングデータとして記憶される。図5に示すデータイメージDは、トラッキング情報記憶部25に記憶されているトラッキング情報(トラッキングデータ)を例示したものである。このトラッキング情報記憶部25では、各ブロックに対応した内部アドレスごとにトラッキング情報を記憶している。なお、データイメージDでは、内部アドレスが、分岐前後で区分けされた細かいブロック(1A、1B、2A・・)に対応している場合を例示している。また、各内部アドレスにおいては、各ゾーン14に対応してトラッキング情報を記憶しており、各ゾーン14に対応する荷Wが存在している場合は、そのゾーン14における荷Wの有無とともにその荷Wのクレーン情報がトラッキング情報として記憶されている。このクレーン情報としては、No.1〜No.3の各クレーン4に対応するクレーン番号((1)、(2)、(3))が記憶されている。なお、データイメージDは、図1おいて例示している荷Wの搬送状態に対応しており、また、図1においても荷Wの存在をクレーン番号((1)、(2)、(3))で示している。
トラッキング情報更新部26は、トラッキング情報記憶部25に記憶されているトラッキング情報をコンベヤ装置5での実際の荷Wの移動に応じて更新する。トラッキング情報更新部26では、例えば、コンベヤ搬送制御部27からのコンベヤ装置5への荷Wの搬送指令を送信したタイミングで、コンベヤ装置5での荷Wの移動が行われたことを検知する。なお、在荷センサ16での在荷検出信号やローラ15の実際の回転駆動実績信号等を受信して、その受信した信号に基づいて、コンベヤ装置5での荷Wの移動が行われたことを検知するようにしてもよい。
コンベヤ装置5での荷Wの移動が行われたことがトラッキング情報更新部26で検知されると、トラッキング情報更新部26は、トラッキング情報記憶部25の記憶内容(トラッキング情報)の更新を行う。例えば、図1に示す状態から、ブロック2Aの第2分岐点10に位置していた荷Wがブロック2Bに移動して、ブロック2Aに位置している他の2つの荷Wがともに1ゾーンずつ搬送されたとする。この場合であれば、図5に示すデータイメージDにおいて、内部アドレスがブロック2Aのトラッキング情報については、図中右端のゾーンのクレーン番号(2)が消去され左側の2つのクレーン番号((2)、(3))が右側のゾーンへそれぞれ1つ移動するように更新される。そして、内部アドレスがブロック2Bのトラッキング情報については、左端の空き状態のゾーンにクレーン番号(2)が新たに追加されるように更新される。
コンベヤ搬送制御部27は、コンベヤ装置5への荷Wの搬送指令として、搬送対象となっている荷Wをゾーン14単位で移動させるためのローラ15の回転駆動指令を送信する。ローラ15の回転駆動指令は、例えば、分岐前後で区分けされたブロック(1A、1B、2A・・)単位での判断に基づいて送信され、搬送下流側にて在荷センサ16で在荷検出信号が検出されていないゾーン14があれば、荷Wがストッパー装置17で移動が制限されている分岐点から上流側に詰めて位置した状態となるように搬送指令が送信される。具体的な各荷Wの搬送指令は、当該荷Wが位置しているゾーン14とその1つ下流側のゾーン14とにおけるローラ15の回転駆動指令として送信される。
分岐搬送制御部28は、荷Wが各分岐点(9、10)まで搬送されてきたときに、当該荷Wをその分岐点で分岐して搬送させるか、分岐させずにさらに下流側に搬送させるかの判断を行い、分岐して搬送させる場合は、分岐搬送指令をコンベヤ装置5に送信する。分岐させるか否かの判断は、トラッキング情報更新部26によりトラッキング情報が更新されて各分岐点(9、10)に対応する位置まで移動したトラッキング情報があったときに、当該トラッキング情報に対応する荷Wに割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーン4と当該分岐点が対応するクレーン4とが一致するか否かの判断により行う。
上記判断において、クレーン情報が一致していると判断された場合は、当該トラッキング情報が対応する荷Wが当該分岐点にて分岐されて搬送されるように、コンベヤ装置5に対して分岐搬送指令が送信される。分岐搬送指令は、プッシャー装置19へのプッシャー部材20の突出動作指令として送信される。例えば、図1に示す状態のように、第2分岐点10に対応する位置までトラッキング情報が移動している場合は、そのトラッキング情報に対応する荷Wの割り付けられたクレーン情報により特定されるクレーンと当該分岐点が対応するクレーンとが、いずれもNo.2クレーンで一致しているため、分岐搬送指令がコンベヤ装置5に対して送信される。これにより、当該荷Wがプッシャー装置19によりブロック2Bの分岐路へと分岐して押し出されることになる。プッシャー装置19のプッシャー部材20については、突出して荷Wを押し出した後は、速やかに退避動作が行われる。なお、分岐後のブロックに荷Wが詰まっている状態であれば、荷Wがクレーン4へと移載されて空きゾーンが発生した状態で、プッシャー装置19が作動するようになっている。
また、上記判断において、クレーン情報が一致していないと判断された場合は、分岐搬送指令がコンベヤ装置5に送信されず、分岐せずにそのまま下流側へと搬送されることになる。この場合、プッシャー部材20の突出動作は行われず、ストッパー装置17におけるストッパー部材18の退避動作が行われる。そして、下流側のブロックに荷Wが詰まっていない状態(空きゾーンがある状態)であれば、ローラ15が回転駆動されて下流側のブロックへと搬送される。
ブロック内照合部29は、各ブロックに対応するトラッキング情報の個数と、在荷センサ16で検出されている各ブロック内の荷Wの個数とを、ブロックごとに照合する。図1に示す状態では、第1ブロック11において実際に搬送状態にある荷Wの個数は7個であり、この場合、在荷センサ16により検出される在荷検出数は7個となる。一方、図1の状態に対応する図5のデータイメージDにおいては、ブロック1Aに4個、ブロック1Bに3個のトラッキング情報が存在し、第1ブロック11に対応するトラッキング情報の個数は合計7個となる。従って、この場合は、ブロック内照合部29では、第1ブロック11におけるトラッキング情報の個数と在荷検出数との照合の結果、両者の個数は、一致していると判断される。なお、第2ブロック12及び第3ブロック13についても、同様に照合される。
第1報知部31は、ブロック内照合部29で照合されたトラッキング情報の個数と実際の荷Wの個数(在荷検出数)とが一致していない場合に、トラッキング情報と実際の搬送状態との不一致が生じていることを監視者に対して報知する。報知手段としては、例えば、ブザーによる警告音やパトライトの点灯などの手段を用いることによって監視者に対して注意を促すことができる。そして、注意を促された監視者が、例えば、コンベヤコントローラ22における表示部を見ることで、どのブロックにおいてトラッキング情報と実際の搬送状態との不一致が生じているかを確認し、トラッキング情報のずれを修正する等の速やかな対応をとることができる。このように、第1報知部31によって、ブロックごとにおけるトラッキング情報のずれが発生した場合に速やかに監視者に報知することができる。
クレーン情報照合部30は、各分岐点より搬送方向下流側の各ブロックにトラッキング情報が対応して位置している荷Wについて、そのクレーン情報により特定されるクレーン4と、その分岐点に対応するクレーン4又はその分岐点より搬送方向上流側に位置している分岐点に対応するクレーン4と、を照合する。これにより、第1分岐点9の下流側のブロック(第2ブロック12、第3ブロック13)にトラッキング情報が対応して位置している荷Wに関するクレーン情報の中に、第1分岐点9に対応するNo.1クレーンに該当するものがないことを確認することができる。また、同様に、第2分岐点10の下流側の第3ブロック13にトラッキング情報が対応して位置している荷Wに関するクレーン情報の中に、第1分岐点9又は第2分岐点10に対応するクレーン(No.1、No.2)に該当するものがないことを確認することができる。即ち、クレーン情報照合部29により、クレーン情報が対応するクレーン4への分岐点で分岐されずにその分岐点を誤って通過してしまった荷Wを速やかに検知することができる。なお、クレーン情報照合部29では、分岐路の各ブロック(1B、2B)については、そのブロックが対応しているクレーン以外のクレーンに該当するクレーン番号がないか否かも確認することができる。
第3報知部32は、クレーン情報照合部29にて上記照合を行った結果、クレーン情報が対応するクレーン4への分岐点で分岐されずにその分岐点を誤って通過してしまった荷Wが検知された場合に、そのことを監視者に報知する。報知手段としては、第1報知部31の場合と同様に、ブザーによる警告音やパトライトの点灯などの手段を用いて監視者に注意を促すことができる。また、第1報知部31と同様に、コンベヤコントローラ22の表示部を監視者が確認することで、どのブロックで問題が発生しているかを確認し、速やかな対応をとることができる。
システム制御コンピュータ21において、在庫管理部34は、入庫情報や出庫情報等の管理を行う。なお、入庫情報の取得は、上位のコンピュータからの送信や操作者による操作部を介しての操作に基づいて行われ、入出庫状況は、各クレーン4から受信した荷Wの移載情報等に基づいて管理される。また、クレーン動作制御部33は、在庫管理部33からの入出庫指示に従って、各クレーン4の動作指令を各クレーンコントローラ23に対して送信する。
入庫予定数照合部35は、クレーン4ごとに、そのクレーン4を介して入庫予定の荷Wの個数と、そのクレーン4に対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数とを照合する。入庫予定の荷Wの個数としては、クレーン番号が割り付けられた荷Wの個数であってクレーン4に移載される前の荷Wの個数を用いることができる。即ち、搬送開始位置8に載置されてクレーン情報設定部24によりクレーン番号が割り付けられた後、コンベヤ装置5からクレーン4に移載される前の状態にある荷Wの個数が、入庫予定の荷Wの個数としてクレーン4ごとに計数される。なお、入庫予定の荷Wの個数としては、クレーン4に移載されるタイミングで計数する荷Wの個数でなく、クレーン4から移載されて棚3に入庫される前のタイミングで計数する荷Wの個数であってもよい。上記のように、自動倉庫1への入庫タイミングをコンベヤ装置5からクレーン4へ移載したタイミング又はクレーン4から棚3へ移載したタイミングで統一して、正確に、入庫予定の荷Wの個数を計数することができる。
一方、対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数は、全てのブロックにおいて、対応するクレーンごとに計数される。図5に示すデータイメージDの場合、No.1クレーンに対応するクレーン番号が割り付けられているトラッキング情報の個数は4個であり、同様に、No.2クレーンについてのトラッキング情報の個数は6個、No.3クレーンについてのトラッキング情報の個数は7個となる。
入庫予定数照合部35では、上述の入庫予定の荷Wの個数及びトラッキング情報の個数が、クレーン4ごとに照合される。これにより、クレーン4とコンベヤ装置5との間においてもトラッキング情報のずれが生じていないかどうかを検知することができる。例えば、コンベヤコントローラ22とシステム制御コンピュータ21との間でのトラッキング情報修正ミスなどで発生する可能性のあるトラッキング情報のずれを検知することができる。また、ブロック内照合部29によるブロックごとの照合でトラッキング情報の個数と実際の荷Wの個数との確認もできていることで、その後新たに投入する荷W(新たにクレーン情報を割り付けていく荷W)に対するトラッキング情報のずれが生じることも無く、棚在庫ずれが大量に発生してしまうことを防止できる。
第2報知部36は、入庫予定数照合部35で照合された入庫予定の荷Wの個数とトラッキング情報の個数とが一致していない場合に、情報の不一致が生じていることを監視者に対して報知する。報知手段としては、第1及び第3報知部(31、32)の場合と同様に、ブザーによる警告音やパトライトの点灯などの手段を用いて監視者に注意を促すことができる。また、システム制御コンピュータ21の表示部を監視者が確認することで、どのクレーンについて情報の不一致の問題が発生しているかを確認し、速やかな対応をとることができる。このように、第2報知部36によって、クレーン4とコンベヤ装置5との間におけるトラッキング情報のずれが発生した場合に速やかに監視者に報知することができる。
次に、上述した入庫管理装置2での処理(本実施形態に係る入庫制御方法の各ステップを実行する処理)について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図6は、入庫管理装置2での処理フローの一例を示したものである。
入庫管理装置2での処理が開始されると、まず、ステップ101(以下、「S101」という。他のステップも同様)において、新たにコンベヤ装置5での搬送対象となる荷Wがあるか否か(新規の入庫情報があるか否か)が判断される。新規入庫情報がある場合(S101、Yes)は、クレーン情報設定部24により、その荷Wに対してクレーン情報が割り付けられる(S102)。一方、新規入庫情報が無い場合(S102、No)は、クレーン情報の新規割り付け対象が無いため、ステップ102の処理は行われない。
新規入庫情報が無い場合、及びクレーン情報設定処理が行われた後は、コンベヤ装置5においていずれかの荷Wの搬送移動(コンベヤ移動)が行われたか否かが判断される(S103)。コンベヤ移動が行われていると判断された場合(S103、Yes)は、トラッキング情報更新部26により、そのコンベヤ移動に応じてトラッキング情報の更新処理(S104)が行われる。
トラッキング情報の更新処理(S104)が行われた後、及びコンベヤ移動が行われていないと判断された場合(S103、No)は、分岐点(9、10)に到達したトラッキング情報があるか否かが判断される(S105)。いずれかの分岐点(9、10)に到達したトラッキング情報があると判断された場合(S105、Yes)は、分岐搬送制御部28より分岐搬送指令がコンベヤ装置5に対して送信される(S106)。一方、分岐点に到達したトラッキング情報が無いと判断されれば(S105、No)、分岐搬送指令は送信されない。
上記処理(S105、S106)の後、ブロック内照合部29によりブロック内照合処理(S107)が行われる。図7に、ブロック内照合処理のフローの一例を示す。図7の処理が開始されると、まず、最初に照合するブロックのブロック番号NBが「1」(NB=1)に設定される(S201)。ブロック番号NBの設定が行われたブロック(この場合、第1ブロック11)について、トラッキング情報の個数と在荷検出数とが照合される(S202)。照合された両値が一致していない場合(S203、No)は、第1報知部31により監視者にその旨の報知が行われる(S204)。監視者によりトラッキング情報の修正が行われると(S205)、次のブロック(第1ブロック11の次のブロックは第2ブロック12)があるか否かが判断される(S206)。また、ステップ203にて、照合された両値が一致していると判断された場合(S203、Yes)も、次のブロックがあるか否かが判断される(S206)。
次のブロックがあると判断された場合(S206、Yes)は、ブロック番号NBの値をさらに1を加えた値とし(S207)、その新たなブロック番号NBについて、上記と同様の処理(S202〜S206)が繰り返される。次のブロックが無いと判断された場合(S206、No)は、図7の処理を終了し、図6の処理に戻ることになる。なお、自動倉庫1では、第3ブロック13までであるため、NB=3のときは、次のブロックが無いと判断されることになる。
ブロック内照合処理(S107)が終了すると、次いで、入庫予定数照合部35により入庫予定数照合処理(S108)が行われる。図8に、入庫予定数照合処理(S108)のフローの一例を示す。図8の処理が開始されると、まず、最初に照合するクレーンのクレーン番号NCが「1」(NC=1)に設定される(S301)。クレーン番号NCの設定が行われたクレーン4(この場合、No.1クレーン)について、入庫予定の荷Wの個数(入庫待ち件数)とそのクレーン4に対応するトラッキング情報の個数とが照合される(S302)。照合された両値が一致していない場合(S303、No)は、第2報知部36により監視者にその旨の報知が行われる(S304)。監視者によりトラッキング情報の修正が行われると(S305)、次のクレーン4(No.1クレーンの次のクレーン4はNo.2クレーン)があるか否かが判断される(S306)。また、ステップ303にて、照合された両値が一致していると判断された場合(S303、Yes)も、次のクレーン4があるか否かが判断される(S306)。
次のクレーン4があると判断された場合(S306、Yes)は、クレーン番号NCの値をさらに1を加えた値とし(S307)、その新たなクレーン番号NCについて、上記と同様の処理(S302〜S306)が繰り返される。次のクレーン4が無いと判断された場合(S306、No)は、図8の処理を終了し、図6の処理に戻ることになる。なお、自動倉庫1では、No.3クレーンまでであるため、NC=3のときは、次のクレーン4が無いと判断されることになる。
入庫予定数照合処理(S108)が終了すると、次いで、クレーン情報照合部30により、クレーン情報照合処理(S109)が行われる。図9に、クレーン情報照合処理(S109)のフローの一例を示す。図9の処理は、ブロック単位で行われ、処理が開始されると、まず、最初に照合するブロックのブロック番号が「2」(NB=2)に設定される(S401)。ブロック番号NBの設定が行われたブロック(この場合、第2ブロック12)に関して、トラッキング情報が対応するクレーン情報からその各クレーン番号の読み出しが行われる(S402)。そして、読み出したクレーン番号の中に設定されているNBの値よりも小さい値のものがあるか否かが判断される(S403)。小さい値のものがある場合(S403、Yes)は、分岐点を誤って通過してしまった荷Wがある可能性が高いため、第3報知部32により監視者に対してその旨の報知が行われる(S404)。監視者によりトラッキング情報の修正が行われると(S405)、次のブロックがあるか否かが判断される(S406)。また、ステップ403にて、小さい値のものが無いと判断された場合(S403、No)も、次のブロックがあるか否かが判断される(S406)。
次のブロックがあると判断された場合(S406、Yes)は、ブロック番号NBの値をさらに1を加えた値とし(S407)、その新たなブロック番号NBについて、上記と同様の処理(S402〜S406)が繰り返される。次のブロックが無いと判断された場合(S406、No)は、図9の処理を終了し、図6の処理に戻ることになる。なお、自動倉庫1では、第3ブロック13までであるため、NB=3のときは、次のブロックが無いと判断されることになる。
クレーン情報照合処理(S109)が終了すると、トラッキング情報があるか否か(まだ、搬送状態にある荷Wが残っているか否か)が判断される(S110)。トラッキング情報があれば(S110、Yes)、図6の処理(S101〜S110)が繰り返され、トラッキング情報が無ければ(S110、No)、図6に示す処理が終了する。図6に示す処理は、例えば、所定周期タイミングで繰り返し行われる。なお、図6の処理の終了については、ステップ110の判断によらず、適宜、種々の方法を選択して終了させることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る自動倉庫の入庫制御方法、プログラム、及び入庫管理装置によると、搬送先のクレーン4は各荷Wに割り付けられたクレーン情報によって特定され、コンベヤ装置5での荷Wの搬送中は、入庫管理装置によってそのトラッキング情報が管理される。さらに、コンベヤ装置5の分岐点(9、10)では、クレーン情報に対応するクレーン4へと各荷Wが搬送されることになる。このため、バーコード等の識別用媒体を用いる必要が無い。そして、トラッキング情報のずれをブロック単位ですぐに検知することができ、コンベヤ装置5のどこでトラッキング情報のずれが生じているかを容易な構成で速やかに検知することができる。また、クレーン4とコンベヤ装置5との間においてもトラッキング情報のずれが生じていないかどうかを検知することができる。さらに、新たに投入する荷Wに対するトラッキング情報のずれが生じることも無く、棚在庫ずれの大量発生を防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。とくに、本実施形態に係る入庫管理装置における各手段や、本実施形態に係る入庫制御方法及びプログラムにおける各ステップについては、各手段や各ステップをそれぞれ適宜任意に組み合わして発明を構成することが可能なものである。また、例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)本実施形態に係る入庫制御方法、プログラム、及び入庫管理装置は、複数のクレーンにより物品の入庫が行われる自動倉庫においてクレーンの各々に対して分岐して物品を各クレーンまで搬送する搬送手段を制御して入庫される物品の搬送を行う自動倉庫の入庫制御であれば適用することができる。即ち、本実施形態に例示した自動倉庫とはクレーンや搬送手段の個数・配置等の構成が異なる自動倉庫に対してであっても広く適用することができる。
(2)入庫管理装置については、本実施形態で例示したシステム制御コンピュータとコンベヤコントローラとから構成されるものでなくてもよい。システム制御コンピュータ及びコンベヤコントローラの機能が統合された1つのコンピュータにより構成されているものであっても、また、さらに複数のコンピュータにより細分化されて構成されているものであってもよい。
(3)図6〜図9に示す処理のフローは、あくまで、一例であって、本実施形態に係る各ステップが実行可能でさえあれば、各処理の順番や組み合わせ方、また各処理での判断ロジック等を適宜変更して実施することができる。
(4)ブロック内照合手段においては、各ブロックでの在荷検出数と照合されるそのブロックに対応するトラッキング情報の個数として、そのブロックにおける分岐点で分岐する前の状態のトラッキング情報の個数を計数するものであってもよい。例えば、図1に示す自動倉庫1の場合、第1ブロック11についてはブロック1Aのみについてトラッキング情報の個数を計数し、同様に、第2ブロック12についてはブロック2Aのみについて、第3ブロック13についてはブロック3Aのみについて計数するものであってもよい。これによると、分岐点から分岐した後の分岐経路におけるトラッキング情報については、ずれが生じる可能性が極めて低いと考えられることから、分岐点で分岐後のトラッキング情報の照合を省略して、情報処理の簡略化を図ることができる。
本発明の実施形態に係る入庫制御方法が適用される自動倉庫を例示した平面図であって、模式して示した図である。
図1に示す自動倉庫におけるコンベヤ装置の第1ブロック付近を拡大して示す平面図である。
図1に示す自動倉庫における全体のシステム構成を示すブロック図である。
図1に示す自動倉庫における入庫管理装置の機能ブロック図である。
図4に示す入庫管理装置におけるトラッキング情報記憶部に記憶されているトラッキング情報のデータイメージを例示したものである。
図4に示す入庫管理装置での処理の一例を示したフローチャートである。
図6に示す処理におけるブロック内照合処理の一例を示したフローチャートである。
図6に示す処理における入庫予定数照合処理の一例を示したフローチャートである。
図6に示す処理におけるクレーン情報照合処理の一例を示したフローチャートである。
符号の説明
1 自動倉庫
2 入庫管理装置
4 クレーン
5 コンベヤ装置(搬送手段)
9 第1分岐点
10 第2分岐点
11 第1ブロック
12 第2ブロック
13 第3ブロック
16 在荷センサ
21 システム制御コンピュータ
22 コンベヤコントローラ
24 クレーン情報設定部(クレーン情報設定手段)
26 トラッキング情報更新部(トラッキング情報更新手段)
28 分岐搬送制御部(分岐搬送制御手段)
29 ブロック内照合部(ブロック内照合手段)