JP2005170399A - ガラス板梱包体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 作業性の悪化を招くことなく各ガラス板を縦に並べて収納することができ、且つ各ガラス板の相互間に作用する衝撃を充分に緩和することができるガラス板梱包体を提供する。
【解決手段】 底面側及び背面側に位置する底壁部2及び背側壁部3を有し、少なくともガラス板収納部位5の上面側及び正面側が開放されたパレット4上に、複数枚のガラス板6を縦に並列配置させて収納すると共に、各ガラス板6の相互間に発泡樹脂シート7を介装する。発泡樹脂シート7は、各ガラス板6の全面または略全面に接触し、その厚みが0.3mm〜5.0mmであり、その発泡倍率が10〜40倍である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス板梱包体に係り、特に複数枚のガラス板を縦置きで並列配置させて梱包するための技術に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイなどの各種画像表示機器用のガラスパネルの製作に用いられるガラス板、並びに各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス板等は、複数枚を一群として収納保持した状態で、梱包体としてガラスメーカー等からディスプレイメーカー等に搬送されるのが通例である。
また、例えば上述の各種画像表示機器等の製造に際しては、複数枚のガラスパネルが一枚の素板ガラスから作り出される手法が採用されるに至っており、これに伴ってガラスメーカーで成形および加工される素板ガラスは大板化が推進されているのが現状である。詳述すると、例えば液晶ディスプレイのガラスパネルの製造に際しては、製造コストの低減ならびに生産効率(スループット)の向上を目的として、大板の素板ガラスに多数のガラスパネルを作り込むマルチ方式が採用されるに至ったことから、ガラスメーカーで製作する素板ガラスをできるだけ大きくすることが試みられ或いは実用化が図られている。
具体的には、実用化量産の初期には、素板ガラスの大きさが300×400mmサイズ程度であったが、その後、ガラスパネルの採り枚数の増加に伴って、370×470mmサイズ、550×650mmサイズ、680×680mmサイズ、1000×1200mmサイズ等への大板化が進んでおり、現在は1500×1850mmサイズ(厚み0.7mm程度)の素板ガラスが製作されるに至っている。
この場合、上述の例示列挙したガラス板及びこれらに準じるガラス板は、このような大板化に伴って、薄肉で割れ易い特性が顕著になっているのが実情であり、その梱包は厳重に行なう必要がある。そこで、この種のガラス板を梱包するに際しては、例えば下記の特許文献1〜3に記載されているように、複数枚のガラス板を等間隔で縦に並列配置し、且つ各ガラス板の相互間に離間部材やクッション部材等を介装することが行なわれている。
具体的には、特許文献1に開示された梱包体(収納方法)は、複数枚のガラス板の相互間に、硬質樹脂から形成され且つ各ガラス板の面縁部のみに接触する離間部材を介装したものである。また、特許文献2に開示された梱包体(包装方法)は、ガラス板の端面にコ字状のプラスチック成形体を嵌め込むと共に、これをラミネートフィルムに微細な凹凸加工面を形成してなる袋状体に入れて包装し、この複数の包装されたガラス板をプラスチックコンテナ等の内部に収納させたものである。更に、特許文献3に開示された梱包体(搬送方法)は、上面が開口した箱状のコンテナ内に複数枚のガラス板を縦に並べて収納し、各ガラス板の相互間にクッション用シートを介装したものである。
特開2000−203679号公報 特開平11−1205号公報 特開2003−226354号公報
上記の特許文献1に開示された梱包体の離間部材は、例えばフラットパネルディスプレイの基板材料として用いられるガラス板の有効面に接触せずにその汚染を防止するものであり、ひいては各ガラス板の有効面を相互に離間させる役割を果たすものである。したがって、この離間部材が仮に軟質素材で形成されていたり、或いは薄肉素材で形成されていたならば、各ガラス板の有効面同士が接触して傷が付く等の問題が生じる。そのため、この離間部材は、上記の如く硬質素材で形成され、且つ適度な厚みを有することが必要とされる。
しかしながら、このように離間部材が硬質素材で形成されていると、搬送時等にガラス板の相互間に生じる衝撃を緩和することが困難となり、ガラス板の傷や割れ等の発生確率が高くなるおそれがある。しかも、既述のような大板化に伴うガラス板の撓み及びこれに起因するガラス板同士の接触を回避するには、離間部材の肉厚を厚くせねばならないため、梱包体がガラス板の配列方向に長尺となり、梱包体が不当に大型になるという問題が生じる。
また、上記の特許文献2に開示された梱包体では、各ガラス板を袋状体で包装せねばならず、その作業が面倒且つ煩雑になると共に、作業工数の増加や作業能率の悪化を招き、コストの高騰を招く等の不具合が生じる。
更に、上記の特許文献3では、上面が開口した箱状のコンテナ内にガラス板を縦に並べる必要があるため、各ガラス板の収納作業時には、コンテナの上面開口部の上方までガラス板を一旦持ち上げた後に、その開口部を通じてガラス板を下降させて収納させねばならないことになる。このため、収納作業が面倒且つ煩雑になるという不具合を招き、特にガラス板が大板になるに連れてそのような不具合が顕著となる。しかも、同文献に開示されているクッション用シートは、ポリプロピレンまたはポリエチレンからなるものであるが、同文献にはクッション用シートが良好なクッション性を得るために何らかの工夫を施されたものである旨の記載がなく、したがって、このクッション用シートは、単なる薄い平板状のシートと解することができる。そのため、このクッション用シートは、各ガラス板の相互間に生じる衝撃を充分に緩和することができず、搬送時等に生じる衝撃によってガラス板に欠けや割れ等が発生するという事態を確実に回避できるものではない。特にフラットパネルディスプレイ基板用ガラス板のように、大寸法で薄肉のガラス板を搬送する場合は、欠けや割れの問題が発生しやすくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業性の悪化を招くことなく各ガラス板を縦に並べて効率良く収納することができ、且つ各ガラス板の相互間に作用する衝撃を充分に緩和することができるガラス板梱包体を提供することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係るガラス板梱包体は、ガラス板収納部位の底面側及び背面側にそれぞれ位置する底壁部及び背側壁部を有し、且つ少なくともガラス板収納部位の上面側及び正面側が開放されたパレット上に、複数枚のガラス板を縦に並列配置させて収納すると共に、各ガラス板の相互間に発泡樹脂シートを介装したことを特徴とするものである。
この場合、前記パレットにおけるガラス板収納部位の左右両側は開放されていてもよく、換言すれば、前記パレットは底壁部及び背側壁部のみからなる略L字形の組立体であってもよく、或いは、前記ガラス板収納部位の左右両側に位置する左右両側壁部を有する組立体であってもよい。そして、各ガラス板は、パレットの底壁部上に載置されると共に、背側壁部に立て掛けるようにして収納される。
また、特にフラットパネルディスプレイの基板材料として用いられるガラス板を梱包する場合、前記発泡樹脂シートは、ガラス板の面と接触した場合の汚れの付着を防止することが可能な低汚染性材料から形成されてなることが好ましい。低汚染性材料とは、ガラス板の表面に汚れを付着させないか、汚れを付着させたとしても、容易に洗浄除去できる材料のことを言う。通常、樹脂に帯電防止剤が含まれると、ガラス板表面を汚染しやすいため、帯電防止剤を含有していないものが好ましい。但し、界面活性剤を使用することなく材質自体が帯電防止剤(例えばポリマー型帯電防止剤)を含有してなる発泡樹脂シート、または界面活性剤を使用したものであっても高分子量型界面活性剤を使用してなる発泡樹脂シートは、ガラス板の面と接触した場合の汚れの付着が殆ど問題とならないため、これらの発泡樹脂シートは使用可能である。なお、低分子量型界面活性剤を使用してなる発泡樹脂シートは、ガラス板の面と接触した場合の汚れの付着が多いため、この発泡樹脂シートを使用することは避けるのが賢明である。
以上のような構成によれば、パレットは上面側に加えて少なくとも正面側が開放されていることから、パレットのガラス板収納部位に各ガラス板及び発泡樹脂シートを縦に並べて収納する作業は、パレットの少なくとも正面側を通じて行なうことができる。したがって、上面が開口した箱状のコンテナ内にガラス板を縦に並べて収納する場合のように、ガラス板を不当に高い位置まで持ち上げる必要がなくなり、収納作業が簡易化され、作業能率の向上が図られる。しかも、各ガラス板の相互間に介装される発泡樹脂シートは、合紙や発泡構造を有しない樹脂シート等と比較して良好な緩衝性が得られるため、搬送時等に各ガラス板に作用する衝撃が適切に緩和される。また、この発泡樹脂シートの面は、ガラス板の面に対する密着性(または摩擦抵抗もしくは接触抵抗)が充分に高いことから、ガラス板が発泡樹脂シートに対して滑り難くなり、この両者に相対移動が生じる確率が極めて低くなる。したがって、仮にガラス板と発泡樹脂シートとの間にゴミや埃等の異物が介在していても、この異物がガラス板の面に対して擦れる確率が低くなり、異物が原因となってガラス板の面に傷が付く等の不具合が生じ難くなる。しかも、合紙等の紙類は、パレットへの収納作業時に、その切断部等から埃や塵(ケバ)等が発生して、周囲の雰囲気を汚染することになるため、クリーンルーム内でパレットへの収納作業を行なうことは実質的に不可能であるが、発泡樹脂シートであれば、そのような埃や塵が発生しないため、クリーンルーム内での収納作業が可能である。したがって、パレット上にガラス板と発泡樹脂シートとを収納していく作業を行なっている間に、その両者間にゴミや埃等の異物が侵入することを、可及的に抑制することが可能となる。
以上の構成において、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートを一束にしてパレットに拘束支持する拘束体を備えていることが好ましい。この場合、拘束体としては、帯状のバンドであってもよく、或いはストレッチフィルム等であってもよい。
このようにすれば、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートが、パレットに無駄なスペースを介在させることなく確実且つ強固に拘束支持されることになり、搬送時の振動等に起因してパレットに対してガラス板が相対移動し或いはガタツキが生じるという不具合が効果的に抑制されると共に、梱包体のコンパクト化を図る上で有利となる。
以上の構成において、パレットと、複数枚のガラス板と、その各相互間の発泡樹脂シートとを覆う外包囲体を備えていることが好ましい。この場合、外包囲体としては、箱状のものであってもよく、或いは、パレットのガラス板収納部位の上面側、正面側、及び必要に応じて左右両側を、それぞれ蓋及び/または当て板等で覆うと共に、これらとパレットとの周囲に、結束バンドまたはストレッチフィルム等を巻装する構成としたものであってもよい。
このようにすれば、パレットと、複数枚のガラス板と、その各相互間の発泡樹脂シートとの保護が確実化され、特に上述のようにこれらを拘束体により拘束支持したものを外包囲体で覆うようにすれば、ガラス板の保護がより一層確実化される。なお、外包囲体は、パレットの全部を覆うものであってもよく、或いはパレットの所定部位(例えば底壁部を除く部位)のみを覆うものであってもよい。
以上の構成において、パレットは、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートを傾斜して収納するように構成されていることが好ましい。この場合、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートを傾斜させて収納する一例としては、パレットの底壁部自体にガラス板を載せる載置面を形成し、この載置面を水平面に対して所定角度(例えば2〜20°)だけ傾斜させると共に、背側壁部自体にガラス板を立て掛ける立掛面を形成し、この立掛面を垂直面に対して上記と同一の所定角度だけ傾斜させることが挙げられる。また他の例としては、パレットの底壁部及び背側壁部が、ガラス板収納部位を有する収納部材を具備するように構成し、この収納部材の載置面及び立掛面を上記と同様に傾斜させることが挙げられる。なお、当然の事ながら、載置面は、背面側部位よりも正面側部位が上側に位置するように傾斜し、立掛面は、下側部位よりも上側部位が背面側に位置するように傾斜することになる。
このようにすれば、各ガラス板の収納作業時に、ガラス板を縦に置いていく作業が容易になるなどして、収納時の作業性の向上が期待できると共に、ガラス板の取り出し時における作業性の向上をも期待できることになる。
このような構成において、パレットは、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートの傾斜角度を可変とするように構成されていることが好ましい。この場合、傾斜角度を可変とするための手段としては、既述のように、パレットの底壁部及び背側壁部が、ガラス板収納部位を有する収納部材を具備するように構成し、この収納部材を、底壁部及び背側壁部の基部材に対して傾動可能に取り付けることが挙げられる。なお、この収納部材は、載置面が形成された部位と、立掛面が形成された部位とが別体であってもよく、或いは一体化されていてもよい。
このようにすれば、パレットに収納される各ガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートの傾斜角度を変更できることから、例えば収納作業及び取り出し作業を行なう工場等に応じて作業設備或いは作業用ロボット等の構造が相違する場合に、その構造の相違との関連において上記の傾斜角度を変更すればよいことになり、利便性が向上すると共に、作業性においても更なる向上が期待できる。
以上の構成において、発泡樹脂シートは、ガラス板の全面もしくは略全面に亘って接触可能とされていることが好ましい。
このようにすれば、発泡樹脂シートとガラス板との密着性が、より一層高くなるため、ガラス板が発泡樹脂シートに対して滑り難くなり、この両者に相対移動が生じる確率が激減する。しかも、この発泡樹脂シートは、各ガラス板の相互間に接触防止用の隙間を介在させる役割を果たすものではないため、厚みを厚くすることが要求されず、したがってパレットを各ガラス板の配列方向に短尺とすることができ、梱包体のコンパクト化が図られる。
以上の構成において、発泡樹脂シートの厚みは、0.3〜5.0mmであることが好ましい。
このようにすれば、複数枚のガラス板を各相互間に発泡樹脂シートを介装して縦置きで箱体の内部に収納した場合に、ガラス板に対する充分な保護等がなされた上で、各ガラス板の配列方向に対して不当に嵩高となること等を回避することができる。すなわち、発泡樹脂シートの厚みが0.3mm未満であると、発泡樹脂シートが本来有しているクッション機能や緩衝機能を充分に発揮することができず、ガラス板に対する保護に支障が生じることに加えて、発泡樹脂シートが薄すぎることに起因して、破れが生じ易くなると共に、収納作業時の取り扱いが困難になる。これに対して、発泡樹脂シートの厚みが5.0mmを超えると、積層されるガラス板の枚数がさほど多くなくても、各ガラス板の配列方向に不当に嵩高となり、パレットを小型化できなくなると共に、費用面においても無駄が生じる。したがって、発泡樹脂シートの厚みが上記の数値範囲内にあれば、このような不具合は生じないことになる。この場合、発泡樹脂シートのより好ましい厚みは、0.5〜2.0mmである。
以上の構成において、発泡樹脂シートの発泡倍率は、10〜40倍であることが好ましい。
このようにすれば、発泡樹脂シートのガラス板に対する適切なクッション性等を確保した上で、破れが生じる等の事態を回避することができる。すなわち、発泡樹脂シートの発泡倍率が10倍未満であると、該発泡樹脂シートが硬くなり過ぎることに起因して、所要のクッション性が得られなくなり、ガラス板を充分に保護できなくなる。これに対して、発泡樹脂シートの発泡倍率が40倍を超えると、該発泡樹脂シートが柔らかくなり過ぎることに起因して、破れが生じ易くなると共に、収納作業時の取り扱いが困難になる。したがって、発泡樹脂シートの発泡倍率が上記の数値範囲内にあれば、このような不具合は生じないことになる。この場合、発泡樹脂シートのより好ましい発泡倍率は、20〜30倍である。
以上の構成において、発泡樹脂シートの左右両側縁及び/または上側縁が、ガラス板から食み出していることが好ましい。この場合の食み出し寸法は、10〜100mm程度が妥当である。
このようにすれば、各ガラス板の正面及び背面が発泡樹脂シートにより保護されるだけでなく、発泡樹脂シートの食み出し部分を折曲することにより、各ガラス板の左右両端面及び/または上端面がその食み出し部分によって保護され得ることになり、各ガラス板の保護がより一層充分なものとなる。
以上のように本発明に係るガラス板梱包体によれば、パレットのガラス板収納部位に各ガラス板及び発泡樹脂シートを縦に並べて収納する作業は、パレットの少なくとも正面側を通じて行なうことができるため、従来の上面が開口した箱状のコンテナ内にガラス板を縦に並べて収納する場合のように、ガラス板を不当に高い位置まで持ち上げる必要がなくなり、収納作業が簡易化され、作業能率の向上が図られる。しかも、各ガラス板の相互間に介装される発泡樹脂シートは、合紙や発泡構造を有しない樹脂シート等と比較して良好な緩衝性が得られるため、搬送時等に各ガラス板に作用する衝撃が適切に緩和される。また、この発泡樹脂シートの面は、ガラス板の面に対する密着性が充分に高いことから、ガラス板が発泡樹脂シートに対して滑り難くなり、この両者に相対移動が生じる確率が極めて低くなる。更に、発泡樹脂シートの大きさをガラス板の大きさに対応させるべく発泡樹脂シートを切断する際に、その切断部等から埃や塵が発生することは殆どないため、クリーンルーム内での収納作業が可能となり、その作業時にガラス板と発泡樹脂シートとの間にゴミや埃等の異物が侵入することを、可及的に抑制できることになる。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係るガラス板梱包体(以下、単に梱包体という)の全体構成を模式的に示す概略斜視図、図1(b)は、その梱包体の構成要素としてのガラス板及び発泡樹脂シートを模式的に示す斜視図、図2は、その梱包体の構成要素としてのパレットを示す側面図である。
図1(a)に示すように、この実施形態に係る梱包体1は、底壁部2と背側壁部3とからなる略L字形のパレット4を有し、該パレット4のガラス板収納部位5に、複数枚のガラス板6及びその各相互間に介装される発泡樹脂シート7を縦に並べて収納し、拘束体としての結束バンド8によりこれらを一束にしてパレット4に拘束支持させたものである。この場合、図1(b)に示すように、ガラス板6は、液晶ディスプレイ用の矩形の素板ガラスであって、横方向寸法が1500mm、縦方向寸法が1850mm、厚みが0.7mmである。また、発泡樹脂シート7は、日本スチレンペーパー(株)製の発泡ポリエチレンシート(商品名:ミラマット)を矩形に切断したものであって、厚みが0.5mm〜1.0mm、発泡倍率が20〜25倍、横方向寸法が1550mm、縦方向寸法(切断後の寸法)が1875mmである。
パレット4は、図2に示すように、底壁部2が、底基部材9と底収納部材10とから構成され、背側壁部3が、背基部材11と背収納部材12とから構成されると共に、水平姿勢の底基部材9と垂直姿勢の背基部材11とが固定されてL字形基部材13が形成され、また底収納部材10と背収納部材12とが固定されてL字形収納部材14が形成されている。そして、L字形収納部材14における底収納部材10の上方空間が、ガラス板収納部位5とされている。したがって、底収納部材10の上面部がガラス板6を載置させる載置面部とされると共に、背収納部材12の正面部がガラス板6を立て掛けさせる立掛面部とされている。この場合、パレット4の上下方向の寸法は、その前後方向(正面側から背面側に向かう方向)の寸法の1.5〜2.5倍に設定されている。
この実施形態では、背収納部材12の上端部が背基部材11の上端部に回動可能に連結されることにより、L字形収納部材14がL字形基部材13に傾動可能に保持されると共に、L字形収納部材14は同図に鎖線で示すように所望の複数の傾斜角度位置で固定される構成とされている。したがって、各ガラス板6は、垂直面に対して所定角度(例えば2〜20°)だけ傾斜した状態、つまり上側よりも下側が正面側寄りとなる傾斜状態で収納されると共に、その傾斜角度は適宜変更可能とされている。なお、L字形収納部材14をL字形基部材13に回動可能に連結する部位は、上述の上端部である必要はなく、上下方向中間部或いは下端部等であってもよい。また、L字形収納部材14の底収納部材10と背収納部材12とは、分離されていてもよく、したがって両者10、12がそれぞれ別々に傾動及び固定が可能とされていてもよい。
L字形収納部材14のガラス板収納部位5には、複数枚のガラス板6と発泡樹脂シート7とが交互に縦に並べられるが、その場合に、発泡樹脂シート7の左右両側縁(横方向両側縁)及び上側縁は、ガラス板6から所定寸法(この実施形態では25mm)だけ食み出した状態となっている。この場合の食み出し寸法は、10から100mmの範囲内に収まっていることが好ましい。なお、各ガラス板6の下縁と、各発泡樹脂シート7の下縁とは、何れかが下方に食み出すことなく略揃った状態とされている。
L字形基部材13の背基部材11は、この実施形態では図1(a)に示すように、矩形の枠状体11aに桟11bを固定して構成され、上述のようにL字形収納部材14に並べられたガラス板6と発泡樹脂シート7とは、これらの正面側、上面側、及び下面側から桟11bに亘って結束バンド8を掛け渡すことにより、パレット4に強固に拘束支持されている。なお、正面側の端に存するガラス板6の正面は発泡樹脂シート7で覆われると共に、背面側の端に存するガラス板6と背収納部材12との間には発泡樹脂シート7が介装されている。また、これらのガラス板6及び発泡樹脂シート7は、ポリエチレン樹脂等の包装袋やストレッチフィルム等で覆われて、ゴミや埃等の異物が両者6、7間に侵入することを阻止されているのが好ましい。
このようにL字形収納部材14に所定枚数(例えば100〜500枚)のガラス板6が収納され且つ結束バンド8によりパレット4に拘束支持された状態で、図2に鎖線で示す外包囲体15によって、パレット4の例えば底基部材9よりも上方側部位が覆われる。すなわち、外包囲体15は、L字形収納部材14並びにこれに収納されているガラス板6の上面側、正面側、及び左右両側と、必要に応じて背基部材11の背面側とを覆うように構成されている。この外包囲体15は、上方が蓋体で覆われた箱状のものであってもよく、或いは上方が蓋体で覆われ且つ正面側と左右両側と必要に応じて背基部材11の背面側とが当て板により覆われた状態でこれらをストレッチフィルムで固定状態としたものであってもよい。
以上のような構成からなる梱包体1は、以下のようにして製作される。すなわち、クリーンルーム内において、図2に示すL字形収納部材14の傾斜角度を調整して固定した後、発泡樹脂シート7とガラス板6とを交互にL字形収納部材14上に縦に並べて置いていく。この場合、隣接するガラス板6の間に発泡樹脂シート7を介装するには、例えば、次に示すような手法が採用される。すなわち、横方向幅がガラス板6に対応し且つ縦方向に長尺な発泡樹脂シートの原素材をロール状に巻回してなるロール体をパレット4の上方に配置しておき、先行するガラス板6をL字形収納部材14に縦に置いた後、そのガラス板6の正面側を覆う位置までロール体から発泡樹脂シートを引き下げる。次に、後続のガラス板6をその発泡樹脂シートの正面側に縦に置くことにより、一対のガラス板6によって発泡樹脂シートを挟んだ状態とし、このような状態の下で発泡樹脂シートをガラス板6の縦方向寸法に対応する長さにカッター等で切断する。このような作業を繰り返し行なうことにより、所定枚数全てのガラス板6の各相互間に発泡樹脂シート7が介装された状態となる。
この後は、結束バンド8(ストレッチフィルムでもよい)により各ガラス板6及び発泡樹脂シート7を一束にしてパレット4に拘束支持させ、その後、これらを外包囲体15で覆うことにより、梱包体1の製作が完了する。この場合、梱包体1の製作作業は、その全てをクリーンルーム内で行なってもよく、或いは、パレット4へのガラス板6の収納作業を終えた後に、それらをポリエチレン樹脂等の包装袋やストレッチフィルムで覆うまでの作業をクリーンルーム内で行い、その後の作業をクリーンルーム外で行なってもよい。
なお、L字形収納部材14に各ガラス板6を収納する手法、及び隣接するガラス板6の間に発泡樹脂シート7を介装する手法は、次に示すような手法であってもよい。すなわち、パレット4を倒して背側壁部3の背基部材11及び背収納部材12が水平となるように保持しておき、発泡樹脂シート7とガラス板6とを水平姿勢で交互に積み重ねていく。その場合に、先行するガラス板6をL字形収納部材14に置いた後、そのガラス板6の上面を覆うように上記と同様のロール体から発泡樹脂シートを引き出すと共に、ガラス板6の縦方向寸法に対応する位置で発泡樹脂シートを切断し、この後、その発泡樹脂シート7の上面に後続のガラス板6を置く。このような作業を所定枚数全てのガラス板6について繰り返し行なった後、結束バンド8等でそれらをパレット4に拘束支持させ、その後、パレット4を起立させると共にL字形収納部材14を傾斜させる。この後の作業は、既述の場合と同様である。
以上の実施形態に係る梱包体1に収納可能なガラス板6のサイズは、既述のものに限られるわけではなく、例えば1000×1200mmサイズ以上、或いは1500×1850mmサイズ以上のものであってもよい。
図1(a)は、本発明の実施形態に係るガラス板梱包体の全体構成を模式的に示す概略斜視図、図1(b)は、その梱包体の構成要素であるガラス板及び発泡樹脂シートを模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るガラス板梱包体の構成要素であるパレットを示す側面図である。
符号の説明
1 梱包体(ガラス板梱包体)
2 底壁部
3 背側壁部
4 パレット
5 ガラス板収納部位
6 ガラス板
7 発泡樹脂シート
8 結束バンド(拘束体)
15 外包囲体

Claims (11)

  1. ガラス板収納部位の底面側及び背面側にそれぞれ位置する底壁部及び背側壁部を有し、且つ少なくともガラス板収納部位の上面側及び正面側が開放されたパレット上に、複数枚のガラス板を縦に並列配置させて収納すると共に、各ガラス板の相互間に発泡樹脂シートを介装したことを特徴とするガラス板梱包体。
  2. 複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートを一束にしてパレットに拘束支持する拘束体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガラス板梱包体。
  3. パレットと、複数枚のガラス板と、その各相互間の発泡樹脂シートとを覆う外包囲体を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板梱包体。
  4. パレットは、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートを傾斜して収納するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス板梱包体。
  5. パレットは、複数枚のガラス板及びその各相互間の発泡樹脂シートの傾斜角度を可変とするように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板梱包体。
  6. 発泡樹脂シートが、ガラス板の全面もしくは略全面に亘って接触可能とされていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス板梱包体。
  7. 発泡樹脂シートの厚みが、0.3〜5.0mmであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラス板梱包体。
  8. 発泡樹脂シートの発泡倍率が、10〜40倍であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のガラス板梱包体。
  9. 発泡樹脂シートの左右両側縁及び/または上側縁が、ガラス板から食み出していることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のガラス板梱包体。
  10. ガラス板が、フラットパネルディスプレイ基板用ガラス板であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のガラス板梱包体。
  11. 発泡樹脂シートが、低汚染性材料から形成されてなることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のガラス板梱包体。
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