JP2005169721A - 振動溶着装置及び振動溶着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大きさの異なる3個以上の部材を振動溶着する場合に、前の溶着工程での溶着部の高さのバラツキを吸収し、安定して後工程の溶着が可能な振動溶着装置及び振動溶着方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 昇降機と、振動発生装置と、前記昇降機によって上昇または下降される下受治具21と、前記振動発生装置により左右に振動される上受治具22とを具備してなり、前記下受治具21は、前記第3樹脂部材Cを載置して固定できる大きさを有し、前記上受治具22は、第1樹脂部材Aと平面形状が等しい押圧プレート24と、該押圧プレート24を前後左右にはガタなく上下には摺動可能な大きさの凹部が形成され、且つ下面が第2樹脂部材Bを押圧できる大きさを有する上受治具ブロック23と、該上受治具ブロック23の凹部底面と押圧プレート24との間に配置された複数の押圧スプリング25と複数のガイドブッシュ26とを具備して成るように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、振動溶着装置及び振動溶着方法に関し、さらに詳しく述べると、樹脂部品を多段に積み重ねて振動溶着する場合に用い、確実に溶着できる振動溶着装置及び振動溶着方法に関する。
周知の通り、振動溶着方法とは、2つの樹脂部品を振動によりこすり合わせ、その時に摩擦面に発生する摩擦熱により2つの樹脂部品を接合させる方法である。
図3は振動溶着方法を実施するための溶着装置の1例を示す図である。この装置1は電磁振動を利用してワーク2,3間の溶着予定部に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱により溶着予定部の材料を溶融し、その後の冷却固化によりワーク2,3を一体化接合するものである。そしてこの装置は、上面にワーク2を嵌め込むための凹部4を形成した静止側の下受治具5と、下面にワーク3を嵌め込むための凹部6を形成した駆動側の上受治具7と、この上受治具7を電磁振動させる振動発生装置8とから構成されている。
そして前記振動発生装置8は、支持体9の天板下面に高剛性の弾性体10,10を介して振動体11を左右方向へ可動自在に吊り下げると共に、その左右両側に電磁石12,12を対向配置し、前記振動体11の下部に上受治具7を固定したものである。従って、左右の電磁石12,12に交互に電流を流すことにより、振動体11を左右方向(矢印A,A′方向)へ交互に吸着して電磁振動を発生させ、その下部に固設した上受治具7を振動体11と共に振動させることができる。
そして、下受治具5の上面に形成した凹部4内にフランジ2aを有するワーク2を嵌め込み固定すると共に、上受治具7の下面に形成した凹部6内にワーク3を固定する。しかる後、下受治具5を適宜図示なき昇降機によって矢印B方向に上昇させ下受治具5と上受治具7との間にワーク2,3を挟み込み、ワーク2,3間の接合予定部を加圧接触させると共に、振動発生装置8によって上受治具7に加圧方向に直交する例えば振幅I〜1.2mm程度の電磁振動を発生させ、加圧接触部に局部的な摩擦熱を発生させてワーク2,3を溶着させることができる。
前記のような振動溶着装置では次のような問題がある。即ち、大きさの異なる3個以上の部材を振動溶着するには、先ず、図4(a)の如く、大きい部材Cに中間の部材Bを溶着した後、その上に小さい部材Aを上受治具13を用いて溶着させる第1の方法と、図4(b)の如く、小さい部材Aと中間の部材Bを溶着させた後、その下に大きい部材Cを上受治具14を用いて溶着させる第2の方法とがある。この場合第1の方法では、どの溶着時にも下受治具15が大きくなければならず、溶着機の大きさを小さくできない。他方第2の方法は、小さいものから溶着でき、下受治具15もそれに合わせて小さくできるためコストダウンが可能である。
しかし、第2の方法では図4(b)の如く、小さい部材Aを中間の部材Bに溶着した際に溶着部の高さ寸法hにバラツキが生じているため、大きい部材Cの上に中間の部材Bを溶着する時、上受治具14の凹部の底が小さい部材Aに乗り上げ、中間の部材Bとの間に隙間Gが生じ、中間の部材Bの溶着予定部を押圧できず、図4(c)の如く中間の部材Bの溶着予定部が変形するという問題がある。
特開平9−245508号公報
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
本発明の目的は、大きさの異なる3個以上の部材を振動溶着する場合に、前の溶着工程での溶着部の高さのバラツキを吸収し、安定して後工程の溶着が可能な振動溶着装置及び振動溶着方法を提供することを目的とする。
本発明の上記したような目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
本発明の請求項1の振動溶着装置は、第1の樹脂部材Aと、該第1の樹脂部材Aより大きい第2の樹脂部材Bと、該第2の樹脂部材Bと同等又はそれより大きい第3の樹脂部材Cとを積み重ねて振動溶着するための振動溶着装置であって、昇降機と、振動発生装置と、前記昇降機によって上昇または下降される下受治具21と、前記振動発生装置により左右に振動される上受治具22とを具備してなり、前記下受治具21は、前記第3樹脂部材Cを載置して固定できる大きさを有し、前記上受治具22は、第1樹脂部材Aと平面形状が等しい押圧プレート24と、該押圧プレート24を前後左右にはガタなく上下には摺動可能な大きさの凹部が形成され、且つ下面が第2樹脂部材Bを押圧できる大きさを有する上受治具ブロック23と、該上受治具ブロック23の凹部底面と押圧プレート24との間に配置された複数の押圧スプリング25と複数のガイドブッシュ26とを具備して成ることを特徴とする。
また、本発明の請求項2の振動溶着方法は、第1樹脂部材Aと、該第1樹脂部材Aより大きい第2樹脂部材Bと、該第2樹脂部材Bと同等又はそれより大きい第3樹脂部材Cとを積み重ねて振動溶着するための振動溶着方法であって、請求項1に記載の振動溶着装置を用い、その下受治具21に前記第2樹脂部材Bを固定すると共に、その上に前記第1樹脂部材Aを載置し、該第1樹脂部材Aを上受治具22により第2樹脂部材Bに振動溶着する第1工程と、下受治具21に前記第3樹脂部材Cを載置固定すると共に、その上に前記第1樹脂部材Aを溶着した第2樹脂部材Bを載置し、該第2樹脂部材Bを上受治具22により第3樹脂部材Cに振動溶着する第2工程とより成ることを特徴とする。
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、大きさの異なる3個以上の部材を振動溶着する場合に、前の溶着工程での溶着部の高さのバラツキを吸収し、安定して後工程の溶着が可能な振動溶着装置及び振動溶着方法が得られる。
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
図1は本発明の振動溶着装置の実施例を樹脂部材と共に示す断面図である。本実施例は同図に示すように、下受治具21、上受治具22、及び下受治具21を昇降させる図示なき昇降機、及び上受治具22を左右に振動させる図示なき振動発生装置とを具備して構成されている。なお、A,B,Cは第1,第2,第3の樹脂部材であり、第2の樹脂部材Bは第1の樹脂部材Aよりも大きく、第3の樹脂部材Cは第2の樹脂部材Bと同等乃至は大きい。なお、前記昇降機及び振動発生装置は、従来と同様なものを用いることができるので、その説明は省略する。
前記下受治具21は第2の樹脂部材B又は第3の樹脂部材Cを載置して固定(固定方法は適宜な方法でよい)できる台であり、前記昇降機により昇降される。また上受治具22は、第1の樹脂部材Aと平面形状が等しい押圧プレート24と、該押圧プレート24を前後左右にはガタなく、上下には摺動可能な凹部が形成され、且つ下面が第2の樹脂部材Bを押圧できる大きさを有する上受治具ブロック23と、該上受治具ブロック23の凹部底面と押圧プレート24との間に配置された複数の押圧スプリング25,25′と複数のガイドブッシュ26,26′とを具備して構成されている。
なお、前記押圧スプリング25,25′は、押圧力を大きくするため剛性(ばね常数)の高いものが好ましい。またガイドブッシュ26,26′は加振時に押圧プレート24が共振しないようにするために設けたものである。
次に、前記本発明の振動溶着装置を用いた振動溶着方法を説明する。
先ず図2(a)に示すように、下受治具21上に第2の樹脂部材Bを載置固定すると共に、第1の樹脂部材Aを上受治具22の凹部にセットした後、下受治具21を図示なき昇降機により上昇させて第2の樹脂部材Bを第1の樹脂部材Aに接触させ押圧る。このとき、上受治具22の外周が第2の樹脂部材Bに接触しないように隙間gができるようにする。同時に図示なき振動発生装置により上受治具22を左右に振動させる。これにより第1の樹脂部材Aと第2の樹脂部材Bの接触面に摩擦熱が発生し樹脂を溶融する。次いで、昇降機により下受治具21を上昇させ第1の樹脂部材Aに第2の樹脂部材Bを押圧して両者を溶着す。
次に、図2(b)に示すように、下受治具21上に第3の樹脂部材Cを載置固定すると共に、すでに溶着されている第1の樹脂部材Aと第2の樹脂部材Bを上受治具22にセットしておき、下受治具21を図示なき昇降機により上昇させて、第3の樹脂部材Cを第2の樹脂部材Bに接触させる。このとき、上受治具22の外周が第2の樹脂部材Bを押圧するように下受治具21を押圧する。同時に図示なき振動発生装置により上受治具22を左右に振動させる。これにより第3の樹脂部材Cと第2の樹脂部材Bの接触面に摩擦熱が発生し樹脂を溶融する。次いで、昇降機により下受治具21を上昇させ第2の樹脂部材Bに第3の樹脂部材Cを押圧して両者を溶着す。
上記のように溶着する溶着方法は、すでに溶着されている第1の樹脂部材Aと第2の樹脂部材Bを第3の樹脂部材Cに溶着するとき、上受治具22の外周が第2の樹脂部材Bを押圧することにより、第2の樹脂部材Bの外周が図4(C)の如く変形し溶着不良を生ずることなく、完全な溶着ができる。
本発明は、前記実施の形態で説明したような樹脂部品を多段に積み重ねて振動溶着する場合に用い、確実に溶着でき、自動車部品、家電部品等に適用することができる。
本発明の振動溶着装置の実施の形態を示す断面図である。 本発明の振動溶着装置の実施の形態の作用を説明するための図である。 従来の振動溶着装置の1例を示す断面図である。 発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
符号の説明
21…下受治具
22…上受治具
23…上受治具ブロック
24…押圧プレート
25,25′…押圧スプリング
26,26′…ガイドブッシュ
A…第1の樹脂部材
B…第2の樹脂部材
C…第3の樹脂部材

Claims (2)

  1. 第1の樹脂部材(A)と、該第1の樹脂部材(A)より大きい第2の樹脂部材(B)と、該第2の樹脂部材(B)と同等又はそれより大きい第3の樹脂部材(C)とを積み重ねて振動溶着するための振動溶着装置であって、
    昇降機と、振動発生装置と、前記昇降機によって上昇または下降される下受治具(21)と、前記振動発生装置により左右に振動される上受治具(22)とを具備してなり、前記下受治具(21)は、前記第3樹脂部材(C)を載置して固定できる大きさを有し、前記上受治具(22)は、第1樹脂部材(A)と平面形状が等しい押圧プレート(24)と、該押圧プレート(24)を前後左右にはガタなく上下には摺動可能な大きさの凹部が形成され、且つ下面が第2樹脂部材(B)を押圧できる大きさを有する上受治具ブロック(23)と、該上受治具ブロック(23)の凹部底面と押圧プレート(24)との間に配置された複数の押圧スプリング(25)と複数のガイドブッシュ(26)とを具備して成ることを特徴とする振動溶着装置。
  2. 第1樹脂部材(A)と、該第1樹脂部材(A)より大きい第2樹脂部材(B)と、該第(2)樹脂部材(B)と同等又はそれより大きい第3樹脂部材(C)とを積み重ねて振動溶着するための振動溶着方法であって、
    請求項1に記載の振動溶着装置を用い、その下受治具(21)に前記第2樹脂部材(B)を固定すると共に、その上に前記第1樹脂部材(A)を載置し、該第1樹脂部材(A)を上受治具(22)により第2樹脂部材(B)に振動溶着する第1工程と、下受治具(21)に前記第3樹脂部材(C)を載置固定すると共に、その上に前記第1樹脂部材(A)を溶着した第2樹脂部材(B)を載置し、該第2樹脂部材(B)を上受治具(22)により第3樹脂部材Cに振動溶着する第2工程とより成ることを特徴とする振動溶着方法。
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