JP2005168330A - アイシング材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水、糖、及び増粘多糖類を含み、水含有量がアイシング材の全質量に対して6〜20質量%であるアイシング材により解決される。また、水相部及び粉体部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、前記水相部の材料を加熱溶解し、前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、均一に混合する製造方法により製造されるアイシング材により解決される。
【選択図】 なし
Description
また、アイシング材としてフォンダンを密封された袋入りのパンや菓子に用いた場合、パンや菓子の水分や袋の雰囲気内の水分によってアイシング材が溶解し、白さが無くなりベトベトしてしまうという問題もある。
このフォンダンの2つの欠点を改良すべく各種代替商品が報告されている。例えば、油脂及び糖を主成分にしたタイプのものが、ベトつきも少なく、白い外観を呈することが報告されているが、このタイプのものは低温では硬く、フォンダンと同様に加熱しなくては絞れず、また味も劣る(特許文献1、特許文献2参照)。また、ベトつきを抑えるためにカルシウム塩類を多量に使用したタイプのものも報告されているが、カルシウム塩類により味が劣るものとなっている(特許文献3参照)。
本発明の目的はまた、フォンダンと同様の美味しさ、食感及び外観を維持しながら、削り、加水、加熱、再加熱等の工程を経ることなく、室温または低温で絞ることが可能な軟らかさを有するアイシング材及びその製造方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、絞った後、時間の経過による透明化(白さの減退)、べとつき等の経時変化が少なく、包装された袋につきにくいアイシング材を提供することである。
本発明はさらに、フォンダンと同様の美味しさ、食感及び外観を維持しながら、絞った後、時間の経過による透明化(白さの減退)、べとつき等の経時変化が少なく、包装された袋につきにくいアイシング材を提供することを目的とする。
本発明はさらに、焼きたてのパン、菓子に絞った状態や、更に高温の保温器に保存した状態でも、糖が溶けたり、透明になったりしないアイシング材を提供することも目的とする。
本発明の目的はさらに、上記特徴を有するアイシング材及びこれを備えたパン等のベーカリー製品、菓子、冷菓類を提供することである。
上記課題はまた、(1)水相部及び粉体部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、均一に混合する、
ことを特徴とするアイシング材の製造方法、または、
(1)水相部、粉体部及び油相部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80:0.2〜8.0であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、
(4)前記油相部の材料を粉体部と水相部の混合物に添加し、均一に混合する、
ことを特徴とするアイシング材の製造方法、
により解決される。
本発明のアイシング材及びその製造方法により、絞った後、時間の経過による透明化(白さの減退)、べとつき等の経時変化が少なく、包装された袋につきにくいアイシング材が得られる。
本発明によりさらに、焼きたてのパン、菓子に絞った状態や、更に高温の保温器に保存した状態でも、糖が溶けたり、透明になったりせず、白い外観を維持できるアイシング材が提供される。
本発明のアイシング材は、水、糖及び増粘多糖類を必須成分として含み、水分量がアイシング材の全質量に対して6〜20質量%、より好ましくは9〜18質量%であることを特徴とする。
本発明においてアイシング材の水分量の測定は、試料約5gを精秤し、常圧乾燥法の乾燥助剤法で測定した。
本発明の好ましい実施態様では、糖として特に、グラニュー糖を微粉砕した粉糖を用いることが好ましい。粉糖を多量に使用することにより、アイシング材の白さや、好ましい食感を維持することができる。具体的には使用する糖のうち、60質量%以上を粉糖として使用することが好ましい。粉糖とは、一般にグラニュー糖を微粉砕したものをいうが、一部にコーンスターチやデキストリンを含有し、通常粉糖と称されるものを全て含む。また、本発明において粉糖の一部を乳糖に変えてもよい。乳糖は、粒度100〜200メッシュ程度のものであることが好ましい。
また、糖のうち一部を水に溶解して用いたり、液糖を用いることにより、アイシング材の粘度を好ましい範囲とすることができる。
ペクチンにはLMペクチンとHMペクチンがあるが、HMペクチンをゲル化させるためには、酸が必要であるため、酸味を有さないプレーンタイプの菓子パン等に適用する場合にはLMペクチンを用いる方が好ましい。また、これらの増粘多糖類の形態は粉末、液状どちらでもよい。
増粘多糖類は、アイシング材全質量に対して0.01〜1.5質量%、好ましくは0.08〜1.0質量%程度添加することが好ましい。
本発明の目的のうち特に、室温で、さらには冷凍庫、冷蔵庫から出した低温状態ですぐに絞ることが可能な軟らかさを有するアイシング材を製造するためには、液体油〜融点37℃程度までの油脂を添加することが好ましい。
また、本発明の目的のうち、絞った後、特に時間の経過による透明化(白さの減退)、べとつき等の経時変化が少なく、包装された袋につきにくいアイシング材を提供するためには、融点37℃〜極度硬化油を使用することが好ましい。
油脂量は、アイシング材全質量に対して0.2〜8.0質量%、好ましくは1.0〜6.0質量%である。
乳製品含有量は好ましくは、アイシング材全質量に対して7.0質量%以下、より好ましくは0.2〜7.0質量%、さらに好ましくは0.3〜3.0質量%である。
乳化剤を添加する場合には、アイシング材全質量に対して、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは0.01〜0.5質量%程度添加する。
本発明において〔フルーツ〕とは一般に食される果実であり、具体的には、ベリー類(ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー等)、柑橘類(オレンジ、みかん、レモン等)、リンゴ、バナナ、ぶどう、杏、梅、プルーン、洋ナシ、桃、クランベリー、チェリー類(アメリカンチェリー、サワーチェリー)、ざくろ、無花果等である。〔飲料〕とは、嗜好性飲料の全てであり、具体的にはコーヒー、紅茶、ココア、緑茶、ウーロン茶、洋酒、日本酒等が挙げられる。〔甘味料〕とは、甘味を呈する全てのものであり、具体的には砂糖、果糖、ぶどう糖、黒糖、メイプルシロップ、蜂蜜等が挙げられる。〔香辛料〕とは、スパイス・ハーブ類であり、具体的には、シナモン、メース、アニス、ミント等が挙げられる。〔あんこ類〕とは、黒あん、白あん等が挙げられる。〔調味料〕とは、一般的に使用する味付け材であり、具体的には、醤油、味噌、酢、各種ソース等が挙げられる。
本発明のアイシング材の製造方法は、
(1)水相部及び粉体部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、均一に混合する、
ことを特徴とする。
(1)水相部、粉体部及び油相部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80:0.2〜8.0であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、
(4)前記油相部の材料を粉体部と水相部の混合物に添加し、均一に混合する、
ことを特徴とする。
その他、上述したアイシング材の成分のうち、カルシウム塩を添加する場合には、ペクチンと接触するように水相部に均一に分散して用いる事が好ましい。また乳化剤を添加する場合には、水溶性乳化剤を使用する場合には水相部に添加することが好ましく、また油溶性の乳化剤を使用する場合には油相部に添加することが好ましい。
粉体部には少なくとも粉糖(乳糖を含む)を含むことが好ましい。乳製品を添加する場合には粉体部に混合して添加することが好ましい。その他、上述したアイシング材の成分のうち、α化デンプンは粉体部の材料として用いる事が好ましい。
油相部の材料としては、上述した油脂が主として挙げられる。
粉体部材料は添加前に良く混合しておくことが好ましい。また、油相部材料も溶解して混合しておくことが好ましい。
さらに、水相部のブリックスを39〜50、より好ましくは42〜45未満に調整することにより、食感及び外観を維持しながら、室温または低温で絞ることが可能な軟らかさを有するアイシング材を得ることができるため、好ましい。
また、前記ブリックスを45〜70、より好ましくは49〜60に調整することにより、絞った後、特に時間の経過による透明化(白さの減退)、べとつき等の経時変化が少なく、包装された袋につきにくいアイシング材を得ることができるため、好ましい。
前記ブリックス範囲は、水相部に例えば、液糖、グラニュー糖を添加し、さらに(2)の工程の後に水分を蒸発させることにより適宜調整することができる。
本発明において、菓子類としては、例えば、バームクーヘン、パウンドケーキ等が挙げられる。また本発明においてベーカリー製品としては、例えば、菓子パン、デニッシュペストリー、スイートロールパン等が挙げられる。冷菓としては、アイスクリーム、ソフトクリームが挙げられる。
表1に記載の原料を用いて、以下の工程によりアイシング材を製造した。
[工程]
1)ヒーター付きニーダーの中に、水、液糖、ペクチンを入れ、攪拌しながら、85℃で5分間加熱溶解した。
2)グラニュー糖を加え、溶けてから、カードラン溶液、水に溶いたクエン酸Caを加え、Bxを45に合わせた。
2)粉体部材料をよく混合し、65℃以下に冷却した2)の水相部に加えた。
3)溶かした油脂を3)に加え、均一に混合した。
4)得られたアイシング材を1晩冷蔵庫で冷却し、冷えた状態で、焼成直後のシナモンロールに15g絞り、蓋付きのバットに入れて約80℃で1時間放置した。
以下のようにアイシング材としてフォンダンを調整した。
1)フォンダンを細かく削り、5%の水を振り入れ、湯せんで60℃以下に加熱しながら、空気を入れないようにゆっくり攪拌して均一の滑らかなクリーム状にした。
2)室温まで冷却してから、実施例1のアイシング材と同様に絞り、蓋付きのバットに入れ80℃で1時間放置した。
アダプター :球 直径1cm
サンプル厚さ :20mm
挿入速度 :300mm/分
挿入深さ :15mm
これに対し、増粘多糖類を全く含まない配合では流動状となって絞れる状態ではなく、80℃で1時間保存後には完全に溶解して流れてしまった(比較例1)。従来のフォンダンは室温においてはかなり硬く、力を入れないと絞れない状態であり、また、パンの上に絞った後80℃に1時間保存後の状態は、溶解して流れ、表面がベトベトしてしまっていた(比較例2)。
表2に記載の原料を用いて、以下の工程によりアイシング材を製造した。
工程
1)ヒーター付きニーダーの中に液糖、水の一部、ペクチンを入れ85℃で5分間加熱し、溶解した。
2)砂糖を加えて溶かし、カードラン溶液、水に溶いたクエン酸Caを添加し、Bxを50に調整した。
3)粉体部材料をよく混合し、65℃以下に冷却した2)に加えた。
4)溶かした油脂を3)に加え、均一に混合した。
5)4)で得られたアイシング材を1晩冷蔵庫で冷却した後、焼成し、室温まで放冷したデニッシュペストリーに絞り、アイシング材が硬くなってから袋に入れ、密封した。
以下のようにアイシング材としてフォンダンを調整した。
1)フォンダンを削り、5%の水を加え、50℃位まで湯煎で加熱しながら空気を入れないようにかき混ぜる。
2)1)で得られたフォンダンクリームを室温まで冷却してから、焼成し、室温まで放冷したデニッシュペストリーに絞り、フォンダンが硬くなってから袋に入れた。
Claims (21)
- 水、糖、及び増粘多糖類を含み、水含有量がアイシング材全質量に対して6〜20質量%であるアイシング材。
- さらに油脂を含む、請求項1記載のアイシング材。
- さらに乳製品を含む、請求項1または2記載のアイシング材。
- 増粘多糖類含有量が、アイシング材全質量に対して0.01〜1.5質量%である、請求項1〜3の何れか一項に記載のアイシング材。
- 油脂含有量が、アイシング材全質量に対して0.2〜8.0質量%である、請求項2〜4の何れか一項に記載のアイシング材。
- 乳製品含有量が、アイシング材全質量に対して0.2〜7.0質量%である、請求項3〜5の何れか一項に記載のアイシング材。
- 増粘多糖類として、ペクチン、寒天、カラギーナン、こんにゃく粉、アルギン酸塩、カードラン、及びプルランからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載のアイシング材。
- 増粘多糖類として、ペクチンおよび/またはカードランを含む、請求項1〜7の何れか一項に記載のアイシング材。
- 増粘多糖類として少なくともペクチンを含む、請求項1〜8の何れか一項に記載のアイシング材。
- 乳製品としてホエイパウダーを含む、請求項3〜9の何れか一項に記載のアイシング材。
- さらに、カルシウム塩を含む、請求項1〜10の何れか一項に記載のアイシング材。
- さらに、乳化剤を含む、請求項1〜11の何れか一項に記載のアイシング材。
- さらに、α化デンプンを含む、請求項1〜12の何れか一項に記載のアイシング材。
- (1)水相部及び粉体部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、均一に混合する、
ことを特徴とするアイシング材の製造方法。 - (1)水相部、粉体部及び油相部からなる原料であって、前記質量比率が18〜35:60〜80:0.2〜8.0であり、前記水相部が水、糖及び増粘多糖類を含み、かつ前記粉体部が少なくとも粉糖を含む前記原料を用意し、
(2)前記水相部の材料を加熱溶解し、
(3)前記粉体部の材料を前記加熱溶解した水相部に混合し、
(4)前記油相部の材料を粉体部と水相部の混合物に添加し、均一に混合する、
ことを特徴とするアイシング材の製造方法。 - 工程(2)の後、工程(3)の前に、水相部のブリックスを39〜70に調整することを特徴とする請求項14または15記載のアイシング材の製造方法。
- 工程(2)の後、工程(3)の前に、水相部のブリックスを39〜50に調整することを特徴とする請求項16記載のアイシング材の製造方法。
- 工程(2)の後、工程(3)の前に、水相部のブリックスを45〜70に調整することを特徴とする請求項16記載のアイシング材の製造方法。
- 請求項1〜13の何れか一項に記載のアイシング材または請求項14〜18の何れか一項に記載の製造方法により製造されるアイシング材を備えたベーカリー製品。
- 請求項1〜13の何れか一項に記載のアイシング材または請求項14〜18の何れか一項に記載の製造方法により製造されるアイシング材を備えた菓子。
- 請求項1〜13の何れか一項に記載のアイシング材または請求項14〜18の何れか一項に記載の製造方法により製造されるアイシング材を備えた冷菓。
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