JP2005166204A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

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哲典 神田
Hideaki Yamanaka
英明 山中
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亮 矢野
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悟 松沼
Norio Ota
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Abstract

【課題】高い静磁気特性で、且つ、記録特性に優れる磁気記録媒体及びそれを備えた磁気記録装置を提供する。
【解決手段】高密度磁気記録媒体として、非磁性基板上に、軟磁性材料により形成された軟磁性裏打ち層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第2格子面間隔制御層、酸化物を含有したCoPtCr合金磁性膜より形成される記録層及び保護層を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は情報の記録再生を行うための磁気記録再生装置に関し、特に高密度記録に適した磁気記録媒体及び磁気記録装置に関する。
情報化社会の発展には目覚しいものがあり、文字情報のみならず音声及び画像情報を高速に処理することができる装置の1つとしてコンピュータ等に装着されている磁気記録装置が知られている。現在は、この磁気記録装置の記録密度を向上させつつ、磁気記録装置を小型化する方向に開発が進められてきている。典型的な磁気記録装置は、複数の磁気ディスクをスピンドル上に回転可能に装着している。各磁気ディスクは、基板とその上に形成された磁性膜からなり、情報の記録は、特定の磁化方向を有する磁区を磁性膜中に形成することにより行われる。従来、記録される磁化の方向は、磁性膜面内であり、面内記録方式と呼ばれている。面内記録方式の磁気記録装置の高密度記録化は、磁性膜の膜厚を薄くし、構成する磁性結晶粒の粒径を微小化させ、且つ、各粒子間の磁気的相互作用を低減させることで達成してきた。しかし、結晶粒の微小化と各粒子間の磁気的相互作用の低減は、記録されたビットを構成する磁化の熱安定性を低下させることが問題となっている。
この問題を緩和するために提案されているのが、垂直磁気記録方式で、これは、記録される磁化の方向を、基板に対して垂直方向にする。その結果、隣接ビット間は、静磁気的に安定で、且つ、記録遷移領域は鋭くなる。さらに記録層と基板の間に軟磁性材料で構成された層(軟磁性裏打ち層)を加えることで、記録時の磁場を急峻にすることができるので、高い磁気異方性をもつ材料への記録が可能になり、磁化の熱安定性が向上するので、より高密度の記録が可能になる。
現在、上述の面内記録方式の記録媒体にはCoPtCr基合金(以降、CoPtCr基合金媒体と称す)が使用されており、垂直磁気記録方式の記録媒体としても同じCoPtCr基合金媒体が主に研究されてきた。この媒体の特徴は、強磁性を有するCo濃度の高い結晶粒とCr濃度が高く非磁性の結晶粒界部からなり、非磁性粒界部によって結晶粒間の磁気的な相互作用を低減する点である。この効果により、高記録密度に必要な媒体の低ノイズ特性を実現してきた。しかし、より高密度記録に対応するためにはさらに結晶粒間の磁気的相互作用を低減させることと同時にビットの磁気的な熱安定性をさらに高めることが要求されており、記録層に酸素を添加し、結晶粒界を酸化させる方法が提案されている。これは、ターゲット中に酸化物を添加する、もしくは、酸素ガス雰囲気中で成膜することにより得られ、記録層の磁性結晶粒が酸化物に囲われたグラニュラー構造をとっており、酸化物を含有するCoPtCr基合金媒体と呼ばれている。酸化物を含有するCoPtCr基合金媒体の場合、酸化物によって結晶粒間の分離を行うことができ、従来のCoPtCr基合金媒体のような加熱による相分離を必要としない。そのため、結晶粒成長を従来よりも抑制でき、微細な結晶粒に制御しやすい特徴がある。酸化物を含有するCoPtCr基合金媒体の技術報告として、例えば文献1がある。非特許文献1では、酸化物を含有するCoPtCr基合金媒体の方が、CoPtCr基合金媒体よりも結晶粒間の磁気的な相互作用を低減しながら結晶磁気異方性を向上させることができるので、従来よりも、高記録密度状態でのS/N比が高く、且つ、ビットの熱安定性を高めることが開示されている。
記録層を形成する酸化物を含有するCoPtCr基膜は六方細密構造(以下hcp構造と称す)をとり、磁化容易軸はc軸([001]方向)方向である。従って、酸化物を含有するCoPtCr基膜を垂直磁気記録用途として用いるためには、記録層の(002)面を配向させ、c軸を膜面に対して垂直方向に配向させる必要がある。該磁化容易軸を膜面垂直方向に配向させるための格子面間隔制御層として、RuもしくはRuを主成分とした合金が用いられている。この理由は、Ruの結晶構造が酸化物を含有するCoPtCr基膜と同じhcp構造であること、記録層の磁化容易軸を垂直方向に配向させるために必要な(002)面を優先配向し易いことによる。しかしながら、Ruは原子半径がCoを主成分とする酸化物を含有するCoPtCr基合金よりも大きく、格子面間隔制御層と記録層の間には面間隔のミスフィットがあり、記録層の結晶性や磁気特性に悪影響を与える問題がある。
該酸化物を含有するCoPtCr基膜の配向性を向上する手段としては、第1の下地層としてCoあるいはCoを主成分とする合金を用い、第1下地層の上に形成される第2の下地層としてRuを用いる方法、あるいは、第1の下地層としてRuを用い、第2の下地層としてCoあるいはCoを主成分とする合金を用いる方法が特許文献1に開示されている。
特開2002−100030号公報 T.Oikawa et.al, IEEE Trans.Magn., vol.38, pp.1976−1978, 2002
しかし我々が検討した結果、第1の下地層としてCoあるいはCoを主成分とする合金を用い、第2の下地層としてRuを用いた場合、第1の下地層の(002)面の優先配向性がRuよりも劣るため、磁気特性の向上は確認されなかった。一方、第1の下地層としてRuを用い、第2の下地層としてCoあるいはCoを主成分とする合金を用いた場合、第2の下地層を非磁性組成で使用すると、第1の下地層と第2の下地層のミスフィットが大きく結晶成長が乱れる問題が生じた。一方、第2の下地層を強磁性組成で使用すると、結晶成長は良好なものの、記録層と第2の下地層が磁気的に結合し、記録再生特性は劣化してしまうことが分かった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決するもので、高い磁気特性を有し、且つ、記録特性に優れた新規磁気記録媒体の製造方法及び媒体を提供することにある。
本発明の第1の様態は、非磁性基板上に、軟磁性材料により形成された軟磁性裏打ち層の順に形成され、RuもしくはRuを主成分とする合金より形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金より形成される第2格子面間隔制御層、残留磁化が膜面内方向より膜面に対して垂直方向の方が大きな酸化物を含有するCoPtCrを主成分とする合金磁性材料で形成される記録層を具備し、磁気特性及び記録特性に優れた垂直磁気記録方式の新規磁気記録媒体を提供する。
我々は、RuあるいはRuを主成分とする格子面間隔制御層と記録層のミスフィットを緩和するべく検討した結果、従来の該格子面間隔制御層を、RuもしくはRuを主成分とする合金より形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金より形成される第2格子面間隔制御層を具備する新規構造にすることにより、記録層と格子面間隔制御層との面間隔のミスフィットを従来よりも緩和することで、記録層の磁気特性を向上させることができることを見出した。
酸化物を含有するCoPtCr基膜の(002)面の面間隔は、該格子面間隔制御層のRuあるいはRuを主成分とする合金の面間隔よりも狭い。これは主成分であるCoの原子半径がRuあるいはRuを主成分とする合金よりも小さい事に起因し、そのためにミスフィットが生じている。そこで、CoもしくはCoを主成分とする合金で形成する中間層を具備する新規構造を用いると、RuもしくはRuを主成分とする合金で形成される該格子面間隔制御層の結晶成長を阻害せず、第2格子面間隔制御層の面間隔を第1格子面間隔制御層よりも小さくすることができることが分かった。その結果、記録層と格子面間隔制御層の面間隔のミスフィットを従来よりも低減できるので結晶成長が良好になり、従来よりも優れた磁気特性を示すことが分かった。
さらに、CoもしくはCoを主成分とする合金層は強磁性を示すため、記録層と軟磁性裏打ち層の間に該元素で形成された中間層は、記録時の記録ヘッドからの磁場を通過させる際の磁路として機能し、従来よりも記録特性を向上させることができる。
非磁性体である第1格子面間隔制御層および第2格子面間隔制御層の膜厚としては、記録ヘッドから軟磁性裏打ち層までの磁気的スペーシングロスを防ぐため、上記ニ層の合計膜厚が、20nm以下であることが望ましい。
中間層は、強磁性体であることが望ましいが、再生時のノイズとなる可能性があるため、第1格子面間隔制御層と第2格子面間隔制御層の合計膜厚の30%未満であることが望ましい。具体的には、膜厚は6nm未満であることが望ましい。
記録層の膜厚としては、磁界勾配が急峻となる条件で記録し、分解能を高めるために20nm以下であることが望ましい。
本発明の磁気記録媒体では、記録層を形成する酸化物を含有したCoPtCr基酸化物膜中の酸化物含有率を5〜20mol%とすることが好ましい。酸化物を含有するCoPtCr基合金磁性膜は、スパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いることにより形成され、この混合比を適宣調節することによりCoPtCr基合金磁性膜中に5〜20mol%の酸化物を分散した状態で導入することができる。あるいは、スパッタガスにはアルゴンを用い、ターゲット中に含まれる酸素量を調節することによりCoPtCr基合金磁性膜中の酸化物含有量を変化させることも可能である。例えば、CoPtCrターゲットとSiOやMgO等のターゲットとの同時スパッタ法を用い得る。5〜20mol%の酸化物を含有するCoPtCr合金磁性膜を用いることにより、磁性結晶粒間の磁気的相互作用を低減させ、低媒体ノイズの媒体を提供することができる。CoPtCr合金磁性膜中の酸化物含有量を5mol%より多くすると、磁性粒子間の分離が進み、磁性粒子間の磁気的相互作用が低減するので、媒体ノイズは低減し始め、酸化物含有量が20mol%を超えると、酸素が磁性結晶粒内に取り込まれ、著しく磁気特性が劣化してしまい、記録層として必要な磁気特性をほとんど示さなくなる。
また、本発明の磁気記録媒体では、酸化物としてSi酸化物もしくはMg酸化物を用いることが好ましい。両者では、微細な結晶粒を得ることが容易であるSi酸化物を用いることが特に望ましい。記録層中にSi酸化物またはMg酸化物を混入させる方法としては、CoPtCrターゲット中に5〜20mol%のSiOやMgOを混入させたターゲットを用いてスパッタする方法がある。この方法では、酸化物含有量の調整が容易であり、形成された薄膜は、CoPtCr基合金磁性結晶粒の周りを酸化物であるSiOやMgOが取り囲む構造になる。
本発明の磁気記録媒体では、軟磁性裏打ち層は、磁気ヘッドを用いて記録層に情報を記録再生するときに、磁気ヘッドから漏れ出した磁束を記録層に集束させる役割を持つ。軟磁性裏打ち層の材料としては、飽和磁化が大きく、保磁力が小さく、且つ、透磁率が高い軟磁性材料が好ましく、それに対応する材料として、例えば、CoTaZr膜などがある。また、この軟磁性裏打ち層の膜厚は、50〜500nmの範囲であることが望ましい。
本発明の第2の様態に従えば、本発明の磁気記録媒体に対して、記録層の膜面に対して垂直方向の磁化を与え、かつ、上記軟磁性裏打ち層の膜面に対して平行方向の磁化を与え、記録層と軟磁性裏打ち層と協同して磁気回路を構成する磁気ヘッドと、該磁気記録媒体を該ヘッドに対して相対的に駆動するための駆動装置とを備えた磁気記録装置が提供される。
本発明の磁気記録媒体によれば、高密度磁気記録媒体として、非磁性基板上に、軟磁性材料により形成された軟磁性裏打ち層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第2格子面間隔制御層、酸化物を含有したCoPtCr合金磁性膜より形成される記録層及び保護層を具備することにより、高い磁気特性と優れた記録特性を両立する高密度記録可能な磁気記録媒体及びそれを備えた磁気記録装置を提供することができる。
以下に、本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
実施例1で作製した磁気ディスクの概略断面図を図1に示す。図1に示すように、磁気ディスク10は、基板1上に、密着層2、軟磁性裏打ち層3、第1格子面間隔制御層4、中間層5、第2格子面間隔制御層6、記録層7、及び保護層8を順次積層した構造を有する。密着層2は、基板1とその上に積層された膜との剥離を防ぐための層であり、軟磁性裏打ち層3は、情報記録の際に記録層に印加される磁場を集束するための層である。第1格子面間隔制御層4、中間層、及び第2格子面間隔制御層6は、記録層7の配向性を向上させるための層である。記録層7は、情報が磁化情報として記録される層であり、その磁化方向は膜面に対して垂直方向となる。保護層8は、基板1上に順次積層された積層膜2〜7を保護するための層である。以下に、この例で作製した磁気ディスクの作製方法を説明する。
基板1には直径2.5インチ(6.5cm)の円板状のガラス基板を用いた。その基板1上に、密着層2としてTi膜を、DCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力500Wとし、ターゲットはTiとした。密着層2の膜厚は5nmとした。
次いで、密着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてCoTaZr膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力400Wとし、ターゲットの組成はCo88Ta10Zr(at%)とした。軟磁性裏打ち層3の膜厚は100nmとした。
次に、軟磁性裏打ち層3上に、第1格子面間隔制御層4としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第1格子面間隔制御層4の膜厚は10nmとした。
次に、第1格子面間隔制御層4上に、中間層5としてCo膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Coターゲットを用いた。中間層5の膜厚は2nmとした。
次に、中間層5上に、第2格子面間隔制御層6としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第2格子面間隔制御層5の膜厚は10nmとした。
さらに、第2格子面間隔制御層6上に、記録層7として酸化物を含有したCoPtCr−SiO合金磁性膜をRFスパッタリングにより形成した。ターゲットの組成はCo74Pt16Cr10(at%)−SiO(CoPtCr:SiO=94:6mol%)とした。スパッタリング条件は、ガス圧2.1Pa、投入電力800Wとした。記録層5の膜厚は16nmとした。
最後に、記録層5上に、保護層6としてアモルファスカーボン膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.20Pa、投入電力300Wとし、保護層6の膜厚は3nmとした。
(比較例1)
比較例1で作製した磁気ディスクの概略断面図を図2に示す。図2に示すように、磁気ディスク10は、基板1上に、密着層2、軟磁性裏打ち層3、格子面間隔制御層9、記録層7、及び保護層8を順次積層した構造を有する。密着層2は、基板1とその上に積層された膜との剥離を防ぐための層であり、軟磁性裏打ち層3は、情報記録の際に記録層に印加される磁場を集束するための層である。格子面間隔制御層9は、記録層7の配向性を向上させるための層である。記録層7は、情報が磁化情報として記録される層であり、記録層7の磁化方向は膜面に対して垂直方向となる。保護層8は、基板1上に順次積層された積層膜2〜9を保護するための層である。以下に、この例で作製した磁気ディスクの作製方法を説明する。
基板1には直径2.5インチ(6.5cm)の円板状のガラス基板を用いた。その基板1上に、密着層2としてTi膜を、DCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力500Wとし、ターゲットはTiとした。密着層2の膜厚は5nmとした。
次いで、密着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてCoTaZr膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力400Wとし、ターゲットの組成はCo88Ta10Zr(at%)とした。軟磁性裏打ち層3の膜厚は100nmとした。
次に、軟磁性裏打ち層3上に、格子面間隔制御層9としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。格子面間隔制御層9の膜厚は20nmとした。
さらに、格子面間隔制御層9上に、記録層7として酸化物を含有したCoPtCr−SiO合金磁性膜をRFスパッタリングにより形成した。ターゲットの組成はCo74Pt16Cr10(at%)−SiO(CoPtCr:SiO=94:6mol%)とした。スパッタリング条件は、ガス圧2.1Pa、投入電力800Wとした。記録層5の膜厚は16nmとした。
最後に、記録層7上に、保護層8としてアモルファスカーボン膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.20Pa、投入電力300Wとし、保護層8の膜厚は3nmとした。
次に、実施例1及び比較例1の磁気特性を極カー効果測定装置及び振動試料型磁力計を用いて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2005166204
表1のように、実施例1の磁気特性が比較例1よりも優れた磁気特性を示した。この原因を調べるために、実施例1及び比較例1のX線回折測定を行った。その結果を図3に示す。
比較例1の場合、Ru(002)面に起因するピークは1つであるのに対し、実施例1の場合、Ru(002)面に起因するピークが2つ観測された。実施例1において、高角側のRu(002)面に起因するピークは第2格子面間隔制御層に対応する。該ピーク位置は、比較例1のRu(002)面に起因するピークの出現角度と比較すると、実施例1の第2格子面間隔制御層に対応するピークは比較例1よりも高角側に出現し、比較例1よりも記録層CoPtCr−SiO2(002)面に起因するピークとの面間隔のミスフィットが低減していることがわかる。
さらに、実施例1と比較例1の配向性に差異があるかを調べるために、ロッキングカーブより記録層の(002)面の△θ50を求めることで、記録層の配向性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2005166204
△θ50の値は、結晶の配向性を反映し、その値が小さいほど配向性が高い。実施例1と比較例1の場合、両者の値に大きな差はなく、記録層の配向性に違いはないことがわかる。
以上の結果より、実施例1と比較例1の磁気特性の違いは、中間層の効果により、第2格子面間隔制御層の面間隔を変化させることで、記録層とのミスフィットを低減したためと解釈することができる。
次に、これらの例で作製した磁気ディスクの保護層上に1nmの厚さの潤滑剤を塗布した後、その磁気ディスクを、図4に示した磁気記録装置60内に装着して記録再生特性を評価した。図4(a)は磁気記録装置60の概略平面図であり、図4(b)は図4(a)中の破線A−A'における磁気記録装置60の概略断面図である。図4(b)に示すように、磁気ディスク10は回転駆動系のスピンドル52に同軸上に取り付けられ、スピンドル52により回転される。
この磁気記録装置60で磁気ディスク10に情報を記録する際には、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッドを用い、情報を再生する際には、巨大磁気抵抗効果を有するスピンバルブ型磁気ヘッドを用いた。記録用の薄膜磁気ヘッド及び再生用のスピンバルブ型磁気ヘッドは一体化されており、図4では磁気ヘッド53として示した。この一体型磁気ヘッド53は磁気ヘッド用駆動系54により制御される。磁気記録装置60の磁気ヘッド面と磁気ディスク面との距離は5nmに保った。
この磁気記録装置60の磁気ヘッド53により、磁気ディスク10の第1記録層5及び第2記録層6の膜面に対して垂直方向の磁化を与え、かつ、軟磁性裏打ち層3の膜面に対して平行方向の磁化を与え、記録層及び軟磁性裏打ち層3と協同して磁気回路を構成することができる。また磁気記録装置60には、この磁気ヘッド53に対して磁気ディスク10を相対的に駆動するための駆動装置54を備えている。
この磁気ディスク10を用いて、線記録密度20kFCIの信号を記録した際の再生出力(Slf)とし、線記録密度800kFCIでのノイズ(Nd)との比を磁気ディスクの記録再生特性(Slf/Nd比)として評価した。表3にSlf/Nd比の測定結果を示す。
Figure 2005166204
実施例1のSlf/Nd比は比較例1よりも優れた記録再生特性を示すことが分かる。これは、比較例1よりも実施例1の磁気特性が向上したことに対応すると考えられる。
(実施例2)
実施例2では、第1格子面間隔制御層4の膜厚を15nm、第2格子面間隔制御層6の膜厚を5nm、とした。それ以外は、実施例1と同様にして作製した。
(実施例3)
実施例3では、中間層5の膜厚を4nmとした。それ以外は、実施例1と同様にして作製した。
(実施例4)
実施例4では、中間層5としてCo90Cr10(at%)膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Co90Cr10(at%)ターゲットを用いた。中間層5の膜厚は2nmとした。それ以外は、実施例1と同様にして作製した。
(実施例5)
実施例5では、中間層5として非磁性組成のCoを主成分とする合金であるCo66Cr33(at%)膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Co66Cr33(at%)ターゲットを用いた。中間層5の膜厚は2nmとした。それ以外は、実施例1と同様にして作製した。
(比較例2)
比較例2では、中間層5の膜厚を6nmとした。それ以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び比較例2を用い、線記録密度20kFCIの信号を記録した際の再生出力(Slf)とし、線記録密度800kFCIでのノイズ(Nd)との比を磁気ディスクの記録再生特性(Slf/Nd比)として評価した。表4にSlf/Nd比の測定結果を示す。
Figure 2005166204
実施例2は、実施例1と同様に優れた記録再生特性を示すことが分かる。実施例3は若干記録再生特性が低下するものの、比較例1より優れており、中間層の効果が効いていることが分かる。実施例4では、Coの代わりに中間層としてCo90Cr10を挿入したが、この場合も、記録再生特性は比較例1よりも向上しており、Coだけでなく、結晶構造がhcp構造であればCoを主成分とする合金でも同様の効果を示すことがわかる。実施例5では、非磁性領域のCoを主成分とした合金であるCo67Cr33を中間層として用いた。比較例1よりも記録再生特性は向上したが、層構造が同じ実施例1や実施例4よりも記録再生特性は劣っている。この理由として、中間層が強磁性体の場合、記録時に磁路として機能して、従来よりも記録特性が向上していることが考えられる。従って、中間層は強磁性組成のCoを主成分とする合金を用いることが望ましい。一方、比較例2では、実施例3よりも劣化しており、比較例1よりも劣化している。これは、中間層は強磁性体で形成した場合、膜厚が厚くなりすぎると、中間層自身がノイズの原因となってしまうためであると解釈することができる。この結果から、中間層の膜厚としては、6nm未満であることが望まれる。
(比較例3)
比較例3で作製した磁気ディスクの概略断面図を図5に示す。図5に示すように、磁気ディスク10は、基板1上に、密着層2、軟磁性裏打ち層3、Co層61、Ru層62、記録層7、及び保護層8を順次積層した構造を有する。密着層2は、基板1とその上に積層された膜との剥離を防ぐための層であり、軟磁性裏打ち層3は、情報記録の際に記録層に印加される磁場を集束するための層である。Co層61、中間層、及びRu層62は、記録層7の配向性を向上させるための層である。記録層7は、情報が磁化情報として記録される層であり、酸化物濃度が膜厚方向に連続的に変化している層で、その磁化方向は膜面に対して垂直方向となる。保護層8は、基板1上に順次積層された積層膜2〜7を保護するための層である。以下に、この例で作製した磁気ディスクの作製方法を説明する。
基板1には直径2.5インチ(6.5cm)の円板状のガラス基板を用いた。その基板1上に、密着層2としてTi膜を、DCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力500Wとし、ターゲットはTiとした。密着層2の膜厚は5nmとした。
次いで、密着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてCoTaZr膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力400Wとし、ターゲットの組成はCo88Ta10Zr(at%)とした。軟磁性裏打ち層3の膜厚は100nmとした。
次に、軟磁性裏打ち層3上に、Co層61をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Coターゲットを用いた。Co層61の膜厚は2nmとした。
次に、Co層61上にRu層62をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。Ru層62の膜厚は20nmとした。
さらに、Ru層62上に、記録層7として酸化物を含有したCoPtCr−SiO合金磁性膜をRFスパッタリングにより形成した。ターゲットの組成はCo74Pt16Cr10(at%)−SiO(CoPtCr:SiO=94:6mol%)とした。スパッタリング条件は、ガス圧2.1Pa、投入電力800Wとした。記録層5の膜厚は16nmとした。
最後に、記録層5上に、保護層6としてアモルファスカーボン膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.20Pa、投入電力300Wとし、保護層6の膜厚は3nmとした。
(比較例4)
比較例4では、以下の記述以外は、比較例3と同様にして作製した。
軟磁性裏打ち層3上に、Ru層62をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。Ru層62の膜厚は20nmとした。
次に、Ru層62上に、Co層61をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Coターゲットを用いた。Co層61の膜厚は2nmとした。
比較例3及び比較例4を用い、線記録密度20kFCIの信号を記録した際の再生出力(Slf)とし、線記録密度800kFCIでのノイズ(Nd)との比を磁気ディスクの記録再生特性(Slf/Nd比)として評価した。表5にSlf/Nd比の測定結果を示す。
Figure 2005166204
比較例3、比較例4共に、記録再生特性は劣化しており、中間層の存在しない比較例1よりも記録再生特性はさらに悪い。この原因を調べるためにX線回折測定を行い、ロッキングカーブより記録層の(002)面の△θ50を求めた。表6にその結果を示す。
Figure 2005166204
Co層61の上にRu層62を積層して用いた比較例3の場合、記録層の配向性が実施例1よりも劣化したため、磁気特性が劣化し、記録再生特性が低下した事がわかった。一方、比較例4の場合、配向性は実施例1とさほど変わらない。従って、記録再生特性が劣化した原因として、強磁性であるCo層61が記録層と磁気的に結合したため、高線記録密度である800kFCIを記録した際には、Co層61が媒体のノイズ源となり、記録再生特性が劣化したと推測している。
(実施例6)
実施例6で作製した磁気ディスクの概略断面図を図1に示す。実施例6では、実施例1と異なり、記録層に添加する酸化物として、MgOを用いた。以下に、この例で作製した磁気ディスクの作製方法を説明する。
基板1には直径2.5インチ(6.5cm)の円板状のガラス基板を用いた。その基板1上に、密着層2としてTi膜を、DCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力500Wとし、ターゲットはTiとした。密着層2の膜厚は5nmとした。
次いで、密着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてCoTaZr膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力400Wとし、ターゲットの組成はCo88Ta10Zr(at%)とした。軟磁性裏打ち層3の膜厚は100nmとした。
次に、軟磁性裏打ち層3上に、第1格子面間隔制御層4としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第1格子面間隔制御層4の膜厚は10nmとした。
次に、第1格子面間隔制御層4上に、中間層5としてCo膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Coターゲットを用いた。中間層5の膜厚は2nmとした。
次に、中間層5上に、第2格子面間隔制御層6としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第2格子面間隔制御層5の膜厚は10nmとした。
さらに、第2格子面間隔制御層6上に、記録層7としてCoPtCr−MgO合金磁性膜をRFスパッタリングにより形成した。ターゲットの組成はCo74Pt16Cr10(at%)−MgO(CoPtCr:MgO=94:6mol%)とした。スパッタリング条件は、ガス圧2.1Pa、投入電力800Wとした。記録層5の膜厚は16nmとした。
最後に、記録層5上に、保護層6としてアモルファスカーボン膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.20Pa、投入電力300Wとし、保護層6の膜厚は3nmとした。
実施例4を用い、線記録密度20kFCIの信号を記録した際の再生出力(Slf)とし、線記録密度800kFCIでのノイズ(Nd)との比を磁気ディスクの記録再生特性(Slf/Nd比)として評価した。表7にSlf/Nd比の測定結果を実施例1の測定結果と共に示す。
Figure 2005166204
実施例5の記録再生特性は、比較例1よりも優れているが、実施例1と比較すると、記録再生特性は劣っていることがわかる。両者の違いを調べるために、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて記録層の平面像を観察した結果、実施例1の平均結晶粒径が7.3nmであるのに対し、実施例5の平均結晶粒径が8.5nmと大きいことがわかった。この粒径の差が、高密度記録時のビット遷移領域でのノイズの差として現れるので、実施例5の方が、記録再生特性が若干劣っていると考えられる。以上の結果より、SiOを酸化物として用いた方が、結晶粒径が微細になることがわかる。
上記実施例では、磁気ディスクの記録層として酸化物を含有するCoPtCr合金磁性膜を用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されない。酸化物を含有するCoPtCr合金磁性膜は結晶質であって、結晶粒内にCoを主成分とする合金、粒子間に酸化物を含む構造をしているので、結晶質であるCo合金においては、六方最密充填構造をとる限りにおいて、Cr及びPt以外に、Ta、Nb、Ti、Si、B、Pd、V、Mg、Gd等の元素、またはそれらの組み合わせを含んでいても良い。
上記実施例では、中間層としてCo及びCo90Cr10を用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されない。六方最密充填構造をとる限りにおいて、Cr以外に、Ru、Ta、Nb、Ti、Si、B、Pd、V、Mg、Gd等の元素、またはそれらの組み合わせを含んでいても良い。
上記実施例では、格子面間隔制御層としてRuを用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されない。六方最密充填構造をとる限りにおいて、Cr、Co、Ta、Nb、Ti、Si、B、Pd、V、Mg、Gd等の元素、またはそれらの組み合わせを含んでいても良い。
上記実施例では、磁気ディスクの基板材料としてガラスを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。場合によっては、アルミニウム、ポリカーボネードなどのプラスチック、あるいは、樹脂等を用いても良い。
又、この技術は磁気ディスクのみではなく、テープ媒体にも適用可能な技術である。以下に、本技術をテープに適用した実施例を示す。
(実施例7)
実施例7で作製した磁気テープの概略断面図を図6に示す。図6に示すように、磁気テープ20は、厚さ3μmのベースフィルム11上に、密着層2、軟磁性裏打ち層3、第1格子面間隔制御層4、中間層5、第2格子面間隔制御層6、記録層7、及び保護層8を順次積層した構造を有する。密着層2は、ベースフィルム11とその上に積層された膜との剥離を防ぐための層であり、軟磁性裏打ち層3は、情報記録の際に記録層に印加される磁場を集束するための層である。第1格子面間隔制御層4、中間層5、及び第2格子面間隔制御層6は、記録層7の配向性を向上させるための層である。記録層7は、情報が磁化情報として記録される層であり、酸化物濃度が膜厚方向に連続的に変化している層で、その磁化方向は膜面に対して垂直方向となる。保護層8は、ベースフィルム11上に順次積層された積層膜2〜5を保護するための層である。以下に、この例で作製した磁気テープの作製方法を説明する。
ベースフィルム11には厚さ3μmのPENフィルムを用いた。そのベースフィルム1上に、密着層2としてTi膜を、DCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力500Wとし、ターゲットはTiとした。密着層2の膜厚は5nmとした。
次いで、密着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてCoTaZr膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.28Pa、投入電力400Wとし、ターゲットの組成はCo88Ta10Zr(at%)とした。軟磁性裏打ち層3の膜厚は100nmとした。
次に、軟磁性裏打ち層3上に、第1格子面間隔制御層4としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第1格子面間隔制御層4の膜厚は10nmとした。
次に、第1格子面間隔制御層4上に、中間層5としてCo膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.65Pa、投入電力500Wとし、Coターゲットを用いた。中間層5の膜厚は2nmとした。
次に、中間層5上に、第2格子面間隔制御層6としてRu膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧1.3Pa、投入電力200Wとし、Ruターゲットを用いた。第2格子面間隔制御層5の膜厚は10nmとした。
さらに、第2格子面間隔制御層6上に、記録層7として酸化物を含有したCoPtCr−SiO合金磁性膜をRFスパッタリングにより形成した。ターゲットの組成はCo74Pt16Cr10(at%)−SiO(CoPtCr:SiO=94:6mol%)とした。スパッタリング条件は、ガス圧2.1Pa、投入電力800Wとした。記録層5の膜厚は16nmとした。
最後に、記録層5上に、保護層6としてアモルファスカーボン膜をDCスパッタリングにより形成した。スパッタリング条件は、ガス圧0.20Pa、投入電力300Wとし、保護層6の膜厚は3nmとした。
さらに、上記記録層が形成される側の裏面に、バックコート層12としてバックコート塗料を塗布した。
実施例7の磁気テープに対して、10TBテープの容量に相当する5Gbit/inch(500kFCI、9.8kTPI)に相当する信号を記録してそのS/N比を評価したところ、26.1dBとシステムが要求する記録再生特性を示した。
以上の実施例では、磁気ディスクもしくは磁気テープの軟磁性裏打ち層としてCoTaZr膜を設けた例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。軟磁性裏打ち層としては、FeTaC、FeTaN、FeAlSi、FeC、CoB、CoTaNb、NiFe、あるいは、それらの軟磁性膜とC膜の積層膜であっても良い。ただ、CoTaZr膜はもっとも望ましい。
上記実施例では、記録層として酸化物を含有したCoPtCr合金磁性膜を形成する際、CoPtCr合金ターゲットと酸化物ターゲットの同時成膜法を用いることにより、記録層中の酸化物の含有量を調整した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。酸化物を含まないターゲットに対して酸化物とアルゴンの混合ガスを用いてスパッタを行い記録層中の酸素の含有量を調整しても良いし、また、スパッタガスとして酸化物とアルゴンの混合ガスを用い、さらに、CoPtCr合金に酸素を混入したターゲットを用いてスパッタすることにより記録層中の酸化物の含有量を調整しても良い。
上記実施例では、基板上に下地層及び記録層を積層した磁気ディスク及び磁気テープについて説明したが、本発明はこれに限定されない。下地層自体に記録層を支持する機能を有する場合には、基板を備えなくても良い場合がある。
実施例1の磁気ディスクの断面構造を示す概略図である。 比較例1の磁気ディスクの断面構造を示す概略図である。 実施例1及び比較例1のX線回折測定結果を示すグラフ図である。 本発明で作製した磁気ディスクを備えた磁気記録装置の概略図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)中のA−A'断面図である。 比較例3の磁気ディスクの断面構造を示す概略図である。 実施例7の磁気テープの断面構造を示す概略図である。
符号の説明
1 基板
2 密着層
3 軟磁性裏打ち層
4 第1格子面間隔制御層
5 中間層
6 第2格子面間隔制御層
7 記録層
8 保護層
9 格子面間隔制御層
10 磁気ディスク
11 ベースフィルム
12 バックコート層
20 磁気テープ
60 磁気記録装置
52 スピンドル
53 磁気ヘッド
54 磁気ヘッド駆動系
61 Co層
62 Ru層

Claims (7)

  1. 記録層が酸化物を含有するCoPtCrを主成分とする合金磁性材料であって、残留磁化が膜面内方向より膜面に対して垂直方向の方が大きい垂直磁気記録方式の記録媒体において、非磁性基板上に、軟磁性材料により形成された軟磁性裏打ち層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第2格子面間隔制御層、記録層の順に具備し、かつ、該中間層の膜厚が6nm未満であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 該中間層が、強磁性体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 該記録層中の酸化物含有率は、5〜20mol%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  4. 該記録層中の酸化物がSi酸化物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 該記録層の厚さが20nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 記録層が酸化物を含有するCoPtCrを主成分とする合金磁性材料であって、残留磁化が膜面内方向より膜面に対して垂直方向の方が大きい垂直磁気記録方式の記録媒体において、非磁性基板上に、軟磁性材料により形成された軟磁性裏打ち層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第1格子面間隔制御層、CoもしくはCoを主成分とする合金により形成される中間層、RuもしくはRuを主成分とする合金により形成される第2格子面間隔制御層、記録層の順に具備し、かつ、該中間層の膜厚が、該第1格子面間隔制御層と該第2格子面間隔制御層の合計膜厚の30%未満であることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 請求項1記載の磁気記録媒体に対して、上記記録層の膜面に対して垂直方向の磁化を与え、磁気ヘッドと、上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対して相対的に駆動するための駆動装置とを備えた垂直磁気記録方式の磁気記録装置。

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