JP2005164031A - 可撓性排水管 - Google Patents

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Abstract

【課題】山部と谷部とを交互に有する蛇腹状の外管と、該外管の谷部に押出時融着されてなる直状の内管とを備えてなる合成樹脂製の可撓性排水管において、内管が小径かつ厚肉であっても、可撓性を確保でき、しかも、同時押出成形性も良好である可撓性排水管を提供すること。
【解決手段】山部12と谷部14とを交互に有する蛇腹状の外管16と、該外管16の谷部14に同時押出の際、融着されてなる直状の内管18とを備えた合成樹脂製の可撓性排水管。内管18の内径(口径):30〜100mm、肉厚:0.8〜1.2mmである。また、外管16は、高密度PE等の硬質合成樹脂で形成され、内管はオレフィン系等の熱可塑性エラストマー(TPE)で形成されている。材料流動性(MFR)において硬質合成樹脂がTPEより良好なものを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内管と蛇腹状の外管とを有する可撓性排水管に関し、特に、住宅における屋内の流し、浴室、トイレ等から屋外の汚水マスに導くのに好適な可撓性排水管(廃水管)に関する。
住宅の排水管(廃水管)の径は、一般的に、1)台所、2)洗面所、3)洗濯機、4)浴室におけるものは口径(内径)50mm、5)トイレにおけるものは口径(内径)75mmとされており、一般の土中配管に比して小径であり、内管も通常1mm前後の肉厚が要求される。内管に1mm前後以上の肉厚が要求されるのは、排水管は一般に20〜30年の耐久性
が要求されるとともに、硬質の異物が排水ともに通過することがあるためである。なお、トイレにおける排水管の径が大きいのは汚物を流すのに一度に大量の水を流す必要があるためである。
排水管は床下に配設するが他部材と干渉した場合(荷重が作用した場合)の形態保持、さらには、土中やコンクリート埋設部分も有するため、通常、強度が得やすく、且つ、汎用性に富む、いわゆる硬質塩ビパイプ(可塑剤含量10phr以下である硬質ポリ塩化ビニル製の)を使用していた。
しかし、配管に際して、通常、曲がり部や接続部において、エルボ接続やチーズ接続をする必要があり、配管工数が嵩む。
このため、エルボ接続やチーズ接続を廃するために略自由に曲げることができる可撓性排水管を使用することが考えられる。そして、可撓性排水管として自在に曲がるものは、上記使用に耐える強度において充分ではない。このため、軟質合成樹脂製の可撓性チューブ(内筒部)の外側を帯状補強材(実質的に鉤型断面を形成する固着部とカバー部とからなる硬質合成樹脂製のもの。)をスパイラル状に巻きつけた構成の外面スパイラル蛇腹状のホース本体が提案されている(特許文献1・2・3等参照)。
さらに、特許文献3においては、軟質合成樹脂製の内筒部と、硬質合成樹脂製の外周凹溝が断続的である蛇腹状とされた外筒部とを備えた排水管(ホース本体)が提案されている(特許文献3)。そして、同文献(0037)には、「ホース本体7の製造は、外筒部9における波形の底部9bの内周面に対して、内筒部を形成するように、内周部形成素材である筒状ポリエチレン製チューブを、軟化させて膨らませつつ、内筒部8を外周部9に溶着させて、ホース本体7を製造している。」と記載されている。また、同文献(0034)には、実施形態は、脱塩素化(脱PVC)の見地から、内筒・外筒部をともにポリエチレン製としており、さらに、内筒としてポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の使用を示唆している。
しかし、上記製造方法は、別体に押出後、内管を膨らまして溶着させるものであり、製造工数が嵩んだ(同文献第0037段落参照)。
そこで、特許文献4の如く、合成樹脂製の波形二重管を同時押出して、外壁の樹脂層を波形筒状に押出方向に移動する成形型で成形する方法を使用することが考えられる(同文献第2頁左柱15〜20行参照)。
そして、同文献4には、波形二重管(可撓性排水管)は、外壁が密度0.95以上の高密度PEで、内壁が密度法による結晶化度が24〜37%のエチレンとαオレフィンとの共重合体で形成した構成と記載されている(同請求項1等参照)。
ここで、結晶化度が24〜37%のエチレンとαオレフィンとの共重合体は、ポリエチレンの1種である超低密度ポリエチレンの概念に含まれるものである。
なお、実施例における記載(同第3頁左柱46〜47行)において「密度法による結晶化度が31%のエチレンとαオレフィンとの共重合体(超低密度ポリエチレン)」と記載されている。また、超低密度ポリエチレンは、通常、中・低圧法で、α−オレフィンを共重合させて、短鎖分岐を導入して製造するものであり、(実用プラスチック辞典編集委員会編「実用プラスチック辞典」(1994-1-5)産業調査会、p.4表1−2参照)、また、線状PEの結晶化度は、通常、約25〜75vol%である(三田達監訳「MARUZEN 高分子大辞典」(平6−9−20)丸善、p106参照)。
なお、本文献に合成樹脂製波形二重管は、土中埋設管を予定しており、本発明において適用しようとする可撓性排水管より大口径を予定している。すなわち、本発明における可撓性排水管は内径100mm以下(望ましくは80mm未満)を予定しているのに対し、本文献に土中配管は、小さい側でも大口径(内径)80〜200mmであり、しかも、薄肉:0.3〜0.5mmである。
したがって、上記の如く、小口径で内径厚肉(0.8〜1.2mm)の住宅用排水管に適用しようとした場合、充分な屈曲性を得難いことが予測される。すなわち、蛇腹状外管の内側を連結する可撓性内管の外管との接合部間(外管の谷底部間)における伸縮許容度が小さくなるためと推定される。
実用新案登録第3064344号公報((0022)、(図1)等参照) 特開平11−37378号公報((0023)、(図1)等参照) 特開2001−349477号公報((0065)〜(0067)、(図7)、(図8)等及び〜(0037)、(図1)、(図3)等参照) 特許第3058891号公報(請求項1、同第3頁33行、同頁第1柱46〜47行等参照)。
本発明は、上記にかんがみて、山部と谷部とを交互に有する蛇腹状の外管と、該外管の谷部に押出時融着されてなる直状の内管とを備えてなる合成樹脂製の可撓性排水管において、内管が小径かつ厚肉であっても、可撓性を確保でき、しかも、同時押出成形性も良好である可撓性排水管を提供することを目的(課題)とする。
本発明者らは、外管の材料流れを内管のそれより良好にすることにより、同温度において、外管の内側当接部の押出速度を、内管の押出速度と同調させ易く、結果的に同時押出(二色押出)における実用的な結合強度が得られる溶融接着が可能になることを見出して、本発明に想到した。
より具体的には、外管材料として高密度PEを使用した場合、内管材料として接着性及び押出性等の見地から躊躇されていたTPOを使用しても(特許文献4第1頁右柱14行〜第2頁左柱第3行参照)、実用的な接着性及び押出性の確保が期待できることに着目して、本発明の可撓性排水管(廃水管)に想到した。
例えば、蛇腹管となる外管は、ひだを採る必要があるため、押出ダイ位置における押出速度を、内管に比して高速にする必要がある(例えば、外管は内管の3倍)。そして、TPOは、相対的に材料流れ(MFR)が良好でなく、高密度PEのうち、材料流れが良好なタイプを選択すればよいことを見出して、下記構成の本発明に想到した。
山部と谷部とを交互に有する蛇腹状の外管と、該外管の谷部に融着されてなる直状の内管とを備えてなる合成樹脂製の可撓性排水管であって、
内管の内径(口径):30〜100mm、肉厚:0.8〜1.2mmであり、
外管が硬質合成樹脂で形成され、内管が熱可塑性エラストマー(TPE)で形成されてなり、
材料流動性(MFR)において硬質合成樹脂がTPEより良好なものであることを特徴とする。
上記構成の可撓性排水管は、通常、外管を高密度ポリエチレン(HDPE)で形成し、内管をポリオレフィン系TPE(TPO)で形成することが望ましい。
また、HDPEのMFR(JIS K7210:190℃、21.8N)1.5〜6.0g/1
0minとし、内管のMFR(JIS K7210:230℃、21.8N)3.0g/10min以下とする。
通常、外管を形成するHDPEとしては、JIS K 6922(付属書)に規定する「PE成形材料3種3類」とする。
また、TPOとしては、曲げ弾性率(JIS K 7171)約50〜230MPaのものを使用することが望ましい。
さらに、内管を形成するTPOを、動的加硫タイプとすることもできる。
上記各構成の可撓性排水管は、下記方法により製造することが望ましい。
内管押出層及び外管押出層を同時押出後、外管層を分割コルゲータで賦形した後、先端部に複数のエア噴出し孔を所定幅で均等に備えた先端有底の筒状マンドレルからエアで内管押出層を拡径させながら外管と内管とを融着させることを特徴とする。
上記製造方法において、外管押出層の分割コルゲータによる蛇腹状の賦形を、ドレイプ成形(真空成形の一種)により行なうことが望ましい。蛇腹状の賦形性(型再現性)が安定する。
さらに、内管押出層を、外管押出層との融着位置まで、内管押出層が前記外管押出層に対して融着可能な温度に前記内管押出層の外面を保温維持することが望ましい。内管押出層を外管押出層より薄肉にした場合において、内管と外管の間の安定した熱融着性を確保し易くなる。
前記保温維持は、通常、筒状マンドレルの内側に配された筒状面状発熱体で行う。
以下、本発明を、実施形態に基づいて、詳細に説明する。
図1に本発明の蛇腹二重管である合成樹脂製の可撓性排水管の部分断面図を示す。
本可撓性排水管は、山部12と谷部14とを交互に有する蛇腹状の外管16と、該外管16の谷部14に押出時融着されてなる直状の内管18とを備えてなることを前提とする。
そして、通常、内管の内径(口径):30〜120mm、肉厚:0.8〜1.2mmのものに適用するが、口径:40〜80mmの排水管に適用することが、本発明の効果(可撓性:曲げ自在性)が顕著となり望ましい。小径過ぎると排水管の可撓性(二重管曲げ自在性)を確保し難く、大径であると、本発明の構成としなくても、排水管の可撓性を確保可能となる技術が存在する。
なお、外管16の外側径は、内管18の口径により異なるが、通常、口径の1.1〜1
.5倍(望ましくは、1.2倍前後)で、50〜120mmとする。省スペース化の見地からは、二重管自在性を確保できる範囲内で、外管16の外側径は可及的に小径であることが望ましい。
また、外管16の肉厚は、賦形時(成形時)に伸ばされたり圧縮されたりするため、山部12と谷部(谷底部)14及びそれらの連結部13でそれぞれ異なるが、押出肉厚で、内管より若干薄肉の0.5〜1mmとしてもよいが、安定した強度が要求される場合は若干厚肉の1.0〜1.5mmとする。
本発明では、小口径の蛇腹二重管を予定しているため、強度を確保し易い。このため相対的に外管の薄肉化が可能となる。そして、外管は、材料節減、重量軽減の見地、さらには、接着性の見地から、要求強度確保(プロテクター作用を奏する)の範囲内で可及的に薄肉であることが望ましい。
ここで、外管16と内管18の接合部(外管谷部14内面と内管18外周面)の融着長さは(外管谷底部結合長さ)、0.5〜2mm(望ましくは1〜2mm)とする。融着長さが短すぎると、外管16と内管18の間に実用に耐える結合強度を得難く、逆に長すぎると、管自在性を得難くなる。なお、配管前においては(運搬途中及び直線部)においては実用的な結合強度を有し、配管時の曲げ加工部において、結合が解除されるような結合強度とすることも可能である。この場合は、融着長さを短く1mm未満とすることが望ましい。
そして、本実施形態では、外管16を硬質合成樹脂で形成し、内管18を、該硬質合成樹脂と押出時融着可能な熱可塑性エラストマー(TPE)で形成し、材料流動性(MFR)において硬質合成樹脂がTPEより良好なものとする。
ここで、TPEとは、「加熱すれば流動して通常の熱可塑性プラスチックと同様の成形加工ができ、常温ではゴム状弾性を示すものをいう。」(「プラスチックス 第54巻第3号」工業調査会、2003年3月1日、第1頁参照)。そして、ゴム状弾性とは、通常、室温で伸ばすと2倍以上に伸び、外力を取り除くと瞬間的に元の形に戻る高分子物質をいう(「化学辞典」東京化学同人、1994、p189)。
すなわち、エラストマーは、通常の軟質合成樹脂と異なり、弾性伸縮が可能であるため、蛇腹状外管の谷部間が接合されても、外管の蛇腹状に起因する管自在性を低減させる作用が小さく、内管を厚肉とすることも可能となる。
そして、材料流動性(MFR)において硬質合成樹脂がTPEより良好なものとすることにより、押出外管を蛇腹状に賦形するときの移動速度と、内管の押出速度(移動速度)とを同調させ易くなる。すなわち、押出外管は蛇腹状に賦形するために、ひだ(襞:プリーツ)を取る必要があるため、蛇腹状に賦形時の外管移動速度は、内管のそれに比して遅れる。このため、外管の押出ダイ位置での移動速度(押出速度)が、内管の押出速度に比して速い方が、外管16と内管18の融着時の同調が容易となる。
ここで、硬質合成樹脂と熱可塑性エラストマー(TPE)の組み合わせは、種々考えられるが、通常、脱PVCの見地から、外管を高密度ポリエチレン(HDPE)で形成し、内管をポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)で形成することが望ましい。これらの合成樹脂は、密度(g/cm3)が相対的に小さく、製品の軽量化にも寄与する。
例えば、HDPE:0.941〜0.965、TPO:0.88〜0.89である。
そして、外管を形成するHDPEとして、MFR(JIS K7210:190℃、21.8N
)1.5〜6.0g/10min(望ましくは3.0〜6.0g/10min)のものを、内管を形成するTPOとして、MFR(JIS K7210:230℃、21.8N)3.0g/10min以下(望ましくは1.0〜2.0g/10min)のものを、それぞれ好適に使用できる。
ここで、外管と内管の融着性の見地からは、MFRが高い(材料流れ性が良好である。)ことが望ましいが、MFRは通常分子量に反比例するため、外管に所定の強度(耐土圧性、耐荷重性)を確保し難くなる。
より具体的には、HDPEとして、JIS K 6922(付属書)に規定する「PE成形材料3種3類」を使用可能である。
また、TPOとしては、具体的には、下記各社から製造販売されている押出グレードのものを使用できる。
出光社製・・・「IDEMITU TPO R110E」:MFR 1.5g/10min、
曲げ弾性率 58MPa
「IDEMITU TPO T310E」:MFR 1.5g/10min、
曲げ弾性率 110MPa、
三井化学社製・「ミラストマーM2400B」:MFR 1g/10min以下、
曲げ弾性率 210MPa
なお、上記各TPOの特性は、前者は、下記URLの「IDEMITU TPO 主要グレード物性一覧 軟質タイプ」(2003年10月8日検索)から、また、後者は、「プラスチックス 3月号3月1日」からそれぞれ引用したものである。
URL:http://www.ipc.idemitu.co.jp/ipchome/IPC/ipc-sales/tpdata01.htm、
さらに、内管を形成するTPOを、動的加硫タイプとすることが望ましい。動的加硫タイプ(架橋タイプ)とすることにより、曲げ弾性率(機械的特性)が高くなり、管自在性が低下するおそれがあるが、ゴム的特性が増大するとともに、耐熱性、耐老化性が向上する。動的加硫タイプとしては、前述の「ミラストマーM2400B」を挙げることができる。
また、曲げ弾性率(JIS K 7171)50MPa以上250MPa未満を示す熱可塑性エラストマー(TPO)で形成する。
管自在性の見地からは、曲げ弾性率が低い方が望ましく、高度の管自在性が要求される場合は、50MPa以上150MPa未満(望ましくは55〜120MPa)のTPOを使用する。また、余り自在性が要求されない場合は、曲げ弾性率150〜250MPa(望ましくは190〜230MPa)のTPOを使用する。
なお、曲げ弾性率が低すぎると、内管における内面平滑度を確保し難くなり、曲げ弾性率が高過ぎると、実用的な管自在性を得難くなる。
次に、本実施形態の可撓性排水管は、例えば、下記のような方法により製造する。外管肉厚を内管肉厚より薄く設定した場合について、先ず説明する。
外管押出層16A及び内管押出層18Aを、二色押出ヘッド20に取付けられた押出ダイ22から、同時押出する。
そして、外管押出層16Aを、内側から筒状の受けマンドレル23で支持しながら、分割コルゲータ(図例では4個)24で、蛇腹状(波状)に賦形して外管16とする。
続いて、先端部に複数のエア噴出し孔(熱風噴出し孔)26aを所定幅で均等に備え
た先端有底のエア吹き出しマンドレル26から内管押出層18Aを拡径(インフレート:膨張)させながら、外管16と内管18との押出融着を行う。
ここで、押出温度は、外管・内管とで変えてもよいが、通常、外管:HDPE、内管:TPOの場合、150〜200℃とする。
押出温度が低すぎると外管押出層(賦形後の)16Aと内管押出層18Aとの間に熱融着性を確保し難くなる。また、温度が高過ぎると、高分子の熱劣化のおそれがあるとともに、外管押出層にダレが発生しやすくなり、均等な賦形(蛇腹状)が困難となる。また、押出速度が遅すぎると、生産性が良好でなく、押出速度が速すぎると、融着性に問題が発生しやすくなる。また、押出速度は、例えば、1〜2m/minとする。そして、押出口から融着部位までの距離は0.5〜1mあり、押出材料が融着部位に到達するまでの時間が15〜60秒かかる。したがって、押出層が薄肉(材料によるが、例えば、1mm以下)であると融着部位に到達するまでに材料が冷却されて融着性が安定しない。
なお、分割コルゲータ24の非賦形側においては、分割コルゲータ24の賦形面を冷風で冷やしてもよい。このとき、受けマンドレル23の表面側を面状電熱ヒータで形成する構成として、外管押出層16Aの賦形後の谷底部、さらには、内管押出層18Aの外周面を加熱してもよい。安定した融着性を確保するためである。なお、マンドレル内部に送るエアは、通常、融着性を確保するため熱風(60〜100℃)とすることが望ましいが、上記のごとく、外管押出層16Aの賦形後谷底部さらには内管押出層18Aの外周面を加熱する場合は、常温エア又は冷風とすることもできる。
次に、内管押出層肉厚を外管押出層肉厚より薄く設定する場合の製造方法について説明する。
基本的には、上記が外管押出層肉厚を内管押出層肉厚より薄く設定する場合と同様であるが、外管押出層16Aが厚いため、雄型により蛇腹状に大略賦形後、真空を用いて細部の成形を行なういわゆるドレイプ成形(真空成形の一種)が望ましい。
図4〜5にドレイプ成形のため賦形ブロック25(分割コルゲータ24の分割賦形部の構成要素となる。)の横断面図(背面省略)及び縦断面図を示す。図例は上下2分割タイプとしたが図3の如く、4分割、さらには3分割タイプでもよい。各賦形ブロック25は吸引孔25aを備えたものである。図例では、賦形ブロック25の吸引孔25a及び賦形波25bの数及びはモデル的に表示してあるが、実際は、吸引孔25aの数及び径はそれぞれ8〜12およびφ0.1mm以下とする、また、賦形波の数は8〜12とする。
ここで、受けマンドレル23の内面側にフィルム状電熱ヒータ(図示せず)を配して、上記とは逆に内管押出層16Aの外周面を加熱する構成が望ましい。内管押出層18Aの肉厚が薄いと押出部位から融着部位に至るまでに内管押出層18Aが冷却されて、融着安定性に欠けるおそれがある。
なお、前述の如く、外管押出層16Aの賦形後谷底部の内側も加熱してもよいが、賦形形状(蛇腹形状)の変形が発生しない温度に制御する必要がある。
こうして製造した蛇腹二重管は、自在可撓性を有するため、図6に示すような、住宅内の生活排水を一箇所に集めて屋外に排出できる、集中ユニット排水システムに好適に使用できる。すなわち、従来、別々に生活排水を屋外に排出していたため、それぞれ排水マスが必要だった。しかし、このシステムでは、各場所から可撓性排水管30をつないで、床下に設置した集中排水マス32に排水を集めて、屋外の排水ピット34に排出するため、地中に埋めこむ排水配管36も一本で済む。なお、このとき、蛇腹二重管の接続は、特許文献3に記載の慣用の方法で可能である。
また、マンション等の集合住宅においては、各戸からの排水を、エルボ、チーズ等の曲がり部材を使用せずに共用排水主管に接続できる。したがって、従来の塩化ビニル管を使用する場合における問題点、例えば、火災時の有害ガスの発生、及びリサイクルが困難等の問題点が発生しない。
本発明の可撓性排水管である蛇腹状二重管の一例を示す部分断面図である。 図1の可撓性排水管の製造に製造装置の一例を示す概略断面図である。 分割コルゲータと押出ダイとの位置関係を示す断面図である。 外管の賦形をドレイプ成形により行う場合に使用する分割コルゲータの賦形部構成体である賦形ブロックのモデル横断面図である。 同じくモデル縦部分断面図である。 本発明の可撓性排水管を適用する集中排水システム図である。
符号の説明
12 外管の山部
14 外管の谷部
16 外管
18 内管

Claims (10)

  1. 山部と谷部とを交互に有する蛇腹状の外管と、該外管の谷部に融着されてなる直状の内管とを備えてなる合成樹脂製の可撓性排水管であって、
    前記内管の内径(口径):30〜100mm、肉厚:0.8〜1.2mmであり、
    前記外管が硬質合成樹脂で形成され、前記内管がTPEで形成されてなり、材料流動性において前記硬質合成樹脂が前記TPEより良好なものであることを特徴とする可撓性排水管。
  2. 前記外管が高密度ポリエチレン(HDPE)で形成され、内管がポリオレフィン系TPE(TPO)で形成されていることを特徴とする請求項1記載の可撓性排水管。
  3. 前記HDPEのMFR(JIS K7210:190℃、21.8N)1.5〜6.0g/10minとし、前記TPOのMFR(JIS K7210:230℃、21.8N)3.0g/10min以下とすることを特徴とする請求項2記載の可撓性排水管。
  4. 前記HDPEがJIS K 6922(付属書)に規定する「PE成形材料3種3類」であることを特徴とする請求項3記載の可撓性排水管。
  5. 前記TPOが、曲げ弾性率(JIS K 7171)約50〜230MPaを示すものであることを特徴とする請求項2、3又は4記載の可撓性排水管。
  6. 前記内管を形成するTPOが、動的加硫タイプであることを特徴とする請求項5記載の可撓性排水管。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の可撓性排水管の製造方法であって、内管押出層及び外管押出層を同時押出後、外管層を分割コルゲータで賦形した後、先端部に複数のエア噴出し孔を所定幅で均等に備えた先端有底の筒状マンドレルからエアで内管押出層を拡径させながら前記外管と前記内管とを融着結合させることを特徴とする可撓性排水管の製造方法。
  8. 前記外管押出層の分割コルゲータによる蛇腹状の賦形を、ドレイプ成形により行なうことを特徴とする請求項7記載の可撓性排水管の製造方法。
  9. 前記内管押出層を、前記外管押出層との融着位置まで、前記内管押出層が前記外管押出層に対して融着可能な温度に前記内管押出層の外面を保温維持することを特徴とする請求項8記載の可撓性排水管の製造方法。
  10. 前記保温維持を、前記筒状マンドレルと同心的に配された筒状面状発熱体で行うことを特徴とする請求項9記載の可撓性排水管の製造方法。
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