JP2005163405A - 浴室用床構成部材 - Google Patents

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【課題】 滑り止め効果と浴室使用後の床の乾燥性能に優れる浴室用床構成部材を提供する。
【解決手段】 水玉を破壊する複数個の凹部を床表面に形成するか、平坦部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を配設するか、凸面部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を配設してなる浴室用床構成部材。平坦部又は凸面部が撥水性を示すものであってもよい。浴室用床構成部材の表面には親水性処理を施してもよい。浴室用床構成部材の表面5に凹部6が多数配設されている。浴室使用後の残存する水玉が効果的に破壊され、床の乾燥時間が短縮される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マンションや一般住宅等に設置される浴室ユニットの床又は防水パンとして使用されるのに好適な浴室用床構成部材に関する。
マンションなどの集合住宅や一般住宅等には防水性を有するFRP等で形成された床を使用する浴室ユニットが設置される場合が多い。FRP等で形成された床は滑り易く乾燥性能も悪いため、表面に滑り止め効果を出すための岩肌調の凹凸と排水のための目地を形成しているものがあるが、水玉の表面張力で目地部や岩肌部に大きく水が溜り、乾燥しにくいものになっている。そこでその対策として、滑り止め用の凸部と、それらの凸部の間に排水口に連結した流路と、さらに該流路内に水玉の表面張力を破壊する凹凸を形成して、滑り止め効果と乾燥性能の向上を狙ったものがある(特許文献1参照)。
特開2002−242410号公報
上記方法は、滑り止め効果を有し、しかも、水玉の表面張力を破壊する小区画の凸部の間の排水口に連結した流路を狭くし、さらに適宜流路内に水玉の表面張力を破壊する凹凸を形成して、流路から水を排水することにより乾燥性能を出している。本発明は、この原理と異なった原理により、滑り止め効果と乾燥性能のある浴室用床構成部材を提供するものである。
本発明は次のものに関する。
1. 水玉を破壊する複数個の凹部を床表面に形成した浴室用床構成部材。
2. 平坦部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を床表面に配設してなる浴室用床構成部材。
3. 凸面部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を床表面に配設してなる浴室用床構成部材。
4. 表面に親水性処理を施してなる項1〜3のいずれかに記載の浴室用床構成部材。
本発明に係る浴室用床構成部材では、浴室の使用後、複数個の凹部により残存する水玉を薄く広げて水玉を破壊し、少ない量の状態で凹部に水を溜めることができるようになっており、従って、浴室の使用後短時間で床を乾燥することができる。また独立した複数個の凹部が足裏の摩擦抵抗になり滑り止め効果も向上している。また、平坦部又は凸面部を有することによりその撥水効果により水玉の破壊を促進するため、浴室使用後の床の乾燥時間を短縮することができる。また、床面に親水性処理を施すことにより水玉を破壊する速度が増強され、乾燥時間をさらに短縮することができる。
以下、図面を参照して更に具体的に説明する。
図1は、本発明に係る浴室用床構成部材の一例の平面図である。浴室は床構成部材1と浴槽2が隣接し、排水口位置3が床構成部材1の一部に配設する構成となる。床構成部材1は排水口位置3に向け排水勾配が設けられている。床構成部材1は浴槽2と一体に形成される場合や、浴槽防水パンと呼ばれる浴槽設置台と一体に形成される場合や、浴槽設置台と別体に形成される場合がある。本図では、排水口位置3は浴槽2と床構成部材1の隣接する中心に位置しているが、どのような場所に位置してもよい。床構成部材1には目地4が溝状に設けられており、床を比較的大面積に区画するがこの目地4はなくてもよい。床の目地4で分割された表面5には、いくつかに分割された目地4が形成されている。表面5には、以下に示す表面模様が施されている。図1には表面模様の一部を模式的に濃淡で示してあるが表面5全体にわたって施されているものとする。しかし、表面模様は床表面の一部にのみ、例えば、浴室への出入り口付近のみ、排水口付近のみ、浴槽に面した部分のみ又はこれらの内2カ所以上に連なる連続した部分にのみ施されていてもよい。すなわち、少なくとも床を速く乾燥させたい部分に施されておればよい。
床構成部材1の素材としては、量産性を考えると成形型を用いて製造される成形品が好ましい。特に不飽和ポリエステル樹脂を使用したガラス繊維強化プラスチック(FRP)製が適しているが、射出成形、注入成形等を用いた他の材質のものでもよい。
表面模様において、凹部の形状及び配列は特に限定はしないが、清掃性の良い入り隅のない形状が望ましい。表面模様の例を次に示す。すなわち、図2は、表面模様の一例の一部拡大平面図である。図3は、図2のA−A及びA’−A’断面斜視図である。図4は、表面模様の別例の一部拡大平面図である。図5は、図4のB−B及びB’−B’断面斜視図である。
図6は、図2に示す表面模様の詳細一部断面図(図6(a))及び図4の表面模様詳細一部断面図(図6(b))である。
凹部の径又は幅15は1〜3mm、凹部ピッチ16は1〜3mm、凹部深さ17は0.2〜0.5mmとすることがそれぞれ好ましい。このように凹部6を小さくすることで、凹部6に溜まる水の量を少なくしている。凹部6の形状及び配列は水玉を破壊できる形状であれば特に限定はしない。好ましくは清掃性を損なわない入り隅のない形状が望ましい。これら水玉の表面張力を破壊する複数の凹部6により足裏の滑りに対する抵抗が高まり滑りにくいものになっている。
図7は、図2に示す表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図である。
表面5には水玉を破壊する複数個の独立した凹部6を形成している。図7(a)に示すように、表面5に溜まった水玉9は、凹部6により破壊され、廻りの凹部6に向かって水の流れの方向10のように広がる。そして広がった水は図7(b)に示すように、表面5に水玉が残らず凹部6に分散されて溜まる。一旦広がった水は、各凹部6に溜まるため凝集力が働いても水玉を再形成することがない。
図8は表面模様の別の例を示す拡大一部平面図である。図9は図8のC−C及びC’−C’拡大斜視図である。図10は、さらに表面模様の別の例を示す拡大一部平面図である。図11は、図10のD−D及びD’−D’拡大斜視図である。
表面5に形成された表面模様は、複数個の独立した水玉を破壊する凹部6とこれらに取り囲まれている平坦部7からなる単位の模様1種又は2種以上が繰り返されている。全体として、多くの凹部6の模様の中に平坦部が島状に分散して配置されている。
図12は、図8に示す表面模様の詳細一部断面図(図12(a))及び図10の表面模様詳細一部断面図(図12(b))である。
凹部径又は幅15と凹部ピッチ16と凹部深さ17は前記図6の場合と同様にすることが好ましい。平坦部7の幅18を5〜7mm、平坦部ピッチを10〜15mmとすることが好ましい。図8〜11において平坦部の平面形状は矩形であるが、円形、三角形等その形状は自由である。また、凹部6及び島状に配設した平坦部7の配列も自由である。好ましくは清掃性を損なわない入り隅のない形状及び配列が望ましい。また、平坦部は、その素材がFRP等プラスチックである場合は撥水性を有し、その撥水効果により平坦部に水滴が残らない程度の面積が特に望ましい。
図13は、図8に示す表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図である。
図13(a)に示すように、表面5に溜まった水玉9は、凹部6により破壊され、廻りの凹部6に向かって水の流れの方向10のように広がる。さらに、図13(b)に示すように、撥水性のある平坦部7であれば、水玉9を凹部6の方向12に押出す力により広がりが促進され、撥水効果により押出された水玉9は水13のような形状になり、図13(c)に示すように、水は凹部6に分かれて溜まり、凹部6に溜まった水11は凝集して水玉を再形成することはできない。撥水面の水の接触角は60度以上とすることが好ましい。
図14は、別の表面模様の詳細一部断面図である。図8に示す表面模様において平坦部を凸面部にしたものであり、凸面部は図14(a)では球面の一部、図14(b)では円錐形である。
凹部幅15と凹部ピッチ16と凹部深さ17は図6の表面模様の場合と同様である。凸面部8の凸面部幅19を5〜7mm、凸面部ピッチを10〜15mm、凸面高さ20を0.1mm以上とすることがそれぞれ好ましい。床構成部材の素材がFRP等のプラスチックであれば、表面は撥水性を示す。撥水面の水の接触角は60度以上とすることが好ましい。凹部6及び島状に配設した凸面部8の形状及び配列は自由である。好ましくは清掃性を損なわない入り隅のない形状が望ましい。撥水性を有する凸面部は撥水効果により凸面部に水滴が残らない面積及び高さが特に望ましい。
図15は、図14(a)の表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図である。
図15(a)に示すように表面5に溜まった水玉9は、凹部6により破壊され、廻りの凹部6に向かって水の流れの方向10のように広がるが、図15(b)に示すように、凸面部8の凸面形状により、撥水効果が現出し、水13が押出されように凹部6の方向12に移動し、図15(c)に示すように、凹部6に分かれて水が溜まる。凹部に溜まった水11は、凝集して水玉を再形成することがない。表面が撥水性を有する場合には、凸面部8が凸面形状していることで、撥水性がより強化される。
図16は、例えば、図8における表面模様の全表面に微細な凹凸による親水性処理を施した場合の一部拡大断面図である。微細な凹凸による親水性処理は、一部の表面にのみ施してもよい。親水性処理として水玉を破壊するシボ21を凹部6と平坦部7に設けている。このシボ模様は、その他の例における表面模様においてもその表面の一部又は全部に施すことができる。シボ21は、レーザ顕微鏡で、横縦(X−Y)方向の分解能を0.0364μm、高さ(Z)方向の分解能を0.05μmに設定し、測定長が5μmで測定したときに、算術平均粗さRaが0.7μm以上であること、又は、凹凸の平均間隔Smと最大高さRyとの比Sm/Ryが0.2以下であることが好ましい。算術平均粗さRaの平均値の上限は適宜決定されるが、3.2μm以下であることが好ましい。また、比Sm/Ryの下限は適宜決定されるが0.0025以上であることが好ましい。これらの値は、5カ所以上の測定の平均値としてもよい。親水性処理を施す方法としては、成形品に対応するシボ模様をつけた金型により成型して本発明に係る床構成部材を製造する方法、床構成部材の床面を紙ヤスリ等で直接加工する方法、床構成部材の床面に親水性塗料(ポリシラザンや酸化チタンを含む光触媒等)を塗布する方法などを採用することができる。親水性処理は凹部6が形成された範囲、または島状の平坦部7或いは凸面部8が形成された範囲のいずれかに形成してもよい。シボ模様の場合、表面全体として親水化される。すなわち、水玉が一旦広がると凝集することがない。親水性化の程度は、水の接触角で60度未満が好ましく、10〜40度がより好ましい。表面がシボ模様のように微細な凹凸がある場合に水の接触角を計るときは、接触角測定器の水平台に測定物を載せ、横方向から光を当てて投影拡大し、測定物と液滴との境界を基準にして、液滴端部を通る液滴への接線と、その基準がなす角度を読み取る。防水パンのように大きな測定物は、小片に切断して測定すればよい。
図17は、図8の表面模様の表面に親水性処理を施した場合の水の挙動を示す拡大断面図である。
表面5に形成した凹部6や平坦部7の上に親水性処理を施している。図17(a)に示すように、表面5に溜まった水玉9は、凹部6により破壊され、廻りの凹部6に向かって水の流れの方向10のように広がるが、表面が親水性化されているため水玉の破壊がさらに促進され(速やかな水の排水が促され)、広がる時間が短縮される。平坦部7に残った水も図17(b)に示すように、平坦部が親水性化されているため薄く延ばされた状態で残り、表面積が大きくなった状態であるため速く乾燥する。
本発明に係る浴室用床構成部材の一例を示す平面図。 表面模様の一例の一部拡大平面図。 図2のA−A及びA’−A’断面斜視図。 第1発明の他の浴室用床構成部材を示す拡大平面図。 図4のB−B断面斜視図。 図2及び図4の詳細一部断面図。 図2の表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図。 表面模様の別例の一部拡大平面図。 図8のC−C及びC’−C’断面斜視図。 表面模様の別例の一部拡大平面図。 図10のD−D及びD’−D’断面斜視図。 図8及び図10の詳細一部断面図。 図8の表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図。 別の表面模様の詳細一部断面図。 図14(a)の表面模様における水の挙動を示す拡大一部断面図。 図8における表面模様の全表面に微細な凹凸による親水性処理を施した場合の一部拡大断面図。 図8の表面模様の表面に親水性処理を施した場合の水の挙動を示す拡大断面図。
符号の説明
1:床構成部材 2:浴槽 3:排水口位置
4:目地 5:床構成部材の表面
6:独立した凹部 7:島状に配設された平坦部
8:島状に配設された凸面部 9:水玉 10:水の流れの方向
11:凹部に溜まった水 12:撥水効果による水の流れの方向
13:撥水効果により押出された水 14:薄く延ばされた水
15:凹部幅 16:凹部ピッチ 17:凹部深さ
18:平坦部幅 19:凸面部幅 20:凸面部高さ
21:水滴の表面張力を破壊するシボ

Claims (4)

  1. 水玉を破壊する複数個の凹部を床表面に形成した浴室用床構成部材。
  2. 撥水性を有する平坦部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を配設いてなる浴室用床構成部材。
  3. 撥水性を有する凸面部とその周りに水玉を破壊する複数個の凹部を配設してなる浴室用床構成部材。
  4. 表面に親水性処理を施してなる請求項1〜3のいずれかに記載の浴室用床構成部材。

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