JP2005162567A - 機能性カーボンの製造方法及びその装置 - Google Patents

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睦 佐藤
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Abstract

【課題】 メタンガスなどの炭化水素ガスから、付加価値の高い機能性カーボンを高い収率で得ることができる機能性カーボンの製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 原料として炭化水素ガスを用い、正極と負極のグラファイト電極110a、110bの先端同士を接触させた状態で該電極間に電圧を印加して、該グラファイト電極110を加熱することで該電極にカーボン粒子116を付着させた後、前記接触させた正極と負極の電極110a、110bの先端を離して、両電極間でアーク放電118を生じさせて機能性カーボンを生成する。前記グラファイト電極の先端部分114の断面積は、電極本体112の断面積より小さくすることが好ましい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、地球温暖化ガスである二酸化炭素を削減することが可能な機能性カーボンの製造方法及びその装置に関する。
現在、地球温暖化ガスとして環境に悪影響を与える二酸化炭素の削減・固定化が世界的な急務となっている。そのため、近年、多くの二酸化炭素の固定化技術が開発されている。しかし、二酸化炭素は化学的に安定した化合物であり、二酸化炭素を固定化するためには、多大なエネルギーを必要とする。このエネルギーを得るために化石燃料が燃焼されると二酸化炭素が放出されるので、実質的に二酸化炭素の削減にはならないという問題がある。また、多大なエネルギーを必要とするため、二酸化炭素の固定化には非常に高いコストがかかるが、固定化により得られる生成物は商品価値が低いという問題がある。よって、事業化が可能な二酸化炭素の固定化技術の開発が望まれている。
一方、原子力発電プラントは、ウランの核分裂を利用して発電するため、発電による二酸化炭素の発生はない。また、原子力発電プラントは、火力発電プラントに比較して燃料費が安いという特長を有しており、長期にわたり定格出力で連続運転を行うことで、低コストで電力を供給することができる。しかし、電力の需要量は、昼間と夜間で大きく変化し、昼間の電力需要は夜間の約2倍に達している。そのため、原子力発電プラントでは、今後、分散化電源の設置が増えることを考慮すると、夜間に余剰電力が生じていくという問題がある。
そこで、夜間の余剰電力を利用して、水分解装置で水を水素と酸素に分解し、この水素を二酸化炭素と反応させて貯蔵可能な燃料であるメタノールを合成するという二酸化炭素の固定化技術が開発されている(特許文献1)。しかしながら、この技術では、メタノール燃料しか得られず、二酸化炭素から得られる付加価値が小さいという問題がある。
特開平11−46460号公報 (第6頁、図3)
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、二酸化炭素を固定化して得られるメタンガスなどの炭化水素ガスから、付加価値の高い機能性カーボンを高い収率で得ることができる機能性カーボンの製造方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る機能性カーボンの製造方法は、原料として炭化水素ガスを用い、正極と負極のグラファイト電極の先端同士を接触させた状態で該電極間に電圧を印加して、該グラファイト電極を加熱することで該電極にカーボン粒子を付着させるカーボンヒーター工程と、前記接触させた正極と負極の電極先端を離して、両電極間でアーク放電を生じさせて機能性カーボンを生成するアーク放電工程とを含んでなるものである。
このように、予めグラファイト電極にカーボン粒子を付着させておくことで、付着したカーボン粒子がアーク放電部分のカーボン雰囲気を増加させるため、フラーレンやカーボンナノチューブなどの付加価値の高い機能性カーボンの収率を飛躍的に増加させることができる。この際、正極と負極のグラファイト電極の先端同士を接触させてカーボンヒーターとして動作させることで、原料の炭化水素ガスを容易に熱分解し、グラファイト電極にカーボン粒子を付着させることができる。そして、陽極と陰極のグラファイト電極の先端同士を接触させたり、離れさせたりすることで、カーボン粒子の付着と機能性カーボンの生成とを容易に繰り返し行うことができる。
前記グラファイト電極の先端部分の断面積は、電極本体の断面積より小さくすることが好ましく、これにより、前記カーボンヒーター工程において、前記電極の先端部分を中心にしてカーボン粒子を付着させることができる。すなわち、断面積が小さい部分は抵抗が大きいため発熱量が部分的に大きく、カーボン粒子の生成反応が進む。よって、先端部分を中心にしてカーボン粒子が付着するので、生成したカーボン粒子を効率的にアーク放電に寄与させることができる。
前記カーボンヒーター工程においてカーボン粒子とともに副生する水素は、不活性ガスの導入により取り除き、その後、前記アーク放電工程を行うことが好ましい。このように、不活性雰囲気中でアーク放電を行うことで、機能性カーボンの収率を向上させることができる。なお、不活性ガスとしては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスが好ましく、この中でも収率向上の観点から、ヘリウムガスがより好ましい。
前記アーク放電工程は、大気圧以下で行うことが好ましい。このようにアーク放電を大気圧以下の圧力で行うことで、機能性カーボンの収率を向上させることができる。なお、圧力は、大気圧以下の中でも、約10〜約100kPaにすることが好ましく、特に約10kPa又は約100kPaにすることがより好ましい。
前記原料の炭化水素ガスは、特に限定されないが、メタンガスやブタンガスなどの炭素数1〜10の脂肪族炭化水素ガスが好ましい。なお、脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を含むガスも使用することができる。この中でもメタンガスがより好ましく、このメタンガスを得るために、水を電気分解して水素と酸素を生成する水電解工程と、二酸化炭素と前記水電解工程で得られた水素とを触媒の存在下で反応させて、メタン及び水を含む混合ガスを生成する第1反応工程と、前記第1反応工程で得られた混合ガス中の水分を凝縮してメタンガスと水とに分離する分離工程とをさらに含むことが好ましく、前記分離工程で得られたメタンガスと前記混合ガスとの間で熱交換を行い、前記分離工程で得られた水を前記水電解工程で使用することが好ましい。
上記の第1反応工程と、上記のカーボンヒータ工程又はアーク放電工程のカーボン生成工程(第2反応工程ともいう)との一連の反応は、サバティエ反応と呼ばれ、以下の反応式で表せる。
第1反応:CO2+4H2→CH4+2H2O・・・(式1)
第2反応:CH4→C+2H2・・・(式2)
第2反応は吸熱反応(約1280℃)であるが、第1反応は発熱反応(約300℃)であるため、第1反応で得られたメタン及び水の混合物と第2反応の原料であるメタンとの間で熱交換を行うことで、第1反応の熱エネルギーを回収でき、エネルギー効率を向上させることができる。また、第2反応工程によれば、上記式2に示すように、地球温暖化ガスである二酸化炭素を生成することなく、フラーレンやカーボンナノチューブなどの付加価値の高い機能性カーボンを製造することができる。なお、第1反応に必要な水素は、安価である原子力発電プラントの夜間電力で水を電気分解することで、二酸化炭素を生成することなく、安価に水素を得ることができる。したがって、二酸化炭素を効率的に固定化できるとともに、機能性カーボンも高収率で得ることができる。
また、本発明は、別の態様として、機能性カーボンの製造装置であって、原料として炭化水素ガスが供給される反応炉と、該反応炉内に設けられた正極と負極のグラファイト電極とを含んでなり、前記グラファイト電極をカーボンヒーターとして使用する場合、前記グラファイト電極は正極と負極の電極先端が接触し、前記グラファイト電極をアーク放電電極として使用する場合、前記グラファイト電極は正極と負極の電極先端が離れるように構成されたものである。前記グラファイト電極は、その先端部分の断面積が電極本体の断面積より小さい形状を有することが好ましい。
前記グラファイト電極の表面形状は、少なくともその先端部分において水平な部分を有することが好ましい。このように電極先端に水平部分を設けることで、この水平部分上にカーボン粒子を堆積させることができ、生成したカーボン粒子を電極から落下させることなく効率的にアーク放電に寄与させることができる。
前記反応炉は、反応炉内に不活性ガスを導入するための配管と、反応炉内で副生した水素を排気するための配管と設けることが好ましい。また、前記炭化水素ガスはメタンガスが好ましく、このメタンガスを得るために、水を電気分解して水素と酸素を生成する水電解装置と、触媒が充填されており、二酸化炭素と前記水電解装置から水素とが供給され、メタン及び水蒸気を含む混合ガスを生成する第1反応炉と、前記第1反応炉で生成する混合ガス中の水分を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から前記反応炉にメタンガスを供給するための配管と、前記混合ガスと前記メタンガスとの間で熱交換を行う熱交換器と、前記凝縮器で生成する水を前記水電解装置へ供給する配管とをさらに含むことが好ましい。
上記したところから明らかなように、本発明によれば、二酸化炭素を固定化して得られるメタンガスなどの炭化水素ガスから、付加価値の高い機能性カーボンを高い収率で得ることができる機能性カーボンの製造方法及びその装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る機能性カーボンの製造装置の一実施の形態を示す模式図である。図1に示すように、第1反応炉10の入口は、CO2配管22を介してCO2タンク20と、H2配管32を介してH2タンク30と接続している。第1反応炉10内には、上記式1に示す第1反応を促進する触媒が充填されている。触媒は白金系触媒が好ましく、特にルテニウム(Ru)を活性金属とする触媒がより好ましい。触媒の形状は、ペレット状または粒状なども採用できるが、反応効率から比表面積が広いハニカム状が好ましい。
第1反応炉10の出口は、混合ガス配管12を介してタンク60に接続している。混合ガス配管12には、第1反応炉10側から順に、熱交換器40と凝縮器50とが設置されている。タンク60は気液分離できるものであれば特に限定されない。タンク60の液相側出口は、水配管64を介して水電解装置70に接続している。この水電解装置70は、原子力発電プラント(図示省略)に併設されており、夜間の余剰電力により運転される。
水電解装置70としては、固体高分子であるイオン交換膜を電解質として使用する固体高分子形水電解(SPWE)水素製造装置が好ましい。このSPWE水素製造装置の陽極では、水が電気分解されて酸素ガスと水素イオンを発生する。水素イオンは固体高分子電解質膜を介して陰極へ移動する。陰極では、水素イオンが電子と結合して水素ガスを発生する。よって装置全体として、水から水素と酸素とが発生することとなる。この反応は80℃程度の温度で進行するため、エネルギー消費量が少ないという特長がある。また、この水の電気分解では地球温暖化ガスである二酸化炭素を発生しない。更に、アルカリ水電解法では電解効率が70〜85%であるのに対し、SPWE法では約90%と電解効率が高い。更にまた、水素発生部と酸素発生部が固体高分子電解質膜にて分離されているため、高純度(99.99%以上)の水素を製造することができる。また、アルカリ水溶液と異なり、電解質に腐食性がない。
水電解装置70の水素側出口は、H2配管72を介してH2タンク30に接続している。また、水電解装置70の酸素側出口は、O2配管74を介して酸素利用設備(図示省略)に接続している。また、タンク60の気相側出口は、メタン配管62を介して第2反応炉100に接続している。メタン配管62には、熱交換器40が設置されており、すなわち、メタン配管62と混合ガス配管12との間で熱交換がされるように構成されている。
第2反応炉100内には、水冷式真空容器120(SUS304またはSUS316製)が設けられており、この真空容器120内に正極と負極の2本のグラファイト電極110が設置されている(なお、第2反応炉自体を真空容器としてもよい)。グラファイト電極110としては、金属を添加したグラファイト電極も使用することができる。添加する金属としては、例えば、NiとYが好ましい。このように金属を添加することで、アーク放電により金属が触媒として作用し、多層カーボンナノチューブとともに単層カーボンナノチューブを生成することができる。なお、本明細書では、金属を添加したグラファイト電極と、金属を添加しない純粋グラファイト電極とをまとめて、グラファイト電極と呼ぶ。
グラファイト電極110のうち正極側は可動式になっており、これにより、正極と負極の先端同士を接触させたり、先端同士の間に放電空間を設けるために離れさせたりすることができる(図4参照)。なお、図1では、正極側のみを可動式にしたが、負極側のみを可動式にしても、正極と負極の両側を可動式にしてもよい。電極は、電極の長さ方向に可動させることが好ましい。また、電極の長さ方向を、図1に示すように水平に設ける他、垂直に設けることもできるが、電極上にカーボン粒子を堆積させる観点から、水平に設けることが好ましい。
グラファイト電極110の一例を示す平面図を図2(a)に、その側面図を図2(b)に示す。図2に示すように、陽極側の電極110aと陰極側の電極110bはそれぞれ電極本体112と先端部分114とから構成されている。電極の幅は、電極本体112から先端部分114にわたって均一である。一方、電極の厚さは、電極本体112と先端部分114のそれぞれの部分で均一であるが、その接点に段差が設けられ、先端部分114が電極本体110に対して薄くなっている。例えば、電極本体112を長さ60mm、幅10mm、厚さ10mmとし、先端部分114を長さ20mm、幅10mm、厚さ5mmとした形状の電極を使用することができる。
このように、先端部分114の断面積を、電極本体112の断面積より小さくすることで、先端部分114の抵抗を大きくし、先端部分114を中心にしてカーボン粒子を付着させることができる。特に、電極本体112に対して先端部分114の断面積を60〜10%にすることが好ましい。断面積を60%以下にすることで、先端部分114の抵抗を電極本体112の抵抗に比べて顕著に増加させることができる。また、断面積を10%以上にすることで、先端部分114の強度を維持し、破損等を防止することができる。
また、電極の表面形状を、図2に示すように、角柱形状などの水平な部分を備えた形状にすることで、カーボン粒子を電極上に容易に堆積させることができる。特に、先端部分114の断面積を電極本体112の断面積より小さくするために、先端部分114の幅は減少させず、厚さのみを減少させることで、カーボン粒子が先端部分114に堆積できる面積を広く確保することができる。
なお、先端部分の断面積を電極本体の断面積より小さくした電極の形状は、図2のように、電極本体112と先端部分114との間に段差を設けた形状の他、多くの形状を採用することができる。例えば、図3に示すように、グラファイト電極210は、幅が、電極本体212から先端部分214にわたって均一であるが、厚さは、先端部分214のみが均一であり、電極本体212は、先端部分214の方向に向かって、厚さが漸次減少するように傾斜した形状を有している。このように傾斜を有する形状にしても、図2の形状と同様の効果を得ることができる。
メタン配管62は真空容器120内まで設けらており、また、真空容器120内には、真空容器120内にヘリウムガスを供給するHeガス配管140と、生成する水素をH2タンク30に供給するH2配管190が設けられている。このH2配管190には、熱交換器40が設置されており、すなわち、H2配管190とメタン配管62との間で熱交換がされるように構成されている。
また、第2反応炉100の天井部及び壁面部には、太陽光を吸収して熱エネルギーに変換する熱吸収膜150が設けられている。熱吸収膜150としては、例えば、焙焼酸化亜鉛膜などを用いることができる。また、太陽光は、直接第2反応炉100に照射できる他、鏡やレンズ、グラスファイバーなどの光学機器を用いて集光して、第2反応炉100に導くこともできる。その結果、第2反応炉100を40〜70℃の温度へ昇温することができる。このように太陽熱を利用することによりエネルギーコストを下げることができる。なお、太陽光以外の熱源も補助的あるいは付加的に使用することができる。
以上の構成によれば、先ず、水電解装置70で水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスを製造する。この電気分解は、原子力発電プラント(図示省略)の夜間電力を利用する。得られた酸素ガスは、O2配管74を介して酸素利用設備(図示省略)に供給し有効利用する。また、水素ガスは、H2配管72を介してH2タンク30に供給し、一時的に貯蔵する。
次に、CO2タンク20から二酸化炭素ガスを、H2タンク30から水素ガスを、それぞれ配管を介して第1反応炉10に供給する。第1反応炉10内では、触媒存在下で上記式1の第1反応が進行し、約300℃のメタンガス及び水蒸気を含む混合ガスが生成する。生成した混合ガスは、混合ガス配管12を介して、熱交換器40でメタン配管62中のメタンガスを加熱する。その後、この混合ガスは、凝縮器50で室温まで冷却され、水分が凝縮されてメタンガスと水とに分離し、タンク60に供給される。タンク60中の水は、水配管72を介して水電解装置70に供給され、水電解装置70で電気分解に再利用される。一方、タンク60中のメタンガスは、メタン配管62を介して、熱交換器40で加熱された後、第2反応炉100内に設置された真空容器120内に導入される。
真空容器120内では、先ず、図4(a)に示すように、グラファイト電極の正極側110aと負極側110bの先端同士を接触させて、カーボンヒーターとして作用させる。すなわち、電極電源(図示省略)により電極間に、例えば、10V(カーボンヒーター通電電流300A)の電圧を印加して、グラファイト電極110を好ましくは温度1080〜1480℃に加熱する。温度を1080℃以上にすることで、メタンを約85%と高い分解効率で分解してカーボン粒子を生成することができる。そして、約1280℃に加熱することで、メタンの分解効率を約99%まで向上させることができる。1280℃より温度を上昇させても、メタンの分解効率は変化せず、エネルギーの消費が増加し、反応機器への負担も増加するので、上限は1280℃より200℃高い温度、すなわち1480℃にすることが好ましい。グラファイト電極110の温度は、輻射温度計(図示省略)により測定することができる。
真空容器120内に充填されたメタンガスは、加熱されたグラファイト電極110によって熱分解されて、カーボン粒子と水素とが生成する。カーボン粒子はグラファイト電極110の先端部分を中心に付着し、特に先端部分の水平部分に堆積する。そして、例えば、1時間にわたりメタンガスを熱分解して、一定の量のカーボン粒子を生成させた後、メタンガスの導入と、電極間への電圧の印加とを停止する。なお、電圧の印加停止後、グラファイト電極110の温度を室温程度まで降温させることが好ましい。
また、カーボン粒子とともに副生した水素は、Heガス配管140からヘリウムガスを真空容器120内に導入することで、H2配管190を介して真空容器120内から排気する。これにより、真空容器120内をHe雰囲気にすることができる。なお、真空容器120内の雰囲気圧力は、機能性カーボンの収率向上の観点から、大気圧以下が好ましく、10〜100kPaがより好ましく、10kPa又は100kPaがさらに好ましい。真空容器120内の圧力は、圧力計(図示省略)により測定することができる。また、H2配管190から排気された水素ガスは、熱交換器40でメタンガスを加熱した後、H2タンク30に供給されて、第1反応炉10での第1反応に再利用される。
次に、アーク放電を行うため、He雰囲気中で、例えば、電極電源のアーク放電電流が150Aになるように印加電圧を調整する(初期印加電圧は10Vで、その後電圧は低下傾向を示す)。そして、電極先端同士が接触した状態から、図4(b)に示すように、先端同士を離して、間隔が空いた状態にする。間隔が空いた時点でアーク放電118が生じる。なお、先端同士の間隔は、アーク放電が生じる間隔であれば、特に限定されないが、1〜3mmが好ましく、2mmがより好ましい。この時、グラファイト電極110に付着したカーボン粒子116がアーク放電部分のカーボン雰囲気を増加させるため、フラーレンやカーボンナノチューブなどの機能性カーボンの収率を飛躍的に増加させることができる。
アーク放電を一定時間(例えば、10分程度)行った後、電圧の印加を停止して、アーク放電を停止する。そして、石英管120内壁に付着した煤と、負極側のグラファイト電極110bに付着した煤を回収する。前者の煤からフラーレンを得ることができ、後者の煤からカーボンナノチューブを得ることができる。なお、機能性カーボンの生成とともに副生する水素は、H2配管190を介して石英管120内から排出し、熱交換器40で熱交換した後、再びH2タンク30に導入する。そして、第1反応炉10に供給することで、エネルギー効率を向上させることができる。
このように、原子力発電プラントの夜間電力を利用して、水電解装置70にて水を電気分解することで、二酸化炭素を生成することなく、安価に第1反応に必要な水素を得ることができる。また、第2反応の原料であるメタンガスを熱交換器40を用いて加熱することで、エネルギー効率を向上させることができる。さらに、第2反応炉100でグラファイト電極110の先端同士を接触させてカーボンヒーターとし、カーボン粒子を生成させた後、先端同士を離してアーク放電することにより、二酸化炭素を生成することなく、容易にフラーレンやカーボンナノチューブなどの付加価値の高い機能性カーボンを製造することができる。
本発明に係る機能性カーボンの製造装置の一実施の形態を示す模式図である。 (a)は本発明に係るグラファイト電極の一例を示す平面図であり、(b)はその側面図である。 (a)は本発明に係るグラファイト電極の他の例を示す平面図であり、(b)はその側面図である。 本発明に係るグラファイト電極の動作を示す模式図であり、(a)は電極先端同士が接触した状態を示し、(b)は電極先端同士が離れた状態を示す。
符号の説明
10 第1反応炉
12 混合ガス配管
20 CO2タンク
22 CO2配管
30 H2タンク
32 H2配管
40 熱交換器
50 凝縮器
60 タンク
62 メタン配管
64 水配管
70 水電解装置
72 H2配管
74 O2配管
100 第2反応炉
110、210 グラファイト電極
112、212 電極本体
114、214 先端部分
120 真空容器
130 リフレクタ
140 Heガス配管
150 熱吸収膜
190 H2配管

Claims (10)

  1. 原料として炭化水素ガスを用い、正極と負極のグラファイト電極の先端同士を接触させた状態で該電極間に電圧を印加して、該グラファイト電極を加熱することで該電極にカーボン粒子を付着させるカーボンヒーター工程と、
    前記接触させた正極と負極の電極先端を離して、両電極間でアーク放電を生じさせて機能性カーボンを生成するアーク放電工程と
    を含んでなる機能性カーボンの製造方法。
  2. 前記グラファイト電極の先端部分の断面積を、電極本体の断面積より小さくすることで、前記カーボンヒーター工程において、前記電極の先端部分を中心にしてカーボン粒子を付着させる請求項1に記載の機能性カーボンの製造方法。
  3. 前記カーボンヒーター工程においてカーボン粒子とともに副生する水素を不活性ガスの導入により取り除いた後、前記アーク放電工程を行う請求項1又は2に記載の機能性カーボンの製造方法。
  4. 前記アーク放電工程を大気圧以下で行う請求項1〜3のいずれかに記載の機能性カーボンの製造方法。
  5. 前記炭化水素ガスがメタンガスであって、このメタンガスを得るために、水を電気分解して水素と酸素を生成する水電解工程と、二酸化炭素と前記水電解工程で得られた水素とを触媒の存在下で反応させて、メタン及び水を含む混合ガスを生成する第1反応工程と、前記第1反応工程で得られた混合ガス中の水分を凝縮してメタンガスと水とに分離する分離工程とをさらに含んでなり、前記分離工程で得られたメタンガスと前記混合ガスとの間で熱交換を行い、前記分離工程で得られた水を前記水電解工程で使用する請求項1〜4のいずれかに記載の機能性カーボンの製造方法。
  6. 原料として炭化水素ガスが供給される反応炉と、該反応炉内に設けられた正極と負極のグラファイト電極とを含んでなり、
    前記グラファイト電極をカーボンヒーターとして使用する場合、前記グラファイト電極は正極と負極の電極先端が接触し、前記グラファイト電極をアーク放電電極として使用する場合、前記グラファイト電極は正極と負極の電極先端が離れるように構成された機能性カーボンの製造装置。
  7. 前記グラファイト電極は、その先端部分の断面積が電極本体の断面積より小さい形状を有する請求項6に記載の機能性カーボンの製造装置。
  8. 前記グラファイト電極の表面形状が、少なくともその先端部分において水平な部分を有する請求項6又は7に記載の機能性カーボンの製造装置。
  9. 前記反応炉には、反応炉内に不活性ガスを導入するための配管と、反応炉内で副生した水素を排気するための配管とが設けられている請求項6〜8のいずれかに記載の機能性カーボンの製造装置。
  10. 前記炭化水素ガスはメタンガスであって、このメタンガスを得るために、水を電気分解して水素と酸素を生成する水電解装置と、触媒が充填されており、二酸化炭素と前記水電解装置から水素とが供給され、メタン及び水蒸気を含む混合ガスを生成する第1反応炉と、前記第1反応炉で生成する混合ガス中の水分を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から前記反応炉にメタンガスを供給するための配管と、前記混合ガスと前記メタンガスとの間で熱交換を行う熱交換器と、前記凝縮器で生成する水を前記水電解装置へ供給する配管とをさらに含んでなる請求項6〜9のいずれかに記載の機能性カーボンの製造装置。
JP2003406648A 2003-12-05 2003-12-05 機能性カーボンの製造方法及びその装置 Withdrawn JP2005162567A (ja)

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