JP2005162508A - 超速硬・高流動モルタル組成物および超速硬・高流動モルタル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 CaO/Al2O3モル比が0.75〜1.5のカルシウムアルミネート、特定量のシリカ質微粉末、炭酸リチウム、炭酸リチウム以外のアルカリ炭酸塩、有機酸、及び細骨材を含有してなる超速硬・高流動モルタル組成物、該カルシウムアルミネートの強熱減量が1%以上である、また、シリカ質微粉末が酸性シリカフュームを含有する、さらに、ガス発泡物質や繊維物質を含有する該超速硬・高流動モルタル組成物、特定量の水と該超速硬・高流動モルタル組成物とを混合する超速硬・高流動モルタル、J14ロート流下値が8±3秒である該超速硬・高流動モルタルを構成とする。
【選択図】 なし
Description
従来、超速硬性で高流動なモルタルとしては、3時間で実用強度を発現する超速硬グラウトモルタルが提案されている(特許文献1〜特許文献4参照)。
しかしながら、最近では、さらなる合理化施工の要求や、新たなニーズへの対応から、より短時間で実用強度を発現する超速硬・高流動モルタルの開発が強く求められている。
超速硬・高流動モルタルの具体的なものとしては、1時間程度で20N/mm2以上を満たす材料が必要とされている。
このような性能を満たす材料としては樹脂モルタルが存在するが、樹脂モルタルは非常に高価な材料であるため、実用されるケースは限られているのが現状である。
しかしながら、可使時間を長く確保することは、硬化時間を遅らせることになるため、材齢1時間での要求強度を満たすことが困難となる。このため、従来の技術では、充分な可使時間を確保しつつ、材齢1時間で20N/mm2以上の性能を満たすことは不可能であった。
樹脂モルタルは耐酸性に優れる特徴があるため、これに代わる材料にも当然のことながら耐酸性が求められる。
しかしながら、従来の超速硬グラウトモルタルは、急硬性成分を多く含んではいるものの、塩基性のポルトランドセメントを主体とするため、耐酸性は期待できないものであった。
即ち、20℃以上では所定の材齢で要求強度を満たすものの、5℃などの低温では、所定の材齢で要求強度を満たすことができないものであった。
これは、無機系の超速硬モルタルにおいても、また、樹脂モルタルにおいても共通の課題であった。
したがって、温度依存性の小さい超速硬・高流動モルタルが望まれている。
しかしながら、これらのグラウトモルタルは材齢1時間あるいは材齢3時間という短時間で20N/mm2以上を発現できるものではなかった。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
また、本発明は実質的にポルトランドセメントを使用しないモルタルに関するものである。
CA類の具体例としては、例えば、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、及び3CaO・3Al2O3・CaSO4などと表される結晶性のCA類や、CaOとAl2O3成分を主成分とする非晶質の化合物が挙げられる。
本発明では、CaO/Al2O3モル比が0.75〜1.5のCA類を用いる。CaO/Al2O3モル比が0.75未満では充分な強度発現性が得られない場合があり、CaO/Al2O3モル比が1.5を超えると充分な流動性や可使時間が得られない場合がある。
CA類の強熱減量を1%以上とする方法としては、湿分や水分を供給する方法や、炭酸ガスを供給する方法等が挙げられる。
酸性シリカフュームとは、シリカフューム1gを純粋100ccに入れて攪拌した時の上澄み液のpHが5.0以下の酸性を示すものを言う。
シリカ粉中の酸性シリカフュームの使用量は特に限定されるものではないが、通常、シリカ粉100部中、10〜100部が好ましく、20〜90部がより好ましい。10部未満では酸性シリカフュームによる流動性や可使時間の確保の改善効果が得られない場合がある。
シリカ粉の粉末度は特に限定されるものではないが、通常、高炉水砕スラグ微粉末やフライアッシュについては、ブレーン値で3,000〜9,000cm2/g程度が好ましく、シリカフュームについては、BET比表面積で2〜20万m2/g程度が好ましい。
本発明において、有機酸を用いずに炭酸アルカリのみを用いた場合や、逆に、炭酸アルカリを用いずに有機酸のみを用いた場合には、流動性や可使時間の確保の改善効果が得られず、有機酸と炭酸アルカリを併用してはじめて、流動性や可使時間の確保の改善効果が得られる。
ガス発泡物質の具体例としては、例えば、アルミ粉や炭素物質のほか、過硫酸塩、過ホウ酸塩、及び過マンガン酸塩等の過酸化物質等が挙げられ、本発明では、炭素物質、過ホウ酸塩、及び過マンガン酸塩を用いることが、沈下抑制効果が大きいことから好ましい。
ガス発泡物質の配合割合は特に限定されるものではないが、通常、アルミ粉ならば、結合材100部に対して、0.0001〜0.1部が好ましく、0.001〜0.01部がより好ましい。0.0001部未満では充分な初期膨張効果を付与することができない場合があり、0.1部を超えて使用すると過膨張となって強度発現性が悪くなる場合がある。
また、ガス発泡物質が炭素質物質ならば、結合材100部に対して、1〜15部が好ましく、3〜10部の範囲がより好ましい。1部未満では充分な初期膨張効果を付与することができない場合があり、15部を超えて使用すると過膨張となって強度発現性が悪くなる場合がある。
さらに、ガス発泡物質が過酸化物質ならば、結合材100部に対して、0.001〜1部が好ましく、0.001〜0.1部がより好ましい。0.001部未満では充分な初期膨張効果を付与することができない場合があり、1部を超えて使用すると過膨張となって強度発現性が悪くなる場合がある。
繊維物質の配合割合は、結合材100部に対して、0.1〜3部が好ましく、0.5〜2部がより好ましい。0.1部未満ではひび割れ低減効果が充分でない場合があり、逆に、3部を超えて使用しても、さらなる効果の増進が期待できないばかりか、流動性が悪くなる場合がある。
CA類A :CaO/Al2O3モル比0.75、強熱減量1.0%、結晶質、主成分CaO・Al2O3とCaO・2Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CA類B :CaO/Al2O3モル比1.00、強熱減量1.0%、結晶質、主成分CaO・Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CA類C :CaO/Al2O3モル比1.50、強熱減量1.0%、結晶質、主成分CaO・Al2O3と12CaO・7Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CA類D :CaO/Al2O3モル比1.00、強熱減量1.0%、非晶質、試薬1級のシリカを7%添加して、1,650℃で溶融後、急冷して合成、ブレーン値5,000cm2/g
CA類E :CaO/Al2O3モル比1.00、強熱減量1.5%、結晶質、主成分CaO・Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CA類F :CaO/Al2O3モル比1.00、強熱減量2.0%、結晶質、主成分CaO・Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
シリカ粉イ:酸性シリカフューム、BET比表面積15万m2/g、pH4.5
炭酸リチウム:試薬1級
炭酸アルカリa:炭酸カリウム、試薬1級
有機酸α :クエン酸、試薬1級
水 :水道水
細骨材 :6号ケイ砂と7号ケイ砂の等量混合物
流動性 :JSCEに準じて、J14ロート流下値を測定
可使時間 :J14ロート流下値が12秒を超え、充分な流し込みできなくなった時点
圧縮強度 :モルタルを型枠に詰めて4×4×16cmの成形体を作成し、材齢28日の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定
強度比 :促進加温法にて強度の低下現象を確認する促進加温試験、材齢28日まで20℃の水中養生を行った供試体を、40℃の温水中に28日間入れて養生。促進加温を行う前の圧縮強度に対する促進加温後の強度の比を相対値で表し評価
硫酸浸透深さ:耐酸性の評価、5%濃度の硫酸水溶液にモルタルを1ヶ月間浸漬し、硫酸浸透深さを調べることによって評価。硫酸浸透深さはモルタル断面にフェノールフタレインの1%アルコール溶液を噴霧し、赤変しなかった部分を硫酸浸透部分とした。
シリカ粉ロ:高炉水砕スラグ、ブレーン値4,000cm2/g
シリカ粉ハ:フライアッシュ、ブレーン値4,000cm2/g
シリカ粉ニ:シリカ粉イ30部とシリカ粉ロ70部の混合物
炭酸アルカリb:炭酸ナトリウム、試薬1級
炭酸アルカリc:炭酸水素ナトリウム、試薬1級
有機酸β :酒石酸、試薬1級
有機酸γ :グルコン酸ナトリウム、試薬1級
温度上昇 :モルタル200ccをポリスチレンカップに入れて、上面のみを開放状態として断熱体で覆い、熱電対を配設して最高到達温度を測定
ガス発泡物質I:コークス、市販品
ガス発泡物質II:過硫酸カリウム、試薬1級
ガス発泡物質III:過ホウ酸ナトリウム、試薬1級
初期膨張率:土木学会「膨張コンクリート設計施工指針(案)」付録2.付属書「膨張材を用いた充填モルタルの施工要領(案)」に従い測定。ただし、表中の−は収縮側、+は膨張側を示す。
ひび割れ状況:モルタルを50×50cmのコンクリート板上に厚さ1cm塗りつけ、相対湿度60%・温度20℃の環境で乾燥した。塗りつけたモルタルに発生したひび割れ情況を観察した。◎はひび割れが全くなし、○はひび割れが2本以下、△はひび割れが3〜5本、×はひび割れが5本を超えて多数発生
繊維物質1:ビニロンファイバー、市販品
繊維物質2:スチールファイバー、市販品
繊維物質3:ワラストナイトファイバー、市販品
なお、比較のため、市販の超速硬モルタルを使用して同様に試験した。結果を表7に併記する。
超速硬モルタル比較品:主成分、ポルトランドセメント、非晶質カルシウムアルミネート、及び無水石膏
Claims (13)
- CaO/Al2O3モル比が0.75〜1.5のカルシウムアルミネート、シリカ質微粉末、炭酸リチウム、炭酸リチウム以外のアルカリ炭酸塩、有機酸、及び細骨材を含有してなる超速硬・高流動モルタル組成物。
- シリカ質微粉末が、該カルシウムアルミネート100部に対して、1〜20部であることを特徴とする請求項1に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- 炭酸リチウムが、該カルシウムアルミネート100部に対して、0.1〜2部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- 炭酸リチウム以外のアルカリ炭酸塩が、該カルシウムアルミネート100部に対して、0.1〜1部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- 有機酸が、該カルシウムアルミネート100部に対して、0.1〜0.5部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- 細骨材が、該カルシウムアルミネート100部に対して、100〜175部であることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- カルシウムアルミネートの強熱減量が1%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- シリカ質微粉末が、酸性シリカフュームを含有することを特徴とする請求項1〜請求項7のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- さらに、ガス発泡物質を含有することを特徴とする請求項1〜請求項8のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- さらに、繊維物質を含有することを特徴とする請求項1〜請求項9のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物。
- 水と、請求項1〜請求項10のうちの1項に記載の超速硬・高流動モルタル組成物とを混合してなる超速硬・高流動モルタル。
- 水の使用量が、該カルシウムアルミネートとシリカ質微粉末からなる結合材100部に対して、30〜40部であることを特徴とする請求項11に記載の超速硬・高流動モルタル。
- J14ロート流下値が8±3秒であることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の超速硬・高流動モルタル。
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