JP4925564B2 - 超速硬セメント混和材、超速硬セメント組成物、超速硬グラウトモルタル、及びそれを用いたモルタル硬化体 - Google Patents

超速硬セメント混和材、超速硬セメント組成物、超速硬グラウトモルタル、及びそれを用いたモルタル硬化体 Download PDF

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Description

本発明は、主に、土木・建築業界において使用される超速硬セメント混和材、超速硬セメント組成物、及び超速硬グラウトモルタルに関する。
グラウトモルタルの合理化施工には、超速硬性で自己充填性やセルフレベリング性をもつ超速硬グラウトモルタルは欠かすことのできない材料である。
従来、超速硬グラウトモルタルは、3時間で所要の強度を発現し、硬化後に程よい膨張性を示すことから、コンクリート構造物との強固な一体化を早期に実現可能な、魅力ある材料として提案されている(特許文献1〜特許文献4)。
しかしながら、従来の超速硬グラウトモルタルは、硬化するまでの間の沈下が認められるという課題を有するものであった。
また、従来の超速硬グラウトモルタルは、硬化時には程よい膨張性を呈すること、さらに硬化が迅速に進むことから、通常のグラウトモルタルと比べるとひび割れを生じにくい材料であるが、硬化する前のまだ固まらない状態の段階で極度の乾燥状態におかれると、ひび割れを生じる場合もあり、そのひび割れ抵抗性の更なる向上が求められていた。
近年では、超速硬グラウトモルタルに対する要求はますます高まっており、従来の超速硬グラウトモルタルの要求性能である、優れた流動性、ブリージングの防止、強度発現性、及び温度依存性が小さいことなどについても、さらなる向上が求められているのが現状である。
例えば、流動性に関して見ると、橋脚の鋼板巻き立て工法等に使用される場合には縦方向にモルタルが充填されることになる。
逆に、大型しゅう座へのグラウト工法では平面的に、しかも大断面で横方向への充填性が要求される。
縦方向への充填では、材料分離が生じやすいことより、流動性はやや軽視してでも材料分離抵抗性が重視される。
一方、横方向への充填性が求められる場合には、材料分離は生じにくいが、セルフレベリング性が重視される。
これらは、相反する要求性能であるため、一般的には、縦型充填に向くグラウト材は横型充填には向かない傾向にあり、縦型充填と横型充填の双方で良好な性能を発揮するグラウト材の開発が必要となってきている。
超速硬グラウトモルタルは、適度な可使時間を確保するために凝結調整剤が添加され、可使時間を長く確保したい場合には、凝結調整剤をより多く添加する必要がある。
この場合、殊に冬場等低温環境下では、硬化体表面に美観を損ねる模様、いわゆる斑点が発生する場合もしばしば見受けられる。
斑点は強度発現性や耐久性の面では、悪影響をおよぼすものではないが、美観上の面から嫌われることも多く、その対策も求められていた。
一方、炭素物質を含むグラウト材も提案されている(特許文献5〜特許文献6)。
しかしながら、これらのグラウト材は急硬性を示すものではなく、また、縦型充填と横型充填の双方で良好な性能を発揮するものでもなかった。
そこで、本発明者は、前記課題を解決すべく、種々の努力を重ねた結果、特定の超速硬セメント混和材を使用することによって、流動性、ブリージングの防止、強度発現性、及び温度依存性が小さいことなどの要求性能をより高めることに加えて、従来の超速硬グラウトモルタルに要求されていた硬化前の沈下現象の改善や、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上、並びに、斑点問題を解消でき、さらに、縦方向や横方向の双方に良好な充填性能を発揮することを知見し、本発明を完成するに至った。
特開平03−012350号公報 特開平01−230455号公報 特開平11−021160号公報 特開平11−139859号公報 特開平03−199285号公報 特開平08−333145号公報
本発明は、流動性、ブリージングの防止、強度発現性、及び温度依存性が小さいことなどの要求性能をより高めることに加えて、従来の超速硬グラウトモルタルに要求されていた、硬化前の沈下現象の改善、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上、及び斑点問題を解消でき、さらに、縦方向や横方向の双方に良好な充填性能を発揮する超速硬グラウトモルタルを提供する。
本発明は、強熱減量が2%以上でブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gの非晶質カルシウムアルミネート40〜70部とブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gのセッコウ類60〜30部からなる急硬成分水分含有量が1%以下で平均粒径が100μm以下の炭素物質、流動化剤、及び凝結調整剤を含有してなる超速硬セメント混和材であり、炭素物質が、セメントと急硬成分からなる結合材100部に対して5〜15部であることを特徴とする超速硬セメント混和材であり、セメントと、超速硬セメント混和材とを含有してなる超速硬セメント組成物であり、セメントと、カルシウムアルミネートとセッコウ類からなる急硬成分とからなる結合材100部中、急硬成分が10〜50部であることを特徴とする超速硬セメント組成物であり、超速硬セメント組成物と細骨材とを含有してなる超速硬モルタル組成物であり、超速硬モルタル組成物と、水とを含有してなる超速硬グラウトモルタルである。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明で使用するカルシウムアルミネート(以下、CAという)とは、CaOとAl2O3を主成分とする化合物を総称するものであり、具体例としては、例えば、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、及び3CaO・3Al2O3・CaSO4などと表される結晶性のカルシウムアルミネートや、CaOとAl2O3成分を主成分とする非晶質の化合物が挙げられる。
CAを得る方法としては、CaO原料とAl2O3原料等をロータリーキルンや電気炉等によって熱処理して製造する方法が挙げられる。
CAを製造する際のCaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻等の炭酸カルシウム、消石灰等の水酸化カルシウム、あるいは生石灰等の酸化カルシウムが挙げられる。
また、Al2O3原料としては、例えば、ボーキサイトやアルミ残灰と呼ばれる産業副産物のほか、アルミ粉等が挙げられる。
本発明のCAのCaO/Al2O3モル比は、0.75〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。CaO/Al2O3モル比が0.75未満では充分な強度発現性が得られない場合があり、CaO/Al2O3モル比が3を超えると充分な流動性や可使時間が得られない場合がある。
CAを工業的に製造すると、例えば、Li2O、Na2O、K2O、MgO、TiO2、MnO、Fe2O3、SiO2、P2O5、S、及びFなどの不純物が含まれることがある。
これらの不純物の存在は本発明の目的を実質的に阻害しない範囲、通常は、不純物の合計が10%以下の範囲では、特に問題とはならない。
また、本発明では、4CaO・Al2O3・Fe2O3、6CaO・2Al2O3・Fe2O3、及び6CaO・Al2O3・2Fe2O3などのカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Fe2O3やCaO・Fe2O3などのカルシウムフェライト、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2やアノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2などのカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2、及びモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、及びランキナイト3CaO・2SiO2、ワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、カルシウムチタネートCaO・TiO2、遊離石灰、並びに、リューサイト(Na2O、K2O)・Al2O3・SiO2などを含む場合がある。本発明ではこれらの結晶質または非晶質が混在していても良い。
CAの粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,000〜9,000cm2/gが好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が充分でない場合があり、9,000cm2/gを超えると流動性や可使時間の確保が困難になる場合がある。
CAの強熱減量は、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。CAの強熱減量が1%未満では、流動性や可使時間の確保が困難となったり、斑点が発生しやすくなる場合がある。
強熱減量を1%以上とする方法は特に限定されるものではないが、水分や湿分を供給する方法や炭酸ガスを供給する方法等が挙げられる。
本発明で使用するセッコウ類とは、無水、半水、及び二水の各セッコウを総称するものであり特に限定されるものではないが、強度発現性の面から、無水又は半水セッコウの使用が好ましく、無水セッコウの使用がより好ましい。
セッコウ類の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000〜9,000cm2/gが好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では寸法安定性が悪くなる場合があり、9,000cm2/gを超えると、流動性の確保が困難になる場合がある。
CAとセッコウ類の配合割合は、CAとセッコウ類からなる急硬成分100部中、CA30〜70部で、セッコウ類70〜30部が好ましく、CA40〜60部で、セッコウ類60〜40部がより好ましい。CAが30部未満で、セッコウ類が70部を越えると、初期強度の発現性が充分でない場合や寸法安定性が悪くなる場合があり、CAが70部を越え、セッコウ類が30部未満では、可使時間の確保が困難となる場合がある。
CAとセッコウ類からなる急硬成分の配合割合は、セメントと急硬成分からなる結合材100部中、10〜50部が好ましく、20〜40部がより好ましい。10部未満では初期強度発現性や材料分離抵抗性が良好とならない場合があり、50部を越えると可使時間の確保が困難になったり、寸法安定性が悪くなる場合がある。
ここで、セメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末等や高炉徐冷スラグ微粉末を混合したフィラーセメント、各種の産業廃棄物を主原料として製造される環境調和型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が併用可能である。本発明では、初期強度発現性の面から、また、材料分離抵抗性の面から、早強セメントを選定することが好ましい。
本発明で使用する炭素物質は、本発明の超速硬セメント組成物をグラウト材料として利用する場合、コンクリート構造物と一体化させるために、まだ固まらない状態のグラウトモルタルが沈下や収縮するのを抑止する働きや、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上を担うものであり、また、急硬性成分との相互作用によって、斑点の防止効果、ならびに、縦型構造物への充填性と横型構造物への充填性を共に改良方向に向かわせる役割を担うものである。
炭素物質は特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、流動コークス、石油コークス、石炭コークス、無煙炭、未燃炭、カーボンブラック、及び活性炭等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
炭素物質の粒度は特に限定されるものではないが、平均粒径が100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。平均粒径が100μmを超えると、本発明の効果、即ち、まだ固まらない状態のグラウトモルタルが沈下や収縮するのを抑止する働きや、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上、また、急硬性成分との相互作用によって、斑点の防止効果、ならびに、縦型構造物への充填性と横型構造物への充填性を共に改良方向に向かわせる効果等が充分に得られない場合がある。
炭素物質の水分量は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。炭素物質の水分量が2%を超えると、まだ固まらない状態のグラウトモルタルが沈下や収縮するのを抑止する働きや、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性が充分に得られない場合がある。
炭素物質の配合割合は特に限定されるものではないが、通常、セメントと急硬成分からなる結合材100部に対して、3〜15部が好ましく、5〜10部がより好ましい。3部未満では充分な初期膨張効果を付与することができない場合や斑点の防止効果が得られない場合があり、15部を超えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明で使用する流動化剤としては特に限定されるものではないが、ナフタレン系、メラミン系、アミノスルホン酸系、及びポリカルボン酸系流動化剤が挙げられ、その具体例としては、例えば、ナフタレン系流動化剤としては、エヌエムビー社製商品名「レオビルドSP-9シリーズ」、花王社製商品名「マイティ2000シリーズ」、及び日本製紙社製商品名「サンフローHS-100」などが挙げられ、メラミン系流動化剤としては、日本シーカ社製商品名「シーカメント1000シリーズ」や日本製紙社製商品名「サンフローHS-40」などが挙げられ、アミノスルホン酸系流動化剤としては、藤沢薬品工業社製商品名「パリックFP-200シリーズ」などが挙げられ、ポリカルボン酸系流動化剤としては、エヌエムビー社製商品名「レオビルドSP-8シリーズ」、グレースケミカルズ社製商品名「ダーレックススーパー100PHX」、及び竹本油脂社製商品名「チューポールHP-8シリーズ」や「チューポールHP-11シリーズ」などが挙げられ、本発明ではこれら流動化剤のうちの一種又は二種以上が使用可能である。
流動化剤には、ポリアルキルアリルスルホン酸塩の縮合物、ナフタレンスルホン酸塩の縮合物、メラミン系、及びポリカルボン酸系の粉末状の流動化剤もある。具体的には、ポリアルキルアリルスルホン酸塩の縮合物としては、第一工業製薬社製商品名「セルフロー110P」や出光石油化学社製商品名「IPC」などが、ナフタレンスルホン酸塩の縮合物としては、花王社製商品名「マイティ100」や三洋化成工業社製商品名「三洋レベロンP」などが、メラミン系の粉末状の流動化剤としては、シーカ社製「シーカメントFF」などが、及びポリカルボン酸系の粉末状の流動化剤としては、三菱化成社製商品名「クインフロー750」や花王社製商品名「CAD9000P」などが挙げられる。
流動化剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、結合材100部に対して、固形分換算で0.1部〜2部が好ましい。0.1部未満では流動性が充分でなく、2部を超えると材料分離を起す場合がある。
本発明で使用する凝結調整剤は特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウムなどの塩等の有機酸、さらに、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩が挙げられ、本発明では、充分な可使時間と初期強度発現性の双方を満足する面から、有機酸とアルカリ炭酸塩の併用が好ましい。
凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、結合材100部に対して、0.1〜2部が好ましく、0.3〜1部がより好ましい。0.1部未満では可使時間の確保が困難な場合があり、2部を超えて使用すると強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明では、CA、セッコウ類、炭素物質、流動化剤、及び凝結調整剤を含有してなる超速硬セメント混和材を使用するものであり、さらには、セメントと、該超速硬セメント混和材とを含有してなる超速硬セメント組成物を使用するものである。
本発明で使用する細骨材は、発熱量や寸法変化の低減や、耐久性の確保の面から重要な役割を果たすもので、特に限定されるものではないが、具体例としては、例えば、ケイ砂系、石灰石系、高炉水砕スラグ系、及び再生骨材系等の細骨材に分類される。本発明では、耐酸性などの面からケイ砂系細骨材を使用することが好ましい。
細骨材の使用量は、超速硬セメント組成物100部に対して、50〜200部が好ましい。50部未満では発熱量が大きすぎる場合や、収縮が大きくなり、ひび割れが生じやすい場合があり、200部を超えると優れた流動性や初期強度発現性が得られない場合がある。
水の使用量は、使用する目的・用途や各材料の配合割合によって変化するため特に限定されるものではないが、通常、水結合材比で30〜40%が好ましく、33〜37%がより好ましい。水結合材比が30%未満では流動性を得ることが難しく、また、発熱量が極めて大きくなる場合があり、40%を超えると強度発現性を確保することが困難な場合がある。
本発明では、セメント、CA、セッコウ類、炭素物質、流動化剤、及び凝結調整剤とともに、強度発現性の改善や耐酸性の向上、可使時間の確保に加えて、寸法安定性を良好にする面からシリカ質微粉末を併用することが可能である。
シリカ質微粉末(以下、シリカ粉という)としては、高炉水砕スラグ微粉末、フライアッシュ、及びシリカフュームなどの潜在水硬性物質やポゾラン物質が挙げられ、本発明では、シリカフュームの使用が好ましく、中でも酸性シリカフュームの使用がより好ましい。
酸性シリカフュームとは、シリカフューム1gを純粋100ccに入れて攪拌した時の上澄み液のpHが5.0以下の酸性を示すものを言う。
る。
シリカ粉の粉末度は特に限定されるものではないが、通常、高炉水砕スラグ微粉末とフライアッシュは、ブレーン値で3,000〜9,000ccm2/g程度であり、シリカフュームは、BET比表面積で2〜20万m2/g程度である。
シリカ粉の使用量は、急硬成分100部に対して、5〜100部が好ましく、10〜50部がより好ましい。5部未満では強度発現性の改善、耐酸性の向上、及び可使時間の確保に加えて、寸法安定性を良好にするなどの効果が得られず、逆に、100部を超えると流動性が得られにくく、また、初期の強度発現性が改悪される場合もある。
本発明では、さらに、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、下水汚泥焼却灰やその溶融スラグ、都市ゴミ焼却灰やその溶融スラグ、及びパルプスラッジ焼却灰等の混和材料、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、スチールファイバー、ビニロンファイバー、炭素繊維、及びワラストナイト繊維等の繊維物質、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。
本発明は、流動性、ブリージングの防止、強度発現性、及び温度依存性が小さいことなどの要求性能をより高めることに加えて、従来の超速硬グラウトモルタルに要求されていた硬化前の沈下現象の改善、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上、及び斑点問題を解消でき、さらに、縦方向や横方向の双方に良好な充填性能を発揮するなどの効果を奏する。
セメント70部、表1に示すCA15部、及びセッコウ類A15部と、セメント、CA、及びセッコウ類からなる結合材100部に対して、炭素物質a7部、固形分換算の流動化剤1.2部、及び凝結調整剤0.7部を配合して超速硬セメント組成物を調製した。
調製した超速硬セメント組成物100部に対して、細骨材150部と、結合材100部に対して、35部の水を混合して超速硬グラウトモルタルを調製し、モルタルの流動性、可使時間、初期膨張率、及び圧縮強度を測定し、ブリージング、初期ひび割れ、及び斑点の有無を観察した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント :早強ポルトランドセメント、ブレーン値4,500cm2/g、市販品
CAイ :CaO/Al2O3モル比1.7、強熱減量1.0%、結晶質、主成分CaO・Al2O3と12CaO・7Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CAロ :CaO/Al2O3モル比1.0、強熱減量2.0%、非晶質、主成分CaO・Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CAハ :CaO/Al2O3モル比1.5、強熱減量2.0%、非晶質、主成分CaO・Al2O3と12CaO・7Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
CAニ :CaO/Al2O3モル比1.7、強熱減量0.5%、非晶質、CAイに試薬1級のシリカを3%添加して、1,650℃で溶融後、急冷して合成、ブレーン値5,000cm2/g
CAホ :CaO/Al2O3モル比1.7、強熱減量1.0%、非晶質、CAニに湿分を付与、ブレーン値5,000cm2/g
CAヘ :CaO/Al2O3モル比1.7、強熱減量2.0%、非晶質、CAニに湿分を付与、ブレーン値5,000cm2/g
CAト :CaO/Al2O3モル比2.0、強熱減量2.0%、非晶質、主成分CaO・Al2O3と12CaO・7Al2O3、ブレーン値5,000cm2/g
セッコウ類A:無水セッコウ、市販品、ブレーン値4,000cm2/g
炭素物質a:流動コークス、市販品、平均粒径45μm、水分量0.2%
流動化剤 :主成分ポリアルキルアリルスルホン酸塩の縮合物
凝結調整剤:試薬1級のクエン酸25部と試薬1級の炭酸カリウム75部の混合物
細骨材 :石灰砂、4mm下品
水 :水道水
<測定方法>
流動性 :J14ロートはJSCEに準じて、J14ロート流下値を測定して縦方向への流れを評価、フロー値はJIS R 5201に準じて、タッピングは行わず、静置フロー値を測定し横方向への流れを評価
可使時間 :J14ロート流下値が20秒を超え、充分な流し込みできなくなった時点
初期膨張率:材齢1日の膨張率を土木学会「コンクリート標準示方書[規準編]PCグラウトの膨張率試験方法」に従い測定、表中の−は収縮側、+は膨張側を示す
圧縮強度 :モルタルを型枠に詰めて4×4×16cmの成形体を作成し、材齢3時間の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定
ブリージング:5cmφ×50cmの円筒型ビニール袋にモルタルを充填して吊し、ブリージングの有無を観察することによって縦方向に充填した際の材料分離抵抗性を評価
初期ひび割れ:プラスティックひび割れ抵抗性、既設コンクリート上にグラウトモルタルを厚さ2cm、縦2m、横50cmの面積で打設し、送風機によって打設したグラウトモルタル表面に温風を吹き込み、材齢3時間後にひび割れの有無を観察、○はひび割れの発生なし、△はひび割れが1〜2本発生、×は2本を超えてひび割れが発生
斑点の有無:アクリル板で型枠を組んだ型枠にグラウトモルタルを流し込み、材齢1日後に脱型し、アクリル板との接触面に発生した斑点を観察、○は斑点の発生なし、△はわずかに斑点が発生、×は斑点が顕著に発生
Figure 0004925564

CAへを使用し、CAとセッコウ類からなる急硬成分100部中、表2に示す量のセッコウ類を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
<使用材料>
セッコウ類B:半水セッコウ、市販品、ブレーン値比表面積4,000cm2/g
セッコウ類C:二水セッコウ、市販品、ブレーン値比表面積4,000cm2/g
Figure 0004925564

CAヘを使用し、表3に示す炭素物質を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。
なお、比較例として、炭素物質の代わりに、従来のガス発泡物質であるアルミニウム粉を使用して同様に行った。結果を表3に併記する。
<使用材料>
炭素物質b:ホンゲイ産無煙炭の粉砕品、平均粒径35μm、水分量2.0%
炭素物質c:炭素物質bの乾燥品、平均粒径35μm、水分量1.0%
炭素物質d:市販のカーボンブラック、平均粒径30μm、水分量0.1%
炭素物質e:ホンゲイ産無煙炭の粉砕品、平均粒径35μm、水分量3.0%
従来のガス発泡物質:アルミニウム粉、市販品
Figure 0004925564
CAヘを使用し、結合材100部中、CA15部とセッコウ類A15部からなり、表4に示す量の急硬成分を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
Figure 0004925564
CAヘを使用し、超速硬セメント組成物100部に対して、表5に示す量の細骨材を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
Figure 0004925564
本発明の超速硬セメント組成物は、流動性、ブリージングの防止、強度発現性、温度依存性が小さいことなどの要求性能をより高めることに加えて、従来の超速硬グラウトモルタルに要求されていた硬化前の沈下現象の改善や乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性の向上、斑点問題を解消でき、さらに、縦方向や横方向の双方に良好な充填性能を発揮する超速硬グラウトモルタルが得られるため、縦方向や横方向に関係なく、橋脚の鋼板巻き立て工法、大型しゅう座の充填工法、その他の間隙充填、セルフレベリング床材等、土木および建築用途に広範に利用できる。

Claims (6)

  1. 強熱減量が2%以上でブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gの非晶質カルシウムアルミネート40〜70部とブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gのセッコウ類60〜30部からなる急硬成分水分含有量が1%以下で平均粒径が100μm以下の炭素物質、流動化剤、及び凝結調整剤を含有してなる超速硬セメント混和材。
  2. 炭素物質が、セメントと急硬成分からなる結合材100部に対して5〜15部であることを特徴とする請求項1に記載の超速硬セメント混和材。
  3. セメントと、請求項1又は2に記載の超速硬セメント混和材とを含有してなる超速硬セメント組成物。
  4. セメントと、カルシウムアルミネートとセッコウ類からなる急硬成分とからなる結合材100部中、急硬成分が10〜50部であることを特徴とする請求項3に記載の超速硬セメント組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の超速硬セメント組成物と細骨材とを含有してなる超速硬モルタル組成物。
  6. 請求項5に記載の超速硬モルタル組成物と、水とを含有してなる超速硬グラウトモルタル。
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