図1は、本発明の実施の形態に係る自動原稿搬送機構を装備するコピー・ファクシミリ複合機100(画像読取装置)の上部の断面を示す図である。図に示すように、該コピー・ファクシミリ複合機100は、FBSとしての機能を有する読取載置台101と、自動原稿搬送機構としてADF(原稿搬送装置)1を装備し、図2に示すように、読取載置台101の上面に対してヒンジ90を介して開閉可能に設けられた原稿押圧板102とからなるものである。前記読取載置台101は、図1に示すように、略直方体の筐体10の上面に、FBSにて原稿を読取る際の原稿読取面であるプラテンガラス11と、ADF1にて原稿の表面を読取る際の原稿読取面であるプラテンガラス12とが設けられ、筐体10内には原稿の画像を読取るCCD読取ユニット13(画像読取手段)が内蔵されている。
前記コピー・ファクシミリ複合機100を用いてFBSにて原稿を読取るには、原稿押圧板102を開き、読取載置台101のプラテンガラス11上に文書等の原稿を載置して原稿押圧板102を閉じ、該原稿に対してCCD読取ユニット13を走査して画像読取りを行う。一方、ADF1にて原稿の表面を読取るには、ADF1により1枚ずつ搬送された原稿が、読取位置P1において読取載置台101のプラテンガラス12上を通過する際に、該プラテンガラス12の下方に移動したCCD読取ユニット13で画像読取りを行う。
前記読取載置台101は、図2に示すように、原稿の読取り開始等を入力するための操作パネル103(入力手段)や、原稿押圧板102が読取載置台101の上面に接触しているか否かに基づき原稿押圧板102の開閉状態を検出する接触センサである第1開閉センサ104を具備している。なお、この第1開閉センサ104は原稿押圧板102に具備してあってもよく、また、原稿押圧板102に設けるマグネットの磁気を検出する磁気センサであってもよい。また、コピー・ファクシミリ複合機100には、図示しないが、更に、記録用紙に画像を記録する画像記録部、画像を電送するための送信部、及び読取った画像を記録するための記録用紙を供給する給紙カセット等の周知の構成をも具備しており、また、これら周知の構成は一例且つ任意のものである。
CCD読取ユニット13は、読取位置へ光を照射する光源と、原稿からの反射光を所定の方向へ導くための複数の反射ミラーと、反射光を収束する集光レンズ14と、該収束光を電気信号に変換して出力する電荷結合素子(Charge Coupled Device、以下「CCD」という。)15とを備える所謂縮小光学系の読取ユニットであり、光源と一部の反射ミラーは、駆動機構によりプラテンガラス11に対して水平に往復移動する走査部16に配設されている。このように構成されたCCD読取ユニット13は、FBSにて原稿を読取るときには、走査部16がプラテンガラス11に対して水平に移動しながらプラテンガラス11上の原稿を走査し、該原稿からの反射光をCCD15へ導いて結像する。また、ADF1にて原稿を読取るときには、走査部16がプラテンガラス12の下方へ移動して、ADF1により読取位置P1を通過する原稿の画像を走査し、該原稿からの反射光をCCD15へ導いて結像する。なお、図には示していないが、CCD読取ユニット13により読取られて電気信号に変換された画像信号は、アナログ/デジタル変換、シェーディング処理等が施された後、プリンタ等の画像記録部により記録用紙に記録され、又はCODEC等の送信部により電送される。
前記原稿押圧板102は、図2に示すように、ヒンジ90により読取載置台101の原稿読取面11,12に対して開閉可能に軸支されて設けられており、図3に示すように、本体フレーム102aと該本体フレーム102aに対して開閉可能なADFカバー102bとにより形成された空間内に前記ADF1が装備されている。また、ADFカバー102bが本体フレーム102bに対して接触しているか否かに基づき、ADFカバー102aの開閉状態を検出する接触センサである第2開閉センサ503(図14参照)が、ADFカバー102bもしくは本体フレーム102aに具備されている。なお、この第2開閉センサ503は、対応して配設されたマグネットの磁気を検出する磁気センサであってもよい。
前記ADF1は、複数枚の原稿を積重状態で担持し原稿の供給部である原稿トレイ2と、横向き略U字状の搬送路3と、搬送後の原稿を積重状態で担持し原稿の排出部である排紙トレイ4と、原稿トレイ2上の原稿を搬送路3へ送り込む給紙ローラ5と、搬送路3において原稿をニップして搬送する搬送ローラ(搬送手段)6a〜6d及び従動ローラ7a〜7dと、搬送路3の出口付近に設けられた排紙ローラ8と、読取位置P2において原稿の裏面の画像読取りを行うCIS読取りユニット9とを具備してなるものである。該ADF1により、原稿トレイ2から搬送路3へ繰り込まれた原稿が、横向き略U字状の搬送路3に沿って上方から下方へUターンするように反転して読取位置P1に搬送されて、該読取位置P1を通過する際に前記CCD読取ユニット13により原稿の表面の画像が読取られ、更に搬送路3を搬送されて読取位置P2を通過する際にCIS読取ユニット9により原稿の裏面の画像が読取られ、その後、原稿トレイ2の下方の排紙トレイ4へ排出されるようになっている。なお、本コピー・ファクシミリ複合機100による原稿の両面読取りは任意であり、片面読取りのみ行うことも勿論可能である。
原稿トレイ2は、原稿押圧板102の上部に、原稿を供給する方向へ若干傾斜させて設けられており、その上面において複数枚の原稿を積重状態で担持するようになっている。使用者が原稿トレイ2上に原稿を載置する場合には、原稿トレイ2の傾斜下端側に原稿の先端を搬送路3の入口に挿入するようにして載置する。なお、図には示していないが、原稿トレイ2には、原稿の幅方向の位置を規制して原稿の斜め送りを防止する可変式のガイドが設けられている。一方、排紙トレイ4は原稿トレイ2と上下2段となるように設けられており、原稿押圧板102の本体フレーム102aに一体として形成されている。
搬送路3は、図3に示すように、原稿トレイ2から排紙トレイ4へ横向き略U字状に形成されており、その折返し部分の直下流で前記プラテンガラス12と相対する読取位置P1を通過し、さらに読取位置P1の下流側の読取位置P2であるCIS読取ユニット9の下方を通過して排紙トレイ4へ連通している。該搬送路3は内側ガイド面と外側ガイド面とが所定の厚みの原稿が通過可能な一定間隔で対向することにより形成されており、本体フレーム102aに配設されたガイド部材であるペーパガイド30及び中間フレーム102cが内側ガイド面を構成し、本体フレーム102a及びADFカバー102bが外側ガイド面を構成している。
給紙ローラ5は、搬送路3の入口付近においてADFカバー102bに配設されて、原稿トレイ2から繰り込まれた原稿と圧接しながら回転することにより該原稿を搬送路3へ送り込むものであり、例えば、金属製のローラ軸にシリコン製やEPDM(Ethylene-Propylene-Diene Methilene linkage:エチレンプロピレンジエン三元共重合体)製のローラが固定されてなる。さらに、該給紙ローラ5の上流側には、原稿トレイ2に載置された原稿の最上紙を繰り出すためのピックアップローラ50がADFカバー102bに配設されている。ピックアップローラ50も、給紙ローラ5と同様に、原稿と圧接しながら回転することにより該原稿を搬送路3へ繰り込むものであり、不図示の給紙クラッチにより上下方向に揺動する揺動アーム51に支持されている。該揺動アーム51の揺動により、ピックアップローラ50は、原稿トレイ2に原稿を載置する際等の通常の状態では搬送路3を開放するように上昇しており、原稿繰込み時に原稿の最上紙と接触するように降下し、ピックアップローラ50及び給紙ローラ5が回転することにより、原稿の最上紙が搬送路3ヘ繰り込まれる。なお、ピックアップローラ50は搬送路3の内側ガイド面に接触するまで降下可能であるので、原稿枚数により原稿の束の厚さが変化しても常に最上紙と接触可能である。また、図には示していないが、前記原稿トレイ2の原稿の有無は原稿セットセンサにより検知され、該検知信号に基づいて制御手段が給紙ローラ5、ピックアップローラ50及び揺動アーム51の動作を制御するものとなっている。
一方、前記給紙ローラ5の下方において中間フレーム102cに分離パッド52が設けられている。該分離パッド52は、原稿に対する摩擦係数が給紙ローラ5の原稿に対する摩擦係数より低く、且つ原稿同士の摩擦係数より高いものであり、例えばウレタン系樹脂で成形することが可能である。このような分離パッド52が分離パッドホルダ53の上面に貼設されている。該分離パッドホルダ53は、搬送路3の内側ガイド面に揺動可能に嵌め込まれてコイルバネ54により上方向に付勢されており、これにより、分離パッド52が前記給紙ローラ5の搬送面に圧接され、該圧接部分を通過する原稿の厚みに応じて下方へ回動可能となっている。
また、前記中間フレーム102cには、CIS読取ユニット9が、装備されている。CIS読取ユニット9は、所謂密着形イメージセンサ(Contact Image Sensor、以下「CIS」という。)を用いたものであり、図に詳細は示していないが、光源により照射された原稿からの反射光を収束性ファイバで光導電素子上に収束して読取る固定式の読取手段である。該CIS読取ユニット9は、図3に示すように、前記CCD読取ユニット13が位置する搬送路3の対向側且つ下流側において中間フレーム102cに配設されており、これにより、搬送ローラ6dと従動ローラ7dとの間に圧接されニップされ搬送されてきた原稿の裏面の画像を読取る。プラテンローラ18はADF本体102aに配設され、搬送された原稿をCIS読取ユニット9に圧接するとともに、CIS読取ユニット9の白色基準となるものである。一般に、CIS読取ユニット9に採用されているCISは被写体深度が浅いので、前記プラテンローラ18により原稿をニップした状態で画像読取りを行うものとしている。なお、CIS読取ユニット9により読取られて電気信号に変換された画像信号も、前記CCD読取ユニット13と同様に、アナログ/デジタル変換、シェーディング処理等が施された後、プリンタ等の画像記録部により記録用紙に記録され、又はCODEC等の送信部により電送される。
搬送ローラ6a〜6dは、給紙ローラ5により送り込まれた原稿を、夫々と対向する従動ローラ7a〜7dとの間に圧接しニップして搬送路3に沿って搬送し、読取位置P1及び読取位置P2を一定速度にて通過させ、さらに下流側の排紙ローラ8へ搬送するものである。搬送ローラ6a,6bは、横向き略U字状の搬送路3の折返し部分より上流側に位置し、給紙ローラ5により搬送路3に送り込まれてきた原稿を、搬送路3の折返し部分より下流側へ搬送するものである。一方、搬送ローラ6cは、横向き略U字状の搬送路3の下流側であって読取位置P1の直上流に位置し、搬送ローラ6dは、横向き略U字状の搬送路3の下流側であって読取位置P1の直下流に位置し、前記搬送ローラ6a,6bにより搬送されてきた原稿を、読取位置P1及び読取位置P2へ順次搬送するものである。したがって、原稿の表面を読取る読取位置P1に対して、搬送ローラ6c,6dが原稿をニップして読取位置P1を所定速度で搬送し、原稿の裏面を読取る読取位置P2に対して、搬送ローラ6d及び排紙ローラ8が原稿をニップして読取位置P2を所定速度で搬送するようになっている。
前記搬送ローラ6a〜6dは、図4に示すように、本体フレーム102aに固定されたペーパガイド30に回動自在に軸支された各ローラ軸60a〜60dに複数のローラ本体61a〜61dが軸方向に所定間隔でそれぞれ固定されてなるものであり、例えば、金属製のローラ軸にシリコン製やEPDM製のローラが固定されてなり、本実施の形態では1本のローラ軸60a〜60dに4個のローラ本体61a〜61dが夫々設けられているが、ローラ本体61a〜61dの数や位置は、搬送すべき原稿のサイズ等を考慮して適宜設定される。
前記ペーパガイド30は、図4に示すように、横向き略U字状の搬送路3の折返し部分より上流側の内側ガイド面を構成する上側ペーパガイド31と、該上側ペーパガイド31の両側に設けられたサイドフレーム32とがプラスチック材により一体成形されており、更に、上側ペーパガイド31の下側に、搬送路3の折返し部分より下流側の内側ガイド面をともに構成する下側ペーパガイド(アクセス部材)33と、ガイドカバー34及びプラテンガイド35(アクセス部カバー)が配設されてなるものである。以下、このペーパガイド30の構成をさらに詳細に説明する。
上側ペーパガイド31及びサイドフレーム32のプラスチック材は、金型を用いて一体成形可能な合成樹脂であり、例えばABSやハイインパクトポリスチレン、これらにガラス繊維等の補強材を添加したものを用いることができる。上側ペーパガイド31は、その上面の上流側が前記原稿トレイ2と同様に傾斜し、且つ下流側が下方へ向かって湾曲した形状の上部ガイド面310を有しており、該上部ガイド面310が、横向き略U字状の搬送路3の折返し部より上流側の内側ガイド面を構成する。該上部ガイド面310には紙送り用リブ311が幅方向に列設されており、上部ガイド面310を摺動しながら湾曲する原稿との接触面を少なくして該原稿に与える摩擦力を軽減している。
また、前記上部ガイド面310には、原稿の搬送方向と直交する方向に凹陥溝314が形成されている。該凹陥溝314は、上部ガイド面310に配設する搬送ローラ6bを収納するために、上部ガイド面310とともにペーパガイド30に一体的に形成されており、搬送ローラ6bのローラ本体61bの外形より若干大きな断面U字状の溝である。搬送ローラ6bのローラ本体61bに対応する凹陥溝314の各位置では、前記紙送りリブ311が、凹陥溝314の上流壁及び下流壁から溝幅を狭める方向に突出されている。
サイドフレーム32は、前記上側ペーパガイド31の両側に一体成形されたものであり、搬送ローラ6a〜6dを支持するとともに、上側ペーパガイド31を補強している。各サイドフレーム32の周縁には、図6に示すように、補強リブ320が水平方向外側に突設されて、各サイドフレーム32の剛性を高めている。該補強リブ320には適宜貫通孔321が穿設されており、これら貫通孔321にネジ等の固定具を挿通して、前記原稿押圧板102の本体フレーム102aにペーパガイド30をネジ止めにて固定する。また、両サイドフレーム32には、各搬送ローラ6a〜6dのローラ軸60a〜60dが挿通される貫通孔322が夫々穿設されている。該貫通孔322に各ローラ軸60a〜60dが夫々挿通されて回転自在に支持されることにより、各搬送ローラ6a〜6dが上側ペーパガイド31に対して所定位置に配設される。
次に、搬送ローラ6a〜6dの駆動伝達機構を図面に基づいて説明する。該駆動伝達機構は、図5に示すように、前記サイドフレーム32の側方に配設されている。搬送ローラ6a〜6dを駆動させる駆動源である駆動モータ400は、コピー・ファクシミリ複合機100の電源501(図14参照)に電気的に接続されるとともに、本体フレーム102aの前記ヒンジ90(図2参照)側に配設されている。駆動モータ400の駆動軸401には駆動ギア402が設けられ、さらに電磁クラッチ403を介して駆動ギア404が設けられている。この電磁クラッチ403は、制御手段500(図14参照)によって制御される電流が流入することによって、電磁石が励磁され可動鉄片(アーマチュア)を吸引し摩擦板と接触させて、駆動モータ400から駆動ギア404への駆動伝達を接続する。一方、前記電流の流入がないと、電磁クラッチ403は駆動モータ400から駆動ギア404への駆動伝達を切断する。この電磁クラッチ403は、ADFカバー102b(図3参照)が開いたことに連動させて、搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を切断して自由回転状態とし、紙詰まりを解消するために設けられている。
駆動モータ400の駆動軸401に、電磁クラッチ403を介して連結された駆動ギア404には、図6に示すように、搬送ローラ6dのローラ軸60dに連結された搬送ギア405が噛合して駆動モータ400から搬送ローラ6dに駆動伝達が行われている。さらに、このローラ軸60dに連結された搬送プーリ406から搬送ローラ6cのローラ軸60cに連結された搬送プーリ407にベルト408が巻架され、前記駆動モータ400から電磁クラッチ403を介して搬送ローラ6cに駆動伝達が行われている。前記駆動モータ400の駆動軸401に連結された駆動ギア402には、搬送ローラ6bのローラ軸60bに連結された搬送ギア409が噛合して駆動モータ400から搬送ローラ6bに駆動伝達が行われている。さらに、駆動ギア402には、搬送ローラ6aのローラ軸60aに連結された搬送ギア410が中間ギア411を介して噛合しており、駆動モータ400から搬送ローラ6aに駆動伝達が行われている。なお、これら駆動伝達機構は一例であり、他の駆動機構を採用することも勿論可能である。このような駆動伝達機構により上側ペーパガイド31に軸支された各搬送ローラ6a〜6dが回転される。
前記上側ペーパガイド31の下側に配設される下側ペーパガイド33及びガイドカバー34は、プラスチック材により夫々成形されたものであり、図7に示すように、上側ペーパガイド31に下側ペーパガイド33が配設され、該下側ペーパガイド33にガイドカバー34とプラテンガイド35とが配設されて、横向き略U字状の搬送路3の折返し部分より下流側の内側ガイド面を構成する。該プラテンガイド35は、読取位置P1において内側ガイド面として原稿の通過位置を規制するとともに、CCD読取ユニット13の白色基準として用いられるものである。下側ペーパガイド33は、スナップフィットにより上側ペーパガイド31に嵌着できるようになっている。また、ガイドカバー34は、スナップフィットにより下側ペーパガイド33に、前記本体フレーム102aの画像読取用開口20から嵌着できるようになっている。プラテンガイド35は、下側ペーパガイド33に形成された支軸339に支持されるとともに、本体フレーム102aの画像読取用開口20から下側ペーパガイド33に嵌着できるようになっている。以下、これら下側ペーパガイド33、ガイドカバー34及びプラテンガイド35について詳細に説明する。
下側ペーパガイド33は、図4、図7及び図8に示すように、上側ペーパガイド31の下側に配設されて、その下面330a,330bが搬送路3の折返し部分より下流側の内側ガイド面を構成するものである。下側ペーパガイド33の下面330aは、搬送路3の折返し部分より下流側の内側ガイド面の内、読取位置P1より上流側の内側ガイド面を構成する。一方、下側ペーパガイド33の下面330bは、搬送路3の折返し部分より下流側の内側ガイド面の内、読取位置P1より下流側の内側ガイド面を構成する。下側ペーパガイド33の上流端には、原稿幅方向に所定間隔で爪331が突設されており、両側壁には係止孔332aが形成された突片332が水平方向外側に突設されている。一方、前記上側ペーパガイド31には、搬送路3の折り返し部分に相当するガイド面310の下流端であって前記各爪331に対応する位置に係止孔316が夫々穿設されており、また、図7に示すように、上側ペーパガイド31の両側付近であって前記突片332に対応する位置に鉤状の係止爪317が形成されている。図8に示すように、下側ペーパガイド33の爪331が上側ペーパガイド31の係止孔316に嵌挿されるとともに、図9に示すように、下側ペーパガイド33の突片332の係止孔332aに上側ペーパガイド31の係止爪317が挿通されて、鉤部317aにより突片332を係止することにより、上側ペーパガイド31に下側ペーパガイド33が組み付けられる。係止爪317は、上側ペーパガイド31と一体成形された合成樹脂製のものであり、前記係止孔332に挿通させる際には上流側へ傾くように変形させることが容易なので、工具等を用いることなく下側ペーパガイド33を上側ペーパガイド31に組み付けることができる。
また、下側ペーパガイド33には、図8及び図10に示すように、下面330aと下面330bとの間、即ち読取位置P1にアクセス部333が凹設されている。該アクセス部333は、読取位置P1の直上流及び直下流の各搬送ローラ6c,6d間において下面330a,330bの幅方向に渡って凹設されており、上流側より下流側の凹みが大きい2段の凹みとなっている。該アクセス部333の上流側及び下流側の各上隅部には、前記各搬送ローラ6c,6dのローラ本体61c,61dに対応する位置に抜き穴334が形成されており、各抜き穴334から各ローラ本体61c,61dの搬送面の一部が露出するようになっている。また、読取位置P1の上流側及び下流側の下面330a,330bにも抜き穴335が形成されており、該抜き穴335から各ローラ本体61c,61dの搬送面の一部を露出させるようになっている。
ガイドカバー34は、図4、図7、図8及び図10に示すように、下側ペーパガイド33のアクセス部333の下流側を覆うように下側ペーパガイド33に着脱可能に組み付けられるものである。ガイドカバー34のの下面340は、下側ペーパガイド33の下面330bから上流側に向かって連続するように設けられ、該下側ペーパガイドの下面330bとともに、搬送路3の読取位置P1の下流側の内側ガイド面を構成する。ガイドカバー34の上流端には、原稿幅方向に所定間隔で切欠き341aが形成された突片341が水平方向に突設されており、下流端には原稿幅方向に所定間隔で爪342が突設されている。一方、図7に示すように、下側ペーパガイド33の2段構造のアクセス部333の上流部には鉤状の係止爪336が設けられており、アクセス部333の下流側の下隅部近傍には凹陥部337が形成されている。ガイドカバー34の爪342が下側ペーパガイド33の凹陥部337に嵌入されるとともに、下側ペーパガイド33の係止爪336によりガイドカバー34の突片341が係止されることにより、下側ペーパガイド33にガイドカバー34が組み付けられる。係止爪336は、下側ペーパガイド33と一体成形された合成樹脂製のものであり、前記突片341に係止させる際には上流側へ傾くように変形させることが容易なので、工具等を用いることなく人手のみによりガイドカバー34を下側ペーパガイド33に着脱可能である。
プラテンガイド35は、図4、図7、図8、図10及び図11に示すように、下側ペーパガイド33のアクセス部333の上流側を覆うように下側ペーパガイドに着脱可能に組み付けられるものである。プラテンガイド35の下面350は、下側ペーパガイド33の下面330aとガイドカバー34の下面340との間、即ち読取位置P1に対向する搬送路3の内側ガイド面を構成する。また、この下面350には、前記CCD読取ユニット13の白色基準となるべく白色のテープ350aが貼り付けられている。図11に示すように、プラテンガイド35の両側には、原稿搬送方向の下流端に、起立部351が形成され、各起立部351に軸孔352が穿設されている。また、プラテンガイド35の上流端には原稿幅方向に所定間隔で係止片である爪353が突設されている。一方、下側ペーパガイド33の両側壁には、下端から垂直上方へ所定間隔で切欠きを設けることにより支持片338が夫々形成されており、支持片338の内側には支軸339が水平方向に突設されている。また、図8に示すように、アクセス部333の上流側の下隅部近傍には前記爪353に対応する位置に係止孔354が形成されている。プラテンガイド35の爪353が下側ペーパガイド33の係止孔354に係入されるとともに、プラテンガイド35の軸孔352に下側ペーパガイド33の支軸339が挿入されることにより、下側ペーパガイド33にプラテンガイド35が支軸339を軸として係止孔354の範囲内を揺動限界として揺動可能に組み付けられ、アクセス部333の上流部分に配設された弾性部材であるコイルスプリング356により該プラテンガイド35は読取位置P1側方向である下方向に付勢されている。前記支持片338は、その両側の切欠きにより、支軸339を軸孔352に挿入させる際には外側へ傾くように変形させることが容易なので、工具等を用いることなくプラテンガイド35を下側ペーパガイド33に着脱可能である。また、プラテンガイド35の下面350の両側部には、プラテンガラス12との間隔を一定に保つための凸部355が形成されている。該凸部355が読取位置P1のプラテンガラス12に当接することにより、プラテンガイド35とプラテンガラス12との間隔を常に一定に保ち、読取位置P1において原稿が一定位置を通過するように案内する。前述したように、該プラテンガイド35は揺動可能であり下方向に付勢されているので、原稿押圧板102が完全に閉じられずに読取載置台101との間に若干の隙間が生じたような場合にも、プラテンガイド35が揺動することにより、プラテンガイド35とプラテンガラス12との間隔が一定に保たれる。なお、本実施の形態では、前記プラテンガイド35の下面350にテープ350aを貼り付けてCCD読取ユニット13の白色基準としているが、テープ350aに代えてプラテンガイド35の下面350を白色に塗装して白色基準とすることもできる。
このようにして、上側ペーパガイド31に、下側ペーパガイド33、ガイドカバー34、及びプラテンガイド35を順次組み付けることができる。また、搬送ローラ6c,6dのローラ本体61c,61dを清掃する際には、原稿押圧板102を開いた状態で、プラテンガイド35及びガイドカバー34を前記本体フレーム102aの画像読取用開口20を介して取り外せば、下側ペーパガイド33のアクセス部333の抜き穴335を通じてローラ本体61c,61dの搬送面にアクセスすることができるので、ペーパガイド30を分解する必要がなく、また、プラテンガイド35及びガイドカバー34の着脱は工具等を用いることなく容易に行うことができる。また、下側ペーパガイド33、ガイドカバー34、及びプラテンガイド35を、ネジ等の固定用の補材を用いることなく、スナップフィットにより上側ペーパガイド31又は下側ペーパガイド33に夫々固定するようにしたので、工具等を必要とせず人手のみにより組付作業及び分解作業を容易に行うことができる。
以下、前記本体フレーム102aの構成を詳細に説明する。該本体フレーム102aは、図12に示すように、ペーパガイド30の下側ペーパガイド33のアクセス部333を覆うガイドカバー34とプラテンガイド35に対応する位置に画像読取用開口20が形成されており、ペーパガイド30が本体フレーム102aに固定されると、プラテンガイド35は画像読取用開口20からプラテンガラス12へ向かって突出する。該画像読取用開口20は、図3に示すように、原稿押圧板102を読取載置台101に対して閉じた際にプラテンガラス12に相対するものとなる。ペーパガイド30に沿って搬送された原稿は、読取位置P1において該画像読取用開口20から突出するプラテンガイド35により、プラテンガラス12から一定位置を通過するように案内され、CCD読取ユニット13(図1参照)により画像が読取りされる。該画像読取用開口20の上流側及び下流側は、各々画像読取用開口20から上方へ向かって傾斜した外側ガイド面21,22となっており、これら外側ガイド面21,22が、横向き略U字状の搬送路3の折返し部分より下流側であって読取位置P1の上流及び下流の外側のガイド面を構成し、ペーパガイド30の下側ペーパガイド33等の対向する内側のガイド面とともに搬送路3を構成する。
前記外側ガイド面21,22には、図12に示すように、4つの切欠部23,24が夫々幅方向に所定間隔で形成されており、該切欠部23,24に前記搬送ローラ6c,6dと対向する従動ローラ7c,7dが夫々配設されて、そのローラ本体の一部が切欠き部23,24から夫々ガイド面21,22に露出している。これら従動ローラ7c,7dが、前記ペーパガイド30の折返し部分の下流側に配設される各搬送ローラ6c,6dと夫々対向して、読取位置P1の直上流及び直下流において原稿をニップしながら搬送する。
さらに、前記ガイド面22の下流側には、CIS読取ユニット9と対向する前記プラテンローラ18が配設される凹陥部25が形成されている。また、ガイド面22の最下流端には、前記切欠部23,24と同様に4つの凹陥部26が形成されており、該凹陥部26に排紙ローラ8が配設されている。
また、図12に示すように、本体フレーム102aの背面側には、前記ペーパガイド30が配設される左側に切欠部27Lが形成され、右側に本体フレーム102aの底面を窪ませてなる凹部27Rが形成されている。該切欠部27L及び凹部27Rは、原稿押圧板102を読取載置台101に対して枢支するヒンジ90(図2参照)を取り付けるためのものであり、通常、左右一対に設けられる。該切欠部27Lが形成された背面側、及び外側ガイド面21,22の正面側に適宜補強リブ28が形成されており、切欠部27Lの周囲にはヒンジ90を本体フレーム102aに固定するためのネジ孔29が設けられ、外側ガイド面21,22の両側にも同様にペーパガイド30を本体フレーム102aに固定するためのネジ孔29が設けられている。一方、凹部27Rは、ヒンジ90を取り付けるための周知の構成である。
このように構成された本体フレーム102aの外側ガイド面21,22に、前記ペーパガイド30の下側ペーパガイド33等により構成される内側ガイド面を対向させて、ペーパガイド30が本体フレーム102aに固定される。また、図3に示すように、本体フレーム102aの下面には、読取載置台101がFBSとして機能するときにプラテンガラス11上に載置された原稿を押圧する押圧パッド19が接着にて固定される。
また、本体フレーム102aには、図13に示すように、ADFカバー102bが、支点C1にて軸支されることにより、本体フレーム102aに対して開閉可能に配設されており、該ADFカバー102bを本体フレーム102aに対して開けることにより、該ADFカバー102bに配設された前記給紙ローラ5、ピックアップローラ50や従動ローラ7a,7bがともに回動して、搬送ローラ6a,6bと従動ローラ7a,7bとのニップをそれぞれ解除することができる。
また、本体フレーム102aには、図13に示すように、中間フレーム102cが、搬送ローラ6aのローラ軸60aの軸心と同じ支点C2にて軸支されることにより、本体フレーム102aに対して開閉可能に配設されており、該中間フレーム102cを本体フレーム102aに対して開けることにより、該中間フレーム102cに配設されたCIS読取ユニット9や一方の排紙ローラ8がともに回動して、CIS読取ユニット9とプラテンローラ18とのニップ、及び排紙ローラ8のニップをそれぞれ解除することができる。
次に、搬送ローラ6a〜6dの回転を制御する制御手段500について、図面に基づいて説明する。該制御手段500は、図14に示すように、操作パネル103(図2参照)やネットワーク等を経由したPCなどの外部端末などの各種入力手段からの指示入力や、前記第1開閉センサ104(図2参照)と第2開閉センサ503から出力される検出信号に基づいて、駆動モータ400(図5参照)への電源501からの電源供給の有無、電磁クラッチ403による駆動接続・切断及び駆動モータ400の回転を制御することにより、搬送ローラ6a〜6dの回転を制御する機能を有するものであり、MPU(Micro Processing Unit)とROM(Read Only Memory)を有して構成されている。ここで、MPUはバスを介してコピー・ファクシミリ複合機100を構成する各部と接続されており、これらの各部の動作制御を行なう演算処理回路である。また、第1開閉センサ104は、原稿押圧板102の読取載置台101に対する開閉状態を検出し、原稿押圧板102が読取載置台101に対して開いている、もしくは完全には閉じていない状態を検出すると開状態を示す開情報を、原稿押圧板102が読取載置台101に対して完全に閉じている状態を検出すると閉状態を示す閉情報を、検出信号としてそれぞれ制御手段500に出力する。一方、第2開閉センサ503は、ADFカバー102bのADF本体102aに対する開閉状態を検出し、ADFカバー102bがADF本体102aに対して開いている、もしくは完全には閉じていない状態を検出すると開状態を示す開情報を、ADFカバー102bがADF本体102aに対して完全に閉じている状態を検出すると閉状態を示す閉情報を、検出信号としてそれぞれ制御手段500に出力する。
次に、このような制御手段500の制御動作について、図15に示すブロック図に基づいて説明する。
使用者や清掃者などの指示入力者によって入力手段である操作パネル103から搬送ローラ6a〜6dの少なくとも1つを清掃するための清掃モードが設定されている場合には(S1:YES)、駆動モータ400へ電源501から電力を供給して通電状態とする(S2)。次に、ADFカバー102bがADF本体102aに対して完全に閉じている状態であるか否かを示す第2開閉センサ503から閉情報が入力されている場合には(S3:NO)、これに連動させて電磁クラッチ403により駆動モータ400から搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を切断し(S4)、搬送ローラ6a,6bのみを駆動可能とする。その後、指示入力者によって操作パネル103から搬送ローラ6a〜6dの回転開始を指示するスタートが入力されると(S5:YES)、駆動モータ400を所定速度にて駆動回転させて(S6)、指示入力者によって操作パネル103から搬送ローラ6a〜6dの回転終了を指示するストップが入力されるまで(S7:NO)、搬送ローラ6a〜6dを清掃に適した所定速度にて回転させる。ストップが入力された場合には(S7:YES)、駆動モータ400の回転を停止させて(S8)、搬送ローラ6a〜6dの回転を停止させ、スタートが入力される(S5)ことに備える。
一方、ADFカバー102bがADF本体102aに対して完全に閉じている状態であるか否かを示す第2開閉センサ503から閉情報が入力されている場合には(S3:YES)、電磁クラッチ403により駆動モータ400から搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を接続し(S9)、搬送ローラ6a〜6dを全て駆動可能とする。その後、指示入力者によって操作パネル103から搬送ローラ6a〜6dの回転開始を指示するスタートが入力されると(S10:YES)、駆動モータ400を所定速度にて駆動回転させて(S11)、指示入力者によって操作パネル103から搬送ローラ6a〜6dの回転終了を指示するストップが入力されるまで(S12:NO)、搬送ローラ6a〜6dを清掃に適した所定速度にて回転させる。ストップが入力された場合には(S12:YES)、駆動モータ400の回転を停止させて(S13)、搬送ローラ6a〜6dの回転を停止させ、スタートが入力される(S11)ことに備える。なお、搬送ローラ6a〜6dの清掃に適した所定速度とは、布などを搬送面に押し当て清掃する時に適した低速であれば限定されるものではなく、例えば、原稿搬送時の速度の内、遅い速度とすることができ、また、速度設定が可能なものであってもよい。さらに、清掃モードを設定する前に、コピー・ファクシミリ複合機100のメンテナンス一般に対応するメンテナンスモードの設定を予め必要とするものであってもよい。
他方、清掃モードが操作パネル103から設定されていない場合は(S1:NO)、コピー・ファクシミリ複合機100がコピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等の前記搬送ローラ6a〜6dの清掃以外の通常機能を行なう場合に備える。原稿押圧板102が読取載置台101に対して完全に閉じている状態であるか否かを示す第1開閉センサ104から開情報が入力されている場合には(S14:NO)、コピー・ファクシミリ複合機100はFBSにて原稿を読取り、ADFを機能させる必要がないとみなし、駆動モータ400への電源501からの電力の供給を遮断して非通電状態とし(S15)、搬送ローラ6a〜6dを駆動不可能とし、節電を行なう。一方、第1開閉センサ104から閉情報が入力されている場合には(S14:YES)、駆動モータ400へ電源501から電力を供給して通電状態とする(S16)。
次に、ADFカバー102bがADF本体102aに対して完全に閉じている状態であるか否かを示す第2開閉センサ503から開情報が入力されている場合には(S17:NO)、これに連動させて電磁クラッチ403により駆動モータ400から搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を切断し(S18)、搬送ローラ6a,6bのみを駆動可能とする。これにより、原稿の紙詰りを解消することが可能になる。一方、第2開閉センサ503から閉情報が入力されている場合には(S17:YES)、電磁クラッチ403により駆動モータ400から搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を接続し(S19)、搬送ローラ6a〜6dを全て駆動可能とする。これにより、ADFを機能させ原稿を搬送することが可能な状態となる。
以下、このようなコピー・ファクシミリ複合機100において、ADF1の搬送ローラ6a〜6dを清掃する手順を説明する。
搬送ローラ6a,6bは、図13に示したように、読取載置台101に対して原稿押圧板102を閉じた状態でADFカバー102bを開けることにより、搬送ローラ6a,6bと従動ローラ7a,7bとのニップがそれぞれ解除されるとともに、これらの搬送面が露出される。この時、清掃者が操作パネル103から清掃モードの設定を入力すると(S1:YES)、原稿押圧板102が読取載置台101に対して完全に閉じている状態であるか否かを示す第1開閉センサ104からの検出情報に関わらず、制御手段500は駆動モータ400へ電源501から電力を供給し通電状態にする(S2)。ADFカバー102bが開いているため、第2開閉センサ503からの検出情報は開情報であるので(S3:NO)、制御手段500は電磁クラッチ403による駆動モータ400へ搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を切断し(S4)、搬送ローラ6a,6bのみを駆動可能にする。その後、清掃者は操作パネル103からスタートを入力し(S5:YES)、駆動モータを所定速度にて回転させて(S6)、搬送ローラ6a,6bを清掃に適した所定速度にて回転させる。回転する搬送ローラ6a,6bのローラ本体61a,61bの露出した搬送面に洗浄液を染み込ませた布などを押し当てることによって、ローラ本体61a,61bの搬送面全てを容易に清掃することができる。清掃後、清掃者は、操作パネル103からストップを入力し(S7:YES)、搬送モータ400の回転を停止させた後(S8)、清掃モードの設定を解除する(S1:NO)。
一方、原稿読取用開口20の直上流及び直下流に配設された搬送ローラ6c,6dとこれらに対向する従動ローラ7c,7dとのニップは、搬送ローラ6c,6dを軸支するペーパガイド30と従動ローラ7c,7dを配設する本体フレーム102aとがネジなどの固定具により固定されているので、この固定具を取り外さなければ解除することができない。したがって、コピー・ファクシミリ複合機100においては、ADF1の搬送ローラ6c,6dは以下の手順で清掃を行う。
まず、ADF1が装備された原稿押圧板102を、図2に示すように、読取載置台101に対して開き、図16に示すように、本体フレーム102aの下側から前記原稿読取用開口20が露呈した状態とする。この状態では、搬送ローラ6c,6dはまったく露出されていない。
次に、図17に示すように、プラテンガイド35をペーパガイド30から前記原稿読取用開口20を通じて、本体フレーム102aの下側から取り外す。詳細には、図11に示したペーパガイド30の下側ペーパガイド33の片方の支持片338の先端部を外側に向けて押圧して傾かせ、プラテンガイド35の軸孔352から下側ペーパガイド33の支軸339を外す。この時、プラテンガイド35は図8に示したようにコイルスプリング356によって原稿押圧板102の下方向に付勢されているので、爪353にて下側ペーパガイド33の係止孔354と係止したまま、その係止部を中心に少し回転するため、支持片338の押圧を解除しても、再び軸孔352に支軸339が嵌らない。更に、他方の支軸339からも、同様にプラテンガイド35の反対側の軸孔352を外す。次に、ガイドカバー34側にプラテンガイド35を移動させ、下側ペーパガイド33の係止孔354との係止からプラテンガイド35の爪353を解除し、プラテンガイド35を本体フレーム102aの画像読取用開口20から取り外す。前述したように、支持片338は、その両側の切欠きにより、支軸339を軸孔352に挿入させる際には外側へ傾くように変形させることが容易なので、工具等を用いることなく人手によりプラテンガイド35を下側ペーパガイド33から取り外すことができる。これにより、図に示すように、下側ペーパガイド33のアクセス部333の抜き穴335から搬送ローラ6cのローラ本体61cの搬送面の一部が、本体フレーム102aの画像読取用開口20に対して露出する。
次に、図18に示すように、ガイドカバー34をペーパガイド30の下側ペーパガイド33から本体フレーム102aの画像読取用開口20を通じて取り外す。詳細には、先ず、下側ペーパガイド33の係止爪336の先端付近を上流側に向けて押圧し、係止爪336を変形させて傾かせ、ガイドカバー34の突片341を係止爪336との係止を解除する。これとともに、ガイドカバー34を下流側に移動させ、ガイドカバー34の爪342を下側ペーパガイド33の凹陥部337との嵌入から解除し、ガイドカバー34を下側ペーパガイド33から本体フレーム102aの画像読取用開口20を介して取り外す。前述したように、係止爪336は、下側ペーパガイド33と一体成形された合成樹脂製のものであり、前記突片341に係止させる際には上流側へ傾くように変形させることが容易なので、工具等を用いることなく人手のみによりガイドカバー34を下側ペーパガイド33から取り外すことができる。これにより、図に示すように、下側ペーパガイド33のアクセス部333の抜き穴334から搬送ローラ6dのローラ本体61dの搬送面の一部が、本体フレーム102aの画像読取用開口20に対して露出する。
図18に示す状態において、清掃者が操作パネル103から清掃モードの設定を入力すると(S1:YES)、原稿押圧板102が読取載置台101に対して完全に閉じていない状態である開状態を示す第1開閉センサ104からの検出情報に関わらず、制御手段500は駆動モータ400へ電源501から電力を供給し通電状態にする(S2)。ADFカバー102bが閉じているため、第2開閉センサ503からの検出情報は閉情報であるので(S3:YES)、制御手段500は電磁クラッチ403による駆動モータ400へ搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達を接続し(S9)、搬送ローラ6a〜6dを全て駆動可能にする。その後、清掃者は操作パネル103からスタートを入力し(S10:YES)、駆動モータを所定速度にて回転させて(S11)、搬送ローラ6a〜6dを清掃に適した所定速度にて回転させる。回転する搬送ローラ6c,6dのローラ本体61c,61dの画像読取用開口20から奥まった位置にて露出した搬送面に洗浄液を染み込ませた布などを押し当てることにより、清掃者はローラ本体61c,61dの搬送面全てを容易に清掃することができる。清掃後、清掃者は、操作パネル103からストップを入力して(S12:YES)、搬送モータ400の回転を停止させた後(S13)、清掃モードの設定を解除する(S1:NO)。なお、清掃者が操作パネル103からの設定を入力した後、原稿押圧板102を開けてガイドカバー34及びプラテンガイド35を取り外し図18に示す状態にしてから、スタートを入力してもよい。
その後、前記取り外し手順と逆の手順を辿ることによって、原稿押圧板102の下側ペーパガイド33に、本体フレーム102aの画像読取用開口20を通じて、ガイドカバー34、プラテンガイド35の順に取り付ける。該取付作業も、工具等を用いることなく人手により容易に行うことができる。このように、ADF1が装備された原稿押圧板102の下側から搬送ローラ6c,6dへアクセスする時、原稿押圧板102を開けた状態においても、搬送ローラ6c,6dを駆動する駆動モータ401へ電力を供給することにより、搬送ローラ6c,6dが駆動可能となるので、清掃時に搬送ローラ6c,6dを清掃に適した所定速度で回転させることができ、搬送面の露出した部分に布などを押し当てるたけで、搬送面全ての清掃を容易に行なうことができる。また、原稿押圧板102からペーパガイド30等を取り外すことなく、原稿押圧板102を開いた状態で画像読取用開口20を通じてガイドカバー34とプラテンガイド35を着脱して、搬送ローラ6c,6dのローラ本体61c,61dを画像読取用開口20を通じて露出させることができるので、搬送ローラ6c,6dの清掃を容易に行うことができる。
したがって、ADF1により多数の原稿を搬送することに伴い、原稿の未定着トナー、朱肉や筆記具のかすや紙粉などの異物が付着した搬送ローラ6c,6dの搬送面から異物を除去することができ、読取位置P1の直上流の搬送ローラ6cを清掃することによって、その搬送面に付着した異物が後続の原稿によりプラテンガラス12へ運ばれて付着し、読取り画像に黒すじとなって現われるという問題を防止あるいは解消することができる。また、読取位置P2の直上流の搬送ローラ6dを清掃することによっても、同様に、その搬送面に付着した異物がCIS読取ユニット9に付着して、読取り画像に黒すじとなって現われるという問題を防止あるいは解消することができる。また、搬送ローラ6dによって搬送される原稿に滑りが発生し、所定の速度を保った良好な搬送がなされず、読取り画像に歪みが起こるという問題を防止あるいは解消することができる。
なお、本実施の形態では、駆動モータ400への電源501からの電力供給の有無によって、搬送ローラ6c,6dの駆動可能・不可能を制御手段500が制御しているが、電磁クラッチを追加して設け、この電磁クラッチによる駆動モータ400から搬送ローラ6c,6dへの駆動伝達の接続・切断を制御してもよい。また、清掃モードやメンテナンスモードは操作パネル103から清掃者自身によって入力されているが、ネットワーク等を経由したPCなどの外部端末などの各種の入力手段から管理者などによって遠隔から入力されていてもよい。また、本実施の形態では、ガイドカバー34やプラテンガイド35と取外して初めて搬送ローラ6c,6dの搬送面の一部が原稿読取用開口20に対して露出し原稿押圧板102が開いた状態で下側からアクセス可能となるが、例えば、搬送ローラの搬送面の一部が原稿押圧板102の底面から常時露出し、原稿押圧板102を開けることのみによって、搬送ローラに下側からアクセス可能であってもよい。また、本実施の形態で示したコピー・ファクシミリ複合機100の構成は、本発明に係る画像読取装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更できることは勿論であり、例えば、コピー機やファクシミリ機、スキャナ等の単独機としても実現可能である。