JP2005162060A - 搬送体、搬送体の駆動装置および搬送体の搬送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 2輪の間隔を狭める場合においては、直交方向への安定が悪くなり、搬送者に搬送体を操作する負担を課してしまい、また、1輪車構成とする場合には、加えて走行方向の操舵性能が劣るため、搬送体における走行方向と直交する方向における姿勢の維持を図る。
【解決手段】 相異なる複数の回転面を有し且つ複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪35,36と、複数の車輪を回転自在に支持するとともに重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体29と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2のモータ31,32と、搬送体10の走行方向における重心の位置および走行方向と略直交する直交方向における重心の位置を検出してそれらに応じた信号を出力する複数の位置検出手段52a,52bと、複数の位置検出手段からの信号に基づき複数のモータが発生する筺体に作用する力の大きさおよび複数の車輪相互の走行面に対する線速度を制御して走行方向における重心の位置および直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する複数の制御手段61,62と、を備える。
【選択図】 図5
【解決手段】 相異なる複数の回転面を有し且つ複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪35,36と、複数の車輪を回転自在に支持するとともに重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体29と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2のモータ31,32と、搬送体10の走行方向における重心の位置および走行方向と略直交する直交方向における重心の位置を検出してそれらに応じた信号を出力する複数の位置検出手段52a,52bと、複数の位置検出手段からの信号に基づき複数のモータが発生する筺体に作用する力の大きさおよび複数の車輪相互の走行面に対する線速度を制御して走行方向における重心の位置および直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する複数の制御手段61,62と、を備える。
【選択図】 図5
Description
本発明は、例えば人を乗せて走行する乗り物に使用して好適な搬送体、その搬送体の駆動装置および搬送体の搬送方法に関する。より詳しくは、少なくとも1の車輪の回転中心が当該1の車輪の回転方向に対して他の車輪の回転中心とは異なる位置に配置され、相異なる複数の回転面において回転する複数の車輪、または、相異なる複数の回転面を有し、前記複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪により走行する搬送体、その搬送体の駆動装置および搬送体の搬送方法に関するものである。
従来から、2輪により路面上を走行する搬送体が提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献11参照。)。
上述の2輪車は、車輪が同軸に設けられていながら、制御ループの作用により倒れることなく、路面上を所定の姿勢を保ちつつ安定に走行するものである。このような搬送体の構成の概略を、図14を参照して説明し、その作用の概略を、図15を参照して説明する。
図14において、搬送体110は、この搬送体の筐体の一部を構成して搬送者が身体を保持する台であるステップ台111と、このステップ台111に設けられた2つのモータ114および115と、ステップ台111に回転自在に支持された車輪112および車輪113と、一方のモータ114の回転を一方の車輪112に伝える車軸116および他方のモータ115の回転を他方の車輪113に伝える車軸117と、ステップ台111に結合されてその先端部にハンドル119を有するステー118と、ステップ台111に設けられた図示しないセンサ部と制御部とバッテリーとを備えて構成されている。
また、車輪112と車輪113は、同軸に配置されており、車軸116および車軸117並びにモータ114およびモータ115を介してステップ台111に取り付けられている。ここで、車軸116および車軸117は、ステップ台111に設けられるモータ114およびモータ115に設けられる図示しないベアリング保持部に支えられるので、車輪112と車輪113はステップ台111に対して回転自由とされる。なお、モータの回転力を車輪に伝えるに際して、車軸から直接にモータに回転を伝達することなく、歯車やベルト等により構成される伝達機構を介在しても良い。そして、車輪112および車輪113は略一点である接地点122および接地点123により路面125に接している。
さらに、図15を参照して、搬送体110の動作を以下に説明する。すなわち、ステップ台111には、搬送体110により移送される搬送者、若しくは搬送される物体(以下、両方を含めて搬送物で代表する。)が乗る。ここで、搬送体110は、車輪112および車輪113の外周部の1点である接地点122および123で路面125と接しているので、搬送者が姿勢を変化させると搬送物を含めた搬送体110の重心の位置である重心点が移動する。
そこで、搬送体110全体を力学系として見て、上述の重心の移動がある場合のステップ台111と路面125との位置関係に及ぼす作用について、図15を用いて説明する。まず、図15において、接地点122および接地点123が同じ点である射影接地点184に射影され、かつ、重力の働く方向に向かう直線である重力線181を含む平面を射影平面と定義する。図15において、射影平面は、紙面と同一面である。
さらに、図15を用いて射影平面における動作を説明する。ここで、射影平面(紙面)に射影される重心点の位置を重心射影点182と定義し、射影平面に射影される回転軸の位置を射影車軸点183と定義する。従って、射影平面において、この重心射影点182と射影接地点184とが重力線181の線上にある場合には、この重心位置は平衡点であり、重心の位置は移動することがない。
しかしながら、重心射影点182の位置が重力線181の線上の位置から移動して、例えば重心射影点180となると、重力に応じて生じる重力加速度Wgにより、車軸の射影点である射影車軸点183を中心として、ステップ台111に回転力が生じる。この回転力を重力回転力と定義する。重力回転力Tgは、射影車軸点183から重心射影点180までの距離をLとして、[数1]式で表される。
[数1]
Tg=Hg×L
Tg=Hg×L
この[数1]式において、値Hgは、射影車軸点183と重心射影点180とを結ぶ直線と直交方向に働く力であり、射影車軸点183を中心とする回転力である。ここで、Hgは、搬送物を含めた搬送体110の重力加速度Wgの分力成分である。従って、値Hgの大きさは、射影車軸点183と重心射影点180とを結ぶ直線と重力線181のなす角度をΘとして、[数2]式で表される。
[数2]
Hg=Wg×SinΘ
Hg=Wg×SinΘ
次に、別の作用である、モータ114およびモータ115の回転に伴いステップ台111が受ける力について説明する。モータ114およびモータ115は、回転子と固定子からなり、両者は他の一方に対して相対的に回転運動する。そして、一般的なインナー回転子形のモータにおいて、固定子はモータを覆うモータ外囲部の一部をなし、モータ外囲部はステップ台111に固定されていて、モータ回転軸の回転はモータ外囲部に対する相対運動として生じるものである。
従って、モータ114およびモータ115の回転軸に結合される車軸116および車軸117に負荷が結合されている場合においては、この負荷の大きさに応じて、ステップ台111に、射影車軸点183を回転中心として傾ける反作用力が生じる。この反作用力をトルク反作用力と定義して、以下に用いる。このときのトルク反作用力Frの大きさは、負荷の大きさに比例したものとなる。すなわち、負荷が大きくなれば、トルク反作用力Frも大きくなるものである。負荷の大きさは、路面を車輪が転がる場合の転がり摩擦力と車輪の走行速度とに比例した大きさである。
ここで、トルク反作用力Frは、射影車軸点183より距離r離間して配置されるモータの固定子に集中すると考えることができるので、1のモータにより生じるトルク反作用力Frによりステップ台111を回転させる力であるトルク反作用回転力Tsの大きさは、下記の[数3]式で表される。この場合に、ステップ台111は1枚の剛性の高い板で構成されているので、力が加わることによる構造の変化はない。
[数3]
Ts=Fr×r
Ts=Fr×r
さらに、ステップ台111に加わるトルク反作用回転力Tsは、左の車輪112を回転駆動するモータ114によるトルク反作用回転力と、右の車輪113を回転駆動するモータ115によるトルク反作用回転力との合成力となる。従って、モータ114により発生するトルク反作用回転力Ts1と、モータ115により発生するトルク反作用回転力Ts2とを合成した値が、下記の[数4]式で表される総合のトルク反作用回転力Tsaとなる。
なお、進行方向を変える旋回運動を行う場合においては、左のトルク反作用回転力Ts1と右のトルク反作用回転力Ts2とは異なったものであるが、直進運動(走行面上を真っ直ぐ前方または後方に進行する運動をいう。)をする場合においては、左のトルク反作用回転力Ts1と右のトルク反作用回転力Ts2とは略同じ大きさとなるので、以下、この状態を代表して説明する。
[数4]
Tsa=Ts1+Ts2
=2×Fr×r
Tsa=Ts1+Ts2
=2×Fr×r
搬送体110を力学系として見る場合、上述の重力加速度Wgによる重力回転力Tgと、モータ114およびモータ115により発生する合成のトルク反作用回転力Tsaとの方向が逆向きで、大きさが等しくなる。従って、下記の[数5]式が成立する場合には、搬送体110によって搬送される搬送者は、重心位置を所定の位置に保持していることができる。
[数5]
Tg−Tsa=0
Tg−Tsa=0
さらに、[数5]式に上述の諸式を代入して、結論として[数6]式を得ることができる。
[数6]
Θ=Sin−1(2×Fr×r/L×Wg)
Θ=Sin−1(2×Fr×r/L×Wg)
ここで、重力加速度Wgは略定数と考えられるが、距離Lと傾き角度Θは搬送者が身体を移動させると変化する変数である。搬送体110の姿勢を所定の位置に維持するためには、[数6]式に示す関係式が、搬送者のステップ台111上の行動によってどのように重心の位置が移動したとしても常に成り立つようにしなければならない。
すなわち、[数6]式で示す関係を維持するため、射影重心点の位置を一定にするためには、トルク反作用の大きさを常に制御するか、走行面の路面状態に依存して変化するトルク反作用に応じて搬送者が射影重心点の位置を移動させなければならないこととなる。しかしながら、搬送体110によって搬送される搬送者にこれを要求することは極めて困難であるところから、サーボループの作用により自動的にこれを行うようにする。
具体的には、ステップ台111上のセンサ部に設けられる角度検出センサで、射影平面におけるステップ台111の重力方向との傾き角度Θを検出し、この検出される値に所定のゲインを掛けたり、位相補償を施したりした後の傾き角度Θに応じた信号を、モータ114およびモータ115に入力することにより、射影重心点180の位置を保持することができる。
すなわち、このようなサーボを行えば、例えば搬送者が重心の位置を前に移動させれば搬送体110は前進し、重心の位置を前に移動すればするほど進行速度は速くなって安定に走行する。また、後退する場合には、重心を後方に移動させることにより、同様の操作を行うことができる。
さらに、搬送体110の進行方向を変更する場合においては、上述のサーボを行いながら、モータ114に所定の電圧を加え、モータ115に所定の電圧を減ずることにより左右の車輪の回転数を異ならせて、自由に方向を変えて走行することができる。
なお、上述の[特許文献1]〜[特許文献7]にはこのような搬送体およびこのような搬送体を制御する技術が開示されている。また、[特許文献8]には、重力方向に対する傾きではなく、走行面と搬送体のステップ台との相対的な傾き角度を検出することにより、走行面と所定の角度を維持しつつ安定に走行する搬送体の技術が開示されている。さらに、このような搬送体の制御は、図16のブロック図で示す制御系により行われる旨が開示されている。
図16において、角度検出部401はステップ台111の垂線(重力の向かう方向の直線)または走行面を基準とするピッチ角度、すなわち傾き角度Θ(401)を検出する。また、旋回信号発生部403は搬送体を走行面上で旋回動作させるための信号である。また、制御部404は、制御ゲインや制御演算則を決定する部分である。さらに、電力増幅部405および406は、モータ114およびモータ115に電力を供給する部分である。
特表2001−521856号公報
特開平01−316810号公報
米国特許第6223104号公報
特開昭62−181985号公報
特開昭63−305082号公報
米国特許第5701965号公報
米国特許第5791091号公報
特開昭62−181985号公報
特表2003−502002号公報
PCT/US00/15144
特表2003−502002号公報
ところで、このような搬送体は、軽便で場所を取らず、大きな筐体を移動させずに済むので、環境負荷も少なく、将来に向けて省エネルギで、小型軽量な個人的な乗り物として好適である。しかしながら、このような搬送体は、車輪により搬送体が走行する走行方向に対して直交する方向(以下直交方向と省略する。)に対しては姿勢を維持する手段を持ち合わせていない。
そのために、[特許文献11]のFig1に示すように2輪を離間して配置し、直交方向への安定性を高めている。このような車輪の配置では直交方向への幅が大きくならざるを得ず、小型軽量化の観点からは問題がある。
一方、[特許文献11]のFig10に示すように2輪の間隔を狭めて配置したり、Fig8に示すように1輪配置とすることにより、小型化を図ることができる。しかしながら、2輪の間隔を狭める場合においては、直交方向への安定が悪くなり、搬送者に搬送体を操作する負担を課してしまい、また、1輪車構成とする場合には、加えて走行方向の操舵性能が劣るという問題が生じる。
本発明の搬送体は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体であって、少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが1の車輪の回転方向に離間して異なる位置に配置されるとともに相異なる複数の回転面において回転する複数の車輪と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、複数の車輪を回転自在に支持するとともに搬送体の走行方向と略直交する方向の重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体と、重心の位置を検出してその重心の位置に応じた信号を出力する位置検出手段と、重心の位置に応じた信号に基づき複数の車輪相互の走行面に対する線速度を調整して重心の位置を所定の位置に維持するように複数の動力発生手段を制御する制御手段と、を備えるものである。
本発明の別の搬送体は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体であって、相異なる複数の回転面を有し且つ複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪と、複数の車輪を回転自在に支持するとともに重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、搬送体の走行方向における重心の位置および走行方向と略直交する直交方向における重心の位置を検出してそれらに応じた信号を出力する複数の位置検出手段と、複数の位置検出手段からの信号に基づき複数の動力発生手段が発生する筺体に作用する力の大きさおよび複数の車輪相互の走行面に対する線速度を制御して走行方向における重心の位置および直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する複数の制御手段と、を備えるものである。
本発明の搬送体の搬送方法は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の搬送方法であって、1の車輪とこの1の車輪の回転方向に離間して異なる回転中心を有する他の車輪とからなる複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動して搬送体を走行させ、走行させる方向と略直交する直交方向に重心の位置に応じた力を作用させ、回転駆動する少なくとも2輪の走行面に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させ、重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して重心の位置を所定の位置に維持するものである。
本発明の別の搬送体の搬送方法は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の搬送方法であって、回転中心が走行方向と略直交する線上にあって、異なる平面において回転する複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動し、その回転駆動により生じるトルク反作用力を作用させて、走行方向における重心の位置を所定の位置に維持し、走行させる方向と略直交する直交方向における重心の位置に応じた力を作用させるとともに回転駆動する少なくとも2輪の走行面に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させて、その直交方向における重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して直交方向における重心の位置を所定の位置に維持するものである。
本発明の搬送体の駆動装置は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の駆動装置であって、少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが1の車輪の回転方向に異なる位置に離間して配置され、1の車輪と他の車輪とがオーバーラップして配置される複数の車輪と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、を有するものである。
本発明の別の搬送体の駆動装置は、走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の駆動装置であって、相異なる複数の回転面を有し、複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪と、複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、複数の回転面と略直交する直交方向における重心の位置を検出してその重心の位置に応じた信号を出力する位置検出手段と、位置検出手段からの信号に基づき複数の動力発生手段から発生する動力の大きさの割合を制御する複数の制御手段と、を備えるものである。
本発明の搬送体によれば、少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが1の車輪の回転方向に離間して異なる位置に配置され、相異なる複数の回転面において回転する複数の車輪を備えるので、走行方向については、常に安定した姿勢を維持することができ、信頼性の高い搬送体を提供することができる。
また、筺体は、搬送体の走行方向と略直交する方向の重心の位置に応じて傾き角度が変化するが、重心の位置に応じた信号に基づき複数の車輪相互の走行面に対する線速度を調整し、重心の位置を所定の位置に維持するための位置検出手段と少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と制御手段とを備えるので、重心の位置を所定の位置に維持することができるとともに、直交方向への搬送者の重心移動により容易に搬送体の進行方向を操作することができる。
このような搬送体は、直交方向への装置の寸法が小さくできるので、小型軽量なる搬送体を社会に提供することができる。
また、別の本発明の搬送体によれば、相異なる複数の回転面を有し、複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪を備え、走行方向における重心の位置および直交方向における重心の位置を所定の位置に維持するようにできる。従って、走行方向における搬送体の寸法および直交方向における搬送体の寸法を最小限にできるので装置が更に小型化できる。
本発明の搬送方法によれば、1の車輪と1の車輪の回転方向に離間して異なる回転中心を有する他の車輪とからなる複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動して搬送体を走行させるので、走行方向における搬送体の姿勢の維持を図ることができる。
また、走行させる方向と略直交する直交方向に重心の位置に応じた力を作用させ、回転駆動する少なくとも2輪の走行面に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させることにより、重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して直交方向における搬送体の姿勢の維持を図ることができる。
また、別の本発明の搬送方法によれば、回転中心が走行方向と略直交する線上にあって、異なる平面において回転する複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動して回転駆動により生じるトルク反作用力を作用させることにより、走行方向における重心の位置を所定の位置に維持することができる。
また、回転中心が走行方向と略直交する線上にあって、異なる平面において回転する複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動して直交方向における重心の位置に応じた力を作用させ、回転駆動する少なくとも2輪の走行面に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させることにより、直交方向における重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して直交方向における重心の位置を所定の位置に維持することができる。
このような搬送方法を用いることにより、走行方向、直交方向のいずれについても搬送体の姿勢の維持を図ることができる。
本発明の搬送体の駆動装置によれば、1の車輪と他の車輪とがオーバーラップして配置されるものであるので、このような駆動装置を用いて搬送体を構成すれば、走行方向に対する搬送体の小型化を図ることができる。
また、少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが1の車輪の回転方向に異なる位置に配置されるので、走行方向については常に安定した姿勢を維持できる。
更に、複数の車輪を備えるので、車輪相互の走行面における線速度の割合を調整することにより直交方向における姿勢の維持を図ることができるものであり、更に、搬送体の進行方向を調整することができる。
本発明の別の搬送体の駆動装置によれば、相異なる複数の回転面を有し、複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪と複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する複数の動力発生手段と、複数の回転面と略直交する直交方向における重心の位置に応じた信号を検出して出力する位置検出手段と、位置検出手段からの信号に基づき複数の動力発生手段から発生する動力の大きさの割合を制御する複数の制御手段と、を備えるので、直交方向に対しては姿勢の維持を図ることができる。
このような駆動装置を1つ配置する搬送体において、走行方向の制御を併用すれば、搬送体としての姿勢の維持を図ることができる。また、このような駆動装置を走行方向に複数列配置する搬送体においは、走行方向における制御を用いることなく姿勢の維持を図ることができるものである。
走行方向について常に安定した姿勢を維持することができ、走行安定性に対する信頼性の高い搬送体、その駆動装置及び搬送方法等を提供するという目的を、比較的簡単な構成によって実現した。
図1ないし図9を参照して、本発明の好ましい第1の実施の形態を説明する。図1には、第1の実施の形態を説明するための搬送体の概略を示す。図1Aは、搬送体10を正面方向から見た説明図であり、搬送体10に乗って操車する搬送者の顔は紙面の表面から紙面の裏面方向へと向いている。図1Bは、搬送体10を正面方向と直交する直交方向から見た説明図であり、操作者の顔面の正面方向は紙面左方向である。
図1A,Bに示す搬送体10は、搬送者の足を乗せる台であるステップ台11と、車輪の回転の基準となる車輪保持板14と、操車者が手で掌握するハンドル19と、ハンドル19と車輪保持板14とを接続するステー18とを一体に構成し、または、各部を部品として相互に固着するものであり、これらは全体として筐体29を構成している。筐体29には、更に制御手段17および図示しない電源部が設けられる。
車輪保持板14には動力発生手段であるモータ12が固着されており、そのモータ12の図示しない回転子の回転中心点から延びる車軸16に車輪13が固着され、モータ12の回転により車輪13は回転駆動される。
車軸16の他の端は、車軸保持器15により車輪保持板14に対して回転自由に保持されている。車軸保持器15は、例えば、ベアリングが設けられ、そのベアリングを介して車軸16は車輪13とともに車輪保持板14に対して滑らかに回転する。
ハンドル19はステー18によって保持されており、搬送者が身体を安定に保持するために手で掌握する部分である。このハンドル19には、搬送体10の動作を示す図示しない表示板を設け、深夜運転のための図示しないヘッドライトのオン/オフスイッチ等を備える図示しない操作板を設けても良い。
制御手段17は、モータ12を制御することにより搬送体10の運動の制御を行う。電源部は、蓄電池を備えて構成され、搬送体10を動かすエネルギの源となる。
このような搬送体10の動作の原理を、図2ないし図4を参照して説明する。まず、走行方向における姿勢の制御について説明する。走行方向における姿勢の制御は、第1の実施の形態では1輪車であるが、基本においては、図15に示した従来の2輪車におけるものと原理的に何ら異なる点はない。
図2と図15との対比において、走行方向における姿勢制御の動作原理からみれば、搬送体10は搬送体110に、ステップ台11を含む筐体29はステップ台111に、モータ12はモータ114およびモータ115に、車輪13は車輪112および車輪113に、車軸16は車軸116および車軸117に、ハンドル19はハンドル119に、ステー18はステー118に各々対応している。
ここで、図2に基づき説明をするに当たり、走行方向の用語の意味を定義する。図2において、車輪13を固定したとすると、筐体29の全体は、車軸点23を中心として回転する。このときの回転平面である車輪回転平面と走行面とが接する線の表す方向が、走行方向である。走行方向の向きに関しては、操車者の顔面が向く方向を走行方向の前方、顔面と反対側を走行方向の後方と定義する。
更に、走行方向における重心の位置および重心点を以下のように定義して用いるものとする。まず、重心点とは、質量の中心、すなわち、力学系の動作を説明するに当たり、重力がこの点に集中していると考えることができる位置を表す一点である。また、重心の位置とは、重心点の位置をいうものである。ここで、重心点は3次元の座標で表される3次元空間内の一点である。
3次元の座標は種々の方法で確定することができるが、どのように確定するかにより、すなわち、どのような位置検出手段で測定するかによって重心点の表現は異なるものとなる。すなわち、3次元の座標は、例えば、重力が働く方向を基準にして座標を定めることもできるし、GPS(Global Positioning System)などで測定して、緯度、経度により定めることもでき、あるいは、走行面を基準として、走行面からの距離や走行面に対する角度として定めることもできる。
重心点が問題となるのは、力学系として搬送体および走行面を見る場合に、重心点の位置がどこにあるかにより力学系として安定か否か、すなわち、搬送体が所定の姿勢を保ちながら走行できるかどうかにかかっているからである。
まず、走行方向における重心の位置、すなわち、走行方向における重心点、の定義について説明をする。走行方向における重心点とは、走行面が水平面である場合に、車輪回転面に射影した走行方向の重心の位置である。
ここで、走行方向重心点とは、搬送体10が搬送物を搬送しない場合には、車輪13を含まず、筐体29の質量中心点の車輪走行面における射影点である。また搬送体10が搬送者や物体を搬送する場合においては、これらの搬送物と筐体29とを合わせた質量中心点の車輪走行面における射影点である。従って、搬送者が筐体29に騎乗して姿勢を変えると走行方向重心点の位置は異なるものとなる。
図2は、搬送体10の側面図、すなわち、車輪回転面から見た図である。図2を参照して走行方向における姿勢の制御を説明する。まず、搬送体10が静止している場合における力学的な挙動を説明する。この場合、車輪13は走行面上で静止している。従って、車輪13は走行面と一体のものとして把握でき、筐体29は車軸点23を中心として車輪走行面に対して回転可能である。
ここで、重力が働く直線、すなわち、糸に錘をつけてたらした時の糸が描く線を重心線と定義して更に説明する。車軸点23を通過する重心線である重心線21の上に重心点22がある場合においては、筐体29は一定の姿勢を維持することができる。
しかしながら、重心点が重心線21から外れる場合、例えば、重心点22が移動して重心点20にある場合には、筐体29は安定した姿勢の維持が困難である。何故なら、例えば、重心点が重心点20の位置に移動すれば、筐体29を回転させる力の法線方向分力Hgが発生するからである。
法線方向分力Hgの方向は、車軸点23と重心点20とを結ぶ線である直線に対して直角に交差する向きである。また、法線方向分力Hgの大きさは、搬送物を含めた筐体29の重力加速度Wgの分力成分である。すなわち、筐体29は、法線方向分力Hgの作用により車軸点23を中心として回転してしまい、筐体29は走行面と接してしまうことになる。
更に、法線方向分力Hgの大きさは、筐体29と搬送物を含めての重心点と車軸16の回転中心である車軸点23とを結ぶ直線と、重力線21との傾きをなす角度をΘとして、[数7]式で表される。
[数7]
Hg=Wg×SinΘ
Hg=Wg×SinΘ
この法線方向分力Hgの作用で筐体29には、[数8]式で示す回転モーメントである重力回転力Tgが発生するのが、上述の筐体29が車軸点23を中心に回転して走行面と接してしまう理由である。
[数8]
Tg=L×Hg
Tg=L×Hg
この重力回転力Tgは、傾き角度Θの増加にともない増加する。すなわち、この搬送体10を力学系として見る場合には、正帰還系となる。従って、搬送体10の姿勢を維持できる重心点の位置は重心点22以外にはないことになり、重心点22は力学的に見ると不安定平衡点である。この重心点22が不安定平衡点であることが、重心点の位置を安定して所定の位置に維持することができない力学的な理由である。
一方、別の作用が、モータ12を回転させて動力を発生させ、車輪13を回転駆動することにより発生する。以下に、モータ12が動作することにより、車輪13を回転させることによって筐体29が受ける力について説明する。
モータ12は、図示しない回転子と図示しない固定子からなり、両者は他の一方に対して相対的に回転運動する。そして、一般的なインナー回転子形のモータにおいては、固定子はモータを覆うモータ外囲部の一部をなし、モータ外囲部は筐体29に固定されているので、車輪13を回転させるモータ回転軸の回転は、モータ外囲部に対する相対運動として生じるものである。
従って、モータ12の回転軸に結合される車軸16に負荷が結合されている場合においては、この負荷の大きさに応じて、筐体29を傾ける反作用力、すなわち、トルク反作用力が生じる。この場合に回転中心は車軸点23である。
このときのトルク反作用力Frの大きさは、負荷の大きさおよびモータの出力とに比例したものとなる。すなわち、車輪の回転を妨げる負荷が大きくなれば、トルク反作用力Frも大きくなるものである。負荷の大きさは、路面125を車輪13が転がる場合の転がり摩擦力と車輪13の走行速度とに比例した大きさである。
ここで、トルク反作用力Frは、車軸点23より距離R離間して配置されるモータ12の固定子の中心25に集中すると考えることができるので、モータ12により生じるトルク反作用力Frによって筐体29を回転させる力であるトルク反作用回転力Tsの大きさは、下記の[数9]式で表される。この場合に、筐体29は剛性の材料で構成されているので、力が加わることによる筺体29の構造の変化はないものとする。
[数9]
Ts=Fr×r
Ts=Fr×r
上述の重力加速度Wgによる重力回転力Tgと、モータ12により発生するトルク反作用回転力Tsとの方向が逆向きで、大きさが等しく、下記の[数10]式が成立する場合には、搬送体10によって搬送される搬送者は、重心点の位置を所定の位置に保持していることができる。ここで、車輪13が回転する場合には、搬送体10は走行面上を走行することとなる。
[数10]
Tg−Ts=0
Tg−Ts=0
さらに、[数10]式に上述の諸式を代入して、結論として[数11]式を得ることができる。
[数11]
Θ=Sin−1(Fr×r/L×Wg)
Θ=Sin−1(Fr×r/L×Wg)
ここで、重力加速度Wgは、搬送物を搬送する場合には、筐体29および搬送物の重量の和であるので略定数と考えられ、Rは、モータの構造、または、ギヤーを用いる場合にはギヤーの構成とモータの配置位置から決まる値である。そして、距離Lは、搬送物が搬送者である場合には、搬送者が身体を移動させると変化する変数である。従って、距離Lを変化させると、傾き角度Θの値、すなわち、ステップ台11の傾き角度は変化する。
既にのべたように、この力学系は不安定な系であるので、傾き角度Θは発散方向に向かう。すなわち、走行面と筐体29とは接触してしまう。しかしながら、[数11]式には、トルク反作用力Frが含まれているので、トルク反作用力Frの値、すなわち、発生する動力の大きさをモータに印加する電力で調整することにより傾き角度Θを可変とすることができる。
また、筐体29の傾きを検出手段で検出し、その値を所定の値とするようにトルク反作用力Frを制御するフィードバックループによる制御手段を備えれば、搬送体10は安定状態を維持して走行することとなる。ここで、検出手段が検出する量は必ずしも筐体29の傾き角度である必要はなく、重心の位置に応じた信号であれば良い。それは、重心の位置が搬送体10の構造に応じて筐体29の傾きとして現象するに過ぎず、真の原因は重心の位置にあるからである。
ここで、搬送体10の姿勢を一定の安定状態に維持する制御系は、従来から、古典制御理論では定置制御系、あるいは、現代制御理論ではレギュレータと呼ばれるものである。このような制御系は、上述の制御理論において定義される制御誤差信号を筐体29の傾き角度として、所定の基準値に追従するフィードバックループを構成すれば良いこととなる。
この場合、所定の基準値を時間等に応じて変えれば、基準値は目標値と称され、制御系はサーボ系と呼ばれるものとなる。サーボ系においては、目標値に応じてステップ台11は、傾きが変化しながら安定に走行面上を走行する。また、基準値の値が零であれば、傾き角度Θの値を零とするようにステップ台11の傾きを制御しながら搬送体10は走行面上を走行する。
フィードバックループの開ループゲインが無限に大きいと、重心点の位置をどのように移動させても傾き角度Θは基準値の値を保ち続ける。しかし、一般的には、モータの発生する動力の大きさが有限であることや、モータを駆動する電力が有限であることや、機構部の制約により最高の速度が制限されるところから制御系の開ループゲインは有限となる。この開ループゲインの定義は通常の制御理論における意味と同義である。
従って、ゲインが有限である場合には、制御誤差信号に定常偏差を生じながら搬送体10は走行面上を走行する。すなわち、傾き角度の偏差を生じながら搬送体10は走行面を走行することとなる。なお、制御手段は、[背景技術]において示したものと同様な構成および作用をするものを用いることができる。
次に、このような搬送体10において、走行方向と直交する方向である直交方向へ働く力の作用について述べる。直交方向に働く力を検討するのは、走行面上では、筐体29は、2次元方向にしか移動できないので、走行方向に働く力と直交方向について働く力を検討すれば、筐体29に対する力はこれらのベクトル合成力となるので、筐体29に働く力のすべてが説明できるからである。
図3は、車輪13の正面図である。すなわち、走行方向から車輪13を見た、走行面と直交する平面における図である。搬送体10は、搬送者の顔面の向く方向、すなわち紙面表面より紙面裏面へと進行しているとして以下の説明を行う。一点差線26は、車輪の断面の中心、すなわち、車輪の最も直径が大きい部分の車輪回転面を示す線であり、紙面の表裏に延びる平面を断面から見たものであるので、線として表されている。
図3Bは、直交方向に射影する重心線である重心線27が車輪回転面26に含まれる場合である。また、図3Aは走行方向に対して車輪13が右に傾いている場合、図3Cは走行方向に対して車輪13が左に傾いている場合を示している。
ここで、車輪中心線26と重力方向を示す重力線27とのなす角度は走行方向に略直交する直交面を射影面とする角度であり、直交方向における傾き角度と定義してφであらわす。図3Aに示すように、走行方向に対して右に傾く場合には、直交方向における傾き角度φの値は正であり、図3Cに示すように、走行方向に対して左に傾く場合には、直交方向における傾き角度φの値は負であると正負を定義する。
図3Bに示すように、車輪回転面26と重力線27とが一致する場合には、搬送体10は傾くことはない。このような場合は、重心点が車輪回転面26に含まれる場合である。従って、車輪13が回転していない場合には、静止して安定状態を保ち、車輪13が回転している場合には、搬送体10は直進走行する。
しかしながら、重心点が車輪回転面26に含まれない場合には、車輪13を倒す力が働く。すなわち、車輪回転面26に含まれる重心点は不安定平衡点である。このとき、車輪13が回転していない静止における車輪13を倒す方向に作用する求心方向分力の大きさをIgとすると、求心方向分力Igは、重力加速度Wgの分力成分であり、その求心方向分力Igの大きさは[数12]式で表される。
[数12]
Ig=Sinφ×Wg
Ig=Sinφ×Wg
求心方向分力Igは、車輪中心線26と直交する方向に働くために、図3Aにおいては紙面の右側、図3Cにおいては紙面の左側に車輪を倒そうとする力が働くこととなる。ここで、車輪13が回転している場合には、求心方向分力Igの向かう方向は、一点に集中する。この一点を回転運動中心点28として図4に示す。回転運動中心点28がどのようなものであるかを、図4を参照して説明をする。
車輪13と走行面(路面)125とは接地点24で接する。ここで、原理的には接地点24は一点であるものの、現実には面積を有する領域である。すなわち、車輪13は通常は、空気が入ったゴムチューブや弾性材料で形成されるために、搬送物や搬送体10の重量により押しつぶされるのが一般的だからである。
そのため、接地点24は、走行方向からみれば、図4に示すように連続した線となる。この走行面125と接する線の端を接地点24aおよび24bで表す。そして、一方の接地点24aと車輪の回転中心とを結ぶ回転半径をR1で表し、他方の接地点24bと車輪の回転中心とを結ぶ回転半径をR2で表す。ここで、車輪の角速度は回転半径によらず一定であるので、車輪の外周部、すなわち、車輪13と走行面125とが接する点での線速度は半径に比例したものとなる。
この場合、静止した車輪13が倒れるときには、図4の紙面においては、横方向に倒れるが、車輪13が回転している場合には横に倒れるのではなく、回転運動をしながら倒れることが公知の事実として知られている。すなわち、一方の回転半径R1は他方の回転半径R2より大きいので、一方の接地点24aにおける線速度は、他方の接地点24bにおける線速度より早くなる。その結果、車輪13は回転運動中心点28を中心として全体として回転運動することとなる。このときの求心方向分力Igは、車輪13の回転中心から回転運動中心点28へと向かう。この車輪13が回転する場合に働く求心方向分力Igを求心力と定義して以下に使用する。
一方、動力発生手段であるモータ12が回転力を車輪13に発生させる場合に働く別の力について説明をする。すなわち、回転運動中心点28を中心として車輪13に働く力である図4に示すOgなる力(「遠心方向分力」という。)について説明をする。
車輪13は、一定の角速度で回転しているので、上述のように一方の回転半径R1の部分での線速度と他方の回転半径R2の部分の線速度とは、半径と比例関係となる。従って、一方の回転半径R1の部分の速度が他方の回転半径R2の部分の速度より速くなり、回転運動中心点28を中心として車輪13は円運動を描き走行することになる。このとき外側に向かう力が働くことは遠心力として公知である。この遠心方向に働く遠心方向分力Ogを遠心力と定義して以下に使用する。この遠心力Ogの大きさは、[数13]式で表される。
[数13]
Og=Kr×Rr×dη/dt
ここで、Krは比例定数であり、dη/dtは車輪13の回転運動中心点28を中心とする角速度、Rrは回転半径である。
Og=Kr×Rr×dη/dt
ここで、Krは比例定数であり、dη/dtは車輪13の回転運動中心点28を中心とする角速度、Rrは回転半径である。
ここで、[数14]が成り立つ場合には、車輪13は倒れることなく安定して回転運動を続ける。つまり遠心力Ogと求心力Igとがバランスするのである。
[数14]
Og=Ig
Og=Ig
ここで、求心力Igは、[数12]式に示すように傾き角度φの関数であるのに対し、遠心力Ogは、[数14]式に示すように角速度dη/dtの関数であるため、傾き角度φと角速度dη/dtのいずれもを搬送者は自由に定め得る量である。すなわち、搬送者が、重心を直交方向に移動させて傾き角度φを調整しながら、回転運動中心点28を中心とする角速度dη/dtを所定の値に維持すれば、[数14]式の関係を満たすことができ、車輪13が倒れることはない。
ここで、角速度dη/dt を大きくして、遠心力Ogを大きくするには、搬送者が重心を走行方向に対して前方に傾け、モータ12の動力を増加させて搬送体10の走行速度を速くすれば、結果として所期の目的を達することができることは明らかである。一方、遠心力Ogを小さくするには、搬送者が重心を後方に傾け、搬送体10の走行速度を遅くして、角速度dη/dtを小さくすることによりできるので、このような走行方向への速度の制御と傾き角度φの操作者による人的要素による制御操作により、搬送体10の直交方向へのバランスの維持が実現できる。
このように、搬送体10の進行方向および直交方向に重心を移動することにより、搬送者は自由に搬送体10を操作することができる。すなわち、搬送者が進行方向に対して右に曲がりたい場合には、重心を右方向に移動させ、同時に、バランスを維持するために重心の移動を走行方向に対して前後に移動させるのである。
上述した操作によって、搬送者は搬送体10を自由に操作できるものの、前後、左右の2方向へと重心位置を移動させなければならず、直交方向への搬送体10の姿勢維持には、なお、熟練を要するものである。このような操作者の熟練という欠点を改善する装置および方法について、次ぎに説明する。
図5に沿って搬送体30の説明をする。すでに述べた搬送体10の各部と構成および作用が同様な部分については、同一の符号を付して、あるいは符号を付さずに説明を省略する。図5Aは、搬送体30の正面図であり、図5Bは搬送体30の側面図である。搬送体30は真っ直ぐに前方方向、すなわち、顔面の前方に直進走行する場合には紙面の表面より紙面の裏面へと進行するものとする。
車輪保持板14は、中央部を縦方向に断面した形状が下方に開口されたコ字状とされている。この車輪保持板14の一方の側面部14aの内面には、第1の動力発生手段である第1のモータ31が固着され、その第1のモータ31の図示しない回転子から延びる第1の車軸33に第1の車輪35が固着されており、第1のモータ31の回転により第1の車輪35が回転駆動される。同様に、車輪保持板14の他方の側面部14bの内面には、第2の動力発生手段である第2のモータ32が固着され、その第2のモータ32の図示しない回転子から延びる第2の車軸34に第2の車輪36が固着されており、第2のモータ32の回転により第2の車輪36が回転駆動される。
ここで、第1の車輪35と第2の車輪36との直径は略等しく、略同軸上に回転中心が配置されている。すなわち、図5Bの側面図において、同一の点に回転中心点39aおよび回転中心点39bが射影される。
第1の車輪35と第2の車輪36とが回転する回転面は必ずしも平行している必要はないが、両方の車輪35,36が接触しないようにしながら、なるべく直交方向の幅を小さくするには第1の車輪35と第2の車輪36とが回転する回転面は略平行であることが望ましい。
第1の車輪35は走行面125と接地点37で接し、第2の車輪36は走行面125と接地点38で接触する。図5Bに示す側面図では、一方の接地点37と他方の接地点38とは重なり、第1の車輪35と第2の車輪36も重なっている。
次に、制御手段について説明をする。図6に搬送体30を制御する第1の制御手段61および第2の制御手段62を示す。第1の制御手段61は、第1の演算部42と第1の電力増幅部43とを備え、第2の制御手段62は、第2の演算部47と第2の電力増幅部48とを備えるものである。
第1の電力増幅部43は第1の動力発生手段である第1のモータ31を駆動し、第2の電力増幅部48は第2の動力発生手段である第2のモータ32を駆動する。ここで、第1のモータ31および第2のモータ32は、直流モータ、同期モータ、誘導モータのいずれの形式のモータであっても良い。
第1の演算部42および第2の演算部47には、例えば、第1の位置検出手段52aにより検出される所定の第1の平面における重心位置に応じた信号50と第2の位置検出手段52bにより検出される第1の平面とは異なる所定の第2の平面における重心位置に応じた信号51とが入力される。
第1の平面は、例えば、走行方向を含む平面である場合には、直接に走行方向における重心の位置に応じた信号SΘが検出できる。また、第2の平面は、例えば、直交方向を含む平面である場合には、直接に直交方向における重心の位置に応じた信号Sφが検出できる。
また、第1の位置検出手段52aが直接に信号50として信号SΘを検出せず、第2の位置検出手段52bが直接に信号51として信号Sφを検出せしなくても良い。この場合は、第1の位置検出手段52aからの信号50と第2の位置検出手段52bからの信号51との演算により信号SΘと信号Sφが検出されるような信号で信号50および信号51があっても良い。
重心の位置に応じた信号は、筐体29の所定の位置と所定の基準位置、例えば、車軸点23とを結ぶ線と重力線との角度に応じて電気信号に変換するものであっても、重心の位置を圧力に応じて電気信号に変換するものであっても、重心の位置を走行面からの相対的な距離に応じて電気信号に変換するものであっても、重心の位置を筐体の所定の位置からの距離に応じて電気信号に変換するものであっても良い。この位置検出手段52aおよび位置検出手段52bの詳細については後述する。
また、重心の位置に応じた信号は、重心点の位置そのものに応じた信号である必要もない。これは、筐体29が剛体でできているので、重心点以外の場所の位置に応じた信号を検出したとしても姿勢の制御に使うことができるからである。
次に、搬送体30の姿勢の維持がどのように行われるかを説明するが、それに先立ち、直交方向における重心の位置、すなわち、直交方向における重心点について説明する。
走行方向における重心点は、筐体29と搬送物とを含んだ質量の中心点として定義した。しかしながら、直交方向における重心点は、別の定義をした方が力学現象をより容易に説明することができる。図5に重心点20を示す。ここにおいて、重心点20は、第1の車輪35と第2の車輪36と筐体29と搬送物の合成の質量の中心点を走行方向と直交する平面に射影したものである。この走行方向における重心点の定義は、車輪が含まれていない点でこれと異なる。
すなわち、直交方向においては、接地点37および接地点38を基準として搬送体30は運動するので、搬送体30のすべての質量を考慮に入れて重心点を定義した方がより力学現象の説明が容易となるのである。この直交方向における重心点が重心点49にあるとして、以下説明する。
まず、重心点49と搬送体30の運動との関係を説明する。第1の車輪35および第2の車輪36が回転せず静止している状態では、第1の車輪35の回転中心点39aを通過する重力線である重力線97と第2の車輪36の回転中心点39bを通過する重力線である重力線98とで囲まれる領域の範囲内に重心点49がある場合には、搬送体30は安定した姿勢を維持して静止できる。
また、第1の車輪35および第2の車輪36が回転している状態であっても、同じ線速度で回転している場合で、図5Aに示すように重力線97と重力線98とで囲まれる領域の範囲内に重心点49がある場合には、搬送体30はその姿勢を維持して安定して走行することができる。
一方、第1の車輪35および第2の車輪36が回転している状態であっても、同じ線速度で回転している場合で、図5Cや図5Dに示すように、重力線97と重力線98とで囲まれる領域の範囲の外に重心点49がある場合には、搬送体30は倒れてしまう。
この場合に、第1の車輪35と第2の車輪36の直径が同じであるために、第1の車輪35と第2の車輪36との車輪外周部の線速度が同じであれば、直交方向に倒れる求心方向分力Igが働くとしても、求心力も遠心力も働くことがない。
しかしながら、第1の車輪35と第2の車輪36の線速度とを異ならせることにより、求心力と遠心力とを作り出すことができる。すなわち、第1の車輪35と第2の車輪36の線速度を異ならせれば、後述するように搬送体30は進路を変更するので、[数12]式で示す横に倒れる力である求心方向分力Igを搬送体30の回転中心に向かう求心力に変化させることができる。
一方、搬送体30が回転することにより、搬送体30に[数14]式で示す遠心力が働きくこととなる。ここで、遠心力と求心力とは同一線上にあるので、傾き角度φと角速度dη/dtを調整して大きさがバランスするように働かせることができる。なお、角速度dη/dtは、第1の車輪35と第2の車輪36の線速度との差により生じさせることができるので、走行方向における速度は別途任意に選択することができるものである。このような原理により、搬送体30は、倒れることなく安定した姿勢を維持して走行面125上を走行することができる。
このとき、搬送体30は線速度が遅い側の車輪の方向に走行方向を変更する。すなわち、通常の2輪の自転車のようにハンドルを操作して前輪を回転させることなく進行方向を変更できるのである。その理由は、遅い側の車輪の線速度がより小さいので、時間当たりに進む距離がより少なく、その結果として進路が直進から変更されるからである。
搬送体30の走行方向に対する走行速度が遅い場合においては、直交方向に大きく搬送体30を傾けると、大きな求心力が発生する。これに対抗して大きな遠心力を得るためには、このような搬送体30の構成によれば、例えば、第1の車輪35と第2の車輪36の回転方向を逆方向に回転することによってもできる。
このように、直交方向における搬送体30の姿勢を維持するためには、第1の車輪35と第2の車輪36との線速度を緻密に制御する必要があるが、搬送者がこれを行うのは至難の技である。従って、走行方向における姿勢の維持を図りつつ、同時に自動的に第1の車輪35と第2の車輪36との線速度を緻密に制御する制御手段を用いることが望ましいこととなる。
次に、図6に示す制御手段61および制御手段62の構成および作用を含めて、搬送体30がどのように制御されるかを説明する。
まず、制御手段61および制御手段62について説明をする。第1の演算部42では、[数15]式に示す加算が行われ、第1の制御誤差信号S1が得られ、第2の演算部47では、[数16]式に示す加算が行われ、第2の制御誤差信号S2が得られる。Kは、直交方向のゲインと走行方向のゲインとの比を定める所定の正の乗数である。
[数15]
S1=SΘ+K×(Sφ―Cφ)
[数16]
S2=SΘ−K×(Sφ―Cφ)
S1=SΘ+K×(Sφ―Cφ)
[数16]
S2=SΘ−K×(Sφ―Cφ)
第1の演算部42および第2の演算部47においては、制御則に基づく演算が行なわれる。例えば、位相補償の演算やゲイン係数を掛け、制御系の特性を定める演算である。
第1の電力増幅部43および第2の電力増幅部48は、第1の動力発生手段である第1のモータ31および第2の動力発生手段である第2のモータ32を駆動するためのものであり、第1の動力発生手段および第2の動力発生手段が直流モータのような直流電動機である場合には直流電力増幅部であり、同期モータのような同期電動機である場合や誘導モータのような誘導電動機である場合には交流電力増幅部である。
次に、このような制御手段61,62を備える搬送体30の作用について説明する。まず、信号Sφの値が零の場合を説明する。この場合には、制御系の直交方向における目標値である基準値が零であるとすると、基準値と信号Sφの値が一致しているので直交方向へ特別の制御は行われない。従って、搬送体30は直進走行を続ける。
基準値と信号Sφの値がずれている場合には、基準値と信号Sφの値が一致するように直交方向への制御が行われる。すなわち、信号Sφの値の正負および大きさに応じて、第1の車輪35と第2の車輪36の線速度の大小並びに方向が定まる。
ここで、信号Sφの値が零となる位置をどのように設定するか、すなわち、直交方向の姿勢をどのように特定するかは、位置検出手段の種類により異なるものである。また、基準値Cφとして所定の定数を与えたり、位置検出手段からの信号50および信号51にオフセットを与えたりして特定する姿勢を変更することができる。すなわち、基準値Cφとして所定の定数を与えれば、搬送体30は一定の角速度で円を描く回転運動を持続することとなる。
すなわち、制御系はフィードバック制御系を構成するので、基準値Cφを零以外の所定の値とれば、制御誤差信号が基準の位置に対応する信号レベルとなるように直交方向位置制御が行なわれることとなる。
位置検出手段の種類と直交方向における搬送体30の姿勢との関係については、位置検出手段が、重心の位置に応じた信号を、筐体29の特定の場所における直線と重力線との角度を検出するものである場合には、筐体29と重力線との関係を所定の位置関係とするように制御は働く。
また、位置検出手段の種類が、重心の位置に応じた信号を、筐体29の特定の位置における荷重分布に変換するものとする場合には、荷重分布が所定の値となるように制御は働く。
また、位置検出手段の種類が、重心の位置に応じた信号を、筐体29の特定の一点の位置を走行面125からの距離として検出するものである場合には、筐体29と走行面125との距離を所定の値とするように制御は働く。
また、位置検出手段の種類が、重心の位置に応じた信号を、筐体29の特定の場所における直線と走行面125との角度として検出するものである場合には、筐体29と走行面125との角度を所定の値とするように制御は働く。
更に、位置検出手段の種類が、重心の位置に応じた信号を、筐体29の特定の一点の位置を絶対的な2次元の座標としてGPS(Global Positioning System)等により検出するものである場合には、筐体29の位置を2次元の座標で与えられる所定の値とするように制御は働く。
次に、第1の制御誤差信号S1および第2の制御誤差信号S2の具体的な値と搬送体30の動作の関係とを具体的に示す。
[数17]
S1=SΘ
[数18]
S2=SΘ
S1=SΘ
[数18]
S2=SΘ
[数17]式、[数18]式が成立する場合には、第1の制御誤差信号S1に基づき第1の車輪35が駆動され、第2の制御誤差信号S2に基づきの第2の車輪36が駆動されるので、第1の車輪35の線速度と第2の車輪36の線速度とは等しくなる。従って、搬送体30は直進運動を行う。
[数19]
S1=SΘ+K×Sφ>S2=SΘ−K×Sφ
S1=SΘ+K×Sφ>S2=SΘ−K×Sφ
[数19]式が成立する場合は、図5Cに示すように、右方向に筐体29が傾いている場合である。第1の車輪35の線速度が第2の車輪36の線速度より大きいので、搬送体30は右方向に走行方向が変化して旋回走行する。
ここで、走行方向の制御について上述したように、直交方向への制御についても、第1の制御手段61の第1の演算部42および第2の制御手段62の第2の演算部47において定まる開ループゲインが無限に大きいと、傾き角度φを零にするように制御が働くものの、現実の制御系においては、開ループゲインは有限の値であるので、所定の定常偏差を残して、すなわち、搬送体30は直交方向に対して右側に傾きながら、搬送体30は、倒れることがない安定状態を保つこととなる。
[数20]
S1=SΘ+K×Sφ<S2=SΘ−K×Sφ
S1=SΘ+K×Sφ<S2=SΘ−K×Sφ
[数20]式が成立する場合には、第1の車輪35の線速度が第2の車輪36の線速度より小さいので、その結果、搬送体30は、直交方向に対して左側に傾きながら安定な姿勢を維持しつつ進行方向に向かって、左まわりに旋回する。
すなわち、搬送者は、前後に重心の位置を移動させることにより走行速度を調整できると同時に、左右に重心の位置を移動させることにより進行方向を任意に制御できるものである。
次に、重心の位置に応じた信号を検出する位置検出手段の具体的な構成および作用について説明する。位置検出手段は、上述のように種々の手法があるが、いくつかの例を以下に挙げる。
まず、重心の位置を重力線と重心線との角度に変換して重心の位置に応じた信号を検出する角度検出器を用いる位置検出手段について説明をする。図5A〜Dに示すように、重心線は、重心点と所定の一点とを結ぶ線であり、走行方向については、上述のように重心点20と車軸点23とを結ぶ直線54であり、直交方向については、例えば、走行面が水平である場合の重心点を通過する重力線である直線99である。
図7に示す位置検出手段70の構成および作用を説明する。ここで、ポテンショメータ71は回転軸の回転角度に応じて抵抗値が変化するものである。ポテンショメータ71の回転軸71aには、剛性の高い棒73が固着され、その先端には重量物である錘72が固着されている。更に、棒73には、連結棒74aによってダッシュポット74が固着されている。ダッシュポット74は通常の市販されているものであり、ピストンシリンダ内に粘性体が充填されている。
ダッシュポット74はダンピングの作用を奏するものである。すなわち、ダッシュポット74がない場合には、力学系は錘72の重さと棒73の長さにより定まる共振周波数で振動する無減衰振動系となり、固有振動が持続するものとなる。しかし、ダッシュポット74がある場合においては、粘性抵抗の項、すなわち、速度依存項が付加されるので、この効果により制振作用を奏するものである。このダッシュポット74の付加により、過渡特性を向上させることができる。
このような位置検出手段70は、重心の位置に応じた信号を筐体29の傾き角度として角度検出器により得るものであり、ポテンショメータの回転軸が回転する平面における抵抗値の変化の検出として実現することができる。従って、走行方向および直交方向の両方向に2個の重心位置検出手段70を設ければ、重心の位置に応じた所期の信号SΘと信号Sφを得ることができる。
この場合、走行方向については、筐体29は車軸点23を中心として回転する角度を検出し、直交方向については接地点37および接地点38の中心点を中心として回転する角度を検出するものとなる。
すなわち、位置検出手段は重力線と重心線との角度を検出するものである
なお、重心線26と重力線27とが一致する場合におけるポテンショメータ71の抵抗値を基準抵抗値として予め記憶しておき、そのポテンショメータ71の抵抗値からこの基準抵抗値を差し引くことにより、傾き角度φの正負に応じて、正負の値を得ることができる。
また、2個の重心位置検出手段70は、必ずしも直交する位置関係に設ける必要は無く、また、筺体29の走行方向および直交方向における角度を検出する必要もない。これは、位置検出手段52aからの信号50および位置検出手段52bからの信号51のベクトル和演算により、任意の平面における重心位置に応じた角度を検出することが可能となるからである。このようなベクトル和演算が必要な場合には、第1の演算部42または第2の演算部47で演算を行うことができる。
また、別の角度検出の手段としては、[特許文献8]に開示されているように、走行面125と搬送体30のステップ台11との相対的な傾き角度を検出することにより、重心点の走行面に対する相対的な位置を検出することが可能である。
この場合において、走行方向のみならず、直交方向における走行面との角度を検出することにより、直接にベクトル和演算なしに所期の信号SΘと信号Sφを得ることができる。
具体的な構成を図8Aおよび図8Bに示す。図8Aに示す検出手段は、直交方向における位置検出手段である。ポテンショメータ40の回転軸には剛性の高い棒46が固着されている。棒46の他の端が走行面に接するように、バネ41によって棒46が押圧される。搬送体30が紙面で右方向に傾く場合には、ポテンショメータ40の回転軸と走行面との距離は長くなるので棒46は回転軸を右周りに回転させる。
その結果、搬送体30が紙面で左方向に傾く場合には、ポテンショメータ40の回転軸と走行面との距離は短くなるので棒46は回転軸を左周りに回転させ、抵抗値を変化させる。従って、抵抗値と角度との関係が予め分かっていれば、直交方向への重心位置に応じた走行面125に対する筐体29の傾き角度を検出することができる。
同様に、図8Bに示す検出手段は、走行方向における位置検出手段である。搬送体30が紙面で左方向に傾く場合には、ポテンショメータ40の回転軸と走行面125との距離が長くなるので、棒46は回転軸を右周りに回転させる。その結果、搬送体30が紙面で右方向に傾く場合には、ポテンショメータ40の回転軸と走行面との距離は短くなるので、棒46は回転軸を左周りに回転させ、抵抗値を変化させる。従って、抵抗値と角度との関係が予め分かっていれば、走行方向への重心位置に応じた走行面125に対する筐体29の傾き角度を検出することができる。
すなわち、位置検出手段は、走行面を基準とする重心線との角度を検出するものである。
また、重心の位置を圧力に変換するものである場合の位置検出手段75の例を図9Aおよび図9Bに示す。第1のモータ31と車輪保持板14との接触面に圧力センサ55および圧力センサ56を貼り付ける。第2のモータ32についても同様に圧力センサを貼り付けるが、その図示は省略する。
図9Bに示すように、圧力センサ55と圧力センサ56を直列に接続をして両端に電圧Eを印加する。車輪35,36に荷重が加わると、圧力センサ55には矢印で示す圧縮力が加わり、圧力センサ56には矢印で示す伸張力が加わる。その結果、例えば、圧力センサ55の抵抗値は小さくなり、圧力センサ56の抵抗値は大きくなる。従って、両圧力センサ55,56の分割電圧Eo(57)の電圧を検出すれば、荷重に応じた電圧を検出することができる。
すなわち、第1の車輪35に加わる荷重は、第1の車輪35から回転軸33を経て第1のモータ31に貼り付けたセンサまで伝わるので、第1の車輪35に加わる荷重を第1の分割電圧Eo1として検出することができる。
ここで、第2の車輪36の側にも同様なセンサが設けられるので、第1の車輪35の側の分割電圧Eo1と第2の車輪36の側の分割電圧Eo2を比較することにより、重心の位置が第1の車輪35の側にあるか第2の車輪36の側にあるかを検出することが可能となる。また、圧力センサの初期値のバラツキ、感度バラツキがあるので、両方の車輪35,36に均一に重量が分布する場合に発生する分割電圧Eo1と分割電圧Eo2の差分の値を基準値Cφに定めておくことにより、荷重の差が零となる点を基準として制御系を動作させることができる。
また、圧力センサは必ずしも4個設ける必要はなく、圧力センサ55と圧力センサ56のいずれか一方を所定の値の抵抗に変えて用いても良い。更に、重心の位置に応じたセンサ信号に基づき所期の信号Sφを得ることができる。また、圧力センサを設ける場所を選択することにより、信号SΘを検出することも可能となる。
信号Sφと信号SΘのいずれか一方のみを、このような位置検出手段を用いて検出することができる。例えば、直交方向に関しては、このような位置検出手段で信号Sφを検出し、信号SΘについては、他の位置検出手段を用いて得ることができる。更に、異なる種類の位置検出手段の組み合わせとベクトル和演算を行うことにより、位置検出手段の種類と取り付け方法とを種々に組み合わせることが可能となる。
更に、別の手段としては、左足を載せるステップ台11aに図示しない第1の圧力センサを設け、右足を載せるステップ台11bに図示しない第2の圧力センサを設けることによっても重心位置を圧力変化として検出することができ、信号Sφを得ることが可能である。この場合には、第1の圧力センサの抵抗値と第2の圧力センサの抵抗値との差が重心位置に応じた信号となる。なお、重心の位置が測定できる場所であれば、この他如何なる場所にセンサを設けても良い。例えば、信号SΘを得るためには、図示しない、紙面の表面側と裏面側とに2分割をした圧力センサを用いることができる。
すなわち、位置検出手段は、複数の圧力センサにより荷重の分布を検出することもできるのである。
また、重心の位置を走行面からの相対的な距離として検出する位置検出手段を用いる場合には、例えば、走行面と進行方向における筐体の左右の基準点との距離の差を超音波を発射して測定する図示しない位置検出手段が利用できる。
更に、車軸点23の位置をGPS装置により検出し、筐体29の予め定めた所定の基準点の位置を同様にGPS装置で検出する位置検出手段を用いることにより、重心の位置に応じた信号を検出することができる。すなわち、2つのGPS装置からの絶対位置信号に基づき所期の信号SΘと信号Sφを得ることができる。
第1の実施の形態における搬送装置30は、相異なる複数の回転面を有し、前記複数の回転面と略直交する線上に回転中心39aおよび39bが配置される、第1の車輪35および第2の車輪36とを備えるものである。
このように、第1の車輪35と第2の車輪36を備えることにより、走行方向と略直交する方向への姿勢の制御を可能となす構成を得ることができる。
また、第1の実施の形態における搬送装置30は、第1の車輪35および第2の車輪36が回転自在に支持され、搬送体30が搬送する搬送物の重心の位置に応じて走行方向および直交方向における傾き角度が変化する筺体29と、第1の車輪35および第2の車輪36を回転駆動する第1のモータ31および第2のモータ32を備えるものである。
第1の車輪35と第2の車輪36が筐体29に回転自由に支持されるので、車輪が回転しても筐体29は、車輪の回転とは独立した所定の姿勢を保つことができる。また、第1のモータ31および第2のモータ32を備えるので、第1の車輪35および第2の車輪36を回転させることにより、搬送体30を移動することができる。
また、第1の実施の形態における搬送装置30は、搬送体の走行方向における重心の位置および走行方向と略直交する直交方向における重心の位置に応じた信号を検出するように設けられる第1の位置検出手段52aと第2の位置検出手段52bを備えるものである。
このように、2の位置検出手段を設けることにより、走行方向および直交方向における重心の位置に応じた信号を検出することができる。また、走行方向および直交方向における重心の位置に応じた信号は、直接に位置検出手段から検出するものであっても良く、あるいは、第1の演算部42および/または第2の演算部47でベクトル和を演算するものであっても良い。
また、第1の実施の形態における搬送装置30は、第1の位置検出手段52aおよび第2の位置検出手段52bからの信号に基づき第1の動力発生手段である第1のモータ31および第2の動力発生手段である第2のモータ32が発生する筺体29に作用する力の大きさ、並びに、第1の車輪35および第2の車輪36の車輪相互の走行面に対する線速度を制御して走行方向における重心の位置20および直交方向における重心の位置49を所定の位置に維持する第1の制御手段61と第2の制御手段62とを備えるものである。
このように、第1の制御手段61および第2の制御手段62を備えるので、フィードバック制御の作用により、走行方向における重心の位置を所定の位置に維持するように第1のモータ31および第2のモータ32が発生するトルク反作用力を制御することができる。
更に、第1の制御手段61および第2の制御手段62を備えるので、フィードバック制御の作用により、第1の車輪35と第2の車輪36の走行面に対する線速度の相互の関係を変化させることによって直交方向における重心の位置を所定の位置に維持するように第1のモータ31および第2のモータ32を制御することができる。
ここで、車輪の回転面は略平行であるが、同様の作用を奏するには、必ずしも平行に限定されるものではない。
また、搬送体30は、第1の車輪35と第2の車輪36との直径が略等しいものである。ここにおいて、第1の車輪35と第2の車輪36との直径が異なっていても両方の車輪の線速度を調整することにより同一の作用をなすことができるものである。
また、略同軸上に第1の車輪35の回転中心39aと第2の車輪36の回転中心39bが配置されるものである。ここにおいて、回転面が平行でない場合には、回転面と略直交する線上に回転中心点39aおよび39bが配置されるものである。
第1の車輪35と第2の車輪36の直径が略等しい構成を採用することにより、第1の車輪35と第2の車輪36を同一の部品とし、第1のモータ31と第2のモータ32を同一の部品とすることができる。従って、少ない種類の構成部品で搬送体30を構成することができるので、部品点数を削減し、装置の製造費用を低減することができる。
第1の実施の形態における搬送体の搬送方法は、回転中心が走行方向と略直交する線上にあって、異なる平面において回転する第1の車輪35と第2の車輪36をモータ35,36によって回転駆動し、その回転駆動により生じるモータの及ぼすトルク反作用力を作用させて、走行方向における重心の位置を所定の位置に維持し、直交方向における重心の位置に応じた力を搬送者の姿勢を変化して作用させるとともに、回転駆動する第1の車輪35と第2の車輪36の走行面125に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させて、直交方向における重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して直交方向における重心の位置を所定の位置に維持するものである。
第1の実施の形態における搬送体の駆動装置は、相異なる2の回転面を有し、2の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される第1の車輪35および第2の車輪36と、2輪を回転駆動する2の動力発生手段である第1のモータ31および第2のモータ32と、2の回転面と略直交する直交方向における重心の位置に応じた信号を検出する位置検出手段として、Sφ信号を検出する第2の位置検出手段52bと、
第2の位置検出手段52bからの信号に基づき第1のモータ31および第2のモータ32から発生する動力の大きさの割合を制御する第1の制御手段および第2の制御手段62と、を備えるものである。
第2の位置検出手段52bからの信号に基づき第1のモータ31および第2のモータ32から発生する動力の大きさの割合を制御する第1の制御手段および第2の制御手段62と、を備えるものである。
すなわち、直交方向の姿勢のみを制御する搬送体の駆動装置においては、少なくとも1の位置検出段があれば十分である。このような搬送体の駆動装置に、走行方向の制御を併用し、または、複数のこのような搬送体の駆動装置を用いる搬送体を構成すれば、安定して走行面を走行する搬送体を無限の組み合わせをもって構成できるものである。
第1の実施の形態においては、車輪が2つの場合について説明したが、本発明は第1の実施の形態に示した車輪の数が2つに限らず、更に数を増加することもできる。
図11に第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態に示す搬送体80は、第1の車輪81および第2の車輪82に加え第3の車輪83を備えるものである。第1の実施の形態におけると同様の構成および作用をなす部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
第1の車輪81は回転軸受け87に、第2の車輪82は回転軸受け88に、第3の車輪83は回転軸受け89に、それぞれの車輪中心で固定されている。回転軸受け87ないし回転軸受け89の中心には回転軸90が貫通しており、第1の車輪81ないし第3の車輪83は相互に所定の位置関係を保持している。そして、回転軸90の両端は、押え金具91と押え金具92によって車輪保持板14に固着されている。
回転軸受け87ないし回転軸受け89は、ベアリングを回転軸90との接触面に有しており、第1の車輪81ないし第3の車輪83が回転軸90を中心として回転自在に支持されている。第1の車輪81の外周部には第1のプーリ93が、第2の車輪82の外周部には第2のプーリ94が、第3の車輪83の外周部には第3のプーリ95がそれぞれ押圧されていて、それぞれのプーリ93,94,95の回転に応じて各車輪81,82,83が回転するようになされている。
第1のプーリ93は第1のモータ84の回転軸に結合され、第2のプーリ94は第2のモータ85の回転軸に結合され、第3のプーリ95は第3のモータ86の回転軸に結合されている。これにより、第1のモータ84の回転に応じて第1の車輪81が回転し、第2のモータ85の回転に応じて第2の車輪82が回転し、第3のモータ85の回転に応じて第3の車輪83が回転する。
このように、モータ84〜86の回転軸と車輪81〜83の回転軸が一致しない構成を取っても、車輪81〜83をモータ84〜86で回転駆動することによるトルク反作用力および重心の位置が搬送体80に及ぼす力学的な影響は、第1の実施の形態におけるものと基本的に同様である。
次に、第1のモータ84ないし第3のモータ86を制御する制御手段の構成を、図11を参照して説明する。制御手段は、第1の制御手段61と、第2の制御手段62と、第3の制御手段65とから構成されている。
第1の制御手段61および第2の制御手段62の構成および作用は、第1の実施の形態に説明したものと同様である。第1の制御手段61からの出力は、第1のモータ84を駆動し、第2の制御手段62からの出力は、第2のモータ85を駆動する。
第1の制御手段61および第2の制御手段62には、第1の位置検出手段52aおよび第2の位置検出手段52bからの信号が入力される。第1の位置検出手段52aおよび第2の位置検出手段52bの構成および作用は、第1の実施の形態におけると同様である。
第3の制御手段65の構成について説明する。第2の制御手段65は、[数21]式で示す制御誤差信号S3に基づき制御される。制御誤差信号S3は、一般的には、第3の演算部67において第1の位置検出手段52aからの信号50と第2の位置検出手段52bからの信号51とを演算することにより得られるが、第1の位置検出手段52aからの信号50が直接SΘを検出する場合には、第1の位置検出手段52aからの信号50を直接用いることができる。
[数21]
S3=SΘ
S3=SΘ
第3の演算部67においては、制御則に基づく演算が行なわれる。例えば、位相補償の演算やゲイン係数を掛け、制御系の特性を定める演算である。第3の電力増幅部68は、第3の動力発生手段である第3のモータ86を駆動するためのものであり、第3の動力発生手段が直流モータのような直流電動機である場合には直流電力増幅部であり、同期モータのような同期電動機である場合や誘導モータのような誘導電動機である場合には交流電力増幅部である。
このような搬送体80は、搬送物の重心位置に応じて第1の車輪81ないし第3の車輪83の回転数が第1の制御手段61ないし第3の制御手段65により制御される。例えば、搬送体80が、図10の紙面の表面から裏面に向かい走行する場合に、紙面の右方向に重心位置を移せば、車輪の走行面における線速度は、第1の車輪81、第3の車輪83、第2の車輪82の順に速くなり、第1の実施の形態におけると同様の原理により直交方向における姿勢維持を図ることができる。
また、紙面の左方向に重心位置を移せば、車輪の走行面における線速度は、第2の車輪82、第3の車輪83、第1の車輪81の順に速くなり、同様の原理により直交方向における姿勢維持を図ることができる。
搬送体80が走行面を走行する場合に、すべての車輪81〜83が走行面に接する場合は勿論のこと、第1の車輪81ないし第3の車輪83のすべてが走行面に接しなくても走行が可能である。例えば、直進走行する場合、すなわち、直交方向の重心位置が第3の車輪83の回転面上に略存在する場合には、第3の車輪83のみが走行面に接していれば良い。
また、紙面の右側に搬送体80が傾く場合には、第2の車輪82および第3の車輪83のみが走行面に接していれば、搬送体80の姿勢は安定して維持される。このような動作を実現するためには、第1の車輪81および第2の車輪82の直径を第3の車輪83の直径より小さくすればよい。このような構成とすることにより、搬送体80が走行面に対して傾いた場合には、むしろ走行面と第1の車輪81または第2の車輪82とがより安定して接触するという利点がある。
第2の実施の形態における搬送体80は、略平行で相異なる面上に回転中心が配置され、外周部が走行面に接する、第1の車輪81、第2の車輪82および第3の車輪83と、これらの車輪81〜83が回転自在に保持され且つ搬送物の重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体29と、第1の車輪81を回転させる第1のモータ84、第2の車輪82を回転させる第2のモータ85および第3の車輪83を回転させる第3のモータ86とを備えるものである。
また、第2の実施の形態における搬送体80は、筺体29の走行方向における重心の位置および走行方向と略直交する直交方向における重心の位置に応じた信号を検出するように設けられる第1の位置検出手段52aと第2の位置検出手段52bとを備えるものである。
また、第2の実施の形態における搬送体80は、第1の位置検出手段52aと第2の位置検出手段52bからの信号に基づき第1のモータ84ないし第3のモータ86が発生する筺体29に作用する力の大きさおよび第1の車輪81ないし第3の車輪83の走行面に対する線速度を制御して走行方向における重心の位置および直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する第1の制御手段61ないし第3の制御手段65と、を備えるものである。
また、第2の実施の形態における搬送体80は、第1の車輪81と第2の車輪82との間に配置される第3の車輪83の直径は、第1の車輪81および第2の車輪82の直径よりも大きくても良い。
第3の車輪83の直径を第1の車輪81および第2の車輪82の直径よりも大きくする場合には、車輪と走行面との接触面積をより大きくできるので、車輪の回転力をより良好に走行面に伝達することができる。
第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、車輪の数と動力発生手段の数と制御手段の数を等しくしたが、これらの数は必ずしも等しいものである必要はない。車輪の数と、動力発制手段および制御手段の数が異なる場合の第3の実施の形態を、図12を参照して説明する。第1の実施の形態および第2の実施の形態におけると同様の構成および作用を奏する部材については同一の符号を付して、あるいは、符号を付さずに説明を省略する。
図12に示す搬送体100は、第1のモータ84により第1の車輪81および第2の車輪82が駆動される。すなわち、第1のモータ84の回転軸84aに、第1の車輪81の外周部に押圧される第1のプーリ93と、第2の車輪82の外周部に押圧される第2のプーリ94が取り付けられている。第1の車輪81の直径と第2の車輪82の直径は略等しい。第3の車輪83の直径は、第1の車輪81の直径および第2の車輪82の直径よりも大きい。
このような搬送体100の制御は、図11に示す制御手段の一部を使用することにより行われる。すなわち、第1のモータ84を制御する第1の制御手段61と第3のモータ86を制御する第3の制御手段65のみを用いる。
第1の制御手段61における第1の演算部42では、制御誤差信号S1として[数22]式に示す信号を使用する。また、第3の制御手段65における第3の演算部67では、制御誤差信号S3として[数23]式に示す信号を使用する。ABS(Sφ)は、Sφの絶対値を得る演算を意味する。
[数22]
S1=SΘ−K×ABS(Sφ−Cφ)
S1=SΘ−K×ABS(Sφ−Cφ)
[数23]
S3=SΘ+K×ABS(Sφ−Cφ)
S3=SΘ+K×ABS(Sφ−Cφ)
すなわち、搬送体100は、第1の車輪81と、第2の車輪82と、第1の車輪81と第2の車輪82の間に配置され且つ第1の車輪81の直径および第2の車輪82の直径よりも大きな直径を有する第3の車輪83とからなり、第1の車輪81および第2の車輪82を駆動する第1の動力発生手段である第1のモータ84と、第3の車輪83を駆動する第2の動力発生手段である第3のモータ86を備えるものである。
このような、搬送体100においては、第3の車輪83の直径が大きいので、走行面上を走行する場合においては、第3の車輪83のみが走行面に接触するか、第3の車輪83および第1の車輪81のみが走行面に接触するか、第3の車輪83および第2の車輪82のみが走行面に接触するかのいずれかである。
第3の車輪83のみが走行面に接触する場合は直進する場合であり、第1の車輪81および第2の車輪82は走行に寄与することはない。
第3の車輪83および第1の車輪81のみが走行面に接触する場合には、第2の車輪82が走行に寄与することはない。すなわち、搬送体100は、図12において紙面左側に傾き、進行方向を左側に変更している。この場合には、第1の車輪81は第3の車輪83より走行面における線速度が遅くなる。すなわち、[数22]式、[数23]式の制御誤差信号S1および制御誤差信号S3に基づき制御されれば、このような関係が維持される。
第3の車輪83および第2の車輪82のみが走行面に接触する場合には、第1の車輪81が走行に寄与することはない。すなわち、搬送体100は、図12において紙面右側に傾き進行方向を右側に変更している。この場合には、第2の車輪82は、第3の車輪83より走行面における線速度が遅くなる。すなわち、[数22]式、[数23]式の制御誤差信号S1および制御誤差信号S3に基づき制御されれば、このような関係が維持される。
ここで、ABS、すなわち、絶対値演算を行ったとしても、直交方向に傾く側の車輪の線速度は必ずより遅くなるので、求心力と遠心力は矛盾無くバランスを保つことができる。
第1の実施の形態ないし第3の実施の形態においては、走行方向における姿勢制御と直交方向における姿勢の制御を同時に行うものであるが、第4の実施の形態に示す構成と方法によれば、直交方向に置ける姿勢の維持のみで安定して走行面上を走行する搬送体およびその搬送方法を提供することができる。
図13を参照して、第4の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態におけると同様の構成および作用を奏する部材については、同一の符号を付して、あるいは、符号を付さずに説明を省略する。
図13Aは搬送体101の正面図、図13Bは側面図を示す。搬送体101は、図13Aの正面図において、紙面の表面から裏面へ、または、紙面の裏面から表面へと走行する。第1の車輪35の回転中心39aと第2の車輪36の回転中心39bは、走行方向に対して異なる位置に配置されている。すなわち、図13Bに示すように、直交方向を示す側面図から見た場合に、互いの回転中心が異なる位置にある。
第1の車輪35の接地点37は回転中心39aの重力方向の略下にあり、第2の車輪36の接地点38は回転中心39bの重力方向の略下にあるので、これら回転中心39aと回転中心39bが離間しているほど、接地点37と接地点38の距離は離間することとなる。
また、一方の回転中心39aと他方の回転中心39bとの離間距離は、第3の実施の形態では第1のモータ31と第2のモータ32との配置により定められる。ここで、直交方向における接地点の離間距離を、直交方向離間距離E1、走行方向の接地点の離間距離を走行方向離間距離E2と定義して、以下に用いる。
走行方向離間距離E2が大きくなるほど走行方向における搬送体の姿勢は、走行方向における重心の位置に、より無関係となり、より安定することは明らかである。具体的には、すでに述べたように、搬送体101が静止している場合には、重心点49が、接地点37を含む第1の重力線97と接地点38を含む第2の重力線98との間にある場合、搬送体101はフィードバック制御の助けがなくとも安定した姿勢を維持できる。この第1の重力線97と第2の重力線98とで囲まれる領域を走行方向姿勢安定領域と定義して、以下に用いる。
第1のモータ31が動力を発生すると回転中心点39aを中心とする第1のトルク反作用力が働き、第2のモータ32が動力を発生すると回転中心点39bを中心とする第2のトルク反作用力が働くので、走行方向姿勢安定領域はトルク反作用力の分だけオフセットすることとなる。
すなわち、図13Bにおいて、搬送体101がモータの動力で紙面左方向に走行する場合には、紙面の左方向に走行方向姿勢安定領域が移動し、紙面右方向に走行する場合には、紙面の右方向に走行方向姿勢安定領域が移動する。
従って、トルク反作用力による走行方向姿勢安定領域の移動を加味しても、常に重心点49がこの範囲に含まれるように所定の距離だけ走行方向離間距離E2を離間することにより、走行方向に対するサーボを用いることなく安定に走行可能となる。
次に、直交方向離間距離E1について検討を加える。図13Aにおいて、遠心力および求心力が働かない搬送体101が静止している状態や直進走行状態では、接地点37を含む第3の重力線97と接地点38を含む第4の重力線98との間に重心点49がある場合には、搬送体101はフィードバックループによるサーボを用いなくとも安定した姿勢を維持することができる。この第3の重力線97と第4の重力線98とで囲まれる領域を直交方向姿勢安定領域と定義して、以下に用いる。
直交方向離間距離E1を大きくすれば、直交方向姿勢安定領域が広がることは明らかである。しかしながら、直交方向離間距離E1を大きくすると2つの問題が生じる。一つは、搬送体101の直交方向の幅が大きくなり、装置の小型化が図れないことである。もう一つは、直交方向離間距離E1を大きくすると、斜め前方または斜め後方に安定度が悪くなることである。
更に、直交方向離間距離E1が走行方向離間距離E2に対して極端に大きくなると、殆んど走行方向への安定の悪さとなってしまう。
一方、直交方向離間距離E1を小さくする場合には、直交方向への安定度の悪さが増すだけであり、斜め方向の安定度の悪化要因は減少する。また、直交方向への安定度に関しては直交方向の姿勢維持の制御により回復可能であり、不要な斜め成分がない方が制御も楽である。
この点を考慮すると、フィードバック制御の作用を前提とし、直交方向離間距離E1を両方の車輪が接触しない範囲で接近させるのが好適となる。この直交方向離間距離E1をなるべく小さくするには、第1の車輪35の回転面と第2の車輪36の回転面とが平行であることが望ましい。
更に、搬送体101の小型化の見地からは、第1の車輪35の回転中心点39aと第2の車輪36の回転中心点39bとの離間距離が車輪の直径以下であり、図13Bで示す側面図において両方の車輪がオーバーラップしていることが望ましい。
直交方向離間距離E1が小さい状態で、オーバーラップしている場合に両方の車輪が交差することなく、走行方向離間距離E2を大きくするためにも,第1の車輪35の回転面と第2の車輪36の回転面とが平行であることが望ましいこととなる。
以上を総合して直交方向離間距離E1と走行方向離間距離E2との望ましい関係を導けば、直交方向離間距離E1が走行方向離間距離E2より小さいことが望ましい。更に、制御の容易さ、小型化を考慮すると、直交方向離間距離E1は走行方向離間距離E2の1/2以下であることが更に望ましく、最適には1/5以下である。
走行方向離間距離E2については、小型化の観点からは、小さいほうが望ましい。この点、従来の2輪自転車においては、前の車輪を回転させて進行方向を操作するために、走行方向離間距離E2は車輪の直径以上が必ず必要であったが、本実施の形態においては、車輪自体を回転させることなく、進行方向を制御できるので、このような制限はない。
従って、走行方向離間距離E2を大きくすることに技術上の制限は特にないが、両方の車輪が射影面から見てオーバーラップ、すなわち、走行方向離間距離E2を車輪の直径より小さく選択して設けることができる。
また、小型化の観点から見ると、走行方向離間距離E2は車輪の直径の1/2以下、すなわち、オーバーラップが1/2以上であることが好ましい。より好ましくは、走行方向離間距離E2は車輪の直径の1/5以下、すなわち、オーバーラップが4/5以上、最適には、走行方向離間距離E2は車輪の直径の1/10以下、すなわちオーバーラップが9/10以上である。
直交方向におけるフィードバック制御は、図6に示す制御手段により実現することができる。ここにおいて、第1の演算部42では、[数24]式に示す第1の制御誤差信号S1に応じて制御の処理が行なわれ、第2の演算部47では、[数25]式に示す第2の制御誤差信号S2に応じて制御の処理が行なわれる。ここで、Vは走行方向に対する速度に応じたレベルの所定の正または負の値であり、任意に与えられる。この速度Vは、例えば、ハンドル19に設けられる図示しないレバーで調整することができる。
[数24]
S1=V+(Sφ−Cφ)
[数25]
S2=V−(Sφ−Cφ)
S1=V+(Sφ−Cφ)
[数25]
S2=V−(Sφ−Cφ)
また、第4の実施の形態においては、信号SΘは不要であるので、位置検出手段は必ずしも複数設ける必要はなく、直接にSφを検出する場合においては、1個の位置検出手段、例えば第2の位置検出手段52bのみで十分である。
すなわち、第4の実施の形態の搬送体101は、第1の車輪35の回転方向に対して第1の車輪35の回転中心点39aが他の車輪である第2の車輪36の回転中心点39bと離間して異なる位置に配置され、相異なる2の回転面において回転する第1の車輪35および第2の車輪36とを備えるものである。
このように走行方向離間距離E2を有するので、搬送体101は走行方向に安定して走行することができる。
また、第4の実施の形態の搬送体101は、少なくとも2輪である第1の車輪35および第2の車輪36を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段である第1のモータ31および第2のモータ32を備えている。ここにおいて、少なくとも2の動力発生手段が必ずしも、走行方向離間距離E2を持って配置される2輪を回転駆動する必要はなく、任意の2輪を回転駆動すれば同様の作用および効果を生じることができる。
また、第4の実施の形態の搬送体101は、車輪を回転自在となるように設け、搬送体101の走行方向と略直交する方向に重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体29と、直交方向における重心の位置に応じた信号を検出する位置検出手段52bと、を備えるものである。
更に、第4の実施の形態の搬送体101は、重心の位置に応じた信号に基づき第1の車輪35および第2の車輪36の車輪相互の走行面に対する線速度を調整して直交方向における重心の位置を所定の位置に維持するように第1のモータ31および第2のモータ32を制御する第1の制御手段61および第2の制御手段62と、を備えるものである。
第4の実施の形態の搬送方法は、走行面上を走行する搬送体の搬送方法であって、1の車輪である第1の車輪35とその1の車輪の回転方向に離間して異なる回転中心を有する他の車輪である第2の車輪36とからなる車輪の少なくとも2輪である第1の車輪35および第2の車輪36を回転駆動して搬送体101を走行させ、その走行させる方向と略直交する直交方向に重心の位置に応じた力を作用させて、回転駆動する少なくとも2輪である第1の車輪35および第2の車輪36の走行面に対する線速度の差に応じて直交方向に遠心力を作用させることにより、重心の位置に応じた力と遠心力との大きさの割合を調整して重心の位置を所定の位置に維持するものである。
第4の実施の形態の搬送体の駆動装置は、少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが1の車輪の回転方向に離間して異なる位置に配置され、1の車輪と他の車輪とがオーバーラップして配置される第1の車輪35と第2の車輪36と、少なくとも2輪である第1の車輪35および第2の車輪36を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段である第1のモータ31および第2のモータ32を備えるものである。
なお、本発明は、上述のように説明した実施の形態の態様に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
本発明の搬送体は、人間を輸送するパーソナルな実用的な乗り物としても、また、娯楽として楽しむ乗り物としても利用できるだけでなく、機材を運搬する輸送手段としても産業上有用なものである。
本発明の搬送方法は、この方法を用いることにより、小型で、信頼性の高い搬送体が提供できる産業上有用なものである。また、本発明の搬送体の駆動装置は、これを用いれば容易に搬送体が構成でき、本発明の搬送体の駆動機構を用いれば容易に搬送体の駆動装置が構成でき、本発明の搬送体の駆動方法を用いれば搬送体を安全に信頼性高く動作させることができる点で産業上有用なものである。
10,30,80,100,101…搬送体、 11…ステップ台(筐体)、 12,31,32,84,85,86…モータ(動力発生手段)、 13,35,36,81,82,83…車輪、 14…車輪保持板、 15…車軸保持器、 16,33,34…車軸、 17,61,62,65…制御手段、 18…ステー、 19…ハンドル、 20,22,49…重心点、 21,27,97,98…重心線、 23…車軸点、 24,24a,24b,37,38…接地点、 25…固定子の中心位置、 26…車輪回転面、 28…回転運動中心点、 29…筺体、 52a、52b…位置検出手段、55,56…圧力センサ、 87,88,89…回転軸受け、 93,94,95…プーリ
Claims (15)
- 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体であって、
少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが前記1の車輪の回転方向に離間して異なる位置に配置されるとともに相異なる複数の回転面において回転する複数の車輪と、
前記複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、
前記複数の車輪を回転自在に支持するとともに前記搬送体の走行方向と略直交する方向の重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体と、
前記重心の位置を検出して当該重心の位置に応じた信号を出力する位置検出手段と、
前記重心の位置に応じた信号に基づき前記複数の車輪相互の走行面に対する線速度を調整して前記重心の位置を所定の位置に維持するように前記少なくとも2の動力発生手段を制御する制御手段と、
を備える搬送体。 - 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体であって、
相異なる複数の回転面を有し且つ前記複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪と、
前記複数の車輪を回転自在に支持するとともに重心の位置に応じて傾き角度が変化する筺体と、
前記複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、
前記搬送体の走行方向における重心の位置および前記走行方向と略直交する直交方向における重心の位置を検出してそれらに応じた信号を出力する複数の位置検出手段と、
前記複数の位置検出手段からの信号に基づき前記複数の動力発生手段が発生する前記筺体に作用する力の大きさおよび前記複数の車輪相互の走行面に対する線速度を制御して前記走行方向における重心の位置および前記直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する複数の制御手段と、
を備える搬送体。 - 前記複数の回転面は、略平行な2面であり、
前記複数の車輪は、直径が略等しい第1の車輪と第2の車輪とからなり、
前記複数の動力発生手段は、前記第1の車輪を駆動する第1の動力発生手段と前記第2の車輪を駆動する第2の動力発生手段とからなる
請求項1または請求項2に記載の搬送体。 - 前記複数の回転面は、相互に略平行な3面であり、
前記複数の車輪は、すべての車輪の直径が略等しい第1の車輪と第2の車輪と前記第1の車輪および前記第2の車輪間に配置される第3の車輪とからなり、
前記複数の動力発生手段は、前記第1の車輪を駆動する第1の動力発生手段と前記第2の車輪を駆動する第2の動力発生手段と前記第3の車輪を駆動する第3の動力発生手段とからなる
請求項1または請求項2に記載の搬送体。 - 前記複数の回転面は、相互に略平行な3面であり、
前記複数の車輪は、第1の車輪と第2の車輪と前記第1の車輪および前記第2の車輪間に配置され且つ前記第1の車輪の直径および前記第2の車輪の直径よりも大きな直径を有する第3の車輪とからなり、
前記複数の動力発生手段は、前記第1の車輪および前記第2の車輪を駆動する第1の動力発生手段と、前記第3の車輪を駆動する第2の動力発生手段とからなる
請求項1または請求項2に記載の搬送体。 - 前記複数の位置検出手段の少なくとも1つは、重力線と重心線との角度を検出するものである
請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の搬送体。 - 前記複数の位置検出手段の少なくとも1つは、前記走行面と重心線との角度を検出するものである
請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の搬送体。 - 前記複数の位置検出手段の少なくとも1つは、複数の圧力センサにより荷重の分布を検出するものである
請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の搬送体。 - 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の搬送方法であって、
1の車輪と前記1の車輪の回転方向に離間して異なる回転中心を有する他の車輪とからなる複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動して前記搬送体を走行させ、
前記走行させる方向と略直交する直交方向に重心の位置に応じた力を作用させ、
前記回転駆動する少なくとも2輪の前記走行面に対する線速度の差に応じて前記直交方向に遠心力を作用させ、
前記重心の位置に応じた力と前記遠心力との大きさの割合を調整して前記重心の位置を所定の位置に維持する
搬送体の搬送方法。 - 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の搬送方法であって、
回転中心が走行方向と略直交する線上にあって、異なる平面において回転する複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動し、
前記回転駆動により生じるトルク反作用力を作用させて、前記走行方向における重心の位置を所定の位置に維持し、
前記走行させる方向と略直交する直交方向における重心の位置に応じた力を作用させるとともに前記回転駆動する少なくとも2輪の前記走行面に対する線速度の差に応じて前記直交方向に遠心力を作用させて、前記直交方向における重心の位置に応じた力と前記遠心力との大きさの割合を調整して前記直交方向における重心の位置を所定の位置に維持する搬送体の搬送方法。 - 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の駆動装置であって、
少なくとも1の車輪の回転中心と他の車輪の回転中心とが前記1の車輪の回転方向に離間して異なる位置に配置され、前記1の車輪と前記他の車輪とがオーバーラップして配置される複数の車輪と、
前記複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、
を備える搬送体の駆動装置。 - 走行面上を2以上の車輪によって走行する搬送体の駆動装置であって、
相異なる複数の回転面を有し、前記複数の回転面と略直交する線上に回転中心が配置される複数の車輪と、
前記複数の車輪の少なくとも2輪を回転駆動する少なくとも2の動力発生手段と、
前記複数の回転面と略直交する直交方向における重心の位置を検出して当該重心の位置に応じた信号を出力する位置検出手段と、
前記位置検出手段からの信号に基づき前記複数の動力発生手段から発生する動力の大きさの割合を制御する複数の制御手段と、
を備える搬送体の駆動装置。 - 前記位置検出手段は、重力線と重心線との角度を検出するものである
請求項12記載の搬送体の駆動装置。 - 前記位置検出手段は、走行面と重心線との角度を検出するものである
請求項12記載の搬送体の駆動装置。 - 前記位置検出手段は、複数の圧力センサにより荷重の分布を検出するものである
請求項12記載の搬送体の駆動装置。
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