JP2005159467A - 等化方法およびそれを利用した受信装置 - Google Patents

等化方法およびそれを利用した受信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 無線伝搬路の特性に応じて等化器の特性を変化させる。
【解決手段】 線形フィルタ部20は、複数のタップを備えており、等化器入力信号202に等化処理を行ってフィルタ出力信号206を出力する。DFE部22は、複数のタップを備えており、フィルタ出力信号206に対して、判定帰還にもとづいた等化処理を行って等化器出力信号204を出力する。LMSアルゴリズム部24は、線形フィルタ部20とDFE部22のタップ係数を計算する。決定部26は、入力した遅延プロファイルデータ200のうち複数の遅延時間に対する複数の受信電力をしきい値とそれぞれ比較し、しきい値以上となる受信電力を選択し、選択した受信電力の中から最大時間を決定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、等化技術に関し、特に無線伝搬路の特性に応じて等化処理に使用すべきタップを制御する等化方法およびそれを利用した受信装置に関する。
無線通信システムにおいて、無線伝搬路でのマルチパスフェージングによる波形歪を除去するための技術のひとつに適応等化器がある。このような適応等化器のひとつは、入力端子から受信信号を入力するトランスバーサル型の整合フィルタ、符号間干渉を除去する判定帰還型の等化器、出力端子で判定を行う復調器を含んで構成されている。また、整合フィルタに含まれた複数のタップにそれぞれ対応した複数のタップ係数は、相関器によって求められている。さらに相関器の出力は、タップ係数毎にループフィルタにて時間平均され、レベル検出器にも入力される。レベル検出器はタップ係数単位にループフィルタの出力レベルをしきい値と比較し、しきい値以上の出力レベルを有したタップ係数に対しては、当該タップ係数に対応したタップを整合フィルタで使用するように制御される。一方、レベル検出器でしきい値より小さい出力レベルを有したタップ係数に対しては、当該タップ係数に対応したタップを整合フィルタで使用しないように制御される。(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−168999号公報
トランスバーサル型のフィルタと判定帰還型の等化器を組み合わせたタイプの適応等化器では、一般的にプリカーサ部分でのマルチパスの影響をトランスバーサル型の等化器で主として除去し、ポストカーサ部分の遅延したマルチパスの影響を判定帰還型の等化器で主として除去する。また、一般的に適応等化器で必要とされるタップ数は、無線伝搬路で生じる遅延波の遅延時間に依存する。すなわち、遅延波の遅延時間が大きくなれば、それと共にタップ数も増加すべきであって、これを前述のタイプの適応等化器に適用すれば、遅延波の遅延時間に応じて判定帰還型の等化器のタップ数が制御される方が望ましい。このような制御によれば、遅延時間が短くなると、適応処理に使用するタップ数が減少して、処理量の減少および消費電力の削減につながる。一方、遅延検波が長くなってもタップ数が増加するために、特性の劣化を防止できる。
また、タップ単位で動作あるいは停止を制御する場合、無線伝搬路や雑音電力は、時間と共に変化しており、タップ単位で動作あるいは停止を決定した時刻と実際に等化処理を行う時刻にずれがあれば、前述のような制御によって必ずしも特性の向上が得られなくなる。トランスバーサル型の等化器に含まれた複数のタップが不連続に選択された場合は、残留の誤差が積み重なって、特性が劣化するおそれもある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線伝搬路の特性に応じて等化処理に使用すべきタップを判定するための処理を簡易にかつ正確にする等化方法及びそれを利用した受信装置を提供することにある。
本発明のある態様は、受信装置である。この装置は、伝搬路を介した信号を受信する受信部と、受信した信号を複数のタップに入力し、当該複数のタップに入力した信号を等化処理する等化処理部と、受信した信号から、伝搬路での複数の遅延時間に対する複数の受信電力をそれぞれ推定する遅延プロファイル推定部と、推定した複数の遅延時間に対する複数の受信電力を予め定めたしきい値とそれぞれ比較し、しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間から等化処理の対象とすべき遅延時間を決定し、当該決定した等化処理の対象とすべき遅延時間以下の遅延時間に対応したタップをすべて含むように、複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定する決定部とを備える。
以上の装置により、推定した遅延プロファイルのうち、所定のしきい値より大きな電力を有した遅延時間以下の遅延時間をすべて含むように、等化処理に使用すべきタップを決定するため、遅延プロファイルに応じた等化能力を設定できる。
決定部は、しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間に所定の期間を付加して、等化処理の対象とすべき遅延時間を決定し、決定した等化処理の対象とすべき遅延時間にもとづいて、複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定してもよい。決定部は、複数の遅延時間に対する複数の受信電力の変化量を計算し、当該計算した変化量に応じて、しきい値を決定してもよい。
等化処理部は、受信した信号を複数のタップのうちの一部のタップに入力し、当該一部のタップに入力した信号を等化処理する前段等化部と、前段等化部から出力した信号を複数のタップのうちの残りのタップに入力し、当該残りのタップに入力した信号をさらに等化処理する後段等化部とを備え、決定部は、前段等化部と後段等化部に含まれた複数のタップのうち等化処理に使用すべきタップ数を決定してもよい。前段等化部に含まれた一部のタップは、線形フィルタを構成し、後段等化部に含まれた残りのタップは、判定帰還型の等化器を構成してもよい。後段等化部は、判定帰還形の等化器と共に線形フィルタも含んでもよい。
本発明の別の態様は、等化方法である。この方法は、伝搬路を介して受信した信号を等化処理すべき等化器が、複数のタップを備えており、受信した信号から伝搬路での複数の遅延時間に対する複数の受信電力をそれぞれ推定し、推定した複数の遅延時間に対する複数の受信電力を予め定めたしきい値とそれぞれ比較し、しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間以下の遅延時間に対応したタップをすべて含むように、複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定する。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、無線伝搬路の特性に応じて等化処理に使用すべきタップを判定するための処理を簡易にかつ正確にできる。
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例1は、IEEE802.11b規格の無線LANの受信装置に関する。受信装置は、等化処理を行うために線形フィルタと判定帰還型等化器(以下、「DFE(Decision Feedback Equalizer)」という)を含み、線形フィルタから出力された信号が、DFEに入力される構成になっている。また、線形フィルタとDFEは、共に複数のタップを配列した構成になっているが、DFEは線形フィルタよりも遅延時間の長い遅延波を除去できるように、線形フィルタとDFEのタップ数が設定されている。
本実施例にかかる受信装置は、送信装置から無線伝搬路を介したバースト信号を受信すると、当該バースト信号の先頭部分において無線伝搬路の複数の遅延時間に対する複数の受信電力、すなわち遅延プロファイルを推定する。これに続いて、推定した遅延プロファイルに含まれた複数の受信電力を予め設定したしきい値とそれぞれ比較し、しきい値以上となるひとつ以上の受信電力のうち、最大の遅延時間(以下、「最大時間」という)を検出する。さらに、最大時間以下の遅延時間に対応したタップをすべて含むように、等化処理に使用すべきタップを選択する。この際、タップは、線形フィルタとDFEに含まれたタップを示すものとする。以上の構成によって、無線伝搬路の遅延スプレッドが長い場合には、歪成分を小さくするために多くのタップを使用し、無線伝搬路の遅延スプレッドが短い場合には、消費電力の低減を図るために少ないタップを使用する。なお、線形フィルタあるいはDFEから出力された信号には、CCK復調や逆拡散処理などが施される。
本実施例の前提として、IEEE802.11b規格におけるCCK変調の概略を説明する。CCK変調は、8ビットをひとつの単位(以下、この単位を「CCK変調単位」とする)とし、この8ビットを上位からd1、d2、・・・d8と名づける。CCK単位のうち、下位6ビットは、[d3,d4]、[d5,d6]、[d7,d8]単位でそれぞれQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の信号点配置にマッピングされる。また、マッピングした位相をそれぞれ(φ2、φ3、φ4)とする。さらに、位相φ2、φ3、φ4から8種類の拡散符号P1からP8を以下の通り生成する。
Figure 2005159467
一方、CCK変調単位のうち、上位2ビットの[d1,d2]は、DQPSK(Differential encoding Quadrature Phase Shift Keying)の信号点配置にマッピングされ、ここではマッピングした位相をφ1とする。なお、φ1が被拡散信号に相当する。さらに、被拡散信号φ1と拡散符号P1からP8より、以下の通り8通りのチップ信号X0からX7を生成する。
Figure 2005159467
送信装置は、チップ信号X0からX7の順に送信する(以下、チップ信号X0からX7によって構成される時系列の単位も「CCK変調単位」という)。
なお、IEEE802.11b規格ではCCK変調の他に、DBPSKやDQPSKの位相変調した信号が既知の拡散符号によって拡散されて送信される。以下、本実施例で示される受信信号は、原則としてチップ信号の形態であるものとする。
図1は、実施例1に係る受信装置100の構成を示す。受信装置100は、アンテナ10、RF部12、AGC(Automatic Gain Controller)14、遅延プロファイル推定部16、等化器18、復調部60、制御部62を含む。また信号として、遅延プロファイルデータ200、等化器入力信号202、等化器出力信号204を含む。
アンテナ10は、図示しない送信装置から送信された無線周波数のバースト信号を受信する。
RF部12は、受信した無線周波数のバースト信号を中間周波数のバースト信号に周波数変換する。さらに、中間周波数のバースト信号を直交検波し、ベースバンドのバースト信号を出力する。一般にベースバンドのバースト信号は、同相成分と直交成分のふたつの成分によって示されるが、ここではそれらをまとめた形で図示する。
AGC14は、ベースバンドのバースト信号の振幅を図示しないAD変換器のダイナミックレンジ内の振幅にするために、利得を自動的に制御する。AD変換器は、ベースバンドのアナログ信号をデジタル信号に変換し、複数ビットで構成された信号を出力する。なお、AGC14から出力される信号は、等化器入力信号202と示される。
遅延プロファイル推定部16は、ベースバンドのバースト信号から遅延プロファイルを推定する。バースト信号の先頭部分は、既知の信号となっており、当該先頭部分において、受信したバースト信号と既知の信号から相関処理を行って、遅延プロファイルを推定する。推定された遅延プロファイルは、シリアル信号、あるいはパラレル信号の遅延プロファイルデータ200として出力される。
等化器18は、等化器入力信号202を入力して等化処理を行い、等化器出力信号204を出力する。なお、等化器18の構成は後述するが、複数のタップを含んでおり、それらに対応した複数のタップ係数は、LMS(Least Mean Squares)アルゴリズムによって推定される。さらに、複数のタップのうち、実際に等化処理において使用するタップは遅延プロファイルデータ200にもとづいて決定される。
復調部60は、等化器出力信号204を復調する。等化器出力信号204が位相変調および拡散処理された信号である場合は、逆拡散処理および遅延検波等を行い、等化器出力信号204がCCK変調された信号である場合は、ウォルシュ変換にもとづいたCCK復調を行う。
制御部62は、受信装置100のタイミング等を制御する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされた予約管理機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図2は、実施例1に係る通信システムのバーストフォーマットを示す。このバーストフォーマットは、IEEE802.11b規格のShortPLCPに相当する。バースト信号は、図示のごとくプリアンブル、ヘッダ、データの領域を含む。さらに、プリアンブルは、DBPSKの変調方式で伝送速度1Mbpsで通信され、ヘッダは、DQPSKの変調方式で伝送速度2Mbpsで通信され、データは、CCKの変調方式で伝送速度11Mbpsで通信される。また、プリアンブルは、56ビットのSYNC、16ビットのSFDを含み、ヘッダは、8ビットのSIGNAL、8ビットのSERVICE、16ビットのLENGTH、16ビットのCRCを含む。一方、データに対応したPSDUの長さは、可変である。なお、プリアンブルが遅延プロファイルを推定するための既知の信号に相当する。
図3は、等化器18の構成を示す。等化器18は、線形フィルタ部20、DFE部22、LMSアルゴリズム部24、決定部26を含む。また信号として、フィルタ出力信号206、タップ関連信号210、フィルタタップ制御信号212、DFEタップ制御信号214を含む。
線形フィルタ部20は、複数のタップを備えており、等化器入力信号202に等化処理を行ってフィルタ出力信号206を出力する。線形フィルタ部20に配置された複数のタップの時間間隔は、チップ信号の時間間隔の1/2になっているものとする。また、複数のタップにそれぞれ対応したタップ係数は、バースト信号の先頭部分において、後述のLMSアルゴリズム部24で計算されて設定される。ここで、1度設定されたタップ係数は、当該バースト信号の期間中固定されているものとする。
DFE部22は、複数のタップを備えており、フィルタ出力信号206に対して、判定帰還にもとづいた等化処理を行って等化器出力信号204を出力する。DFE部22に配置された複数のタップの時間間隔は、チップ信号の時間間隔になっているものとする。また、複数のタップにそれぞれ対応したタップ係数は、バーストの先頭部分において線形フィルタ部20のタップ係数が設定された後に、後述のLMSアルゴリズム部24で計算されて設定される。ここで、バースト信号期間中にわたって、タップ係数はLMSアルゴリズム部24で更新されるものとする。なお、このようなタップ係数の設定とタップ係数の更新に必要な信号は、タップ関連信号210によってLMSアルゴリズム部24とDFE部22の間を伝送する。
LMSアルゴリズム部24は、前述のごとく、線形フィルタ部20とDFE部22のタップ係数を計算する。線形フィルタ部20に対するタップ係数は、等化器入力信号202と既知の信号にもとづいて計算し、DFE部22に対するタップ係数は、既知の信号あるいは等化器出力信号204と、フィルタ出力信号206にもとづいて計算する。
決定部26は、予め所定のしきい値を記憶しており、入力した遅延プロファイルデータ200のうち複数の遅延時間に対する複数の受信電力をしきい値とそれぞれ比較する。複数の受信電力のうち、しきい値以上となる受信電力を選択し、選択した受信電力の中から最大時間を決定する。線形フィルタ部20に含まれた複数のタップのうちで、最大時間以下となる遅延時間に対応するタップをすべて等化処理で使用すべきタップとして選択し、この情報をフィルタタップ制御信号212として出力する。また、DFE部22に含まれた複数のタップのうちで、最大時間以下となる遅延時間に対応するタップをすべて等化処理で使用すべきタップとして選択し、この情報をDFEタップ制御信号214として出力する。すなわち、遅延時間が大きければ使用すべきタップが多くなるように、または遅延時間が小さければ使用すべきタップが少なくなるように、タップを選択する。なお、最大時間に対応したタップがない場合は、最大時間を含むようなタップを選択する。
図4は、遅延プロファイル推定部16で推定した遅延プロファイルを示しており、横軸は遅延時間で、縦軸は電力とする。最も電力の強い遅延成分に相当する遅延時間を「遅延時間0」にし、当該「遅延時間0」からの遅延時間差を「遅延時間T」、「遅延時間2T」のごとく示している。ここで、「T」は、遅延プロファイルの遅延成分を推定する時間分解能を示しており、通常はA/D変換のサンプリング周期に設定されている。また、「遅延時間0」より前に存在する、先行波に相当する遅延時間差を「遅延時間−T」、「遅延時間−2T」のごとく示している。
一方、決定部26で予め設定されているしきい値を点線で示しており、決定部26は、複数の電力をしきい値とそれぞれ比較し、しきい値以上となる電力を選択する。ここでは、「遅延時間0」、「遅延時間T」、「遅延時間5T」を選択する。さらに、選択した遅延時間の中で最大のもの、すなわち「遅延時間5T」を最大時間に選択する。決定部26は、線形フィルタ部20とDFE部22に対して、「遅延時間−2T」から「遅延時間5T」の間に存在するタップをすべて動作するように決定する。
なお、以上の動作に加えて、予め最大時間に付加する期間、例えば2Tを定めておき、決定した最大時間に当該付加する期間を加えて、最大時間を更新し、当該更新した最大時間に対して前述のごとく、等化処理で使用すべきタップを選択してもよい。すなわち、遅延プロファイルにもとづいて定めた最大時間を固定的に延長する処理を行ってもよい。
図5は、線形フィルタ部20の構成を示す。線形フィルタ部20は、遅延部30と総称される第1遅延部30a、第11遅延部30k、第12遅延部30l、第22遅延部30v、保持部32と総称される第1保持部32a、第2保持部32b、第11保持部32k、第12保持部32l、第13保持部32m、第22保持部32v、第23保持部32w、乗算部34と総称される第1乗算部34a、第2乗算部34b、第11乗算部34k、第12乗算部34l、第13乗算部34m、第22乗算部34v、第23乗算部34w、総和部36を含む。
遅延部30は、等化器入力信号202を遅延させる。ふたつの遅延部30の間が前述のタップに相当する。遅延部30は図示のごとく22個設けられているために、タップ数は23に相当する。また、遅延部30での遅延量は、チップ信号の時間間隔の1/2に設定されている。また、動作すべき遅延部30は、フィルタタップ制御信号212の指示によって決定される。
保持部32は、図示していない信号線を介して、LMSアルゴリズム部24で計算されたタップ係数をそれぞれ保持する。前述のごとくタップ係数は一度保持部32に設定されれば、バースト信号期間中固定される。
乗算部34は、遅延部30から出力された信号と保持部32に保持されたタップ係数を乗算する。総和部36は、乗算部34での乗算結果を総和して、フィルタ出力信号206を出力する。
図6は、DFE部22の構成を示す。DFE部22は、遅延部40と総称される第1遅延部40a、第2遅延部40b、第3遅延部40c、第10遅延部40j、保持部42と総称される第1保持部42a、第2保持部42b、第3保持部42c、第4保持部42d、第11保持部42k、乗算部44と総称される第1乗算部44a、第2乗算部44b、第3乗算部44c、第4乗算部44d、第11乗算部44k、総和部46、判定部48、加算部50を含む。
遅延部40は、ふたつの部分に分かれており、それらを第1遅延部40a、第2遅延部40bからなるフィードフォワードタップ部(以下、「FF部」という)と、第3遅延部40c、第10遅延部40jからなるフィードバックタップ部(以下、「FB部」という)と呼ぶ。FF部では、ふたつの遅延部40の間が前述のタップに相当する。FF部の遅延部40は図示のごとく2個設けられているために、タップ数は3となる。一方、FB部では、ひとつの遅延部40が前述のタップに相当する。FB部の遅延部40は図示のごとく8個設けられているために、タップ数は8となる。また、遅延部40での遅延量は、チップ信号の時間間隔に設定されている。また、動作すべき遅延部40はDFEタップ制御信号214の指示によって決定される。
保持部42は、図示していない信号線を介して、LMSアルゴリズム部24で計算されたタップ係数をそれぞれ保持する。前述のごとく保持部42に保持されるべきタップ係数はバースト期間中にわたって更新される。
乗算部44は、遅延部40から出力された信号と保持部42に保持されたタップ係数を乗算する。総和部46は、乗算部44での乗算結果を総和する。判定部48は、総和部46から出力された信号を判定する。判定した信号は、タップ関連信号210によって前述のLMSアルゴリズム部24に出力されると共に、第3遅延部40cに入力される。
加算部50は、総和部46から出力された信号と判定部48で判定した信号を減算して、誤差を求め、タップ関連信号210によって前述のLMSアルゴリズム部24に出力する。なお、総和部46から出力された信号は、等化器出力信号204として出力される。
以上の構成による受信装置100の動作を説明する。受信装置100は、バースト信号を受信し、遅延プロファイル推定部16はバースト信号に含まれたプリアンブルから遅延プロファイルを推定する。決定部26は、推定した遅延プロファイルのうち、遅延時間が5Tに対応した受信電力がしきい値以上であるために、線形フィルタ部20とDFE部22のうち、5T以下に対応したすべてのタップの動作を決定する。当該バースト信号に含まれたプリアンブルの区間で、LMSアルゴリズム部24は、線形フィルタ部20のタップ係数を計算し、これに続いてDFE部22のタップ係数を計算する。バースト信号のデータ区間では、線形フィルタ部20がデータ信号を等化処理してフィルタ出力信号206を出力し、DFE部22がフィルタ出力信号206を等化処理して等化器出力信号204を出力する。また、バースト信号のデータ区間にわたって、LMSアルゴリズム部24は、DFE部22のタップ係数を更新する。
本発明の実施例1によれば、推定した遅延プロファイルのうち所定のしきい値以上となる電力に対応した最大の遅延時間以内をすべて含むように、等化処理で使用すべきタップを決定するため、遅延プロファイルの包絡線の形状を詳細まで判断せずに実行可能である。また、遅延時間の長い遅延波が存在しても多くのタップを使用するため、遅延成分を除去でき、一方、遅延時間の長い遅延波が存在しなければ少ないタップを使用するため、消費電力を削減できる。また、複数のタップのうちで連続したタップを選択するため、タップ単位で生じる残留誤差の積み重ねを小さくできる。
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1と同様に、受信した信号から推定した遅延スプレッドにもとづいて、等化処理に使用すべきタップを決定する。しかしながら、実施例1と異なって、DFEでなく、線形フィルタに含まれた複数のタップのうちから等化処理に使用すべきタップを決定する。さらに、等化処理に使用すべきタップを決定するために使用したしきい値を遅延プロファイルの形状に従って変更する。
図7は、実施例2に係る等化器18の構成を示す。図7の等化器18は、図4の等化器18からDFE部22を除外した構成になっており、図5の線形フィルタ部20と比べて第2遅延部30b、第21遅延部30u、第3保持部32c、第3乗算部34cが図示されている。ここで、遅延部30、保持部32、乗算部34、総和部36の動作は、これまでの説明と同様のため、説明を省略する。
決定部26は、図4の決定部26と同様に、予め所定のしきい値を記憶しており、入力した遅延プロファイルデータ200をしきい値と比較する。しかしながら、ここで、しきい値は遅延プロファイルデータ200に応じて可変する。この具体例を図8(a)と(b)にもとづいて説明する。図8(a)−(b)は、決定部26での処理の概略を示す。図の縦軸、横軸等の表示は、図4と同様である。図8(a)は、遅延プロファイルの包絡線の傾きが「A」の場合であり、図8(b)は、遅延プロファイルの包絡線の傾きが「B」の場合であり、ここで、「A」の方が「B」より傾きが大きくなっている。決定部26は、傾き「A」に対してしきい値「α」を設定し、傾き「B」に対してしきい値「β」を設定し、ここで、「α」の方が「β」よりしきい値が大きくなっている。さらに、このように決定したしきい値と遅延プロファイルをそれぞれ比較して、図8(a)では「遅延時間2T」、図8(b)では「遅延時間6T」をそれぞれ最大時間に設定する。
すなわち、遅延プロファイルの包絡線の傾きが大きくなれば、しきい値も多くなり、それによって、等化処理に使用すべきタップ数が少なくなるように制御される。等化処理でタップが設けられない遅延時間に対する遅延波は、残留歪となって受信特性に影響を及ぼす。すなわち、残留歪全体の電力が大きくなれば、受信特性が悪化する。遅延プロファイルの包絡線の傾きが小さい場合は、遅延時間が大きくなっても、遅延波の電力の減少は小さいため、しきい値を小さくして、残留歪の電力を小さくする必要がある。一方、遅延プロファイルの包絡線の傾きが大きい場合は、遅延時間が大きくなると、遅延波の電力の減少は大きいため、しきい値を大きくしても、残留歪の電力は小さくなる。
本発明の実施例2によれば、遅延プロファイルの包絡線の形状も考慮して、等化処理に使用すべきタップを決定するため、詳細な制御が可能になる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例1と2において、受信装置100は、IEEE802.11b規格に準拠した無線LANに使用されている。しかしこれに限らず例えば、携帯電話システム、特に第3世代携帯電話システムやIEEE802.11b規格以外のIEEE802.11a等の規格に準拠した無線LANに使用されてもよい。本変形例によれば、様々な無線システムに本発明を適用できる。すなわち、送信側と受信側の間に位置する無線伝搬路の特性が変動する環境下で使用される無線システムに適用されればよい。
本発明の実施例1において、等化器18として線形フィルタ部20とDFE部22の組合せを適用し、本発明の実施例2において、等化器18として線形フィルタ部20を適用した。しかしこれに限らず例えば、MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)単独やこれとDFE部22の組合せ等が等化器18として適用されてもよい。本変形例によれば、様々なタイプの等化器を等化器18として適用できる。すなわち、等化器18として使用される等化器のタイプは、受信装置100を使用すべき無線伝搬路の特性に応じて任意のものに選択されればよい。
本発明の実施例1と実施例2の組合せも有効であって、本変形例によれば、実施例1と実施例2の効果が得られる。
実施例1に係る受信装置の構成を示す図である。 実施例1に係る通信システムのバーストフォーマットを示す図である。 図1の等化器の構成を示す図である。 図1の遅延プロファイル推定部で推定した遅延プロファイルを示す図である。 図4の線形フィルタ部の構成を示す図である。 図4のDFE部の構成を示す図である。 実施例2に係る等化器の構成を示す図である。 図8(a)−(b)は、図7の決定部での処理の概略を示す図である。
符号の説明
10 アンテナ、 12 RF部、 14 AGC、 16 遅延プロファイル推定部、 18 等化器、 20 線形フィルタ部、 22 DFE部、 24 LMSアルゴリズム部、 26 決定部、 30 遅延部、 32 保持部、 34 乗算部、 36 総和部、 40 遅延部、 42 保持部、 44 乗算部、 46 総和部、 48 判定部、 50 加算部、 60 復調部、 62 制御部、 100 受信装置、 200 遅延プロファイルデータ、 202 等化器入力信号、 204 等化器出力信号、 206 フィルタ出力信号、 210 タップ関連信号、 212 フィルタタップ制御信号、 214 DFEタップ制御信号。

Claims (7)

  1. 伝搬路を介した信号を受信する受信部と、
    前記受信した信号を複数のタップに入力し、当該複数のタップに入力した信号を等化処理する等化処理部と、
    前記受信した信号から、伝搬路での複数の遅延時間に対する複数の受信電力をそれぞれ推定する遅延プロファイル推定部と、
    前記推定した複数の遅延時間に対する複数の受信電力を予め定めたしきい値とそれぞれ比較し、前記しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間から等化処理の対象とすべき遅延時間を決定し、当該決定した等化処理の対象とすべき遅延時間以下の遅延時間に対応したタップをすべて含むように、前記複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定する決定部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  2. 前記決定部は、前記しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間に所定の期間を付加して、前記等化処理の対象とすべき遅延時間を決定し、前記決定した等化処理の対象とすべき遅延時間にもとづいて、前記複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
  3. 前記決定部は、複数の遅延時間に対する複数の受信電力の変化量を計算し、当該計算した変化量に応じて、前記しきい値を決定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
  4. 前記等化処理部は、
    前記受信した信号を前記複数のタップのうちの一部のタップに入力し、当該一部のタップに入力した信号を等化処理する前段等化部と、
    前記前段等化部から出力した信号を前記複数のタップのうちの残りのタップに入力し、当該残りのタップに入力した信号をさらに等化処理する後段等化部とを備え、
    前記決定部は、前記前段等化部と前記後段等化部に含まれた複数のタップのうち等化処理に使用すべきタップ数を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の受信装置。
  5. 前記前段等化部に含まれた前記一部のタップは、線形フィルタを構成し、
    前記後段等化部に含まれた前記残りのタップは、判定帰還型の等化器を構成していることを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
  6. 前記後段等化部は、前記判定帰還形の等化器と共に線形フィルタも含むことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  7. 伝搬路を介して受信した信号を等化処理すべき等化器が、複数のタップを備えており、前記受信した信号から伝搬路での複数の遅延時間に対する複数の受信電力をそれぞれ推定し、前記推定した複数の遅延時間に対する複数の受信電力を予め定めたしきい値とそれぞれ比較し、前記しきい値以上となる受信電力に対応した遅延時間以下の遅延時間に対応したタップをすべて含むように、前記複数のタップのうちの等化処理に使用すべきタップを決定する等化方法。
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