JP3424724B2 - 干渉キャンセラ - Google Patents

干渉キャンセラ

Info

Publication number
JP3424724B2
JP3424724B2 JP33843596A JP33843596A JP3424724B2 JP 3424724 B2 JP3424724 B2 JP 3424724B2 JP 33843596 A JP33843596 A JP 33843596A JP 33843596 A JP33843596 A JP 33843596A JP 3424724 B2 JP3424724 B2 JP 3424724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
symbol sequence
complex symbol
wave
sequence candidate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33843596A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10178373A (ja
Inventor
和彦 府川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTT Docomo Inc
Original Assignee
NTT Docomo Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTT Docomo Inc filed Critical NTT Docomo Inc
Priority to JP33843596A priority Critical patent/JP3424724B2/ja
Publication of JPH10178373A publication Critical patent/JPH10178373A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3424724B2 publication Critical patent/JP3424724B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディジタル無線
通信において干渉波による劣化を抑圧する干渉キャンセ
ラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディジタル移動通信においては、周波数
の有効利用を図るため周波数のゾーン繰り返しを行って
おり、同一チャネル干渉対策が重要な課題の一つであ
る。干渉キャンセラの一種である非線形干渉キャンセラ
はその有望な技術の一つであり、従来の非線形干渉キャ
ンセラを含む受信機の構成を図4に示す。
【0003】まず、アンテナ11から受信した受信波
は、低雑音アンプ12で増幅された後にハイブリッド1
3で2分岐される。その1つの信号は、キャリア信号発
生器14が出力するキャリア信号と乗算器15で乗算さ
れた後にローパスフィルタ16へ入力される。そして、
A/D変換器17でサンプリング周期Ts ごとにサンプ
リングされディジタル信号に変換される。ハイブリッド
13よりの他方の信号は移相器18では90度位相回転
したキャリア信号と乗算器19で乗算され、ローパスフ
ィルタ21へ入力された後にA/D変換器22でサンプ
リングされ、ディジタル信号に変換される。この操作は
準同期検波であり、A/D変換器17及び22の出力は
準同期検波信号の同相成分及び直交成分に相当し、その
2つを合わせて時刻kTs (kは整数)の受信信号x
(kTs /T)とする。ここで、Tは変調のシンボル周
期であり、単位時刻に設定した。なお、低雑音アンプ1
2、ハイブリッド13、乗算器15及び19、移相器1
8、ローパスフィルタ16及び21、A/D変換器17
及び22はベースバンド受信信号発生器24を構成す
る。受信信号は伝送路の同一チャネル干渉を受けてお
り、入力端子26を通って非線形干渉キャンセラ27へ
と入力される。非線形干渉キャンセラ27は同一チャネ
ル干渉による伝送特性劣化を抑え、信号判定を行い希望
波の判定信号を出力端子28から出力する。
【0004】この非線形干渉キャンセラ27の構成を図
5Aに示す(吉野 仁、府川和彦、鈴木 博、“RLS
−MLSEによる適応干渉キャンセラ”、信学論B−I
I、vol.J77-B-II、No.2, pp.74-84、1994年2月)。以
下では信号は全て、同相成分を実部に、直交成分を虚部
に持つ複素表示で表現することとし、考慮する干渉波の
数は1とし、本図においてサンプリング周期Ts は変調
のシンボル周期Tに等しいものとする。入力端子26か
ら受信信号が入力する。レプリカ信号生成回路31は、
複素シンボル系列候補群を入力端子32から入力し、入
力端子33から入力する伝送路特性推定値との畳み込み
演算を行い、その演算結果をレプリカ信号として出力端
子34から出力する。複素シンボル系列候補群は希望波
の複素シンボル系列候補と干渉波の複素シンボル系列候
補で構成されており、伝送路特性推定値は希望波の伝送
路特性推定値と干渉波の伝送路特性推定値で構成されて
いる。複素減算器36は受信信号とレプリカ信号との差
分を誤差信号として出力する。2乗演算回路37は、誤
差信号の絶対値2乗に負の定数を乗算した値を尤度情
報、即ちブランチメトリックとしてビタビアルゴリズム
回路38に入力する。
【0005】ビタビアルゴリズム回路38は、上述の複
素シンボル系列候補群を出力し、ビタビアルゴリズムを
用いて最尤系列推定による信号判定を行う。具体的に
は、複素シンボル系列候補群ごとにブランチメトリック
の累積値として対数尤度関数、即ちパスメトリックを計
算し、パスメトリックを最大とする複素シンボル系列候
補群をビタビアルゴリズムにより求める。そして、選択
された複素シンボル系列候補群の希望波複素シンボルを
判定信号として出力端子28へと出力する。パラメータ
推定回路41は、複素シンボル系列候補群と誤差信号を
入力とする。これらの信号を用いて、誤差信号の平均2
乗を最小にするアルゴリズム、即ち最小2乗法で伝送路
特性推定値を求め出力する。最小2乗法のアルゴリズム
としては、正規方程式を厳密に逐次的に解くRLSアル
ゴリズム、特性が良く演算量が少ないLMSアルゴリズ
ムが一般的であり、この他にも様々なものが知られてい
る(Haykin, S.“Adaptive Filter Theory”,2nd, Ed.
Prentice-Hall, 1992)。
【0006】図5Aのレプリカ信号生成回路31の構成
を図5Bに示す。まず、入力端子32から複素シンボル
系列候補群が入力し、希望波の複素シンボル系列候補は
シンボル間隔形トランスバーサルフィルタ43へ、干渉
波の複素シンボル系列候補はシンボル間隔形トランスバ
ーサルフィルタ44へと入力される。また、入力端子3
3から伝送路特性推定値が入力し、希望波の伝送路特性
推定値はシンボル間隔形トランスバーサルフィルタ43
へ、干渉波の伝送路特性推定値はシンボル間隔形トラン
スバーサルフィルタ44へと入力される。シンボル間隔
形トランスバーサルフィルタ43及び44は、それぞ
れ、希望波もしくは干渉波に関して、複素シンボル系列
と伝送路特性推定値との畳み込み演算を行い、その演算
結果を出力する。複素加算器45は、シンボル間隔形ト
ランスバーサルフィルタ43及び44の出力信号を足し
あわせ、レプリカ信号として出力端子34から出力す
る。
【0007】シンボル間隔形トランスバーサルフィルタ
の構成は、遅延素子の遅延時間がシンボル周期であるト
ランスバーサルフィルタであり、その構成を図6Aに示
す。入力端子51から入力する複素シンボル系列は遅延
素子52と複素乗算器53とへ供給され、遅延素子52
の出力は複素乗算器54へ供給され、入力端子55から
入力する伝送路特性推定値は、タップに相当する複素乗
算器53,54に設定され、複素シンボル系列と伝送路
特性推定値との畳み込み演算結果が複素加算器56から
出力端子57へと出力される。
【0008】次に、図5のビタビアルゴリズム回路3
8が用いるビタビアルゴリズムについて、干渉波の数は
1、変調方式はBPSK変調を例に具体的に述べる。ま
ず、状態について説明する。希望波及び干渉波の複素シ
ンボル{a(k+1),b(k+1)}に対する複素シ
ンボル候補を{am (k+1),bm (k+1)}とす
る。伝送路における遅延波の最大遅延時間がQTのと
き、{am (q) ,bm (q) |k−Q+1k}を状
態と呼ぶ。この場合、状態数は22Qとなり、複素シンボ
ル系列はこの状態の系列として記述することができる。
図6BにQ=1の状態遷移図、即ちトレリス図を示す。
時点kにおけるs番目の状態をσs (k) とする。ここで
は、03であり、時点がkからk+1に進むとき
状態が遷移する。状態遷移は、希望波及び干渉波の複素
シンボル候補{am (k+1),bm (k+1)}の値
に依存するので、1つの状態から4通りの遷移が起き
る。同図が示すように、1つの状態から4つの状態へと
分岐し、また、4つの状態から1つの状態にマージす
る、遷移先でマージする4つの遷移から1つの遷移を選
択するために状態σs'(k) から状態σs (k+1) への遷移
に対応した遷移メトリックJk+1 [σs (k+1),σ
s'(k) ]を用いる。
【0009】状態σs'(k) からσs (k+1) への遷移にお
けるメトリックは、遷移ごとのブランチメトリックBR
[σs (k+1) ,σs'(k) ]を用いて Jk+1 [σs (k+1) ,σs'(k) ] =Jk [σs'(k) ]+BR[σs (k+1) ,σs'(k) ] (1) で算出される。Jk [σs'(k) ]は時点kにおけるパス
メトリックであり、対数尤度関数に対応している。状態
遷移σs'(k) →σs (k+1) における複素シンボル系列候
補群は{am (k+1),bm (k+1)}で表され
る。ビタビアルゴリズムではマージする4つの遷移に対
応したJk+1 [σs (k+1) ,σs'(k) ]を比較して最大
の遷移を選択し、その選択された遷移のメトリックを時
点k+1におけるパスメトリックJk+1 [σs (k+1)]
にする。そして、選択された遷移にリンクする状態の時
系列、パスのみが最尤系列候補として残される。以後こ
の操作を繰り返すと、状態の数だけパスが生き残る。こ
のパスは生き残りパスと呼ばれている。なお、メモリの
制約上、状態の時系列は過去(D−Q+1)Tまでしか
記憶せず、過去(D−Q+1)Tの時点で生き残りパス
がマージしないなら現時点で最大尤度となる、つまりパ
スメトリック最大のパスに基づいて信号判定を行なう。
このとき判定される信号は、現時点からDT遅延したも
のであり、このDTを判定遅延時間という(G.Ungerboe
ck, “Adaptive maximum likelihood receiver for car
rier-modulated data-transmission systems, ”IEEE T
rans. Commun, vol.COM-22, pp.624-636, 1974)。ただ
し、DQである。
【0010】最後に、サンプリングクロックと干渉キャ
ンセラの特性について述べる。同一チャネル、符号間干
渉および雑音がない受信信号の同相成分、もしくは直交
成分の波形を図7Aに示す。ここで、サンプリング周期
s は変調のシンボル周期Tと等しく、一点鎖線59は
信号判定のしきい値を示すものとする。受信波(a)に
対するサンプリングクロックのタイミングオフセットが
0の場合は同図(b)のサンプリング1に対応してお
り、タイミングオフセットがT/2の場合は同図(c)
のサンプリング2に対応している。タイミングオフセッ
トが0だと、受信信号サンプリング値のレベルは常に一
定であるが、タイミングオフセットがT/2程度になる
とレベルが極端に小さくなる場合がある。受信信号サン
プリング値のレベルが小さくなると干渉キャンセラの特
性は劣化するので、サンプリングクロックのタイミング
オフセットにより干渉キャンセラの特性は劣化する。
【0011】また、従来の非線形干渉キャンセラは、図
7Bに示すように希望波61と干渉波62のバースト受
信タイミングが一致している同期系で動作することを前
提としており、同図(b)に示すような受信タイミング
が一致していない非同期系では、充分な精度でレプリカ
信号を生成することができず特性が劣化する。以上説明
したように、従来の非線形干渉キャンセラでは、受信信
号のサンプリング周期がシンボル周期と一致しているた
め、サンプリングクロックのタイミングオフセットによ
り特性が大幅に劣化し、かつ、希望波と干渉波の受信タ
イミングが一致していない非同期系では充分な特性が得
られないという欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、サ
ンプリングクロックにタイミングオフセットがある場合
でも、また、希望波と干渉波の受信タイミングが一致し
ていない非同期系でも優れた誤り率特性が得られる非線
形干渉キャンセラを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明における干渉キ
ャンセラは、(1)1シンボル周期より短かいサンプリ
ング周期の受信信号とタップ係数との畳み込み演算を行
う前段フィルタ手段、(2)希望波と干渉波の複素シン
ボル系列候補から成る複素シンボル系列候補群と、伝送
路特性推定値との畳み込み演算を行い、レプリカ信号と
して出力するレプリカ信号生成フィルタ手段、(3)前
段フィルタ手段の出力とレプリカ信号との差分を誤差信
号とし、この誤差信号を基に信号判定を行い、希望波の
判定信号と複素シンボル系列候補群を出力する最尤系列
推定手段、(4)受信信号、複素シンボル系列候補群と
誤差信号を入力として、タップ係数と伝送路特性推定値
とを推定するパラメータ推定手段とから成る。
【0014】ダイバーシチ受信を行うとき、前段フィル
タ手段は、複数のアンテナからの受信信号に対し各々異
なるタップ係数との畳み込み演算を行い、演算結果を足
しあわせ出力するように拡張できる。 [作用] この発明における基本的な作用は次のような
ものである。(1)前段フィルタ手段は、受信信号とタ
ップ係数との畳み込み演算を行うことにより、サンプリ
ングタイミング調整を行い、その演算結果を出力する。
(2)レプリカ信号生成フィルタ手段は、複素シンボル
系列候補群の要素である希望波と干渉波の複素シンボル
系列候補を、それぞれ対応する伝送路特性推定値との畳
み込み演算を行い、それらの演算結果を足し合わせるこ
とにより受信信号の推定値であるレプリカ信号を生成し
出力する。(3)最尤系列推定手段は、前段フィルタ手
段の出力とレプリカ信号との差分を誤差信号とし、この
誤差信号を尤度情報として最尤系列推定により信号判定
を行い、希望波の判定信号と複素シンボル系列候補群を
出力する。(4)パラメータ推定手段は、受信信号、複
素シンボル系列候補と誤差信号を入力として、伝送路特
性推定値の特定要素を固定するという拘束条件の下で、
誤差信号の平均2乗が最小となるようにタップ係数と伝
送路特性推定値を推定する。
【0015】前段フィルタ手段はダイバーシチ受信の
際、複数のアンテナからの受信信号に対し、各々異なる
タップ係数との畳み込み演算を行うことによりサンプリ
ングタイミング調整を行い、その複数の演算結果を足し
合わせ出力することも可能である。 [従来との差異]従来技術とは、以下の点が異なる。 (1)前段フィルタ手段において、受信信号とタップ係
数との畳み込み演算を行うことによりサンプリングタイ
ミング調整を行い、その演算結果を用いて尤度情報を求
める。(2)前段フィルタ手段のタップ係数と伝送路特
性推定値は、伝送路特性推定値の特定要素を固定すると
いう拘束条件の下で、誤差信号の平均2乗が最小となる
ように推定する。
【0016】
【発明の実施の形態】実施例1 この発明の実施例1の構成を図1に図5Aと対応する部
分に同一符号を付けて示す(請求項1)。以下では考慮
する干渉波の数は1、即ちNは1とする。入力端子26
からサンプリング周期T/2の受信信号が入力する。サ
ンプリングクロックのタイミングオフセットによる劣化
は、遅延素子の遅延時間が1シンボル周期T未満のトラ
ンスバーサルフィルタを用いれば補償できることが知ら
れている(Ungerboeck,G.,“Fractional tap-spacing e
qualizer and consequence for clock recovery in dat
a modems”,“IEEE Trans.on Commun,Vol.COM-24,No.
8,pp.856-864,Aug.1976)。従って、この発明では受信
信号を遅延時間が1Tより小さいトランスバーサルフィ
ルタの前段フィルタ手段に入力する。つまり受信信号を
分数間隔形トランスバーサルフィルタ71に入力する。
このフィルタ71は例えば図2Aに示すような遅延時間
T/2の遅延素子72を例えば2段持つトランスバーサ
ルフィルタであり、受信信号と、入力端子73から入力
するタップ係数との畳み込み演算を行い、その演算結果
を出力する。この畳み込み演算は、異なるタイミングの
受信信号の中から最適タイミングのものを選択する機能
があり、サンプリングタイミングの調整を適応的に行う
ことができる。また、希望波と干渉波の受信タイミング
が一致していない非同期系では、レプリカ信号生成回路
75で生成できない符号間干渉が発生するが、この符号
間干渉についても、上述の畳み込み演算は打ち消すよう
な動作を行い、非同期系での劣化を補償することができ
る。レプリカ信号生成手段に相当するレプリカ信号生成
回路75は図5Bに示したレプリカ信号生成回路31と
ほぼ同じ構成であり、希望波の複素シンボル系列候補と
干渉波の複素シンボル系列候補で構成される複素シンボ
ル系列候補群と、入力端子33から入力する伝送路特性
推定値との畳み込み演算を行い、レプリカ信号として出
力する。ここでは、図5B中の希望波のレプリカ信号成
分を生成するシンボル間隔形トランスバーサルフィルタ
43は、図2Bに示すように先行波のフェージング振幅
を−1に固定してある。複素シンボル系列候補群は遅延
時間がTの遅延素子76に入力されると共に複素乗算器
77へも供給され、遅延素子76の出力は複素乗算器7
8に供給される。複素乗算器77の乗数は−1に固定さ
れ、複素乗算器78には希望波の伝送路特性推定値が乗
数として与えられる。複素乗算器77,78の出力は複
素加算器79で加算されて出力される。この複素乗算器
77の乗数を−1に固定するのは、後述するパラメータ
推定回路81で希望波の先行波のフェージング振幅を−
1に固定するという拘束条件の下で誤差信号の2乗平均
が最小となるようにしていることにもとづく。
【0017】図1中の複素減算器36は、前段フィルタ
71の出力とレプリカ信号との差分を誤差信号として出
力する。2乗演算回路37は、その誤差信号の絶対値の
2乗に負の定数を乗算した値を尤度情報、即ちブランチ
メトリックとしてビタビアルゴリズム回路38に入力す
る。ビタビアルゴリズム回路38は複素シンボル系列候
補群を出力し、ビタビアルゴリズムを用いて最尤系列推
定による信号判定を行う。具体的には、複素シンボル系
列候補群ごとにブランチメトリックの累積値として対数
尤度関数、即ちパスメトリックを計算し、パスメトリッ
クを最大とする複素シンボル系列候補群をビタビアルゴ
リズムにより求める。そして、選択された複素シンボル
系列候補群のうち希望波の複素シンボル候補を判定信号
として出力端子28へ出力する。ここで、複素減算器3
6、2乗演算回路37及びビタビアルゴリズム回路38
は最尤系列推定手段に相当する。
【0018】パラメータ推定手段に相当するパラメータ
推定回路81は、受信信号、複素シンボル系列候補群と
誤差信号を入力として、希望波の先行波のフェージング
振幅を−1(定数)に固定するという拘束条件の下で、
誤差信号の2乗平均が最小となるように、即ち最小2乗
法に基づきタップ係数及び伝送路特性推定値を求め出力
する。ここで、希望波の先行波のフェージング振幅は伝
送路特性推定値の特定要素に相当する。
【0019】上記の拘束条件がないと、最小2乗推定で
はタップ係数及び伝送路特性推定値は全て0になってし
まい、誤り率特性が大幅に劣化する。拘束条件はこの事
態を防ぐために必要となっている。拘束条件下での最小
2乗法は、アダプティブアレイの拘束条件付き出力電力
最小化アルゴリズムとして、R.T.Jr.Compton著“Adapti
ve antennas ”(Prentice Hall出版1988年)の第6章に
記載されているが、希望波の先行波の複素シンボル候補
を基準信号と見なせば、通常の最小2乗法のアルゴリズ
ムが適用できる。
【0020】以下では数式を用いてこのことを説明す
る。受信信号をx(kTs /T)、タップ係数を
{Wp }とすると、図1中の分数間隔形トランスバーサ
ルフィルタ71の出力信号y(i)は y(i)=w1 * x(i−1/2)+w2 * x(i)+w3 * x(i+1/2) (2) となる。ここで、* は複素共役である。一方、レプリカ
信号生成回路75の出力であるレプリカ信号ye (i)
は、時刻iTにおける希望波及び干渉波の複素シンボル
候補をam (i),bm (i),希望波及び干渉波の伝
送路特性推定値を{h0 (j)},{h1 (j)}とす
ると、 ye (i)=Σj=0 10 (j)am (i−j) +Σj=0 11 (j)bm (i−j) (3) となる。誤差信号em (i)はy(i)−ye (i)で
あるから、式(2)及び式(3)を用いて em (i)=w1 * x(i−1)+w2 * x(i)+w3 * x(i+1) −Σj=0 10 (j)am (i−j) −Σj=0 11 (j)bm (i−j) (4) となる。この誤差信号em (i)を、7次元拡張受信信
号ベクトルXext (i)と7次元拡張重み付け係数ベ
クトルWext で表すと em (i)=Wex H ex(i) (5) となる。ここで、H は複素共役転置であり、X
ex(i)とWexは Xex H (i)=[am * (i)am * (i−1)bm * (i) bm * (i−1)x* (i−1/2)x* (i)x* (i+1/2)] (6) Wex H =[−h0 (0)−h0 (1)−h1 (0)−h1 (1) w1 * 2 * 3 * ] (7) と定める。先行波のフェージング振幅を−1とする拘束
条件はh0 (0)=−1であり、 Wex H ex=1(const.) (8) と表すことができる。ただし、Texは7次元拡張ステ
アリング・ベクトルであり、 Tex H =[1000000] (9) である。
【0021】式(8)の拘束条件で式(5)で表される
誤差信号em (i)の平均2乗を最小にするアルゴリズ
ムは、拘束条件付き出力電力最小化アルゴリズムとして
知られているが、式(5)にh0 (0)=−1を代入し
て以下のように変形すると通常の最小2乗法のアルゴリ
ズムが適用できる。 em (i)=am (i)−WH X(i) (10) ここで、X(i)は6次元受信信号ベクトル、Wは
6次元重み付け係数ベクトルであり、 XH (i)=[am * (i−1)bm * (i)bm * (i−1) x* (i−1/2)x* (i)x* (i+1/2)] (11) WH =[h0 (1)h1 (0)h1 (1)−w1 * −w2 * −w3 * ] (12) と定める。式(10)は最小2乗法における誤差信号の
標準形であり、希望波の先行波の複素シンボル候補am
(i)を基準信号としWexの代りにWを推定するな
らば、通常の最小2乗法のアルゴリズムが適用できる。
【0022】この実施例ではサンプリング周期T/2の
受信信号を用いており、前段フィルタ手段において受信
信号とタップ係数との畳み込み演算を行うことにより、
サンプリングタイミング調整を行っている。従って、サ
ンプリングクロックのタイミングオフセットがある場合
でも特性の劣化を抑えることができる。また、希望波と
干渉波の受信タイミングが一致していない非同期系にお
いても、レプリカ信号生成回路75が生成できない符号
間干渉が発生し、特性劣化の原因となるが、これを前段
フィルタが波形等化器として打ち消すように適応的に動
作するので良好に動作する。
【0023】なお、ここではサンプリング周期をT/2
としたが、他のサンプリング周期の値(シンボル周期T
以下)への拡張は容易に行える。このように入力信号の
サンプリング周期は1シンボル周期より小とされるが、
レプリカ信号生成回路75、パラメータ推定回路81、
最尤系列推定手段での各処理は1シンボル周期ごとでよ
い。
【0024】また、希望波の先行波のフェージング振幅
を固定したが、遅延波のフェージング振幅を固定するこ
とも可能である。この場合、図2Bに示すシンボル間隔
形トランスバーサルフィルタの複素乗算器78に固定値
が設定され、複素乗算器77に伝送路特性推定値が設定
される。さらに、ビタビアルゴリズム回路38で用いる
ビタビアルゴリズムは、演算量を削減するため、本来の
ビタビアルゴリズムよりも状態数を少なくするDDFS
E(Delayed Decision-Feedback Sequence Estimation)
等の簡易アルゴリズムで代用することも可能である(Ha
llen,A.D.and C.Heegard, “Delayed decision-feedbac
k sequence estimation ”,IEEE Trans. Commun,vol.C
OM-37,pp.428-436,May 1989)。実施例2 この発明の他の実施例の構成を図3に図1と対応する部
分に同一符号を付けて示す(請求項2)。この構成は実
施例1をダイバーシチ受信の場合に拡張したものであ
り、同図では2ブランチを例に示した。まず、入力端子
261 及び262からそれぞれ2つのアンテナからの受
信信号が入力する。ここで、各受信信号のサンプリング
周期はT/2である。入力端子261 からの受信信号は
分数間隔形トランスバーサルフィルタ711 でタップ係
数と畳み込み演算され、入力端子262 からの受信信号
は分数間隔形トランスバーサルフィルタ712 で異なる
タップ係数と畳み込み演算される。複素加算器82は分
数間隔形トランスバーサルフィルタ711 及び712
出力信号を足しあわせて出力する。分数間隔形トランス
バーサルフィルタ711 及び712 は、図2Aに示した
遅延時間T/2の遅延素子を持つトランスバーサルフィ
ルタである。この畳み込み演算は、異なるタイミングの
受信信号の中から最適タイミングのものを選択する機能
があり、サンプリングタイミングの調整を適応的に行う
ことができる。また、希望波と干渉波の受信タイミング
が一致していない非同期系では、レプリカ信号生成回路
75で生成できない符号間干渉が発生するが、この符号
間干渉についても、上述の畳み込み演算は打ち消すよう
な動作を行い、非同期系での劣化を補償することができ
る。ここで、分数間隔形トランスバーサルフィルタ71
1 及び712 、複素加算器82は前段フィルタ手段に相
当する。レプリカ信号生成手段に相当するレプリカ信号
生成回路75は、実施例1と同様に図5Bに示したもの
と同じ構成であり、希望波の複素シンボル系列候補と干
渉波の複素シンボル系列候補で構成される複素シンボル
系列候補群と、入力端子33から入力する伝送路推定値
との畳み込み演算を行い、レプリカ信号として出力す
る。複素減算器36は、前段フィルタ手段の出力、即ち
複素加算器82の出力信号とレプリカ信号との差分を誤
差信号として出力する。2乗演算回路37は、誤差信号
の絶対値2乗に負の定数を乗算した値を尤度情報、即ち
ブランチメトリックとしてビタビアルゴリズム回路38
に入力する。ビタビアルゴリズム回路38は実施例1と
同様に、複素シンボル系列候補群を出力し、最尤系列推
定による信号判定を行い希望波の判定信号を出力端子2
8へ出力する。ここで、複素減算器36、2乗演算回路
37及びビタビアルゴリズム回路38は最尤系列推定手
段に相当する。
【0025】パラメータ推定手段に相当するパラメータ
推定回路83は、入力端子261 及び262 から入力す
る受信信号、複素シンボル系列候補群と誤差信号を入力
として、希望波の先行波のフェージング振幅を−1(定
数)に固定するという拘束条件の下で、誤差信号の2乗
平均が最小となるように、即ち最小2乗法に基づきタッ
プ係数及び伝送路推定値を求め出力する。ここで、希望
波の先行波のフェージング振幅は伝送路特性推定値の特
定要素に相当する。
【0026】この実施例ではサンプリング周期T/2の
受信信号を用いており、前段フィルタ手段において受信
信号とタップ係数との畳み込み演算を行うことにより、
サンプリングタイミング調整を行っている。従って、実
施例1と同様、サンプリングクロックのタイミングオフ
セットがある場合でも特性の劣化を抑えることができ、
希望波と干渉波の受信タイミングが一致していない非同
期系においても良好に動作する。加えて、複素加算器で
複数の分数間隔形トランスバーサルフィルタの出力を合
成しており、ダイバーシチ合成と等価な機能を有してい
る。従って、等化しきれない長い遅延時間の遅延波が到
来する場合や考慮外の干渉波が到来する場合でも、前段
フィルタ手段においてダイバーシチ合成により除去でき
るので、誤り率特性を維持できる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
前段フィルタ手段において受信信号のタイミング調整を
行うので、受信信号のサンプリングクロックにタイミン
グオフセットがある場合でも良好に動作する。また、希
望波と干渉波の受信タイミングが一致していない非同期
系においても、劣化の要因となる符号間干渉を前段フィ
ルタが除去するので良好に動作する。また、ダイバーシ
チ受信への拡張構成では、等化しきれない長い遅延時間
の遅延波が到来する場合や考慮外の干渉波が到来する場
合でも、前段フィルタ手段においてダイバーシチ合成を
行うので、誤り率特性を維持できる。
【0028】この発明は同一キャリア周波数を多数のユ
ーザーが共用する無線システムに利用すると効果的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1の機能構成を示すブロック
図。
【図2】Aは図1中の前段フィルタ手段としての分数間
隔形トランスバーサルフィルタ71の構成例を示すブロ
ック図、Bは図1中のレプリカ信号生成回路75におけ
る希望波のシンボル間隔形トランスバーサルフィルタの
構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施例2の機能構成を示すブロック
図。
【図4】従来の受信機の構成を示すブロック図。
【図5】Aは図4中の従来の非線形干渉キャンセラ27
の構成を示すブロック図、Bは図5A中のレプリカ信号
生成回路31の構成例を示すブロック図である。
【図6】Aは図5B中のシンボル間隔形トランスバーサ
ルフィルタの構成例を示すブロック図、Bはビタビアル
ゴリズムの状態遷移図である。
【図7】Aは受信信号とサンプリングタイミングの関係
を示す図、Bは希望波と干渉波の受信タイミングの説明
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04L 27/01 H04L 27/00 K

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1シンボル周期より短かいサンプリング
    周期の受信信号を入力としてタップ係数との畳み込み演
    算を行い、その演算結果を出力する前段フィルタ手段
    と、 希望波の複素シンボル系列候補と、N波(但し、Nは自
    然数)の干渉波の複素シンボル系列候補とで構成される
    複素シンボル系列候補群を入力として、伝送路特性推定
    値との畳み込み演算を、その推定値の特定要素を固定し
    行い、その演算結果をレプリカ信号として出力するレ
    プリカ信号生成手段と、 前記前段フィルタ手段の出力と前記レプリカ信号との差
    分を誤差信号とし、この誤差信号を尤度情報として最尤
    系列推定により信号判定を行い、希望波の判定信号と前
    記複素シンボル系列候補群を出力する最尤系列推定手段
    と、 前記受信信号、前記複素シンボル系列候補群と前記誤差
    信号を入力として、前記伝送路特性推定値の特定要素を
    前記固定するという拘束条件の下で前記誤差信号の平均
    2乗が最小となるように、前記タップ係数と前記伝送路
    特性推定値を推定して出力するパラメータ推定手段とか
    ら構成されることを特徴とする干渉キャンセラ。
  2. 【請求項2】 複数のアンテナからのそれぞれ1シンボ
    ル周期より短かいサンプリング周期の受信信号を入力と
    して、これらの受信信号に対し各々異なるタップ係数と
    の畳み込み演算を行い、その複数の演算結果を足しあわ
    せたものを出力する前段フィルタ手段と、 希望波の複素シンボル系列候補と、N波(但し、Nは自
    然数)の干渉波の複素シンボル系列候補とで構成される
    複素シンボル系列候補群を入力として、伝送路特性推定
    値との畳み込み演算を、その推定値の特定要素を固定し
    行い、その演算結果をレプリカ信号として出力するレ
    プリカ信号生成手段と、 前記前段フィルタ手段の出力と前記レプリカ信号との差
    分を誤差信号とし、この誤差信号を尤度情報として最尤
    系列推定により信号判定を行い、希望波の判定信号と前
    記複素シンボル系列候補群を出力する最尤系列推定手段
    と、 前記受信信号、前記複素シンボル系列候補群と前記誤差
    信号を入力として、前記伝送路特性推定値の特定要素を
    前記固定するという拘束条件の下で前記誤差信号の平均
    2乗が最小となるように、前記タップ係数と前記伝送路
    特性推定値を推定し出力するパラメータ推定手段とから
    構成されることを特徴とする干渉キャンセラ。
JP33843596A 1996-12-18 1996-12-18 干渉キャンセラ Expired - Fee Related JP3424724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33843596A JP3424724B2 (ja) 1996-12-18 1996-12-18 干渉キャンセラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33843596A JP3424724B2 (ja) 1996-12-18 1996-12-18 干渉キャンセラ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10178373A JPH10178373A (ja) 1998-06-30
JP3424724B2 true JP3424724B2 (ja) 2003-07-07

Family

ID=18318133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33843596A Expired - Fee Related JP3424724B2 (ja) 1996-12-18 1996-12-18 干渉キャンセラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3424724B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2809249B1 (fr) * 2000-05-16 2004-04-23 France Telecom Procede et systeme de detection et de decodage iteratif de symboles recus, couple a une reestimation des coefficients du canal de transmission
JP4403010B2 (ja) * 2004-02-03 2010-01-20 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 信号分離装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10178373A (ja) 1998-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7532692B2 (en) Wired/wireless communication receiver and method for improving performance of equalizer through multipath delay spread estimation
US5353306A (en) Tap-weight controller for adaptive matched filter receiver
US6944245B2 (en) Multi-pass interference reduction in a GSM communication system
US6862316B2 (en) Spatial and temporal equalizer and equalization method
JP3375139B2 (ja) アダプティブアレイ送受信機
AU691953B2 (en) Method of and apparatus for interference rejection combining in multi-antenna digital cellular communications systems
JP2807568B2 (ja) 適応形スペクトラム拡散受信機
AU638785B2 (en) Diversity reception of time-dispersed signals
JP2556179B2 (ja) ダイバーシティ受信方式
KR20000005543A (ko) 서로 다른 빔, 분극화, 및 위상 기준으로 간섭을 제거하기 위한방법 및 장치
WO1993026106A1 (en) Maximum likelihood sequence estimating device and method therefor
EP0508407B1 (en) Maximum likelihood sequence estimation for rapidly varying mobile radio communication channels
WO2000044108A1 (fr) Egalisateur adaptatif et procede d'egalisation adaptative
JP3235774B2 (ja) アダプティブ・アレー受信機
JP3424723B2 (ja) 適応等化器
JP3424724B2 (ja) 干渉キャンセラ
JP3808311B2 (ja) 受信方法及び受信機
JPH10336083A (ja) アダプティブアレイ受信機
JP2600970B2 (ja) ダイバーシティ受信装置
WO2004008705A1 (en) Noise whitening
JP3368574B2 (ja) 最尤系列推定回路
JP2000013128A (ja) アダプティブアレイ送受信機
JPH06177928A (ja) 検波器
JP2000188567A (ja) 受信信号系列推定方法及びこの方法を用いたアダプティブ受信機
JP2786335B2 (ja) 軟判定値推定器および最尤系列推定器

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090502

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees