JP2005155901A - 硬質塩化ビニル系樹脂管 - Google Patents

硬質塩化ビニル系樹脂管 Download PDF

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芳明 奥迫
Yukio Shibazaki
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Abstract

【課題】 耐衝撃性に優れ、且つ金属溶出の少ない硬質塩化ビニル系樹脂管を提供する。
【解決手段】 単位内面積あたりのCa,Na又はKの溶出量が、それぞれ10ng/cm2以下であり、内面の表面粗さRmaxが0.5μm以下であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−140〜−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上を含有してなるアクリル系モノマー成分100重量部と多官能性モノマー成分0.01〜10重量部とを共重合したアクリル系共重合体1〜10重量%に、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーとその他の共重合性モノマーとの混合モノマー99〜90重量%をグラフト共重合してなる平均重合度600〜3000の複合塩化ビニル系樹脂を主成分とする硬質塩化ビニル系樹脂管である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性に優れ、且つCa,Na又はKの溶出量が少ない硬質塩化ビニル系樹脂管に関する。
プラント用超純水配管等に用いられる管などは、管内面での細菌の繁殖を防止するため、管内面は、凹凸ができるだけ小さな平滑な表面が要求される。また、超純水の水質に影響を与えないために、金属イオンやTOC(全有機炭素)等の不純物の溶出量が規制されている。超純水は、その製造時にイオン交換樹脂等で大部分の陰イオン類や重金属のイオン類を除去されている。従って、現状の半導体製造等の超純水の水質レベルで、導電率等水質を悪化させる原因となる金属イオン類は、超純水中に残存する可能性があるCa,Na又はKであると認識されている。それ故、以降、本発明においてはCa,Na,Kのイオンを金属イオンと総称する。
例えば、特定の製造方法で管を成形することで管内面の平滑性を向上させる製造方法及び製造装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では、管内部を流れる超純水に過大な金属成分やTOCが溶出する等の課題があった。
特公平4−28168
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、耐衝撃性に優れ、且つ金属溶出の少ない硬質塩化ビニル系樹脂管を提供することにある。
請求項1に記載の発明(以下、「本発明1」と記す)による硬質塩化ビニル系樹脂管は、単位内面積あたりのCa,Na又はKの溶出量が、それぞれ10ng/cm2以下であり、内面の表面粗さRmaxが0.5μm以下であることを特徴とする
又、請求項2に記載の発明(以下、「本発明2」と記す)による硬質塩化ビニル系樹脂管は、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−140〜−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上を含有してなるアクリル系モノマー成分100重量部と多官能性モノマー成分0.01〜10重量部とを共重合したアクリル系共重合体1〜10重量%に、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーとその他の共重合性モノマーとの混合モノマー99〜90重量%をグラフト共重合してなる平均重合度600〜3000の複合塩化ビニル系樹脂を主成分とすることを特徴とする。
本発明1または2の硬質塩化ビニル系樹脂管の単位内面積あたりのCa,Na,K溶出量はそれぞれ10ng/cm2以下に限定される。溶出量が10ng/cm2を超えると、管内を流れる流体中の金属イオン量が増えて導電率が大きく即ち、水質が悪化する。特に、金属イオンとして、Ca,Na,Kの溶出量が重要であり、それぞれ10ng/cm2以下であることが好ましい。
本発明1または2の硬質塩化ビニル系樹脂管の内面の表面粗さRmaxは0.5μm以下に限定される。内面の表面粗さRmaxが0.5μmを超えると管内面に細菌が発生しやすくなる。
本発明1または2の硬質塩化ビニル系樹脂管に用いられる塩化ビニル系樹脂組成物には、得られる硬質塩化ビニル系樹脂管の内面平滑性や金属溶出性を阻害せず、通常の塩化ビニル樹脂の成形で用いられる成型方法で成形可能な成形性を失わない範囲で、必要に応じ、複合塩化ビニル系樹脂に加え、充填剤、顔料、滑剤、加工助剤、安定剤、安定化助剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤(老化防止剤)、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ等の無機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良く、添加量は5重量部以下が好ましい。5重量部を超えて添加すると、得られる塩化ビニル系樹脂管の耐衝撃性が低下したり、流体中の金属イオンの溶出量が増加する恐れがある。
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;クロム酸モリブデン系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良く、添加量は2重量部以下が好ましい。添加量が2重量部を超えて添加されると、得られる塩化ビニル系樹脂管からの金属イオンの溶出量が増大したり、成形性が低下する恐れがある。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸類;脂肪酸エステル類;オレフィンワックス類等が挙げられる。これらの滑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良く、添加量は0.5〜4重量部が好ましい。添加量が0.5重量部未満であると、通常の押出成形機で成形することが困難となり、4重量部を超えると流体中の金属イオンの溶出量が増加する可能性がある。
加工助剤としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーの単独重合体もしくは共重合体;上記(メタ)アクリレート系モノマーとスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの加工助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。添加合計量は3重量部以下が好ましい。添加合計量が4重量部を超えると、流体中の金属イオンの溶出量が増加したり、押出成形時に発熱し成形が困難になることがある。
安定剤としては、例えば、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート等の有機錫系安定剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系安定剤;ハイドロタルサイト、ゼオライト等の無機系安定剤等が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。添加量は0.1〜2重量部が好ましい。添加量が0.1重量部未満であると押出成形が困難となり、2重量部を超えると流体中の金属イオンの溶出量が増加する。
安定化助剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、燐酸エステル等が挙げられる。これらの安定化助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。2重量部以下が好ましい。添加量が2重量部を超えると、流体中の金属イオンの溶出量が増加する恐れがある。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。添加量は1重量部以下が好ましい。添加量が1重量部を超えると流体中の金属イオンの溶出量が増加させる恐れがある。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。添加量は1重量部以下が好ましい。添加量が1重量部を超えると溶出性を悪化させる恐れがある。
上記した各種配合剤を、上記塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。これらの添加剤の添加方法や添加順序は、特に限定されるものではなく、任意の方法や任意の順序であって良い。
本発明1または2の硬質塩化ビニル系樹脂管は、押出機を用いて、塩化ビニル系樹脂組成物を溶融混練し、押出し成形を行って作成される。
本発明2で用いられるアクリル系モノマー成分中に含有される単独重合体のTgが−140〜−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチルアクリレート(−24℃)、n−プロピルアクリレート(−37℃)、n−ブチルアクリレート(−54℃)、イソブチルアクリレート(−24℃)、sec−ブチルアクリレート(−21℃)、n−ヘキシルアクリレート(−57℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、n−オクチルアクリレート(−85℃)、n−オクチルメタクリレート(−25℃)、イソオクチルアクリレート(−45℃)、n−ノニルアクリレート(−63℃)、n−ノニルメタクリレート(−35℃)、イソノニルアクリレート(−85℃)、n−デシルアクリレート(−70℃)、n−デシルメタクリレート(−45℃)、ラウリルメタクリレート(−65℃)等が挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。尚、括弧内は単独重合体のTgを示す。
上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のTgが−140℃未満であると、得られる硬質塩化ビニル系樹脂管の機械的強度が不十分となり、Tgが−20℃を超えると、得られる塩化ビニル系樹脂管の耐衝撃性が不十分となる。
又、本発明2で用いられるアクリル系モノマー成分中に含有されても良いその他のアクリル系モノマーとしては、例えば、フェニルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。これらのその他のアクリル系モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明2で用いられるアクリル系モノマー成分中における前記単独重合体のTgが−140〜−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの含有量が50重量%未満であると、得られる硬質塩化ビニル系樹脂管の耐衝撃性が不十分となる。
本発明2で用いられる多官能性モノマー成分としては、上記アクリル系モノマー成分と共重合可能なものであれば良く、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物;ブタジエン等の不飽和化合物等が挙げられる。これらの多官能性モノマー成分は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明2で用いられるアクリル系共重合体は、前記アクリル系モノマー成分100重量部と上記多官能性モノマー成分0.01〜10重量部とを共重合体して得られるアクリル系共重合体である。アクリル系モノマー成分100重量部に対する多官能性モノマー成分の共重合量が0.01重量部未満、又は10重量部を超えると、アクリル系共重合体がエラストマー的機能を十分に発揮せず、得られる塩化ビニル系樹脂管の耐衝撃性が不十分となる。
上記アクリル系共重合体は、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等により得ることができるが、なかでも、共重合体の粒子径制御が容易なことから、乳化重合法が好ましく採用される。上記乳化重合の方法は、従来公知の方法で良く、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、乳化分散剤、重合開始剤、pH調整剤、酸化防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を添加して乳化重合を行えば良い。
乳化分散剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分鹸化ポリビニルアルコール、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられるが、なかでもアニオン系界面活性剤が好適に用いられる。アニオン系界面活性剤の市販品としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート(商品名「ハイテノールN−08」、第一工業製薬社製)等が挙げられる。これらの乳化分散剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
乳化重合法の具体的な方法としては、例えば、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が挙げられる。一括重合法は、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤、アクリル系混合モノマー(前記アクリル系モノマー成分+多官能性モノマー成分)を一括して仕込み、窒素気流中において加圧下で攪拌して十分に乳化した後、重合反応器内をジャケットで昇温して重合反応を開始させる方法である。又、モノマー滴下法は、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を仕込み、窒素気流下で重合反応器内を昇温した後、上記アクリル系混合モノマーを一定量ずつ滴下して重合反応を開始させる方法である。さらに、エマルジョン滴下法は、上記混合モノマー、乳化分散剤、純水を攪拌して予め乳化モノマー液を調製し、次いで、ジャケット付重合反応器内に純水、重合開始剤を仕込み、窒素気流下で重合反応器内を昇温した後、上記乳化モノマー液を一定量ずつ滴下して重合反応を開始させる方法である。
こうして得られるアクリル系共重合体(アクリル系樹脂)の構造や形態としては、特に限定されるものではないが、樹脂粒子の安定性向上や硬質塩化ビニル系樹脂管の機械的強度向上を図れることから、例えば、樹脂粒子の表層部と内部とでモノマー組成や架橋構造が異なる所謂コア−シェル構造を有するものが好ましい。
上記コア−シェル構造の形成方法としては、例えば、コア部を構成する前記アクリル系混合モノマー、乳化分散剤、純水から予め調製した乳化モノマー液に重合開始剤を添加して重合反応を行い、先ず、コア部の樹脂粒子を形成する。次いで、シェル部を構成する前記アクリル系混合モノマー、乳化分散剤、純水から予め調製した乳化モノマー液を添加し、上記コア部にグラフト共重合させる方法等が挙げられる。
上記方法において、コア部に対するシェル部のグラフト共重合は、コア部の重合と同一の重合工程で連続的に行っても良い。コア部とシェル部の割合は、コア部を形成するアクリル系混合モノマーとシェル部を形成するアクリル系混合モノマーとの割合を調整することによって自在に調節可能である。又、シェル部に三次元的な架橋構造を形成させるために、前記多官能性モノマー成分をシェル部のみに使用しても良いし、シェル部に偏らせて使用しても良い。この場合も、多官能性モノマー成分の使用量は、アクリル系共重合体全体について、前記アクリル系モノマー成分100重量部に対して、多官能性モノマー成分0.01〜10重量部とされる。
このような方法で得られるアクリル系共重合体粒子は、コア部の表面をシェル部が三次元的に覆い、シェル部を構成する樹脂とコア部を構成する樹脂とが部分的に共有結合しており、シェル部が三次元的な架橋構造を形成している。
本発明2で用いられる複合塩化ビニル系樹脂は、上記アクリル系共重合体1〜10重量%に対し、塩化ビニルモノマー単独、又は塩化ビニルモノマーとその他の共重合性モノマーとの混合モノマー99〜90重量%をグラフト共重合して得られる、平均重合度が600〜3000の樹脂を主成分とする。これらは単独に用いられても、重合度やアクリル共重合体の重量%の異なる2種類以上の複合系塩化ビニル系樹脂が併用されても良く、耐衝撃性や成形性を損なわない範囲で塩化ビニル単独重合体と併用されても良い。
併用される単独塩化ビニル重合体の平均重合度は600〜3000が望ましい。更に好ましくは、600〜900である。併用する塩化ビニル単独重合体の平均重合度が600〜900であると、得られる塩化ビニル系樹脂管の内面平滑性が向上する。併用の場合、アクリル系共重合体の塩化ビニル系樹脂全体に占める含有量は1〜10重量%でなくてはならない。併用された複合塩化ビニル系樹脂中のアクリル系共重合体の含有量が1重量%未満であると耐衝撃性が十分に発現せず、逆に10重量%を超えると、塩化ビニル系樹脂が有する本来の特性が得られなくなる。
塩化ビニルモノマーに混合して併用されても良いその他の共重合性モノマーとしては、塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーであれば良く、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のαオレフィン類;プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。これらのその他の共重合性モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
塩化ビニルモノマーと上記その他の共重合性モノマーとを混合して塩化ビニル系混合モノマーとして使用する場合、その他の共重合性モノマーの使用量は、塩化ビニル系樹脂管に付与したい性能や目的に応じて適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、塩化ビニルモノマー及びその他の共重合性モノマーからなる塩化ビニル系混合モノマー中の20重量%以下であることが好ましい。その他の共重合性モノマーの使用量が上記塩化ビニル系混合モノマー中の20重量%を超えると、塩化ビニル系樹脂が有する本来の特性を得られなくなることがある。
本発明2で用いられる複合塩化ビニル系樹脂において、前記アクリル系共重合体の含有量が1重量%未満であるか、塩化ビニルモノマー又は上記塩化ビニル系混合モノマーの使用量が99重量%を超えると、得られる塩化ビニル系樹脂管の耐衝撃性が不十分となり、逆にアクリル系共重合体の含有量が10重量%を超えるか、塩化ビニルモノマー又は塩化ビニル系混合モノマーの使用量が90重量%未満であると、塩化ビニル系樹脂が有する本来の特性を得られなくなる。
又、上記複合塩化ビニル系樹脂の平均重合度が600未満であると、得られる塩化ビニル系樹脂管の機械的強度が不十分となり、逆に複合塩化ビニル系樹脂の平均重合度が3000を超えると、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形性が損なわれる。尚、上記平均重合度とは、複合塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
アクリル系共重合体と塩化ビニルモノマー又は前記塩化ビニル系混合モノマーとのグラフト共重合方法としては、従来公知の方法で良く、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられるが、一般的には、乳化状態(エマルジョン状態)にあるアクリル系共重合体を塩化ビニルモノマー又は塩化ビニル系混合モノマーと懸濁重合する方法が用いられる。上記懸濁重合法には、前記乳化分散剤や重合開始剤等が用いられる。
懸濁重合法の具体的な方法としては、例えば、攪拌機及び温度調整機を備えた重合反応器内に、純水、乳化分散剤、重合開始剤、アクリル系共重合体エマルジョンを仕込み、重合反応器内の空気を真空ポンプで排除した後、塩化ビニルモノマー又は塩化ビニル系混合モノマーを重合反応器内に導入する。次いで、重合反応器を昇温して、所望の重合温度で重合反応を開始させる。重合反応終了後、残存モノマーを重合反応器外に排出して複合塩化ビニル系樹脂のスラリーを得た後、脱水機による脱水や乾燥機による乾燥等の工程を経ることにより、所望の複合塩化ビニル系樹脂を得ることができる。
本発明で用いられる複合系塩化ビニル系樹脂は、当該樹脂を用い、成形した塩化ビニル系樹脂管の金属イオン溶出量を増大させない範囲で、純水等による当該樹脂スラリーの洗浄を行って良い。
本発明の塩化ビニル系樹脂管は、特定のアクリル系モノマー成分と多官能性モノマー成分との各特定量を共重合したアクリル系共重合体の特定量に塩化ビニルモノマー又は塩化ビニル系混合モノマーの特定量をグラフト共重合してなり、且つ、特定の平均重合度を有する複合塩化ビニル系樹脂を主成分としており、機械的強度と耐衝撃性とを優れたバランスで発現するとともに、金属イオン、即ちCa、Na、Kイオンのそれぞれの溶出量が低く、優れた内面平滑性を有する管となる。
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
(1)アクリル系共重合体の作製
アクリル系モノマー成分としてn−ブチルアクリレート(単独重合体のTg:−54℃)95%及び多官能性モノマー成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート5%を含有してなるアクリル系混合モノマー2.36kg、乳化分散剤として商品名「ハイテノールN−08」(第一工業製薬社製)の10%水溶液50g及び純水1.5kgからなる乳化モノマー液を予め調製した。
攪拌機及び温度調整機を備えた重合反応器(内容積10リットル)内に、純水4kg、重合開始剤として過硫酸アンモニウムの10%水溶液24gを仕込み、重合容器内を窒素ガスで置換した後、攪拌して重合反応器内を75℃に昇温した。次いで、予め調製した上記乳化モノマー液を昇温後の重合反応器内に一定の滴下速度で滴下した。乳化モノマー液の全量の滴下を3時間で終了し、その後、1時間攪拌を続けた後、重合反応を終了し、固形分の濃度が30%のアクリル系共重合体エマルジョンを作製した。
(2)複合塩化ビニル系樹脂の作製
攪拌機及び温度調整機を備えた重合反応器(内容積15リットル)内に、純水7.5kg、上記で得られたアクリル系共重合体エマルジョン0.5kg(固形分0.15kg)、乳化分散剤として部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールL−8」、クラレ社製)の3%水溶液330g、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシデカネート及びα−クミルパーオキシネオデカネート1.1gを仕込み、重合反応器内の空気を真空ポンプで排出した後、攪拌下、塩化ビニルモノマー3.0kgを添加した。次いで、重合反応器内を50℃に昇温して、グラフト重合反応を開始した。重合反応器内の圧力の低下でグラフト重合反応の終了を確認した後、未反応の塩化ビニルモノマーを排出して、複合塩化ビニル系樹脂を作製した。得られた複合塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルのグラフト量は94%であり、アクリル系共重合体の含有量は6%であった。又、得られた複合塩化ビニル系樹脂の平均重合度をJIS K−6721に準拠して測定したところ、平均重合度は1400であった。
(3)塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂管の作製
内容積100リットルのヘンシェルミキサー(川田工業社製)内に、上記で得られた複合塩化ビニル系樹脂に、安定剤として三共有機合成社製ONZ142F1重量部、三井化学社製滑剤Hiwax220MP0.5重量部および日本油脂製滑剤ステアリン酸桜 0.5重量部、三菱レイヨン社製加工助剤P530A2重量部、Tioxide社製酸化チタンRTC−30 1重量部、三菱化学社製カーボンブラック#900 0.3重量部、堺化学社製ステアリン酸SC100 0.5重量部を仕込み、5分間混合し、塩化ビニル系樹脂組成物を作成した。
上記で得られた塩化ビニル系樹脂組成物を直径50mmの2軸異方向回転押出機(商品名「SLM−50」、長田製作所社製)に供給し、樹脂温度195℃で成形し、外径26mm、肉厚3mmの塩化ビニル系樹脂管を得た。
(4)評価
上記で得られた塩化ビニル系樹脂管の性能[1)引張強度、2)耐衝撃性、3)金属溶出性、4)平滑性]を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
1)引張強度:JIS K−7113「硬質プラスチックの引張試験方法」に準拠して、塩化ビニル系樹脂管の引張強度を測定した。尚、測定は23℃の雰囲気下で行った。
2)耐衝撃性:JIS K−7111「硬質プラスチックのシャルピー衝撃試験方法」に準拠して、ノッチ付き(切欠き付き)試験片を用い、塩化ビニル系樹脂管のシャルピー衝撃値を測定した。尚、測定は0℃の雰囲気下で行った。
3)金属イオン溶出量:得られた硬質塩化ビニル系樹脂管の内面を純水で洗浄した後、スキャット2%溶液で一晩浸漬する。予め純水で洗浄しておいたフッソ系樹脂フィルムを、シリコン製ゴム栓に被せ、管の片方に栓をする。純水で管内面を洗浄する。管内に60mlの純水を封入し、23℃で7日間静置した後、封入水を取り出し、Na,CaについてはICP発光分析(セイコーインスツルメント製SPS4000)、Kについては原子吸光分析(パーキンエルマー製4100ZL)を行い、金属量を定量した。
4)平滑性:得られた塩化ビニル系樹脂管の内面周方向8カ所(45°間隔)の各部で下記の方法により表面粗さを計測し、その平均値を計算してRmaxを求めた。
測定機器:東京精密社製 SURFCOM400
測定項目:粗さ測定
測定速度:0.03mm/s
評価長さ:0.1mm
カットオフ値:0.08mm
傾斜補正:直線
フィルタ種別:ガウシアン
λsフィルタ:なし
予備駆動長さ:カットオフ比/3
算出規格:JIS−‘94
得られた複合系塩化ビニル樹脂を、樹脂と純水を1:5の比率で混合洗浄したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
得られた複合系塩化ビニル系樹脂50重量部と、平均重合度1000の塩化ビニル単独重合体50重量部を併用したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
複合系塩化ビニル系樹脂として、樹脂と純水を1:5の比率で洗浄した樹脂を用いたこと以外は実施例3と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
JIS K−6721に準拠して測定した平均重合度が1000の複合塩化ビニル系樹脂を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、塩化ビニル系樹脂管を作製した。
アクリル系共重合体の含有率が3重量%となるよう、樹脂を作成したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
平均重合度1400、アクリル系共重合体の含有量が6重量%と平均重合度1000、アクリル系共重合体の含有量3重量%の複合系塩化ビニル樹脂を50重量部づつ用いたこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂管を作成した。
平均重合度1000の塩化ビニル単独重合体の代わりに平均重合度800の塩化ビニル単独重合体50重量部を併用したこと以外は実施例3と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
平均重合度1000の塩化ビニル単独重合体の代わりに平均重合度800の塩化ビニル単独重合体50重量部を併用したこと以外は実施例4と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
以下に上記実施例と対比するために行った比較例を示す。
(比較例1)
安定剤として三共有機合成社製ONZ142F 2重量部、三井化学社製滑剤Hiwax220MP1重量部および日本油脂製滑剤ステアリン酸桜 1重量部、三菱レイヨン社製加工助剤P530A 4重量部、Tioxide社製酸化チタンRTC−30 2重量部、三菱化学社製カーボンブラック#900 1重量部、堺化学社製カルシウムステアリン酸SC100 2重量部を仕込み、5分間混合し、塩化ビニル系樹脂組成物を作成したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
(比較例2)
複合塩化ビニル系樹脂ではなく、平均重合度1400の塩化ビニル単独重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
(比較例3)
平均重合度1400、アクリル系共重合体の含有量が0.5重量%である複合塩化ビニル系樹脂を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、塩化ビニル系樹脂管を作製した。
(比較例4)
平均重合度1400、アクリル系共重合体の含有量が20重量%である複合系塩化ビニル系樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂管を作成した。
実施例2〜実施例9、及び、比較例1〜比較例4で得られた塩化ビニル系樹脂管の性能を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
Figure 2005155901
以上述べたように、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、優れた機械的強度と耐衝撃性を発現し、且つ、金属イオン溶出合計量が少なく内面平滑性にも優れており、超純水等のプラント用管材として好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 単位内面積あたりのCa,Na又はKの溶出量が、それぞれ10ng/cm2以下であり、内面の表面粗さRmaxが0.5μm以下であることを特徴とする硬質塩化ビニル系樹脂管。
  2. 単独重合体のガラス転移温度が−140〜−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上を含有してなるアクリル系モノマー成分100重量部と多官能性モノマー成分0.01〜10重量部とを共重合したアクリル系共重合体1〜10重量%に、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーとその他の共重合性モノマーとの混合モノマー99〜90重量%をグラフト共重合してなる平均重合度600〜3000の複合塩化ビニル系樹脂が主成分であることを特徴とする請求項1に記載の硬質塩化ビニル系樹脂管。
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