JP2005155492A - 内燃機関のウォータージャケット構造及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ウォータージャケット製造用中子10のシリンダヘッド用中子20は、各気筒の排気側かつリア側の部分23をカットして形成する。これにより鋳造されたウォータージャケットには、冷却水遮断部(カット部分)23としての壁が形成される。この壁が、シリンダヘッドの各気筒の排気リア側において、シリンダヘッドに導入された冷却水を、通路H10を介して排気側から吸気側へ流れる横流れを形成させる。そして、排気ポート近傍(主に排気バルブシートからプラグタワー間のシリンダヘッド)の冷却を十分に行う。
【選択図】 図3
Description
特許文献1には、内燃機関のウォータージャケット構造において、鋳造中子が排気側ウォータージャケット成形部分と吸気側ウォータージャケット成形部分とを備え、両ウォータージャケット成形部分を、外周通路成形部分と中央通路成形部分とにより相互に接続させることが記載されている。排気側ウォータージャケット成形部分と吸気側ウォータージャケット成形部分とは、鋳造中子の強度を向上させるための補強ブリッジで相互に連結されている。
また冷却水をシリンダヘッドの排気側の水穴(全気筒)から入れ、シリンダヘッドのリア側へ流す構造とした場合、冷却水は、通水抵抗の少ないリア側に流れてしまうため、排気ポート間及び排気ポートフロント側に適切に流れなくなり、十分な冷却効果を得ることができないという問題があった。
また本発明では、ウォータージャケットの製造に際し、鋳造によりシリンダヘッドに冷却水通路を形成するシリンダヘッド用中子を各気筒の排気側かつリア側の部分をカットして形成し、この中子を用いてウォータージャケットを形成することとした。
図4は、従来の内燃機関のウォータージャケット形成用中子1を示す斜視図である。
この中子1は砂製であり、シリンダヘッド用中子2と、シリンダブロック用中子3とから大別構成されている。これらの中子2,3は鋳造後に除去され、後に残った部分がウォータージャケットを形成することとなる。そして、このウォータージャケットに冷却水が流れる。
エンジン入口(吸気フロント側)から冷却水が供給された場合における冷却水の通路は、図示の矢印の通り、吸気側においてフロント側からリア側へ流れる通路B1と、エンジン入口からシリンダブロックのフロント側を介して排気側へ流れる通路B2,B3と、リア側においてシリンダブロックからシリンダヘッドへ流れる通路B4と、吸気フロント側からシリンダヘッドへ流れる通路B5,H1と、シリンダヘッドのフロント側からリア側へ流れる通路H2とから大別される。なお、通路B4,B5における冷却水の流れは、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介在するガスケット(図示せず)に形成された水穴から冷却水が通過することにより行われる。
この場合、排気ポート近傍(主に排気バルブシートからプラグタワー間のシリンダヘッド)には、冷却水が十分に供給されないこととなる。排気ポート近傍では、燃焼した後の排気が排気通路から排出されることもあり温度が非常に高くなるため、ノッキングが発生する原因となってしまう。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の内燃機関のウォータージャケット形成用中子10を示す斜視図である。図2は、シリンダヘッド用中子12の底面図(図1の矢印Aから見た図)である。
シリンダブロック用中子30は、シリンダブロックが形成された後にエンジン入口(吸気フロント側)から冷却水を通過させるウォータージャケット(冷却水通路)を形成する。
ここでエンジン入口から供給された冷却水は、吸気フロント側において、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に配置されたガスケットにより、シリンダブロックからシリンダヘッドへの供給(図4の通路B5)が遮断されている。このため、フロント側において排気側へ流れる冷却水の割合が増加する。すなわち、通路B20を流れる冷却水の流れが従来のウォータージャケットに比して強くなる。
次に、シリンダヘッド用中子20について詳細に説明する。
シリンダヘッド用中子20は、シリンダブロックの各気筒の排気側から供給された冷却水を通過させる通路H10を形成するための排気側冷却水通路形成部21が形成されている。この通路形成部21は、図1に示す通り、各気筒の排気側かつリア側(以下、「排気リア側」と称する)がカットされている。これによりシリンダヘッドが鋳造された後に、このカットされた部分23が冷却水通路遮断部としての壁を形成する。このため、遮断部23において、シリンダヘッドの排気側の冷却水がリア側へ流れることはなく、通路H10を介して排気側から吸気側へ流れる横流れとなる。
またシリンダヘッド用中子20の各気筒の排気側の底部にはそれぞれ底部支え22を形成している。この底部支え22は、各気筒の排気側中央位置に1つ形成されており、鋳造後にはシリンダヘッドの排気側からの冷却水導入口となる。底部支え22は、中子20による鋳造を行う際に、中子20を安定して配置した状態にするためのものである。これによりシリンダヘッドの水穴がシリンダヘッドを取り付けるためのボルトの位置から離れるため、ガスケットシールに有効となる。
一方、図1に示す通り、本発明においては、シリンダヘッド用中子20の各気筒の排気リア側をカットしているため、シリンダブロックからシリンダヘッドへの通路B40により流れてきた冷却水がリア側に流れずに、排気側から吸気側への横流れが促進される。これにより図4に示すような、排気側へ冷却水を流すためのリブ6を形成する必要が無くなり、ウォーターポンプによる大きな力が不要となる。これによりウォーターポンプの小型化が図れる。
なお、本願出願人の実験によれば、従来(図4)のウォータージャケット形成用中子1により鋳造されたシリンダヘッドと、本発明(図1)のウォータージャケット形成用中子10により鋳造されたシリンダヘッドとに冷却水を流した場合において、本発明のシリンダヘッドの方が、点火プラグ周り壁温(点火プラグから排気バルブまでの所定位置の温度)が約10%程度低下する結果が得られた。
また、前述のウォータージャケットを製造する場合には、前述した形状のウォータージャケット形成用中子10(シリンダヘッド用中子20、シリンダブロック用中子30)を形成して、これらを用いて鋳造を行い、ウォータージャケットを形成すればよい。
また本実施形態によれば、シリンダヘッドへの冷却水の導入口22を、各気筒の排気側で遮断部23よりフロント側の位置にそれぞれ形成した。このため、ガスケットシールに有効となる。
また本実施形態によれば、シリンダブロックの吸気フロント側から流入する冷却水を吸気フロント側にて分配する冷却水分配部40を形成し、この冷却水分配部40を縦方向に大きく形成し、主として流入した冷却水を排気側に流れるようにした。このため、エンジンブロックにおける吸気側から排気側への冷却水通路(B20)の流れを更に強くして本発明の横流れ(H10による横流れ)を促進することができる。
また本実施形態によれば、中子支え22の幅を、フロント側若しくはリア側の方向に横長に形成し、これを用いてウォータージャケットを形成する。このため、鋳造後に形成されるウォータージャケットの排気側の導入口22が大きく形成され、シリンダブロック側からの冷却水を多く導入することができる。
2,20 シリンダヘッド用中子
3,30 シリンダブロック用中子
4,40 冷却水分配部
21 排気側冷却水通路形成部
22 底部支え(冷却水導入口)
23 カット部分(冷却水遮断部)
Claims (9)
- 冷却水をシリンダヘッドに流すための内燃機関のウォータージャケット構造において、
各気筒の排気側かつリア側の位置でリア側に流れる冷却水を遮断する遮断部を形成し、この遮断部によりシリンダヘッドの排気側の冷却水を吸気側へ導入することを特徴とする内燃機関のウォータージャケット構造。 - 前記遮断部は、シリンダヘッドの排気側の冷却水を点火プラグと排気バルブとの間を介して吸気側へ導入することを特徴とする請求項1記載の内燃機関のウォータージャケット構造。
- シリンダヘッドへの冷却水の導入口を、各気筒の排気側で前記遮断部よりフロント側の位置にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関のウォータージャケット構造。
- 導入口の幅を、フロント側若しくはリア側の方向に横長に形成したことを特徴とする請求項3記載の内燃機関のウォータージャケット構造。
- 吸気側かつフロント側からシリンダヘッドへの冷却水の流入が遮断されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関のウォータージャケット構造。
- シリンダブロックの吸気フロント側から流入する冷却水を吸気フロント側にて分配する冷却水分配部を形成し、この冷却水分配部を縦方向に大きく形成し、主として流入した冷却水を排気側に流れるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関のウォータージャケット構造。
- 冷却水をシリンダヘッドに流すための内燃機関のウォータージャケット製造に際し、
鋳造によりシリンダヘッドに冷却水通路を形成するシリンダヘッド用中子を各気筒の排気側かつリア側の部分をカットして形成し、これを用いてウォータージャケットを形成することを特徴とする内燃機関のウォータージャケット製造方法。 - シリンダヘッド用中子の各気筒の排気側中央位置に中子支えを1つ形成し、これを用いてウォータージャケットを形成することを特徴とする請求項7記載の内燃機関のウォータージャケット製造方法。
- 中子支えの幅を、フロント側若しくはリア側の方向に横長に形成し、これを用いてウォータージャケットを形成することを特徴とする請求項8記載の内燃機関のウォータージャケット製造方法。
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2003
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