JP2005154929A - 極短繊維の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】長単繊維群からなる繊維束から極短繊維をミスカットや物性や形状が変化することなく製造できる方法と装置を提供する。
【解決手段】加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材を液体状又は気体状にして長単繊維群を引き揃えて束ねた繊維束の周囲を囲繞させながら単繊維間へ進入させた後、固体状態に戻して被切削材1を作製し、被切削材1に含まれる埋包材が固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化を起こさない温度以下に冷却し、冷却した状態を維持しながら被切削材を切削刃2によって単繊維の配列方向に対して直角方向へ薄膜状に切削し、薄膜状に切削した被切削材1から加熱して液体状態又は気体状態へ戻して埋包材を除去し、繊維長が0.005〜1mmの極短繊維を製造することを特徴とする極短繊維の製造方法とそのための装置である。
【選択図】図2

Description

本発明は、長繊維からマルチフィラメント糸条を束ねた繊維束1aから数mm未満の繊維長を有する短繊維を製造するための方法と装置に関する。
従来、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性合成ポリマーからなる長繊維を束ねて繊維束とし、この繊維束1aを切断して数mmから数十mmの長さの短繊維を得るために、各種の繊維束切断装置が慣用されている。例えば、このような切断装置として、切断刃が放射状に多数設けられたカッターローラに繊維束を巻付け、切断刃上に巻き付けられた繊維を切断刃に押圧しながら連続的に所定の長さに切断するローラカッター式繊維束切断装置が使用されている。また、固定刃と移動刃とを剪断刃として設け、これら剪断刃に対して所定の切断長だけ繊維束を押し出して切断するいわゆるギロチンカッター式繊維束切断装置も古くから知られている。
このような従来の繊維束切断装置が用いられている環境下で、最近、一部化粧品に混入させるための極めて短い合成繊維、柔らかい風合いのフロック加工品に使用する極細繊維、あるいは短く刻んだ弾性繊維などの需要が増えてくると、0.1mmから数mmの切断繊維長が要求されるようになってきた。ところが、例えば、前者のローラカッター式繊維束切断装置の場合では、回転するカッターローラ上に放射状に設ける切断刃群の隣接する切断刃の間隔を極めて小さくすることが要求されるために、切断刃間に切断された繊維が詰まって、その排出が困難となるばかりか、切断刃自体の厚みの問題もあって、切断繊維長を短くするのに限界がある。
これに対して、後者のギロチンカッター式繊維束切断装置の場合においては、0.5mm程度の切断繊維長であっても対応が可能である。しかしながら、従来タイプの繊維束切断装置を用いて単繊維繊度の小さな繊維を切断しようとすると、繊維自体が有する弾性のために繊維が湾曲したり、座屈したりして固定刃に直角に当接しなくなったり、固定刃と移動刃とのクリアランスの調整が極めて困難となったりして、斜め切りや切断長さの不揃いなどのミスカットが多量に発生する。そうすると、ミスカットされた多量の切断繊維の中から正常に切断されたもののみを選別し取り出すことが要求される。しかしながら、その作業は極めて繁雑であるばかりか、許容切断長に収まらないミスカットされた繊維が多くなると、正常に切断された繊維の収率そのものも悪くなる。
また、熱可塑性ポリマーからなる繊維束を短く切断しようとすると、このようなポリマーは切断力によって発熱したり、塑性変形したりするため、切断された短繊維の物性や形状が変わったりすることがある。そこで、繊維束を切断する際に、冷却装置を設けて繊維束を冷却しながら切断して切断時に発生する熱を除去することが考えられる。例えば、特公昭62−12323号公報、あるいは特公平4−1093号公報には、長繊維の束であるスライバーを把持すると共に互いに速度差を有する送りローラと牽切ローラとの間へ連続的に供給して繊維束を牽切して紡績糸を製造する際に繊維束を冷却しながら牽切することが提案されている。しかしながら、この従来技術は、繊維束を送りローラと牽切ローラとによって繊維束を引き千切る際に繊維が徐々に塑性変形を起こして破断する際に繊維の内部に発生する熱を奪うことを目的として行なわれている。とひろが、前述のギロチンカッター式繊維束切断装置のように剪断力によって繊維束を一定長に揃えて切断するような場合には、このような繊維自体の発熱による繊維物性の変化はほとんど見られない。事実、ギロチンカッター式繊維束切断装置やローラカッター式繊維束切断装置を使用して繊維束を短く切断する場合には、通常、このような冷却装置は使用されていない。
特公昭62−12323号公報 特公平4−1093号公報 特開2003−119662号公報 特開平11−241223号公報
本発明の目的は、以上に述べた従来技術が有する問題に鑑み、長単繊維群からなる繊維束から、その繊維長が0.005〜1mmでなる極体繊維を従来技術のようにミスカットすることなく、しかも、得られた極短繊維の物性や形状が変化することなく、品質に優れた極短繊維を製造することができる方法とそのための装置を提供することにある。
本発明の極短繊維の製造装置を用いて極短繊維を製造するための切断の対象となる繊維束を考えると、この繊維束を構成する一本の単繊維(フィラメント)は極めて細く、しかも、弾性に富むために、切断時に切断刃から受ける力によって容易に変形して切断刃から逃げてしまうために、繊維束を0.1mm未満というような極めて短い長さにミスカットすることなく正常に歩留まりよく切断することは、前述の従来技術では不可能とは言えないにしても極めて困難である。
そこで、従来の「繊維束を切断する」という技術思想ではなく、「繊維束を切削する」という技術思想を採用することにすれば、0.1mm未満という極短繊維を得ることができるのではないかという着想から、繊維束をパラフィン、樹脂、あるいは氷等により埋包処理して一体化すれば、極めて良好な被切削材とすることができることが解明されて、本発明がなされたものである。
すなわち、多数の長繊維からなる単繊維群を互いに繊維長手方向に並行となるように引き揃えて束ねた繊維束を形成し、冷却によって固化し加熱によって気化又は液化する埋包材を気体状又は液体状にし、更に、液体状又は気体状になった埋包材によって前記繊維束を埋包処理し、前記埋包材が気化又は液化しない温度で埋包処理された前記繊維束の切削端面を薄片状に切削し、切削中もしくは切削後に埋包材を除去し、これによって極短繊維を製造する発明を完成した。
しかしながら、その際、繊維束を埋包処理する本発明の埋包材として、加熱によって気体状又は液体状を呈し、冷却によって固化するものの使用が前提となる。そうすると、切削加工を室温(例えば、20℃)で行ない、更に、埋包材として水を凍結させた氷を使用した場合を想定すると、繊維束を埋包処理するために用いられた埋包材は、切削加工中に冷却されない限り、固体である氷から液体である水に戻る温度の零度以上に加熱された状態になる。このため、切削加工に要する時間が長くなるに従って埋包材は相変化を起こして、氷から水に戻ってしまう。そうすると、繊維束は埋包材によって固化されて一体化された束縛状態から開放されて、運動の自由度を取り戻してしまうために、最早、良好に極短繊維を製造することができなくなる。
したがって、切削加工中において埋包材が相変化することなく、繊維束の運動の自由を完全に拘束する良好な状態を維持するために、繊維束が埋包材によって埋包処理された被切削材の切削中は、この被切削材を冷却できる冷却手段を付設することによって、良好な極短繊維を製造する装置が提供される。
ここに、前記目的を達成することができる、請求項1に記載された極短繊維の製造方法に係る発明として、「加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材を液体状又は気体状にして長単繊維群を互いに並行して引き揃えて束ねた繊維束の周囲を囲繞させながら前記単繊維群間へ液体状又は気体状の前記埋包材を進入させた後、前記埋包材を固体状態に戻して被切削材を作製し、前記被切削材に含まれる埋包材が固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化を起こさない温度以下に冷却し、冷却した状態を維持しながら前記被切削材を切削刃によって単繊維の配列方向に対して直角方向へ薄膜状に切削し、薄膜状に切削した被切削材から前記埋包材を加熱して液体状態又は気体状態へ戻して埋包材を除去し、繊維長が0.005〜1mmの極短繊維を製造することを特徴とする極短繊維の製造方法」が提供される。
その際、請求項2に記載の発明のように、「溶融温度が10℃〜120℃である熱可塑性樹脂、パラフィン、ドライアイス、又は氷からなる埋包材によって前記繊維束を埋包処理した前記被切削材を切削時に0℃〜−150℃に冷却する、請求項1記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
更には、請求項3に記載の発明のように、「少なくとも前記被切削材の切削加工中は前記切削刃を冷却して一定温度に維持することを特徴とする、請求項1記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
次に、前記目的を達成するための請求項4に記載の極短繊維の製造装置に係る発明として、「製造方法加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材によって長単繊維群を互いに並行して引き揃えて束ねた繊維束を埋包処理して作製した被切削材を単繊維の配列方向に対して直角方向へ薄膜状に切削する切削刃、及び前期切削刃による切削加工時に前記被切削材を所定位置に把持する把持手段を少なくとも有した切削手段と、切削加工時に前記埋包材が相変化せずに固体状態を維持する温度にまで前記被切削材を冷却する冷却手段とを具備することを特徴とする極短繊維の製造装置」が提供される。
なお、このとき、請求項5に記載の発明のように、「切削加工中に前記切削刃から生じる発熱を奪って前記切削刃を一定温度に維持するための冷却手段を具備する、請求項4に記載の極短繊維の製造装置」とすることが好ましい。
また、請求項6に記載の発明のように、「請求項4に記載の冷却手段が、ブライン、フレオン、イソブタン、アンモニア、エチレングリコール、又はアルコールなどの冷媒を循環させて前記冷媒によって被切削材から熱を奪う手段であることを特徴とする極短繊維の製造装置」とすることが好ましい。
更に、請求項7に記載の発明のように、「請求項5に記載の冷却手段が、ペルチェ素子と放熱板とを備え、前記ペルチェ素子によって前記切削刃から奪った熱を前記放熱板から放熱する手段であることを特徴とする極短繊維の製造装置」とすることが好ましい。
そして、請求項8に記載の発明のように、「請求項4又は請求項5に記載の冷却手段が、前記被切削物又は前記切削刃の冷却温度を一定に制御する温度制御装置を具備することを特徴とする極短繊維の製造装置。」とすることが好ましい。
本発明の極短繊維の製造方法及び製造装置によれば、加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材によって長単繊維群を互いに並行して引き揃えて束ねた繊維束を埋包処理して作製した被切削材を切削している際に、冷却手段によって被切削材が常に冷却されるために、埋包材が相変化を起こして固体状態から液体状態又は気体状態へと変化することが無い。このため、切削刃によって被切削材に切削力が作用しても、繊維束を構成する単繊維群は埋包材によって固定された状態を維持することができ、被切削材を所定の厚みをもって薄膜状に良好に切削することができる。ただし、短時間で切削加工を完了する場合には、埋包材が多少相変化を起こしても、単繊維群を良好に固定する機能を有していれば良く、このようなケースでは、必ずしも埋包材が固体状態を維持し続ける温度にまで冷却する必要は無い。
なお、埋包材が備えなければならない特性として、繊維束を埋包処理するために、加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化することが必要であり、更には特に溶融状態において、繊維束を構成する長単繊維群中に良好に進入できることが必要である。なお、このような特性を備えた埋包材としては、溶融温度が10℃〜120℃である熱可塑性樹脂、パラフィン、ドライアイス、又は氷を使用することが好ましい。
その際、溶融温度が10℃〜120℃と低い埋包材を採用すれば、加熱による繊維束への悪影響を避けながら、埋包材を溶融温度よりできるだけ高い温度にまで加熱することによって、埋包材の溶融粘度を低減することが可能となる。しかしながら、被切削材を切削する時には、繊維束を構成する長単繊維群の運動の自由度を強固に束縛する必要があり、これは前記被切削材を切削時に0℃〜−150℃に冷却することによって可能となる。勿論、被切削材をより低い温度に冷却することが好ましいが、必要以上に被切削材を冷却しても切削性能はある温度で飽和する。そうすると、過剰に冷却することは、冷却手段のランニングコストやこれを設置するための初期費用が高くなったり、被切削材のハンドリングがかえって難しくなったりするために、好ましくない。
また、被切削材は切削刃よりも熱容量が大きいため、これを冷却するためには冷却能力が大きな冷却手段を使用することが効果的である。更に、通常、切削加工は被切削材を固定して、切削刃の方を被切削材の方向へ移動させることが多い。したがって、このようなケースを想定すると、被切削材の冷却手段はブライン、フレオン、イソブタン、アンモニア、エチレングリコール、又はアルコールなどの冷媒を循環させて前記冷媒によって被切削材から熱を奪う手段とすることがより好ましい。逆に、切削刃については、高速で移動させられるケースが多く、更には、被切削材ほど熱容量が大きくない。また、切削刃に冷却手段を取り付けようとすると、その設置場所が狭いために、コンパクトな冷却手段が要求される。このため、切削刃については、放熱板を備えたコンパクトなペルチェ素子によって切削刃から発熱を奪うようにすることが好ましい。このようにすれば、切削刃の温度を一定に維持することができるために、発熱によって切削刃が熱膨張するなどの影響によって切削性能が不安定化することは無くなる。
なお、前記被切削材や切削刃を最適な切削条件に維持するためには、切削する被切削材の条件に応じて実験などによって、最適な冷却温度を求めて、冷却手段による冷却温度を最適な温度に維持することが好ましいことは言うまでも無い。
本発明の極短繊維の製造装置においては、埋包材によって繊維束を埋包処理して作製した被切削材を使用して極短繊維を製造する。ここで、このような被切削材について先ず説明すると、このような被切削材としては、図1(繊維束の長さ方向の断面図)に示すように、繊維束1aが、埋包材1b中に埋包処理されて埋包材1bと一体化されて固定されたものである。なお、この図1では明示されていないが、前記繊維束1aの空隙中にも埋包材1bが進入して充填されていることを付言しておく。
このとき、前記繊維束1aとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどのポリマーからなる合成繊維、2種以上のポリマーを組み合わせた複合合成繊維などからも得ることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。つまり、絹糸、綿糸、麻糸などの天然繊維、あるいはセルロース繊維、アセテート繊維などのような半合成繊維からも得ることができる。また、この繊維束1aは、0.001〜10 dtexの単繊維(フィラメントとも言う)、あるいは、これら短繊維が複数本集まったマルチフィラメント糸条群を互いに繊維長手方向に並行となるように引き揃えて束ねて1万〜1000万dtexとしたものである。
ところで、前述のような繊維束1aから繊維長が0.005〜1.0mmといった極短繊維を製造しようとすると、この繊維束1aを構成する一本の単繊維(フィラメント)は極めて細く、しかも、弾性に富むために、切断時に切断刃から受ける力によって容易に変形して切断刃から逃げてしまうために、繊維束を0.1mm未満というような極めて短い長さにミスカットすることなく正常に歩留まりよく切断することは、前述の従来技術では不可能とは言えないにしても極めて困難であることは既に説明した通りである。そこで、本発明では、前述のような単繊維群からなる繊維束1aを、例えば加熱するとドライアイス(固体二酸化炭素)のように固体から気体へと相変化を起こすか、例えば氷のように加熱すると固体から液体へと相変化を起こすような材料を埋包材1bとして使用し、前記繊維束1aを埋包処理して埋包材1bと一体化した被切削材を作製し、この被切削材を切削することによって、極短繊維を製造する。
ここで、前記繊維束1aを埋法処理するための埋包材1bを具体的に例示するならば、前述のドライアイスや氷の他に、パラフィンを好適に使用することができ、更には、埋包処理する繊維束1aよりも大幅に低い分子量を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、このような低分子量の熱可塑性樹脂としては、その溶融温度と溶融粘度とが低く、製造する極短繊維と容易に分離できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、溶融温度が10〜120℃の低重合ポリエステル、低重合ポリスチレン、低重合ポリエチレンなど、周知の低分子量の熱可塑性樹脂を適宜使用条件に合わせて使用することができる。ただし、この10〜120℃という溶融温度は、本発明の埋包材1bとして使用する前記熱可塑性樹脂(なお、パラフィンでも同じことが言える)としては、溶融した樹脂が繊維束1aの単繊維群間へも容易に進入できる溶融粘度が必要であって、しかも、例えば繊維束1aが熱可塑性ポリマーによって製造されているような場合には、繊維束の物性、形状が変わったり、溶融してしまったりしないようにする必要があり、このような点を考慮すると樹脂の溶融温度はより低い方が好ましい。
しかしながら、本発明の埋包材1bとして使用するのが特に好ましいは氷である。何故ならば、ドライアイスを埋包材1bとして使用する場合には、ドライアイスが気化して炭酸ガスとなってしまわない条件下で切削することに留意すれば、通常の作業温度(例えば、20゜Cに維持された室温)下におくことで、極短繊維から容易かつ簡単に埋包材を分離することができる。また、氷を埋包材として使用する場合には、これを0゜Cよりも高い温度に加熱して水に戻し、その後、乾燥工程を通過させれば、容易かつ簡単に極短繊維と埋包材1bとを分離することができる。なお、埋包材1bとして氷を使用する場合は、簡単な装置を使用して繊維束を容易に氷結できるため、特に好ましい。
更に、埋包材1bとしてドライアイスあるいは氷以外の材料、例えば熱可塑性樹脂やパラフィンを使用する場合については、例えば、加熱によって埋包材1bを溶融状態にした後、有機溶媒などによって溶融した埋包材を溶解させて除去し、その後、乾燥工程を通すことによって有機溶媒を極短繊維から分離除去する方法などを採用することができる。
以上に述べたようにして、極短繊維を製造するための被切削材1が作製されるのであるが、この被切削材1の一部を構成する前記埋包材1bは、加熱によって気体状又は液体状を呈し、冷却によって固化するから、室温(例えば、20℃)下で、水を凍結させた氷を埋包材1bの具体例として使用して切削加工を行う場合には、埋包材1bとして使用された氷は切削加工中に冷却されない限り、水に戻る温度である零度よりも高い温度に加熱された状態となって、固体状の氷から液体状の水へと相変化を起こして戻ろうとする。そうすると、時間の経過に従って、埋包材1bとして使用した氷は水に戻ってしまって、繊維束1aと一体化して固体状態で繊維束1aの運動の自由度を束縛することができなくなる。
そこで、切削加工が短時間で終わって埋包材1bによる繊維束1aの拘束が良好に維持されている場合は良いが、切削時間が長くなって埋包材1bによる繊維束1aの拘束が維持できなくなる事態に備えて、本発明は、被切削材1の切削中において、被切削材1を冷却するための冷却手段を具備することを一大特徴とする。そして、切削加工を前記埋包材1bが液体化又は気体化するような温度条件下で行う場合であっても、この冷却手段によって被切削材1を適当な温度にまで冷却することで、埋包材1bが相変化を起こさない固体の状態を維持させることができる。
以下、前記冷却手段を備えた極短繊維の製造装置に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明に係る極短繊維の製造装置の実施形態を説明するために模式的に例示した概略の装置構成図である。この図において、1は被切削材、2は切削刃、3は前記切削刃2を固定するための固定部材、4は前記被切削材1を把持するための把持部材、5は前記切削刃2を固定部材3と連結するための連結部材、61(61aと61b)は冷媒配管、62(62aと62b)は温度センサー、63(63aと63b)は信号線、そして、64は冷凍機ユニットをそれぞれ示す。なお、前記冷媒配管61、前記温度センサー62、前記信号線63、前記冷凍機ユニット64、そして、温度制御手段(図示せず)を含む装置は、本発明の冷却手段6(図中には、この冷却手段の参照符号の記載を省略)、を構成している。
なお、本発明で言う“切削手段”とは、“少なくとも前記切削刃2、前記固定部材3、及び前記把持部材4を含んで構成され、単繊維の配列方向に対して直角方向へ被切削材1と切削刃2とを切削方向へ互いに相対移動させて、被切削材1を薄膜状に切削するための手段”を指すものとする。なお、この“切削手段”の具体例的な機構としては、その詳細説明は省略するが、例えば、周知の平削り盤、かんな盤、立削り盤、あるいはフライス盤などに採用されている切削機構のように、切削刃2を固定する固定部材3を備えた刃物台と、被切削材1を把持するためのチャックの役割を果たす把持部材4を取り付けた工作台とを備えて、この刃物台及び/又は工作台を互いに切削方向へ相対移動させることによって、前述のように被切削材1を薄膜状に切削するものである。
ここで、図2に例示した本発明の冷却手段6の実施形態について説明すると、この冷却手段6は、例えば、冷凍機ユニット64を備えており、更に、この冷凍機ユニット64は、コンプレッサ、凝縮器、膨張弁などの一連の冷凍機器を構成要素として備えている。したがって、冷媒として、冷媒配管61aと61bを介して、フロン、代替フロン、イソブタン、アンモニア、エチレングリコール、又はアルコールなどをそれぞれ冷媒配管61aと61bへ循環流通させて、冷凍サイクルをまわすことによって、被切削材1や切断刃2を必要とされる冷却温度にまで冷却することができる。
この冷却に当っては、低温気化ガスを断熱膨張させて冷却し、この冷却された低温気化ガスを冷媒と直接的に冷媒配管61に流通させることもできる。また、それほど低い温度にまで冷却する必要が無い場合などにおいては、冷却された前記低温気化ガスによってブラインなどの冷媒を1次冷却し、この1次冷却されたブラインなどの冷媒を冷媒配管61に循環流通させて、被切削材1及び/又は切削刃2を2次冷却するようにしても良い。逆に、被切削材1を更に一段と低い冷凍温度にまで冷却するような場合には、例えば周知の液体窒素や液体酸素などの液化ガスを定法によって生成し、これを冷媒として冷媒配管61中へ循環流通させるようにすることもできる。
なお、図2の実施形態では、被切削材1を把持する把持手段4や切削刃2を冷媒配管61aと61bに接触させて冷却する方式を例示しているが、勿論、例えば、把持手段4の外側にジャケットを設けるなどして、このジャケットに冷媒を循環流通させるようにしても良い。更には、装置的にはより大掛かりになるが、内部雰囲気が最適な温度にまで冷却された冷凍室を設けて、この冷凍室内に被切削材1や切削刃2などを含む切削装置全体を冷却しても良いし、あるいは冷却に必要な部位のみを局部的に冷却するようにしても良い。
以上に説明したように、本発明では、被切削材1を冷却手段によって冷却するが、既に述べたように被切削材1だけではなく、切削刃2も同時に冷却することが好ましい。何故ならば、被切削材1を長時間に渡って連続的に切削加工すると、被切削材1との摩擦などによって、切削刃2の温度が上昇すると、切削刃2の切れ味が鈍ったり、切削刃2の磨耗が顕著になったり、あるいは、熱膨張などの影響を受けて切削刃の突出長さなどが変化することによって切削された極短繊維の繊維長が切削途中で変わってきたりするなどの影響を受けるからである。
このとき、埋包材1bとしてその溶融温度が10〜150℃となるような比較的低分子量の樹脂やパラフィンを使用した場合では、埋包材1bが軟らかいため、繊維束1aを埋包材1bによって強く固定して拘束することができないような事態が生じる。このような場合においても、被切削材1を前記冷却手段6によって冷却して、例えば0〜−100℃に冷凍することによって、埋包材1bの硬さ制御することができる。そうすれば、埋包材1bの硬度を制御することで、繊維束1aの運動の自由度を埋包材1bによって好適に拘束できる状況を現出させることができる。なお、このケースでは、被切削材1を冷凍するのに適した温度は、使用する埋包材1bによって変わってくるため、最終的には実際に切削加工を行って、実験によって最適な温度を決定することが好ましい。
このようにして実験によって決定された冷却温度は、図示省略したマイクロコンピュータなどで構成された温度制御手段の記憶手段に記憶させておき、被切削材1や切削刃2を最適な状態にまで冷却するために使用される。なお、温度制御に関しては、例えば、被切削材1を把持する把持部材4に取り付けられた例えば熱電対のような温度検出端からなる温度センサー62a、あるいは、切削刃2あるいはこれを固定する固定部材5に取り付けられた同様のなる温度センサー62bによってそれぞれ被切削材1と切削刃2の温度を検出し、検出した温度を制御変数として前記温度制御手段へトランスデューサーやA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)などを備えたインターフェース手段を介してインプットする。そして、このインプットされた検出温度を基にして、前述のように実験によって決めた最適温度を被切削材1や切削刃2が維持するように、定法ににしたがって前記冷凍機ユニットをフィードバック制御すればよい。
ただし、本発明に使用する冷却手段6としては、前述のような冷媒を使用する方式に限定されるものではなく、他の方式も使用することができる。例えば、このような他の方式として、図3に模式的に例示したようなペルチェ素子を利用して冷却するような冷却方式を採用することもできる。この図3において、65がペルチェ素子、66は放熱板、67はペルチェ素子の電気配線、そして、68は断熱材をそれぞれ示す。ここで、前記ペルチェ素子65について簡単に説明すると、このペルチェ素子65は、いわゆる“ペルチェ効果”を利用した素子であって、素子間に電流を流すことによって電力を熱エネルギーに変換し、温度を制御する機能を有するものであって、一般的に、p型熱電変換素子とn型熱電変換素子を交互に電極で接続するとともに、この電極面を絶縁基板によって挟持する構成を有しており、その構造が簡単でかつ取扱が容易であるという利点を有している。
したがって、このような特性を有するペルチェ素子65を発熱する切削刃2に接合して用いることによって、切削刃2から熱を奪って放熱板66から放出することによって、切削刃2から発熱した熱エネルギーを除去することができる。そして、このようにすることによって、切削刃2を一定温度に維持することができ、切削刃2の切削性能の安定化に寄与させることができる。その際、切削刃2は断熱材68を介して固定部材3に固定するようにすれば、固定部材3と熱的に切り離すことができ、冷却能力がそれほど大きくないペルチェ素子65を用いても、切削刃2の温度を所定の温度に制御することができるため好ましい。なお、切削刃2の温度制御は、切削刃2に取り付けた温度センサー62bによって検出された温度を信号線63bを介して図示省略した温度制御手段へインプットして、ペルチェ素子65へ電気配線67を介して供給される電流値をフィードバック制御することによって行うことができる。
以下、実施例により本発明の極短繊維の製造方法を説明する。
まず、ポリエステルからなる長単繊維群を束ねて200万dtexの繊維束とし、繊維束とした状態で、これをポット内に充填された水中に浸漬した状態で氷結させ、氷を埋包材とする被切削材を得た。そして、得られた被切削材の切削端面を円形切断刃を有する回転カッターによって切断して、きれいな切削面を形成させて、φ75mm×40mm長の円柱状の被切削材とした。これを半割の一対の円筒からなる把持部材によって被切削材を挟持させた。このとき、把持部材の外周部には冷媒(ブライン)が循環するジャケットを設けて、把持手段を−4℃に冷却した。
ついで、接圧付与手段として、シリンダー径がφ50mmで、そのストローク長が100mmのエアーシリンダーを採用して、このエアーシリンダーに0.11Mpaの圧縮空気を供給して、前記被切削材を刃物台の当接平面に押し当てた。そして、刃物台を減速機付きインバータモータでタイミングベルトを介して毎分30回転で回転駆動軸(刃物台)を回転させた。その際、使用した切削刃については、厚みが0.25mm、刃物取り付け角度が25°、刃物後退角度が30°である高速度鋼であった。このとき、切削刃の突出長を0.02mmに調整して、切削加工を行ったところ、繊維長が0.025mmの極短繊維が得られた。得られた極短繊維から水を切った後、これを120゜Cの熱風によって周知の熱風乾燥機中で乾燥した。乾燥後の極短繊維の切削面はきれいな状態であり、ミスカットされた短繊維はほとんど見られなかった。
本発明の非金属材料を決められた切断長に安定して切断可能な本切断装置を用いることによって、例えば該非金属材料として合成繊維を束状にしたものとすると、その繊維長が1mm以下、特に特に0.1mm未満に切削されているために、例えば特開平11−241223号公報に記載されているような極短の光学干渉性繊維を接着剤中に混入してこれを塗料として使用したり、化粧品に混入させたりして使用したり、あるいはフロック加工用、印刷機のトナー原料などとしても使用可能であるなど広範な用途が期待できる。
埋包材によって繊維束を埋包処理して作製した被切削材の一実施形態を例示した繊維束の長さ方向の模式正断面図である。 本発明に係る極短繊維の製造装置の実施形態を模式的に例示した概略の装置構成図である。 本発明の切断刃にペルチェ素子を利用して冷却するような冷却方式を模式的に例示した概略装置構成図である。
符号の説明
1:被切削材
2:切削刃
3:固定部材
4:把持部材
5:連結部材
6:冷却手段
61:冷媒配管
62:温度センサー
63:信号線
64:冷凍機ユニット

Claims (8)

  1. 加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材を液体状又は気体状にして長単繊維群を互いに並行して引き揃えて束ねた繊維束の周囲を囲繞させながら前記単繊維群間へ液体状又は気体状の前記埋包材を進入させた後、前記埋包材を固体状態に戻して被切削材を作製し、前記被切削材に含まれる埋包材が固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化を起こさない温度以下に冷却し、冷却した状態を維持しながら前記被切削材を切削刃によって単繊維の配列方向に対して直角方向へ薄膜状に切削し、薄膜状に切削した被切削材から前記埋包材を加熱して液体状態又は気体状態へ戻して埋包材を除去し、繊維長が0.005〜1mmの極短繊維を製造することを特徴とする極短繊維の製造方法。
  2. 溶融温度が10℃〜120℃である熱可塑性樹脂、パラフィン、ドライアイス、又は氷からなる埋包材によって前記繊維束を埋包処理した前記被切削材を切削時に0℃〜−150℃に冷却する、請求項1記載の極短繊維の製造方法。
  3. 少なくとも前記被切削材の切削加工中は前記切削刃を冷却して一定温度に維持することを特徴とする、請求項1記載の極短繊維の製造方法。
  4. 加熱によって固体状態から液体状態又は気体状態へと相変化する埋包材によって長単繊維群を互いに並行して引き揃えて束ねた繊維束を埋包処理して作製した被切削材を単繊維の配列方向に対して直角方向へ薄膜状に切削する切削刃、及び前期切削刃による切削加工時に前記被切削材を所定位置に把持する把持手段を少なくとも有した切削手段と、切削加工時に前記埋包材が相変化せずに固体状態を維持する温度にまで前記被切削材を冷却する冷却手段とを具備することを特徴とする極短繊維の製造装置。
  5. 切削加工中に前記切削刃から生じる発熱を奪って前記切削刃を一定温度に維持するための冷却手段を具備する、請求項4に記載の極短繊維の製造装置。
  6. 請求項4に記載の冷却手段が、ブライン、フレオン、イソブタン、アンモニア、エチレングリコール、又はアルコールなどの冷媒を循環させて前記冷媒によって被切削材から熱を奪う手段であることを特徴とする極短繊維の製造装置。
  7. 請求項5に記載の冷却手段が、ペルチェ素子と放熱板とを備え、前記ペルチェ素子によって前記切削刃から奪った熱を前記放熱板から放熱する手段であることを特徴とする極短繊維の製造装置。
  8. 請求項4又は請求項5に記載の冷却手段が、前記被切削物又は前記切削刃の冷却温度を一定に制御する温度制御装置を具備することを特徴とする極短繊維の製造装置。
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