JP2005126854A - 極短繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長単繊維群を引き揃えた状態で束ねて形成された繊維束から、1.0mm以下、特に、0.1mm未満の極短繊維を大量且つ簡易に作製することができる極短繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】冷却によって固化し加熱によって気化又は液化する埋包材(1b)中に埋包処理された多数の長単繊維群を平行に引き揃えて束ねた繊維束(1a)からなる被切削材(1)を複数個準備し、繊維の長さ方向に対して垂直な切削端面(F)を形成した前記被切削材(1)群を前記切断面(F)が水平となるように固定し、少なくとも一つの切削刃(4)によって前記切削端面(F)を平削りし、平削りした被切削材(1)から前記埋包材(1b)を除去して0.005〜1.0mmの繊維長を有する極短繊維を得る極短繊維の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、長単繊維群を束ねて繊維束とし、この繊維束から数mm未満の繊維長を有する極短繊維を製造するための方法に関する。
従来、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性合成ポリマーからなる長繊維を束ねて繊維束とし、この繊維束を切断して数mmから数十mmの長さの短繊維を得るために、各種の繊維束切断装置が慣用されている。例えば、このような切断装置として、繊維束を切削刃が放射状に多数設けられたカッターローラに巻付け、切削刃上に撒き付けられた繊維を切削刃に押圧しながら連続的に所定の長さに切断するローラカッター式繊維束切断装置が使用されている。また、固定刃と移動刃とを剪断刃として設け、これら剪断刃に対して所定の切断長だけ繊維束を押し出して切断するいわゆるギロチンカッター式繊維束切断装置も古くから知られている。
このような従来の繊維束切断装置が用いられている環境下で、最近、一部化粧品に混入させるための極めて短い合成繊維、柔らかい風合いのフロック加工品に使用する極細繊維、あるいは短く刻んだ弾性繊維などの需要が増えてくると、0.1mmから数mmの切断繊維長が要求されるようになってきた。ところが、例えば、前者のローラカッター式繊維束切断装置の場合では、回転するカッターローラ上に放射状に設ける切断刃群の隣接する切断刃の間隔を極めて小さくすることが要求されるために、切削刃間に切断された繊維が詰まって、その排出が困難となるばかりか、切断刃自体の厚みの問題もあって、切断繊維長を短くするのに限界がある。
これに対して、後者のギロチンカッター式繊維束切断装置の場合においては、0.5mm程度の切断繊維長であっても対応が可能である。しかしながら、従来タイプの繊維束切断装置を用いて単繊維繊度の小さな繊維を切断しようとすると、繊維自体が有する弾性のために繊維が湾曲したり、座屈したりして固定刃に直角に当接しなくなったり、固定刃と移動刃とのクリアランスの調整が極めて困難となったりして、斜め切りや切断長さの不揃いなどのミスカットが多量に発生する。そうすると、ミスカットされた多量の切断繊維の中から正常に切断されたもののみを選別して取り出すことが要求される。しかしながら、その作業は極めて繁雑であるばかりか、許容切断長に収まらないミスカットされた繊維が多くなると、正常に切断された繊維の収率そのものも悪くなる。
そこで、ギロチンカッター式繊維束切断装置が有する前記問題を解決するための装置が、例えば特開2003−119662号公報に提案されている。この従来技術では、供給する繊維束を切断するための切断部より前に繊維束をシート状物によって包む役割を果たさせるためのガイドを取り付け、連続シート状物を繊維束に併走させてガイドローラを介してシート状物を繊維束を包むように重ねて繊維束と一緒に切断するようにしている。そして、このようにすることによって、シート状物で包まれた繊維束は、シート状物の作用によって繊維が引き揃えられた状態のまま直線状で均斉に切断部に送られ、ミスカットされることなく所要の長さに切断されるというものである。
しかしながら、このようなギロチンカッター式繊維束切断装置を使用しても、切断可能な繊維長は0.1〜30mmであって、0.1mm未満の切断繊維を安定に得ることは極めて困難である。しかも、このような短繊維を得るために繊維束を被覆するのに使用するシート状物としては、紙やポリオレフィン、ポリエステル、セロハンなどの有機高分子フィルム、布帛、不織布を使用しなければならない。
ところが、このようなシート状物を使用するとなると、切断後に切断された繊維とシート状物とを分離することが要求されるが、これらを完全に分離することが困難であって、わずかであっても切断した繊維に混入する可能性がある。しかも、切断繊維長が0.1mmに近づくにしたがって、使用できるシート状物は、より剛直なものが必要とされ、更に切断可能な繊維束の径も大きくすることができず、小さくする必要が生じ、ミスカットも当然多くなって歩留まりも大幅に低下するために生産効率の面からも好ましくなく、実質的に0.1mm未満の切断繊維長を得るのは困難である。また、一旦多数の単繊維群を束ねて太い繊維束を形成させてしまうと、繊維束の周りをフィルム状シートで包み込んでも、繊維束を構成する単繊維同士には強い拘束力が作用することが無く自由に動ける状態にあるため、これを短く切断することは容易ではない。
特開2003−119662号公報 特開平11−241223号公報
前述の従来技術では、「繊維束を切断する」という技術思想では、長繊維束を構成する一本の単繊維(フィラメント)を取り出すと、この単繊維は極めて細く、しかも、弾性に富むために、切断時に切削刃から受ける力によって容易に変形して切削刃から逃げてしまって、繊維を0.1mm未満というような極めて短い長さにミスカットすることなく正常に歩留まりよく切断することは不可能とは言えないにしても極めて困難である。
そこで、「繊維束を切断する」のではなく、「繊維束を切削する」ことにすれば、0.1mm未満という極短繊維を得ることができることを着想し、繊維束をパラフィン、樹脂、あるいは氷等により埋包処理して一体化すれば、極めて良好な被切削体とすることができることを解明した上で、「多数の長繊維からなる単繊維群を互いに繊維長手方向に並行となるように引き揃えて束ねた繊維束を形成し、冷却によって固化し加熱によって気化又は液化する埋包材を気体状又は液体状にし、更に、気体状又は液体状になった埋包材によって前記繊維束を埋包処理し、前記埋包材が気化又は液化しない温度で埋包処理された前記繊維束の切削端面を薄片状に切削する」技術を新たに開発するに至った。
しかしながら、このようにして開発された極短繊維の製造技術では、繊維束をパラフィン、樹脂、あるいは氷等により埋包処理して一体化して切削すれば、繊維束が埋包材によって拘束されるので繊維長が0.1mm以下でも良好な被切削材が得られるが、繊維長が0.1mm以下と短いために生産量が極めて低下し、生産量を確保するために切断装置の台数を増やさなければならず、特に0.1mm以下の切断を行う極短繊維の製造技術においてはカット精度を上げる事と同時に1台当りの生産能力を上げることができる技術が要求されるようになった。
本発明は、このような課題を解決することを目的とし、特に、0.1mm未満の極短繊維を大量且つ簡易に作製することができる極短繊維の製造方法を提供することにある。
ここに、前記課題を解決するための、請求項1に記載された極短繊維の製造方法に係る発明として、「冷却によって固化し加熱によって気化又は液化する埋包材中に埋包処理された多数の長単繊維群を平行に引き揃えて束ねた繊維束からなる被切削材を複数個準備し、繊維の長さ方向に対して垂直な切削端面を形成した前記被切削材群を前記切断面が水平となるように固定し、少なくとも一つの切削刃によって前記切削端面を平削りし、平削りした被切削材から前記埋包材を除去して0.005〜1.0mmの繊維長を有する極短繊維を得る極短繊維の製造方法」が提供される。
その際、請求項2に記載の発明ように、「前記被切削材が互いに分離した状態で並列配列されて固定されている、請求項1に記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
また、請求項3に記載の発明のように、「前記被切削剤が前記多数の長単繊維群を平行に引き揃えて束ねた前記繊維束を稠密な状態で並列させて立設した状態で前記埋包材により一体に埋包処理されている、請求項2に記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
また、請求項4に記載の発明のように、「前記繊維束の一本の総繊度が1万〜1000万dtexである、請求項項1に記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
また、請求項5に記載の発明のように、「前記埋包材が、ドライアイス、氷、パラフィン、及び溶融温度が10〜120℃の熱可塑性樹脂からなる材料群中から選ばれる少なくとも一つの材である請求項1に記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
そして、請求項6に記載の発明のように、「前記短繊維の繊維長が0.005〜0.1mmである、請求項1に記載の極短繊維の製造方法」とすることが好ましい。
本発明の極短繊維の製造方法を用いれば、切断繊維長が0.1mm未満であっても切削刃が移動する軌道上に被切削材である繊維束を多数設置することにより、大量の極短繊維を簡易に得ることができる。しかも、本発明の極短繊維の製造方法によれば、細長くて柔軟な性質を有する単繊維を多数束ねた繊維束を切削する際に、わずかな力を付与してもその力の作用方向へ変形してしまう単繊維群からなる繊維束を埋包材中に埋包することができ、切削加工を行うのに好都合な被切削材とすることができる。
このとき、埋包材は加熱によって気化状態あるいは液化状態に容易に流動状態に変化するため、繊維束を包み込むようにその内部に侵入することができる。そして、このような状態で冷却を行うと、繊維束を構成する単繊維群は埋包材の固化とともにその内部に埋設されて、完全に運動の自由度が拘束された状態となる。
しかも、この極短繊維の製造方法では、埋包材は加熱によって、容易に気化又は液化するため、得られた極短繊維から容易かつ完全に分離除去できる。特に、埋包材として氷を使用した場合には、得られた極短繊維を脱水工程と乾燥工程へ供給するだけで、容易に分離除去できる。また、埋包材として、ドライアイスを使用すると、常温において気化するために、この場合には、特別な乾燥工程を必要としない。
また、以上に述べたようにして埋包処理された繊維束の切削端面Fを切削刃によって薄片状に切削すれば、1mm以下の極短繊維を製造することができ、特に従来法では極めて困難であった切断繊維長が0.1mm未満の極短繊維を繊維長のバラツキが少なく、しかも、良好な切削面を形成させながらミスカットすることなく、確実かつ容易に製造することができる。
本発明の極短繊維の製造方法では、長繊維からなる単繊維(“フィラメント”ともいう)をその繊維軸に対して直角方向へ切削加工することによって極短繊維を得ようとするものである。なお、このような極短繊維を製造するための原材料となる長繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどのポリマーからなる合成繊維、あるいは2種以上のポリマーを組み合わせた複合合成繊維からも得ることができる。また、主たるポリマー中に副となる少なくとも一種のポリマーが分散混合された混合合成繊維からも得ることができる。しかしながら、本発明の方法によって製造できる極短繊維は、特にこれらに限定されるわけではく、絹糸、綿糸、麻糸などの天然繊維、あるいはセルロース繊維、アセテート繊維などのような半合成繊維からも得ることができる。
一般に、繊維長が1mmから数十mmにカットされた短繊維は、その単繊維の繊度が0.001〜10dtexと非常に小さな単繊維群を束ねた長繊維束を短く切断して製造される。しかしながら、このような単繊維は、一本々々は非常に細くて柔軟であって、切断力が作用する方向に容易に変形して逃げてしまうために、既に述べたように、0.005〜1.0mm(特に、0.005〜0.1mm)の繊維長を有する極短繊維を製造するのは容易ではない。
そこで、本発明においては、0.005〜1.0mm(特に、0.005〜0.1mm)の繊維長を有する極短繊維を得るために、先ず、被切削材である繊維束を埋包材を使用して埋包材中に埋め込んで一体化する。そして、これによって、繊維束を構成する単繊維群が埋包材によって固定化されて運動の自由度が拘束され、容易に動くことができない状態にして切削刃によって薄片状に削り取る。
ただし、このとき使用する繊維束の全長は特に制限する必要は無いが、作業性と生産性を考慮し、更に埋包処理の容易性なども考慮すると、5〜2000mmとすることが好ましい。なお、埋包処理を施す繊維束の全長が2000mmを超えると、切削加工や埋包処理をする際の取扱が難しくなると共に、繊維束を構成する長単繊維を互いに直線状に引き揃えることが難しくなる。また、5mm未満では、切削加工が短時間で終了してしまい、切削加工に供する原材料を絶えず交換する必要があり、その生産性と取扱に問題がある。
ところで、本発明の方法によって製造する極短繊維の繊維長が例えば0.1mm以下といった具合に短くなると、一度に切削加工できる繊維の量は繊維長が短くなる分だけ少なくなるために、所定の長さの繊維束を切削加工するのに時間を要し、それだけ極短繊維の生産効率も低下する。そこで、生産効率を上げるために、埋包材によって埋包処理する繊維束の1本の総繊度をできるだけ多くすることが考えられる。ところが、例えば、繊維束の総繊度を1000万dtex以上にしようとすると、繊維束を構成する短繊維の繊度が0.001〜10dtexと小さいため、非常に多くの単繊維群を互いに繊維長手方向に並行となるように引き揃えて束ねて形成した1万〜1000万dtexの繊維束を準備することが要求される。
ところが、このようにして単繊維群が束ねられた長繊維束の総繊度が1000万dtexを超えると、この繊維束を埋包処理して得られた被切削材が太くなりすぎて、切削加工するには一枚の切削刃がカバーする範囲が広くなりすぎて、カットミスが生じるため好ましくない。つまり、切削刃の刃長が長くなると、切り刃部を一直線に真っ直ぐに仕上げることが難しくなり、しかも、長時間使用するうちに磨耗などによって、切り刃部の直線性が損なわれるからである。また、厚みの薄い切削刃を使用しなければならない状況下で、高速でしかも極めて太い被切削材を切削しようとすると、切削刃に大きな切削力が作用して振動が生じたり、切削刃が弾性変形を起こしてカットミスが生じる。また、逆に総繊度が1万dtex未満となると生産効率が低下する。
そこで、本発明は、生産効率を上げながら切削加工によって極短繊維を良好に製造するための方法を提供しようとするものであって、以下にその実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明によって極短繊維を製造する様子を説明するために例示した模式説明図であって、1は被切削材であって、この被切削材1は本来の切削対象物である繊維束1aを埋包材1b中へ埋包処理したものである。また、2は保持手段、3は被切削材1の把持固定手段、そして、4は切削刃をそれぞれ示す。なお、Fは被切削材1の切削端面(単に“端面”とも称する)である。
ここで、前記被切削材1を繊維束1aから0.005〜1.0mmといった極短繊維として切り出す際に、切削刃4に近い位置で、保持手段2によって、被切削材1を保持しながら切削加工することが好ましい。このようにすることで、埋包材1bが氷やドライアイスのように切削時の衝撃力によって変形し易かったり、損傷し易い材料に対して、切削時に作用する力が把持固定手段3の固定部に集中するのを回避することができる。したがって、このような役割を果たす保持手段2には、図中の白抜き矢印によって示した方向へ被切削材1に対して相対移動する切削刃4を支持したり、保持したりする機能が付与されていることが肝要である。
したがって、前記保持手段2は、切削時に切削刃4に近い位置で被切削材1に作用する力を分担して受け持つ役割を果たしている。そこで、この保持手段2としては、被切削材1を完全に保持するのではなく、切削力が被切削材1に対して作用する方向とは逆方向から被切削材1を支持するように被接触材1に当接するガイド板のような治具によっても構成することもできる。なお、被切削材1を把持して固定する把持固定手段3については、被切削材1を良好に把持して固定するものであれば、周知のチャックを使用することができる。しかしながら、非接触材1をより強く把持して固定しようとする場合には、図2に例示したように、被切削材1の一部を構成する繊維束1aの下部を接着剤などの樹脂1cによって固めた状態にして、この樹脂部分を把持固定するようにしても良い。
次に、本発明の方法では、埋包処理された繊維束からなる被切削財1の端面Fを切削加工することによって極短繊維を製造するのであるが、この被切削材1を切削するための具体的な装置としては、周知の平削り盤、立削り盤、かんな盤、あるいはフライス盤といった工作機械に使用されている切削機構を有する装置を例示することができる。ただし、本発明では、このような周知の装置構成をそのまま流用して使用することもできるが、これら周知の工作機械が有する機構や構成の一部を改造したものであっても良い。
特に、工作台に取り付ける工作物(本発明では、“埋包材1b中に埋包処理された繊維束1aからなる被切削材1”である)に関しては、平削り盤などにおいては、例えばレールを平削りする場合のように連続した一体のブロックであるのに対して、本発明の場合には、個々に独立した多数の被切削材1を平削り方向へ並列させて配置する必要がある点で異なる。しかしながら、本発明においても、多数の被切削材1をそれぞれ稠密な状態で並列に立設した状態で、改めてこれらを埋包材中に埋包処理して、一体のブロックを形成させ、これを工作台へ供給するようにすることもできる。
そこで、以下、極短繊維の製造装置の構成の一部に周知の平削り盤と実質的に同じ機構を取り込んで極短繊維を製造する実施態様例について説明する。
図3は、多数の被切削材1を工作台上に並列させて立設して、これらの被切削材1を切削することによって埋包材1b中に埋包処理が施された繊維束1aの端面Fを短く切削して極短繊維を得ようとする実施態様を例示したものである。なお、図3では、縦方向の第1行(L1)から第8行(L8)に対して、それぞれ横方向の第1列(R1)から第16列(R16)まで、互いに並列して128個(8行×16列)の被切削材1が工作台上に立設された例を示しているが、本発明は、その発明の主旨が満足される限り、このような数や配列に限定されるものではないことは言うまでも無い。
このとき、繊維の長さ方向に対して垂直な切削端面Fを形成した被切削材1群をその切削端面Fが全て水平となるように揃えて固定されていることが肝要である。何故ならば、少なくとも一つの切削刃4が、これら被切削材1群を切削する時に、基準となる切削端面Fが水平に揃えられているからである。ただし、このような切削端面Fの水平出しは、被切削材1の平削り加工を開始する前に行う必要は必ずしもない。なぜならば、例え平削り前に、不揃いの切削端面Fが形成されていたとしても、これら切削端面Fを荒削りすることで、被切削材の切削端面Fの水面度を出すことができるからである。ただし、このとき行なった荒削り部分は、切削繊維長が不揃いとなるため、製品化される極短繊維混入しないように、本格的な平削りが行なわれる前に除去される必要がある。
このようにして多数の被切削材1が前述の図3示した配列例のように、工作台(図示せず)上に立設されて準備されると、これら被切削材1の端面Fを同時に切削加工すすることによって、一本の被切削材を個々に切削加工する場合に比べて、極短繊維の生産量が格段に向上することは言うまでも無い。なお、既に述べたことでもあるが、前述のようにして多数の被切削材1を隙間無く立設して配列させて、このような稠密な配列状態にある多数の被切削材群1に対して、個々の被切削材群1の立設空間を埋めてるために、更にこれら空間に埋包材を充填して埋包処理を行なって、これらを一体化して、改めて一つの“新たな被切削材”とするようにしても良い。そして、このようにして形成した“新たな被切削材”を周知の平削り盤などを使用して平削りすれば、0.005〜1.0mmの繊維長を有する大量の極短繊維を製造することができる。
ところで、図3は、被切削材1を多数並べて極短繊維を大量生産しようとした例を示したが、図4の実施態様例は、被切削材1だけでなく、切削刃4を多数並列させて設置しても良く、これによって、極短繊維の生産効率を向上させることができる。なお、この図4において、図4(a)は模式正面図、図4(b)は模式側面図をそれぞれ示している。この実施態様例では、縦方向と横方向に16個(縦4個×横4個)の刃物台5上に設置された切削刃4によって、一度に多数の被切削材1を切削加工することによって、極短繊維を大量生産しようとするものである。
ただし、切削刃4が図4(b)に例示したように横方向へと図中の白抜き矢印で示した方向へと切削移動する場合には、切削刃4の被切削材1に対する突出量はそれぞれ調整されていることは言うまでも無い。例えば、図4(b)において、R7に位置する被切削材1を切削する切削刃4は、R8に位置する被切削材1を切削する切削刃4よりも、製造しようとする極短繊維の繊維長に相当する分だけ、被切削材1側へ突出させて設けられている。なお、これらの関係は、図4(b)のR9及びR10にそれぞれ位置する被切削材1を切削する切削刃4に対しても同様であることは言うまでも無い。
本発明の極短繊維の製造方法では、繊維束1aを切削加工する必要上、繊維束1aを埋包材1bによって埋包処理することが要求される。そこで、このような埋包材1bに要求される性質として、繊維束1aを構成する長単繊維間へ円滑に侵入させるために埋包材は1bは加熱すると、固体状態から流動状態に容易に変化することが極めて低い溶融粘度を有することが要求され、これによって、繊維束1aの全周を囲繞してこれを包み込むようにその外周から単繊維群間に形成される内部空隙に進入できることが要求される。
このため、本発明に使用する埋包材としては、例えば加熱するとドライアイスのように固体から気体へと相変化を起こすか、例えば氷のように加熱すると固体から液体へと相変化を起こすような材料を使用する。そうすると、埋包材を加熱して気体又は液体のような無定形でかつ低粘度の流動状態とすることによって、繊維束を囲繞するように自由に変形でき、しかも、低粘度であるために繊維束を構成する単繊維群間へ容易に進入させることができる。そして、このような状態で、埋包材が固化する温度以下に冷却すれば、繊維束を構成する単繊維群は埋包材によって一体化された状態で固化するために、例え単繊維に切削力が作用しても、柳に腕押しといった風に単繊維が容易に切削刃から逃げてしまうことも無く、大きな力を作用させることができる状態を現出する。
このような埋包材としては、前述のドライアイスや氷の他に、パラフィンを好適に使用することができ、更には、埋包処理する繊維よりも大幅に低い分子量を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、このような低分子量の熱可塑性樹脂としては、その溶融温度と溶融粘度とが低く、製造する極短繊維と容易に分離できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、溶融温度が10〜120℃の低重合ポリエステル、低重合ポリスチレン、低重合ポリエチレンなど、周知の低分子量の熱可塑性樹脂を適宜使用条件に合わせて使用することができる。
なお、特に好ましい埋包材としては、ドライアイスあるいは氷である。何故ならば、ドライアイスを埋包材として使用する場合には、ドライアイスが気化して炭酸ガスとなってしまわない条件下で切削することに留意すれば、通常の作業温度(例えば、20゜Cに維持された室温)下におくことで、極短繊維から容易かつ簡単に埋包材を分離することができる。また、氷を埋包材として使用する場合には、これを0゜Cよりも高い温度に加熱して水に戻し、その後、乾燥工程を通過させれば、容易かつ簡単に極短繊維と埋包材とを分離することができる。なお、埋包材として氷を使用する場合は、簡単な装置を使用して繊維束を容易に氷結できるため、特に好ましい。
なお、埋包材としてドライアイスあるいは氷以外の材料、例えばパラフィンや熱可塑性樹脂を使用する場合については、例えば、加熱によって埋包材を溶融状態にした後、有機溶媒などによって溶融した埋包材を溶解させて除去し、その後、乾燥工程を通すことによって有機溶媒を極短繊維から分離除去する方法などを採用することができる。
以上に述べたように、本発明の極短繊維の製造方法を用いて、被切削材1を切削することによって、極短繊維を得ることができるのであるが、被切削材1を長時間にわたって切削すると、切削する作業環境が埋包材1bの固化温度より高い場合には、埋包材1bが気化したり、液化したりしてその役割を果たすことができなくなる。このため、被切削材1を保持する保持手段2及び/又は把持固定手段5に保冷手段(図示せず)を設けたり、保冷手段だけでは対応できない場合は冷却手段(図示せず)を設けたりして、埋包材1bが気化又は液化しないように十分に保冷しておくことが必要となる。また、前記の目的を達成するために、被切削材1の周りを局部的に冷却したり、切削装置全体を冷却したりすることも好ましい態様である。
なお、前記冷却手段(図示せず)としては、周知の冷媒循環式冷却装置が好ましく使用できる。具体的には、前記保持手段2及び/又は把持固定手段5に保冷手段(図示せず)を構成する被切削材1の把持部材2aの外周部にアンモニア、フロン、代替フロンなどのような冷媒が循環可能なジャケットを付設して、このジャケットに冷媒を循環させることによって達成することができ、このジャケットを固定部材2bによって架台9cに固定するようにすればよい。
本発明の製造方法によって極短繊維を大量かつ効率的に製造することができる。しかも、このようにして得られた極短繊維は、極短の光学干渉性繊維を接着剤中に混入してこれを塗料として使用したり、化粧品に混入させたりして使用したり、あるいはフロック加工用、印刷機のトナー原料などとしても使用することができるなど広範な産業用途が期待できる。
極短繊維を製造する様子を説明するために例示した模式説明図である。 繊維束の下部を接着剤などの樹脂によって固めた実施形態を模式的に例示した正断面図である。 多数の被切削材を工作台上に並列させて立設した配列を模式的に例示した平面図である。 切削刃を多数並列させて設置して切削する様子を模式的に例示した説明図であって、図(a)は模式正面図、図4(b)は模式側面図をそれぞれ示している。
符号の説明
1 被切削材
1a 繊維束
1b 埋包材
2 保持手段
3 把持固定手段
4 切削刃

Claims (6)

  1. 冷却によって固化し加熱によって気化又は液化する埋包材中に埋包処理された多数の長単繊維群を平行に引き揃えて束ねた繊維束からなる被切削材を複数個準備し、繊維の長さ方向に対して垂直な切削端面を形成した前記被切削材群を前記切断面が水平となるように固定し、少なくとも一つの切削刃によって前記切削端面を平削りし、平削りした被切削材から前記埋包材を除去して0.005〜1.0mmの繊維長を有する極短繊維を得る極短繊維の製造方法。
  2. 前記被切削材が互いに分離した状態で並列配列されて固定されている、請求項1に記載の極短繊維の製造方法。
  3. 前記被切削剤が前記多数の長単繊維群を平行に引き揃えて束ねた前記繊維束を稠密な状態で並列させて立設した状態で前記埋包材により一体に埋包処理されている、請求項2に記載の極短繊維の製造方法。
  4. 前記繊維束の一本の総繊度が1万〜1000万dtexである、請求項項1に記載の極短繊維の製造方法。
  5. 前記埋包材が、ドライアイス、氷、パラフィン、及び溶融温度が10〜120℃の熱可塑性樹脂からなる材料群中から選ばれる少なくとも一つの材である請求項1に記載の極短繊維の製造方法。
  6. 前記短繊維の繊維長が0.005〜0.1mmである、請求項1に記載の極短繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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