JP2005154305A - ヒアルロン酸含有組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 粘性が高く、また粘弾性のうち弾性のみをさらに特異的に向上させたヒアルロン酸含有組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを含む、ヒアルロン酸含有組成物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを含む、ヒアルロン酸含有組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ヒアルロン酸含有組成物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、粘弾性のうちの弾性を特異的に向上させたヒアルロン酸含有組成物の製造方法、並びに該方法によって製造されたヒアルロン酸含有組成物に関する。
近年、高齢者の増加に伴い、眼疾病患者の数が増えつつあり、眼疾病に対する薬物治療法と手術法の開発はますます重要となっている。中でも白内障手術、眼内レンズ挿入術および緑内障手術の手術様式の開発は顕著な進歩を遂げている。例えば、白内障手術では、混濁した水晶体の破砕・摘出に超音波乳化吸引術を用いることにより手術の簡便化、切開部位の縮小化、眼内レンズの改良およびその挿入術の進歩とともに術後経過が改善され、日帰り手術も可能となった。
上記したような眼科での手術を円滑かつ安全に実施するためには、手術用補助剤とし粘弾性製剤の使用が大きな役割を担う。手術時に、粘弾性製剤から成る手術用補助剤を切開部位より眼内に注入することにより、前房および後房の空間を維持し、機械的損傷から組織および内皮細胞を保護し、手術器具および眼内レンズを容易に挿入することが可能になり、出血を最小限に抑えることができるようになる。このような手術用補助剤の主成分としては、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、メチルセルロース等が臨床上使用されている。これらの中でも、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液は、眼内空間保持に必要な高い粘弾性をもち、並びに生体安全性を有することから、粘弾性製剤の主成分として頻繁に利用されている。
上記の通り特に1%ヒアルロン酸ナトリウム製剤は眼科用手術補助剤として、空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などが期待されている。ヒアルロン酸ナトリウム製剤を眼科手術の際に使用する場合、その粘性が重要な因子である。ヒアルロン酸ナトリウム製剤の調製方法としては、攪拌羽を用いて攪拌して調製する方法が採用されているが、粘性の問題から十分な均一性が得られないという問題があった。
また、ヒアルロン酸ナトリウム製剤の物性においては、粘弾性のうち弾性のみを特異的に向上させることができれば、空間保持力に優れたヒアルロン酸ナトリウム製剤を調製することができる。しかしながら、上記した従来の方法では弾性のみを特異的に向上させることはできず、また粘弾性のうち弾性のみを特異的に向上させる技術についてはこれまで一切報告がない。
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、粘性が高く、また粘弾性のうち弾性のみをさらに特異的に向上させたヒアルロン酸含有組成物の製造方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、上記方法で製造される粘弾性のうち弾性のみを特異的に向上させたヒアルロン酸含有組成物を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを混合する際に、窒素を吹き込むことによって溶存酸素を追い出すことにより、製造されるヒアルロン酸含有組成物の粘弾性のうち弾性のみを特異的に向上させることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを含む、ヒアルロン酸含有組成物の製造方法が提供される。
好ましくは、不活性ガスを吹き込みながらヒアルロン酸と水性媒体とを混合することができる。好ましくは、不活性ガスは窒素、アルゴン又はヘリウムである。好ましくは、予め溶存酸素を追い出した水性媒体を使用することができる。好ましくは、溶存酸素の濃度が4mg/L以下になるまで溶存酸素を追い出した水性媒体を使用することができる。好ましくは、自転・公転攪拌装置を用いて公転速度1000〜3000rpm、自転速度500〜1500rpmの条件下で攪拌を行うことができる。
好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分は50Pa以上である。好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの弾性成分は90Pa以上である。
好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上である。好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上である。
好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上である。好ましくは、製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上である。
本発明の別の側面によれば、上記したいずれかに記載の製造方法により製造されるヒアルロン酸含有組成物が提供される。本発明のヒアルロン酸含有組成物において好ましくは、動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分は50Pa以上であり、1Hzでの弾性成分は90Pa以上であり、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比は3.0以上であり、10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比は4.0以上である。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のヒアルロン酸含有組成物を含む、眼科用製剤が提供される。
本発明によれば、粘弾性のうち弾性のみを特異的に向上させたヒアルロン酸含有組成物を製造することが可能になった。本発明の方法で製造されたヒアルロン酸含有組成物は、粘弾性のうち弾性が特異的に向上しており、空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などの点において優れている。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(1)方法
本発明によるヒアルロン酸含有組成物の製造方法は、ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを特徴とする。
(1)方法
本発明によるヒアルロン酸含有組成物の製造方法は、ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを特徴とする。
本発明で言うヒアルロン酸含有組成物とは、少なくともヒアルロン酸又はその塩と水とを含む組成物を意味する。組成物中には上記以外の任意成分を含めることもできる。任意成分としては、緩衝剤、等張化剤などを挙げることができるがこれらに限定されるわけではない。任意成分である緩衝剤、等張化剤等の具体例については以下の水性媒体のところで説明する。
次に、本発明で用いるヒアルロン酸又はその塩について説明する。本発明で用いるヒアルロン酸 としては、数平均分子量が60万〜500万の範囲内であるものが好ましい。また、ヒアルロン酸の塩類としてはナトリウム塩、カリウム塩又は塩基性アミノ酸塩等を使用することができる。本発明のヒアルロン酸含有組成物を眼科用製剤として使用する場合には、硝子体組成や房水の塩組成を考慮すると、ヒアルロン酸のナトリウム塩が特に好ましい。
ヒアルロン酸ナトリウムの化学構造は、グルクロン酸ナトリウムとN−アセチルグルコサミンがβ1→3およびβ1→4結合の反復単位をもつ高分子多糖類である。ヒアルロン酸ナトリウムは、哺乳動物の軟骨、関節等の結合組織、眼の硝子体、鶏冠等に存在している。また、ストレプトコッカス属等の微生物が産生するヒアルロン酸ナトリウムを入手することもできる。眼科用製剤として現在臨床上使用されているヒアルロン酸ナトリウム製剤の分子量の範囲は、超高分子量(約500万)、高分子量(190万〜390万)、中分子量(150万〜210万)および低分子量(60万〜120万)の四つに大別されている。臨床評価は、これらの分子量の違いおよび粘性の違い等によりそれぞれ長所と短所とを併有しているので、使用目的、適用対象の状態などを考慮して好適なものを適宜選択して使用することになる。
本発明のヒアルロン酸含有組成物におけるヒアルロン酸又はその塩の濃度は、使用目的等に応じて適宜決定されるが、好ましくは0.01〜5.0重量%の範囲内であり、さらに好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲内であり、一例としては1.0重量%である。
本発明で用いる水性媒体としては、精製水、あるいは緩衝剤及び/又は等張化剤を溶解した水溶液を用いることができる。緩衝剤及び/又は等張化剤を溶解した水溶液は、緩衝剤及び/又は等張化剤を好ましくは2重量%以下の添加量で精製水に溶解することにより調製することができる。
緩衝剤としては、例えばリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸一水素ナトリウムなどのリン酸系緩衝剤、硼砂およびホウ酸などのホウ酸系緩衝剤並びにトリスアミノメタンと希塩酸およびトリスマレートと希カセイソーダ液などのトリス緩衝剤が好ましい。等張化剤としては、塩化ナトリウム又は塩化カリウムなどが好ましい。
水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下とは、水性媒体中の溶存酸素の少なくとも一部を追い出すことができる条件下であればその手段は特に限定されず、当業者に公知の適当な手段を採択することができる。例えば、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン又はヘリウムなど)を吹き込みながらヒアルロン酸塩と水性媒体とを混合する方法や、真空下で超音波処理を行う方法などが挙げられる。本発明においては、予め溶存酸素を追い出した水性媒体を使用することが好ましい。例えば、溶存酸素の濃度が4mg/L以下、より好ましくは2mg/L以下になるまで溶存酸素を追い出した水性媒体を使用することができる。その場合も、ヒアルロン酸塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合する。本発明においては、上記した通り、ヒアルロン酸塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合することにより、製造されるヒアルロン酸塩組成物の粘弾性のうちの弾性を特異的に向上させることができることが、今回、本発明者らにより実証された。この知見は従来には全く報告がなく、本発明者らにより初めて見出された全く予測できない優れた効果である。
本発明においては、上記のようにして得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することによって、ヒアルロン酸含有組成物を製造する。本発明で用いる自転・公転攪拌装置としては、材料の入った容器を自転させながらある半径をもって公転させることができる装置であればよく、市販の装置(例えば、株式会社シンキー社のあわとり練太郎AR−250など)を使用することができる。なお、自転・公転攪拌装置においては、自転させながら公転させることにより大きな遠心力を発生させることができるため、材料の中に発生又は存在する気泡を押し出すと同時に攪拌を行うことができる。また、自転と公転を別々に制御することができる自転・公転攪拌装置を用いることが好ましい。好ましくは、本発明においては、自転・公転攪拌装置を用いて公転速度1000〜3000rpm、自転速度500〜1500rpmの条件下で攪拌を行うことができる。
本発明によるヒアルロン酸含有組成物の製造方法によれば、好ましくは、動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であるか、および/又は1Hzでの弾性成分が90Pa以上であるか、および/又は1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であるか、および/又は10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であるヒアルロン酸含有組成物を製造することができる。動的粘弾性評価については、後記する。
(2)ヒアルロン酸含有組成物
上記(1)に記載した方法により製造されるヒアルロン酸含有組成物も本発明の範囲内である。本発明のヒアルロン酸含有組成物は、動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であるか、および/又は1Hzでの弾性成分が90Pa以上であるか、および/又は1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であるか、および/又は10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であることを特徴とする。このような弾性の値は、従来の方法では得られない値であり、本発明の製造方法により初めて達成可能となった値である。
上記(1)に記載した方法により製造されるヒアルロン酸含有組成物も本発明の範囲内である。本発明のヒアルロン酸含有組成物は、動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であるか、および/又は1Hzでの弾性成分が90Pa以上であるか、および/又は1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であるか、および/又は10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であることを特徴とする。このような弾性の値は、従来の方法では得られない値であり、本発明の製造方法により初めて達成可能となった値である。
動的粘弾性評価の測定原理は、強制振動法(非共振)及び位相差法に基づくものであり、正弦的な強制振動を対象物に与え、駆動部と応答部の振幅の比と位相差を知ることにより、粘弾性関数を求めるものである。測定装置としては、レオストレスRS1(Thermo Haake製)(英弘精機(株))を使用することができる。高分子固体に正弦的応力である刺激を加えると、粘性的性質の寄与の大きさに依存して応答である正弦的歪はδだけ遅れる。高分子固体が完全弾性体であればδ=0°であり、完全粘性体であれば、δ=90°となる。動的粘弾性評価に関する一般書としては、「講座・レオロジー」2001、日本レオロジー学会編、高分子刊行会p78〜87、「レオロジー測定法」1965、高分子学会レオロジー委員会編 共立出版(株)p179〜225、「バイオレオロジー」1999、貝原眞、坂西明郎 米田出版p24〜53などが挙げられ、これらの記載を参照することができる。
(3)製剤
上記(2)に記載したヒアルロン酸含有組成物を含む、眼科用製剤も本発明の範囲内である。ヒアルロン酸ナトリウム含有組成物は、その粘弾性から優れた空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などが期待でき、眼科用製剤として使用することができる。本発明のヒアルロン酸含有組成物は、例えば、白内障手術、眼内レンズ移植手術、緑内障手術および全層角膜移植手術の際に、眼科用手術補助剤として使用することができる。また、変形性膝関節症、肩関節周囲症などの製剤として使用することもできる。以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
上記(2)に記載したヒアルロン酸含有組成物を含む、眼科用製剤も本発明の範囲内である。ヒアルロン酸ナトリウム含有組成物は、その粘弾性から優れた空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などが期待でき、眼科用製剤として使用することができる。本発明のヒアルロン酸含有組成物は、例えば、白内障手術、眼内レンズ移植手術、緑内障手術および全層角膜移植手術の際に、眼科用手術補助剤として使用することができる。また、変形性膝関節症、肩関節周囲症などの製剤として使用することもできる。以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
1.目的
1%ヒアルロン酸製剤は眼科用手術補助剤として、空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などが期待されている。期待される物性条件に改善するためには粘弾性のうち弾性の改善が効果的と考えられた。ヒアルロン酸原料を溶解する緩衝液中の溶存酸素を除去することで、ヒアルロン酸製剤の高次構造が変化して弾性が改善されるかどうか検討した。
1%ヒアルロン酸製剤は眼科用手術補助剤として、空間保持能力、前房中での滞留性および術後の速やかな吸引除去性などが期待されている。期待される物性条件に改善するためには粘弾性のうち弾性の改善が効果的と考えられた。ヒアルロン酸原料を溶解する緩衝液中の溶存酸素を除去することで、ヒアルロン酸製剤の高次構造が変化して弾性が改善されるかどうか検討した。
2. 方法
(1)緩衝液の調製
以下試薬を精密に量りビーカーに入れ、精製水を100 mL加えて溶解し緩衝液とした。これを窒素置換用と未処理用と2つ調製した。
リン酸水素ニナトリウム (和光純薬工業 試薬特級) 18.25 mg
リン酸ニ水素ナトリウム (和光純薬工業 試薬特級) 2.5 mg
塩化ナトリウム (富田製薬 日本薬局方) 877 mg
(1)緩衝液の調製
以下試薬を精密に量りビーカーに入れ、精製水を100 mL加えて溶解し緩衝液とした。これを窒素置換用と未処理用と2つ調製した。
リン酸水素ニナトリウム (和光純薬工業 試薬特級) 18.25 mg
リン酸ニ水素ナトリウム (和光純薬工業 試薬特級) 2.5 mg
塩化ナトリウム (富田製薬 日本薬局方) 877 mg
(2)緩衝液溶存酸素の窒素置換
緩衝液100 mLに高純度窒素ガス(昭和電工 高圧ガス工業用)を吹き込み、デジタル溶存酸素計(扶桑理化製品 DO-5509)で測定する時、溶存酸素が開始時8.2 mg/Lから1.8 mg/Lになるまで窒素置換をおこない、窒素置換緩衝液とした。
緩衝液100 mLに高純度窒素ガス(昭和電工 高圧ガス工業用)を吹き込み、デジタル溶存酸素計(扶桑理化製品 DO-5509)で測定する時、溶存酸素が開始時8.2 mg/Lから1.8 mg/Lになるまで窒素置換をおこない、窒素置換緩衝液とした。
(3)ヒアルロン酸原料の溶解
窒素置換緩衝液と未処理の緩衝液100 mLそれぞれをあわとり練太郎 AR-250の120 mL専用容器に移し、そこに1 g精密に量ったヒアルロン酸ナトリウム原料(キューピーHA-QSE)(分子量320万)をそれぞれ加え、30分間原料が底で固まらないように時々スパーテルで軽く撹拌した。窒素置換緩衝液は撹拌の30分間も高純度窒素ガスの吹き込みを継続した。その後それぞれふたをして密閉し、90分間室温20〜25℃で静置した。
窒素置換緩衝液と未処理の緩衝液100 mLそれぞれをあわとり練太郎 AR-250の120 mL専用容器に移し、そこに1 g精密に量ったヒアルロン酸ナトリウム原料(キューピーHA-QSE)(分子量320万)をそれぞれ加え、30分間原料が底で固まらないように時々スパーテルで軽く撹拌した。窒素置換緩衝液は撹拌の30分間も高純度窒素ガスの吹き込みを継続した。その後それぞれふたをして密閉し、90分間室温20〜25℃で静置した。
(4)あわとり練太郎での撹拌
溶解したヒアルロン酸原料をあわとり練太郎AR-250にセットし以下の条件で撹拌をおこないヒアルロン酸製剤試料とした。試料は2〜7℃で密閉容器で保存した。
メーカー:株式会社シンキー
形式:AR-250
品名:コンディショニングミキサー「あわとり練太郎」
方式:自転/公転プロペラレス混和方式
モード:撹拌モード
公転速度:2000 rpm
溶解したヒアルロン酸原料をあわとり練太郎AR-250にセットし以下の条件で撹拌をおこないヒアルロン酸製剤試料とした。試料は2〜7℃で密閉容器で保存した。
メーカー:株式会社シンキー
形式:AR-250
品名:コンディショニングミキサー「あわとり練太郎」
方式:自転/公転プロペラレス混和方式
モード:撹拌モード
公転速度:2000 rpm
3.結果
1、粘弾性評価
それぞれの試料の周波数依存測定による動的粘弾性を評価した。
装置:粘弾性測定装置 RS600(英弘精機)
コーン&センサー:C35/1
試料量:約2 mL
測定温度:20℃
0.01〜10 Hzの周波数域で分析をおこない、試料の粘性成分、弾性成分のそれぞれについて物性評価をおこなった。結果を図1及び表1に示す。また、表1の結果に基づいて、
粘性成分G''に対する弾性成分G'の比を求めた結果を表2に示す。なお、表2中、他社とあるのは、ファルマシア製の「ヒーロン 0.85 mL」である。
1、粘弾性評価
それぞれの試料の周波数依存測定による動的粘弾性を評価した。
装置:粘弾性測定装置 RS600(英弘精機)
コーン&センサー:C35/1
試料量:約2 mL
測定温度:20℃
0.01〜10 Hzの周波数域で分析をおこない、試料の粘性成分、弾性成分のそれぞれについて物性評価をおこなった。結果を図1及び表1に示す。また、表1の結果に基づいて、
粘性成分G''に対する弾性成分G'の比を求めた結果を表2に示す。なお、表2中、他社とあるのは、ファルマシア製の「ヒーロン 0.85 mL」である。
動的粘弾性評価を周波数依存測定で分析した結果、弾性成分G'は0.1〜10 Hzの間で8〜15 Pa大きくなっていた。一方粘性成分G''は0.01〜10 Hzの間でほとんど差がなかった。窒素置換はヒアルロン酸1%製剤の粘弾性のうち弾性成分を大きくする効果があることが実証された。
Claims (17)
- ヒアルロン酸又はその塩と水性媒体とを該水性媒体中の溶存酸素を追い出す条件下で混合し、得られたヒアルロン酸含有水溶液を自転・公転攪拌装置を用いて攪拌することを含む、ヒアルロン酸含有組成物の製造方法。
- 不活性ガスを吹き込みながらヒアルロン酸と水性媒体とを混合する、請求項1に記載の製造方法。
- 不活性ガスが窒素、アルゴン又はヘリウムである、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 予め溶存酸素を追い出した水性媒体を使用する、請求項1から3の何れかに記載の製造方法。
- 溶存酸素の濃度が4mg/L以下になるまで溶存酸素を追い出した水性媒体を使用する、請求項4に記載の製造方法。
- 自転・公転攪拌装置を用いて公転速度1000〜3000rpm、自転速度500〜1500rpmの条件下で攪拌を行う、請求項1から5の何れかに記載の製造方法。
- 製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であることを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載の製造方法。
- 製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの弾性成分が90Pa以上であることを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載の製造方法。
- 製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であることを特徴とする、請求項1から8の何れかに記載の製造方法。
- 製造されたヒアルロン酸含有組成物の動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であることを特徴とする、請求項1から9の何れかに記載の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により製造されるヒアルロン酸含有組成物。
- 動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であることを特徴とする、ヒアルロン酸含有組成物。
- 動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの弾性成分が90Pa以上であることを特徴とする、ヒアルロン酸含有組成物。
- 動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であることを特徴とする、ヒアルロン酸含有組成物。
- 動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であることを特徴とする、ヒアルロン酸含有組成物。
- 動的粘弾性評価を周波数依存測定により20℃で行った場合、0.1Hzでの弾性成分が50Pa以上であり、1Hzでの弾性成分が90Pa以上であり、1Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が3.0以上であり、そして10Hzでの粘性成分に対する弾性成分の比が4.0以上であることを特徴とする、ヒアルロン酸含有組成物。
- 請求項11から16の何れかに記載のヒアルロン酸含有組成物を含む、眼科用製剤。
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JP2007145765A (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-14 | Menicon Co Ltd | 眼科手術用組成物 |
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