JP2005154259A - ガラス組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2次的に加熱成形されるガラス物品として、高い寸法精度及びガラス品位を実現することのできるガラス組成物とその製造方法を提供する。
【解決手段】該ガラス組成物は、多成分系無機酸化物からなるガラス組成物であって、質量1gのガラス中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl(0℃、1atm)以下であり、ヘリウムが0.0001μL/gから0.05μ/g(0℃、1atm)の範囲内にあり、ガラスの粘度が107.65dPa・secとなる温度が900℃以下である。また、該製造方法は、ガラス原料混合投入工程と、耐熱性容器30内でガラス原料混合物Mを溶融して溶融ガラス化する工程と、該溶融ガラスGにヘリウムBを所定量導入する工程と溶融ガラスGから所定量の気体成分を放出することによって、ガラス中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分を70μl/g(0℃、1atm)以下に調製する工程とを有するものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、加熱による2次加工によって最終的形態のガラス製品として利用されるガラス組成物とその製造方法に関する。
一般に、ガラスは、加熱することで連続的にその粘性を変化させることができるので、適切な加熱条件を選択することによって一旦形成した形状を再変形させて異なる形状とすることができる。そしてガラスを軟化変形させ、その形状を自在に調製することで、目的とする用途で使用するに適した形態とすることができる。このような優れた機能を利用することによって、ガラスは古来より様々な用途に使用されてきた。例えば、ガラス管は、大直径の母材ガラスを成形後、リードロー成形と呼ばれる再加熱処理により母材ガラスから必要に応じてそれより小径のガラス管を精密成形し、必要量を適宜生産して供給することが可能である。そして、その小径ガラス管はさらに用途に応じて金属材料等と気密封着するためにその管端を加熱する等し、適切な形状に変形させることで管端のエッジ部の平滑化処理や金属材料との封止処理を行うといった利用もなされてきた。また粉末ガラスは、必要とされる機能を付与するために種々のバインダーやフィラー等と併用し、加熱によって形状を変形させて2種以上の材料を互いに封着する用途で利用される場合もある。
このような成形技術については、ガラスを利用する製造業の分野では、もはや使い慣れた技術と思われがちである。しかし、近年の成形の水準が従来のものから最も異なる点は、どのような成形方法を採用するにしても、これまでよりも遙かに高い寸法精度等が要求されるようになってきたことである。このために、それを可能とするガラス組成物やその製造方法に関する発明が行われてきた。
例えば、上記のガラス管に関連する技術分野において、特に進捗の著しい分野としては、液晶表示用ディスプレイを構成する画像表示装置に利用されるバックライト用のガラス細管がある。これまで工業的に量産されたガラス管とこの液晶用バックライト用のガラス細管との違いは数多くあるが、特に顕著な違いはそのガラス管の直径に対するガラス管の長さが長く、かつ非常に高い寸法精度を要求され、しかもそのガラス物品全体の寸法尺度が通常の蛍光灯用ガラス管等より小さいことである。そして、このような高い要求水準を実現するためには、より高い寸法精度を有するガラス管を成形することが可能となる新たな製造技術の開発が必要とされた。例えば、特許文献1や特許文献2では、管ガラスを成形する際のブローエアーを精密調節する小型製造装置についての発明が行われている。このように電子部品用途等で利用されるガラス細管の寸法精度は、電子部品そのものの寸法等によって制約を受けるため、小型軽量化に伴って厳しい規格に従う製造が行われることになる。
また、粉末ガラスについては、近年多方面で利用されているが、例えば、プラズマディスプレイを構成材料として利用される粉末ガラスには、その性能を十分発揮するために微細寸法精度を実現するための種々の工夫が行われている。しかし、その性能を十分発揮するまでには至っていない。特に隔壁形成用途で使用される粉末ガラスは、微細な寸法精度を実現するための徹底した管理の下で製造されている。特許文献3には、このような観点から寸法精度の高い隔壁材に関するリブ組成物の発明が開示されている。
特開平7−172853号公報
特開平7−172852号公報
特開2000−268734号公報
しかしながら、これまでに発明されたガラスを加熱成形する際の寸法精度の調製やガラスと併用する他材料に関する技術だけでは、ガラスの加熱による再成形体に要求される高い寸法精度を満足する水準に到達することは困難な場合がある。ガラス管を加熱して変形する、あるいは他材料等と封着する際に、そのような操作後のガラス物品の外形寸法に影響するものとして、加熱成形されるガラス中に含有される気体成分がある。この気体成分は、加熱温度、加熱時間等によって発生量や発生する気体の種類が異なるが、どのような気体が発生する場合であっても、加熱されたガラス表面あるいはその内部から気体発生することによって精密な形状調節を行おうとする成形操作を妨害し、成形後のガラス物品に高い寸法精度を実現し難くしている。
また、ガラス中に含有されてガラスの加熱中に発生する気体成分については、成形後のガラス物品の外形寸法に関する問題以外にも、ガラス物品を強度的に脆弱な構造体としたり、あるいは加熱中にガラスから発生する気体成分が気密封止を妨げたり、さらに残留した気体成分によって成形後のガラス物品中に泡となって外観的にも支障のないガラス物品を得られない等の種々な問題の原因となる。このような問題点を解消するためにも、ガラス組成物としてその含有物の種類や含有量に関しての新たな技術が必要な状況にあった。
本発明者らは、かかる状況に鑑み、加熱成形されるガラス物品として、高い寸法精度を実現することのできるガラス組成物とその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のガラス組成物は、多成分系無機酸化物からなるガラス組成物であって、含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl/g(0℃、1atm)以下であることを特徴とする。
ここで、含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl/g(0℃、1atm)以下であるとは、ガラスの塊質量1g中に含有する気体成分の含有量を0℃、1atmにおいて、蒸気圧10kPa(キロパスカル)以上を有する気体成分が70μl(マイクロリットル)以下の含有量となるガラス組成物であることを意味している。
0℃で蒸気圧10kPa以上の気体成分として具体的には、例えば水(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)が該当するものである。
水(H2O)は、ガラス原料の水酸化物等に起因するもの、バーナー燃焼によってガラス中に溶存するもの等があり、ガラスの粘性を低下させ、化学的な耐久性を低下させる成分でもあるが、ガラス組成物中に含有する量がある量を超えると、一旦成形されたガラス組成物を2次的に加熱した際にガラス組成物中からの発泡の原因となる場合もあり、含有量が低い方が好ましいものである。具体的には、例えば所定量のガラスを10-6Paの真空中に保持して、常温からガラス組成物の粘性が103.0dPa・sec以下あるいは1450℃の温度まで加熱し、その間にガラス組成物から放出されるH2O量が45μl/g(0℃、1atm)以下であればよい。
酸素(O2)は、ガラス組成物を構成する主要なアニオンとしてガラス組成物の骨格の一部をなすものである。しかし、ガラス構造中に必要以上の酸素が存在すると、真空加熱等の加熱処理工程で使用されるガラス組成物については、加熱時のリボイルの原因となる場合もあって、その含有量は制限される必要性がある。具体的には、例えば所定量のガラス組成物を10-6Paの真空中に保持して、常温からガラス組成物の粘性が103.0dPa・sec以下あるいは1450℃の温度まで加熱し、その間にガラス組成物から放出されるO2量が6μl/g(0℃、1atm)以下であればよい。
二酸化炭素(CO2)は、ガラス原料中の炭酸塩に起因するものやバーナー燃焼によってガラス組成物中に溶存するもの等があるが、この成分についても酸素や水同様に加熱時のリボイルの原因となる場合もあり、その含有量は制限される方がよい。具体的には、例えば所定量のガラス組成物を10-6Paの真空中に保持して、常温からガラス組成物の粘性が103.0dPa・sec以下あるいは1450℃の温度まで加熱し、その間にガラス組成物から放出されCO2量が3μl/g(0℃、1atm)以下であればよい。
また、上記以外にも0℃で蒸気圧10kPa以上の気体成分として硫化カルボニル(COS)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、亜酸化窒素(N2O)、酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(H2S)、水素(H2)、塩化水素(HCl)、硫化水素(H2S)、一酸化炭素(CO)、二硫化炭素(CS2)、塩素(Cl2)、フッ素(F2)が該当するものである。
これら蒸気圧10kPa以上の気体成分の含有量を0℃、1atmで70μl/g以下とすることによって、ガラス物品を加熱処理する際に発生する気体成分の発生量を効果的に抑制することができる。また、ガラス物品の加熱温度が高い場合や加熱時の減圧が著しい場合には、より好ましくは0℃、1atmで60μl/g以下とする方がよく、0℃、1atmで55μl/g以下とするのが一層好ましい。
具体的に、質量1gのガラス組成物中に含有される蒸気圧10kPa以下の気体成分の含有量を特定しようとすれば、例えば、所定量のガラス組成物を10-6Paの真空中に保持して、常温からガラス組成物の粘性が103.0dPa・sec以下あるいは1450℃の温度まで加熱し、その間にガラス組成物から放出される気体の総量を計測し所定量以下であればよい。
多成分の無機酸化物からなるガラス組成物とは、少なくとも2種類以上の酸化物を含むガラス組成物であるということを表している。そして、単一の組成を有するガラス組成物に不純物として複数の成分が混入する場合は、本件での多成分の酸化物には相当しない。それは、例えば質量%で99%近い含有率を有する単一成分のガラス組成物に小数点以下二桁台の0.09質量%以下の含有率を有する成分を複数含有する場合は、本件の多成分の酸化物を含有するというものには該当しないものである。
また、本発明のガラス組成物は、上述に加え含有する窒素成分がN2換算で3μl/g(0℃、1atm)以下であることが好適である。
ここで、含有する窒素成分がN2換算で3μl/g(0℃、1atm)以下であるとは、質量1gのガラス組成物中に含有されるN成分を窒素分子に換算して表した場合、0℃、1atmで3μl以下であることを意味している。
ガラス組成物中に含有されるN成分は、原料を加熱する際に空気中から溶融ガラス中に取り込まれたものや均質化のために行われるバブリング操作から取り込まれたもの、あるいは耐火物の気泡等からガラス組成物中に取り込まれたものであることが多いが、それ以外に原料として必要とされる硝酸化物を採用する場合についても本発明の対象とするN成分に相当するものである。
また、本発明のガラス組成物は、上述に加え含有するヘリウムが1×10-4μl/gから0.05μl/g(0℃、1atm)の範囲内にあることが好適である。
ここで、含有するヘリウムが1×10-4μl/gから0.05μl/g(0℃、1atm)の範囲内にあるとは、本発明の無機酸化物ガラスは、ガラス組成物中にヘリウムを0℃、1atmの条件下において1×10-4μl/gから0.05μl/gまで含有したものであることを表している。
また、本発明のガラス組成物は、上述に加え粘度が107.65dPa・secとなる温度が、900℃以下であることが好適である。
ここで粘度が107.65dPa・secとなる温度が、900℃以下であるとは、ガラス組成物の温度を上昇させて、ガラス組成物の粘性値が107.65×10-1Pa・秒(または、4.5×107ポイズ)を示す値となった時のガラス組成物の温度が900℃以下であることを意味している。
この107.65dPa・secという値は、ガラス組成物の軟化点、又はリトルトン点と呼ばれる粘性を特定する値であって、JIS−R3104に従うガラス組成物の軟化点の測定方法によって規定されているものである。
また、ガラス組成物の粘度が107.65dPa・secとなる温度が900℃以下としたのは、これより高い温度で加熱することによって、ガラス組成物を再加熱処理により加工することは不可能ではないが、熱処理に必要となるエネルギー量が大きく、それを実現するための経費的な損失が大きくなるため、好ましくなく、また温度が高くなるほど温度の精密制御を行うことも困難になる。このような観点から、軟化点を示す温度範囲についてはより好ましくは850℃以下とする方がよく、さらに好ましくは800℃以下とすることである。
また、本発明のガラス組成物は、上述に加え形態が管、棒、粉末、顆粒または薄板形状のいずれかであることが好適である。
ここで、形態が管、棒、粉末、顆粒または薄板形状のいずれかであるとは、ガラス組成物が所定のガラス物品として形態を特定されるなら、その外形は筒状、ロッド形状、粉形状、粒形状、グラニュー形状あるいは厚みの薄い板形状に類似するものであることを意味している。
管については、その断面形状が円、楕円、矩形等の形状であって、特に限定されるものではない。また、管は直線形状であることを要せず、湾曲したものや、サークル状となったものについても支障のないものである。棒についても、その長さ寸法や断面寸法、断面形状について特に限定されるものではない。また粉や顆粒については、その粉寸法や粉の外形について限定されない。また板ガラスの板厚についても、板の最大面積を有する面について、その外周寸法の5分の1以下の寸法を有する板厚であれば、特に限定されるものではない。そしてこのような形体のガラス物品を加熱することによって元の形体とは異なった形体とする場合についても、本発明に該当するものである。このような加熱操作の際には、ガラス物品内部等で発生する気泡がガラス物品の表面形状を損ね、その結果、当初設定していた外形寸法を実現することができなくなるような場合もあるからである。
また、本発明のガラス組成物は、上述に加えガラス、金属、結晶化ガラスまたはセラミックスのいずれかと加熱封着されることが好適である。
ここで、ガラス、金属、結晶化ガラスまたはセラミックスのいずれかと封着されるとは、ガラス組成物の加熱軟化に伴う形状変形によって、金属体、ガラス体、結晶化ガラス体そしてセラミックス体と直接軟化封着する、あるいはフリットを使用した軟化封着を行うことを意味している。
このような加熱軟化操作を行う方法としては、特に限定するものではないが、具体的に例えば、電気加熱、赤外線による電磁波加熱等の種々の方法を採用することができるものである。
本発明に係るガラス組成物中の気体成分の含有量は、四重極質量分析装置等の分析装置によって計測することができる。また、ガラスの軟化点については、JIS−R3104に従う計測方法によって測定することができる。
また、本発明のガラス組成物の製造方法は、ガラス原料を混合して耐熱性容器内に投入する工程と、該耐熱性容器内でガラス原料混合物を溶融して溶融ガラス化する工程と、該溶融ガラスにヘリウムを所定量導入する工程と、該溶融ガラスから所定量のガス成分を放出させることによって、ガラス組成物中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分を70μl/g(0℃、1atm)以下に調製する工程とを有することを特徴とする。
ここで、ガラス原料を混合して耐熱性容器内に投入する工程とは、所定のガラス組成を実現するために複数の無機原料を秤量した後に混合操作を行い、得られた原料バッチを連続的、あるいは間欠的に耐熱性容器内へと投入する工程を表している。
また、耐熱性容器内でガラス原料混合物を溶融して溶融ガラス化する工程は、耐熱性容器内に投入した原料の温度をガス燃焼や電気加熱装置等による加熱によって上昇させ、互いに化学反応を起こさせて溶融して溶融ガラス状態とすることを表している。
さらに、溶融ガラスにヘリウムを所定量導入する工程とは、溶融状態にあるガラス組成物にヘリウムを接触させることによって、溶融ガラス中に所定量のヘリウム(He)を導入して、必要量のヘリウムをガラス組成物に含有させることである。
また、溶融ガラスから所定量の気体成分を放出させることによって、含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分を70μl/g(0℃、1atm)以下に調製する工程とは、前記したように質量1gのガラス組成物中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl(0℃、1atm)以下となるように、温度設定、炉内雰囲気、炉内圧力等の一連の諸条件を調製し、これらの溶融ガラス含有ガスを溶融ガラス中の泡の形成と溶融ガラス中における泡の浮上あるいは溶融ガラス表面からの蒸発あるいは揮発といった過程を経ることで溶融ガラス中から放出させることを意味している。
このガス放出については、清澄剤等を使用することによってその放出を促進することもでき、また他の物理的な手法として撹拌操作等を併用することができるのは言うまでもない。
そして、これらの工程について、それぞれの工程は1つの耐熱性容器内で行うものであってもよく、まったく別の耐熱性容器内で行ってもよい。そして、1つの容器内でこの操作を行う場合には、それぞれの工程は他の工程が完全に終了せずともある程度同時進行で行われても差し支えはないものである。
また、本発明のガラス組成物の製造方法は、上述に加えてヘリウムを1×10-4〜0.05μl/g(0℃、1atm)含有するように調整することが好適である。
ここで、ヘリウムを1×10-4〜0.05μl/g(0℃、1atm)含有するように調整するとは、前記の溶融ガラスにヘリウムを所定量導入する工程及び所定量のガス成分を放出させる工程においてガラス組成物中に含有させるヘリウムの量としては、0℃、1atmで1×10-4μl/gから0.05μl/gまでの範囲内にすることを意味している。
(1)以上のように、本発明のガラス組成物は、多成分系無機酸化物からなるガラス組成物であって、含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl/g(0℃、1atm)以下であるため、ガラス物品の加熱成形加工等の操作中に、ガラス物品から発生する気体成分によってガラス成形体の寸法精度が損なわれることがなく、加熱熱処理工程により高い寸法精度及びガラス製品を得ることが可能となるものである。
(2)また、本発明のガラス組成物は、含有する窒素成分がN2換算で3μl/g(0℃、1atm)以下であるならば、通常の加熱条件では確実に発泡するような高温加熱を施した条件下において、ガラス物品に外力を印加することによってガラス物品を変形、加工することが可能となるものであって、精密な形状加工から大きな外形寸法の変更にまで対応することの可能となる高い応用性を有するものである。
(3)さらに、本発明のガラス組成物は、含有するヘリウムが1×10-4μl/g(0℃、1atm)から0.05μ/gl(0℃、1atm)の範囲内にあるならば、ガラス組成物中のヘリウム以外の気体成分含有量を確実に低減することによって、ガラス組成物の均一性を向上し、かつガラス物品中の泡等の欠陥についてもその数を削減することによって製造時における歩留まりを向上させて、従来よりも容易な製造管理を行うことで高品質のガラス物品を得ることを可能とするものである。
(4)さらに、本発明のガラス組成物は、粘度が107.65dPa・secとなる温度が900℃以下であるならば、比較的高温で使用されて直接封止構造体を形成する用途から低温封止に必要となるフリット封着体まで、幅広く対応することが可能となるものであって、再熱処理を必要とするガラス組成を構成する場合に高い汎用性を実現することを可能とするものである。
(5)また、本発明のガラス組成物は、形態が管、棒、粉末、顆粒または薄板形状のいずれかであるならば、様々な用途に対応して適所に適材を採用することを容易とし、ガラス組成物が使用される可能性をさらに押し広げることのできるものであって、従来は成形寸法の精度のために実現が困難であったような用途等についても使用できる可能性を有するものである。
(6)また、本発明のガラス組成物は、ガラス、金属、結晶化ガラスまたはセラミックスのいずれかと封着されるものであるならば、特に電子部品用途において気密封止等を施して内部に保持する機能性素子等を保護する上で高い信頼性を実現して、ガラス組成物の利用される製品の機能を高い水準で実現することを可能とするものである。
(7)また、本発明のガラス組成物の製造方法は、ガラス原料を混合して耐熱性容器内に投入する工程と、該耐熱性容器内でガラス原料混合物を溶融して溶融ガラス化する工程と、該溶融ガラスにヘリウムを所定量導入する工程と、該溶融ガラスから所定量の気体成分を放出させることによって、ガラス中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分を70μl/g(0℃、1atm)以下に調製する工程とを有するため、成形されたガラス物品中に含有される気体成分量を極力低減することを容易に行えるものであって、従来のガラス製造工程から大きな変更を施すことなく、高い性能を有するガラス物品を安価に製造することを可能とするものである。
(8)また、本発明のガラス組成物の製造方法は、ヘリウムを1×10-4〜0.05μl/g(0℃、1atm)含有するように調整するものであるならば、ヘリウム以外のガラス中の溶存ガスを効果的に削減するに充分な含有量をガラス中に含有させることによって、速やかにガラス中の溶存ガスをガラスから放出することで、短時間にガラスの均質度を向上させ、2次的な熱処理工程ばかりでなく最初の母材ガラスの成形工程においても、ガラス不均質の原因となる泡等の異物を含有することのないガラス成形体を高い寸法精度で形作ることを可能とするものである。
以下に本発明のガラス組成物とその製造方法について、実施例に基づいて説明する。
表1に本発明のガラス組成物の含有成分について、それぞれの成分を酸化物の質量百分率の形式で表す。これらのガラスは、以下のような手順によって調製することができる。まず、表1のガラス組成となるように炭酸塩、酸化物、水酸化物等のガラス原料を準備し、各々の成分について化学量論的に算出した含有率に見合うグラム量の小数点以下3桁の精度を有する秤量計をもって計測する。そして、円筒型振動混合機のチャンバー内に各々の原料を投入し、3時間混合操作を行う。得られたガラス原料バッチを3000ccの内容積を有する白金−ロジウム15%製の耐火性ルツボ内に投入して、その状態で耐火性ルツボを1550℃に設定した間接電気抵抗炉内に設置し、6時間保持し保持開始時より3時間経過した時点より保持開始時より5時間経過した時まで、計2時間について溶融ガラス中に浸漬した耐熱性バブリング管を通してバブリング操作を50ml/分の流量でヘリウムガスを導入することによって行い、残りの1時間については10rpmで回転するスターラーによって混合操作を行って溶融ガラスを均質化する。
こうして均質化された後に溶融ガラスを空冷されたカーボン枠内に流し出して成形し、直後に予め徐冷温度まで昇温した徐冷炉内に入れて室温までアニール操作を行うことによって最終的に成形されたガラス成形体を得ることができる。得られたガラス成形体は、湿式化学分析やICP発光分析等を併用することによって、所望のガラス組成となっていることを確認した後に、質量分析計を使用して測定することによってガラス成形体中のガス含有量についての分析値を得る。また、このガラス成形体の軟化点の計測については、JIS−R3104に従い、ガラス繊維による計測の行える装置によってそれぞれの試料についての軟化点の計測結果を求めることによって得ることができる。
表1の試料番号1から11の全てについて、ガラス組成物中に含有するヘリウム量は、1.1×10-3μl/g(0℃、1atm)から45.1×10-3μl/g(0℃、1atm)である。また、ガラス組成物中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分の総量は、ガス分析装置によって18μl/gから65μl/gの範囲内となることが判る。そしてこれらのガラス組成物の軟化点、すなわちガラス組成物の粘度が107.65dPa・secとなる温度は、515℃から785℃の範囲にあることも判る。以上のように、これら試料番号1から試料番号11までのガラス組成物は、いずれも本発明のガラス組成物としての特徴を有するものであることを確認することができる。
次いで、試料番号6のガラス組成物を製造準備する際に、より詳細な情報を得るため、以下の様な評価を行った。まず、実施例1と同様の手順によって、ガラス原料バッチを準備し、実施例1と同様の設備によってガラス組成物の溶融を行い、ガラス中にヘリウムを導入するために行うヘリウムバブリングのヘリウム流量を1分間当たり50mlから200mlまで変更した場合について、冷却した後のガラス中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分であるガラス中の溶存ガス総量とそれぞれのガス量についての分析を行った。また、バブリングを行わず、白金―ロジウム15%製の耐火性坩堝周囲の溶融雰囲気をヘリウム雰囲気とした場合、それから比較試料としてヘリウムを使用せずに空気雰囲気とした場合についても調査した。以上の結果を表2にまとめる。
表2から、ヘリウムをガラス中に含有させるためにバブリングのためのヘリウム流量を増加することによって、ガラス中の溶存ガスの総量は減少し、調査を行った50ml/minから200ml/minの範囲内については、45.2μl/gから29.5μl/gまで変化することが判明した。同じ様な変化は、バブリングによらずとも溶融ガラスの周囲の溶融雰囲気をHeガスによって置き換えた場合(試料番号6−2)についても確認することができ、この場合にはバブリングを行った場合よりも多いものの48.4μl/gであった。一方、ヘリウムガスを導入しない場合(試料番号6−1)について、同種の調査を実施したところ、ガラス中の溶存ガスの含有量は、84.7μl/gとなることが判明した。また、酸素、窒素、二酸化炭素、水についても試料番号6−3、試料番号6−4、試料番号6−5は少ない含有量であって、一方、試料番号6−1は含有量が多い結果となり、溶存ガスの総量の傾向と同じ傾向を示した。また窒素については、試料番号6−1が4.2μl/g、試料番号6−2が1.4μl/g、試料番号6−3、6−4、6−5については、0.9μl/g、0.6μl/g、0.7μl/gという結果となり、ほぼ同様の結果の得られることを確認することができた。
以上のような結果を踏まえ、実際の溶融炉において本発明のガラス組成物の製造方法を実施した。本発明を実施した溶融炉の説明図を図1に示す。まずガラス組成物として実施例の試料番号6について複数のガラス原料をロッキングミキサーによって調合して、ガラス原料バッチMを準備し、原料投入ポットに蓄えて原料投入機20によってガラス溶融炉10の溶融室30内に投入した。投入された原料バッチMは溶融室30内にてバーナー32と電極31により加熱されて溶解し、溶融ガラスGとなる。この溶融室30の炉床にはヘリウムバブリングを行うための耐火性のガス導入管、バブリング管33が配設されており、溶融ガラスGにヘリウムBを導入することができるようになっている。このバブリングによってヘリウムBを含有したガラスはスロート35を経て、清澄室40へと流入する。この清澄室40でガラスG中に含有していた蒸気圧10kPa以上の気体成分を泡として清澄することにより、溶融ガラスG中の溶存ガスの量が低減されることになる。
こうして、溶存ガスの少なくなった状態の溶融ガラスGは、フィーダー50でスターラー51によって混合されて均質な状態となり、その後で成形のために設けられた耐火性チューブ52の中に配設されたマンドレル53に沿って流れ出し、スパウト54を通ってダウンドロー成形されてガラス管となる。
このように管形状に成形されたガラス物品中の泡の品位は、ヘリウムを導入する以前と比較すると一桁少なくなることが判明した。また、ガラス管の真円度の計測を行ったところ、微細な泡等の異物の流出によって、管引きされたガラス管の表面に不規則な凹凸が発生する頻度が少なくなっているため、従来の凹凸水準からすると5%の改善効果が認められた。さらにガラス管の曲がりに関しての外形寸法公差も改善された結果、最終的な製造における良品率が13%改善することが判明した。
以上のように、本発明の製造方法をガラス溶融炉に適用することによって、ガラス物品の外形寸法を改善することができ、高い寸法精度を有するガラス管を製造することができることが明確となった。
10 ガラス溶融炉
20 原料投入機
30 溶融室
31 電極
32 バーナー
33 バブリング管
35 スロート
40 清澄室
50 フィーダー
51 スターラー
52 チューブ
53 マンドレル
54 スパウト
M ガラス原料バッチ
G 溶融ガラス
B ヘリウム
20 原料投入機
30 溶融室
31 電極
32 バーナー
33 バブリング管
35 スロート
40 清澄室
50 フィーダー
51 スターラー
52 チューブ
53 マンドレル
54 スパウト
M ガラス原料バッチ
G 溶融ガラス
B ヘリウム
Claims (8)
- 多成分系無機酸化物からなるガラス組成物であって、含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分が70μl/g(0℃、1atm)以下であることを特徴とするガラス組成物。
- 含有する窒素成分がN2換算で3μl/g(0℃、1atm)以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス組成物。
- 含有するヘリウムが1×10-4μl/g(0℃、1atm)から0.05μl/g(0℃、1atm)の範囲内にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス組成物。
- 粘度が107.65dPa・secとなる温度が、900℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガラス組成物。
- 形態が、管、棒、粉末、顆粒または薄板形状のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガラス組成物。
- ガラス、金属、結晶化ガラスまたはセラミックスのいずれかと加熱封着されるものであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のガラス組成物。
- ガラス原料を混合して耐熱性容器内に投入する工程と、該耐熱性容器内でガラス原料混合物を溶融して溶融ガラス化する工程と、該溶融ガラスにヘリウムを所定量導入する工程と、該溶融ガラスから所定量の気体成分を放出させることによって、ガラス組成物中に含有する蒸気圧10kPa以上の気体成分を70μl/g(0℃、1atm)以下に調製する工程とを有することを特徴とするガラス組成物の製造方法。
- ヘリウムを1×10-4〜0.05μl/g(0℃、1atm)含有するように調整することを特徴とする請求項7に記載のガラス組成物の製造方法。
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