JP2005154247A - 単結晶炭化珪素の製造方法および単結晶炭化珪素 - Google Patents
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Abstract
【課題】 炭化珪素原料粉末を使用することなしに、大面積の単結晶炭化珪素を生成させる新規方法を提供することである。
【解決手段】 シリカおよびカーボンを1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶6上に気相法によって単結晶炭化珪素膜7をエピタキシャル成長させる。好ましくは、シリカ1モルに対してカーボンを0.1mol以上、4mol以下の比率で含む原料5を使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリカおよびカーボンを1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶6上に気相法によって単結晶炭化珪素膜7をエピタキシャル成長させる。好ましくは、シリカ1モルに対してカーボンを0.1mol以上、4mol以下の比率で含む原料5を使用する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、単結晶炭化珪素の製造方法および単結晶炭化珪素に関するものである。
蛍光灯、エアコン、インダクションヒーター、インバータなど電力の変換と制御において、Si系のデバイスが使用されている。しかし、Si系デバイスでは動作限界温度が低く、かつ電力損失が大きいため、エネルギーの効率利用の点で問題がある。これに対し、SiCや窒化ガリウム(GaN)といった半導体材料を用いた場合、Siデバイスより低電力損失、高温動作が可能となる。
近年、炭化珪素単結晶基板は、高耐圧電力用トランジスタ、高耐圧ダイオード等の高耐圧大電力用半導体装置の半導体基板として開発されている。炭化珪素単結晶基板の製造方法として昇華法がある。レーリーは、昇華再結晶法でSiCを成長させた。これは、SiCの原料粉末を2000℃以上の温度で黒鉛坩堝内で加熱し、昇華分解させ、低温部にて再結晶化させ、炭化珪素結晶を得る方法である。現在では、この方法を改良した「改良レーリー法」で成長させる方法が主流となっており、この方法を通常、昇華法と呼んでいる。これは、TairovとTsvetkovが発明したもので、準閉鎖空間内で、温度勾配、雰囲気ガスを利用して昇華ガスの輸送を制御し、種結晶を利用することで結晶成長の核生成過程を制御したものである(非特許文献1)。
Yu. M.Tairov and V. F. Tsvetkov, J. Crystal Growth, 43 (1978) 209.
Yu. M.Tairov and V. F. Tsvetkov, J. Crystal Growth, 43 (1978) 209.
昇華法では、黒鉛製ルツボ内に炭化珪素粉末を収容し、炭化珪素粉末と対向する位置に炭化珪素単結晶の種結晶を固定し、炭化珪素粉末を加熱して昇華させる。一般的には、炭化珪素原料粉末の温度が種結晶の温度より高くなるようにする。具体的には、炭化珪素原料粉末の温度を約2200〜2400℃とし、種結晶の温度を約2100℃〜2350℃とし、雰囲気圧力を約1Torr〜数十Torrとする。これによって、昇華再結晶により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる。こうした方法は、例えば特許文献1にも記載されている。
特開2001−139394号公報
また、SiC基板の大きな問題として、マイクロパイプの問題がある。ここで、マイクロパイプとは、SiCのc軸方向に伝播する大型の螺旋転位であり、中空孔を伴うものである。マイクロパイプは、デバイスの耐圧特性を著しく低下させる原因となるものである。従って、炭化珪素単結晶を製造するのに際して、マイクロパイプの密度を低減もしくは閉塞させることが望まれる。
さらに、金属・半導体電界効果トランジスタ(Metal
Semiconductor Field Effect Transistor; MESFET)や高電子移動度トランジスター(High electron
Mobility Transistor; HEMT)など、高周波デバイスでは、半絶縁性基板の高純度化、すなわち、不純物濃度を低減し、キャリア濃度を減らすことにより高抵抗化をめざすことが高抵抗化基板を得る一つのトレンドとなっている。半絶縁性基板とは、高抵抗基板ともいい、動作温度において107Ω・cm以上が求められている。
Semiconductor Field Effect Transistor; MESFET)や高電子移動度トランジスター(High electron
Mobility Transistor; HEMT)など、高周波デバイスでは、半絶縁性基板の高純度化、すなわち、不純物濃度を低減し、キャリア濃度を減らすことにより高抵抗化をめざすことが高抵抗化基板を得る一つのトレンドとなっている。半絶縁性基板とは、高抵抗基板ともいい、動作温度において107Ω・cm以上が求められている。
マイクロパイプを閉塞する技術として、非特許文献2には、高純度なSiとCを原料として、昇華法によりマイクロパイプが閉塞されたことを報告している。
I.Khlebnikov, V. P. Madangarli, M. A. Khan and T. S. Sudarshan, Mater. Sci.Forum, 264-268 (1998) 167.
I.Khlebnikov, V. P. Madangarli, M. A. Khan and T. S. Sudarshan, Mater. Sci.Forum, 264-268 (1998) 167.
高抵抗化する従来技術としては、バナジウム(V)を添加し、不純物準位をSiCのバンドギャップの中間位置につくることにより、高抵抗化が検討されてきた。しかしながら、バナジウムを添加することにより、結晶性が悪くなり、製造コストが増えるといった問題を生じさせる。また、V添加基板をMESFETとして用いた場合、Vによる不純物準位が移動する電子をトラップし、ドレイン電流が減少し、十分なデバイス性能が得られなくなってしまうという問題も生じさせる。
そこで、基板自体の高純度化、すなわち、不純物濃度を低減し、キャリア濃度を減らすことにより高抵抗化をめざすことが高抵抗化基板を得る一つのトレンドとなっている。SiC基板を高純度化する技術として、たとえば、これまでに高純度なSi粉末とC粉末をあらかじめ仮焼熱処理しペレット状にし、これを原料として昇華法でSiCを作製する方法が報告されている(非特許文献3)。
SiC及び関連ワイドバンドギャップ半導体研究会 第12回講演会 予稿集
SiC及び関連ワイドバンドギャップ半導体研究会 第12回講演会 予稿集
昇華法では、通常、原料部を2200〜2350℃にし、再結晶試料部を2100〜2300℃に制御する。炭化珪素原料粉末をアチソン法によって作製する必要があり、原料粉末の作製段階において多量の電力エネルギーを消費する。
本発明の課題は、炭化珪素原料粉末を使用することなしに単結晶炭化珪素を生成させる新規方法を提供し、高品質な単結晶炭化珪素を得ることである。
本発明は、シリカおよびカーボンを1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶上に気相法によって単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させることを特徴とする、単結晶炭化珪素の製造方法に係るものである。
また、本発明は、本方法によって得られた単結晶炭化珪素に係るものである。
また、本発明は、本方法によって得られた単結晶炭化珪素に係るものである。
炭化珪素(SiC)は、1891年にアメリカのEdward
G. Achesonによって、ダイヤモンドの合成の際、偶然発見された。この方法は、固定電極間を黒鉛紛で連結し、その周りにケイ石とコークスの混合粉末を敷き詰め、通電加熱をし、電極周囲に炭化珪素を製造する方法である。反応式としては、
SiO2+3C → SiC+2CO (1)
で表される。この方法では十分大きな単結晶を得ることはできない。そのため、専ら粉末の合成方法として利用されてきた。
G. Achesonによって、ダイヤモンドの合成の際、偶然発見された。この方法は、固定電極間を黒鉛紛で連結し、その周りにケイ石とコークスの混合粉末を敷き詰め、通電加熱をし、電極周囲に炭化珪素を製造する方法である。反応式としては、
SiO2+3C → SiC+2CO (1)
で表される。この方法では十分大きな単結晶を得ることはできない。そのため、専ら粉末の合成方法として利用されてきた。
この方法(アチソン法)によると、高温の電極部から外側に向かって炭化珪素が形成される。本発明者は、このような炭化珪素の形成状態を考慮し、この電極部の周囲に単結晶炭化珪素を種結晶としてあらかじめ設置しておくことで、この種結晶の結晶性を引き継いで単結晶の炭化珪素が成長するのではないかと考え、実証した。本発明は、この発見に基づき完成されたものである。
この結果、本発明によれば、炭化珪素原料粉末ではなく、シリカとカーボンとを原料としていることから、炭化珪素原料粉末を例えばアチソン法によって大電力を浪費して製造する必要がなく、単結晶炭化珪素の製造に要するエネルギーとコストとを大幅に削減できる点で画期的である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明においては、シリカおよびカーボンを含む混合物を1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶上に気相法によって単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させる。
本発明においては、シリカおよびカーボンを含む混合物を1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶上に気相法によって単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させる。
シリカ原料粉末、カーボン原料粉末の粒径や形態は特に限定されない。昇華を促進するという観点からは、シリカ粉末の平均粒径は100μm以下であることが好ましく、カーボン粉末の平均粒径は10μm以下であることが好ましい。また、シリカ粉末、カーボン粉末の純度は高い方が、欠陥が少ない単結晶炭化珪素膜を得るという観点から好ましく、好ましくは99.8重量%以上である。また、シリカ粉末とカーボン粉末とは別個に配置しても良いが、シリカ粉末とカーボン粉末とを混合することが好ましく、混合物を成形してルツボ内に収容することが更に好ましい。
前記したシリカおよびカーボンは、ルツボ内で加熱して気体とし、種結晶上で結晶化させる。この際、ルツボの材質は、気密性が高く、反応温度において反応性が低い限り、特に限定されないが、等方性高密度黒鉛を例示できる。
加熱温度は1700℃以上とする。加熱温度が低いと、ルツボ内壁面に、半溶融状態にある青緑色の物質が付着し、単結晶が十分に成長しない。
加熱温度の上限は、単結晶炭化珪素の成長が可能である限り特に限定されない。ルツボ材質の混入による単結晶炭化珪素の品質低下を防止し、良好な品質の単結晶炭化珪素を得るという観点からは、加熱温度を2250℃以下とすることが好ましく、2200℃以下とすることが更に好ましく、2100℃以下とすることが最も好ましい。本発明によれば、炭化珪素原料粉末を使用する方法と比べて、相対的に低温、例えば2200℃以下、更には2100℃以下で単結晶炭化珪素を育成することが可能である。
一方、単結晶炭化珪素の成長速度を上昇させるという観点からは、加熱温度を2000℃以上とすることが好ましく、2100℃以上とすることが更に好ましく、2150℃以上とすることが一層好ましい。
好適な実施形態においては、シリカ1molに対してカーボンを0.1mol以上、4mol以下の比率で使用する。これによって、原料の昇華と単結晶膜の成長とが促進される。この観点からは、シリカ1molに対するカーボンの比率を3.5mol以下とすることが更に好ましい。
また、単結晶炭化珪素を成長させる際の雰囲気は不活性雰囲気が好適であり、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気を使用できる。窒素の結晶中への取り込みを防止するという観点からは、アルゴン雰囲気が特に好ましい。
単結晶炭化珪素を成長させる際の雰囲気圧力は限定されないが、生産性の観点からは、0.2MPa以下が好ましく、0.1MPa以下が特に好ましい。また、雰囲気圧力の下限は特にないが、実用上は10Pa以上が好ましい。
本発明を実施するための装置については特に限定されないが、例えば図1(a)に示すようなルツボ1を使用できる。ルツボ1は本体3と蓋2とからなっている。ルツボ1内には、図示しない抵抗発熱線を埋設することができ、またルツボの周囲に抵抗発熱線を設置することができる。ルツボ1は、雰囲気の種類および圧力を調整可能なチャンバー内に収容し、固定する。本体3の成膜空間4内に、成形原料5と種結晶6とを固定する。成形原料5は、前述したように、シリカ粉末とカーボン粉末との混合物の成形体からなる。また、種結晶6は本例では平板形状をしている。種結晶6の形態は特に平板には限定されない。また、本例では、種結晶6と成形原料5とをルツボ底面3a上に固定しているが、種結晶6をルツボ3の上側内壁面3bに固定することができ、また側壁面3cに固定することもできる。
種結晶6の成長面6a上での単結晶炭化珪素の気相での成長を促進するという観点からは、種結晶6と原料5とは直接に接触させないことが好ましい。
また、好適な実施形態においては、シリカおよびカーボンの上方にスペーサーを介して種結晶を設置し、単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させる。例えば図3に模式的に示す例では、ルツボ1は本体3と蓋2とからなっている。ルツボ1は、雰囲気の種類および圧力を調整可能なチャンバー内に収容し、固定する。本体3内において、成形原料5上に環状スペーサー9を載せ、環状スペーサー9上に種結晶6を固定する。成形原料5は、前述したように、シリカ粉末とカーボン粉末との混合物からなる。種結晶6の形態は特に平板には限定されない。スペーサー9の内側空隙10内に気体種が充満し、種結晶6の成膜面6a上に付着し、単結晶炭化珪素を生成させる。
好適な実施形態においては、単結晶炭化珪素の膜厚が50μm以上である。本発明の方法によれば、このような膜厚の単結晶炭化珪素を生成させた場合であっても、膜内にマイクロパイプが生成しにくいことを見いだした。
(実験A)
(実験番号1)
図1(a)に示したようなルツボ1を使用し、前述したようにして単結晶炭化珪素膜を生成させた。SiO2粉末(トクヤマ社製「エクセリカSE-1」:平均粒径1μm)とカーボン粉末(高純度化学研究所社製、純カーボン、純度99.9%、平均粒径5μm)とを1:1(モル比)の割合で十分に混合した。この混合粉末約10gを円柱状ペレットに成形し、成形原料5を得た。成形原料5と種結晶平板6とをルツボ1内に固定した。ルツボ1を0.15MPa(ゲージ圧力 0.05MPa)で窒素ガス雰囲気のもと、2000℃で3時間保持した。
(実験番号1)
図1(a)に示したようなルツボ1を使用し、前述したようにして単結晶炭化珪素膜を生成させた。SiO2粉末(トクヤマ社製「エクセリカSE-1」:平均粒径1μm)とカーボン粉末(高純度化学研究所社製、純カーボン、純度99.9%、平均粒径5μm)とを1:1(モル比)の割合で十分に混合した。この混合粉末約10gを円柱状ペレットに成形し、成形原料5を得た。成形原料5と種結晶平板6とをルツボ1内に固定した。ルツボ1を0.15MPa(ゲージ圧力 0.05MPa)で窒素ガス雰囲気のもと、2000℃で3時間保持した。
この結果、原料5は消失していた。また、種結晶基板6の表面6aを観察した結果、図2に示すような表面形態をしていた。即ち、一定方向に段差を有した薄膜7(図1(b)参照)が厚さ3μmで形成されていた。原料から生成した炭化珪素が基板6上に結晶化したものと考えられた。SiC薄膜7の結晶系は立方晶であった。薄膜7には、所々に穴が観察されたが、これは基板上にもともと存在する穴から形成されたものと考えられる。
(実験番号2〜6)
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、熱処理温度を、表1の実験番号2〜6に示すように、1600〜2150℃で変化させた。熱処理温度が1700℃、1800℃、1900℃の場合にも、実施例1と同様にSiCが単結晶基板上に成膜されていた。しかし、1600℃(実験番号2)では、ルツボ内全体に半溶融状態にある青緑色の物質が付着していた。基板6の表面6aにおいても単結晶は成長していなかった。アチソン法でSiCを合成したとき、青緑色の半溶融状物質が生成され、これはクラストもしくは青皮とよばれている。したがって、本実施例で坩堝内壁に付着した物質はこの物質であると判断した。
熱処理温度2150℃で実施したときも(実験番号6)、基板上にSiCがエピタキシャル成長していた。この薄膜の結晶系は立方晶ではなく、六方晶であった。
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、熱処理温度を、表1の実験番号2〜6に示すように、1600〜2150℃で変化させた。熱処理温度が1700℃、1800℃、1900℃の場合にも、実施例1と同様にSiCが単結晶基板上に成膜されていた。しかし、1600℃(実験番号2)では、ルツボ内全体に半溶融状態にある青緑色の物質が付着していた。基板6の表面6aにおいても単結晶は成長していなかった。アチソン法でSiCを合成したとき、青緑色の半溶融状物質が生成され、これはクラストもしくは青皮とよばれている。したがって、本実施例で坩堝内壁に付着した物質はこの物質であると判断した。
熱処理温度2150℃で実施したときも(実験番号6)、基板上にSiCがエピタキシャル成長していた。この薄膜の結晶系は立方晶ではなく、六方晶であった。
(実験番号7〜11)
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、シリカとカーボンとの混合割合を変え、シリカ:カーボン=1:3(モル比)とした。また、雰囲気と温度は、N2中、0.15MPa、温度1600〜2000℃とした。この結果、1600℃では成膜できなかったが(実験番号7)、1700℃以上では成膜可能であることを確認した(実験番号8〜11)。
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、シリカとカーボンとの混合割合を変え、シリカ:カーボン=1:3(モル比)とした。また、雰囲気と温度は、N2中、0.15MPa、温度1600〜2000℃とした。この結果、1600℃では成膜できなかったが(実験番号7)、1700℃以上では成膜可能であることを確認した(実験番号8〜11)。
(実験番号12〜18)
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、シリカとカーボンの混合モル比を、表1に示すように種々変更した。熱処理温度は2000℃とした。この結果、シリカ1molに対するカーホンの比率を0.1〜4molと適宜調節することによって、単結晶炭化珪素膜の成膜が可能であった。カーボンの割合を0.01molとした実験番号12では成膜不能であった。また、カーボンの比率を5molとした実験番号18でも同様であった。実験番号17では、カーボンの比率が4molであり、SiCの成長は観察されたが、原料の昇華は十分ではなかった。また、アチソン法の場合と異なり、シリカとカーボンとの比率が例えば1:1であっても、成膜は良好に進行することが判った。
実験番号1と同様にして単結晶炭化珪素膜を生成させた。ただし、シリカとカーボンの混合モル比を、表1に示すように種々変更した。熱処理温度は2000℃とした。この結果、シリカ1molに対するカーホンの比率を0.1〜4molと適宜調節することによって、単結晶炭化珪素膜の成膜が可能であった。カーボンの割合を0.01molとした実験番号12では成膜不能であった。また、カーボンの比率を5molとした実験番号18でも同様であった。実験番号17では、カーボンの比率が4molであり、SiCの成長は観察されたが、原料の昇華は十分ではなかった。また、アチソン法の場合と異なり、シリカとカーボンとの比率が例えば1:1であっても、成膜は良好に進行することが判った。
(参考例1、2、3)
炭化珪素粉末を原料として使用し、炭化珪素種単結晶上に成膜可能かどうか実験した。
具体的には、炭化珪素粉末(三井東圧化学社製)10gをペレット状にして、図1と同様なルツボ1内に収容し、SiC種単結晶基板6上への成膜を試みた。温度は1700℃から2000℃とした。雰囲気は、窒素中、0.15MPaとした。しかし、SiC単結晶基板6上にはSiCは成膜されなかった。原料ペレット表面は黒く変色したが、これは、ペレット状の炭化珪素成形原料5の表面からSiが昇華され、炭化されたものと推定した。
炭化珪素粉末を原料として使用し、炭化珪素種単結晶上に成膜可能かどうか実験した。
具体的には、炭化珪素粉末(三井東圧化学社製)10gをペレット状にして、図1と同様なルツボ1内に収容し、SiC種単結晶基板6上への成膜を試みた。温度は1700℃から2000℃とした。雰囲気は、窒素中、0.15MPaとした。しかし、SiC単結晶基板6上にはSiCは成膜されなかった。原料ペレット表面は黒く変色したが、これは、ペレット状の炭化珪素成形原料5の表面からSiが昇華され、炭化されたものと推定した。
(実験B:本発明例)
図3に示すような構成の坩堝を使用した。グラファイト坩堝1内にシリカとカーボンの混合粉末原料5をいれ、その上に6mm×8mmのSiC基板からなる種結晶6を置いた。種結晶6と原料5の間には環状スペーサー9をはさみ、成膜面6aを下側に向けた。基板面はSi(0001)面及びC(000-1)面とした。
図3に示すような構成の坩堝を使用した。グラファイト坩堝1内にシリカとカーボンの混合粉末原料5をいれ、その上に6mm×8mmのSiC基板からなる種結晶6を置いた。種結晶6と原料5の間には環状スペーサー9をはさみ、成膜面6aを下側に向けた。基板面はSi(0001)面及びC(000-1)面とした。
成長温度を2200℃とし、15時間成膜した。膜厚はばらつきがあるものの、50μm以上あった。厚い個所では100μmあった。原料比はSiO2/C=3とした。圧力は1000Paとした。このときの表面のモフォロジーを図4、図5に示す。図4は成膜後のSi面を示し、図5は成膜後のC面を示す。Si面上(図4)では、丸い島状の結晶成長が観察されたのに対し、C面上(図5)ではモザイク状のモフォロジーが観察された。
(実験B:比較例)
(実験B:本発明例)と温度、雰囲気、圧力が同じ条件において、原料を三井東圧化学製SiC粉末(MSC-20)にして、成膜を実施した。膜厚はばらつきがあるものの、50μm以上あった。図6および図7に、Si面とC面上に成膜したときの表面モフォロジーを示す。
(実験B:本発明例)と温度、雰囲気、圧力が同じ条件において、原料を三井東圧化学製SiC粉末(MSC-20)にして、成膜を実施した。膜厚はばらつきがあるものの、50μm以上あった。図6および図7に、Si面とC面上に成膜したときの表面モフォロジーを示す。
Si面(図6)、C面(図7)ともに数十μm径のくぼみが観察された。このくぼみの密度はSi面上に成膜したときのほうが、C面上に成膜したときより多く観察された。このくぼみはSiCのマイクロパイプに発展していくものと考えられる。一方、本発明例では、図6にあるようなくぼみは観察されなかった。このことから、本発明による成膜方法では、マイクロパイプが発生しにくいと言える。
また、図4、図5の表面モフォロジーは、「半導体SiC技術と応用」(日刊工業社 松波弘之編著)第71頁で報告されている、液相法により成膜したときのモフォロジーと類似している。液相法では、マイクロパイプが閉塞されることより、本発明による成膜方法によっても、マイクロパイプは閉塞されるものと予想される。
次いで、図4と図6の試料に対して、室温にてフォトルミネッセンス(PL)測定をした。ここで、PLは、不純物や欠陥に由来する電子準位間の電子と正孔との再結合過程による発光を分光するものである。光源はHe−Cdレーザー(波長325nm)を用いた。図8にその結果を示す。2.9eVにあるピークはバンド端発光に相当するものである。(a)では、低エネルギー側に大きなピークがあり、これは、不純物あるいは結晶欠陥に由来するものである。(b)ではこうしたピークは観察されなかったことから、不純物や欠陥が低減していることがわかった。
以上述べたように、本発明によれば、炭化珪素原料粉末を使用することなしに高品質な単結晶炭化珪素膜を生成させる新規方法を提供することができる。
1 ルツボ 5 成形原料 6 種単結晶 7 単結晶炭化珪素膜 9 スペーサー
Claims (7)
- シリカおよびカーボンを1700℃以上の温度で加熱し、単結晶炭化珪素からなる種結晶上に気相法によって単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させることを特徴とする、単結晶炭化珪素の製造方法。
- シリカ1molに対してカーボンを0.1mol以上、4mol以下の比率で使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- エピタキシャル成長した前記単結晶炭化珪素の膜厚が1μm以上であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- 不活性ガス雰囲気中で前記単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 0.2MPa以下の圧力で前記単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- シリカおよびカーボンの上方にスペーサーを介して前記種結晶を設置し、前記単結晶炭化珪素をエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法によって得られたことを特徴とする、単結晶炭化珪素。
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