JP2005152758A - 膜形成方法、デバイス製造方法および電気光学装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)基板48の表面にライン状の液滴70を形成し、(b)ライン状液滴70の表面に温度勾配を付与して、(c)ライン状液滴70の低温側端部に直線部分75aを有する乾燥膜75を形成する。ライン状液滴70の表面に温度勾配を付与するには、ホットプレート51および冷却板52の間に、液滴70が配置された基板48を渡しかけることによって行う。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、特許文献1に記載されたパターニング方法では、形成される線幅が吐出された液滴のサイズに依存するので、線幅を細くするには液適サイズを小さくする必要がある。しかしながら、インクジェットノズル径の大きさの制約上、液滴サイズを小さくするには限界がある。そのため、100μm程度のパターンを30μm程度の位置精度で形成することが限界であった。なお、特許文献2に開示されたパターニング方法では、基板上のバンクをフォトリソグラフィ技術によって形成するため、高コストになるという問題があった。また、有機分子膜によって撥液部および親液部のパターンを基板上に形成する方法も、インクジェットノズル径の大きさの制約上、細くても数十μmオーダーのラインしか形成することができなかった。
また、高精細な膜パターンを備えることにより、小型で表示品質に優れたデバイスの製造方法および電気光学装置の提供を目的とする。
ライン状液滴の表面に温度勾配を付与すると、その表面に表面張力分布が生じて熱毛管流が発生し、これにともなって液滴の内部にはマランゴニ対流が発生する。その際、液滴の表面に適切な温度勾配を付与する事で、ライン状液滴の高温側端部から流出した熱毛管流を、低温側端部まで届かせることなく、その手前で基板に向かって下降するような流れとする事ができる。これにより、マランゴニ対流の流路に含まれない低温側の端部では、液滴に含まれる固形分が析出し、その析出した固形分によって液滴の端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される(ピニング)。一方、マランゴニ対流の経路に含まれる高温側の端部では、液滴に含まれる固形分が対流により運搬されて析出しにくくなり、乾燥過程において液滴が収縮する(ディピニング)。これにより、ライン状液滴の端部の一部のみに固形分が析出して膜パターンが形成される。したがって、通常サイズの液滴を吐出する一般的な液滴吐出装置を用いて、高精細な膜パターンを形成することができる。
この構成によれば、基板を介して簡単にライン状液滴の表面に温度勾配を付与することができる。
この構成によっても、ライン状液滴の表面に温度勾配を付与することができる。
液滴と基板との接触角が大きい場合には、液滴が表面張力の影響で球状に収縮しようとするため、液滴端部等にバルジ(ふくらみ)が形成されて、所定の膜パターンを形成することが困難になる。逆に、液滴と基板との接触角が小さい場合には、液滴が大きく濡れ広がるため、高精細な膜パターンを形成することが困難になる。また、液滴が濡れ広がりすぎる事で、対流を効果的に起こすことが困難になる。そこで、液滴と基板との静的接触角を20°以上50°以下とすることにより、所定の高精細な膜パターンを形成することができる。ここで静的接触角θはcosθ=(γS−γSL)/γL[ここで、γSは基板の表面自由エネルギーを、γLは液滴の表面自由エネルギーを、γSLは基板と液滴の界面自由エネルギーを表す]で表される。液滴が固体表面上にあって静止している、平衡状態にあるときに、液体と固体の間になす角度である。
液滴は吐出された直後から蒸発が進行するため、固形分の析出前に液滴が収縮を開始すると、膜パターンを所定位置に形成することが困難になる。この点、上記構成とすれば、ライン状液滴の低温側端部に固形分が析出する前には、液滴の端部と基板とのなす角度が後退接触角より大きくなるので、液滴が収縮することはない。なお、液滴の低温側端部に固形分が析出した後には、その析出した固形分によって液滴の端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される。したがって、所定位置に固形分を析出させることが可能になり、所定位置に高精細な膜パターンを形成することができる。
この構成によれば、複数の膜パターンを一括形成することができるので、製造コストを低減することができる。また、各ライン状液滴に対して同等の温度勾配を付与することができるので、複数の膜パターンを同等に形成することができる。
この構成によれば、高精細な膜パターンを備えたデバイスを製造することが可能になり、デバイスを小型化することができる。
この構成によれば、高精細な膜パターンを備えることにより、小型で表示品質に優れた電気光学装置を提供することができる。
図1は、本実施形態の膜形成方法の説明図である。なお、図1(a)〜(c)の下図は、液滴および乾燥膜の平面図であり、図1(a)〜(c)の上図は、それぞれの下図のA−A線における側面断面図である。本実施形態の膜形成方法は、図1(a)に示すように、基板48上にライン状液滴70を形成する工程(液滴吐出工程)と、図1(b)に示すように、形成されたライン状液滴70の表面に温度勾配を付与する工程(温度勾配付与工程)と、図1(c)に示すように、ライン状液滴70の低温側の端部に乾燥膜75を形成する工程(ピニング工程)とを有するものである。そして、形成された乾燥膜75の直線部分75aは、微細な電気配線パターン等に利用することができる。上記の各工程について、以下に順次説明する。
最初に、図1(a)に示すように、基板48上にライン状液滴70を形成する(液滴吐出工程)。具体的には、乾燥膜の形成材料の分散液を作製し、その分散液を後述する液滴吐出装置から基板48上に吐出して液滴70を形成する。なお、乾燥膜により電気配線を形成する場合には、分散質としてAgコロイドインク等の導電性微粒子を採用する。また、分散媒にはテトラデカン等の有機分散媒を採用することが可能である。
そこで、微小液滴70a,70bと基板との静的接触角を、20°以上50°以下とすることが望ましく、30°以上40°以下とすることがより望ましい。これにより、バルジ71の発生が防止されるとともに、液滴の過度な濡れ広がりを防止することが可能になり、所定形状の高精細な乾燥膜を得ることができる。なお接触角の調整は、自己組織化膜(SAM膜)で基板を表面処理することによって行うことができる。自己組織化膜として、例えばFAS17(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン)等を採用することが望ましい。
図3は、液滴表面の自然温度勾配および液滴内部のマランゴニ対流の説明図である。液滴の表面には、液滴に含まれる分散媒の沸点により、異なる温度勾配が発生する。液滴の分散媒が低沸点の場合には、図3(a)に示すように、液滴70の端部より頂上部の方が低温になる。これは、低沸点分散媒は乾燥速度が速いことから、基板からの熱が液滴頂上部まで伝わらないうちに蒸発が進行し続けてしまうからであると考えられる。一方、液滴の分散媒が高沸点の場合には、図3(b)に示すように、液滴の温度は液滴内で略均一化されるか、液滴の頂上部より端部の方が低温になる。これは、高沸点分散媒は乾燥速度が遅いことから、基板からの熱が十分に液滴頂上部まで伝わる余裕がある一方で、液滴頂上部より液滴端部の蒸発率が高くなるからであると考えられる。
一般に、液体層に温度差が生じると、レイリー対流および/またはマランゴニ対流が発生する。レイリー対流とは、温度差に伴う密度差によって誘起される対流であり、液体層の深さが大きいほどレイリー対流が支配的になる。一方、マランゴニ対流とは、温度差に伴う表面張力差によって誘起される対流であり、液体層の深さが小さいほどマランゴニ対流が支配的になる。本実施形態で扱う液滴吐出装置、例えばインクジェット装置では、吐出される液滴のサイズは十分小さいため、マランゴニ対流が支配的となる。したがって、本実施形態ではこのマランゴニ対流を利用して、液滴内の固形分の析出位置を制御することとなる。なお、気液界面に対して垂直方向の温度勾配によって生じる流れは狭義のマランゴニ流と呼ばれ、気液界面に対して平行方向の温度勾配によって生じる流れは熱毛管流と呼ばれている。ところで、液体表面の温度が高くなると表面張力は小さくなり、温度が低くなると表面張力は大きくなる。そして、表面張力が小さい方から大きい方に向かって液体が引っ張られて流れが生じるので、結果的には温度の高い方から低い方に向かって熱毛管流が生じることになる。なお、温度領域の高低にかかわらず、液滴表面に温度勾配さえあれば熱毛管流が発生する。
次に、図1(b)に示すように、形成されたライン状液滴70の表面に強制温度勾配を付与する。具体的には、図4(b)に示すように、ライン状液滴70の幅方向の一方端部から他方端部にかけて、液滴表面の温度が上昇または下降するように温度勾配を付与する。言い換えると、ライン状液滴70の幅方向の一方端部の温度が他方端部の温度より高いまたは低い温度を有するように温度勾配を付与する。温度勾配を付与するには、液滴70の一方端部に第1の温度を供給する第1温度供給部と、他方端部に第1の温度より低い温度を供給する第2温度供給部とを用いる。具体的には、ライン状液滴70が載置された基板48を、ライン状液滴70の一方端部に所定の温度を与えるホットプレート51(第1温度供給部)と、ホットプレート51の温度よりも低い温度をライン状液滴70の他方端部に与える冷却板52(第2温度供給部)との間に渡して(ライン状液滴70の幅方向の一方端部側の基板48がホットプレート51上に配置され、他方端部側の基板48が冷却板52上に配置されて)、ホットプレート51と冷却板52との間にライン状液滴70を配置すればよい。また、ホットプレート51と冷却板52との間にライン状液滴70の全体を配置するのではなく、ライン状液滴70の一方端部または他方端部がホットプレート51と冷却板52とのどちらか一方の上方に配置されていてもよいし、ライン状液滴70の一方端部がホットプレート51の上方に配置され、他方端部が冷却板52の上方に配置されていてもよい。この場合、基板48を介して簡単かつ一様に、ライン状液滴70の表面に温度勾配を付与することができる。
なお、基板48の熱伝導率は高い方がよい。基板48の熱伝導率が高ければ、ホットプレート51と冷却板52との温度差を小さくしても、液滴表面に所望の温度勾配を付与することができるからである。なお、基板48の熱伝導率が低い場合でも、ホットプレート51と冷却板52との温度差を大きくすれば、液滴表面に所望の温度勾配を付与することは可能である。一方、高温側となるライン状液滴70の端部、もしくは高温側となるライン状液滴70の端部に所望の温度を付与できる基板の所定位置、具体的には、高温となるライン状液滴70の幅方向の端部側の基板48部に、レーザ等の光を照射することによって、ライン状液滴の表面に温度勾配を付与することも可能である。
次に、図1(c)に示すように、ライン状液滴70の低温側の端部に乾燥膜75を形成する。乾燥膜75の形成は、ライン状液滴70の低温側端部をピニングさせ、高温側端部をディピニングさせることによって行う。
図5は、代表的な液滴の乾燥過程を模式的に示す図である。液滴の乾燥過程では、液体材料の固形分濃度や、液滴の乾燥速度、対流、固形分が微粒子の場合の粒径等をパラメータとすることにより、液滴の乾燥膜を様々な形状に制御することができる。例えば、図5(a)に示すように中央部に比べて周辺部の膜厚が厚い形状としたり、あるいは図5(b)に示すように着弾後の液滴に比べて収縮した形状としたりすることができる。なお、図5(a)及び(b)に矢印で示す液滴内部の流れは一例であり、実際とは異なる場合がある。
また、固形分の濃度は低い方がよい。固形分濃度が低いほど、液滴の高温側端部における固形分の析出が抑制される。これにより、液滴の高温側端部がディピニングしやすくなるからである。
固形分と基板との付着力を弱めるには、微粒子表面の保護層の厚さを厚くすればよい。固形分が微粒子の場合には、微粒子相互の凝集を防止するため、有機物等からなる保護層が微粒子表面に設けられている。この保護層の厚さが厚いほど、微粒子と基板との付着も防止し得るからである。
また、固形分と基板48とを同じ電荷に帯電させておくことにより、両者の付着力を弱めることができる。一般に、微粒子はマイナスに帯電しているので、基板48をマイナスに帯電させておけばよい。基板48を帯電させるには、自己組織化膜(SAM膜)を利用することが望ましい。具体的な自己組織化膜として、Rn−Si−(O−Et)4−nで表されるシランカップリング剤を採用する。このエチル基が基板48に吸着するので、基板48上に単分子膜が形成される。そして、R部にカルボキシル基(−COO−)を採用すれば、基板48の表面をマイナスに帯電させることができる。なお、微粒子がプラスの電荷を有する場合には、R部にアミノ基(−NH3 +)を採用することにより、基板表面をプラスに帯電させればよい。
また、分散媒または溶媒の熱伝導率は高い方がよい。分散媒または溶媒の熱伝導率が高いほど、液滴表面に温度勾配を付与し易くなるからである。さらに、表面張力の温度依存性が大きい分散媒または溶媒を採用することが望ましい。表面張力の温度依存性が大きいほど、液滴表面の温度勾配に基づいて表面張力差が発生し易くなり、所望のマランゴニ対流を発生させることができる。これにより、液滴の高温側端部がディピニングしやすくなるからである。
また、分散媒または溶媒の粘性は低い方がよい。分散媒または溶媒の粘性が高い場合には、マランゴニ対流を発生させることが困難になり、液滴の高温側端部がピニングするおそれがあるからである。なお、液滴吐出装置により液状体を安定吐出するため、液状体の粘度は0.1〜30cps程度に設定されている。したがって、液滴吐出装置から吐出形成された液滴であれば、問題なくマランゴニ対流を発生させることができる。
図6(b)に示すように、液滴は吐出された直後から蒸発が進行する。そして、液滴の低温側端部に固形分が析出すると、その析出した固形分によって液滴の端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される。ところが、固形分の析出前に液滴が収縮を開始すると、乾燥膜を所定位置に形成することが困難になるおそれがある。
そこで、液滴と基板との後退接触角θ2を、液滴の低温側端部に固形分が析出する時点において液滴の端部と基板とのなす角度θ3より、小さく設定することが望ましい。この場合、液滴の低温側端部に固形分が析出する前には、液滴の端部と基板とのなす角度が後退接触角θ2より大きいので、液滴の低温側端部が収縮することはない。なお、液滴の低温側端部に固形分が析出した後には、その析出した固形分によって液滴の端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される。したがって、所定位置に固形分を析出させることが可能になり、所定位置に高精細な乾燥膜を形成することができる。
なお、後退接触角を低下させることは、液滴の乾燥途中におけるバルジの発生を防止するためにも望ましい。液滴が表面張力の影響で球状に収縮しようとする際に、本来ならピニングによってこれを抑制できるが、本実施形態では液滴の高温側端部をディピニングさせるので、液滴の乾燥途中におけるバルジの抑制手段に乏しいからである。
また、液滴を吐出してから強制温度勾配を付与するまでの時間は短い方がよい。工程間の時間が長いと、液滴の乾燥が進行して、液滴の高温側端部がピニングするおそれがあるからである。
液滴の乾燥時、液相から気相に出て行く蒸気は、液滴を中心に3次元に拡散して、蒸気拡散層を形成する。基板上に複数の液滴が配置されるとき、一の液滴が他の液滴の蒸気拡散層内に配置されると、その蒸気拡散層の影響により一の液滴の表面における蒸気濃度が高くなって、一の液滴の乾燥速度が低下する。具体的には、液滴間距離が短く、蒸気拡散層の重なりが大きいほど、液滴の蒸発速度(乾燥速度)が低下して、乾燥時間が長くなる。
また、一の液滴に対してある方向のみに他の液滴が配置されている場合には、他の液滴の蒸気拡散層による影響をその方向から受けるので、一の液滴の乾燥速度はその方向についてのみ低下する。したがって、液滴の配列によって乾燥速度は変化する。さらに、他の液滴が配置されてから一の液滴が配置されるまでの時間が長いと、他の液滴の蒸気拡散層による影響が小さくなるので、液滴の乾燥速度が低下し難くなる。したがって、各液滴を配置する時間間隔が短いほど、液滴の乾燥速度は低下する。
なお、基板を搭載したステージが移動すると、液滴近傍の気相の蒸気濃度が低下するなどにより、液滴の乾燥が促進される。したがって、液滴が配置された基板を移動させない場合には、液滴の乾燥速度が低下する。
なお上述したように、乾燥膜75の構成材料である微粒子の表面には、微粒子相互の凝集を防止するための保護層が設けられている。そこで、形成された乾燥膜75を熱処理(アニール)して保護層を分解すれば、微粒子相互が凝集して電気配線が焼成される。なお、液滴70をライン状に吐出したので、乾燥膜75は中央には直線部分75aが形成される。そして、その直線部分75aのみを電気配線に利用する場合には、直線部分75aのみを熱処理して微粒子を凝集させ、他の部分は分散媒等に再分散させて除去すればよい。
また、本実施形態では電気配線を形成する場合を例にして説明したが、本実施形態の膜形成方法を用いてフォトマスクのパターンや、有機TFTのチャネル部などを形成することも可能である。
この点、フェムトリットルIJ装置等を用いてサブミクロンサイズの液適を形成すれば、サブミクロンサイズの乾燥膜を形成することは可能である。しかしながら、サブミクロンサイズの液適によりパターンを描画するには、かなりの長時間を要することになる。これに対して、本実施形態の膜形成方法では、ピコリットルサイズの液滴を吐出する一般的なIJ装置を用いて、通常の速度でパターンを描画することができる。具体的には、フェムトリットルIJ装置の10倍程度の速度でパターンを描画することが可能である。したがって、製造コストおよび製造時間を低減することができる。
上述した各液滴は、液滴吐出装置から液状体を吐出することによって形成する。そこで、液滴吐出装置につき図8を用いて説明する。図8は、液滴吐出装置の斜視図である。液滴吐出装置10は、ベース12、第1移動手段14、第2移動手段16、重量測定手段である電子天秤(不図示)、ヘッド20、キャッピングユニット22、およびクリーニングユニット24を主として構成されている。第1移動手段14および第2移動手段16を含む液滴吐出装置10の動作は、制御装置23により制御されるようになっている。なお図8において、X方向はベース12の左右方向であり、Y方向は前後方向であり、Z方向は上下方向である。
ここで、ヘッド20の構造例について、図9を参照して説明する。図9は、インクジェットヘッドの側面断面図である。ヘッド20は、液滴吐出方式により液状体2をノズル91から吐出するものである。液滴吐出方式として、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いて液状体を吐出させるピエゾ方式や、液状体を加熱して発生した泡(バブル)により液状体を吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。このうちピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。そこで、図9のヘッド20には、上述したピエゾ方式が採用されている。
次に、本実施形態の膜形成方法を使用して製造した電気光学装置の一例である有機EL装置につき、図10を用いて説明する。
次に、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した電子機器につき、図11を用いて説明する。図11は、携帯電話の斜視図である。図11において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は表示部を示している。この携帯電話1000は、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した表示部1001を備えている。したがって、小型で表示品質に優れた携帯電話1000を低コストで提供することができる。
分散媒であるテトラデカン(沸点254℃程度)に対して、分散質であるAgコロイドインク(粒径=数nm)を、0.05vol%の濃度で分散させて、吐出用の液状体を作製した。
一方、Si基板の表面を様々なSAMsで表面処理して、接触角の異なる複数種類の基板を作製した。第1基板は、FAS17(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン)で表面処理し、さらに紫外線を90秒照射して、上記液状体との静的接触角を39.7°とした。第2基板は、C18(オクタデシルトリメトキシシラン)で処理して、上記液状体との静的接触角を34°とした。第3基板は、FT007(C18を最密パッキングしたもの)で表面処理して、上記液状体との接触角を34°とした。なお第3基板は、第2基板より後退接触角が大きくなっている。
さらに、1cm程度の隙間を空けて配置したホットプレートおよび冷却板の間に渡しかけるように、液滴吐出直後の基板を載置した。その際、ライン状液滴の長手方向に対して垂直に温度勾配が付与されるように、基板の向きを調整して載置した。ホットプレートと冷却板の温度はそれぞれ50度と5度である。そのまま基板を放置して液滴を乾燥させ、形成された乾燥膜の状態を顕微鏡で調査した。
なお、上述したSAMs以外にも、FAS17(紫外線未照射)、FAS3(3,3,3トリフルオロプロピルエトキシシラン)、Bz(ベンジルトリエトキシシラン)、Cn(3−シアノプロピルエトキシシラン)、NH2(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、およびC8(オクチルトリクロロシラン)で表面処理した基板を作製して実験を行った。紫外線未照射のFAS17で処理した基板は、接触角が高く、液滴にバルジが発生してライン状の薄膜が得られなかった。その他のSAMsでは、いずれも接触角が低く、濡れ広がってしまった為に対流が効果的に起こせず、液滴の片側に乾燥膜を寄せ集めることはできなかった。
Claims (9)
- 複数の液滴を基板上に配置して、ライン状液滴を形成する工程と、
前記ライン状液滴の表面に温度勾配を付与して、該ライン状液滴の端部の一部に膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする膜形成方法。 - 前記ライン状液滴の幅方向の一方端部に、該ライン状液滴の幅方向の他方端部より高いまたは低い温度を付与して、該ライン状液滴の低温側の端部に膜パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
- 前記ライン状液滴の一方端部に第1の温度を付与する第1温度供給部と、該ライン状液滴の他方端部に第1の温度より低いまたは高い温度を付与する第2温度供給部と、の間に前記ライン状液滴が形成された基板を渡すことにより該ライン状液滴の表面に温度勾配を付与することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の膜形成方法。
- 前記ライン状液滴の幅方向の一方端部に光を照射することにより、該ライン状液滴の表面に温度勾配を付与することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の膜形成方法。
- 前記ライン状液滴が形成された基板と該ライン状液滴との静的接触角は、20°以上50°以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の膜形成方法。
- 前記ライン状液滴が形成された基板と前記液滴との後退接触角は、前記液滴に含まれる固形物が前記液滴の端部に析出する時点において前記液滴の端部と前記基板とのなす角度より、小さく設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の膜形成方法。
- 前記ライン状液滴を複数形成し、複数の該ライン状液滴の表面に温度勾配を付与して、複数の該ライン状液滴の低温側の端部に膜パターンを一括で形成することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の膜形成方法。
- 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の膜形成方法を使用してデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
- 請求項8に記載のデバイス製造方法を使用して製造したことを特徴とする電気光学装置。
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