JP2005151983A - 組換え微生物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タンパク質又はポリペプチドの生産性向上を可能とする宿主微生物を見出し、これにタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入して得られる組換え微生物、更に当該組換え微生物を用いるタンパク質又はポリペプチドの製造法を提供する。
【解決手段】 マルトースの膜透過に関与する1以上の遺伝子が削除又は不活性化された微生物変異株に、異種のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有用なタンパク質又はポリペプチドの生産に用いる組換え微生物、及びタンパク質又はポリペプチドの生産方法に関する。
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品、医薬や、洗剤、化粧品等の日用品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。
こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっており、遺伝子組換えのための宿主微生物の開発が進められている。例えば、枯草菌(Bacillus subtilis) Marburg No.168系統株の様に宿主微生物として安全かつ優良と認められた微生物菌株に更に
改良を加えた菌株が開発されている。
しかしながら、微生物は元来、自然界における環境変化に対応するための多種多様な遺伝子群を有しており、限定された生産培地が使用されるタンパク質等の工業的生産においては、必ずしも効率的であるとは言えない状況であった。
本発明は、タンパク質又はポリペプチドの生産性向上を可能とする宿主微生物を見出し、これにタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入して得られる組換え微生物、更に当該組換え微生物を用いるタンパク質又はポリペプチドの製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、微生物ゲノム上にコードされる各種遺伝子において、有用なタンパク質又はポリペプチドの生産にとって不要或いは有害な働きをする遺伝子群を鋭意探索したところ、驚くべきことに、培地の主炭素源として用いたマルトースの膜透過に関与する特定の遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子をゲノム上から削除又は不活性化した後、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入して目的のタンパク質又はポリペプチドを生産した場合に、その生産性が削除又は不活性化前と比較して向上することを見出した。
すなわち本発明は、マルトースの膜透過に関与する1以上の遺伝子、特にglvR又はglvCのいずれか、又は当該遺伝子に相当する遺伝子のいずれか1以上の遺伝子が削除又は不活性化された微生物変異株に、異種のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物、当該組換え微生物を用いたタンパク質又はポリペプチドの製造方法を提供するものである。
本発明の組換え微生物を用いれば、目的タンパク質又はポリペプチドを効率よく大量生産することができる。
本発明において、アミノ酸配列および塩基配列の同一性は、Lipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。より具体的には、遺伝情報処理ソフトウェ
アGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本発明の微生物を構築するための親微生物としては、マルトースの膜透過に関与する遺伝子、具体的には表1に示す枯草菌の遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子を有するものであればよいが、マルトースやマルトオリゴ糖を主炭素源とする培地を用いて培養を行う場合には、当該遺伝子が関与しない別のマルトース透過系を持つ微生物が望ましい。これらは、野生型のものでも変異を施したものでものよい。具体的には、枯草菌などのバチルス(Bacillus)属細菌や、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、或いは酵母等が挙げ
られ、中でもバチルス属細菌が好ましい。更に、全ゲノム情報が明らかにされ、遺伝子工学、ゲノム工学技術が確立されている点、またタンパク質と菌体外に分泌生産させる能力を有する点から特に枯草菌が好ましい。
本発明の微生物を用いて生産する目的タンパク質又はポリペプチドとしては、例えば食品用、医薬品用、化粧品用、洗浄剤用、繊維処理用、医療検査薬用等として有用な酵素や生理活性因子等のタンパク質やポリペプチドが挙げられる。
本発明において削除、又は不活性の対象となる遺伝子群は、マルトースの膜透過に関与する遺伝子であり、表1に示される枯草菌の遺伝子のいずれか又は当該遺伝子に相当する遺伝子の中から選択されるものである。
尚、表中の各遺伝子の名称、番号、及び機能等は、Nature, 390, 249-256, (1997) で
報告され、JAFAN: Japan Functional Analysis Network for Bacillussubtilis(BSORF DB)でインターネット公開(http://bacillus.genome.ad.jp/、2003年6月17日更新)された枯草菌ゲノムデーターに基づいて記載している。

また、表1に示される枯草菌の各遺伝子と同じ機能を有する、又は、表1の各遺伝子と塩基配列において70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する、他の微生物由来、好ましくはバチルス属細菌の由来の遺伝子は、表1に記載の遺伝子に相当する遺伝子と考えられ、本発明において削除、不活性化すべき遺伝子に含まれる。
斯かる遺伝子は、培地中のマルトースを細胞内に取り込む際の膜透過に関与する、いわゆるフォスフォエノールピルビン酸依存糖フォスフォトランスフェラーゼシステム(PTS、J. Mol. Microbiol. Biotechnol., 4, 37, (2002))に関する遺伝子である。より詳
しくは、PTSのマルトース特異的透過酵素IICBをコードするglvC遺伝子、及びglvC遺伝子を含むglvオペロンの正の制御因子をコードするglvR遺伝子、又はこれらに該当する遺
伝子である。こららの遺伝子のいずれかを削除又は不活性化することによって、細胞のマルトース膜透過能が低下することが予想されるが、驚くべきことに、マルトースを主炭素源とする培地を用いた酵素生産培養に於いて、当該遺伝子を削除又は不活性化させた宿主微生物を用いることにより、通常の宿主を用いる場合と比べて大幅なタンパク質生産性の向上を達成できることが、本発明者らによって初めて見出された。
また、PTSによるマルトースの細胞内への取り込みには、ptsH(BG10200)、ptsI
伝子(BG10201)の関与も知られているが、これら2遺伝子を含むptsオペロンの発現に必須な制御遺伝子であるglcT遺伝子(BG12593)を削除又は不活性化することによってもタ
ンパク質生産性を向上させることが可能であることから、ptsH又はptsIのいずれかの削除又は不活性化も生産性向上に効果があると考えられる。
本発明では上記の遺伝子内に他のDNA断片を挿入する、或いは当該遺伝子の転写・翻訳開始領域に変異を与える等の方法によって目的遺伝子を不活性化することによっても達成できるが、好適には、標的遺伝子を物理的に削除する方がより望ましい。また、削除又は不活性化する遺伝子は1以上であればよく、2以上の削除を組み合わせても良い。更に本発明の微生物の構築には、マルトースの膜透過関与以外の遺伝子群の削除又は不活性化を組み合わせることも可能であり、生産性向上に対してより大きな効果が期待される。
遺伝子群の削除又は不活性化の手順としては、表1に示した標的遺伝子を計画的に削除又は不活性化する方法のほか、ランダムな遺伝子の削除又は不活性化変異を与えた後、適当な方法によりタンパク質生産性の評価及び遺伝子解析を行うことによっても、目的遺伝子群の削除又は不活性化することができる。
標的遺伝子を削除又は不活性化は、例えば相同組換えによる方法を用いればよい。すなわち、標的遺伝子の一部を含むDNA断片を適当なプラスミドにクローニングして得られる環状の組換えプラスミドを親微生物細胞内に取り込ませ、標的遺伝子の一部領域に於ける相同組換えによって親微生物ゲノム上の標的遺伝子を分断して不活性化することが可能である。或いは、塩基置換や塩基挿入等によって不活性化変異を導入した標的遺伝子、又は標的遺伝子の外側領域を含むが標的遺伝子を含まない直鎖状のDNA断片等をPCR等の方法によって構築し、これを親微生物細胞内に取り込ませて親微生物ゲノムの標的遺伝子変異部位の外側2ヶ所領域、又は標的遺伝子外側2ヶ所の領域で2回交差の相同組換えを起こさせることにより、ゲノム上の標的遺伝子を削除或いは不活性化した遺伝子断片と置換することによっても可能である。
特に、本発明微生物を構築するための親微生物として枯草菌を用いる場合、相同組換えにより標的遺伝子を削除又は不活性化する方法については、既にいくつかの報告例があり(Mol. Gen. Genet., 223, 268 (1990)等)、こうした方法を繰り返すことによって、本
発明の宿主微生物を得ることができる。
また、ランダムな遺伝子の削除又は不活性化についてもランダムにクローニングしたDNA断片を用いて上述の方法と同様な相同組換えを起こさせる方法や、親微生物にγ線等を照射すること等によっても実施可能である。
以下、より具体的にSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene, 77,
61, (1989))によって調製される削除用DNA断片を用いた二重交差法による削除方法
について説明するが、本発明に於ける遺伝子削除方法は下記に限定されるものではない。
本方法で用いる削除用DNA断片は、削除対象遺伝子の上流に隣接する約0.2〜3kb断片と、同じく下流に隣接する約0.2〜3kb断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子断片を挿入した断片である。まず、1回目のPCRによって、削除対象遺伝子の上流断片
及び下流断片、並びに薬剤耐性マーカー遺伝子断片の3断片を調製するが、この際、例えば、上流断片の下流末端に薬剤耐性マーカー遺伝子の上流側10〜30塩基対配列、逆に下流断片の上流末端には薬剤耐性マーカー遺伝子の下流側10〜30塩基対配列が付加される様にデザインしたプライマーを用いる(図1)。
次いで、1回目に調製した3種類のPCR断片を鋳型とし、上流断片の上流側プライマーと下流断片の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行うことによって、上流断片の下流末端及び下流断片の上流末端に付加した薬剤耐性マーカー遺伝子配列に於いて、薬剤耐性マーカー遺伝子断片とのアニーリングが生じ、PCR増幅の結果、上流側断片と下流側断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子が挿入したDNA断片を得ることができる(図1)。
薬剤耐性マーカー遺伝子として、クロラムフェニコール耐性遺伝子を用いる場合、例えば表2に示したプライマーセットと適当な鋳型DNAを用い、Pyrobest DNAポリメー
ラーゼ(宝酒造)などの一般のPCR用酵素キット等を用いて、成書(PCR Protocols. Current Methods and Applications, Edited by B.A.White, Humana Press, pp251 (1993)、Gene, 77, 61, (1989)等)に示される通常の条件によりSOE−PCRを行うことによって、各遺伝子の削除用DNA断片が得られる。
かくして得られた削除用DNA断片を、コンピテント法等によって細胞内に導入すると、同一性のある削除対象遺伝子の上流及び下流の相同領域おいて、細胞内での遺伝子組換えが生じ、目標遺伝子が薬剤耐性遺伝子と置換した細胞を薬剤耐性マーカーによる選択によって分離することができる(図1)。即ち、表2に示したプライマーセットを用いて調製した削除用DNA断片を導入した場合、クロラムフェニコールを含む寒天培地上に生育するコロニーを分離し、目的の遺伝子が削除されてクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換していることを、ゲノムを鋳型としたPCR法などによって確認すれば良い。
次に、表1に示される枯草菌の遺伝子のいずれか、又は当該遺伝子に相当する遺伝子から選ばれた1以上の遺伝子が削除又は不活性化された宿主微生物変異株に、目的とするタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入することによって、本発明の組換え微生物を得ることができる。
目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子は特に限定されず、洗剤、食品、繊維、飼料、化学品、医療、診断など各種産業用酵素や、生理活性ペプチドなどが含まれる。また、産業用酵素の機能別には、酸化還元酵素 (Oxidoreductase) 、転移酵素 (Transferase) 、
加水分解酵素 (Hydrolase) 、脱離酵素 (Lyase)、異性化酵素 (Isomerase) 、合成酵素 (Ligase/Synthetase) 等が含まれるが、好適にはセルラーゼ、α-アミラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素の遺伝子が挙げられる。具体的には、多糖加水分解酵素の分類(Biochem. J., 280, 309 (1991))中でファミリー5に属するセルラーゼが挙げられ、中でも微生物由来、特にバチルス属細菌由来のセルラーゼが挙げられる。より具体的な例として、配列番号2又は4で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌由来のアルカリセルラーゼや、当該アミノ酸配列の1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するアルカリセルラーゼが挙げられ、さらには、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるセルラーゼが挙げられる。
また、α−アミラーゼの具体例としては、微生物由来のα−アミラーゼが挙げられ、特にバチルス属細菌由来の液化型アミラーゼが好ましい。より具体的な例として、配列番号22で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌由来のアルカリアミラーゼや、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアミラーゼが挙げられる。尚、アミノ酸配列の同一性はLipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。また、プロテアーゼの具体例としては、微生物由来、特にバチルス属細菌由来のセリンプロテアーゼや金属プロテアーゼ等が挙げられる。
また、目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子は、その上流に当該遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる制御領域、即ち、プロモーター及び転写開始点を含む転写開始制御領域、リボソーム結合部位及び開始コドンを含む翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域から選ばれる1以上の領域が適正な形で結合されていることが望ましい。特に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が結合されていることが好ましく、更に分泌シグナルペプチド領域がバチルス属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始領域及び翻訳開始領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域であるものが、目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子と適正な形で結合されていることが望ましい。例えば、特開2000-210081号公報や特開平4-190793号公報等に記載されているバチルス属細菌、すなわちKSM−S237株(FERM BP-7875)、KSM−64株(FERM BP-2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が目的タンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。より具体的には配列番号1で示される塩基配列の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列、また当該塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、あるいは上記いずれかの塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片が、目的タンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。尚、ここで、上記塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片とは、上記塩基配列の一部を欠失しているが、遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる機能を保持しているDNA断片を意味する。
上記の目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子を含むDNA断片と適当なプラスミドベクターを結合させた組換えプラスミドを、一般的な形質転換法によって宿主微生物細胞に取り込ませることによって、本発明の組換え微生物を得ることができる。また、当該DNA断片に宿主微生物ゲノムとの適当な相同領域を結合したDNA断片を用い、宿主微生物ゲノムに直接組み込むことによっても本発明の組換え微生物を得ることができる。
本発明の組換え微生物を用いた目的タンパク質又はポリペプチドの生産は、当該菌株を同化性の炭素源、窒素源、その他の必須成分を含む培地に接種し、通常の微生物培養法にて培養し、培養終了後、タンパク質又はポリペプチドを採取・精製することにより行えばよい。培地の成分・組成などは特に限定されないが、好ましくは、炭素源としてマルトース又はマルトオリゴ糖を含む培地を用いれば、より良い結果が得られる。
以上より、表1に示される枯草菌の遺伝子のいずれか、又は当該遺伝子に相当する遺伝子から選ばれた1以上の遺伝子が削除又は不活性化された宿主微生物変異株、及び当該変異株を用いて組換え微生物を構築することができ、これを用いれば有用なタンパク質又はポリペプチドを効率的に生産することができる。
以下に、枯草菌のglvC遺伝子(BG11848)あるいは、glvR遺伝子(BG11847)を削除した組換え枯草菌株構築の実施例と当該組換え微生物を用いたセルラーゼ又はα−アミラーゼの生産方法について具体的に説明する。
実施例1
枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したglvC-AFとglvC-A/CmR、及びglvC-B/CmFとglvC-BRの各プライマーセットを用いて、ゲノム上のglvC遺伝子の上流に隣接する0.5kb断片(A)、及び下流に隣接する0.5kb断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpC194(J. Bacteriol. 150 (2), 815 (1982))を鋳型とし、表2に示したglvC-A/CmFとglvC-B/CmRプライマーセットを用いて、クロラムフェニコール耐性遺伝子を含む0.9kb断片(C)を調製した。次に、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、表2のプライマーglvC-AFとglvC-BRを用いたSOE−PCRを行うことによって、3断片を(A)(C)(B)の順になる様に結合させ、1.9kbのDNA断片を得た(図1参照)。このDNA断片を用いてコンピテント法により枯草菌168株の形質転換を行い、クロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に生育した
コロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってglvC遺伝子が削除され、クロラムフェニコール耐性遺伝子に置換していることを確認した。
実施例2
実施例1と同様、表2に示したglvR-AFとglvR-A/CmR、及びglvR-B/CmFとglvR-BRの各プライマーセットを用いて、ゲノム上のglvR遺伝子の上流に隣接する0.6kb断片(A)、及び下流に隣接する0.6kb断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpC194(J. Bacteriol. 150 (2), 815 (1982))のクロラムフェニコール耐性遺伝子をプラスミドpUC18のXbaI−BamHI切断点に挿入した組換えプラスミドpCBB31を鋳型とし、表2に示したプライマーセットglvR-A/CmF及びglvR-B/CmRを用いてクロラムフェニコール耐性遺伝子を含む0.9kb断片(C)を調製した。次に、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、表2のプライマーglvR-AFとglvR-BRを用いたSOE−PCRを行うことによって、3断片を(A)(C)(B)の順になる様に結合させ、2.2kbのDNA断片を得た(図1参照)。このDNA断片を用いてコンピテント法により枯草菌168株の形質転換を行い、クロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってglvR遺伝子が削除され、クロラムフェニコール耐性遺伝子に置換していることを確認した。また、同様にglcT-AFとglcT-A/CmR、及びgclT-B/CmFとglcT-BRの各プライマーセットを用いて、glcT遺伝子が削除されてクロラムフェニコールに置換した形質転換体を分離した。
実施例3
実施例1、2にて得られた各遺伝子削除株、及び対照として枯草菌168株に、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−S237株由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報、配列番号1)断片(3.1kb)がシャトルベクターpHY30
0PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入された組換えプラスミドpHY−S237を、プロトプラスト形質転換法によって導入した。これによって得られた菌株を5mLのLB培地で一夜30℃で振盪培養を行い、更にこの培養液0.03mLを30mLの2×L−マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%NaCl、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物、15ppmテトラサイクリン)に接種し、30℃で3日間、振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリセルラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリセルラーゼの量を求めた。この結果、表3に示した様に、胞子形成遺伝子削除株を用いた場合はいずれも、対照の168株(野生型)の場合と比較してアルカリセルラーゼの高い分泌生産が認められた。
実施例4
実施例1−3にて得られた各遺伝子削除株、及び対照として枯草菌168株に、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−K38株由来のアルカリアミラーゼ遺伝子(特開2000−184882号公報、Eur. J. Biochem., 268, 2974 (2001))の成熟酵素領域(Asp1−Gln480)をコードするDNA断片(1.5kb)の上流に配列番号3に示されるアルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域とシグナル配列領域の一部を含む上流側0.6kb断片を結合して成る2.1kb断片(配列番号21)をシャトルベクターpHY300PLKのBglII−XbaI制限酵素切断部位に挿入された組換えプラスミドpHSP−K38を、プロトプラスト形質転換法によって導入した。これによって得られた菌株を5mLのLB培地で一夜30℃で振盪培養を行い、更にこの培養液0.6mLを30mLの2×L−マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%NaCl、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物、15ppmテトラサイクリン)に接種し、30℃で3〜6日間、振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリアミラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリアミラーゼの量を求めた。この結果、表4に示した様に、各遺伝子削除株を宿主として用いた場合、対照の168株(野生型)の場合と比較して高いアルカリアミラーゼの分泌生産が認められた。
SOE−PCRによる遺伝子削除用DNA断片の調製、及び当該DNA断片を用いて標的遺伝子を削除(薬剤耐性遺伝子と置換)する方法を模式的に示したものである。

Claims (9)

  1. マルトースの膜透過に関与する遺伝子の1以上が削除又は不活性化された微生物に、異種のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物。
  2. マルトースの膜透過に関与する遺伝子が枯草菌のglvRglvC、又は当該遺伝子に相当する遺伝子である請求項1記載の組換え微生物。
  3. 微生物が枯草菌又はその他のバチルス属細菌である請求項1又は2記載の組換え微生物。
  4. 異種のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域から選ばれる1以上の領域を結合した請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え微生物。
  5. 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域を結合したものである請求項4記載の組換え微生物。
  6. 分泌シグナル領域がバチルス属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである請求項4又は5記載の組換え微生物。
  7. 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号1で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと70%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片である請求項6記載の組換え微生物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の組換え微生物を用いるタンパク質又はポリペプチドの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の組換え微生物をマルトースを含む培地中で培養することを特徴とするタンパク質又はポリペプチドの製造方法。
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