JP2005150507A - 巻鉄心及び変圧器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 巻回された帯状の電磁鋼板を切断して単位鉄心2aを構成し、切断端4を突合せて接合部5を形成する際に、その切断端4を巻回方向に対して50°〜75°の角度をもって傾斜させるようにする。そして、前記接合部5近傍で単位鉄心2が互いにラップ部6を有するように積層する。
【選択図】 図1
Description
例えば、巻鉄心を構成する単位鉄心の全部を角度をもって切断してそのまま突合せて接合部とすると、当該接合部は、結局はバットラップ接合となり磁束が渡りにくく変圧器としての特性は良くはならないが、上記のような請求項2の構成によれば、単位鉄心を構成する切断された各電磁鋼板を1枚毎に反転させてから突合せて接合部とするため、隣接する単位鉄心、つまり電磁鋼板の接合部は確実にラップ部を有するようになるので、当該接合部に達した磁束が上下どちらかの電磁鋼板に渡り易くなる。
上記構成の場合、例えば小型変圧器等において、構造上の都合や寸法の要求等から継鉄部が長く取れない場合等であっても、隣接する電磁鋼板同士間、つまり単位鉄心間のラップ部を確実に確保することができる。
この構成によれば、接合部に空隙が存在していても電磁鋼板、つまり単位鉄心が幅方向へずれることにより当該空隙が閉じられるので、前記電磁鋼板の切断端同士が接触できるようになる。
以下、本発明の第1の実施例を図1ないし図4を参照して説明する。
図1には単相の変圧器1の概略的な外観図が示されている。巻鉄心2は、薄板化され且つ高い方向性を有する電磁鋼板、例えば磁区制御電磁鋼板を巻回し、この巻回物を1巻回(ワンターン)毎に切断して単位鉄心とする複数の単位鉄心2aから構成されている。そして、この巻鉄心2には、各単位鉄心2aの切断端4を拡開させた状態にして巻線3が嵌め込まれている。その後、各単位鉄心2aの切断端4同士を突合せて接合部5として閉じ、以って変圧器1が構成される。従って、巻鉄心2においては、上部継鉄部に接合部5が形成されることになる。
本発明の第2の実施例を、図5を用いて説明する。なお、第1の実施例と同様の部分には同符号を付し、その詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
第2の実施例では、各単位鉄心2aに形成された接合部10は当該単位鉄心2aの積層方向において交差するように構成されている。これらの接合部10はθ=60°の角度をもって切断されていると共に、各単位鉄心2aを1枚毎に反転させながら積層することにより隣接する接合部10における切断端4の切断角度を互いに180°ずらし、前記各接合部10を前記単位鉄心2aの積層方向に交差させるものである。このとき、各接合部10の交差中心にはひし形状の孔部10aが形成される。なお、接合部10における切断端4の切断角度は、図4に示すように、50°〜75°の範囲にあればよい。
単位鉄心2aにおける接合部10は磁気抵抗が高いため、前述の通り磁束はこの接合部10を避けて、磁気抵抗の低いところから上下どちらかの単位鉄心2に渡ろうとするが、この際、隣接する単位鉄心2aにおけるラップ部が小さい、或いはないと、磁束の流れはこの接合部10近傍における磁気抵抗の低いところにて集中し、乱れることにより高い磁気損失となり、変圧器(例えば、図1に示す変圧器1)の特性を悪化させる。
本発明の第3の実施例を示す図6では、前記第2の実施例の接合部10において交差中心に形成された前記ひし形状の孔部10aには、締付け具として、例えばボルト20を挿入され、単位鉄心2aを積層方向にナット21で締付けるように構成されている。この場合、最上部及び最下部の夫々の単位鉄心2aには抑え板22が配設されている。
なお、上記第3の実施例においては、締付け具としてボルト20及びナット21を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばビレット等を用いてもよい。
本発明の第4の実施例を示す図7では、前記第3の実施例におけるボルト20の一端部に一体に設けられた吊り棒20aが変圧器構成物(図示せず)の一部に固定され、継鉄部30にて全体が宙吊り状態として構成されている。この場合、巻鉄心2と巻線3との間にある上下の空間に対して樹脂製のクランプ31を圧入し、巻鉄心2が変形しないように構成されるものであり、当該クランプ31同士は連結棒32で連結されている。
本発明の第5の実施例を、図8を用いて説明する。なお、第1ないし第4の実施例と同様の部分には同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第5の実施例では、各単位鉄心2aにより形成された接合部40は当該単位鉄心2aの巻回方向に夫々異なる角度をもって傾斜するよう、換言すれば各接合部40が幅方向の一端部に位置する基準点41を中心として放射状となるよう形成されている。つまり、夫々の接合部40(の切断端4)は巻回方向に対してθ=30°〜90°の範囲で、切断角度が順次10°毎増すように切断されており、このような構成の場合、隣接する単位鉄心2aの接合部40では、三角状で面積が夫々異なったラップ部42が形成され、これらの各ラップ部42は前記基準点41近傍から離れるに従って徐々に大きくなるものである。また、基準点41は積層方向に空隙となっている。
なお、上記第5も実施例においては、単位鉄心2aを7枚の構成としているが、この単位鉄心2aの枚数は特に限定するものではない。
上記第5の実施例における巻鉄心2を1ブロック43とし、このブロック43を2つ積層した構成をなす本発明の第6の実施例では、まず図9に示すように、各ブロック43、43毎の基準点41、41を幅方向に対向する両端部のずれた位置とし、これに基づいてこれら2つの基準点41、41を中心として放射状となるよう形成された各接合部40、40が、各ブロック43、43毎に180°ずれて互いが交差する位置となるように構成されている。
例えば、小型変圧器等において、より広いラップ部が必要な場合は、前記ブロック43を複数段、例えば2段積層して構成し、前記ラップ部を広く取る工夫がなされている。しかし、このブロック43は、上記の通り、幅方向の一端部には基準点41が存在し、この基準点41は積層方向に空隙である。よって、前記ブロック43を積層して巻鉄心2とするとき、基準点41近傍での単位鉄心2aにおける各ラップ部42は小さいので、仮に前記基準点41が幅方向の一端部に揃って集中してしまうと、この部分では小さなラップ部42が集中してしまう。このような場合、特に設計磁束密度が高い小型変圧器においては、漏れ磁束がこの基準点41の揃った、換言すれば小さいラップ部42が集中した位置にて増加してしまうことに起因して、例えば前記図7に示したようなクランプ31等に渦電流を発生させると共に、この部分で局部的な温度上昇や熱曲がり等の事態を起してしまう。
なお、上記第5及び第6の実施例においては、夫々の接合部40における切断端4の切断角度は30°〜90°の範囲で、切断角度間隔は10°毎で、夫々異なる角度となるよう構成にしたが、これに限定されるものではなく、切断角度、切断角度範囲、及び切断角度の間隔は単位鉄心2aの積層枚数等によって適宜変更可能であると共に、基準点41は各接合部40毎にずれるような構成としてもよい。
本発明の第7の実施例を、図11及び図12を用いて説明する。なお、上記第1ないし第6の実施例と同様の部分には同符号を付し、その詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
第7の実施例では、単位鉄心2aの切断端4は、最初、図11(a)にて一点鎖線で示す左切断端50、及び二点鎖線で示す右切断端51のように互いが幅方向に面一の状態である。つまり、第1の実施例における図2(a)の状態である。そして、この状態で、左切断痰0及び右切断端51が、押圧部材として、弾性体の例えば板ばねによって幅方向のずれた位置にて互いに反対方向から押圧されることにより、図11(a)の実線で示すように、互いの切断端50、51が幅方向にずれて、これら両切断端50、51が接触した状態の構成となる。これは、押圧により、左切断端50が図11(a)の下方にずれ、右切断端51が同図の上方にずれるためである。
なお、上記第7の実施例においては、押圧部材として板ばねを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば波型ばねやコイルスプリング、或いはゴム等の樹脂を用いてもよい。
本発明の第8の実施例では、単位鉄心2aの切断端は、最初、図13(a)にて一点鎖線で示す左切断端60及び二点鎖線で示す右切断端61のように互いが幅方向に面一であると共に、左切断端60が、右切断端61に対して10%傾斜して切断された状態である。そして、この状態で、左切断端60及び右切断端61が、両幅方向のずれた位置から押圧されることにより、図13(a)の実線で示すように、互いの切断端60、61が幅方向にずれて、両切断端60、61が接触した状態の構成となる。
なお、上記第8の実施例においては、左切断端60を右切断端61に対して10%傾斜させて切断した構成であるが、これに限定されるものではなく、右切断端61に対して左切断端60を傾斜させて切断したり、或いは両切断端60、61を相対的に10%傾斜させて切断するようにしてもよい。
本発明の第9の実施例を、図14を用いて説明する。なお、上記第7の実施例と同様の部分には同符号を付し、その詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
第9の実施例では、図13に示すように、前述の第7の実施例に記載したような幅方向にずれて空間となった切断端50、51に、磁性体を含有した樹脂70が塗布されている。ここで、磁性体としては、例えば鉄粉が使用され、樹脂としては、例えばエポキシ樹脂が使用されるものであり、この樹脂70は空間となった、つまり空隙が生じた切断端50、51が単位鉄心2aの側面と面一となるように塗布されるものである。
しかし、上記第9の実施例によれば、空隙が生じた切断端50、51には磁性体を含有した樹脂70が塗布されており、この切断端50、51に達した磁束はこの樹脂70を流れながら単位鉄心2aに緩やかに戻ることができるので、磁束の集中による磁束密度の急激な上昇や乱れ等が起こらず、変圧器(1)の特性が向上する。更に、時間の経過につれ樹脂70が硬化し単位鉄心2a同士、そして切断端50、51同士を互いに固着するので、鉄心バインディングが不要となりコスト性が良好となる共に、前記樹脂70が単位鉄心2aの振動や磁気騒音等を吸収するので、より高い品質の変圧器(1)を得ることができる。更に、中空状態の切断端50、51は鋭利であるが、樹脂70を塗布し単位鉄心2aの側面と面一とすることにより、前記切断端50、51が他の部材に引っかかったり、傷つけたりすることを防止できる。
なお、この第9の実施例の構成を第8の実施例に適用してもよい。
本発明の第10の実施例では、図15のように、前述の第1の実施例に記載したような接合部5の空隙に、上記第9の実施例と同様の樹脂70が密に充填されている。
前述の通り、空隙を有する接合部5は磁気抵抗が非常に高いために、磁束はこれを避けようと上下どちらかの単位鉄心2aに渡り、流れようとするわけだが、この場合、前述してきた通り、接合部5近傍で磁束の集中による磁束密度の上昇や乱れ等が起こり、変圧器(1)の特性が悪化する。
なお、上記第9及び第10の実施例における樹脂70は、様々な形状の切断端、接合部に対して塗布、或いは充填が可能であると共に、要旨を逸脱しない範囲で、塗布、充填箇所は適宜変更可能である。
本発明の第11の実施例を、図16を用いて説明する。なお、上記第5の実施例と同様の部分には同符号を付し、その詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
第11の実施例では、第5の実施例の接合部40における切断端4の切断角度を積層方向に夫々ことなるように構成の各単位鉄心2aに、位置決め部としての凹部80及び凸部81が1箇所に、かしめにより形成されている。凹部80及び凸部81は略円錐台形をなすものであり、単位鉄心2aの幅方向における一端部近傍に形成されている。各単位鉄心2aの凸部81は、隣接する単位鉄心2aの凹部80と互いに係合し、これに基づいて各単位鉄心2aは互いの相対的な位置がずれないようになっている。
しかし、上記第11の実施例によれば、単位鉄心2aは夫々に形成された凹部80及び凸部81によって互いが係合し合うことができるので、各単位鉄心2aがずれたり、ばらけたりすることがなく、巻鉄心2の形成時において作業性が向上する。
また、この第11の実施例の構成を、第1ないし第4、及び第6ないし第10の実施例に適用してもよい。
また、上記第1ないし第11の実施例においては、特に磁束密度1.5Tにおける磁束整列倍数が150以上を有する磁区制御電磁鋼板を用いるとよい。
また、同じく上記第1ないし第11の実施例においては、単相の変圧器を適用したが、これに限定されるものではなく、例えばエンボス型鉄心や5脚型鉄心に用いる三相の変圧器に適用してもよい。
Claims (13)
- 巻回された帯状の電磁鋼板を1巻回若しくは複数巻回毎に切断して単位鉄心とする複数の単位鉄心で構成され、各単位鉄心の切断端を突合せて接合部とすると共に、各接合部を巻回方向にずらすようにした巻鉄心において、
前記単位鉄心の切断端は、巻回方向に50°〜75°の角度をもって傾斜するように構成されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項1に記載の巻鉄心において、
隣接する単位鉄心の接合部は交差するように構成されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項2に記載の巻鉄心において、
接合部の交差部に形成される孔部に締付け具を挿入して複数の単位鉄心を積層方向に締付けるようにしたことを特徴とする巻鉄心。 - 請求項3に記載の巻鉄心において、
締付け具の一端を変圧器構成物の一部に固定することに基づいて全体を宙吊り状態としたことを特徴とする巻鉄心。 - 巻回された帯状の電磁鋼板を1巻回若しくは複数巻回毎に切断して単位鉄心とする複数の単位鉄心で構成され、各単位鉄心の切断端を突合せて接合部とするようにした巻鉄心において、
単位鉄心の切断端は、巻回方向に夫々異なる角度をもって傾斜するように構成されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項5に記載の巻鉄心を1ブロックとする複数のブロックが積層されて構成され、隣接するブロックの接合部は交差するように構成されていることを特徴とする巻鉄心。
- 請求項1に記載の巻鉄心において、
各単位鉄心は接合部の近傍で押圧部材により幅方向の両側から押圧され当該幅方向へずれることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項7に記載の巻鉄心において、
各単位鉄心の一方の切断端の切断角度に対して他方のそれが相対的に10%ずれていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項7又は8に記載の巻鉄心において、
押圧部材は弾性体により構成されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項7又は8に記載の巻鉄心において、
前記電磁鋼板がずれた箇所の側面には磁性体を含有する樹脂が塗布されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の巻鉄心において、
接合部には磁性体を含有する樹脂が充填されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項1ないし11のいずれかに記載の巻鉄心において、
各単位鉄心には互いに係合する位置決め部が形成されていることを特徴とする巻鉄心。 - 請求項1ないし12のいずれかに記載の巻鉄心が具備されていることを特徴とする変圧器。
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