JP2005148590A - 熱現像感光材料及びその画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料及びその画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良された熱現像感光材料を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有し、有機硬調化剤を含まない熱現像感光材料において、該感光性ハロゲン化銀を含有する層と支持体の間に粘度が10-4〜5×10-2Pa・sの塗布液を塗設してなる層を有し、かつ、該感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が40mol%〜100mol%であることを特徴とする熱現像感光材料。又は、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種を含有するアクリル系疎水性樹脂層を有することを特徴とする熱現像感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱現像感光材料及びその画像形成方法に関する。
従来から広範囲に用いられているハロゲン化銀感光材料は、その優れた写真特性により、より広範囲且つ高品質な素材として画像形成分野に利用されているが、画像を形成するために現像、定着、水洗、乾燥というプロセスが必要であり、しかも処理工程が湿式であるため、作業が煩雑であるという欠点があった。その為、現像工程を熱処理で行う熱現像感光材料が開発、実用化され、近年、印刷業界或いは医用業界を中心に急速に普及してきている。
かかる技術として、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を有する熱現像感光材料が知られている。この熱現像感光材料は溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便なシステムをユーザーに提供することができる。
特に印刷製版分野において、画像形成感光材料の湿式処理に伴う廃液が作業上の問題になっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。
熱現像感光材料(感光材料ともいう)は極端に湿度の影響を受けやすく、湿度により写真性能が著しく変化する。特に冬場の低湿期には、保存されている間に感光材料中の水分量が少なくなり現像反応が進みにくく、濃度が出なくなるという問題があった。
従来の技術としては塩化ビニリデンの下引きを行い、湿度の影響を少なくする技術は知られているが環境上問題がある。また保護層を厚くしたり、乾燥温度を変えたりする技術も知られているが不十分である。
また、特に写真製版用、特にスキャナー、イメージセッター用熱現像感光材料において、文字線幅の現像湿度依存性が小さく、画像保存性の良好な超硬調熱現像感光材料を提供する技術(例えば、特許文献1参照。)、高活性な還元剤を使いつつ環境温湿度依存性を改良した熱現像感光材料を提供する技術(例えば、特許文献2参照。)、高感度で、未現像時の保存性に優れ、文字線幅の現像時の温度及び湿度依存性の小さい写真製版用途に最適な写真特性を示す熱現像感光材料を提供する技術(例えば、特許文献3参照。)、更には高感度で、低カブリ、高Dmax(最高濃度)で、保存時のカブリの上昇が少なく、現像時の温湿度依存性が小さい熱現像感光材料を提供する技術(例えば、特許文献4参照。)が公開されている。しかしながら、いずれの技術も湿度に対する依存性を改善するには到っていない。
特開2002−55409号公報 (実施例1) 特開2002−90935号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−229153号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−258436号公報 (実施例1)
本発明の目的は、湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、また保存時の湿度による写真性能の変動のない熱現像感光材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
支持体上に、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有し、有機硬調化剤を含まない熱現像感光材料において、該感光性ハロゲン化銀を含有する層と支持体の間に粘度が10-4〜5×10-2Pa・sの塗布液を塗設してなる層を有し、かつ、該感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が40mol%〜100mol%であることを特徴とする熱現像感光材料。
(請求項2)
マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種を含有するアクリル系疎水性樹脂層を有することを特徴とする熱現像感光材料。
(請求項3)
請求項1又は2に記載の熱現像感光材料を、波長が300〜500nmのレーザー光源で露光した後100℃〜150℃の温度で熱現像することによって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明により、湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、また保存時の湿度による写真性能の変動のない熱現像感光材料を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。本発明者は、熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する層と支持体の間に、新たに粘度が10-4〜5×10-2Pa・sの塗布液を塗設してなる層を設けることによって、文字線巾の現像時の湿度依存性及び塗布ムラが改良されることを見出した。特に、有機硬調化剤を含まず、感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が40mol%〜100mol%である熱現像感光材料においてその効果は顕著である。なお、10-4Pa・sより低粘度では横段ムラが発生し、5×10-2Pa・sより高粘度では塗布ができない。
本発明に係るマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスを含有するアクリル系疎水性樹脂層には、ワックスを乳化したワックスエマルジョンを含有するアクリル系疎水性樹脂を用いる。そのワックスとしては、例えばパラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ペトロラクタム、フィッシャー・トリブッシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、ステアリン酸アミド等が挙げらる。また、これらワックスエマルジョンを調製する方法は公知の方法でよく、例えばワックス、アクリル系疎水性樹脂、及び流動化剤等を混合加熱する等して溶融し、これに乳化剤を加えて乳化すればよい。アクリル系疎水性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステルモノマーの炭素数が7以上で、かつ、アクリル酸エステルモノマーを得るときのアルコールのアルキル基の炭素数が3以上のアクリル酸エステルのポリマー、または、前記アクリル酸エステルとスチレンとの共重合物等が用いられ、流動化剤としては、例えば多価アルコール、多価アルコールのエステル化物等が用いられる。これらの混合物は溶融後、例えば、アニオン、カチオン、ノニオン等の界面活性剤、あるいは、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、有機アミン、スチレン−マレイン酸共重合体等を添加し乳化することによりワックスエマルジョンとすることができる。
ワックスエマルジョンは単独使用してもまたは2種類以上を組合せて使用してもよい。
ワックスエマルジョンの示差走査熱量計(DSC)による融点は好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。ここで融点が40℃未満ではブロッキング性が劣化し好ましくない。また100℃より高い温度では感光層を有する側の最外層を設ける際の塗膜乾燥に際し、ワックスが十分に軟化、流動しないため、防湿性を損ない結果として湿度耐性が劣化する。
本発明に係るマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスとしては、日本精蝋(株)製のEMUSTAR−0001、EMUSTAR−0135等を挙げることが出来る。
本発明においては感光性ハロゲン化銀層にバインダー樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、従来から用いられている透明または半透明なバインダー樹脂を適時選択して用いることが出来き、そのようなバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸酪酸セルロー等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリルゴム共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリポロピレン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上の樹脂を併用して用いてもよい。
なお、前記バインダー樹脂は本発明の目的を損なわない限り、保護層、中間層、あるいは必要にな場合に設けられるバックコート層の各層に適時選択して用いることができる。
尚、中間層やバックコート層には、活性エネルギー線で硬化可能なエポキシ樹脂やアクリルモノマーなどを層形成バインダー樹脂として使用してもよい。
更に、本発明の感光性ハロゲン化銀層には上述した必須成分、バインダー樹脂以外に、必要に応じてカブリ防止剤、調色剤、増感色素、強色増感を示す物質(以下強色増感剤と略記する)など各種添加剤を添加してもよい。
本発明に用いることができる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に長鎖脂肪カルボン酸の銀塩(炭素数は好ましくは10〜30、より好ましくは15〜28)が好ましい。また、配位子が4〜10の範囲の錯体安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは感光性ハロゲン化銀層の約5〜70質量%を構成する。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的には、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。
本発明においては、上記の有機酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75mol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが更に好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることができる。
本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させることにより調製される。これらの調製方法については、特開2000−292882号公報の段落番号0019〜0021に記載の方法を用いることができる。
本発明においては、液体を混合するための密閉手段の中に硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を好ましく用いることができる。具体的には、特開2001−33907号公報に記載されている方法を用いることができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。ここで用いる分散剤の種類及び使用量については、特開2000−305214号公報の段落番号0052に具体例が記載されている。
本発明に用いる有機酸銀は第3アルコールの存在下で調製することが好ましい。第3アルコールとしては、総炭素数15以下の化合物が好ましく、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げられるが、本発明で使用することができる第3アルコールはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコールの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでもよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜10の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範囲で使用することが好ましい。
本発明に用いることができる有機銀塩の形状やサイズは特に制限されないが、特開2000−292882号公報の段落番号0024に記載のものを用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.05〜10μmの固体微粒子分散物が好ましい。より好ましい平均粒子サイズは0.1〜5.0μm、更に好ましい平均粒子サイズは0.1〜2.0μmである。
本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したものであることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。限外ろ過の方法については、特開2000−305214号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、且つ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散方法については、特開2000−292882号公報の段落番号0027〜0038に記載の方法を用いることができる。
本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。
本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜15質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いる有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、更に好ましくは1〜3g/m2である。
本発明にはCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加することが好ましい。Ca、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後の熱現像感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好ましくない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加時期としては、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形成直後、分散前、分散後及び塗布液調製前後など塗布直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀1molあたり10-3〜10-1molが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ヨウ化銀含有率が40mol%〜100mol%のハロゲン化銀である。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法で粒子形成することができるが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など粒子形状の特徴については、特開平11−119374号公報の段落番号0225に記載されているものと同じである。
また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒子サイズは特に制限されないが、0.12μm以下であることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、単分散度の値が30%以下であることが好ましく、1〜20%であることがより好ましく、5〜15%であることが更に好ましい。ここで単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率(%)(変動係数)として定義されるものである。なおハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板状など)は投影面積円相当直径で算出する。
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ましいのは、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl15、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。
これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1molに対し1×10-9〜1×10-3molの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4molの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関しては、特開平11−119374号公報の段落番号0227〜0240に記載されている。
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感については、特開平11−119374号公報の段落番号0242〜0250に記載されている方法を用いることが好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開EP293,917A号明細書に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分子量ゼラチンの分子量は500〜60,000であり、好ましくは分子量1,000〜40,000である。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよい。
分散媒の濃度は0.05〜20質量%にすることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
本発明に用いる熱現像感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種だけを用いてもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)を併用してもよい。
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用量としては、有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化銀0.01〜0.5molが好ましく、0.02〜0.3molがより好ましく、0.03〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得られる限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
本発明に用いることができる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素の添加については、特開平11−119374号公報の段落番号0106に記載されている方法で添加することができるが、特にこの方法に限定されるものではない。本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性ハロゲン化銀層のハロゲン化銀1mol当たり10-6〜1molが好ましく、更に好ましくは10-4〜10-1molである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許出願公開第587,338A号明細書、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,873,184号明細書に開示されている化合物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。特に好ましい強色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号公報の一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平10−111543号公報の一般式(I)で表されるスチルベン化合物、特開平11−109547号公報の一般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平5−341432号公報のM−1〜M−24の化合物、特開平4−182639号公報のd−1)〜d−14)の化合物、特開平10−111543号公報のSS−01〜SS−07の化合物、特開平11−109547号公報の31、32、37、38、41〜45、51〜53の化合物である。これらの強色増感剤の添加量は、感光性ハロゲン化銀層(乳剤層)中にハロゲン化銀1mol当たり10-4〜1molの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当たり0.001〜0.3molの範囲がより好ましい。
また、本発明の熱現像感光材料は有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノン及びカテコールなどの従来の写真現像剤が有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が特に好ましい。還元剤は、感光性ハロゲン化銀層を有する面の銀1molに対して5〜50mol含まれることが好ましく、10〜40mol含まれることが更に好ましい。還元剤の添加層は支持体に対して感光性ハロゲン化銀層側のいかなる層でもよい。感光性ハロゲン化銀層以外の層に添加する場合は、銀1molに対して10〜50molと多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては、広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、特開昭46−6074号公報、同47−1238号公報、同47−33621号公報、同49−46427号公報、同49−115540号公報、同50−14334号公報、同50−36110号公報、同50−147711号公報、同51−32632号公報、同51−1023721号公報、同51−32324号公報、同51−51933号公報、同52−84727号公報、同55−108654号公報、同56−146133号公報、同57−82828号公報、同57−82829号公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,679,426号明細書、同3,751,252号明細書、同3,751,255号明細書、同3,761,270号明細書、同3,782,949号明細書、同3,839,048号明細書、同3,928,686号明細書、同5,464,738号明細書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許出願公開第692,732A号明細書などに開示されている還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシム及びp−フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトン及び/またはヒドラジンの組合せ(例えば、ハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸及びβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−α−ナフトール;ビス−α−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン及びアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジル及びビアセチルなどのアルデヒド及びケトン;3−ピラゾリドン及びある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマノールである。
本発明において還元剤は、水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀及びバインダーを有する本発明の熱現像感光材料において、蟻酸あるいは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する感光性ハロゲン化銀層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1mol当たり5mmol以下、更には1mmol以下であることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料には、画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色調剤は支持体に対して感光性ハロゲン化銀層側の層に銀1molあたり0.1〜50mol含ませることが好ましく、0.5〜20mol含ませることが更に好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤を使用することができる。
例えば、特開昭46−6077号公報、同47−10282号公報、同49−5019号公報、同49−5020号公報、同49−91215号公報、同50−2524号公報、同50−32927号公報、同50−67132号公報、同50−67641号公報、同50−114217号公報、同51−3223号公報、同51−27923号公報、同52−14788号公報、同52−99813号公報、同53−1020号公報、同53−76020号公報、同54−156524号公報、同54−156525号公報、同61−183642号公報、特開平4−56848号公報、特公昭49−10727号公報、同54−20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同3,446,648号明細書、同3,782,941号明細書、同4,123,282号明細書、同4,510,236号明細書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書などに開示される色調剤を用いることができる。色調剤の具体例としては、フタルイミド及びN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体及びある種の光退色剤、例えば、N,N′−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)及び2−(トリブロモメチルスルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメチルフタラジン、及び2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩;フタラジン及びその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物及び過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウム及び過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン及び6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジン及び不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、及び1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
本発明では色調剤として、特開2000−35631号公報に記載の一般式(F)で表されるフタラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同公報に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる。
色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、更に好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−294399号公報の段落番号0123に記載されている。
本発明の熱現像感光材料において、ハロゲン化銀乳剤及び/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。
単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書及び同2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細書及び同2,444,605号明細書に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号明細書及び同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金及び金塩、米国特許第4,108,665号明細書及び同4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書及び同4,137,079号明細書、同4,138,365号明細書及び同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい例としては、米国特許第4,784,939号明細書、同4,152,160号明細書、特開平9−329863号公報、同9−329864号公報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる層に添加してもよいが、支持体に対して感光性ハロゲン化銀層側の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することが更に好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかなる量でもよいが、銀1mol当たり1×10-6〜2molが好ましく、1×10-3〜0.5molが更に好ましい。
本発明を実施するために必須ではないが、感光性ハロゲン化銀層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的のために好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀及び臭化水銀である。本発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1mol当たり好ましくは1×10-9〜1×10-3mol、更に好ましくは1×10-8〜1×10-4molの範囲である。
本発明で特に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−119624号公報、同50−120328号公報、同51−121332号公報、同54−58022号公報、同56−70543号公報、同56−99335号公報、同59−90842号公報、同61−129642号公報、同62−129845号公報、特開平6−208191号公報、同7−5621号公報、同7−2781号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,340,712号明細書、同5,369,000号明細書、同5,464,737号明細書に開示されているような化合物が挙げられる。特開2000−284399号公報に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲン化物がカブリ防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同公報に記載の(P−1)〜(P−118)が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molAg、より好ましくは5×10-5〜1mol/molAg、更に好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/molAgである。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
支持体の両面には、特開昭64−20544号公報、特開平1−180537号公報、同1−209443号公報、同1−285939号公報、同1−296243号公報、同2−24649号公報、同2−24648号公報、同2−184844号公報、同3−109545号公報、同3−137637号公報、同3−141346号公報、同3−141347号公報、同4−96055号公報、米国特許第4,645,731号明細書、特開平4−68344号公報、特許第2557641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、特開2000−39684号公報の段落番号0020〜0037、特開2000−47083号公報の段落番号0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体の繰り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデン共重合体を含む下引層を設けることが好ましい。
塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過における寸法変化が大きくなってしまう傾向がある。また、塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の質量平均分子量は45,000以下であることが好ましく、10,000〜45,000であることがより好ましい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしまう傾向がある。
本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下引層の片面当りの合計膜厚として0.3μm以上であることが好ましく、0.3μm〜4μmであることがより好ましい。
なお、下引層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に直接設層される下引層第1層として設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で上記の範囲となるようにすることが好ましい。これらの層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含有させてもよい。
支持体には、必要に応じて塩化ビニリデン共重合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバインダーとする下引層を塗布してもよい。これらの下引層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片面または両面に設けてもよい。下引層の厚み(1層当たり)は一般に0.01〜5μmであり、より好ましくは0.05〜1μmである。
本発明の熱現像感光材料には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好ましい。支持体の厚みは下引層を除いたベース厚みで90〜180μmであることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料に用いる支持体としては、特開平10−48772号公報、同10−10676号公報、同10−10677号公報、同11−65025号公報、同11−138648号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
このような熱処理後における支持体の120℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が−0.03〜+0.01%、横方向(TD)が0〜0.04%であることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料を熱現像する際に、特開2000−171935号公報、同2000−47083号公報に記載のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処理部は感光性ハロゲン化銀層を有する側をローラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現像機を用いる場合、熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀層を有する側の最表面層とバック面の最表面層との現像処理温度における摩擦係数の比は1.5以上であることが好ましい。その摩擦係数の比の上限は特に制限されないが、30程度であることが好ましい。摩擦係数の比は以下の式により求めることができる。
摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と感光性ハロゲン化銀層を有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb)μbは1.0以下であることが好ましく、0.05〜0.8であることがより好ましい熱現像処理温度における熱現像処理機部材と感光性ハロゲン化銀層を有する面及び/またはその反対面の最表面層との滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることにより調整することができる。
本発明において、像様露光に用いられる露光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置であればいずれでもよいが、一般的にはレーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるものであればいずれでもよい。例えば、LDであれば、色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザーなどを用いることができる。
本発明の熱現像感光材料は、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定されず、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、高出力が得られ、書き込み時間が短くなるという点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合にはレーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞の発生防止技術としては、特開平5−113548号公報などに開示されているレーザー光を熱現像感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開第95/31754号パンフレットなどに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料に画像形成する際の加熱現像工程はいかなる方法によるものであってもよいが、通常はイメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像する。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開平9−292695号公報、同9−297385号公報及び国際公開第95/30934号パンフレットに記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−13294号公報、国際公開第97/28489号パンフレット、同97/28488号パンフレット及び同97/28487号パンフレットに記載の熱現像機がある。特に好ましいのは非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度は80〜250℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。現像時間は1〜180秒が好ましく、5〜90秒が更に好ましい。ラインスピードは140cm/min以上、更には150cm/min以上が好ましい。
熱現像時における熱現像感光材料の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃未満の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110〜140℃で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用することが有効である。
本発明の熱現像感光材料が熱現像後において、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用いられる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機においてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、マスク原稿及びPS版の搬送条件等の製版条件を設定するための情報を画像情報として担持している。従って、イラジエーション染料、ハレーション染料、フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取るために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザーによって読み取られるため、センサーの波長域のDmin(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下である必要がある。
例えば、富士写真フイルム社製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器及びバーコードリーダーとして670nmの波長の光源を使用している。また、清水製作社製、製版機APMLシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光源を使用している。即ち、670nm付近のDmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に検出できず、搬送不良、露光不良など製版機で作業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取るためには670nm付近のDminが低い必要があり、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以下である必要がある。より好ましくは0.25以下である。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度である。
なお、本発明の熱現像感光材料は、特開2000−206653号公報の段落番号0014〜0026記載の包装材料によって、あるいは特開2001−13632号の段落番号0020〜0045に記載の包装方法によって包装されることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1
下引済みPET支持体1の作製
2軸延伸熱固定済みの厚さ125μmのPETフィルムの両面に下記の条件でプラズマ処理1を施し、次いで一方の面に前記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて下引層A−1とし、又反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて導電層としての下引層B−1とした。次いで、それぞれの下引き層表面に下記の条件でプラズマ処理2を施した。
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%、5%及び5%で、プラズマ処理1及びプラズマ処理2を行った。
〈下引塗布液a−1〉
ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%)、
スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
〈下引塗布液b−1〉
酸化錫(インジウムを0.1%ドープした平均粒径36nm)
0.26g/m2になる量
ブチルアクリレート(30質量%)、スチレン(20質量%)
グリシジルアクリレート(40質量%)、の共重合体ラテックス液(固形分30%)
270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる
〈支持体の熱処理〉
得られた下引済み支持体の下引乾燥工程にて、支持体を140℃で加熱し、その後徐々に冷却した。その際に1×105Paの張力で搬送した。
バック層面側の塗布
以下の組成のバック層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前に絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、押し出しコーターで前記作製した支持体の帯電防止加工した下引層B−1面上に、合計ウェット膜厚が30μmになるよう、毎分120mの速度で同時重層塗布し、60℃で4分間乾燥を行った。
〈バック層塗布液1〉
メチルエチルケトン 16.4g/m2
塩基消色型染料 A 17mg/m2
塩基プレカーサー(a) 10mg/m2
安定化剤B−1(住友化学社スミライザーBPA) 20mg/m2
安定化剤B−2(吉富製薬トミソーブ77) 50mg/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社
CAP504−0.2) 0.5g/m2
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社
CAP482−20) 1.5g/m2
Figure 2005148590
〈バック保護層塗布液1〉
メチルエチルケトン 22g/m2
帯電防止剤;(CH33SiO−〔(CH32SiO〕2O−〔CH3SiO{CH2CH2CH2O(CH2CH2O)10(CH2CH2CH2O)15CH3}〕3O−Si(CH33
22mg/m2
フッ素系界面活性剤F−1:C817SO3Li 10mg/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社 CAP504−0.2) 0.5g/m2
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社 CAP482−20) 1.5g/m2
マット剤(富士デビソン社サイロイド74;平均粒径7μmのシリカ)12mg/m2
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水700mlに、アルカリ処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm以下)11g、臭化カリウム30mgおよび4−メチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3 gを溶解して、40℃にてpHを6.5に調整した。その後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと、臭化カリウムを1mol/L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6mol/LおよびK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含む水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと、臭化カリウムを1mol/LおよびK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含むハロゲン塩水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以下)51.1g加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。得られたハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して、銀1mol当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μmolを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71μmolを添加した後、100分間熟成し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを5×10-4mol、化合物Aを0.17g加えた後、40℃に降温させたその後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1molに対して4.7×10-2molの臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×10-4molの増感色素A(エタノール溶液として添加)、6.4×10-3molの化合物B(メタノール溶液として添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。得られたハロゲン化銀乳剤Aは、下記の塗布液の調製に用いた。
《ハロゲン化銀乳剤Bの調製》
蒸留水1420mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、42℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加195.6mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム21.8gを蒸留水にて容量218mlに希釈した溶液Bを一定流量で9分間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンツイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム60gを蒸留水にて容量600mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で12分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1mol当たり1×10-4molになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1mol当たり3×10-4mol全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行った。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のヨウ化銀分散物を作製した。調製されたヨウ化銀粒子aを38℃に加熱溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液で銀1mol当たり7×10-3mol添加した。さらに水を加えて1kg当たり含まれる銀量が38.2gとなるように調整した。
(有機脂肪酸銀乳剤の調製)
水300ml中にベヘン酸10.6gを入れ90℃に加熱溶解し、十分攪拌した状態で1M/Lの水酸化ナトリウム31.1mlを添加し、そのままの状態で1時間放置した。その後30℃に冷却し、1M/Lのリン酸7.0mlを添加して十分攪拌した状態でN−ブロモこはく酸イミド0.01gを添加した。その後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をベヘン酸に対して銀量として10モル%となるように40℃に加温した状態で攪拌しながら添加した。さらに1M/L硝酸銀水溶液25mlを2分間かけて連続添加し、そのまま攪拌した状態で1時間放置した。
この乳剤に酢酸エチルに溶解したポリビニルブチラールを添加して十分攪拌した後に静置し、ベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を含有する酢酸エチル相と水相に分離した。水相を除去した後、遠心分離にてベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を採取した。その後東ソー(株)社製合成ゼオライトA−3(球状)20gとイソプロピルアルコール22mlを添加し1時間放置した後濾過した。更にポリビニルブチラール3.4gとイソプロピルアルコール23mlを添加し35℃にて高速で十分攪拌して分散し有機脂肪酸銀乳剤の調製を終了した。
(感光層Em組成)
有機脂肪酸銀乳剤 1.4g(銀で)/m2
ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド 1.5×10-4mol/m2
臭化カルシウム 1.8×10-4mol/m2
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 1.5×10-3mol/m2
2−メルカプトベンズイミダゾール 3.2×10-3mol/m2
2−トリブロモメチルスルホニルキノリン 6.0×10-4mol/m2
4−メチルフタル酸 1.6×10-3mol/m2
テトラクロロフタル酸 7.9×10-4mol/m2
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 4.8×10-3mol/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
(保護層組成)
表面保護層塗布液を下記のように調製した。
セルロースアセテートブチレート 4g/m2
フタラジン 3.2×10-3mol/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
(低粘度層組成)
ポリビニルブチラール 0.5g/m2
ポリメチルメタアクリレート 0.04g/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いて表1及び表2記載の粘度に仕上げた。粘度測定には(株)トキメック社製B形粘度計を使用した。
(比較サンプルの作製)
ハロゲン化銀乳剤Aを使用し感光性ハロゲン化銀層に下記有機硬調化剤を0.3mmol/m2添加した。
Figure 2005148590
以上のようにして、表1に示す構成の熱現像感光材料の試料No.1〜8を作製し、以下の評価を行い、結果を表1に示す。
《写真性能の評価》
(露光処理)
得られた熱現像感光材料を410nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×10-8秒の露光を実施した。この時のオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。121℃で20秒、熱現像処理を行った。濃度測定はマクベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。結果を表1に示した。感度は濃度1.5を与える露光量の対数をもって表し、S1.5とし試料No.1を100として相対値で示した。値が大きいほど高感度である。
(生保存性の評価)
得られた試料を2分し、一方は23℃で3日間放置し、もう一方は55℃で3日強制劣化させた。それぞれの環境下での感度、画像のDmin(Fog)、黒ポツについて評価し、23℃3日間に対する55℃3日間の感度低下、Fog上昇、黒ポツ上昇をΔ感度、ΔFog及びΔ黒ポツとして表1に示した。
尚、黒ポツは、未露光部を100倍ルーペで観察し、黒ポツの個数を数えた。5個以下は実用上問題ないレベルである。
Figure 2005148590
表1から、本発明の試料は感度も高く、生保存性に優れていることが判る。
実施例2
下記処方の層を最外層にワーヤーバーで塗布する以外は実施例1と同様に行い、表2に示す構成の熱現像感光材料の試料No.11〜18を作製した。
(アクリル系疎水性樹脂層)
アクリル系疎水性樹脂 2g/m2
マイクロクリスタリンワックス 0.3g/m2
マット剤(粒径2μm) 50mg/m2
(アクリル系樹脂固形成分:40質量%)
(現像処理湿度依存性の評価)
得られた熱現像感光材料を23℃80%12時間調湿の試料と23℃20%12時間調湿の試料を作製し、同一環境下で50μmの線幅露光を行なって熱現像処理を行なった。それぞれの処理後の線幅の差を測定することにより、現像処理湿度依存性を評価した。またそれぞれの環境下でのDmin(カブリ)についても評価した。感度は試料No.1を100として相対値で示した。
Figure 2005148590
表2から、本発明の試料は感度も高く、文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、カブリの上昇も少ないことが判る。

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有し、有機硬調化剤を含まない熱現像感光材料において、該感光性ハロゲン化銀を含有する層と支持体の間に粘度が10-4〜5×10-2Pa・sの塗布液を塗設してなる層を有し、かつ、該感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が40mol%〜100mol%であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種を含有するアクリル系疎水性樹脂層を有することを特徴とする熱現像感光材料。
  3. 請求項1又は2に記載の熱現像感光材料を、波長が300〜500nmのレーザー光源で露光した後100℃〜150℃の温度で熱現像することによって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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