JP4078876B2 - 写真用支持体及び熱現像感光材料 - Google Patents

写真用支持体及び熱現像感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真用支持体及び熱現像感光材料に関し、特に下引層塗設後の保存時に張り付きの発生がない写真用支持体、及び熱現像処理前後に写真用支持体と上塗り層との接着性に優れた熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では、環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザーイメージャーやレーザーイメージセッタにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。かかる技術として、例えば、米国特許第3,152,904号、同3,487,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,MarcelDekker,Inc.第48頁,1991)等に記載されているように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有する熱現像感光材料が知られている。この熱現像感光材料では溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる。
【0003】
これらの熱現像感光材料の設計には、従来の現像液により現像する感光材料とは異なる熱現像特有の配慮が必要である。特に熱現像時には、通常80〜140℃の熱がかかるため従来とは異なった設計が必要となる。例えば、熱現像感光材料は、画像形成層や、イメージャーからのレーザー光を吸収するための染料を含有したバッキング層等を支持体上に有しているが、これらの層は、熱現像前のみならず、熱現像後においても支持体に強固に接着していなければならない。これらの層を支持体に接着するために、易接着機能を有する下引層を支持体上に設けることが多い。画像形成層との接着を目的とした易接着層には、熱現像温度付近で軟化しやすく、画像形成層成分との相溶性の高い素材を用いると熱現像後の接着性がよいことが一般的に知られている。ただし、保存時の室温状態でも、現像時の熱がかかった状態でも接着力を保つためには、下引層が広い温度領域で十分な機能を発揮できるよう下引層を設計しなければならない。耐熱性の高い材料により構成された下引層では、熱現像処理前において、上塗り層との接着は困難であり、一方耐熱性の低い材料により構成された下引層では、上塗り層との接着は十分であっても、上塗り層が塗設される前の巻き取られたときに支持体同士が張り付いてしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、下引層塗設後の保存時に張り付きの発生がない写真用支持体、及び上塗り層と写真用支持体との接着性が良好な熱現像感光材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【0006】
1.ポリエステル支持体の少なくとも一方の面に、不飽和2重結合をエポキシ化したエポキシ化スチレンブタジエンポリマーを含有する下引層を有することを特徴とする写真用支持体。
【0007】
2.下引層を構成するバインダーの50質量%以上がエポキシ化スチレンブタジエンポリマーであり、該エポキシ化スチレンブタジエンポリマーのエポキシ化度が全不飽和2重結合の10〜30%であることを特徴とする前記1記載の写真用支持体。
【0008】
3.前記2記載の写真用支持体を用いることを特徴とする熱現像感光材料。
【0009】
4.感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩及びこの有機銀塩の還元剤を含む熱現像感光層に不飽和2重結合をエポキシ化したエポキシ化スチレンブタジエンポリマーを含有することを特徴とする前記3記載の熱現像感光材料。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料(以下、感光材料ともいう)は、ポリエステル支持体の少なくとも一方の面に不飽和2重結合をエポキシ化したエポキシ化スチレンブタジエンポリマー(以下エポキシ化SBポリマーともいう)を含有する下引層を有する。エポキシ化SBポリマーは、さらに熱現像感光層(以下感光層ともいう)に含まれていてもよい。
【0011】
このような構成とすることにより、感光層と下引層の間の接着性が良好となる。ここで、エポキシ化SBポリマーを含有する層は1層であっても2層以上であってもよく、そのうちの少なくとも1層は、エポキシ化SBポリマーを全バインダーの50質量%以上含有することが好ましい。その他、下引層を構成するポリマーには、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂等のポリマーから選ぶことができる。これらのポリマーのうち、エポキシ化SBポリマーと併用する場合は、スチレン−ブタジエン共重合体が特に好ましい。
【0012】
本発明においてエポキシ化SBポリマーとは、一般的なスチレンブタジエン共重合体において、主鎖のブタジエンの不飽和2重結合部分がエポキシ化された構造を分子鎖中に含むポリマーをいう。ここでエポキシ化度は10〜30%であることが好ましい。エポキシ化度が10%未満では下引層の保存時の安定性が悪く、30%を超えると下引層の脆弱性が問題となる。エポキシ化度は、エポキシ化SBポリマー中のオキシラン酸素濃度またはエポキシ当量を測定し求めることができる。
【0013】
エポキシ化SBポリマー中のスチレンとブタジエンの含有率は特に制限はないが、スチレンは20〜70質量%、ブタジエンは20〜75質量%程度が好ましい。
【0014】
エポキシ化SBポリマーには、スチレン、ブタジエン、エポキシ化ブタジエン以外に、必要に応じてアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の酸成分、ジビニルベンゼン等の3次元架橋が可能な成分、その他アクリロニトリル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート等を共重合してもよい。
【0015】
エポキシ化SBポリマーの数平均分子量は、2,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜500,000がより好ましい。
【0016】
エポキシ化SBポリマーは、通常はランダム共重合体であるがブロック共重合体でもよい。また、直鎖ポリマーでもよいし、枝分かれしたものでも架橋したものでもよい。そして通常、平均粒径が0.05〜0.5μmの粒子として用いる。
【0017】
エポキシ化SBポリマーは、これらのポリマーが水系溶媒に分散したものであることが好ましい。ここで、水系溶媒とは、組成の30質量%以上、好ましくは50質量%以上、特に80質量%以上が水である溶媒(分散媒)をいう。分散状態としては、乳化分散したもの、ミセル分散したもの、さらに分子中に親水性部位を持ったポリマーを分子状態で分散したもの等、どのようなものでもよいが、好ましくは乳化分散したもの、すなわちラテックスが特に好ましい。
【0018】
ラテックスの場合、その粒径は10〜500nmが好ましい。これらラテックスは、乳化重合法で製造することができる。例えば、水を分散媒とし、水に対して10〜50質量%のモノマーとモノマーに対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、30〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間攪拌下に重合させることによって製造することができる。モノマーの量、重合開始剤量、反応温度、反応時間等の条件は幅広く変更することができる。
【0019】
本発明の下引層には、バインダー以外に必要に応じ架橋剤、マット剤、染料、フィラー、界面活性剤等を添加してもよい。
【0020】
架橋剤としては、エポキシ、イソシアネート、メラミン等の公知の化合物が用いられる。また、特開昭51−114120号等に記載されている活性ハロゲン架橋材は特に好ましい。
【0021】
マット剤としては、平均粒径が0.2〜5μm程度のスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の微粒子が用いられる。
【0022】
さらに、フィラーとしてはコロイダルシリカ等、界面活性剤としてはアニオン、ノニオン、カチオン界面活性剤、染料としてはアンチハレーション染料、色調調整用染料等がある。
【0023】
本発明の下引層は、水系、有機溶媒系いずれの塗布液を塗布乾燥して形成してもよいが、コストや環境の点からは水系塗布液を用いることが好ましい。下引層塗布液のバインダー濃度は、1〜40質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
【0024】
下引層の塗布方法、乾燥方法については特に制限はないが、塗布方法としては、バーコーター法、ディップコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法等の公知の方法を用いることができる。乾燥方法については、25〜200℃程度で0.5〜20分間程度乾燥させればよい。本発明の下引層の厚みは、1層当たり0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜2μmが好ましい。
【0025】
本発明の感光材料には、上記のエポキシ化SBポリマーを含有する下引層の他に、エポキシ化SBポリマー共重合体を含有しない下引層を設けてもよい。このような下引層のバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゼラチン等のポリマーから選ぶことができる。これらの層の厚みは、0.1〜2μmの範囲が好ましい。下引層全体の厚さとしては、好ましくは0.1〜15μm、より好ましくは0.2〜5μmである。
【0026】
本発明の感光材料に用いる支持体はポリエステルである。その厚さは通常30〜1000μmであるが、これらのうちで厚みが50〜300μmの2軸延伸したポリエチレンテレフタレートは強度、耐薬品性その他の点から好ましい支持体である。支持体は必要に応じて染色してもよく、また必要に応じてコロナ処理、グロー処理、火炎処理等の表面処理や下引を施したものであってもよい。
【0027】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えばResearch Disclosure 1978年6月の第17029号及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明においては後者の方法を用いることが好ましい。
【0028】
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく、具体的には0.20μm以下が好ましく、0.01〜0.15μmがより好ましくは、0.02〜0.12μmが更に好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0029】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い(100)面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。(100)面の比率は増感色素の吸着における(111)面と(100)面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0030】
感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであってもよいが、本発明においては臭化銀あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1〜40mol%が好ましく、0.1〜20mol%がより好ましい。
【0031】
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、または連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0032】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルト、水銀または鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1molに対し1nmol〜10nmolが好ましく、10nmol〜100μmolがより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については6シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0033】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0034】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。
【0035】
テルル増感剤としては、例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルル等を用いることができる。
【0036】
貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号等に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0037】
還元増感法の具体的な化合物としては、アスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0038】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては、有機銀塩1molに対して0.01〜0.5molが好ましく、0.02〜0.3molがより好ましく、0.03〜0.25molが特に好ましい。
【0039】
感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0040】
ハロゲン化銀調製法としては、有機銀塩の一部の銀を有機または無機のハロゲン化物でハロゲン化するいわゆるハライデーション法も好ましく用いられる。ここで用いる有機ハロゲン化物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物であればいかなる物でもよいが、N−ハロゲノイミド(N−ブロモスクシンイミド等)、ハロゲン化4級窒素化合物(臭化テトラブチルアンモニウム等)、ハロゲン化4級窒素塩とハロゲン分子の会合体(過臭化臭化ピリジニウム)等が挙げられる。無機ハロゲン化合物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物であればいかなる物でもよいが、ハロゲン化アルカリ金属またはアンモニウム(塩化ナトリウム、臭化リチウム、沃化カリウム、臭化アンモニウム等)、ハロゲン化アルカリ土類金属(臭化カルシウム、塩化マグネシウム等)、ハロゲン化遷移金属(塩化第2鉄、臭化第2銅等)、ハロゲン配位子を有する金属錯体(臭化イリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸アンモニウム等)、ハロゲン分子(臭素、塩素、沃素)等がある。また、有機ハロゲン化物と無機ハロゲン化物を併用してもよい。
【0041】
本発明でハライデーションする際のハロゲン化物の添加量としては有機銀塩1mol当たりハロゲン原子として1〜500mmolが好ましく、10〜250mmolがさらに好ましい。
【0042】
本発明に用いることのできる非感光性の有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像等)及び還元剤の存在下で、80℃またはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩を含むが、これらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物等が挙げられる。
【0043】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩及びこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S−アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩等のチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩等のジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩等の1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3−(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩等のチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物も使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩及びそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀等のベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀等のハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾール及びイミダゾール誘導体の銀塩等を含む。例えば、米国特許第4,761,361号及び同第4,775,613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物も使用することもできる。
【0044】
有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。本発明においては、短軸0.01〜0.20μm、長軸0.10〜5.0μmが好ましく、短軸0.01〜0.15μm、長軸0.10〜4.0μmがより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状は有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像により求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の100分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0045】
本発明に用いることのできる有機銀塩は、脱塩することができる。脱塩を行う方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。
【0046】
有機銀塩は粒子サイズの小さい、凝集のない微粒子を得る目的で、分散剤を使用した固体微粒子分散物とする方法が用いられる。有機銀塩を固体微粒子分散化する方法は、分散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル)を用い、機械的に分散することができる。
【0047】
分散剤を使用して有機銀塩を固体微粒子化する際には、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共重合体等の合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース等の半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸等のアニオン性ポリマー、特開昭52−92716号、WO88/04794号等に記載のアニオン性界面活性剤、特願平7−350753号に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤や、その他ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いることができる。
【0048】
分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末またはウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーとして分散機に送り込むのが一般的な方法であるが、予め有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしてもよい。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコントロールしてもよい。
【0049】
機械的に分散する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させてもよい。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用してもよく、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0050】
調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。また、保存時の雑菌等の繁殖を防止する目的で防腐剤を添加することもできる。
【0051】
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0052】
本発明に用いる還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノン及びカテコール等の従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の銀1molに対して5〜50%mol含まれることが好ましく、10〜40mol%含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は、画像形成層、画像形成層以外の層でもよい。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1molに対して10〜50%molと多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0053】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が、特開昭46−6074号、同47−1238号、同47−33621号、同49−46427号、同49−115540号、同50−14334号、同50−36110号、同50−147711号、同51−32632号、同51−1023721号、同51−32324号、同51−51933号、同52−84727号、同55−108654号、同56−146133号、同57−82828号、同57−82829号、特開平6−3793号、米国特許3,667,9586号、同3,679,426号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,761,270号、同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686号、同5,464,738号、独国特許2321328号、欧州特許692732号等に開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシム及びp−フェノキシフェニルアミドオキシム等のアミドオキシム;例えば、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジン等のアジン;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトン及び/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せ等);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸及びβ−アリニンヒドロキサム酸等のヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール等);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテート等のα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2−ジヒドロキシ−1,1−ビナフチル、6,6−ジブロモ−2,2−ジヒドロキシ−1,1−ビナフチル及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2,4−ジヒドロキシアセトフェノン等)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン等の5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン及びアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp−ベンゼンスルホンアミドフェノール等のスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン等のクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等の1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル等);ならびにベンジル及びビアセチル等のアルデヒド及びケトン;3−ピラゾリドン及びある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(トコフェロール等)等がある。特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0054】
本発明に用いられる還元剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物等いかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0055】
画像を向上させる色調剤として知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させる上でも有利になることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1mol当たり0.1〜50mol%含まれることが好ましく、0.5〜20mol%含まれることがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0056】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤が、特開昭46−6077号、同47−10282号、同49−5019号、同49−5020号、同49−91215号、同49−91215号、同50−2524号、同50−32927号、同50−67132号、同50−67641号、同50−114217号、同51−3223号、同51−27923号、同52−14788号、同52−99813号、同53−1020号、同53−76020号、同54−156524号、同54−156525号、同61−183642号、特開平4−56848号、特公昭49−10727号、同54−20333号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,941号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許1380795号、ベルギー特許841910号等に開示されている。色調剤の例は、フタルイミド及びN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体及びある種の光退色剤(例えば、N,N−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾール);ならびに3−エチル−5[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン等の誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸等)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン及び2,3−ジヒドロフタラジン等の誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸等)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム等;無機過酸化物及び過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウム及び過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン及び6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン等のベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジン及び不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジン等)、アザウラシル、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、及び1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)等がある。
【0057】
色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物等いかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0058】
本発明に用いられる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるものであればいかなるものでもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は、例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0059】
赤色光への分光増感の例としては、He−Neレーザー、赤色半導体レーザーやLED等のいわゆる赤色光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1〜I−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1〜I−35の化合物及び特開平7−287338号に記載のI−1〜I−34の化合物、特公昭55−39818号に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号に記載のI−1〜I−37の化合物及び特開平7−287338号に記載のI−1〜I−34の化合物等が有利に選択される。
【0060】
750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノール及びキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。
【0061】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核等の塩基性核を有するシアニン色素である。
【0062】
有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核等の酸性核も含む。上記のシアニン及びメロシアニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3−10391号、同6−52387号、特開平5−341432号、同6−194781号、同6−301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。
【0063】
本発明に用いられる増感色素の構造として特に好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有するシアニン色素(例えば、特開昭62−58239号、同3−138638号、同3−138642号、同4−255840号、同5−72659号、同5−72661号、同6−222491号、同2−230506号、同6−258757号、同6−317868号、同6−324425号、特表平7−500926号、米国特許5,541,054号に記載された色素)、カルボン酸基を有する色素(例えば、特開平3−163440号、6−301141号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシアニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素(例えば、特開昭47−6329号、同49−105524号、同51−127719号、同52−80829号、同54−61517号、同59−214846号、同60−6750号、同63−159841号、特開平6−35109号、同6−59381号、同7−146537号、同7−146537号、特表平55−50111号、英国特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色素)が挙げられる。
【0064】
また、J−bandを形成する増感色素として、米国特許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されており、本発明に好ましく用いることができる。
【0065】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はResearch Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号等に記載されている。
【0066】
増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0067】
また、米国特許3,469,987号等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0068】
増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱銀工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許4,225,666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分ける等して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0069】
増感色素の使用量は、感度やカブリ等の性能に合わせて所望の量でよいが、感光性層のハロゲン化銀1mol当たり10-6〜1molが好ましく、10-4〜10-1がさらに好ましい。
【0070】
本発明の感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0071】
片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等に記載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等に記載の無機マット剤等当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば、具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物等、公知の硬化剤で硬化したゼラチン及びコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチン等好ましく用いることができる。無機化合物の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土等を好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は熱現像感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状及び粒径分布を所望の状態にすることが好ましい。
【0072】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が10〜250秒が好ましく、さらに好ましくは50〜180秒である。
【0073】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0074】
本発明においてバック層の好適なバインダーは、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0075】
本発明においてバック層は、同時にアンチハレーション層であってもよく、所望の波長範囲での最大吸収が0.3〜2であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜2であり、かつ処理後の可視領域においては0.001以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有する層であることが好ましい。また、バック層に用いるハレーション防止染料の例としては前述のアンチハレーション層と同じである。
【0076】
米国特許第4,460,681号及び同第4,374,921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer)を使用することもできる。
【0077】
本発明の感光材料は、感光層を有する面の最外層(以降「表面保護層」という)には、バインダーとして親水性コロイドを含有する層を設けることが好ましい。親水性コロイドとしてはゼラチン、カゼイン、寒天等があるが、これらのうちゼラチンが最も好ましい。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン等どのようなものでもよく、さらにゼラチン誘導体を用いてもよい。表面保護層のバインダーとしては親水性のコロイドに加えてエチルアクリレート等のポリマーラテックスを加えてもよい。
【0078】
表面保護層は必要に応じて、架橋剤により架橋してもよい。架橋剤としては、活性ハロゲン、ビニルスルホン、エポキシ等親水性コロイドの架橋剤として公知の化合物を用いることができる。
【0079】
表面保護層に用いられるマット剤としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の微粒子が好ましい。粒子の形状には特に制限はないが、球形の微粒子が好ましい。マット剤の粒子は0.2〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmが好ましい。マット剤の添加量は感光材料の層構成、厚みや使用目的によって一概には言えないが10〜200mg/m2、より好ましくは20〜100mg/m2が好ましい。
【0080】
表面保護層に用いられるスベリ剤としてはシリコン化合物、パラフィン等公知の化合物を用いることができる。
【0081】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩等)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号及び同第3,206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩等を含む層等を有してもよい。
【0082】
本発明の熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては、特開平7−13295号10頁左欄43行目〜11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号及び同第4,042,394号に例示されている。
【0083】
本発明における写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により塗布することができる。所望により、米国特許第2,761,791号及び英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に塗布することができる。
【0084】
本発明の感光材料の中に、追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層及び光熱写真技術において既知のプライマー層等を含むことができる。本発明の感光材料はその感光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料とならないことが好ましい。
【0085】
本発明の感光材料はいかなる方法で現像されてもよいが、通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0086】
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されてもよいが、露光光源としてはレーザー光が好ましい。レーザー光としては、ガスレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザー等が好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子等を用いることもできる。
【0087】
本発明の感光材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開平5−113548等に開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させる技術や、WO95/31754等に開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0088】
本発明の感光材料を露光するにはSPIE vol.169 Laser Printing 116〜128頁(1979)、特開平4−51043、WO95/31754等に開示されているようにレーザー光が重なるように露光し、走査線が見えないようにすることが好ましい。
【0089】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0090】
実施例1
(下引層塗布液の調製)
水680mlに別途乳化重合法にて作製した下記表1に示すモノマー比のエポキシ化スチレンブタジエンラテックス(濃度30質量%)300ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径2.5μm)0.1g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1質量%)20mlを添加して下引層塗布液を得た。
【0091】
(下引層付き写真用支持体の作製)
青色染料で色味付け(青色濃度0.14)した厚さ177μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の片面に、上記下引層塗布液をバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布して、180℃で5分間乾燥し、下引層付き写真用支持体を作製した。
【0092】
(試料の評価)
作製した下引層付き写真用支持体を10cm×10cmの大きさに切り出した試料を20枚重ね、10kgの鉛の錘を上に置いて35℃で7日間放置した。その後、錘を外し、1枚ずつ剥がしながら試料の張り付き具合を観察した。実用上問題ないのはBランク以上である。評価の結果を表1に示す。
【0093】
A:張り付きなし
B:張り付き1枚
C:張り付き2〜4枚
D:5枚以上張り付いている。
【0094】
【表1】
Figure 0004078876
【0095】
(ハロゲン化銀粒子Aの調製)
水700mlにフタル化ゼラチン22g及び臭化カリウム30gを溶解して温度40℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のmol比で含む水溶液を硝酸銀に対し等mol、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476mlと6塩化イリジウム酸2カリウムを8μmolと臭化カリウムを1molを含む水溶液1LをpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で30分かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg8.0に調整し沃臭化銀粒子(沃素含量コア8mol%、平均2mol%、平均サイズ0.07μm、投影面積直径の変動係数8%、(100)面比率79%の立方体粒子)を調製した。
【0096】
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温し、銀1mol当たりチオ硫酸ナトリウム85μmolと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μmol、2μmolのテルル化合物1、塩化金酸3.3μmol、チオシアン酸230μmolを添加し、120分間熟成した。その後温度を50℃に変更して増感色素Aをハロゲン化銀1mol当たり5×10-4mol、増感色素Bを2×10-4mol撹拌しながら添加した。さらに沃化カリウムをハロゲン化銀に対して3.5mol%添加して30分撹拌し、30℃に急冷して目的のハロゲン化銀粒子Aを得た。
【0097】
【化1】
Figure 0004078876
【0098】
(有機酸銀微結晶分散物の調製)
ベヘン酸40g、ステアリン酸7.3g、水500mlを温度90℃で15分間攪拌し、1mol/LのNaOH187mlを15分間かけて添加し、1mol/Lの硝酸水溶液61mlを添加して50℃に降温した。次に1mol/Lの硝酸銀水溶液124mlを2分間かけて添加し、そのまま30分間攪拌した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、濾水の伝導度が30μS/cmになるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分34.8g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール12g及び水150mlを添加し、よく混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ840gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて5時間分散し、電子顕微鏡観察により平均短径0.044μm,平均長径0.8μm,投影面積変動係数30%の針状粒子である有機酸銀の微結晶分散物を得た。
【0099】
(固体微粒子分散物の調製)
テトラクロロフタル酸1gに対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.81gと水94.2mlを添加して良く攪拌してスラリーとして10時間放置した。その後、平均直径0.5mmのジルコニア製ビーズを100gを用意し、スラリーと一緒にベッセルに入れ、有機酸銀微結晶分散物の調製に用いたものと同じ分散機で5時間分散してテトラクロロフタル酸の固体微粒子分散液を得た。平均粒子径は70質量%が1.0μm以下であった。
【0100】
同様にして、その他の素材である4−メチルフタル酸、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、フタラジン、トリブロモメチルフェニルスルホンについて固体微粒子分散物を調製した。ただし、その他の素材については適宜分散剤の使用量、及び所望の平均粒子経を得るために分散時間を変更した。
【0101】
(感光層塗布液の調製)
先に調製した有機銀微結晶分散物(銀1mol相当)に対し、ハロゲン化銀粒子Aをハロゲン化銀0.1mol相当と、以下のバインダー(ポリマーラテックス)及び上記各素材の固体微粒子分散液を添加して感光層塗布液を得た。
【0102】
Figure 0004078876
(保護層塗布液の調製)
セルロースアセテートブチレート10gに対し、界面活性剤Aを0.26g、界面活性剤Bを0.09g、シリカ微粒子(平均粒子サイズ2.5μm)0.9g、水64gを添加して表面保護層塗布液を得た。
【0103】
【化2】
Figure 0004078876
【0104】
(発色分散物の調製)
酢酸エチル35gに対し、下記の化合物1、2をそれぞれ2.5g、7.5g添加して、撹拌し、溶解した。その溶液にあらかじめ溶解したポリビニルアルコール10質量%溶液50gを添加し、5分間ホモジナイザーで撹拌した。その後、酢酸エチルを揮発させ、最後に水で希釈し、発色分散物を得た。
【0105】
【化3】
Figure 0004078876
【0106】
(バック面塗布液の調製)
ポリビニルアルコール30gに対し、先に調製した発色分散物50g、20gの下記化合物3、水250gを添加してバック面塗布液を得た。
【0107】
【化4】
Figure 0004078876
【0108】
(試料の作製)
前記作製した下引層付き写真用支持体の下引層のない面に、スライドホッパーを用いてバック面塗布液を660nmの光学濃度が0.7となるように塗布して、40℃で20分間乾燥した。次いで、この反対側の面、つまり下引層のある面に、上記のごとく調製した感光層塗布液、表面保護層塗布液を、感光層は銀塗布量が1.9g/m2、表面保護層はバインダー塗布量がそれぞれ、0.5、1.8g/m2となるようにスライドホッパーを用いて同時に塗布した。塗布後、10℃、60%RHの雰囲気で、1分間保持した後、40℃で20分間乾燥した。このようにして得られた試料を25℃、60%RHの雰囲気に14日間保存した後、以下の評価を行った。
【0109】
(接着性の評価)
試料の感光層が塗設されている面の表面に、カミソリを用いて4mm間隔で縦横それぞれ6本ずつの傷を付けて、25個の桝目を作った。但し傷は支持体表面に到達するまでの深さとした。この上に幅25mmのマイラーテープを張り付けて十分に圧着した。圧着してから5分経過後、マイラーテープを180度の剥離角で急激に引っ張り、試料から剥離した。このとき、感光層が試料から剥離した桝目の数を数えて以下のように分類した。実用上許容できるものはAとBのものだけである。
【0110】
A:0
B:1
C:2〜4
D:5以上
さらに、120℃の熱現像ドラムに45秒間押しつけて熱現像した試料についても同様の評価を行った(表中処理後と記載する)。評価の結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
Figure 0004078876
【0112】
表2から明らかなように、本発明の試料は熱現像処理前後において支持体と感光層との間の接着性が良好であることが分かる。なお、別途、試料の写真性を評価したところ、最高濃度、かぶり、感度、画像色調等に差は確認できなかった。
【0113】
【発明の効果】
本発明により、下引層塗設後の保存時に張り付きの発生がない写真用支持体、及び上塗り層と写真用支持体との接着性が良好な熱現像感光材料を提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステル支持体の少なくとも一方の面に、不飽和2重結合をエポキシ化したエポキシ化スチレンブタジエンポリマーを含有する下引層を有することを特徴とする写真用支持体。
  2. 下引層を構成するバインダーの50質量%以上がエポキシ化スチレンブタジエンポリマーであり、該エポキシ化スチレンブタジエンポリマーのエポキシ化度が全不飽和2重結合の10〜30%であることを特徴とする請求項1記載の写真用支持体。
  3. 請求項2記載の写真用支持体を用いることを特徴とする熱現像感光材料。
  4. 感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩及びこの有機銀塩の還元剤を含む熱現像感光層に不飽和2重結合をエポキシ化したエポキシ化スチレンブタジエンポリマーを含有することを特徴とする請求項3記載の熱現像感光材料。
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