JP3841317B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像材料の画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮明さを有する黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の熱現像材料に関する技術が必要とされている。これらの熱現像材料では、簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一方、近年、急激な進歩をしている半導体レーザーの技術は医療用画像出力装置にも使われ、高速化してきた。そのため熱現像材料も熱現像時間を短くする必要がある。ただし、その場合熱の伝導効率を良くする、熱現像のムラをなくす、などより厳しい条件での技術進歩が期待されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとしている課題は、短時間で熱現像しても画像の濃度ムラの発生を抑制することができる熱現像材料の画像形成方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0006】
(1)支持体の少なくとも一方の面に感光性ハロゲン化銀、バインダー、非感光性有機銀塩および該非感光性有機銀塩の還元剤を含有する画像形成層を有し、該画像形成層のバインダーの50 wt% 以上が25℃60%RHにおける平衡含水率が2 wt% 以下のものであり、前記画像形成層が、前記バインダーが分散した溶媒の30 wt% 以上が水である塗布液を用いて塗布後乾燥して形成したものであり、該画像形成層を有する面のベック平滑度が3000秒以下10秒以上である熱現像感光材料を、13秒以下で熱現像することを特徴とす る画像形成方法。
(2)前記画像形成層を水性のポリマーラテックスを用いて形成することを含む、上記(1)に記載の画像形成方法。
(3)半導体レーザーによって書き込むことを含む、上記(1)または(2)に記載の画像形成方法。
(4)前記支持体のバック面のベック平滑度を3000秒以上10秒以下とすることを含む上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(5)さらに、表面保護層を有し、該表面保護層に平均粒径が0.3〜20μmのマット剤を含有させることを含む上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明で用いる熱現像材料は、支持体の少なくとも一方の面に画像形成層を有するものであり、画像形成層を有する面のベック平滑度は3000秒以下10秒以下である。
【0009】
このように画像形成層を有する面のベック平滑度を上記範囲に規制することによって、13秒以下の熱現像を行っても画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。これに対し、ベック平滑度が3000秒を超えると、本発明による短時間の熱現像条件では濃度ムラの発生がみられる。またベック平滑度を10秒未満とすると極大マット剤の使用となり、マット剤剥落の問題が生じてくる。
【0010】
本発明で用いる熱現像材料は、バック面のベック平滑度は10秒以上3000秒以下である。
【0011】
本発明におけるベック平滑度は、JIS P 8119記載のベック平滑度である。ベック平滑度は有効面積10cm2の平面板を1Kg/cm2の圧力で被測定面に押しつけたとき370mmHgの圧力差の下で10mlの空気が流れる秒数をもって表される。つまり、秒数が大きいほどマット度が小さいことを、小さいほどマット度が大きいことを表す。また、精度良くベック平滑度を測定するには空気マイクロメーター型試験器を用いることが好ましく、特に、J.TAPPI紙パルプ試験法No.5記載の王研式平滑度測定を用いることで簡便に再現性の良好なベック平滑度が得られる(山本ら,紙パ技協誌,20[2],17〜24(1966))。
【0012】
通常、熱現像材料にマット度を付与するためには、マット剤を用いる。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1939213号、同2701245号、同2322037号、同3262782号、同3539344号、同3767448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同1260772号、同2192241号、同3257206号、同3370951号、同3523022号、同3769020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微小カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができるが、本発明では、特に、ピンホールが出にくく、熱現像時の変形が生じにくいなどの点から、形状が真球形のシリカ微粒子が好ましい。
【0013】
ここで言う「真球形」とは粒子を写真撮影した像の長径(a)とその像と同面積をもつ円の直径(b)の比(r)の粒子全体の平均値が1.2以下であることをいう。
【0014】
実用的には以下の方法で求める。マット剤を走査型電子顕微鏡で撮影し、粒子100個について長径(a)とその像と同面積を持つ円の直径(b)を測定した各粒子のrを計算する。粒子100個のrの平均値Rを求め、この値が1.2以下の場合そのマット剤は真球形であるということにする。
【0015】
本発明で用いることができるマット剤の平均粒径(上記b値の粒子にわたる平均値D)は0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmが好ましい。
【0016】
平均粒径が小さすぎるとマット剤の効果が無くなる。逆に大きすぎるとマット剤の剥落が起こったり、白ポツ故障が起こったりして都合が悪い。
【0017】
本発明で用いるマット剤では粒子の粒径分布幅は小さい方が好ましい。
【0018】
平均粒径Dに対して全粒子の60%以上が0.7D〜1.3Dの範囲、より好ましくは60%以上が0.8D〜1.2Dの範囲に入っていることが好ましい。粒子の粒径分布幅を小さくするため、湿式沈殿分級、風力分級などの方法で分級をしてもよい。
【0019】
本発明に好ましく用いられるシリカ微粒子は必要に応じて表面処理をしてもよい。表面処理については種々の方法が知られている。例えばシランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、さらにメカノケミストリーを利用した方法などがあるが、シランカップリング剤処理は好ましい方法である。
【0020】
本発明では、マット剤は、画像形成層を有する面のベック平滑度を上記範囲に規制することができるように、熱現像材料を構成する層のうち任意の層に添加して良い。画像形成層を有する面のベック平滑度を上記範囲に規制する上では表面保護層への添加が好ましい。一般に、好ましい添加層として、表面保護層、バック層、バック保護層などがある。特に表面保護層、バック保護層(バック面の最外層)に添加することが好ましい。
【0021】
本発明で用いるマット剤の添加量は熱現像材料の厚みや用いるマット剤の粒径によって変化するため一概には言えないが、材料1m2当たりの塗布量で示して、5〜200mg/m2、より好ましくは10〜100mg/m2が好ましい。添加量が少なすぎるとマット剤の効果がないし、多すぎるとヘイズが悪化して不都合である。
【0022】
マット剤を添加する層のバインダーとしては特に制限はない。疎水性ポリマー、親水性ポリマーのいずれも好ましく用いられる。疎水性ポリマーとしてはポリビニルブチラート、酢酸セルロース、ポリスチレン、塩化ビニルなどがある。親水性ポリマーとしてはゼラチン、ポリビニルアルコール、カゼイン、寒天、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどがある。
【0023】
マット剤を添加する層の厚みは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0024】
本発明で用いる熱現像材料は画像形成層に非感光性有機銀塩(以下、単に「有機銀塩」という)と、該有機銀塩の還元剤(以下、単に「還元剤」という)と、バインダーと、感光性ハロゲン化銀を含有する。
【0025】
また、このような画像形成層の形成には水性のポリマーラテックスを用いることが好ましく、画像形成層のバインダーは、50wt%以上が25℃60%RHにおける平衡含水率2wt%以下である。このような平衡含水率のバインダーを用いることによって高湿雰囲気下でのカブリの発生が抑制されやすくなる。
【0026】
したがって、画像形成層は、水性のポリマーラテックスを用いた塗布液によって形成されることになるが、このような塗布液には25℃60%RHにおける平衡含水率2wt%以下のバインダーが含有され、かつ溶媒の30wt%以上が水である塗布液である。これについては後に詳述する。
【0027】
このように本発明では、水系溶媒による画像形成層の塗布が可能になるので、有機溶剤を用いた塗布に比べ環境面、コスト面で好ましいものとなる。
【0028】
また本発明では熱現像材料の全層を水系溶媒による塗布により形成することもでき、環境面、コスト面で好ましいものとなる。
【0029】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0030】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1 〜2:1 、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0031】
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルト、水銀または鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1 種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1nモルから10m モルの範囲が好ましく、10n モルから100μモルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有量は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0032】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0033】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0034】
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1 モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5 モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3 モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0035】
本発明におけるハロゲン化銀調製法としては、有機銀塩の一部の銀を有機または無機のハロゲン化物でハロゲン化するいわゆるハライデーション法も好ましく用いられる。ここで用いる有機ハロゲン化物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有ればいかなるものでもよいが、N-ハロゲノイミド(N- ブロモスクシンイミドなど) 、ハロゲン化4級窒素化合物( 臭化テトラブチルアンモニウムなど) 、ハロゲン化4 級窒素塩とハロゲン分子の会合体( 過臭化臭化ピリジニウム) などが挙げられる。無機ハロゲン化合物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有ればいかなる物でもよいが、ハロゲン化アルカリ金属またはアンモニウム(塩化ナトリウム、臭化リチウム、沃化カリウム、臭化アンモニウムなど)、ハロゲン化アルカリ土類金属(臭化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、ハロゲン化遷移金属(塩化第2鉄、臭化第2銅など)、ハロゲン配位子を有する金属錯体(臭化イリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸アンモニウムなど)、ハロゲン分子(臭素、塩素、沃素)などがある。また、所望の有機無機ハロゲン化物を併用しても良い。
【0036】
本発明でハライデーションする際のハロゲン化物の添加量としては有機銀塩1モル当たりハロゲン原子として1mモル〜500mモルが好ましく、10mモル〜250mモルがさらに好ましい。
【0037】
本発明で用いる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および有機銀塩の還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70重量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0038】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S−アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3−(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物も使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4,761,361号および同第4,775,613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物をも使用することもできる。
【0039】
本発明に用いる有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0040】
本発明に用いる有機銀塩は、好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、円心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。
【0041】
本発明に用いる有機銀塩は粒子サイズの小さい、凝集のない微粒子を得る目的で、分散剤を使用した固体微粒子分散物とする方法が用いられる。有機銀塩を固体微粒子分散化する方法は、分散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル)を用い、機械的に分散することができる。
【0042】
有機銀塩を分散剤を使用して固体微粒子化する際には、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共重合体、などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー、特開昭52−92716号、WO88/04794号などに記載のアニオン性界面活性剤、特願平7−350753号に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤や、その他ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いることができる。
【0043】
分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末またはウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーとして分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコントロールしても良い。
【0044】
機械的に分散する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0045】
調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加することもできる。
【0046】
本発明で用いる有機銀塩は所望の量で使用できるが、材料1m2当たりの塗布量で示して、0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0047】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50%(モル)含まれることが好ましく、10〜40%(モル)で含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1モルに対して10〜50%(モル)と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0048】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が特開昭46−6074号、同47−1238号、同47−33621号、同49−46427号、同49−115540号、同50−14334号、同50−36110号、同50−147711号、同51−32632号、同51−1023721号、同51−32324号、同51−51933号、同52−84727号、同55−108654号、同56−146133号、同57−82828号、同57−82829号、特開平6−3793号、米国特許第3,667,9586号、同第3,679,426号、同第3,751,252号、同第3,751,255号、同第3,761,270号、同第3,782,949号、同第3,839,048号、同第3,928,686号、同第5,464,738号、独国特許第2321328号、欧州特許第692732号などに開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの、5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0049】
本発明で用いる還元剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0050】
画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1 モル当たりの0.1 〜50% (モル)の量含まれることが好ましく、0.5 〜20% (モル)含まれることがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0051】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤が特開昭46−6077号、同47−10282号、同49−5019号、同49−5020号、同49−91215号、同49−91215号、同50−2524号、同50−32927号、同50−67132号、同50−67641号、同50−114217号、同51−3223号、同51−27923号、同52−14788号、同52−99813号、同53−1020 号、同53−76020号、同54−156524号、同54−156525号、同61−183642号、特開平4−56848号、特公昭49−10727号、同54−20333号、米国特許第3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,941号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許第1380795号、ベルギー特許第841910号などに開示されている。色調剤の例は、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾール));ならびに3−エチル−5[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0052】
本発明で用いることができる色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段( 例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど) で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0053】
本発明における画像形成層(例えば乳剤層)のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン−スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組み合わせて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。
【0054】
本発明における画像形成層(例えば乳剤層)のバインダーとしては、疎水性ポリマーを水系溶媒に分散したものを用いても良い。ここでいう水系溶媒とは水または水に70wt%以下の水混和性有機溶剤を混合したものである。水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどを挙げることができる。具体的な溶媒組成としては、水/メチルアルコール=90/10または70/30または50/50、水/イソプロピルアルコール=90/10、水/ブチルセロソルブ=95/5、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=90/5/5または80/15/5(以上重量比)などがある。
【0055】
また、ここでいう「分散」とはポリマーが溶媒に熱力学的に溶解しておらず、ラテックス、ミセル状態、分子分散状態で水系溶媒に分散している状態をいう。
【0056】
本発明では、このような分散状態の水性のポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0057】
なお、本発明で用いることができるポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1 〜50000nm 、より好ましくは5 〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布をもつものでも単分散の粒径分布をもつものでもよい。
【0058】
本発明で用いることができるポリマーラテックスとしては通常の均一の構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0059】
本発明で用いることができるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0060】
本発明で用いるバインダーは、平衡含水率の下限には特に制限はないが、好ましくは0.01wt%であり、より好ましくは0.03wt%である。ここで「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは25℃60%RHの雰囲気で調湿平衡に達したポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて次式のように表すことができる。
【0061】
「25℃60%RHにおける平衡含水率」={(W1−W0)/W0}×100(wt%)
【0062】
本発明で用いることができるポリマーは前述の水系溶媒に分散可能であれば特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ゴム系樹脂(例えばSBR樹脂、NBR樹脂など)、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などがある。ポリマーとしてはホモポリマー、2種以上のモノマーが重合したコポリマーいずれでも良い。ポリマーとしては直鎖状のものでも分枝状のものでも良い。さらに、ポリマー同士が架橋されているものでも良い。ポリマーの数平均分子量としては1,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜500,000のものが望ましい。数平均分子量が1,000未満のものは一般に塗布後の皮膜強度が小さく、感光材料のひび割れなどの不都合を生じる場合がある。このなかで、上記のSBR樹脂に包含されるものでもあるが、スチレン−ブタジエン共重合体も好ましい。
【0063】
本発明に用いられる「スチレン−ブタジエン共重合体」とは、分子鎖中にスチレンとブタジエンを含むポリマーである。スチレン−ブタジエンのモル比は99:1〜40:60、さらには95:5〜50:50、特には90:10〜60:40が好ましい。
【0064】
本発明で用いることができる「スチレン−ブタジエン共重合体」としては、これ以外にメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの酸、またはアクリロニトリル、ジビニルベンゼンなどのその他のビニルモノマーを共重合してもよい。スチレン−ブタジエンは50重量%以上、さらには50〜99重量%、特には60〜97重量%存在することが好ましい。
【0065】
本発明で用いられる、スチレン−ブタジエン共重合体の分子量は数平均分子量が2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000の範囲が好ましい。
【0066】
本発明で用いることができるスチレン−ブタジエン共重合体は、通常はランダム共重合体であるが、これらの共重合体は直鎖ポリマーでもよいし、枝分れしたものでも架橋したものでもよい。そして、通常、0.01〜1μm 程度の平均粒径の粒子として用いる。
【0067】
本発明で用いることができるポリマーの具体例としては、アクリル樹脂ではセビアンA-4635、46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol LX811、814、820、821、857(以上日本ゼオン(株)製)などがあり、ポリエステル樹脂としてはFINETEX ES650、611、679、675、525、801、850(以上大日本インキ化学(株)製)、Wdsize WMS(イーストマンケミカル製)などがある。また、ゴム系(SBR)樹脂ないしスチレン−ブタジエン共重合体の具体例としては、まず以下のようなものがある。
P−1 −St70−Bu30−のラテックス(Mn=30000)
P−2 −St60−Bu37−MAA3−のラテックス(Mn=45000)
P−3 −St50−Bu40−AN7−AA3−のラテックス(Mn=70000)
P−4 −St70−Bu20−DVB5−MAA5−のラテックス(Mn=100000)
P−5 −St50−Bu30−AN15−IA5−のラテックス(Mn=60000)
【0068】
ここでの略号は以下に示すモノマーから誘導される構成単位を表し、数値は重量%であり、Mnは数平均分子量である。
St:スチレン,Bu:ブタジエン,MAA:メタクリル酸、AN:アクリロニトリル,AA:アクリル酸、DVB:ジビニルベンゼンIA:イタコン酸
【0069】
さらには、ラックスター3307B、DS−205、602、ラックスターDS203、7132C、DS807(以上大日本インキ化学(株)製)、ニッポール2507、Lx416、Lx433、Lx410、Lx430、Lx435(以上日本ゼオン(株)製)、DL−670、L−5702、1235(以上旭化成工業(株)などがある。
【0070】
本発明で用いるバインダーはこれらのポリマーを単独で用いてもよく2種以上混合して用いてもよい。
【0071】
本発明において、好ましく用いられるスチレン−ブタジエン共重合体をバインダーとするときの塗布液は上記の溶媒を用い固形分濃度が0.5〜12wt% 、より好ましくは1〜8wt% の範囲とすることが好ましい。
【0072】
バインダーの使用量の効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は重量比で15:1〜1:3、特に8:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0073】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0074】
赤色光への分光増感の例としては、He−Neレーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤色光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、特公昭55−39818号に記載の色素1から20、特開昭62−284343号に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物などが有利に選択される。
【0075】
750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3,761,279号、同第3,719,495号、同第3,877,943号、英国特許第1,466,201号、同第1,469,117号、同第1,422,057号、特公平3−10391号、同6−52387号、特開平5−341432号、同6−194781号、同6−301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。
【0076】
本発明に用いられる色素の構造として特に好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有するシアニン色素(例としては特開昭62−58239号、同3−138638号、同3−138642号、同4−255840号、同5−72659号、同5−72661号、同6−222491号、同2−230506号、同6−258757号、同6−317868号、同6−324425号、特表平7−500926号、米国特許第5,541,054号に記載された色素)、カルボン酸基を有する色素(例としては特開平3−163440号、同6−301141号、米国特許第5,441,899号に記載された色素)、メロシアニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素(特開昭47−6329号、同49−105524号、同51−127719号、同52−80829号、同54−61517号、同59−214846号、同60−6750号、同63−159841号、特開平6−35109号、同6−59381号、同7−146537号、同7−146537号、特表平55−50111号、英国特許第1,467,638号、米国特許第5,281,515号に記載された色素)が挙げられる。
【0077】
また、J−bandを形成する色素として米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号の実施例5記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号が開示されており、本発明に好ましく用いることができる。
【0078】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はResearch Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号等に記載されている。
【0079】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0080】
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0081】
本発明に用いる増感色素を本発明で用いるハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0082】
本発明における増感色素の使用量としては感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、画像形成層である感光層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0083】
本発明で用いる熱現像写真用乳剤は、支持体上の一またはそれ以上の層に含有される。本発明で用いる熱現像感光材料は、一層の構成は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含まなければならない。二層の構成は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4708928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4460681号に記載されているように、各乳剤層(感光層)の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0084】
本発明における画像形成層(感光層)には色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料を用いることができる。本発明における画像形成層(感光層)に用いる染料としてはいかなるものでもよいが、例えばピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドレアニリン染料、インドフェノール染料などが挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5−341441号記載の化合物1〜9、特開平5−165147号記載の化合物3−6〜18および3−23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5−341441記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5−289227号記載の化合物11〜19、特開平5−341441号記載の化合物47、特開平5−165147号記載の化合物2−10〜11など)およびアゾ染料(特開平5−341441号記載の化合物10〜16)が挙げられる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に熱現像材料1m2当り1μm以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0085】
本発明においてはアンチハレーション層を画像形成層である感光層に対して光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層は所望の波長範囲での最大吸収が0.3以上2以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5以上2以下の露光波長の吸収であり、かつ処理後の可視領域においての吸収が0.001以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有する層であることが好ましい。
【0086】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、このような染料は波長範囲で目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記アンチハレーション層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示されているが本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料としては特開昭59−56458号、特開平2−216140号、同7−13295号、同7−11432号、米国特許第5,380,635号記載、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3−24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料としては特開昭52−139136号、同53−132334号、同56−501480号、同57−16060号、同57−68831号、同57−101835号、同59−182436号、特開平7−36145号、同7−199409号、特公昭48−33692号、同50−16648号、特公平2−41734号、米国特許第4,088,497号、同4,283,487号、同4,548,896号、同5,187,049号がある。
【0087】
本発明における画像形成層(例えば乳剤層)もしくはその保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,274,782号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号に記載のように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0088】
本発明における画像形成層(感光層)、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としては、米国特許第4281060号、特開平6−208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許第4791042号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0089】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62−170950号、米国特許第5382504号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60−244945号、特開昭63−188135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3885965号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6−301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0090】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持対上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタおよび/またはα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0091】
本発明で用いる熱現像材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2861056号および同第3206312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3428451号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0092】
本発明で用いる熱現像材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7−13295号10頁左欄43行目から11頁左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1326889号、米国特許第3432300号、同第3698909号、同第3574627号、同第3573050号、同第3764337号および同第4042394号に例示されている。
【0093】
本発明における熱現像用写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2761791号および英国特許第837095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0094】
本発明で用いる熱現像材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明で用いる熱現像材料はその材料1枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の部材とならないことが好ましい。
【0095】
本発明で用いる熱現像材料は、通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては13秒以下であり、5〜10秒がさらに好ましい。
【0096】
本発明で用いる熱現像材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーど第2高調波発生素子などを用いることもできる。特に半導体レーザーの使用が好ましい。
【0097】
本発明で用いる熱現像材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開平5−113548号などに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させる技術や、WO95/31754号などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0098】
本発明で用いる熱現像材料を露光するにはSPIE vol.169 Laser Printing 116−128頁(1979)、特開平4−51043号、WO95/31754号などに開示されているようにレーザー光が重なるように露光し、走査線が見えないようにすることが好ましい。
【0099】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
実施例1(ハロゲン化銀粒子Aの調製)水700mlにフタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを溶解して温度40℃にてpHを5.3に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のモル比で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで硝酸銀55.4gを含む水溶液476mlと六塩化イリジウム酸二カリウムを8μモル/リットルと臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。沃化銀含有量コア8モル%、平均2モル%、粒子サイズ0.07μm、投影面積直径の変動係数8%、(100)面比率86%の立方体粒子であった。
【0101】
得られたハロゲン化銀粒子に対し、温度を60℃に昇温して、銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、2μモルの下記テルル化合物1、塩化金酸3.3μモル、チオシアン酸230μモルを添加し、120分間熟成した。その後温度を50℃に変更して下記増感色素Aをハロゲン化銀1モルに対して5×10ー4モル、下記増感色素Bを2×10ー4モル攪拌しながら添加した。更に沃化カリウムをハロゲン化銀に対して3.5モル%添加して30分攪拌し、30℃に急冷してハロゲン化銀粒子Aの調製を終了した。
【0102】
【化1】
【0103】
【化2】
【0104】
(有機銀塩微結晶分散物の調製)ベヘン酸40g、ステアリン酸7.3g、水500mlを温度92℃で19分間攪拌し、1NーNaOH187mlを15分間かけて添加し、1Nの硝酸水溶液61mlを添加して50℃に降温した。次に1N硝酸銀水溶液124mlを2分間かけて添加し、そのまま30分間攪拌した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、濾水の伝導度30μS/cmになるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分34.8g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール12gおよび水150mlを添加し、良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ840g用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて5時間分散し、電子顕微鏡観察により平均短径0.04μm,平均長径0.8 μm,投影面積変動係数30%の針状粒子である有機銀塩の微結晶分散物の調製を終了した。
【0105】
(素材固体微粒子分散物の調製)テトラクロロフタル酸、4−メチルフタル酸、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン,フタラジン、トリブロモメチルフェニルスルホンについて固体微粒子分散物を調製した。テトラクロロフタル酸に対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.81gと水94.2ml添加して良く攪拌してスラリーとして10時間放置した。その後、平均直径0.5 mmのジルコニア製ビーズを100 ml用意し、スラリーと一緒にベッセルに入れ、有機銀塩微結晶分散物の調製に用いたものと同じ分散機で5 時間分散してテトラクロロフタル酸の固体微粒子分散液を得た。その粒子径は70wt% が1.0 μm以下であった。その他の素材については適宜分散剤の使用量、および所望の平均粒子径を得るために分散時間を変更し、それぞれの素材について固体微粒子分散液を得た。
【0106】
(乳剤層塗布液の調製)先に調製した有機銀微結晶分散物(銀1モル相当)に対し、ハロゲン化銀粒子Aをハロゲン化銀10モル%/有機銀塩相当と、以下のポリマーラテックスおよび素材を添加して乳剤塗布液とした。
ラックスター3307B(大日本インキ化学工業(株)製;SBR ラテックス)430gテトラクロロフタル酸 5g1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 98gフタラジン 9.2gトリブロモメチルフェニルスルホン 12g4−メチルフタル酸 7g
【0107】
なお、ラックスター3307Bの25℃60%RHにおける平衡含水率は、0.6wt%であった。また、ラックスター3307Bはスチレン−ブタジエン系コポリマーを含有するポリマーラテックスであり、その分散粒子の平均粒径は0.1〜0.15μmである。
【0108】
(乳剤面保護層塗布液の調製)イナートゼラチン10gに対し、下記界面活性剤Aを0.26g、下記界面活性剤Bを0.09g、マット剤(真球度、粒径、添加量は、表1の通り)、1,2ー(ビスビニルスルホニルアセトアミド)エタン0.3g、水64gを添加して表面保護層とした。
【0109】
【化3】
【0110】
(発色剤分散物の調製)酢酸エチル35gに対し、下記化合物1、2をそれぞれ2.5g,7.5g添加して攪拌して溶解した。その液にあらかじめ溶解したポリビニルアルコール10重量%溶液を50g添加し、5分間ホモジナイザーで攪拌した。その後、酢酸エチルを脱溶媒で揮発させ、最後に水で希釈し、発色剤分散物を調製した。
【0111】
【化4】
【0112】
(バック面塗布液の調製)ポリビニルアルコール30gに対し、先に調製した発色剤分散物50g、下記化合物20g、水250g、マット剤(種類、添加量は表面保護層と同じにする)を添加してバック面塗布液とした。
【0113】
【化5】
【0114】
(乳剤層塗布試料の作成)上記のように調製した乳剤層塗布液を、青色染料で色味付けした175μmポリエチレンテレフタレート支持体上に銀が1.9g/m2となるように塗布した後、乳剤塗布層上に乳剤面保護層塗布液をゼラチンの塗布量が1.8g/m2となるように塗布した。乾燥後、乳剤層と反対の面上にバック面塗布液を660nmの光学濃度0.7となるように塗布した。塗布後半切サイズ(14インチ×17インチ)に裁断し四隅を丸めた(ラウンドコーナー)。
【0115】
このようにして得られた試料に対して、以下のようにして熱現像の濃度ムラを評価した。結果を表1に示す。なお、表面保護層側(乳剤面)およびバック層側(バック面)のベック平滑度を前述のようにして測定したが、これについても併記する。
【0116】
<熱現像の濃度ムラ>660nmのレーザーダイオードの2本合波で65mWパワーを持つレーザー露光装置で半切サイズの試料を13秒でスキャンし(65μmのビーム径、オーバーラップ係数1.6)、熱現像後の発色濃度が1.0になるように露光パワーを変えてサンプルを作り、以下の熱現像条件の処理をした。ヒートドラムは直径24cmのアルミコートした金属ドラムであり、中に遠赤外線ヒーターを有しており、このヒーターにより温度調節した。
(イ)8秒×135℃(135℃で8秒間現像)
(ロ)13秒×131℃(131℃で13秒間現像)
(ハ)20秒×128℃(128℃で20秒間現像)
(ニ)30秒×120℃(120℃で30秒間現像)
【0117】
処理後のサンプルの濃度ムラを目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0118】
○…ムラがなく良好△…少しムラあり(ただし実用上問題なし)
×…ムラがあり不可
【0119】
【表1】
【0120】
表1で明らかなように本発明の方法で現像した試料は熱現像の濃度ムラが少ないことがわかる。したがって、現像時間を13秒以下と短縮しても濃度ムラの発生がなく、処理の高速化を図ることができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、熱現像時間を短縮した場合においても画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。
Claims (5)
- 支持体の少なくとも一方の面に感光性ハロゲン化銀、バインダー、非感光性有機銀塩および該非感光性有機銀塩の還元剤を含有する画像形成層を有し、該画像形成層のバインダーの50 wt% 以上が25℃60%RHにおける平衡含水率が2 wt% 以下のものであり、前記画像形成層が、前記バインダーが分散した溶媒の30 wt% 以上が水である塗布液を用いて塗布後乾燥して形成したものであり、該画像形成層を有する面のベック平滑度が3000秒以下10秒以上である熱現像感光材料を、13秒以下で熱現像することを特徴とする画像形成方法。
- 前記画像形成層を水性のポリマーラテックスを用いて形成することを含む、請求項1に記載の画像形成方法。
- 半導体レーザーによって書き込むことを含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記支持体のバック面のベック平滑度を3000秒以上10秒以下とすることを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- さらに、表面保護層を有し、該表面保護層に平均粒径が0.3〜20μmのマット剤を含有させることを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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