JP2005147821A - センサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラム、および記録媒体 - Google Patents

センサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラム、および記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な操作で高精度なゼロ点調整できるセンサ信号処理装置を提供する。
【解決手段】被測定物との距離を検出するセンサ部2からのセンサ信号を信号処理して被測定物とセンサ部2との距離を表す測定信号を出力するセンサ信号処理装置3であって、センサ信号をセンサ部2と被測定物との距離に基づくギャップ検出信号S9に変換する信号変換部4と、測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロデジタル信号出力手段72と、ギャップ検出信号S9をゼロ信号から減算したゼロセット信号S14を生成する減算器73と、ゼロセット信号S14を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するレジスタ74と、レジスタ74に対してゼロセット信号S14の更新タイミングを指令するゼロセット指令部76と、ゼロセット信号S14とギャップ検出信号S9とを加算して測定信号として出力する加算器6とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、センサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体に関する。例えば、被測定物との距離を検出するセンサ部からのセンサ信号を処理するセンサ信号処理装置等に関する。
被測定物との距離を測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。この測定装置1は、図5に示されるように、被測定物100との距離を検出するセンサ部2と、センサ部2からのセンサ信号S1を信号処理して測定アナログ信号S6として出力するセンサ信号処理部3とを備える。センサ部2は、検出電極21を有し、被測定物表面101と検出電極21との間に生じる静電容量値Cの変化によって被測定物表面101との距離を検出する。静電容量値Cは被測定物表面101と検出電極21との距離dに対して反比例して変化する。
センサ信号処理部3は、センサ部2からのセンサ信号S1を線形化等の処理によってギャップ検出信号S4に変換する信号変換部4と、オフセット信号S5を発生させるオフセット信号発生手段5と、ギャップ検出信号S4にオフセット信号を加算して測定信号を出力する加算器6と、を備えている。
信号変換部4は、センサ部2の静電容量値Cの変化(センサ信号S1)に応じた交流信号S2を出力する交流検出手段41と、交流信号S2を整流して交流信号S2の振幅に応じた直流信号S3を出力する振幅抽出手段42と、直流信号S3をセンサ部2と被測定物表面101との距離dに応じて線形化してギャップ検出信号S4として出力するリニアライズ手段43と、を備えている。
交流検出手段41は、振幅一定の交流電圧を発生させる基準交流源411と、一方の電極が基準交流源411側に接続され他方の電極がセンサ部2側に接続された基準コンデンサ412とを備えている。基準交流源411からの交流電圧がセンサ部2と基準コンデンサ412とによって分圧されセンサ部2の静電容量に応じた振幅の交流信号S2が得られる。
オフセット信号発生手段5は、外部操作によって任意の電圧値を取り出して出力するポテンショメータ51を有する。
このような構成において、被測定物表面101とセンサ部2との距離に応じて変化する静電容量値がセンサ信号S1として信号変換部4に入力され、被測定物表面101とセンサ部2との距離dに応じて線形化されたギャップ検出信号S4が生成される。ここで、センサ部2と被測定物表面101とが所定距離dであるときのギャップ検出信号値S4に加算して測定アナログ信号S6を0Vとするオフセット電圧をオフセット信号発生手段5のポテンショメータ51を調整することによって発生させる。すると、ギャップ検出信号S4にオフセット電圧が加算器6で加算されてゼロ点調整(ゼロシフト)された測定アナログ信号S6が出力される。
図6に示される測定装置1は、信号変換部4が、交流検出手段41と、交流信号S2の振幅およびオフセットを調整(スパンシフト)して交流信号S7として出力する振幅オフセット調整手段44と、交流信号S7の振幅値をサンプリングしてデジタル信号S8に変換するAD変換器45と、デジタル信号S8を線形化してギャップ検出信号S9として出力する線形化手段46と、を備えて構成されている。
線形化手段46は、デジタル信号S8を被測定物表面101とセンサ部2との距離dに対応づけるROMテーブル461を有する。
また、オフセット信号発生手段5は、任意の値の信号値S10を出力するアブソリュートエンコーダ52と、信号値S10を線形化する線形化手段53とを備えている。アブソリュートエンコーダ52は、手動操作可能な操作部521を有し、操作部521による操作によって信号値S10は任意に調整される。線形化手段53は、信号値S10を線形データに対応づけるROMテーブル531を有する。加算器6には加算器6で加算された測定デジタル信号S12をアナログ変換するDA変換器8が接続され、DA変換器8から測定アナログ信号S6が出力される。
このような構成において、AD変換器45で信号をデジタル処理するとともに線形化手段46のROMテーブル461で線形データに対応づけるので、高次曲線に対応した高精度な線形化を図り、正確に被測定物表面101とセンサ部2との距離dを反映した測定アナログ信号S6を得ることができる。
特開平9−280806号 特開平7−113709号
センサ部2と被測定物表面101との距離dが所定値であるときの測定アナログ信号S6を0Vとするためには、ポテンショメータ51やアブソリュートエンコーダ52を操作してオフセット信号S5、S11をギャップ検出信号S4、S9に加算すればよい。しかしながら、ポテンショメータ51やアブソリュートエンコーダ52のメータを手動操作してゼロ点調整するには測定アナログ信号S6の値を見ながら微調整を繰り返す必要があり、多大な時間と手間を要し、それ相当の技量が要求される。また、手動の操作によってゼロ点調整を高精度に行うには限界があるという問題もある。
本発明の目的は、従来の問題を解消して、簡便な操作で高精度なゼロ点調整できるセンサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
請求項1に記載のセンサ信号処理装置は、検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理装置において、前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換部と、前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力手段と、前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算手段と、前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶手段と、前記ゼロセット信号記憶手段に対して前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令手段と、前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号と前記信号変換部からの前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成において、センサ部と検出対象との相関量が所定の基準量であるときの測定信号をゼロ点にセットしたい場合、まず、センサ部と検出対象とを所定の基準量に調整する。すると、センサ部から基準相関量に応じたセンサ信号が出力され、センサ信号は信号変換部にて例えば線形化等の処理により相関量に基づく検出信号に変換処理される。ゼロ信号出力手段からは測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号が出力される。減算手段により検出信号がゼロ信号から減算されてゼロセット信号が生成される。
この状態で、ゼロセット指令手段によりゼロセット信号記憶手段にゼロセット信号の更新を指令する。すると、減算手段で生成されたゼロセット信号がゼロセット信号記憶手段で記憶され、ゼロセット信号記憶手段から記憶されたゼロセット信号が継続して出力される。そして、加算器において信号変換部からの検出信号とゼロセット信号とが加算されると、加算器からはゼロ信号の値が出力されることになる。ゼロ信号がゼロ点に相当する信号値であるので、すなわち、測定信号はゼロ値になる。
センサ部と検出対象との相関量が変化された場合、ゼロセット信号記憶手段からは基準の相関量における測定信号をゼロ点にするゼロセット信号が出力されるので、検出信号にゼロセット信号が加算されることにより、基準相関量から変化した相関量に基づく測定信号が得られることになる。
ゼロセット指令手段によって指令を与えるだけで所定の相関量での測定信号をゼロ点に調整するゼロセット信号が自動的に生成される。よって、測定信号を見ながらゼロ点調整する必要はないので、手間が掛からず簡便にゼロ点調整できる。また、減算手段による演算処理によるので手動操作とは違って常に正確なゼロ点調整を行うことができる。
なお、センサ部が検出する被測定物との相関変化としては、被測定物との距離(ギャップ)、被測定物の表面凹凸、被測定物との接触圧、被測定物の温度などセンサ部によって電圧や電流等の変化として検出可能な相関量であればよい。
ここで、ゼロ信号出力手段に代えて、測定信号の所定値に相当する基準信号を出力する基準信号出力手段としてもよい。そして、基準信号出力手段は出力する基準信号の値を調整可能であってもよい。例えば、センサ部と検出対象との相関量が基準量に調整された状態で所定値に調整した基準信号が基準信号出力手段から出力されると、測定信号がセンサ部と検出対象との相関量に応じた所定値にシフトされる。すると、測定信号を相関量の絶対値として得たい場合でも簡便かつ高精度に測定信号を校正することができる。
請求項2に記載のセンサ信号処理装置は、請求項1に記載のセンサ信号処理装置において、前記信号変換部は、前記検出信号をデジタル信号として変換処理し、前記ゼロ信号出力手段は、前記ゼロ信号を前記測定信号のゼロ値に相当するデジタル信号として出力することを特徴とする。
請求項3に記載のセンサ信号処理装置は、請求項1に記載のセンサ信号処理装置において、前記信号変換部は、前記検出信号をアナログ信号として変換処理し、前記ゼロ信号出力手段は、前記ゼロ信号を前記測定信号のゼロ値に相当するデジタル信号として出力し、前記検出信号をデジタル変換して前記減算手段に出力するアナログ−デジタル変換手段と、前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号をアナログ変換して前記加算器に出力するデジタル−アナログ変換手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成において、センサ信号は信号変換部においてデジタル的に処理されてもよく、あるいはアナログ的に処理されてもよい。センサ信号がアナログ的に処理される場合にはAD変換手段でデジタル変換された後、減算手段においてゼロ信号からの減算が行われる。すなわち、ゼロセット信号はデジタルデータとして生成される。すると、減算する場合にデジタルデータ同士で演算するので正確な計算結果を得ることができる。また、ゼロセット記憶手段でゼロセット信号を記憶する場合にデジタルデータとして記憶するので、記憶が長期にわたって正確に保持される。よって、ゼロ点調整が正確であって、長期にわたって正確さを維持することができる。
請求項4に記載のセンサ信号処理方法は、検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理方法において、前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換工程と、前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力工程と、前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算工程と、前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶工程と、前記ゼロセット信号記憶工程での前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令工程と、前記ゼロセット信号記憶工程にて記憶されて出力された前記ゼロセット信号と前記信号変換工程にて変換された前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算工程と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、手間が掛からず簡便にゼロ点調整でき、また、減算手段による演算処理によるので手動操作とは違って常に正確なゼロ点調整を行うことができる。
請求項5に記載の測定機は、検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部と、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセンサ信号処理装置と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、上記の発明と同様の作用効果を奏する測定機を得ることができる。
請求項6に記載のセンサ信号処理プログラムは、検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理装置にコンピュータを組み込んでこのコンピュータに、前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換部と、前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力手段と、前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算手段と、前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶手段と、前記ゼロセット信号記憶手段に対して前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令手段と、前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号と前記信号変換部からの前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算手段としての各機能を実行させることを特徴とする。
請求項7に記載の記録媒体は、請求項6に記載のセンサ信号処理プログラムを記録したことを特徴とする。
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。さらに、CPU(中央処理装置)やメモリ(記憶装置)を有するコンピュータを組み込んでこのコンピュータに各機能を実現させるようにプログラムを構成すれば、各機能におけるパラメータを容易に変更することができる。そして、このプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに直接差し込んでプログラムをコンピュータにインストールしてもよく、記録媒体の情報を読み取る読取装置をコンピュータに外付けし、この読取装置からコンピュータにプログラムをインストールしてもよい。なお、プログラムは、インターネット、LANケーブル、電話回線等の通信回線や無線によってコンピュータに供給されてインストールされてもよい。
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の測定装置に係る第1実施形態を図1、図2を参照して説明する。
測定装置(測定機)1は、被測定物(検出対象)100との距離(相関状態)を検出するセンサ部2と、センサ部2からのセンサ信号S1を信号処理して測定アナログ信号(測定信号)S6として出力するセンサ信号処理部(センサ信号処理装置)3とを備える。
センサ部2は、被測定物表面101と静電容量結合する略円筒形状の第1電極211と、第1電極211の内部において第1電極211から所定の間隔を保って配置され第1電極211と静電容量結合する第2電極212とを備えて構成されている。
このような構成において、センサ部2を被測定物表面101に対して接近または離隔させると、被測定物表面101と第1電極211との静電容量結合により第1電極211に電荷が現れる。第1電極211に現れる電荷量は、被測定物表面101とセンサ部2との距離dに反比例する。さらに、第1電極211と第2電極212との容量結合によって第2電極212に第1電極211の電荷量に応じた電荷が現れる。
センサ信号処理部3は、センサ部2からのセンサ信号S1を線形化等の処理によってギャップ検出信号(検出信号)S9に変換する信号変換部4と、ギャップ検出信号S9に加算されるオフセット信号S11を発生させるオフセット信号発生手段5と、センサ部2と被測定物表面101との距離dが所定距離であるときの測定アナログ信号S6をゼロにするゼロセット信号(ゼロ信号)S14を発生させるゼロセット信号発生手段7と、ギャップ検出信号S9、オフセット信号S11およびゼロセット信号S14を加算して測定デジタル信号S15として出力する加算器(加算手段)6と、加算器6からの測定デジタル信号S15をアナログ変換して測定アナログ信号S6として出力するDA変換器(デジタル−アナログ変換器)8と、を備えて構成されている。
信号変換部4が、交流検出手段41と、振幅オフセット調整手段44と、AD変換器45と、線形化手段46と、を備え、線形化手段46がデジタル信号S8を被測定物表面101とセンサ部2との距離dに対応づけるROMテーブル461を有する点は背景技術(図6)に同様である。
オフセット信号発生手段5は、背景技術(図6)で説明したように、操作部を有するアブソリュートエンコーダと、ROMテーブルを有する線形化手段と、を備えた構成が利用できる。
ゼロセット信号発生手段7は、図2に示されるように、ゼロセット信号S14を発生させるゼロセット信号発生回路71と、ゼロセット信号発生回路71に外部から指令するゼロセット指令部(ゼロセット指令手段)76とを備えている。
ゼロセット信号発生回路71は、ゼロ値に相当する値のデジタルデータをゼロデジタル信号(ゼロ信号)S16として出力するゼロデジタル信号出力手段72と、加算器6からの測定デジタル信号S15をゼロデジタル信号から減算してゼロセット信号を生成する減算器(減算手段)73と、入力されるゼロセット信号S14を保持しつつ出力するとともにゼロセット指令部76にて指令される所定タイミングでゼロセット信号S14を更新するレジスタ(ゼロセット信号記憶手段)74と、ゼロセット指令部76からの指令を所定のタイミングに調整してレジスタ74に出力するディレイ回路75と、を備えて構成されている。
ゼロデジタル信号出力手段72は、ゼロ値に相当するデジタル信号をゼロデジタル信号S16として出力する。例えば、測定アナログ信号S6が−10Vから+10Vの領域でセンサ部2と被測定物表面101とのギャップを表す場合、ゼロデジタル信号出力手段72はゼロ値である0Vに相当するデジタル信号を出力する。ゼロ値に相当するデジタル信号S16は、DA変換器8の入出力変換によって決定される。ゼロデジタル信号S16は、接地された抵抗を有するディップスイッチ721を介して減算器73に入力される。
レジスタ74は、減算器73からのゼロセット信号S14が入力される入力端子741と、保持しているデータ(ゼロセット信号)をクリアさせる指令信号が入力されるクリア端子742と、ゼロセット信号の取り込みを指令する指令信号が入力されるトリガ端子743と、保持したゼロセット信号を出力する出力端子744と、を備えている。
ゼロセット指令部76は押動操作によって接点が接続されるボタンスイッチ761を有する。ゼロセット指令部76からの配線は二つに分岐しており、一方はクリア端子742に接続され、他方はディレイ回路75からインバータ回路751を経てトリガ端子743に接続されている。
このような構成において、センサ部2と被測定物表面101との距離dが所定距離であるときの測定アナログ信号S6をゼロ点に調整する動作について説明する。
まず、センサ部2を被測定物表面101に対して接近または離隔させて測定アナログ信号S6をゼロ点にしたい距離d(基準距離d0)に調整する。すると、センサ部2からこの基準距離d0に応じたセンサ信号S1が出力され、センサ信号S1は信号変換部4によって被測定物表面101とセンサ部2との距離dに応じて線形化されたギャップ検出信号S9に変換処理(信号変換工程)されて加算器6に出力される。オフセット信号発生手段5は、所定値のオフセット信号S11を発生させて加算器6に出力する。なお、オフセット信号S11は必ずしも必要ではないのでなくてもよい。あるいは、オフセット信号S11として測定アナログ信号S6をゼロ値にできるかぎり近づけるオフセットデータ値を出力させるようにしてもよい。
ゼロセット信号発生手段7からは、前回のゼロ点調整にて設定されたゼロセット信号が加算器6に向けて出力されている。
次に、ゼロセット指令部76のボタンスイッチ761を操作してゼロセット指令部76から指令信号を出力させる(ゼロセット指令工程)。すると、この指令信号は、レジスタ74のクリア端子742に入力される。クリア端子742に指令信号が入力されると、レジスタ74は保持しているゼロセット信号S14をクリア(リセット)して出力端子744からの出力は0となる。
この状態で、加算器6へは信号変換部4からのギャップ検出信号S9とオフセット信号発生手段5からのオフセット信号S11とが入力され、加算器6で加算された信号はゼロセット信号発生回路71へ出力される。また、ゼロデジタル信号出力手段72は、測定アナログ信号S6のゼロ点に相当するゼロデジタル信号S16を減算器に向けて出力している。すると、減算器73は、ギャップ検出信号S9とオフセット信号との加算結果である測定デジタル信号S15をゼロデジタル信号S16から減算(減算工程)してゼロセット信号S14を生成する。生成されたゼロセット信号S14は、レジスタ74の入力端子741に出力される。
レジスタ74のトリガ端子743にゼロセット指令部76からの指令がディレイ回路75で遅延されて入力されると、入力端子741から入力されているゼロセット信号S14がレジスタ74に記憶される(ゼロセット信号記憶工程)。そして、レジスタ74は、記憶したゼロセット信号S14を加算器6に向けて継続して出力する。
加算器6には、信号変換部4からのギャップ検出信号S9と、オフセット信号S11と、ゼロセット信号S14とが入力されている。
ここで、ゼロセット信号S14はギャップ検出信号S9とオフセット信号S11との和である測定デジタル信号S15をゼロデジタル信号S16から減算した値なので、加算器6からの出力はゼロデジタル信号S16の値となる。
ゼロデジタル信号S16の値である加算器6からの出力(測定デジタル信号S15)はDA変換器8でアナログ変換されて測定アナログ信号S6として出力される。ゼロデジタル信号S16がゼロ点に相当するデジタルデータ値であるので、DA変換された測定アナログ信号S6は0Vとなる。
センサ部2を被測定物表面101に対して接近または離隔させてセンサ部2と被測定物表面101との距離を変位させると、センサ部2からセンサ信号の値が変化する。レジスタ74からは基準距離d0における測定アナログ信号S6をゼロ点にするゼロセット信号S14が出力されているので、基準距離d0に対する被測定物表面101とセンサ部2との距離dの変位量が測定アナログ信号S6の値として出力される。
このような構成を備える第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)ゼロセット指令部76のボタンスイッチ761を押動操作するだけで、基準距離d0での測定信号をゼロ点調整するゼロセット信号S14が自動的に生成される。よって、測定信号を見ながらゼロ点調整する必要はないので、手間が掛からず簡便にゼロ点調整できる。また、減算器73等の演算処理によるので手動操作とは違って常に正確なゼロ点調整を行うことができる。
(2)正確なゼロ点調整によって被測定物表面101とセンサ部2とのギャップ変位を基準距離d0から変位として正確に測定することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る測定機の第2実施形態を図3、図4を参照して説明する。第2実施形態の基本的構成は第1実施形態に同様であるが、第2実施形態は、信号変換部4がセンサ信号をアナログ信号として処理する一方でゼロセット信号発生回路71はデジタル信号をして信号処理する点にある。
図3において、信号変換部4は、背景技術(図5)で説明した構成に同様であり、交流検出手段41と、振幅抽出手段42と、リニアライズ手段43とを備え、センサ信号S1をアナログ信号の状態で線形化したギャップ検出信号S4を加算器6に出力する。また、オフセット信号発生手段5としては背景技術(図5)で説明した通りポテンショメータ51を備えた構成を利用できる。
ゼロセット信号発生手段5は、図4に示されるように、ゼロセット信号発生回路71と、ゼロセット指令部76とを備え、ゼロセット信号発生回路71が、ゼロデジタル信号出力手段72と、減算器73と、レジスタ74とを備えている点は第1実施形態に同様である。
図4において、ゼロセット信号発生回路71は、加算器6からの測定アナログ信号S6をデジタル変換するAD変換器(アナログ−デジタル変換手段)77と、AD変換器77からの出力データをコード変換するコード変換手段78と、レジスタ74からのゼロセット信号S14をアナログ変換してゼロセットアナログ信号S17として加算器6に出力するDA変換器(デジタル−アナログ変換手段)79と、を備えている。
コード変換手段78は、AD変換器77による入出力変換をDA変換器79の入出力変換に一致させるコード変換表を含むROMテーブル781を有する。
このような構成において、被測定物表面101とセンサ部2との距離が基準距離d0であるときの測定アナログ信号S6をゼロ点に調整する場合、センサ部2と被測定物表面101との距離を基準距離d0にした状態でゼロセット指令部76を操作して指令信号をレジスタ74のクリア端子742に入力する。すると、レジスタ74に記憶されていたデータ値がクリアされてレジスタ74からの出力信号(S14)がゼロになる。加算器6には、信号変換部4にて信号処理されたギャップ検出信号S4とオフセット信号発生手段5からのオフセット信号S5とが入力されて加算器6によって加算される。
加算器6からの測定アナログ信号S6はゼロセット信号発生回路71に送られ、AD変換器77によるデジタル変換後にコード変換手段78でのコード変換処理を受けて減算器73に出力される。
減算器73によって、デジタルデータS18がゼロデジタル信号S16より減算されてゼロセット信号S14としてレジスタ74の入力端子741に出力される。レジスタ74のトリガ端子743にディレイ回路75によって遅延されたゼロセット指令部76からの指令信号が入力されると、レジスタ74は減算器73からのゼロセット信号S14を記憶して、記憶したゼロセット信号を出力し続ける。レジスタ74からのゼロセット信号S14はDA変換器79によってアナログ変換されてゼロセットアナログ信号S17として加算器6に出力される。
ゼロセットアナログ信号S17は、センサ部2と被測定物表面101との距離dが基準距離d0であるときの測定アナログ信号S6がゼロ点に対して有するオフセット量に相当するので、ギャップ検出信号S4とオフセット信号S5とゼロセットアナログ信号S17とが加算器6で加算されることにより、ゼロ点調整された測定アナログ信号S6が得られる。
センサ部2を被測定物表面101に対して接近または離隔させてセンサ部2と被測定物表面101との距離を変位させると、センサ部2からセンサ信号S1の値が変化する。ゼロセット信号発生回路71からは基準距離d0における測定アナログ信号S6をゼロ点にするゼロセットアナログ信号S17が出力されるので、基準距離d0に対する被測定物表面101とセンサ部2との距離dの変位量が測定アナログ信号S6の値として出力される。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)(2)に加えて次の効果を奏することができる。
(3)信号変換部4がセンサ信号S1をアナログ的に処理する場合であっても、ゼロセット信号発生回路71においてAD変換器77によりAD変換してデジタル的に処理する。すると、減算器73において演算処理が正確に行われるのでゼロ点調整が高精度に行われる。
(4)AD変換器77によってデジタル変換してゼロセット信号S14もデジタルデータとして生成されるので、ゼロセット信号S14をレジスタ74等の記憶手段で長時間に渡って記憶することができる。例えば、アナログ的に処理すると、サンプルアンドホールド回路のような短期の記憶手段によることになり、また、記憶した信号値が次第に変化するおそれもあるところ、デジタル処理であればデジタルデータ値として長時間にわたって正確に記憶することができる。よって、ゼロ点調整の結果を保持することにより、センサ部2と被測定物表面101との距離変化を基準距離d0に対して正確に測定することができる。
尚、本発明のセンサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラム、記録媒体は、上記実施形態にのみ限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
センサ信号処理部3から出力される測定信号はアナログ変換された測定アナログ信号S6として説明したが、デジタル信号の状態で測定信号として出力されてもよい。
ゼロセット指令部76からの指令信号は二つに分岐されて一方がクリア端子742に入力されるとともに他方がディレイ回路75で遅延されてトリガ端子743に入力されるとしたが、クリア端子742に接続されてレジスタ74のクリアを指令する操作手段と、トリガ端子743に接続されてレジスタ74でのデータの取り込みを指令する操作手段とは別個に設けられていてもよい。
オフセット信号発生手段5は特に必要がない場合には備えていなくてもよい。
本発明は、センサ信号処理装置、センサ信号処理方法、測定機、センサ信号処理プログラム、これを記録する記録媒体に利用できる。測定機としては、たとえば、静電容量型ギャップセンサが一例としてあげられる。
本発明の測定機に係る第1実施形態の機能ブロック図である。 前記第1実施形態において、ゼロセット信号発生手段の機能ブロック図である。 本発明の測定機に係る第2実施形態の機能ブロック図を示す図である。 前記第2実施形態においてゼロセット信号発生手段の機能ブロック図である。 従来の測定機の機能ブロック図である。 従来の測定機の機能ブロック図である。
符号の説明
1…測定装置(測定機)、100…被測定物、101…被測定物表面、2…センサ部、21…検出電極、211…第1電極、212…第2電極、3…センサ信号処理部(センサ信号処理装置)、4…信号変換部、41…交流検出手段、411…基準交流源、412…基準コンデンサ、42…振幅抽出手段、43…リニアライズ手段、44…振幅オフセット調整手段、45…AD変換器、46…線形化手段、461…ROMテーブル、5…オフセット信号発生手段、51…ポテンショメータ、52…アブソリュートエンコーダ、521…操作部、53…線形化手段、531…ROMテーブル、6…加算器(加算手段)、7…ゼロセット信号発生手段、71…ゼロセット信号発生回路、72…ゼロデジタル信号出力手段、721…ディップスイッチ、73…減算器(減算手段)、74…レジスタ(ゼロセット信号記憶手段)、741…入力端子、742…クリア端子、743…トリガ端子、744…出力端子、75…ディレイ回路、751…インバータ回路、76…ゼロセット指令部(ゼロセット指令手段)、761…ボタンスイッチ、77…AD変換器(アナログ−デジタル変換手段)、78…コード変換手段、781…ROMテーブル、79…DA変換器(デジタル−アナログ変換手段)、8…DA変換器、C…静電容量値、S1…センサ信号、S2…交流信号、S3…直流信号、S4…ギャップ検出信号、S5…オフセット信号、S6…測定アナログ信号、S7…交流信号、S8…デジタル信号、S9…ギャップ検出信号、S10…信号値、S11…オフセット信号、S12…測定デジタル信号、S14…ゼロセット信号、S15…測定デジタル信号、S16…ゼロデジタル信号、S17…ゼロセットアナログ信号

Claims (7)

  1. 検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理装置において、
    前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換部と、
    前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力手段と、
    前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算手段と、
    前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶手段と、
    前記ゼロセット信号記憶手段に対して前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令手段と、
    前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号と前記信号変換部からの前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算手段と、を備える
    ことを特徴とするセンサ信号処理装置。
  2. 請求項1に記載のセンサ信号処理装置において、
    前記信号変換部は、前記検出信号をデジタル信号として変換処理し、
    前記ゼロ信号出力手段は、前記ゼロ信号を前記測定信号のゼロ値に相当するデジタル信号として出力する
    ことを特徴とするセンサ信号処理装置。
  3. 請求項1に記載のセンサ信号処理装置において、
    前記信号変換部は、前記検出信号をアナログ信号として変換処理し、
    前記ゼロ信号出力手段は、前記ゼロ信号を前記測定信号のゼロ値に相当するデジタル信号として出力し、
    前記検出信号をデジタル変換して前記減算手段に出力するアナログ−デジタル変換手段と、
    前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号をアナログ変換して前記加算手段に出力するデジタル−アナログ変換手段と、を備える
    ことを特徴とするセンサ信号処理装置。
  4. 検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理方法において、
    前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換工程と、
    前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力工程と、
    前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算工程と、
    前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶工程と、
    前記ゼロセット信号記憶工程での前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令工程と、
    前記ゼロセット信号記憶工程にて記憶されて出力された前記ゼロセット信号と前記信号変換工程にて変換された前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算工程と、を備える
    ことを特徴とするセンサ信号処理方法。
  5. 検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部と、
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセンサ信号処理装置と、を備える
    ことを特徴とする測定機。
  6. 検出対象との相関状態を検出してセンサ信号を出力するセンサ部からの前記センサ信号を信号処理して前記検出対象と前記センサ部との相関変化量を表す測定信号を出力するセンサ信号処理装置にコンピュータを組み込んでこのコンピュータに、
    前記センサ部からの前記センサ信号を前記センサ部と前記検出対象との相関量に基づく検出信号に変換する信号変換部と、
    前記測定信号のゼロ値に相当するゼロ信号を出力するゼロ信号出力手段と、
    前記検出信号を前記ゼロ信号から減算したゼロセット信号を生成する減算手段と、
    前記ゼロセット信号を記憶しつつ出力するとともに指令されたタイミングで更新するゼロセット信号記憶手段と、
    前記ゼロセット信号記憶手段に対して前記ゼロセット信号の更新タイミングを指令するゼロセット指令手段と、
    前記ゼロセット信号記憶手段からの前記ゼロセット信号と前記信号変換部からの前記検出信号とを加算して前記測定信号として出力する加算手段としての各機能を実行させる
    ことを特徴とするコンピュータ読取可能なセンサ信号処理プログラム。
  7. 請求項6に記載のセンサ信号処理プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2021509178A (ja) * 2018-02-28 2021-03-18 ディーダブリュー・フリッツ・オートメーション・インコーポレイテッド 測定機器の為のトリガ管理デバイス

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