JP2005145959A - リン脂質膜製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 IgE抗体の産生を抑制して、実用上十分なIgG抗体の産生を増大させることを特徴とする免疫応答の調整機能を有しており、かつアレルギー治療又はアレルギー反応を起こし難いワクチンに用いることができるリン脂質膜製剤を提供すること。
【解決手段】 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とするリン脂質膜製剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とするリン脂質膜製剤に関する。さらに、その原材料であるリン脂質膜及びリン脂質組成物に関する。
ヒト、家畜及びペット等の動物で問題となっている、いわゆるアレルギー症状を引起こす物質としては、ダニ抗原、ブタクサ抗原、カモガヤ抗原、スギ花粉抗原等の主に環境因子として存在するもの、また卵、牛乳、ソバ、ピーナッツ、魚又は甲殻類等の食品中に存在するアレルゲンが知られている。これらのアレルギー患者又は患畜は、アレルゲンへの暴露を意図的に回避することが非常に難しく、有効な治療又は予防的な医療の提供が切望されている。アレルギーの発症は、抗体の1種であるIgE抗体の産生が原因であると考えられている。したがって、IgE抗体の産生抑制、又はIgE抗体の産生抑制とIgG抗体の産生増強とによって、アレルギー症状を治療や改善することができると考えられている。
アレルギー症の治療・改善を目的とする一つの技術として、減感作療法が知られている。減感作療法では、アレルギー症状が許容され得る範囲内で、少量のアレルゲン水溶液を繰り返し投与し、免疫応答(IgE抗体産生)の緩解を誘導することを目的とする。免疫応答の個体差、患者又は患畜のアレルギー症状の程度、長期間の治療を要するなど、減感作療法で一定の有効な効果を得るには非常に課題が多い。また、減感作療法は、免疫応答の緩解誘導を目的とする受動的な治療法であるため、有効な治療法として広く普及するには問題がある。
この減感作療法を改良したものとして、アレルゲンを特定のリポソームに内包し、アレルギー患者又は患畜に経口投与又は皮下注射して、患者又は患畜のアレルギー症状を緩解に導く治療法が知られている。しかしながら、該治療法も、減感作療法をより安全、有効及び快適にすることを目的としているため、減感作療法が基本としている免疫応答の緩解誘導を目的とする受動的な治療法である点で変わりはない。すなわち、積極的にIgG抗体とIgE抗体との産生バランスに働きかけるような、免疫能を調節する能動的な機能を持ち合わせていない。
更に、治療や改善を行なう際にリポソームを用いる方法としては、既知の反応性リン脂質を用いてアレルゲンをリポソームに結合させる方法も知られている。これらの技術は、IgE抗体の産生抑制とIgG抗体の産生増強効果を目的として取り組んだが、その免疫調節能が不十分であり、投与量が多くなるか、又は投与回数が多くなるなど、実用に耐え得る性能を有していない。
これらのアレルギー症状の治療改善手段は、アレルゲンに対する反応性を徐々に低下又は緩解させる受動的な技術(減感作療法)であるか、又はIgE抗体の産生抑制とIgG抗体の産生増強効果を目的とするものの十分な効果を有していない技術である。そのため、断続的かつ頻繁に投与するか、又は多量の投与を必要とし、治療行為が広く普及するためには未だ不十分な技術である。有効性が実用上充分に高く、しかも安全に用いることができるアレルギー治療や改善用の製剤開発が切望されている。
また、ヒト、家畜及びペット等の動物、更には魚類においては、ウイルス又は細菌等がその病原体となっている様々な感染症が疾病として知られている。このような感染症の予防のために、ワクチンが広く利用されている。このようなワクチンとしては、抗原溶液に水酸化アルミニウムを加えて抗原を不溶性とした水酸化アルミニウム混合ワクチン、いわゆる沈降ワクチンが多く使用されている。具体的には、沈降ジフテリアトキソイド、沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド、沈降破傷風トキソイド、沈降ハブ毒トキソイド、沈降B型肝炎ワクチン、沈降精製百日せきワクチン、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン等が実用化されている。
通常、ワクチンを接種すると、生体は免疫能を獲得し、IgG抗体の産生又は細胞性免疫によって抵抗力を発揮する。しかしながら、ワクチンを接種する際、好ましくない生体の免疫応答が起こる場合があり、その最たるものがワクチン接種時のアレルギー反応(接種反応)である。このアレルギー反応は、過剰なIgE抗体の産生によるものが殆どで、ワクチン接種箇所の赤斑や腫脹、全身系のショック症状等が起き、症状が著しい場合には生命の危機に繋がることもある。このように、感染症予防に繋がるIgG抗体の産生等の主たる免疫応答の他に、目的としない免疫応答としてアレルギー反応が起きることが、ワクチン接種時の大きな問題点となっている。
従来から、アレルギー反応の主たる原因物質としては、ワクチンに用いられている抗原自身、抗原中に含まれる成分(例えば、ウイルス培養液中の蛋白質等)又は前述した沈降ワクチンに用いられる水酸化アルミゲル等のアジュバント成分等が考えられているが、未だ十分に原因物質は特定されていない。このため、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体産生を抑制する技術も種々精力的に検討されているものの、実用上十分な効果を有する技術は未だ確立されていない。
近年、このような感染症予防の場面において、下記の技術が開示されている。抗原をリポソーム表面に既知の反応性リン脂質を用いて結合し、IgG抗体産生の増強とIgE抗体産生の抑制に取り組んだ技術である(特許文献1)。しかしながら、この技術はその免疫調節能が著しく低く不十分であり、投与量が多くなるか、又は投与回数が多くなる等、実用化するには課題が多い。すなわち、実用化されている水酸化アルミゲルをアジュバントとして用いたワクチンと上記リポソームとを、同等の抗原量を用いた場合のIgG抗体産生量を指標とした免疫誘導能で比較すると、上記リポソームはワクチンに比べて1/10程度効果が低い。したがって、上記リポソームがワクチンと同等の効果を得るためには、10倍量の注射が必要になるか、又は、10倍の頻回投与が必要と考えられ、実用化するには課題が多い。
また、生理活性物質又は抗原と結合した特殊な疎水性ペプチドをリポソーム膜に差し込むことで、表面に抗原を結合させたリポソームが知られている(特許文献2)。これは、種々の生理活性物質をリポソームの表面に結合したものであるが、ワクチンへの応用に近い例として、免疫能を増大させるサイトカインとして知られているγ−INFの産生増強効果を挙げている。しかしながら、上記文献には、このような特殊なペプチドを用いて生理活性物質をリポソームの表面に結合させた技術が、ワクチンとして応用可能であることは具体的に開示されていない。また、上記文献には、IgE抗体産生の抑制と、実用上十分なIgG抗体産生の増強効果について、全く未検討で具体的な解決手段は示されていない。更に、該技術においては、特殊なペプチドが生体から異物として認識されIgE抗体産生を誘導し、新たなアレルギー反応を誘導し得る危険性が高い。また、該ペプチドは、リポソーム等のリン脂質膜中で疎水環境を提供するアシル基又はコレステロールとの相性が悪く、製剤としての安定性を欠くか、又は生理活性物質結合ペプチドが膜から遊離し、生体に対する有効性が変化することが危惧される。
さらに、抗原に結合した疎水性ペプチドをリポソーム膜に差し込んだ抗原結合リポソームが知られている(特許文献3)。この技術においては、コレステロールが10%以下で、脂肪酸の炭素数が14〜18であるリン脂質からなるリポソームを用い、抗原を結合したペプチドをリポソーム膜に差し込んで抗原結合リポソームを得ている。更に、このようなリポソームを用いて、免疫試験として試験動物の生存率を測定しワクチン効果を評価している。したがって、このリポソームは、アレルギー反応が起き難いワクチンの提供を目的とするものではない。該技術においては、ペプチドの疎水性ドメインは15〜500個のアミノ酸を有しており、また炭素数14〜18の脂肪酸からなるリン脂質を用いるため、これらがリポソーム膜中で不安定となる危険性がある。このように上記技術は、アレルギー反応を誘導する危険性、製剤として安定性を欠くこと、更に、生体に対する有効性が変化する可能性が高い点など、多くの問題点を含んでいる。
前述した抗原又は生理活性物質を表面に結合したリポソームを用いた処方は、いずれも、アレルギー反応を起こし難いワクチンを開示していない。具体的には、実用上十分なIgG抗体の産生増強能を有し、更に、IgE抗体の産生抑制効果を開示しておらず、十分な感染予防効果を達成するためには、断続的に頻繁に投与するか、又は多量の投与を必要とし、治療行為が広く普及するためには未だ不十分な技術である。有効性が実用上十分に高く、しかも安全に用いることができるアレルギー反応を起こさないワクチン製剤の開発が切望されている。
特開平09−012480号公報 国際公開第02/098465号パンフレット 特表2002−526436号公報
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題はIgE抗体の産生を抑制して、実用上十分なIgG抗体の産生を増大させることを特徴とする免疫応答の調整機能を有しており、かつアレルギー治療又はアレルギー反応を起こし難いワクチンに用いることができるリン脂質膜製剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のリン脂質及び安定化剤を含有してなるリン脂質膜の表面に抗原又はアレルゲンを結合させたリン脂質膜製剤とすることで上記課題が解決されるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示すものである。
(1)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とするリン脂質膜製剤。
(2)上記リン脂質がジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール及びジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、サクシンイミジル−ジアシルホスファチジルエタノールアミン、及びマレイミド−ジアシルホスファチジルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)記載のリン脂質膜製剤。
(3)上記リン脂質がジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール及びジアシルホスファチジン酸から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする上記(1)記載のリン脂質膜製剤。
(4)イオン結合又は共有結合により、抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有することを特徴とする上記(1)記載のリン脂質膜製剤。
(5)上記安定化剤がコレステロールであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一に記載のリン脂質膜製剤。
(6)リン脂質膜製剤がリポソーム製剤であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一に記載のリン脂質膜製剤。
(7)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、を含有してなることを特徴とするリポソーム製剤。
(8)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.5モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する中性リン脂質0.1〜70モル%と、を含有してなることを特徴とするリポソーム製剤。
(9)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、反応性脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
(10)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
(11)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.5モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する中性リン脂質0.1〜70モル%と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
本発明によれば、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤とを含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とするリン脂質膜製剤が提供される。かかるリン脂質膜製剤は、IgE抗体の産生を抑制して、IgG抗体の産生を実用上十分に増大させる免疫応答調節機能を有する。このため、本発明のリン脂質膜製剤は、アレルギー症の治療・改善、感染症予防のためのワクチン接種の際に、アレルギー症状が起き難いという優れた効果を奏することができる。また、本発明のリン脂質膜製剤は、IgE抗体の産生抑制及びIgG抗体の産生増強効果が著しく高いため、低濃度の抗原を含むリン脂質膜製剤とすることができる。したがって、本発明のリン脂質膜製剤は、アレルギー症の治療・改善、感染症予防に用いるワクチンに有用である。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のリン脂質膜製剤は、ワクチン又はアレルギー治療に用いるリン脂質膜製剤であって、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合しているものである。
本発明のリン脂質膜製剤に用いられるリン脂質膜は、両親媒性界面活性剤であるリン脂質で構成されており、かかるリン脂質は極性基を水相側に向けて界面を形成し、疎水基が界面の反対側に向くという構造を有する。リン脂質膜の形態としては、リポソーム、リン脂質二重膜、リン脂質ミセル、リン脂質エマルジョン等が挙げられる。ここで、リポソームは、閉鎖空間を有するリン脂質の二重膜構造を有する。また、リン脂質二重膜は、不定型の二層構造を有する。リン脂質ミセル及びリン脂質エマルジョンは、リン脂質の一重膜構造を有する。これらの中でも、実用性、製剤設計の容易性、製造及び品質管理の簡便性等の点から、リポソーム又はリン脂質ミセルが好ましく、リポソームが最も好ましい。
本発明のリン脂質膜製剤に用いられるアレルゲンとしては、アレルギー症の原因となっているアレルゲン(アレルギー抗原)であれば、特に限定されるものではない。アレルギー症状を発症する対象としては、例えば、ヒト;犬、猫、小鳥等のペット;鶏、アヒル、豚、牛、羊等の家畜が挙げられる。アレルゲンとしては、ヒト及びそれ以外の動物のアレルゲンが挙げられる。これらのアレルゲンの具体例としては、ハウスダスト;ダニ抗原;ブタクサ抗原、カモガヤ抗原、スギ花粉抗原、ヨモギ抗原、カナムグラ抗原、ヒメガマ抗原等;米、小麦粉、ソバ粉等の穀類;牛乳、卵黄、卵白等の食品類;犬毛、猫毛、羽毛等の表皮類;カンジダ、アスペルギルス等の真菌類等が挙げられる。これらの中でも、アレルギーの症例数や、食品からの摂取の頻繁性等の点から、ダニ抗原、ブタクサ抗原、カモガヤ抗原、スギ花粉抗原、卵白(OVA)の抗原が好ましく使用される。上記アレルゲンは、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明のリン脂質膜製剤に用いられるワクチン用の抗原としては、ワクチンの抗原として使用できるものであればよく、具体的には、ヒト;犬、猫、小鳥等のペット;鶏、アヒル、豚、牛、羊等の家畜を対象として抗原となる物質が挙げられる。これらの抗原としては、例えば、破傷風、ジフテリア、ハブ毒等の各種トキソイド;インフルエンザ、ポリオ、日本脳炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、狂犬病、黄熱、水痘、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、腎症候性出血熱、テング出血熱、ロタウイルス感染症、パルボウイルス、コロナウイルス、ジステンバーウイルス、レプトスピラー、感染性気管支炎ウイルス、伝染性白血病ウイルス、エイズ等のウイルス;コレラ;ウイルス病秋やみ;BCG;マラリア等が挙げられる。これらの抗原のうち、ワクチン接種時のアレルギー反応が問題となっているヒトの抗原又はペットの抗原が好ましい。更には、ヒトにおける破傷風、ジフテリア、日本脳炎、ポリオ、風疹、おたふくかぜ;ペットにおけるパルボウイルス、コロナウイルス、ジステンバーウイルス、レプトスピラー、感染性気管支炎ウイルス、伝染性白血病ウイルス等の抗原がより好ましい。上記抗原は、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
抗原又はアレルゲンは蛋白質、ペプチド又は糖類等であり、それらが有する官能基を介してリン脂質膜の表面に結合することができる。かかる官能基としては、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、水酸基、ジスルフィド基又はメチレン鎖を有する炭化水素基からなる疎水基等が挙げられる。これらのうち、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、水酸基及びジスルフィド基は共有結合より、アミノ基及びカルボキシル基はイオン結合により、疎水基は疎水基同士の疎水結合により、抗原又はアレルゲンをリン脂質膜の表面に結合することができる。抗原又はアレルゲンは、蛋白質又はペプチドである場合が多いので、官能基の含有割合が高く実用化が簡便である。かかる観点から、抗原又はアレルゲンが有する官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、チオール基が好ましい。なお、抗原又はアレルゲンが糖類である場合には、同様の観点から水酸基を官能基として有することが好ましい。
抗原又はアレルゲンが有する官能基とリン脂質膜とを結合させるために、リン脂質膜は、アミノ基、サクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、カルボキシル基、水酸基、ジスルフィド基、メチレン鎖を有する炭化水素基からなる疎水基等の官能基を有することが望ましい。抗原又はアレルゲンは蛋白質又はペプチドである場合が多いので、それに対応するリン脂質膜が有する官能基としては、アミノ基、サクシンイミド基、マレイミド基が好ましい。抗原又はアレルゲンの有する官能基とリン脂質膜が有する官能基との組み合わせは、本発明の効果に影響しない範囲内において自由に選択することができるが、好ましい組み合わせとしては、それぞれ、アミノ基とアルデヒド基、アミノ基とアミノ基、アミノ基とサクシンイミド基、チオール基とマレイミド基が挙げられる。イオン結合及び疎水結合は、リン脂質膜への抗原又はアレルゲンの結合手順が簡便であり、リン脂質膜製剤の調製容易性の点から好ましい。また、共有結合は、リン脂質膜表面の抗原又はアレルゲンの結合安定性の点、あるいはリン脂質膜製剤を実用化する際の保存安定性の点から好ましい。本発明のリン脂質膜製剤は、リン脂質膜の表面に抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とする。これにより、実用段階において、例えば注射行為によって生体内に投与された後にも、抗原又はアレルゲンがリン脂質膜の表面に安定に結合しているため、本発明の効果をより高めることができる。このような観点から、抗原又はアレルゲンとリン脂質膜との結合としては共有結合が好ましい。
本発明のリン脂質膜製剤に用いられるリン脂質膜は、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなる。本発明で用いるリン脂質は、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する。炭素数10〜12のアシル基としては、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基が挙げられる。炭素数10〜12の炭化水素基としては、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。リン脂質としては、グリセロリン脂質を好適に使用することができる。この場合、リン脂質が有するグリセリン残基の1−位、及び2−位に結合するアシル基又は炭化水素基は、同一でも異なっていてもよい。工業的な生産性の観点から、グリセリン残基の1−位及び2−位は同一であることが好ましい。また、リン脂質としては、炭素数10〜12のアシル基を有するリン脂質を用いることが好ましい。なお、本明細書において、リン脂質とはその塩を含む概念である。塩としては、薬理的に許容される塩が好ましい。このような塩としては、リン脂質と無機塩基との塩、リン脂質とアンモニウム等の有機塩基との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの中では、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好適である。なお、リン脂質の塩は、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明においては、IgE抗体の産生を抑制して、実用上十分なIgG抗体の産生を増大させることを特徴とする免疫応答の調整機能を達成することを課題とする。実用上十分なIgG抗体の産生を増大させる点から、リン脂質は炭素数10〜12のアシル基を有することが好ましい。アシル基の炭素数が12を越えると、IgG抗体の十分な産生が達成され難くなる。また、アシル基の炭素数が10未満であると、リン脂質の疎水基の疎水結合力が小さくなり、またリン脂質とコレステロール等のリン脂質膜安定化剤との相性が低くなり、リン脂質膜としての安定性が低下する。炭素数10〜12のアシル基を有するリン脂質としては、酸性リン脂質、中性リン脂質、抗原又はアレルゲンを表面に結合させることのできる官能基を有する反応性リン脂質等が挙げられる。これらは、種々の要求に応じて、その種類、割合は適宜選択される。
酸性リン脂質としては、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール等のリン脂質を用いることができる。工業的な供給性、医薬品として用いるための品質等の点から、炭素数10〜12のアシル基を有する、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジン酸、及びジアシルホスファチジルイノシトールが好ましい。本発明が課題とするIgG抗体産生を実用上充分に増強する点、及び工業的な供給性、医薬品として用いるための品質等の点から、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロールが特に好ましく、更にIgG抗体産生を充分に増強する点から、ジアシルホスファチジルセリンが最も好ましい。
中性リン脂質としては、例えば、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するホスファチジルコリン等が挙げられる。本発明で用いることができる中性リン脂質は、本発明が課題として取り組むIgE抗体の産生抑制と、実用上十分なIgG抗体の産生増大とを達成できる範囲内において、その種類、割合を適宜選択して用いることができる。中性リン脂質は、酸性リン脂質、及び抗原又はアレルゲンが結合した脂質に比べて、リン脂質膜を安定化する機能が高く、膜の安定性を向上させ得る。かかる観点から、本発明のリン脂質膜製剤中に中性リン脂質を含有させることが好ましい。本発明が課題とするIgE抗体の産生抑制と、実用上十分なIgG抗体の産生増大とを達成するために用いる酸性リン脂質、抗原又はアレルゲンが結合した脂質及びリン脂質膜の安定化剤の含有量を確保した上で、中性リン脂質の使用量を決定できる。
本発明のリン脂質膜製剤においては、抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有することで、リン脂質膜の表面に抗原又はアレルゲンが結合したリン脂質膜製剤を得ることができる。この抗原又はアレルゲンが結合した脂質を得るために、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質を用いることができる。炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質としては、反応性の官能基を有するリン脂質、モノ又はジアシルグリセライド、脂肪酸、カチオン性脂質等が挙げられる。かかる反応性脂質は、種々の要求に応じて、その種類、割合を適宜選択することができる。なお、アシル基又は炭化水素基の炭素数が12を越える場合、及びかかる炭素数が10未満である場合には、前述と同様の理由により好ましくない。
反応性脂質としては、リン脂質膜中での安定性、工業的な供給性、医薬品として用いるための品質等の点から、炭素数10〜12のアシル基を有する反応性リン脂質が好ましく用いられる。反応性リン脂質としては、ジアシルホスファチジルエタノールアミン又はその末端変性体が挙げられる。また、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール及びこれらの末端変性体も用いることができる。工業的な入手性、抗原又はアレルゲンとの結合工程の簡便性、収率等の点から、ジアシルホスファチジルエタノールアミン又はその末端変性体を用いることが好ましい。ここで、「末端変性体」としては、例えば、ジアシルホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に2官能性の反応性化合物の一方の末端を結合させた化合物が挙げられる。
ジアシルホスファチジルエタノールアミンは、例えば、ジアシルホスファチジルコリンを原料に、ホスホリパーゼDを用いてコリンとエタノールアミンとを塩基交換反応させることで得ることができる。具体的には、まず、ジアシルホスファチジルコリンを溶解したクロロホルム溶液と、ホスホリパーゼD及びエタノールアミンを溶解した水とを適宜の比率で混合し粗反応物を得る。そして、粗反応物を、クロロホルム/メタノール/水の混合溶媒を用いてシリカゲルカラムで精製し目的のジアシルホスファチジルエタノールアミンを得ることができる。溶媒組成比等のカラム精製条件は、適宜選択して実施可能である。
2官能性の反応性化合物としては、ジアシルホスファチジルエタノールアミンのアミノ基と反応することができるアルデヒド基又はコハク酸イミド基を、少なくとも一方の末端に有する化合物を挙げることができる。アルデヒド基を有する2官能性の反応性化合物として、具体的には、グリオキサール、グルタルアルデヒド、サクシンジアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。これらの中では、グルタルアルデヒドが好ましい。コハク酸イミド基を有する2官能性の反応性化合物として、具体的には、ジチオビス(サクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコール−ビス(サクシンイミジルサクシネート)、ジサクシンイミジルサクシネート、ジサクシンイミジルスベレート、ジサクシンイミジルグルタレート等が挙げられる。
また、一方の末端にサクシンイミド基、他方の末端にマレイミド基を有する2官能性の反応性化合物としては、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホサクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)アセテート、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)プロピオネート、サクシンイミジル−4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホサクシンイミジル−4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)サクシンイミド、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)サクシンイミド等が挙げられる。これらの反応性化合物を用いると、マレイミド基を有するジアシルホスファチジルエタノールアミン末端変性体が得られる。以上のように、2官能性の反応性化合物の一方の末端の官能基をジアシルホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に結合させることで、ジアシルホスファチジルエタノールアミン末端変性体を得ることができる。
反応性脂質の使用方法の例としては、反応性脂質を含有するリン脂質組成物を調製し、次に抗原又はアレルゲンを加えて所定の処理を行うことで、抗原又はアレルゲンが結合した本発明のリン脂質膜製剤を得ることができる。また、予め反応性脂質に抗原又はアレルゲンを結合させた後、この脂質と、リン脂質及びリン脂質膜の安定化剤とを組み合わせてリン脂質膜を調製することにより、抗原又はアレルゲンが結合した本発明のリン脂質膜製剤を作製してもよい。
本発明においては、リン脂質膜の安定化剤として、ステロール類やトコフェロール類を用いることができる。ステロール類としては、一般にステロール類として知られるものであればよく、例えば、コレステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール等が挙げられる。これらの中では、入手性等の点から、コレステロールが特に好ましい。また、トコフェロール類としては、一般にトコフェロールとして知られるものであればよく、入手性等の点から、例えば、市販のα−トコフェロールが好ましい。
本発明のリン脂質膜製剤は、以下の組成であることが好ましい。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
本発明で用いる酸性リン脂質は、リン脂質膜の全構成成分に対して1〜99.6モル%含有することができる。かかる含有量が1モル%未満であると、ゼータ電位が小さくなりリン脂質膜の安定性が低くなり、また本発明が課題とするIgG抗体産生を充分に増強し難くなる。かかる含有量が99.6モル%を越えると、本発明の課題を達成するために必要な、抗原又はアレルゲンが結合した脂質及びリン脂質膜の安定化剤の含有量が不十分となる。かかる観点から、酸性リン脂質の含有量は、好ましくは2〜90モル%、更に好ましくは4〜80モル%、最も好ましくは5〜70モル%である。
中性リン脂質の含有量は、リン脂質膜の全構成成分に対して0〜80モル%であり、好ましくは0.1〜70モル%、更に好ましくは0.1〜60モル%、最も好ましくは0.1〜50モル%である。80.0モル%を越えると、本発明の課題を達成のために必要な酸性リン脂質、抗原又はアレルゲンが結合した脂質及びリン脂質膜の安定化剤を充分に用いることが困難となる。
本発明で用いる抗原又はアレルゲンが結合した脂質は、リン脂質膜の全構成成分に対して0.2〜80モル%含有することができる。0.2モル%未満であると、実用上十分なIgG抗体の産生増強を達成するために必要な、リン脂質膜に結合した抗原又はアレルゲンの量が不十分となる。80モル%を越えると、リン脂質膜の安定性が低下する。かかる脂質の含有量は、好ましくは1〜55モル%、更に好ましくは5〜50モル%である。
本発明で用いる反応性脂質は、リン脂質膜の全構成成分に対して0.2〜80モル%含有することができる。0.2モル%未満であると実用上十分なIgG抗体の産生増強を達成するために十分な量の抗原又はアレルゲンをリン脂質膜に結合させることができない。80モル%を越えるとリン脂質膜の安定性が低下する。かかる観点から、反応性脂質の含有量は、好ましくは1〜55モル%、更に好ましくは5〜50モル%である。
本発明に用いる抗原又はアレルゲンが結合した脂質は、前述した反応性脂質に抗原又はアレルゲンを結合させて得られるものである。反応性脂質が抗原又はアレルゲンと結合する割合は、本発明の効果を妨げない範囲内において、結合に用いる官能基の種類、結合処理条件等を適宜選択することができる。例えば、ジアシルホスファチジルエタノールアミンの末端アミノ基に2官能性の反応性化合物であるジサクシンイミジルサクシネートの一方の末端を結合させて得られるジアシルホスファチジルエタノールアミンの末端変性体を反応性リン脂質として用いる場合、結合処理等の諸条件の選択によって反応性リン脂質の10%以上、好ましくは10〜99%を抗原又はアレルゲンと結合させることができる。なお、抗原又はアレルゲンと結合していない反応性リン脂質は、酸性リン脂質となって本発明のリン脂質膜製剤に含有される。
本発明で用いることができるリン脂質膜の安定化剤は、リン脂質膜の全構成成分に対して0.2〜75モル%用いることができる。本発明の課題である実用上十分なIgG抗体の産生増強の点から、安定化剤の含有量は少ないほど好ましいが、もう一つの課題であるIgE抗体の産生抑制の点から、0.2モル%以上が好ましい。75モル%を越えると、リン脂質膜の安定性が損なわれる。安定化剤の含有量は、好ましくは1〜70モル%、より好ましくは5〜60モル%、更に好ましくは10〜55モル%である。
本発明のリン脂質膜製剤の好ましい態様としては以下の組成が挙げられる。なお、下記に示す組成物は合計100モル%となるものである。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質2〜90モル%と、リン脂質膜の安定化剤5〜60モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質1〜55モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質4〜80モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
リン脂質膜製剤が中性リン脂質を含有する場合、好ましい態様としては以下の組成が挙げられる。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%(好ましくは1〜99.5モル%)と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、中性リン脂質0.1〜70モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質2〜90モル%と、リン脂質膜の安定化剤5〜60モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質1〜55モル%と、中性リン脂質0.1〜60モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質4〜80モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
酸性リン脂質のアシル基又は炭化水素基の炭素数が10の場合には、以下の組成にすることが特に好ましい。
炭素数10のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
酸性リン脂質のアシル基又は炭化水素基の炭素数が10の場合には、以下の組成とすることが更に好ましい。
炭素数10のアシル基若しくは炭化水素基を有するジアシルホスファチジルセリン又はジアシルホスファチジルグリセロールの合計5〜40モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
酸性リン脂質のアシル基又は炭化水素基の炭素数11〜12の場合には、以下の組成にすることが好ましい。
炭素数11〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜製剤。
酸性リン脂質のアシル基または炭化水素基の炭素数11〜12の場合には、以下の組成とすることが更に好ましい。
炭素数11〜12のアシル基若しくは炭化水素基を有するジアシルホスファチジルセリン又はジアシルホスファチジルグリセロールの合計5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数11〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0〜50モル%と、含有してなるリン脂質膜製剤。
本発明においては、リン脂質及び抗原又はアレルゲンが結合した脂質に含有されるアシル基又は炭化水素基の炭素数が10〜12であることを特徴とするが、本発明の効果を妨げない範囲内で、10未満又は12を越えるアシル基又は炭化水素基を有する化合物を含んでもよい。例えば、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基の割合は、本発明のリン脂質膜製剤に含まれるすべてのアシル基又は炭化水素基の合計に対して、25モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは97モル%以上である。
また、本発明のリン脂質膜製剤はリン脂質を含有してなることを特徴とするものであるが、炭素数が10〜12であるものであれば、本発明の効果を妨げない範囲内で、リン脂質以外の脂質を含んでもよい。かかる脂質の含有量は、通常40モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲内において、リン脂質膜を構成することのできる、公知のリン脂質膜の構成成分を含んでいてもよい。本発明に用いることができるリン脂質膜は、構成成分としてリン脂質、反応性脂質、リン脂質膜の安定化剤、抗原又はアレルゲン等を用いて適宜配合や加工を行った後、これらを適当な溶媒に添加する等の方法で得ることができる。例えば、リン脂質膜がリポソームである場合、エクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波法、界面活性剤除去法、逆相蒸発法、エタノール注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法等の方法により製造することができる。なお、リン脂質膜がリン脂質ミセルである場合にも、前述と同様の方法により製造することができる。
また、本発明においてリポソームの形態は特に限定されないが、前述したリポソームの製造方法を適宜選択することにより、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソーム等の種々の大きさや形態を有するリポソームを製造することができる。本発明においてリポソームの粒径は特に限定されるものではないが、保存安定性等の点から、粒径は20〜600nmが好ましく、より好ましくは30〜500nm、更に好ましくは40〜400nm、特に好ましくは、50〜300nm、最も好ましくは70〜230nmである。なお、かかる粒径は平均粒径を意味し、動的光散乱法により測定することができる。
なお、本発明においては、リポソームの物理化学的安定性を向上させるために、リポソーム調製過程又は調整後に、リポソームの内水相及び/又は外水相に、糖類又は多価アルコール類を添加してもよい。特に、長期保存又は製剤化途上で保管が必要な場合には、リポソームの保護剤として糖又は多価アルコールを添加・溶解した後、凍結乾燥により水分を除いてリン脂質組成物の凍結乾燥物とすることが好ましい。
糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、イノシトール、リボース、キシロース等の単糖類;サッカロース、ラクトース、セロビオース、トレハロース、マルトース等の二糖類;ラフィノース、メレジトース等の三糖類;シクロデキストリン等のオリゴ糖;デキストリン等の多糖類;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらの糖類の中では単糖類又は二糖類が好ましく、中でもグルコース又はサッカロースは入手性の点からより好ましい。
多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン系化合物;ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール系化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビトール、マンニトール、平均分子量400〜10,000のポリエチレングリコールは入手の点から好ましい。なお、リポソームの内水相及び/又は外水相に含ませる、糖類又は多価アルコール類の濃度は、リポソーム液の全重量に対して、例えば1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
本発明のリン脂質膜製剤を作製する場合、リン脂質膜を作製した後、かかるリン脂質膜の表面に抗原又はアレルゲンを結合させることにより簡便にリン脂質膜製剤を得ることができる。例えば、リン脂質、リン脂質膜の安定化剤、及び膜表面に抗原又はアレルゲンを結合させるための反応性脂質を含有したリン脂質膜、例えば、リポソーム液を調製し、その外水相に前述した糖類の一つであるスクロースを2〜10重量%程度加えて溶解する。この糖添加製剤を10mlガラス製バイヤルに移して棚段式凍結乾燥機内に置き、−40℃等に冷却して試料を凍結した後、常法により凍結乾燥物を得る。ここで得た凍結乾燥物は、水分が取り除かれているため長期の保存が可能である。また、必要時に特定の抗原又はアレルゲンを加えて後の工程を実施することにより、本発明の最終的なリン脂質膜製剤を簡便に迅速に得ることができる。抗原又はアレルゲンとリン脂質膜との相互作用が強く安定性が低い場合等には、リン脂質膜の凍結乾燥物の段階で保存し、必要な際に抗原又はアレルゲンを結合して用いると非常に簡便である。
抗原又はアレルゲンを反応させる前の本発明のリン脂質膜として好ましい様態は、以下に示すものである。なお、下記に示す組成は合計100モル%となるものである。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
リン脂質膜の好ましい態様として以下の組成が挙げられる。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質2〜90モル%と、リン脂質膜の安定化剤5〜60モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質1〜55モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質4〜80モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
リン脂質膜として中性リン脂質を含有する場合には、好ましい態様として以下の組成が挙げられる。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%(好ましくは1〜99.5モル%)と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、中性リン脂質が0.1〜70モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質2〜90モル%と、リン脂質膜の安定化剤5〜60モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質1〜55モル%と、中性リン脂質0.1〜60モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質4〜80モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、中性リン脂質が0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10の酸性リン脂質を含有する場合には以下の組成が好ましい。
炭素数10のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
炭素数10の酸性リン脂質を含有する場合には、以下の組成が更に好ましい。
炭素数10のアシル基又は炭化水素基を有するジアシルホスファチジルセリン又はジアシルホスファチジルグリセロールの合計5〜40モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0.1〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
また、炭素数11〜12の酸性リン脂質を含有する場合には、以下の組成が好ましい。
炭素数11〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
また、炭素数11〜12の酸性リン脂質を含有する場合には、以下の組成が更に好ましい。
炭素数11〜12のアシル基若しくは炭化水素基を有するジアシルホスファチジルセリン又はジアシルホスファチジルグリセロールの合計5〜70モル%と、リン脂質膜の安定化剤10〜55モル%と、炭素数11〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質5〜50モル%と、中性リン脂質0〜50モル%と、を含有してなるリン脂質膜。
本発明のリン脂質膜製剤は、抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有してなることを特徴とする。抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有するリン脂質膜製剤を得る方法としては、次の(A)及び(B)による方法が挙げられる。
(A)リン脂質と、反応性脂質と、リン脂質膜の安定化剤とを含有するリン脂質膜を調製した後、これに抗原又はアレルゲン及び2官能性の反応性化合物を添加し、リン脂質膜中に含有される反応性脂質の官能基と、抗原又はアレルゲンの官能基とを、2官能性の反応性化合物を介して結合させる方法である。2官能性の反応性化合物としては、反応性脂質の末端変性体を調製する際に用いる化合物を同様に使用することができる。具体的には、アルデヒド基を有する2官能性の反応性化合物として、グリオキサール、グルタルアルデヒド、サクシンジアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。これらの中では、グルタルアルデヒドが好ましい。また、コハク酸イミド基を有する2官能性の反応性化合物として、ジチオビス(サクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコール−ビス(サクシンイミジルサクシネート)、ジサクシンイミジルサクシネート、ジサクシンイミジルスベレート、ジサクシンイミジルグルタレート等を使用することができる。更に、一方の末端にサクシンイミド基、他方の末端にマレイミド基を有する2官能性の反応性化合物として、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホサクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)アセテート、N−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)プロピオネート、サクシンイミジル−4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホサクシンイミジル−4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)サクシンイミド、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)サクシンイミド等を使用することができる。かかる2官能性の反応性化合物を使用すると、官能基としてマレイミド基を有するジアシルホスファチジルエタノールアミン末端変性体が得られる。
(B)リン脂質と、反応性脂質と、リン脂質膜の安定化剤とを含有するリン脂質膜を調製した後、これに抗原又はアレルゲンを添加し、リン脂質膜に含まれる反応性脂質の官能基と、抗原又はアレルゲンの官能基とを結合させる方法である。
上記(A)及び(B)における結合基の種類としては、例えば、イオン結合、疎水結合、共有結合が挙げられる。更に、共有結合の具体例としては、シッフ塩基結合、アミド結合、チオエーテル結合、エステル結合等が挙げられる。以上の2つのいずれの方法においても、リン脂質膜に含まれる反応性脂質に抗原又はアレルゲンを結合することができる。これにより、リン脂質膜中で抗原又はアレルゲンが結合した脂質が形成される。
上記(A)の方法において、原料となるリン脂質膜と抗原又はアレルゲンとを2官能性の反応性化合物で結合させる方法の具体例としては、例えば、シッフ塩基結合を利用することが可能である。シッフ塩基結合でリン脂質膜と抗原又はアレルゲンとを結合させる方法としては、例えば、アミノ基を表面に有するリン脂質膜を調製しリン脂質膜の懸濁液を得、かかるリン脂質膜の懸濁液に抗原又はアレルゲン蛋白質を添加した後、2官能性の反応性化合物であるジアルデヒドを加えて、リン脂質膜表面のアミノ基と抗原又はアレルゲン蛋白質のアミノ基とをシッフ塩基で結合させる方法が挙げられる。
この結合手順の具体例としては、例えば、次の方法が挙げられる。
(A−1)アミノ基を表面に有するリン脂質膜を得るために、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するジアシルホスファチジルエタノールアミンをリン脂質膜の原料脂質中に混合して、アミノ基がリン脂質膜表面に所定量存在するリン脂質膜を作製する。
(A−2)リン脂質膜の懸濁液に、抗原又はアレルゲンを添加する。
(A−3)次に、2官能性の反応性化合物としてグルタルアルデヒドを加え、所定時間反応させてリン脂質膜と抗原又はアレルゲンとの間にシッフ塩基結合を形成させる。
(A−4)その後、余剰のグルタルアルデヒドを失活させるために、アミノ基含有水溶性化合物としてのグリシンをリン脂質膜の懸濁液に加えて反応させる。
(A−5)ゲルろ過、透析、限外ろ過、遠心分離等の方法により、リン脂質膜に未結合の抗原又はアレルゲン、グルタルアルデヒドとグリシンとの反応物、余剰のグリシンを除去して、表面に抗原又はアレルゲンが結合したリン脂質膜の懸濁液を得る。
上記(B)の方法の具体例としては、アミド結合、チオエーテル結合、シッフ塩基結合、エステル結合等を形成することのできる官能基を有する反応性脂質をリン脂質膜に導入する方法が挙げられる。このような官能基の具体例としては、サクシンイミド基、マレイミド基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等が挙げられる。リン脂質膜に導入する反応性脂質の例としては、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するジホスファチジルエタノールアミンのアミノ基末端の末端変性物を用いることができる。
この結合手順の具体例としては、例えば、次の方法が挙げられる。
(B−1)炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するジホスファチジルエタノールアミンと、ジサクシンイミジルサクシネートの一方の末端とを公知の方法で反応させて、一方の末端にサクシンイミド基を有するジサクシンイミジルサクシネート結合ジホスファチジルエタノールアミンを得る。
(B−2)ジサクシンイミジルサクシネート結合ジホスファチジルエタノールアミンと他のリン脂質膜の構成成分とを公知の方法で混合して、表面にサクシンイミド基を有するリン脂質膜組成物を作製する。
(B−3)リン脂質膜組成物の懸濁液に、抗原又はアレルゲン蛋白質を加え、抗原又はアレルゲン蛋白質のアミノ基と、リン脂質膜の表面のサクシンイミド基とを反応させる。
(B−4)未反応の抗原又はアレルゲン、反応複製物を、ゲルろ過、透析、限外ろ過、遠心分離等の方法により除去して、抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有するリン脂質膜の懸濁液を得る。
リン脂質膜と抗原又はアレルゲンとを結合させる場合、抗原又はアレルゲンは主に蛋白質であるため、反応性基として含有されることが多いアミノ基又はチオール基を対象とすることが実用上好ましい。アミノ基を対象とする場合には、サクシンイミド基と反応させてシッフ塩基結合を得ることができる。また、チオール基を対象とする場合は、マレイミド基と反応させてチオエーテル結合を得ることができる。本発明のリン脂質膜製剤は、抗原又はアレルゲンが表面に結合したリン脂質膜製剤を含んでいるため、アレルギー治療又はアレルギー反応を起こし難いワクチンとして機能する。本発明のポソーム製剤は、経口、経皮、経粘膜、皮下、静脈、腹腔投与等の経路において用いることができる。
次に本発明のリン脂質膜製剤をアレルギー治療に用いる際の処方や用法について詳しく説明する。
前述のようにゲルろ過、透析、限外ろ過、遠心分離等の方法によって得られた本発明のリン脂質膜製剤は、抗原又はアレルゲンがリン脂質膜の表面に結合しているリン脂質膜製剤であり、懸濁状態にある。懸濁するための溶媒としては、水系溶媒、例えば、蒸留水;生理的食塩水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液等を使用できる。このような水系溶媒のpHは5〜10であり、好ましくは6〜8である。また、前述したリン脂質膜の懸濁液は、その後、真空乾燥、凍結乾燥等の処理により粉末化することができる。そして、粉末状態で保存し、使用時に上記水系溶媒等で分散して使用することができる。
本発明のリン脂質膜製剤を投与する時期は、アレルギー症状を呈している時点又はアレルギー症状を呈する前の時点のいずれの時点でも投与を開始することができる。アレルゲンに対する患者又は患畜の免疫応答の程度は、生来、接触してきた生活環境(環境因子)又は家系(遺伝因子)等によって大きな相違がある。このため、本発明のリン脂質膜製剤の投与量、投与期間及び投与回数は、患者又は患畜の各個体に応じて決定することが好ましい。具体的には、リン脂質膜製剤を投与し、暫時、血液中のアレルゲンに対するIgE抗体価を追跡測定することで、アレルギー治療の進行程度を把握し、投与量及び投与期間を決定することができる。投与頻度は、例えば、1週、2週、3週、4週、2ケ月、3ケ月、4ケ月、5ケ月、6ケ月、7ケ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月又は12ヶ月毎に実施することができる。非常に過敏なアレルギー因子を有する患者や患畜の場合には、本発明のリン脂質膜製剤を継続的に摂取し、アレルギー体質を改善することが好ましい。
本発明のリン脂質膜製剤を投与する時期は、感染症に罹患する前の時点であって、患畜が母体由来の移行免疫が低下する時期以降が好ましい時期として挙げられる。具体的には、ヒトにおいては2歳児以降、犬又は猫においては3週齢以降、豚又は牛においては5週齢以降が好ましい時期として挙げられる。新規かつ毒性の強い感染病原体が発生等した際には、必要な時期に、本発明のリン脂質膜製剤を摂取して、ワクチンの機能を発揮させることができる。リン脂質膜製剤の投与量、投与期間及び投与回数は、前述と同様の環境因子又は遺伝因子が影響し、患者又は患畜の各個体に応じて免疫応答の程度が大きく相違するので、各個体に応じて決定することが好ましい。具体的には、リン脂質膜製剤を投与し、暫時、血液中の抗原に対するIgG抗体価を追跡測定することで、感染症予防のためのワクチン療法の進行程度を把握することができる。投与頻度は、例えば、1週、2週、3週、4週、2ケ月、3ヶ月、4ケ月、5ヶ月、6ケ月、1年又は2年に一度等に実施することができる。抗体価の追跡には非常に労力を要する場合があるので、例えば、本発明のリン脂質膜製剤を定期的に投与し、感染症を予防することも可能である。
本発明のリン脂質膜製剤は、アレルギー治療薬又は感染症予防のためのワクチンとして用いる場合に、IgE抗体の産生を抑制し、実用上十分なIgG抗体の産生を増強するという特徴を有する。このような本発明の特徴をより具体化すると、従来該分野の医療行為に用いられている医薬製剤のいずれに比べても、IgE抗体(2次免疫後の抗体価)/IgG抗体(2次免疫後の抗体価)の比(以下、「IgE/IgG比」と略す)が著しく低く、更にIgGの抗体価が充分に高いことである。実用化例が多い水酸化アルミゲルをアジュバンドとして用いたワクチン等に対して、IgE/IgG比が著しく低いこと、更にIgGの抗体価が著しく高いことは、アレルギー治療又は感染症予防に用いるワクチンにおいて非常に重要で意義が高い。IgE/IgG比が著しく低いことは、アレルギー治療及び感染症予防のためのワクチン療法において、まさしくIgE抗体によるアレルギー症状の程度が低くなることを意味する。また、IgGの抗体価が著しく高いことは、アレルギー治療の場面ではIgE/IgG比を低下させることに更に貢献する。感染症予防のためのワクチン療法において、IgG抗体は感染症予防機能の主体の一つであり、IgGの抗体価はより高いことが好ましい。
本発明のリン脂質膜製剤は、著しく高いIgG抗体産生を達成できるので、より低濃度の抗原を含有する製剤としたとしても感染予防機能を達成することができる。生体にとって異物である抗原を含有するワクチン製剤は、抗原による種々な副作用や悪影響を回避することが永遠の課題である。この点、著しくIgG抗体産生能が高い本発明のリン脂質膜製剤は、抗原を低濃度レベルで用いることができるため、非常に好ましい技術である。ここで、上記「IgE/IgG比」とは、血中IgG抗体及びIgE抗体をELISA法で測定した場合のタイター(titer)の比を意味する。なお、IgG抗体及びIgE抗体の測定法が異なる場合でも、同様な概念からIgE/IgG比を用いて免疫調整能を評価すれば、IgE抗体の産生を抑制し、実用上十分なIgG抗体の産生を増大させることが確認できる。
以下、本発明で用いたELISA法について示す。
[ELISA法(IgG抗体検出)]
1)抗原によるプレートのコーティング
抗原を、1mg/mlの濃度で0.05M炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解し、96穴のアッセイプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
2)プレートのブロッキング
ウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という)を0.2Mリン酸緩衝液(pH7.2:以下、「PBS」という)に1mg/mlの濃度で溶解し、上記1)のプレートに100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
3)血清サンプル(1次抗体)の希釈、添加
1mg/mlの濃度でBSAを含むPBS(以下、「PBSA」という)中で水酸化アルミニウム−抗原、又は本発明のリン脂質膜製剤で免疫したマウス血清を10倍希釈から始めて2倍段階で11回希釈を行い、上記2)のプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
4)ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体溶液(2次抗体)の添加
上記3)のプレートをPBSにて3回洗った後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体のPBSA溶液を50μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
5)酵素基質溶液の添加
上記4)のプレートをPBSにて3回洗った後、クエン酸緩衝液に溶解したo−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(0.5mg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に15分間放置して、発色させる。発色後、2M硫酸を50μl/ウェルずつ分注して反応を停止する。
6)吸光度計を用いた測定
ELISA用プレートリーダーを用いて490nmの吸光で測定を行い、発色のエンドポイントを求めて、そのポイントでのサンプル血清の平均希釈倍率をもってELISAタイターとする(ELISAタイターをIgG抗体の定量値として用いる。)。
[ELISA法(IgE抗体検出)]
1)ラットモノクローナル抗体マウスIgE抗体によるプレートのコーティング
マウスIgE抗体に対するラットのモノクローナル抗体を0.05M炭酸緩衝液(pH9.0)で4μg/mlの濃度に調整したものを96穴のアッセイプレートに100μl/ウェルずつ分注し、37℃で3時間放置する。
2)プレートのブロッキング
ウシ血清アルブミン(BSA)を0.2Mリン酸緩衝液(pH7.2:PBS)に1mg/mlの濃度で溶解し、上記1)のプレートに100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
3)血清サンプル(1次抗体)の希釈、添加
1mg/mlの濃度でBSAを含むPBS(PBSA)中で、水酸化アルミニウム−抗原又は本発明のリン脂質膜製剤で免疫したマウス血清を10倍希釈から始めて2倍段階で11回希釈を行い、上記2)のプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
4)ビオチン化抗原の添加
上記3)のプレートをPBSにて3回洗った後、ビオチン化した抗原溶液のPBSA溶液(1μg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
5)ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液の添加
上記4)のプレートをPBSにて3回洗った後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液を100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置する。
6)酵素基質溶液の添加;
上記5)のプレートをPBSにて3回洗った後、クエン酸緩衝液に溶解したo−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(0.5mg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に15分間放置し、発色させる。発色後、2M硫酸を50μl/ウェルずつ分注して反応を停止する。
7)吸光度計を用いた測定;
ELISA用プレートリーダーを用いて490nmの吸光で測定を行い、発色のエンドポイントを求めて、そのポイントでのサンプル血清の平均希釈倍率をもってELISAタイターとする(ELISAタイターをIgEの定量値として用いる。)。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(リポソームの調製)
1)脂質混合粉末の調製
ジドデカノイルホスファチジルコリン0.7560g(1.2157mmol)、ジドデカノイルホスファチジルエタノールアミン0.5287g(0.9118mmol)、コレステロール0.8223g(2.1274mmol)及びジドデカノイルホスファチジルセリンNa塩0.3927g(0.6078mmol)をナス型フラスコに取り、クロロホルム/メタノール/水(65/25/4、容量比)混合溶剤50mlを入れ、40℃にて溶解した。次に、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で溶剤を留去し、脂質の薄膜を作った。更に注射用蒸留水を30ml添加し、攪拌して均一のスラリーを得た。このスラリーを液体窒素にて凍結させ、凍結乾燥機にて24時間乾燥させ脂質混合粉末を得た。
2)リポソームの調製
次に、別途作製した緩衝液(0.12mM Na2HPO4、0.88mM KH2PO4、0.25Mサッカロース、pH6.5、以下、「緩衝液」と略す)60mlを上記脂質混合粉末の入ったナス型フラスコ内に入れ、40℃にて攪拌しながら脂質を水和させ、リポソームを得た。次に、エクストルーダーを用いてリポソームの粒径を調整した。まず、得られたリポソームを8μmのポリカーボネートフィルタに通過させ、続いて5μm、3μm、1μm、0.65μm、0.4μm及び0.2μmの順にフィルターに通過させた。リポソーム粒子の平均粒径は、191nmであった(動的光散乱法による測定)。
(OVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)リポソーム製剤の調製
得られたリポソーム2mlを試験管に採取し、0.5mlのオボアルブミン(シグマ社製、試薬、以下、「OVA」という場合がある)溶液(12mg/ml)を加えた。次に、2.4%のグルタルアルデヒド溶液0.5mlを滴下した後、37℃の温浴上で1時間緩やかに混合し、リポソームの外水相側にオボアルブミンを固定化した。次に、2Mのグリシン−NaOH緩衝液(pH7.2)を0.5ml加え、溶液を4℃で一晩放置し、未反応のグルタルアルデヒドを失活させた。更に、この溶液をSepharose CL-4B(Pharmacia Biotech社、商標)を充填したカラムに通して、目的物を分画し、リン脂質膜の表面に抗原が結合したリポソーム懸濁液を得た。リポソーム懸濁液中のリン濃度を測定し(リン脂質テストWako)、リン脂質由来のリン濃度が2mMになるように緩衝液で希釈して濃度を調整し、OVA結合リポソーム懸濁液を得た。放射化ラベルしたOVAを用いて別途上記と同様の操作を行い、リポソームのリン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量を測定した結果、49μg/mlであった。
2)抗体産生試験
BALB/cマウス(メス、8週令、6匹/群)を使用し、腹腔内にOVA結合リポソーム懸濁液200μl/回を注射器で投与し、更に4週後に同様の方法により投与し2次免疫を行った。試験開始時から6週後まで、各週に血清を採取し、抗体価(IgG及びIgE)の推移をELISA法で測定した。
3)IgG抗体のELISA法による測定
免疫試験開始から6週目までに採取したマウス血清を用いて、以下の方法によりIgG抗体価を測定した。
a)抗原によるプレートのコーティング
オボアルブミンを、1mg/mlの濃度で0.05M炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解し、96穴のアッセイプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に一時間放置した。
b)プレートのブロッキングウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という)を0.2Mリン酸緩衝液(pH7.2:以下、「PBS」という)に1mg/mlの濃度で溶解し、上記a)のプレートに100μl/ウェルずつ分注し、室温に一時間放置した。
c)血清サンプル(1次抗体)の希釈、添加
1mg/ml濃度でBSAを含むPBS(以下、「PBSA」という)中で、抗原結合リポソーム製剤で免疫したマウス血清を10倍希釈から始めて2倍段階で11回希釈を行い、上記b)のプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に一時間放置した。
d)ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体溶液(2次抗体)の添加
上記c)のプレートをPBSにて3回洗った後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体のPBSA溶液を50μl/ウェルずつ分注し、室温に一時間放置した。
e)酵素基質溶液の添加
上記d)のプレートをPBSにて3回洗った後、クエン酸緩衝液に溶解して行い、o−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(0.5mg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に15分間放置して、発色させた。発色後、2M硫酸を50μl/ウェルずつ分注して反応を停止した。
f)吸光度計を用いた測定
ELISA用プレートリーダーを用いて490nmの吸光で測定を行い、発色のエンドポイントを求めて、そのポイントでのサンプル血清の希釈倍率をもってELISAタイターとした(ELISAタイターをIgG抗体の定量値として用いる)。
4)IgE抗体のELISA法による測定
免疫試験開始から6週目までに採取したマウス血清を用いて、以下の方法によりIgE抗体価を測定した。
a)ラットモノクローナル抗体マウスIgE抗体によるプレートのコーティング
マウスIgE抗体に対するラットのモノクローナル抗体を0.05M炭酸緩衝液(pH9.0)で4μg/mlの濃度に調整したものを96穴のアッセイプレートに100μl/ウェルずつ分注し、37℃で3時間放置した。
b)プレートのブロッキング
ウシ血清アルブミン(BSA)を0.2Mリン酸緩衝液(pH7.2:PBS)に1mg/mlの濃度で溶解し、上記a)のプレートに100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置した。
c)血清サンプル(1次抗体)の希釈、添加
1mg/mlの濃度でBSAを含むPBS(PBSA)中で、水酸化アルミニウム−抗原又は本発明のリポソーム製剤で免疫したマウス血清を10倍希釈から始めて2倍段階で11回希釈を行い、上記b)のプレートに50μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置した。
d)ビオチン化抗原の添加
上記c)のプレートをPBSにて3回洗った後、ビオチン化した抗原溶液のPBSA溶液(1μg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置した。
e)ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液の添加
上記d)のプレートをPBSにて3回洗った後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液を100μl/ウェルずつ分注し、室温に1時間放置した。
f)酵素基質溶液の添加
上記e)のプレートをPBSにて3回洗った後、クエン酸緩衝液に溶解したo−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(0.5mg/ml)を100μl/ウェルずつ分注し、室温に15分間放置して、発色させた。発色後、2M硫酸を50μl/ウェルずつ分注して反応を停止した。
g)吸光度計を用いた測定;
ELISA用プレートリーダーを用いて490nmの吸光で測定を行い、発色のエンドポイントを求めて、そのポイントでのサンプル血清の平均希釈倍率をもってELISAタイターとした(ELISAタイターをIgE抗体の定量値として用いる)。
5)抗体価の結果;
6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
(実施例8)
(リポソームの調製)
1)末端変性ホスファチジルエタノールアミンからなる反応性リン脂質(サクシンイミジル−ジデカノイルホスファチジルエタノールアミン)の合成
ジデカノイルホスファチジルエタノールアミン2g及びトリエチルアミン180μlをクロロホルム50mlに溶解及び添加し、容量300mlの4つ口フラスコに入れた。このフラスコ内をマグネットスタラーにより室温で攪拌しつつ、別に調製した2官能性の反応性化合物であるジサクシンイミジルサクシネート3gをクロロホルム80mlに溶解した溶液を、常法に従って4時間に亘って滴下し、ジデカノイルホスファチジルエタノールアミンのアミノ基にジサクシンイミジルサクシネートの片末端を反応させた。この粗反応溶液をナスフラスコに移し、エバポレータによって溶媒を留去した。次に、このフラスコに粗反応物を溶解できるだけのクロロホルムを少量加えて高濃度粗反応物溶液を得、クロロホルム/メタノール/水(65/25/1、容量比)で平衡化したシリカゲルを用いて常法に従ってカラムクロマトを行い、目的のジデカノイルホスファチジルエタノールアミンのアミノ基にジサクシンイミジルサクシネートの片末端が結合した画分のみを回収し、溶媒を留去して目的の反応性リン脂質であるサクシンイミジル−ジデカノイルホスファチジルエタノールアミンを得た。
2)脂質混合粉末の調製
ジドデカノイルホスファチジルコリン0.0337g(0.0541mmol)、上記1)で調製したサクシンイミジル−ジデカノイルホスファチジルエタノールアミン0.2165g(0.2705mmol)、コレステロール0.5021g(1.2986mmol)及びジドデカノイルホスファチジルセリンNa塩1.7477g(2.706mmol)をナス型フラスコに取り、クロロホルム/メタノール/水(65/25/4、容量比)混合溶剤50mlを入れ、40℃にて溶解した。次に、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で溶剤を留去し、脂質の薄膜を作った。更に注射用蒸留水を30ml添加し、攪拌して均一のスラリーを得た。このスラリーを液体窒素にて凍結させ、凍結乾燥機にて24時間乾燥させ脂質混合粉末を得た。
3)リポソームの調製
実施例1の「2)リポソームの調製」と同様の方法によりリポソームを調製した。リポソーム粒子の平均粒径は、181nmであった(動的光散乱法による測定)。
(OVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)得られたリポソーム1.5mlを試験管に採取し、別に調製した3mlのオボアルブミン(シグマ社製、試薬、以下、OVAという場合がある)溶液(1.25mM、緩衝液溶液)を加えた後、5℃で48時間穏やかに攪拌し反応させた。この反応液を、緩衝液で平衡化したSepharose CL-4Bを用いて常法に従ってゲル濾過した。なお、リポソーム画分は白濁しているので、目的画分は容易に確認できるが、UV検出器等で確認してもよい。得られたリポソーム懸濁液中のリン濃度を測定し(リン脂質テストWako)、リン脂質由来のリン濃度を2mMになるように緩衝液で希釈して濃度を調整しOVA結合リポソームの懸濁液を得た。リン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量は、38μg/mlであった。
2)実施例1と同様の方法により、抗体産生試験、IgG抗体のELISA法による測定及びIgE抗体のELISA法による測定を行った。6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
(実施例9)
(リポソームの調製)
1)末端変性ホスファチジルエタノールアミンからなる反応性リン脂質(マレイミド−ジドデカノイルホスファチジルエタノールアミン)の合成
実施例8の「1)末端変性ホスファチジルエタノールアミンからなる反応性リン脂質の合成」におけるジサクシンイミジルサクシネートをN−サクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)プロピオネートに代えたこと以外は、ジドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、トリエチルアミン及び2官能性の反応性化合物の使用モル数及び以後の手順も同様に行って、目的の反応性リン脂質であるマレイミド−ジドデカノイルホスファチジルエタノールアミンを得た。
2)脂質混合粉末の調製
ジデカノイルホスファチジルコリン1.0425g(1.8428mmol)、上記1)で調製したマレイミド−ジドデカノイルホスファチジルエタノールアミン0.2375g(0.3071mmol)、コレステロール0.8313g(2.1499mmol)及びジデカノイルホスファチジルグリセロールNa塩0.3888g(0.6143mmol)をナス型フラスコに取り、クロロホルム/メタノール/水(65/25/4、容量比)混合溶剤50mlを入れ、40℃にて溶解した。次に、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で溶剤を留去し、脂質の薄膜を作った。更に注射用蒸留水を30ml添加し、攪拌して均一のスラリーを得た。このスラリーを液体窒素にて凍結させ、凍結乾燥機にて24時間乾燥させ脂質混合粉末を得た。
3)リポソームの調製
実施例1の「2)リポソームの調製」と同様の方法によりリポソームを調製した。リポソーム粒子の平均粒径は、165nmであった(動的光散乱法による測定)。
(OVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)得られたリポソーム1.5mlを試験管に採取し、別に調製した3mlのオボアルブミン(シグマ社製、試薬、以下、OVAという場合がある)溶液(1.25mM、緩衝液溶液)を加えた後、5℃で48時間穏やかに攪拌し反応させた。この反応液を、緩衝液で平衡化したSepharose CL-4Bを用いて常法に従ってゲル濾過した。なお、リポソーム画分は白濁しているので、目的画分は容易に確認できるが、UV検出器等で確認してもよい。得られたリポソーム懸濁液中のリン濃度を測定し(リン脂質テストWako)、リン脂質由来のリン濃度を2mMになるように緩衝液で希釈して濃度を調整しOVA結合リポソームの懸濁液を得た。リン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量は、40μg/mlであった。
2)実施例1と同様の方法により、抗体産生試験、IgG抗体のELISA法による測定及びIgE抗体のELISA法による測定を行った。6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
(実施例2〜7及び10)
(リポソームの調製、及びOVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)表1に示したリン脂質及びコレステロールの各配合モル比に従い、実施例1と同様の方法により実施例2〜7及び10のリポソームを得た。次に、実施例2〜7及び10で得られたリポソームを用いて、実施例1と同様の方法により、各OVA結合リポソームの懸濁液を調製した。
実施例2〜7及び10で得られたリポソームの粒径(nm)は、それぞれ、188、171、149、151、154、155、147であった(動的光散乱法による測定)。
また、実施例2〜7及び10で得られたリポソームのリン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量(μg/ml)は、それぞれ、44、46、55、57、53、51、51あった。
2)実施例2〜7及び10で得られた各OVA結合リポソームの懸濁液について、実施例1と同様の方法により、抗体産生試験、IgG抗体のELISA法による測定及びIgE抗体のELISA法による測定を行った。6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
Figure 2005145959
PC:ジアシルフォスファチジルコリン、PS:ジアシルホスファチジルセリン、PG:ジアシルホスファチジルグリセロール、PE:ジアシルホスファチジルエタノールアミン、SI−PE:サクシンイミジル−ジアシルホスファチジルエタノールアミン、MI−PE:マレイミド−ジアシルホスファチジルエタノールアミン
(比較例1)
1)水酸化アルミゲル懸濁液の調製
別途作製した緩衝液(1.2mM Na2HPO4、8.8mM KH2PO4、pH6.5)に、500μg/mlとなるようにOVAを溶解し、このOVA溶液1mlを、常法に従って調製した水酸化アルミゲル(500μg/ml)懸濁液9mlに加えて、OVA−水酸化アルミゲル懸濁液を調製した。このOVA−水酸化アルミゲル懸濁液のOVA濃度は、50μg/mlであった。
(水酸化アルミゲル懸濁液の投与免疫試験)
2)抗体産生試験
実施例1のリポソーム製剤に代えて上記1)で調製したOVA−水酸化アルミゲル懸濁液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により抗体産生試験を実施し、開始時から6週後まで、各週に血清を採取し、抗体価(IgG及びIgE)の推移をELISA法で測定した。
3)IgG抗体のELISA法による測定
上記2)で得られた免疫試験開始から6週目までに採取したマウス血清を用い、実施例1と同様の手順でIgG抗体価を測定した。その結果を表3に示した。
4)IgE抗体のELISA法による測定
上記3)で得られた免疫試験開始から6週目までに採取したマウス血清を用い、実施例1と同様の手順でIgE抗体価を測定した。その結果を表3に示した。
5)抗体価の結果
6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
Figure 2005145959
PC:ジアシルフォスファチジルコリン、PS:ジアシルホスファチジルセリン、PG:ジアシルホスファチジルグリセロール、PE:ジアシルホスファチジルエタノールアミン、SI−PE:サクシンイミジル−ジアシルホスファチジルエタノールアミン、MI−PE:マレイミド−ジアシルホスファチジルエタノールアミン
(比較例2〜5及び8)
(リポソームの調製、OVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)表2に示したリン脂質及びコレステロールの各配合モル比に従い、実施例1と同様の方法により、比較例2〜5及び8のリポソームを得た。次に、比較例2〜5及び8のリポソームを用いて、実施例1と同様の方法により、各OVA結合リポソームの懸濁液を調製した。
比較例2〜5及び8で得られたリポソームの粒径(nm)は、それぞれ、263、248、242、218、251であった(動的光散乱法による測定)。
また、比較例2〜5及び8で得られたリポソームのリン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量(μg/ml)は、それぞれ、45、50、53、56、46であった。
2)比較例2〜5及び8で得られた各OVA結合リポソームの懸濁液について、実施例1と同様の方法により、抗体産生試験、IgG抗体のELISA法による測定及びIgE抗体のELISA法による測定を行った。6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
(比較例6及び7)
(リポソームの調製、OVA結合リポソームの懸濁液による投与免疫試験)
1)表2に示したリン脂質及びコレステロールの各配合モル比に従い、実施例8及び9と同様の方法により、比較例6及び7のリポソームを得た。次に、比較例6及び7で得られたリポソームを用いて、実施例8及び9と同様の方法により、各OVA結合リポソームの懸濁液を得た。
比較例6及び7で得られたリポソームの粒径(nm)は、それぞれ、252、255であった。
また、比較例6及び7で得られたリポソームのリン脂質由来のリン濃度が2mMの時のOVAの結合量(μg/ml)は、それぞれ、39、38であった。
2)比較例6及び7で得られた各OVA結合リポソームの懸濁液について、実施例1と同様の方法により、抗体産生試験、IgG抗体のELISA法による測定及びIgE抗体のELISA法による測定を行った。6週目のIgG及びIgEの抗体価、及びその抗体価から算出したIgE/IgG比を、表3に示した。
Figure 2005145959
表3において、免疫試験結果の各評価基準は次の通りである。
1)IgG抗体については、△:150以上500未満、○:500以上800未満、◎:800以上、×:150未満とした。
2)IgE/IgG比については、◎;0.001以下の場合、○;0.001を越えて0.005以下の場合、△;0.005を越えて0.010以下の場合、×;0.010を越える場合とした。
3)総合評価
IgG抗体価又はIgE/IgG比において、一つ以上の「×」又は「△」の評価があるものの総合評価を「×」とした。それ以外は、総合評価を「◎」とした。
実施例1〜10のリポソーム製剤は、IgG抗体価からIgG抗体の産生が実用上十分に増強されており、またIgE/IgG比からIgE抗体の産生が抑制されていることが確認された。しかも、これらの性能が同時に満足していることが確認された。
この結果から、上記リポソーム製剤は免疫応答調節機能を有することが確認された。このことから、上記リポソーム製剤は、アレルギー症状の起き難いワクチン又はアレルギー治療に用いられるリン脂質膜製剤として好適である。

Claims (11)

  1. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなるリン脂質膜の表面に、抗原又はアレルゲンが結合していることを特徴とするリン脂質膜製剤。
  2. 前記リン脂質がジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール及びジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、サクシンイミジル−ジアシルホスファチジルエタノールアミン、及びマレイミド−ジアシルホスファチジルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のリン脂質膜製剤。
  3. 前記リン脂質がジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール及びジアシルホスファチジン酸から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1記載のリン脂質膜製剤。
  4. イオン結合又は共有結合により、抗原又はアレルゲンが結合した脂質を含有することを特徴とする請求項1記載のリン脂質膜製剤。
  5. 前記安定化剤がコレステロールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリン脂質膜製剤。
  6. リン脂質膜製剤がリポソーム製剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリン脂質膜製剤。
  7. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、を含有してなることを特徴とするリポソーム製剤。
  8. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.5モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有し、かつ抗原又はアレルゲンが結合した脂質0.2〜80モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する中性リン脂質0.1〜70モル%と、を含有してなることを特徴とするリポソーム製剤。
  9. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有するリン脂質と、反応性脂質と、リン脂質膜の安定化剤と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
  10. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.6モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
  11. 炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する酸性リン脂質1〜99.5モル%と、リン脂質膜の安定化剤0.2〜75モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する反応性脂質0.2〜80モル%と、炭素数10〜12のアシル基又は炭化水素基を有する中性リン脂質0.1〜70モル%と、を含有してなることを特徴とするリン脂質膜。
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