JP2005145429A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 主として800〜2500Hzの振動域の騒音を減じる。
【解決手段】 カーカス6、ベルト層7、バンド層9、及びベルト層7外方部とカーカス6との間に配置されるクッションゴム10を具る。最大巾を有する第1のベルトプライ7p1の中央域7pAは、円弧半径CArが200〜800mmの凸曲線CAからなり、かつ2番目に巾広の第2のベルトプライ7p2よりはみ出す張出し域7pEは、円弧半径CErがCArの0.025〜0.40倍の凹曲線CEからなる。第1のベルトプライ7p1の巾W7p1はタイヤ接地巾WTの85〜105%、かつ前記張出し域7pEのタイヤ軸方向長さL7pEは前記巾W7p1の5〜15%、第1のベルトプライ7p1の外端7p1eからトレッド面2Sまでのタイヤ半径方向距離T2と、タイヤ赤道qでのトレッドゴムの厚さTqとの比T2/Tqを0.60〜1.00とする。
【選択図】図1
【解決手段】 カーカス6、ベルト層7、バンド層9、及びベルト層7外方部とカーカス6との間に配置されるクッションゴム10を具る。最大巾を有する第1のベルトプライ7p1の中央域7pAは、円弧半径CArが200〜800mmの凸曲線CAからなり、かつ2番目に巾広の第2のベルトプライ7p2よりはみ出す張出し域7pEは、円弧半径CErがCArの0.025〜0.40倍の凹曲線CEからなる。第1のベルトプライ7p1の巾W7p1はタイヤ接地巾WTの85〜105%、かつ前記張出し域7pEのタイヤ軸方向長さL7pEは前記巾W7p1の5〜15%、第1のベルトプライ7p1の外端7p1eからトレッド面2Sまでのタイヤ半径方向距離T2と、タイヤ赤道qでのトレッドゴムの厚さTqとの比T2/Tqを0.60〜1.00とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、小型トラック用及び乗用車用として好適であり、小型トラック用タイヤの場合800〜2500Hzの振動域、乗用車用タイヤの場合200〜500Hzの振動域のタイヤ騒音を低減しうる空気入りラジアルタイヤに関する。
ベルト層のタイヤ半径方向外側に、コードをタイヤ周方向に配列したバンドプライからなるバンド層を設けたタイヤが、特に乗用車用ラジアルタイヤ、小型トラック用ラジアルタイヤ等として多用されている。なおバンドプライとしては、例えばベルト層の外端部のみを覆うエッジバンドプライ、ベルト層全体を覆うフルバンドプライ等があり、これらを単独、或いは併用してバンド層が形成される。
これらのバンド構造は、タイヤを構成するコンポーネントの内、タイヤトレッドが相対的に重量が大であることによって加わる遠心力により、トレッド全体がタイヤ半径方向外方に膨張し、その結果ベルト層に生じる歪に伴う、車両の高速走行時の、ベルトコードとゴムとの接着破壊によるタイヤ損傷を防ぐため、ベルト層のタイヤ半径方向外方に配置される。これによりトレッドのタイヤ半径方向外方への膨張を抑止して、タイヤの構造耐久性能を向上させうる。
他方、車両の静粛化の要請に伴い、タイヤの騒音の低減が要請され、例えば特許文献1は、正規内圧充填前のカーカスラインのプロファイルを特定し、タイヤの形状自体を選定することによって騒音を防止しようとしている。又トレッドパターンにより、耳障りな騒音を抑制するものなど、タイヤ騒音防止に関する多くの技術が提案されている。
ところで、このバンド層がタイヤの構造耐久性能向上のみならず、タイヤ騒音の低減に効果があることが判明し、例えば特許文献2は、バンド層と組合わせて、ベルト層のクラウン領域とショルダー領域との間に各領域が互いに折れ曲がる折曲げ点を設けることにより、ベルト層に対する拘束力を高めて高速耐久性能を向上させるだけでなく、トレッド剛性の増加によって振動伝達特性が変化し、振動伝達率のピークをより高周波数側に移行させるなど車両の振動伝達率のピークとの間にズレを生じせしめロードノイズ性能を向上させるタイヤを提案している。
なお、特許文献3は、ショルダー部摩耗の改善のためにベルト層の少なくとも一端側を、タイヤ外方に曲率中心を有する凹円弧状に湾曲させたものを記載している。
しかしながら、特許文献2は、バンド層を用いて低騒音化することを記載しているが、この特許文献2はバンド層と、ベルト層のクラウン領域とショルダー領域との間に折れ曲がりを設けることを要旨としている。なお、特許文献3は、ベルト層の少なくとも一端側を、凹円弧状に湾曲させたものを記載するが、このものは、前記のようにショルダー摩耗の抑制を意図したものであり、又バンド層と組合わせること自体も記載していない。
本発明者はバンド構造について種々開発を重ねた結果、タイヤの騒音のうち、小型トラック用タイヤでは主として800〜2500Hzの振動域の騒音が、乗用車用タイヤでは主として200〜500Hzの振動域の騒音が、トレッドショルダー部のバンド層とベルト層とで決定されるトレッドショルダー部の剛性に影響されること、及び図5に示すように、ベルトプライ7pを形成するコード7cは、タイヤ周方向に対するコード角度αが、タイヤ赤道qにおける角度α1よりもトレッドショルダー部でのコード角度α2が相対的に大となることに起因することを知見した。
これは、ベルトコードとして多用されるスチールコードは、加硫成形に際しての膨張によりベルト層は全体に特にクラウン部はショルダー部に比してタイヤ半径方向外方に凸になり、膨らみ量が増すことにより、タイヤ周方向(タイヤ赤道)に対する狭角側の前記角度αが小となり、即ちベルト層の外端に近づくほど、ベルトコードのコード角度αは相対的に大きくなる。又ベルトコードの外端では、自由端となり、端部剛性は中央部剛性に比して低下する傾向にあり、かつそれを助長させる。このような、コード角度αのトレッドショルダー部での増加は、タイヤ周方向の実質的なコード打ち込み本数の減少になる。又ベルト層の端部における剛性低下が、特に前記振動域のタイヤ騒音を増加させるのである。
従って、ベルト外端付近にバンド層を設けることにより、トレッドショルダー部の遠心力による膨出を抑制し騒音を低減する。なお、バンド層を形成するコードをベルトコードと同じくスチールコードを用いることも考えうるが、タイヤ赤道qに対し、平行なスチールコードとすることは、製造上困難なうえ、トレッドショルダー部の剛性が過度に高くなり、操縦安定性が低下しがちとなる。
本発明は騒音低減のためにさらに開発を続けたところ、バンド層を用いることを前提として、図1に示す、最大巾の第1のベルトプライ7p1が、次に広巾の第2のベルトプライ7p2のタイヤ軸方向外端7p2eからはみ出す張出し域7pEを半径方向内方に凸な凹曲線CEとすることを基本として、前記振動域のタイヤ騒音を有効に低減しうることを見いだし、本発明を完成したものであって、本発明は、前記振動域の騒音の低減をなしうる空気入りラジアルタイヤの提供を目的としている。
本件請求項1に係る発明は、トレッド部(2)からサイドウォール部(3)をへてビード部(4)のビードコア(5)に至るカーカスプライ(6p)からなるカーカス(6)、前記トレッド部(2)の内方かつカーカス(6)の半径方向外側に配される2枚以上のベルトプライ(7p)からなるベルト層(7)、該ベルト層(7)の少なくともタイヤ軸方向外端部分を覆う有機繊維コードからなるバンド層(9)、及びベルト層(7)のタイヤ軸方向外方部とカーカス(6)との間に配置されるクッションゴム(10)を具え、
前記ベルトプライ(7p)のうちで最大巾の第1のベルトプライ(7p1)の中央域(7pA)は、半径方向外方に凸な凸曲線(CA)からなり、
かつ2番目に巾広の第2のベルトプライ(7p2)のタイヤ軸方向外端(7p2e)から、前記第1のベルトプライ(7p1)がはみ出す張出し域(7pE)は、半径方向内方に凸な凹曲線(CE)からなるとともに、
前記凸曲線(CA)の円弧半径(CAr)を200〜800mm、かつ前記円弧半径(CAr)と凹曲線(CE)の円弧半径(CEr)との比(CEr/CAr)を、0.025〜0.40、
しかも前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)は、タイヤ接地巾(WT)の85〜105%、
かつ前記張出し域(7pE)のタイヤ軸方向の長さ(L7pE)は、前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)の5〜15%とするとともに、
前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向外端(7p1e)からトレッド面(2S)までのタイヤ半径方向距離(T2)と、タイヤ赤道(q)でのトレッドゴムの厚さ(Tq)との比(T2/Tq)を0.60〜1.00としたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
前記ベルトプライ(7p)のうちで最大巾の第1のベルトプライ(7p1)の中央域(7pA)は、半径方向外方に凸な凸曲線(CA)からなり、
かつ2番目に巾広の第2のベルトプライ(7p2)のタイヤ軸方向外端(7p2e)から、前記第1のベルトプライ(7p1)がはみ出す張出し域(7pE)は、半径方向内方に凸な凹曲線(CE)からなるとともに、
前記凸曲線(CA)の円弧半径(CAr)を200〜800mm、かつ前記円弧半径(CAr)と凹曲線(CE)の円弧半径(CEr)との比(CEr/CAr)を、0.025〜0.40、
しかも前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)は、タイヤ接地巾(WT)の85〜105%、
かつ前記張出し域(7pE)のタイヤ軸方向の長さ(L7pE)は、前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)の5〜15%とするとともに、
前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向外端(7p1e)からトレッド面(2S)までのタイヤ半径方向距離(T2)と、タイヤ赤道(q)でのトレッドゴムの厚さ(Tq)との比(T2/Tq)を0.60〜1.00としたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
又請求項2に係る発明は、前記第2のベルトプライ(7p2)が、第1のベルトプライ(7p1)の半径方向外側に配されたこと、請求項3に係る発明は、前記第1のベルトプライ(7p1)の前記外端(7p1e)からカーカス(6)の厚さ中心線までの半径方向距離(T1)と、タイヤ赤道でのトレッドゴムの厚さ(Tq)との比(T1/Tq)を0.25〜0.45としたこと、請求項4に係る発明は、前記クッションゴム(10)が、前記第1のベルトプライ(7p1)の外端(7p1e)から該クッションゴム(10)のタイヤ軸方向の内方端(10ie)までのタイヤ軸方向の入り込み量(L10i)を、前記第1のベルトプライ(7p1)の前記巾W(7p1)の5%〜25%の範囲としたことを特徴とする。
さらに請求項5に係る発明は、前記バンド層(9)は、第1のベルトプライ(7p1)の前記外端(7p1e)から、張出し域(7pE)の前記タイヤ軸方向の長さ(L7pE)の1/3倍をタイヤ軸方向内外に隔てる領域内の位置を起点として、タイヤ軸方向内方にのび、かつ1本のバンドコード又は複数本のバンドコードのゴム付け帯状プライを螺旋巻きしてなるバンドプライ(9p)からなるとともに、
このバンド層(9)の巾(W9)は、第1のベルトプライ7p1の前記タイヤ軸方向巾(W7p1)の6〜25%かつ第2のベルトプライ7p2の前記外端(7p2e)を越えてタイヤ軸方向内方に延在することを特徴とし、請求項6に係る発明は、前記バンド層(9)の巾(W9)が、張出し域(7pE)の前記タイヤ軸方向長さ(L7pE)との比(W9/L7pE)を1.2〜4.5としたことを特徴としている。
このバンド層(9)の巾(W9)は、第1のベルトプライ7p1の前記タイヤ軸方向巾(W7p1)の6〜25%かつ第2のベルトプライ7p2の前記外端(7p2e)を越えてタイヤ軸方向内方に延在することを特徴とし、請求項6に係る発明は、前記バンド層(9)の巾(W9)が、張出し域(7pE)の前記タイヤ軸方向長さ(L7pE)との比(W9/L7pE)を1.2〜4.5としたことを特徴としている。
本明細書では、特に断りがない限り、前記タイヤの各部の寸法等は、タイヤを正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した標準状態で特定される値とする。なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば”DesignRim”、或いはETRTOであれば”MeasuringRim”を意味する。また「正規内圧」とは、前記規格によってタイヤ毎に定められている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRELOADLIMITSATVARIOUSCOLDINFLATIONPRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATIONPRESSURE”であり、ちなみにタイヤが乗用車用である場合には一律に180(kPa)である。
又前記「タイヤ接地巾(WT)」とは、前記標準状態のタイヤに正規荷重を付加して平面に接地させたときのトレッド接地端間のタイヤ軸方向の巾を意味し、該「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"に0.88を乗じた荷重を意味する。
本発明の空気入りタイヤは、バンド層とベルト端部の形状とを組合わせて、タイヤ騒音、特に800〜2500Hzの領域の騒音を効果的に減少させることができた。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤ1(以下必要により単にタイヤ1という)が、小型トラック用ラジアルタイヤである場合の標準状態を示すタイヤ子午断面のタイヤ半分を示している。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤ1(以下必要により単にタイヤ1という)が、小型トラック用ラジアルタイヤである場合の標準状態を示すタイヤ子午断面のタイヤ半分を示している。
図1において、タイヤ1は、トレッド部2と、このトレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカスプライ6pからなるカーカス6、前記トレッド部2の内方かつカーカス6の半径方向外側に配される2枚以上、本形態では2枚のベルトプライ7pからなるベルト層7、該ベルト層7の少なくともタイヤ軸方向外端部分を覆う有機繊維コードからなるバンド層9、及び前記ベルト層7のタイヤ軸方向外方部とカーカス6との間に配置されるクッションゴム10を具えている。なお前記トレッド部2には、タイヤ円周方向に沿ってのびる少なくとも2本の縦主溝Mを含む縦及び/又は横のトレッド溝を設けることによってトレッド面2Sを複数のリブ、又はブロックに区分したリブタイプ、リブラグタイプ、ブロックタイプなどのトレッドパターンが形成されている。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、小型トラック用ラジアルタイヤである本形態では、1枚のスチールコードからなるカーカスプライ6pを用いて形成される。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードも好適に採用でき、その枚数等の仕様はタイヤのカテゴリー、サイズ、或いは各種要求性等に応じて設定される。例えば乗用車用タイヤにおいては、一般に有機繊維コード(例えばポリエステルコード)からなる1枚のカーカスプライが好適に採用され、小型トラック用タイヤにおいても、有機繊維コード(例えばポリエステルコード)からなる1、2枚のカーカスプライを採用する場合もある。
また前記カーカス6は、トレッド部2から前記ビードコア5に至る本体部6aの両端に、夫々ビードコア5の廻りで内側から外側に折り返されて係止される折返し部6bを設け、かつ前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が配される。前記折返し部6bは、その半径方向外端のビードベースラインBLからの高さをビードエーペックスゴム8の半径方向外端の高さよりも大とし、前記ビードエーペックスゴム8と協働してビード部4を補強しかつタイヤ横剛性を高めている。そのため、ビードエーペックスゴム8の高さは、タイヤ断面高さの18〜30%、折返し部6bの高さは、タイヤ最大巾位置を半径方向外に越えて延在している。
前記ベルト層7は、高弾性のベルトコードをタイヤ周方向に対して10゜〜35゜の角度で傾斜配列した2枚以上のベルトプライ7p、本形態では半径方向内から外に順次配される2枚の第1,第2のベルトプライ7p1,7p2からなり、又内側の第1のベルトプライ7p1は、外側の第2のベルトプライ7p2よりも巾広に形成される。即ち本形態では第1のベルトプライ7p1が、最大巾のベルトプライを構成している。このような構成とすることにより、第2のベルトプライ7p2のベルト外端7p2eを、第1のベルトプライ7p1のベルト外端7p1eよりもタイヤ軸方向内方に位置させ、重複によるベルト外端部分に作用する応力集中を緩和している。
又各ベルトプライ7p1,7p2は、ベルトコードがプライ間相互で交差するように向きを違えて配され、これによりタガ効果を有してトレッド部2を補強する。なおベルトコードとしては、スチールコード或いは、例えば芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の高弾性繊維コードが好適に使用され、本例ではスチールコードを使用している。
前記バンド層9は、タイヤ周方向に対して5度以下の角度で傾く有機繊維コードからなるバンドコードを用いた1乃至2枚以上、本形態では内外2枚のバンドプライ9p1、9p2として構成される。このバンドプライ9pは、ベルト層7のタイヤ軸方向外端部分のみを覆うエッジバンドとして、1本以上のバンドコードを引き揃えた並列体をトッピングゴムにより被覆した小巾の帯状プライ(図示せず)をタイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより形成している。このとき、帯状プライ内のバンドコードの本数は、比較的巾が狭いエッジバンドを形成するため2〜5本程度を並列した巾狭プライとし、これにより、ベルト層7のタイヤ軸方向外端部の形状に倣って沿わせて巻回しうる。なお5〜15本程度とすることもできる。なお巾狭プライを用いるときには、プライの形成効率の低下を招き易く、他方本数を増すときには、バンドコードのコード角度が過度に大となりやすく、係る場合にはベルト層7に沿う領域が減じ、かつ拘束力が減じてバンド層9としての機能を充分発揮できなくなる。なおバンドコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが使用できるが、本例ではナイロンコードを使用している。
又前記ベルト層7のタイヤ軸方向外方部とカーカス6の間には、クッションゴム10が配されている。このクッションゴム10はベルト外端部の形状を維持し、カーカスの曲線形状を保持して、ベルト層7のタガ効果による操縦安定性、耐摩耗性、低燃費性と、カーカス6による乗り心地性、耐久性を発揮させる。クッションゴムの材質として、ゴム硬さ(デュロメータA硬さ)が50〜68度、300%モジュラスが5.0〜11.0MPa、損失正接が0.02〜0.09のゴムが好適に用いられる。これはベルトプライの動きを抑制し、また発熱を低くすることで耐久性を確保するためである。
特に、負荷荷重が大きい小型トラック用タイヤの場合には、前記ゴム硬さが62〜68度、300%モジュラスが7.0〜11.0MPaと、硬質・高弾性側の範囲が好ましく、又負荷荷重が小さい乗用車用タイヤの場合には、前記ゴム硬さが50〜65度、300%モジュラスが5.0〜9.0MPaと、軟質・低弾性側の範囲が好ましい。なお前記ゴム硬さは、JISK6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準拠して23℃の条件で測定したデュロメータA硬さであり、前記300%モジュラスは、JIS K6251の「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して23℃の条件で測定した値、前記損失正接は、JIS K6394の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法」に準拠し、粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定した値である。
又前記クッションゴム10は、最大巾の第1のベルトプライ7p1の外端7p1eから、クッションゴム10のタイヤ軸方向内端10ie(ベルト層7とカーカス6との間が、そのタイヤ軸方向内方の各コード間距離に比して10%広がった位置とする)までのタイヤ軸方向の入り込み量L10iを、前記第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1の5%〜25%の範囲にあることを要する。5%未満では、カーカス曲線を適正に保持することができないためであり、25%を越えると、燃費、乗心地の悪化が大きいためである。なお小型トラック用タイヤの場合には、前記入り込み量L10iを、前記巾W7p1の7%以上と乗用車用タイヤに比してやや大に形成するのが好ましい。
図2に、カーカス6,ベルト層7,バンド層9,クッションゴム10を拡大して示している。前記ベルトプライ7pのうちの最大巾の第1のベルトプライ7p1の中央域7pAは、半径方向外方に凸な凸曲線CAからなり、かつ第2のベルトプライ7p2のタイヤ軸方向外端7p2eから、第1のベルトプライ7p1がはみ出す張出し域7pEは、半径方向内方に凸な凹曲線CEからなる。
又前記第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1は、タイヤ接地巾WTの85〜105%に設定され、かつ前記張出し域7pEのタイヤ軸方向の長さL7pEは、前記第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1の5〜15%とする。さらに前記凸曲線CAの円弧半径CArを300〜1000mmとするとともに、前記円弧半径CArと凹曲線CEの円弧半径CErとの比(CEr/CAr)を、0.025〜0.40としている。なお凸曲線CA,凹曲線CEは、通常は円弧であり、故に本明細書において各円弧半径と称しているが、1つの凸部、又は凹部を有することを条件に各種の曲線を採用でき、その円弧半径の定義は後記する。
ここで、第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1をタイヤ接地巾WTの85〜105%に設定したのは、85%よりも小のとき、トレッド剛性が劣る傾向となり、かつ105%をこえるときには、バットレス面との間のゴム厚さが過小となり耐久性に不利となる。又前記張出し域7pEのタイヤ軸方向の長さL7pEを、前記第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1の5%〜15%としたのは、第1,第2のベルトプライ7p1,7p2による協働効果によりトレッド部、特にトレッドショルダー部の剛性を維持するとともに、剛性段差が過大となることを防止するためである。
さらに、前記のように、凸曲線CAの円弧半径CArと凹曲線CEの円弧半径CErとの比(CEr/CAr)を、0.025〜0.40とするのは、0.40を越えるとこの効果が薄れ、0.025未満では、ベルトコードの角度及びベルト形状の変化が急激過ぎて、構造耐久性能の低下を招来するからである。
又前記凸曲線CAの円弧半径CArは、前記のように、300〜1000mmに設定されるが、具体的には、タイヤサイズ、要求性能等によって、例えば下記の範囲で設定するのが好ましい。なおタイヤサイズが下記以外のものは、下記のタイヤサイズに近い方の値を採用する。
タイヤサイズ CAr CEr
175サイズ: 300〜500mm 10〜80mm
215サイズ: 400〜1000mm 40〜100mm
タイヤサイズ CAr CEr
175サイズ: 300〜500mm 10〜80mm
215サイズ: 400〜1000mm 40〜100mm
ここで、前記円弧半径CAr、CErは以下の如く測定する。まず前記基準状態において、CTスキャンによってベルト層7の形状を求め、最大巾の第1のベルトプライ7p1の厚さ中心線7p1Cを測定して図示する。又第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1の1/4倍(W7p1/4)を、タイヤ赤道qからタイヤ軸方向に隔てる半径方向線が前記厚さ中心線7p1Cと交わる点PC、及び中心線7p1Cとタイヤ赤道qとの交点Pqを求める。そして、前記点Pqと点PC、PCとの3点を通り、タイヤ赤道q上に中心を有する円弧を求め、その円弧半径を前記中央域CAの曲率半径CArとする。
次に、第1のベルトプライ7p1の外端7p1eと、前記第2のベルトプライ7p2の外端7p2eと、その間を2等分点とを通る各半径方向線が、第1のベルトプライ7p1の前記厚さ中心線7p1Cと交わる点P0、P1、P2を求める。そして各P0、P1、P2の3点を通る円弧を決定し、その半径を、前記張出し域CEの円弧半径CErと設定する。なお、前記第1のベルトプライ7p1の円弧半径CArは、前記円弧半径CErと滑らかに接続される。このとき、図3に示すごとく、前記第2のベルトプライ7p2の外端7p2eの位置(前記点P1)を変曲点Xとすることも,変曲点Xを前記外端7p2eの位置(前記点P1)よりも内方、外方に距離Lx(前記中央域7pAのタイヤ軸方向長さL7pAの5%、好ましくは2%の距離)を隔てる範囲内とすることもできる。
このように、張出し域7pEを設け、かつ前記凹曲面CEとすることにより、図4に誇張して示すごとく、第1のベルトプライ7p1のベルトコードにおいて、前記中央域7pAでは、この中央域7pA両端側でのコード角度α2がタイヤ赤道q側でのコード角度α1に比して増大するものの、前記張出し域7pEでは、コード端に向かって小となり、小さいコード角度α3とすることができる。その結果、ベルト外端部の剛性、即ちトレッドショルダー部の剛性を向上させることができ、騒音を低減させることが可能となる。そのために、前記張出し域7pEの外縁、即ち第1のベルトプライ7p1の外端7p1eの前記点P0におけるタイヤ軸からの半径P0rは、前記第1のベルトプライ7p1の厚さ中心線のタイヤ赤道qでの半径Pqr以上、好ましくは、第2のベルトプライ7p2の厚さ中心線での半径7p2qr以上、好ましくはこの半径7p2qrの1.005〜1.020程度とする。このときには、前記コード角度α3を、前記コード角度α1よりもむしろ小さくすることも可能となる。
さらに第1のベルトプライ7p1の外端7p1eからカーカス6の厚さ中心線に至る半径方向距離T1と、トレッド面2Sまでのタイヤ半径方向距離T2との比(T1/T2)を0.55〜0.35程度、好ましくは0.50〜0.40として、前記外端7p1eでの応力集中によるトレッド面2S、カーカス6への影響を減じつつ、前記外端7p1eでの凹円弧によるはね上げ量を相対的に大きくし、ベルト外端部での剛性を高める。
なお前記タイヤ半径方向距離T2と、タイヤ赤道qでのトレッドゴムの厚さTqとの比(T2/Tq)を0.60〜1.00、前記半径方向距離T1と、タイヤ赤道でのトレッドゴムの厚さTqとの比(T1/Tq)を0.25〜0.45とするのが好ましい。これにより、トレッドクラウン部とトレッドショルダー部でのゴム厚さをトレッド剛性について均衡させるとともに、トレッドショルダー部での耐摩耗性、耐ブレーカーエッジの損傷を防ぎ、しかもカーカス6との間の力伝達を緩和する。なおこれらの比(T1/Tq)、(T2/Tq)は、前記のように、比(T1/T2)が0.55〜0.35程度となる範囲で設定される。なお前記比(T1/Tq)は、小型トラック用タイヤでは、0.60〜0.90の範囲が、又乗用車用タイヤでは0.70〜1.00の範囲が好ましい。
又前記バンド層9は、本形態では2枚のバンドプライ9p1,9p2からなり、かつ前記張出し域7pEの全巾を覆いかつタイヤ軸方向内方に延在している。このバンドプライ9p1,9p2は、第1のベルトプライ7p1の前記外端7p1e近傍領域内の位置を起点として、タイヤ軸方向内方にのびる。なお前記「近傍領域」とは、前記張出し域7pEのタイヤ軸方向長さL7pEの1/3倍を前記外端7p1eからタイヤ軸方向内外に隔てる範囲を意味する。このバンド層9のタイヤ軸方向の巾W9は、第1のベルトプライ7p1のタイヤ軸方向巾W7p1の6〜25%(好ましくは8〜18%)、かつ前記張出し域7pEのタイヤ軸方向長さL7pEよりも大として、第2のベルトプライ7p2の外端7p1eをタイヤ軸方向内方に越える。6%未満では、ベルトプライ端での拘束力が小さく、耐久性が低下する傾向となり、25%を越えると転がり抵抗が悪化する傾向となる。
さらに、バンド層9は、前記張出し域7pEにあるバンド層部分のタイヤ軸方向長さL9Eと前記巾W9との比W9/L9Eを1.2〜4.5とし、少なくとも全てのベルトプライの外端を覆うことにより、ベルト層7の端部での遠心力による膨出を効果的に抑制できる。
なお、好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
タイヤサイズ175/75 R15の小型トラック用タイヤを、表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤを車両に装着し、騒音性能及び乗り心地性を評価した。テスト方法は次の通り。
(1)騒音性能(通過騒音):
JASO/C/606に規定する実車惰行試験に準拠し、試供タイヤを、内圧(600kPa)にて車両(1.5t積の小型トラック)の全輪(6輪)に装着して、テストコース(ISO路)を通過速度(52km/h)で惰行走行させた。そして、コースの中間点において走行中心線から横に7.5mを隔てて、かつテスト路面から高さ1.2mの位置に設置した設置マイクロホンによりその通過最大音レベルdB(A)を測定した。比較例A4の測定値の逆数を100とする指数で表示し、数値が大きいほど騒音が小であり良好であることを示す。又測定した騒音を周波数分析した結果を図6に示している。
JASO/C/606に規定する実車惰行試験に準拠し、試供タイヤを、内圧(600kPa)にて車両(1.5t積の小型トラック)の全輪(6輪)に装着して、テストコース(ISO路)を通過速度(52km/h)で惰行走行させた。そして、コースの中間点において走行中心線から横に7.5mを隔てて、かつテスト路面から高さ1.2mの位置に設置した設置マイクロホンによりその通過最大音レベルdB(A)を測定した。比較例A4の測定値の逆数を100とする指数で表示し、数値が大きいほど騒音が小であり良好であることを示す。又測定した騒音を周波数分析した結果を図6に示している。
(2)乗心地性能:
前記車両を用いてテストコースを周回させ、ドライバーの官能評価により比較例A4を100とする指数で表示した。数値が大きいほど、良好であることを示している。
前記車両を用いてテストコースを周回させ、ドライバーの官能評価により比較例A4を100とする指数で表示した。数値が大きいほど、良好であることを示している。
タイヤサイズ185/70R14の乗用車用タイヤを、表2の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤを車両に装着し、騒音性能及び乗り心地性を評価した。テスト方法は、内圧を200kPaとしたこと、車両を1600cc(FF車)としたこと、騒音性能(車内騒音;ロードノイズ)を250Hzの騒音レベルで評価したこと、及び比較例B1を100とした指数で表示した以外上記と実質的に同様である。
2 トレッド部
2S トレッド面
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
7p1 第1のベルトプライ(最大巾のベルトプライ)
9 バンド層
10 クッションゴム
2S トレッド面
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
7p1 第1のベルトプライ(最大巾のベルトプライ)
9 バンド層
10 クッションゴム
Claims (6)
- トレッド部(2)からサイドウォール部(3)をへてビード部(4)のビードコア(5)に至るカーカスプライ(6p)からなるカーカス(6)、前記トレッド部(2)の内方かつカーカス(6)の半径方向外側に配される2枚以上のベルトプライ(7p)からなるベルト層(7)、該ベルト層(7)の少なくともタイヤ軸方向外端部分を覆う有機繊維コードからなるバンド層(9)、及びベルト層(7)のタイヤ軸方向外方部とカーカス(6)との間に配置されるクッションゴム(10)を具え、
前記ベルトプライ(7p)のうちで最大巾の第1のベルトプライ(7p1)の中央域(7pA)は、半径方向外方に凸な凸曲線(CA)からなり、
かつ2番目に巾広の第2のベルトプライ(7p2)のタイヤ軸方向外端(7p2e)から、前記第1のベルトプライ(7p1)がはみ出す張出し域(7pE)は、半径方向内方に凸な凹曲線(CE)からなるとともに、
前記凸曲線(CA)の円弧半径(CAr)を200〜800mm、かつ前記円弧半径(CAr)と凹曲線(CE)の円弧半径(CEr)との比(CEr/CAr)を、0.025〜0.40、
しかも前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)は、タイヤ接地巾(WT)の85〜105%、
かつ前記張出し域(7pE)のタイヤ軸方向の長さ(L7pE)は、前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向巾(W7p1)の5〜15%とするとともに、
前記第1のベルトプライ(7p1)のタイヤ軸方向外端(7p1e)からトレッド面(2S)までのタイヤ半径方向距離(T2)と、タイヤ赤道(q)でのトレッドゴムの厚さ(Tq)との比(T2/Tq)を0.60〜1.00としたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記第2のベルトプライ(7p2)は、前記第1のベルトプライ(7p1)の半径方向外側に配されたことを特徴とする請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記第1のベルトプライ(7p1)は、その前記外端(7p1e)からカーカス(6)の厚さ中心線までの半径方向距離(T1)と、タイヤ赤道(q)でのトレッドゴムの前記厚さ(Tq)との比(T1/Tq)を0.25〜0.45としたことを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記クッションゴム(10)は、第1のベルトプライ(7p1)の前記外端7(p1e)から、該クッションゴム(10)のタイヤ軸方向の内方端(10ie)までのタイヤ軸方向の入り込み量(L10i)を、第1のベルトプライ(7p1)の前記タイヤ軸方向巾(W7p1)の5%〜25%としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記バンド層(9)は、第1のベルトプライ(7p1)の前記外端(7p1e)から、張出し域(7pE)の前記タイヤ軸方向の長さ(L7pE)の1/3倍をタイヤ軸方向内外に隔てる領域内の位置を起点として、タイヤ軸方向内方にのび、かつ1本のバンドコード又は複数本のバンドコードのゴム付け帯状プライを螺旋巻きしてなるバンドプライ(9p)からなるとともに、
このバンド層(9)の巾(W9)は、第1のベルトプライ7p1の前記タイヤ軸方向巾(W7p1)の6〜25%かつ第2のベルトプライ7p2の前記外端(7p2e)を越えてタイヤ軸方向内方に延在することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記バンド層(9)の巾(W9)は、張出し域(7pE)の前記タイヤ軸方向長さ(L7pE)との比(W9/L7pE)が、1.2〜4.5であることを特徴とする請求項5に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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WO2009037891A1 (ja) * | 2007-09-20 | 2009-03-26 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | 空気入りタイヤ |
JP2011148468A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-04 | Bridgestone Corp | シミュレーション方法及びシミュレーション装置 |
CN111491808A (zh) * | 2017-12-14 | 2020-08-04 | 株式会社普利司通 | 轮胎 |
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-
2004
- 2004-01-27 JP JP2004018764A patent/JP2005145429A/ja active Pending
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