JP2005145289A - 格納式車両用シート装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】姿勢制御ワイヤの取付作業をシート装置の製造工程で完了させることにより、車両床面への取付作業を簡単に行えるようにした格納式車両用シート装置を提供する。
【解決手段】車両床面の前後に並べて形成したシート設置面と格納用凹部とに、単一のシートを選択移動可能に支持する格納式車両用シート装置であって、シート使用位置及び上記格納位置に位置するときには弛み、上記シート使用位置と上記格納位置の間の所定範囲を回動中は上記回転付勢手段の力によって伸張され該回転付勢手段の力に抗して該シートの姿勢を制御する姿勢制御ワイヤ;及び上記シート及び車両床面とは別部材として形成され、該車両床面に固定される床面固定部材;を有し、この床面固定部材に、上記回動アームの一端部と姿勢制御ワイヤの一端部とを支持し、上記シート、回動アーム、回転付勢手段、姿勢制ワイヤ及び床面固定部材を車両床面へ装着前の状態でユニット化した。
【選択図】図13

Description

本発明は、格納式車両用シート装置に関する。
車両内の床面に、シート設置面と格納用凹部を前後に並べて設け、シートクッション及びシートバックを有するシートを、上記床面に対して左右方向の軸回りに回動可能として、該シートを、シート設置面に設置されるシート使用位置と、格納用凹部に格納される格納位置との間を回転移動可能とした格納式車両用シート装置は従来より知られている(例えば、特許文献1)。
この格納式車両用シート装置では、シートクッションに、前脚及び後脚の上端部が左右方向の軸回りに相対回動可能に枢着されている。後脚には回動アームの先端部が固定されており、該回動アームの基端部を、車両床面に左右方向の軸回りに相対回動可能として枢着することにより、シートを、シート使用位置と格納位置との間で回転移動可能としている。さらに、後脚とシートクッションの間には、後脚(回動アーム)とシートクッションの開き角度を大きくする方向に付勢するガススプリングが取り付けられている。
このような構成からなる格納式車両用シート装置を、シート使用位置と格納位置の間を回転移動させる際に、シートクッションの姿勢を何ら制御しないと、ガススプリングの付勢力により、シートクッションが床面に対して大きく傾いてしまい、シートクッションの回動軌跡が安定せず、その結果、シートの移動をスムーズに行えなくなってしまう。
このような事態を回避するため、特許文献1では、シートクッションと格納用凹部とに、姿勢制御ワイヤの両端をそれぞれ固着している。この姿勢制御ワイヤは、シートがシート設置面と格納用凹部との間を移動中に、シートクッションと格納用凹部から張力を受けて真っ直ぐに伸び、その張力により、シートクッションの姿勢を略水平状態に制御するものである。
特願2002−366073号公報
この姿勢制御ワイヤのシートクッション及び格納用凹部への取付位置に関しては高い精度が要求される。仮に、この取付位置精度が低くなると、シートの回転移動中にシートクッションの底面が前方に大きく露出したり、シートクッションの底面が車両床面に衝突する等の不都合が生じてしまう。このため、格納式車両用シート装置の車両床面への取付時における姿勢制御ワイヤの取付作業は面倒であり、姿勢制御ワイヤの取付作業に多くの時間を要していた。
本発明は、姿勢制御ワイヤの取付作業を格納式車両用シート装置の製造工程で完了させることにより、車両床面への取付作業を簡単に行えるようにした格納式車両用シート装置を得ることを目的とする。
本発明の格納式車両用シート装置は、車両床面の前後に並べて形成したシート設置面と格納用凹部とに、単一のシートを選択移動可能に支持する格納式車両用シート装置であって、車両床面側とシート側にそれぞれ両端部が枢着され、その回動移動によってシートを上記シート設置面に載置されるシート使用位置と、上記格納用凹部に格納される格納位置との間に回転移動させる回動アーム;この回動アームがシート格納位置とシート使用位置との間で回動移動するとき、該シートを回動アームに対する開き角が大きくなる方向に付勢する回転付勢手段;上記シートが上記シート使用位置及び上記格納位置に位置するときには弛み、上記シート使用位置と上記格納位置の間の所定範囲を回動中は上記回転付勢手段の力によって伸張され該回転付勢手段の力に抗して該シートの姿勢を制御する姿勢制御ワイヤ;及び上記シート及び車両床面とは別部材として形成され、該車両床面に固定される床面固定部材;を有し、この床面固定部材に、上記回動アームの一端部と姿勢制御ワイヤの一端部とを支持し、上記シート、回動アーム、回転付勢手段、姿勢制ワイヤ及び床面固定部材を車両床面へ装着前の状態でユニット化したことを特徴としている。
さらに、上記回動アームと上記シートクッションの最大開き角を規制する規制手段を備え、上記回転付勢手段が、この最大開き角においてもシートを回動アームに対する開き角が大きくなる方向に付勢するのが好ましい。
上記回転付勢手段としては、例えばガススプリングを用いることが可能である。
本発明によると、姿勢制御ワイヤの取付作業が格納式車両用シート装置の製造工程で完了するので、例えば、姿勢制御ワイヤの動作確認を車両床面への取付前に行えるようになる。従って、格納式車両用シート装置の車両床面への取付作業を簡単に行えるようになる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1から図3に示すように、格納式車両用シート装置SAが取り付けられる車両10の床面11には、シート設置面12と、シート設置面12の直後に位置する格納用凹部13とが設けられている。シート設置面12には、3個のストライカ14、15が突設されている。即ち、シート設置面12の後部に左右方向に並べて設けられた一対の後側ストライカ14と、シート設置面12の前部の左右方向の中央部に設けられた一つの前側ストライカ15である。
図1に示すように、シートSは、車両の後部座席であり、着座者の尻部を支えるシートクッション20と、着座者の背部を支えるシートバック21とを有しており、シートックッション20とシートバック21はそれぞれ、ともに金属製のシートクッションフレーム22(図4及び図5参照)と、シートバックフレーム(図示略)を具備している。
図4及び図5に示すように、シートクッション20の構成部材であるシートクッションフレーム22は、左右一対のサイドフレーム23と、左右のサイドフレーム23の前端同士を接続する前部連結部材24と、サイドフレーム23の後端同士を接続する棒状の連結パイプ25と、サイドフレーム23の前端部の上面間に架設された前部連結板26と、前部連結板26と連結パイプ25とを連結する左右一対の棒状補強材27とを具備している。
左側のサイドフレーム23の後端部とシートバックフレームの左側下端部同士、及び、右側のサイドフレーム23の後端部とシートバックフレームの右側下端部同士は、図示を省略した左右方向を向く回転軸によって、前後方向に回動可能として枢着されている。
さらに、シートS内には、常時はロック状態にあり、図示を省略した開放スイッチを操作するとアンロック状態に切り替わる角度保持機構(図示略)が設けられている。この角度保持機構がロック状態のときはシートバック21の回動が規制され、アンロック状態になるとシートバック21の回動が許容される。シートバック21は、図3及び図1の実線に示す起立位置と図2及び図1の仮想線に示す折畳位置との間を回動可能であり、シートバック21を起立位置に移動させた状態で開放スイッチを操作しなければ、シートバック21は起立位置に保持される。一方、開放スイッチを操作すると、角度保持機構がアンロック状態となるので、シートバック21を折畳位置に向けて回転可能となる。
図4に詳細を示すように、左右のサイドフレーム23は、前後方向を向く筒状をなし、その後端部の一方の側面が切り欠かれた筒状の基部材28と、該基部材28の切欠部29を塞ぐ補助部材30とからなるものであり、基部材28の切欠部29に補助部材30が溶接により接合されている。
左右のサイドフレーム23の後端部(補助部材30が設けられた部分)の下面には開口23a(図8及び図9参照)が形成されており、さらに、基部材28の該開口23aと対応する位置、及び補助部材30とには、後側ストライカ14が下方から進入可能なストライカ進入溝28a、30aがそれぞれ形成されている。
また、基部材28の後端部と補助部材30の対向面間には、左右方向を向く回転軸31が架設されており、該回転軸31には後側ストライカ14と係脱可能な係合溝32aと腕部32bを有するフック32が枢着されている。
このフック32は、図8に示すアンロック位置と図9に示すロック位置との間を回動可能である。フック32には、左右方向を向く連結ピン33を介してリンク部材34の下端が枢着されており、この連結ピン33の基部材28側の端部は、基部材28の後端部に形成された略円弧状の案内溝28bに相対移動可能に嵌合している。さらに、基部材28の後端部と補助部材30の対向面間に架設された左右方向を向く回転軸35には回動片36が枢着されており、この回動片36は、回動片36と回転軸35の間に設けられたトーションばね37により、常時、図8及び図9の反時計方向に回動付勢されている。そして、この回動片36の下端部とリンク部材34の上端部が、左右方向を向く連結ピン38を介して枢着されている。
回動片36の上端部には被押圧部36aが突設されており、この被押圧部36aは、サイドフレーム23の後端部上面に形成された開口23bから上方に突出している(図8及び図9参照)。さらに、図2、図3、図8、及び図9に示すように、上述したシートバックフレームの下端部には、この被押圧部36aと係脱可能な押圧部21aが形成されている。そして、シートバック21が起立位置にあるとき、左右のサイドフレーム23に装着された回動片36の被押圧部36aと、左右のシートバックフレームの押圧部21aとは非係合状態にあり(図3及び図9参照)、シートバック21が折畳位置に移動すると、左右の押圧部21aが、左右の回動片36の被押圧部36aを図8及び図9の時計方向に押圧する(図2及び図8参照)。
そして、以上説明した、押圧部21a、ストライカ進入溝28a、30a、案内溝28b、回転軸31、フック32、連結ピン33、リンク部材34、回転軸35、回動片36、トーションばね37、及び連結ピン38により、後側ロック機構U1が構成されている。
図4、図11及び図12に示すように、前部連結部材24の左右方向の中央部には、略前後方向を向く左右一対の取付板40の前端部が固着されている。そして、左右の取付板40にはロック用ブラケット41が固着されており、このロック用ブラケット41には、前側ストライカ15が下方から進入可能なストライカ進入溝42が形成されている。さらに、ロック用ブラケット41に突設された左右方向を向く回転軸44、45には、前側ストライカ15と係脱可能な係合溝46aと、腕部46bと、係合部46cとを有するフック46と、フック46の係合部46cと係脱可能な被係合部47aを有するポール47が、それぞれ枢着されている。フック46は図11に示すアンロック位置と、図12に示すロック位置との間を回動可能であり、フック46と回転軸44の間に設けられたトーションばね48の付勢力により、常時、アンロック位置に向けて回転付勢されている。また、ポール47は、回転軸45とポール47の間に設けられたトーションばね49の付勢力により、常時、図11及び図12の反時計方向に回転付勢されている。さらに、ポール47に形成された取付部47bには、牽引ワイヤW1の前端部が固着されており、牽引ワイヤW1の後端部は、シートSに設けられたロック解除スイッチ(図示略)に連係されている。このロック解除スイッチは、ロック有効位置とロック解除位置の間を揺動可能であり、常時はばね(図示略)の付勢力によりロック有効位置に保持されている。
そして、上記の取付板40、ロック用ブラケット41(ストライカ進入溝42)、回転軸44、45、フック46、ポール47、トーションばね48、49、牽引ワイヤW1、及びロック解除スイッチにより前側ロック機構U2が構成されている。
さらに、図4及び図5に示すように、左右のサイドフレーム23の内側面には、略前後方向を向く左右一対の回動アーム50の先端部が、該先端部に穿設された挿通孔50aに挿通する左右方向を向く回転軸50bによって回動可能に枢着されている。また、左右の回動アーム50のそれぞれの基端部は、左右方向を向く回転軸51を介して固定用ブラケット(床面固定部材)52に枢着されている。図2及び図3に示すように、サイドフレーム23内において連結パイプ25にはブラケット25aが固着されており、ブラケット25aの前面にはゴム製のクッション材25bが設けられている。さらに、サイドフレーム23内において回動アーム50の後面には、このクッション材25bに接離可能な当接部材50cが設けられている。これらブラケット25a、クッション材25b、及び当接部材50cにより規制手段が構成されており、回動アーム50とシートクッション20の相対回動角度(開き角度)は、当接部材50cがクッション材25bに当接する角度より小さい範囲内に制限されている。
左右の固定用ブラケット52は、左右方向を向くとともに、その左端部にワイヤ取付部53aが突設された連結部材(床面固定部材)53の左右両端部に固定されている。この連結部材53の上面には左右一対の取付片53bが突設されており、左右の取付片53の間に左右方向を向く格納位置保持用ストライカ54が架設されている。
図4及び図5に示すように、右側のサイドフレーム23の前端部の内側面には、ガススプリング(回転付勢手段)60のシリンダ61の前端部が、左右方向の軸回りに回動可能として枢着されており、そのロッド62の後端部が、右側の回動アーム50の中間部に、左右方向の軸回りに回動可能として枢着されている。このガススプリング60のロッド62は、常時、シリンダ61から突出し、回動アーム50とシートクッション20を、両者の開き角度を大きくする方向に回転付勢している。さらに、このガススプリング60は、回動アーム50とシートクッション20の開き角度が最大となったときにおいても回転付勢力を発生するように(即ち、ロッド62が突出方向に付勢されるように)、回動アーム50とシートクッション20に取り付けられている。
連結部材53のワイヤ取付部53aには、姿勢制御ワイヤW2の一端に設けられた取付金具W2aが、ボルト70とナット71によって、左右方向の軸回りに回動可能に枢着されている(図7参照)。姿勢制御ワイヤW2の他端に設けられた取付金具W2bは、左側のサイドフレーム23の内側面に突設された取付用ピン72(図5参照)に、左右方向の軸回りに回動可能に枢着されている。
以上のような構成からなる格納式車両用シート装置SAは、図6に示すように、その連結部材53をボルトBにより格納用凹部13の前壁13aに固定することにより、車両10の床面11に取り付けられる。格納式車両用シート装置SAを床面11に取り付けると、シートSは、シート設置面12に載置されるシート使用位置(図1の実線、及び図3の位置)と格納用凹部13に収納される格納位置(図1の仮想線の位置、及び図2の位置)との間を回動可能となる。
上記規制手段によって回動範囲を制限されている回動アーム50とシートクッション20の相対回動角度(開き角度)が最大となる(クッション材25bに当接部材50cが接触する)のは、格納位置からシート使用位置に回転移動したシートSが、シート使用位置に達する直前である。
次に、以上のような構成からなる格納式車両用シート装置SAの動作について説明する。
まず、図2に示すように、シートバック21が折畳位置にあり、かつ格納位置に保持されているシートSを、シート使用位置まで移動させる場合の動作について説明する。
図2に示す状態では、フック46は格納位置保持用ストライカ54と係合しつつロック位置に保持されている。このため、先ず、ロック解除スイッチをロック解除位置側に操作して、牽引ワイヤW1を牽引する。すると、図11に示すように、ポール47が時計方向に回転し、被係合部47aと係合部46cの係合が解除されるので、フック46はトーションばね48の付勢力によりアンロック位置に向けて回転移動する。ロック解除スイッチをロック有効位置に戻して、フック46をアンロック位置に保持した後に、シートSを前方に向けて回転移動させれば、格納位置保持用ストライカ54がストライカ進入溝42から脱出する。
なお、このようにシートバック21が折畳位置にあると、図8に示すように、シートバックフレームの押圧部21aが、回動片36の被押圧部36aを反時計方向に押圧しているので、フック32は図8に示すアンロック位置に保持されている。
格納位置保持用ストライカ54がストライカ進入溝42から脱出した後に、シートバック21を折畳位置に保持したまま、シートSをさらに前方に向けて回転移動させると、ガススプリング60の付勢力により、シートクッション20と回動アーム50の開き角度が大きくなる。シートSが格納位置にあるときは、図2に示すように姿勢制御ワイヤW2は弛んでいるが、シートSが格納位置から前方に所定角度だけ回転移動すると、図13に示すように、姿勢制御ワイヤW2が緊張して直線状になる。仮に、姿勢制御ワイヤW2を設けていなければ、格納位置からシート使用位置への回転移動中に、ガススプリング60の付勢力のため、シートクッション20の前端が後端に対して浮き上がり、シートクッション20の底面が前方に露出してしまう。しかし、本実施形態の格納式車両用シート装置SAは姿勢制御ワイヤW2を備えているので、姿勢制御ワイヤS2に張力が掛かっている間は、シートクッション20は略水平な状態に維持されるので、シートクッション20の底面が前方に露出することはない。また、本実施形態では、シートSのシート使用位置への回転移動中に、シートクッション20の前端が後端より極端に下がらないように姿勢制御ワイヤW2の長さ、及びサイドフレーム23とワイヤ取付部53aへの取付位置を定めているので、該回転移動中に、シートクッション20や前後のロック機構U1、U2が、車両床面11に接触することもない。
シートSがシート使用位置に近づくと、姿勢制御ワイヤW2が弛み始めるので、着座者は、手でシートバック21の前端部を下方に押圧して、シートクッション20及びシートバック21を略水平状態に維持する。このままの状態で、後側ロック機構U1のストライカ進入溝28a、30aに後側ストライカ14を進入させる。このようにシートSがシート使用位置に近づく際に、シートクッション20と回動アーム50のなす角度が最大となるが、この際、ガススプリング60のロッド62の突出量は最大となっておらず、ガススプリング60からシートクッション20及び回動アーム50に回転付勢力が付与され続ける。このため、回動アーム50とシートクッション20(サイドフレーム23)の枢着部(挿通孔50aと回転軸50bの間)に機械的ながたつきがあっても、ガススプリング60の回転付勢力によりシートSは安定状態を保つので、シートSを、そのストライカ進入溝28a、30aに後側ストライカ14が進入するように、シート使用位置まで円滑に回転移動させられる。
上述のように、シートバック21が折畳位置にあるとき、シートバックフレームの押圧部21aが、回動片36の被押圧部36aを押圧し、フック32は図8に示すアンロック位置に保持されているので、左右の後側ストライカ14は、左右の後側ロック機構U1のストライカ進入溝28a、30aの終端部まで進入する。
この状態で、後側ストライカ14とストライカ進入溝28a、30aの接触点を中心に、シートクッション20を前方に回転させると、やがて前側ストライカ15が前側ロック機構U2のストライカ進入溝42に進入する。ストライカ進入溝42に進入した前側ストライカ15は、フック46の係合溝46aに係合して、フック46を反時計方向に回転させる。フック46は、その係合部46cをポール47の外周面に摺接させながら反時計方向に回転し続け、図12に示すロック位置まで回転すると、その係合部46cとポール47の被係合部47aが係合し、フック46はロック位置に保持され、前側ストライカ15は最終的にストライカ進入溝42の終端部に達する。フック46がロック位置に移動すると、フック46の腕部46bが前側ストライカ15に係合しながら、ストライカ進入溝42の開放端部を塞ぐので、前側ストライカ15はストライカ進入溝42から脱出不可能となる。
この後に、シートバック21を起立位置に移動させると、押圧部21aと被押圧部36aの係合が解除され、その結果、トーションばね37の回転付勢力により、フック32がロック位置に移動して該ロック位置に保持される(図9参照)。フック32がロック位置に移動すると、フック32の腕部32bが後側ストライカ14と係合しつつ、ストライカ進入溝28a、30aの開放端部を塞ぐので、後側ストライカ14がストライカ進入溝28a、30aから脱出不可能となる。
このように、前後のストライカ14、15と前後のロック機構U1、U2をそれぞれロックさせると、シートSはシート使用位置に保持される(図1の実線及び図3参照)。
シートSをシート使用位置から格納位置に戻したい場合には、先ず、シートバック21を折畳位置に移動させて、後側ロック機構U1のフック32をアンロック位置に移動させ、後側ストライカ14をストライカ進入溝28a、30aから脱出可能な状態にする。次いで、ロック解除スイッチをロック解除位置側に操作して、ポール47とフック46の係合を解除して、フック46をトーションばね48の付勢力によりアンロック位置に向けて回動させ、前側ストライカ15をストライカ進入溝42から脱出可能な状態にする。
この後に、ロック解除スイッチをロック有効位置に戻して、シートSを後方に向けて回転移動させれば、後側ストライカ14と前側ストライカ15がストライカ進入溝28a、30aとストライカ進入溝42からそれぞれ脱出し、フック46はアンロック位置に保持され、シートSが格納位置側に移動する。
シートSをシート使用位置から格納位置側に移動させると、ガススプリング60の回転付勢力により、シートクッション20が回動アーム50に対して、その開き角度を大きくしようとするので、着座者はシートSの前端部を手で押さえて、シートクッション20(シートS)を略水平状態に維持する。シートSが、シート使用位置から格納位置側に所定角度だけ回転移動すると、それまで弛んでいた姿勢制御ワイヤW2が緊張して直線状になるので、着座者がシートSから手を離しても、シートSは略水平状態に維持される。シートSが格納位置に近づくと、姿勢制御ワイヤW2が弛み始めるので、着座者は、手でシートSの前端部を下方に押圧して、シートSを略水平状態に維持し、このままの状態で、前側ロック機構U2のストライカ進入溝42に格納位置保持用ストライカ54を進入させる。この際も、ガススプリング60の回転付勢力が、回動アーム50とシートクッション20(サイドフレーム23)の枢着部に作用するので、該枢着部に機械的ながたつきがあっても、シートクッション20(シートS)は安定した状態で後方に回転移動し、そのストライカ進入溝42が格納位置保持用ストライカ54に円滑に進入する。
フック46はアンロック位置に保持されているので、ストライカ進入溝42に進入した格納位置保持用ストライカ54は、ストライカ進入溝42の終端部まで円滑に進入して、該進入中に、格納位置保持用ストライカ54がフック46の係合溝46aに係合して、フック46を反時計方向に回転させる。フック46がロック位置に達すると、その係合部46cとポール47の被係合部47aが係合して、フック46はロック位置に保持され、シートSは格納位置に保持される。
このような本実施形態によれば、格納式車両用シート装置SAの製造工程で姿勢制御ワイヤW2の取付作業が完了するので、例えば、姿勢制御ワイヤW2の動作確認を車両床面11への取付前に行えるようになる。従って、格納式車両用シート装置SAの床面11への取付作業を、従来より簡単に行えるようになる。
また、格納式車両用シート装置SAを車両10の床面11に取り付ける前に、予め格納式車両用シート装置SAに格納位置保持用ストライカ54を、前側ロック機構U2が係合できるように位置調整を行いながら取り付けているので、格納位置保持用ストライカ54の位置調整はシートSの製造工程で完了する。そのため、格納式車両用シート装置SAの車両10の床面11への取付作業が、さらに容易となっている。
さらに、ガススプリング60は、シートクッション20と回動アーム50の開き角度が最大となる時を含めて、常に、回動アーム50とシートクッション20(サイドフレーム23)に回転付勢力を付与しているので、回動アーム50とサイドフレーム23の枢着部に機械的ながたつきがあっても、このがたつきは常に除去されている。このため、シートSの回動移動を安定した状態で行うことができ、シートSを格納位置からシート使用位置に回転移動させる際には、シートクッション20を、そのストライカ進入溝28a、30aに後側ストライカ14を円滑に進入させられる。
また、前側ロック機構U2が、シートSをシート使用位置に保持するための前側ストライカ15及びシートSを格納位置に保持するための格納位置保持用ストライカ54の両者と係脱する機能を有しているので、シートSに、両ストライカ15、54とそれぞれ係脱する2つのロック機構を設ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることが可能であり、その結果、製造コストを低くすることができる。
なお、本実施形態では、格納用凹部13をシート設置面12の後方に設けたが、シート設置面12の前方に設けても良い。
また、ガススプリング60のシリンダ61をサイドフレーム23に、ロッド62を回動アーム50に枢着したが、シリンダ61を回動アーム50に枢着して、ロッド62をサイドフレーム23に枢着してもよい。
本発明の一実施形態の車両の側面図である。 車両内部の床面の格納用凹部に、シートが格納された状態を示す拡大側面図である。 車両内部の床面のシート設置面にシートが設置された状態を示す側面図である。 シートバック、シートバックフレーム、及びシートクッションを取り除いたときの、格納式車両用シート装置を後方から見たときの斜視図である。 シートクッションフレームの平面図である。 シートクッションフレームの後端部、回動アーム、固定用ブラケット、及び格納位置保持用ストライカを示す拡大平面図である。 連結部材のワイヤ取付部と姿勢制御ワイヤの端部を拡大して示す分解斜視図である。 図5のVIII−VIII矢線に沿う拡大断面図であり、シート使用位置において、シートの後側ロック機構のストライカ進入溝に、後側ストライカが進入した状態を示す図である。 シート使用位置において、シートの後側ロック機構と後側ストライカがロックした状態を示す拡大側面図である。 図9のX−X矢線に沿う断面図である。 図5のXI−XIに沿う前側ロック機構の拡大縦断側面図であり、前側ロック機構と前側ストライカがアンロック状態にある状態を示す図である。 図11と同様の拡大縦断側面図であり、前側のロック機構と前側ストライカがロック状態にある状態を示す図である。 シートが、格納位置とシート使用位置の間を回転移動する状態を示す側面図である。
符号の説明
10 車両
11 床面
12 シート設置面
13 格納用凹部
13a 前壁
14 後側ストライカ
15 前側ストライカ
20 シートクッション
21 シートバック
21a 押圧部
22 シートクッションフレーム
23 サイドフレーム
24 前部連結部材
25 連結パイプ
25a ブラケット(規制手段)
25b クッション材(規制手段)
26 前部連結板
27 棒状補強材
28 基部材
28a ストライカ進入溝
28b 案内溝
29 切欠部
30 補助部材
30a ストライカ進入溝
31 回転軸
32 フック
32a 係合溝
32b 腕部
33 連結ピン
34 リンク部材
35 回転軸
36 回動片
36a 被押圧部
37 トーションばね
38 連結ピン
40 取付板
41 ロック用ブラケット
42 ストライカ進入溝
44 45 回転軸
46 フック
46a 係合溝
46b 腕部
46c 係合部
47 ポール
47a 被係合部
48 49 トーションばね
50 回動アーム
50a 挿通孔
50b 回転軸
50c 当接部材(規制手段)
51 回転軸
52 固定用ブラケット(床面固定部材)
53 連結部材(床面固定部材)
53a ワイヤ取付部
53b 取付片
54 格納位置保持用ストライカ
60 ガススプリング(回転付勢手段)
61 シリンダ
62 ロッド
70 ボルト
71 ナット
72 取付用ピン
SA 格納式車両用シート装置
S シート
U1 後側ロック機構
U2 前側ロック機構
W1 牽引ワイヤ
W2 姿勢制御ワイヤ

Claims (3)

  1. 車両床面の前後に並べて形成したシート設置面と格納用凹部とに、単一のシートを選択移動可能に支持する格納式車両用シート装置であって、
    車両床面側とシート側にそれぞれ両端部が枢着され、その回動移動によってシートを上記シート設置面に載置されるシート使用位置と、上記格納用凹部に格納される格納位置との間に回転移動させる回動アーム;
    この回動アームがシート格納位置とシート使用位置との間で回動移動するとき、該シートを回動アームに対する開き角が大きくなる方向に付勢する回転付勢手段;
    上記シートが上記シート使用位置及び上記格納位置に位置するときには弛み、上記シート使用位置と上記格納位置の間の所定範囲を回動中は上記回転付勢手段の力によって伸張され該回転付勢手段の力に抗して該シートの姿勢を制御する姿勢制御ワイヤ;及び
    上記シート及び車両床面とは別部材として形成され、該車両床面に固定される床面固定部材;
    を有し、
    この床面固定部材に、上記回動アームの一端部と姿勢制御ワイヤの一端部とを支持し、
    上記シート、回動アーム、回転付勢手段、姿勢制ワイヤ及び床面固定部材を車両床面へ装着前の状態でユニット化したことを特徴とする格納式車両用シート装置。
  2. 請求項1記載の格納式車両用シート装置において、
    さらに、上記回動アームと上記シートクッションの最大開き角を規制する規制手段が備えられ、上記回転付勢手段は、この最大開き角においてもシートを回動アームに対する開き角が大きくなる方向に付勢する格納式車両用シート装置。
  3. 請求項2記載の格納式車両用シート装置において、
    上記回転付勢手段がガススプリングである格納式車両用シート装置。
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