JP2005144829A - ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2005144829A
JP2005144829A JP2003384574A JP2003384574A JP2005144829A JP 2005144829 A JP2005144829 A JP 2005144829A JP 2003384574 A JP2003384574 A JP 2003384574A JP 2003384574 A JP2003384574 A JP 2003384574A JP 2005144829 A JP2005144829 A JP 2005144829A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyolefin resin
porous membrane
film
olefin copolymer
multilayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003384574A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005144829A5 (ja
JP4186798B2 (ja
Inventor
Shuji Sakamoto
秀志 坂本
Junichi Yamauchi
淳一 山内
Takashi Niifuku
隆志 新福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
Original Assignee
Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Petrochemical Corp, Chisso Corp filed Critical Chisso Petrochemical Corp
Priority to JP2003384574A priority Critical patent/JP4186798B2/ja
Publication of JP2005144829A publication Critical patent/JP2005144829A/ja
Publication of JP2005144829A5 publication Critical patent/JP2005144829A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4186798B2 publication Critical patent/JP4186798B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】連通した微細孔を有し、高い通気性や高空隙率化が可能であって、優れたシャットダウン機能を有するポリオレフィン樹脂製多孔膜を、高い生産性を以って容易に提供する。
【解決手段】特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)からなるポリオレフィン樹脂組成物(C)を主成分とした多孔膜(X)と特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)からなるポリオレフィン樹脂組成物(c)を主成分とした多孔膜(Y)とを少なくとも一層ずつ積層したポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜に関する。詳しくは、分離膜や電池セパレータ等に好適なポリオレフィン樹脂製多層多孔膜に関する。
連通した細孔を有するプラスチック多孔膜は様々な用途に用いられており、医療用、工業用の濾過、分離等に用いられる分離膜や、電池セパレータ、電解コンデンサー用セパレータ等のセパレータ、更に紙おむつ用バッグシート等の衛生材料、ハウスラップや屋根下地材等の建材等に広く使用されている。特に、ポリオレフィン樹脂多孔膜は有機溶剤やアルカリ性または酸性の溶液に対する耐性を有するため、これら用途に広く好適に使用されている。
ポリオレフィン樹脂多孔膜の製造方法としては次のものが知られている。
(a)ポリオレフィン樹脂にシリカやタルク等の無機質充填剤やポリオレフィンと非相溶性のナイロンやポリエチレンテレフタレート等の有機質充填剤を混合して成形したシートを、少なくとも一方向に延伸し、マトリックスとなるポリオレフィン樹脂と充填剤の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「多成分延伸法」という)。
(b)高ドラフト比で製膜した結晶性ポリプロピレンのシートを、必要に応じて加熱処理し、少なくとも一方向に延伸し、結晶ラメラ間をフィブリル化させ多孔膜を得る方法(以下「単成分延伸法」という)。
(c)ポリオレフィン樹脂に有機液状体や無機質充填剤等を混合して成形したシートから、該有機液状体や無機質充填剤を抽出し、必要に応じ該抽出の前後に延伸を行う方法(以下「混合抽出法」という)。
上記(a)の多成分延伸法には、無機質充填剤混合系と有機質充填剤混合系が知られているが、前者の場合、無機質充填剤の添加量を多くする必要があり、マトリックスとなるポリオレフィン本来の物性や風合いが低下したり、酸やアルカリに弱い等の課題があった。また、後者の有機質充填剤混合系では、ポリオレフィン本来の物性や風合いが低下するだけでなく、マトリックスへの有機質充填剤の微分散が難しく、細孔の孔径が小さい多孔膜や空隙率の大きい多孔膜が得られ難い等の課題がある。
上記(b)の単成分延伸法は、高ドラフト比で製膜した膜状成形物を別工程で長時間に渡り熱処理した後、特殊な条件下で多段延伸を行うものであり、方法が特殊なだけでなく、製造に長時間を要し、生産性が低いという課題があった。また、結晶ラメラ間をフィブリル化させるため、空隙率の大きい多孔膜が得られ難く、更に、高配向でかつ高結晶化されたシートを延伸するため、得られた多孔膜が裂けやすいという課題を有している。
上記(c)の混合抽出法は、シート中の有機液状体を有機溶媒にて、また、無機質充填剤をアルカリ性溶媒にて抽出する工程、抽出後のシートを洗浄及び乾燥する工程からなり、製造工程が複雑であった。また、有機液状体を用いる場合は、シート中の有機液状体の含有率が40〜60重量%にも達するため、高速製膜性や延伸性に課題がある他に、各工程でロール等への有機液状物の付着等が発生し、生産性に課題がある。
一方、容易に多孔膜を得る方法として、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、エチレン−プロピレンブロックコポリマー単独または必要に応じポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂を併用した結晶性ポリオレフィン樹脂に融点が100℃以下の鉱物油やエステル化合物を含有させた多孔性シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの技術では、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性を示さないため、多成分系によりその改良を図っているが、多成分であるがためにそれらの各成分を均一分散させないと均一な多孔膜が得られにくく、また、多孔膜中に形成された細孔の径が大きいため、多孔膜厚さの薄肉化に難があったり、高空隙率化が難しく通気度や透湿度の向上が図りにくい等の課題を有しており、小さな細孔の径を必要とする電池セパレータや高い空隙率と通気性を必要とする精密濾過用フィルタに使用することは難しい。
特開平4−309546号公報 特開平8−208862号公報
本発明は、前記ポリオレフィン樹脂製多孔膜に関する課題を解決すべくなされたものであり、連通した微細孔を有し、高い通気性や高空隙率化が可能であって、優れたシャットダウン機能を有するポリオレフィン樹脂製多孔膜を、高い生産性を以って容易に提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)からなるポリオレフィン樹脂組成物(C)を主成分とした多孔膜(X)と、特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)からなるポリオレフィン樹脂組成物(c)を主成分とした多孔膜(Y)とが少なくとも一層ずつ積層されたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜によって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、α−オレフィン共重合体(B)領域及びα−オレフィン共重合体(b)領域に連続的に形成され、結果的にポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の表裏両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
本発明は、以下によって構成される。
1.結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と主成分のα−オレフィン重合単位の含有量が40〜80重量%であるα−オレフィン共重合体(B)とを含有するポリオレフィン樹脂組成物(C)から形成された多孔膜層(X)と、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と主成分のα−オレフィン重合単位の含有量が40〜80重量%であるα−オレフィン共重合体(b)とを含有するポリオレフィン樹脂組成物(c)から形成された多孔膜層(Y)とが、少なくとも一層ずつ積層されたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜であって、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRのメルトフローレート比MFR/MFRが0.1〜10の範囲であり、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(b)のメルトフローレートMFRのメルトフローレート比MFR/MFRが10を超え1,000以下であり、α−オレフィン共重合体(B)領域及びα−オレフィン共重合体(b)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
2.ポリオレフィン樹脂組成物(C)における結晶性ポリオレフィン樹脂(A):α−オレフィン共重合体(B)の重量比が30〜70:30〜70であり、ポリオレフィン樹脂組成物(c)における結晶性ポリオレフィン樹脂(a):α−オレフィン共重合体(b)の重量比が30〜70:30〜70であることを特徴とする前記1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
3.メルトフローレート比MFR/MFRが0.2〜5であることを特徴とする前記1または2項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
4.結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)が、結晶性ポリプロピレンであり、α−オレフィン共重合体(B)とα−オレフィン共重合体(b)がプロピレン−α−オレフィン共重合体である前記1〜3項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
5.結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)が、1段目で結晶性ポリオレフィン(A)を製造し、連続して2段目でα−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られた混合組成物であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
6.結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)が、1段目で結晶性ポリオレフィン(a)を製造し、連続して2段目でα−オレフィン共重合体(b)を製造する工程を含む多段重合法により得られた混合組成物であることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
7.ポリオレフィン樹脂組成物(C)及び/またはポリオレフィン樹脂組成物(c)が、ジエン系共重合体を5〜30重量%含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
8.α−オレフィン共重合体(B)領域及びα−オレフィン共重合体(b)領域に連通した細孔が、ポリオレフィン樹脂組成物(C)の膜状溶融物層の少なくとも片面にポリオレフィン樹脂(c)の膜状溶融物層を重ね合わせて膜状多層溶融物とし、該膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形した後、該膜状多層成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成されたことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
9.膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形する際のドラフト比が1〜10の範囲であることを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
10.膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲であることを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
11.多孔膜の膜破れ温度Tが150℃以上であって、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔTが20℃以上であることを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
12.透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100ml、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hである前記1〜11項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、特定の加工方法のもと、特定のポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる多孔膜層(X)と、特定のポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる多孔膜層(Y)を少なくとも1層ずつ積層することにより、ポリオレフィン樹脂組成物(C)のみを用いて単層多孔膜を成形する場合の限られた成形加工条件の幅を広げ、ポリオレフィン樹脂組成物(c)のみを用いて単層多孔膜を成形する場合の延伸性不足及びそれに起因する多孔膜の通気性不足を解消して得られた、優れた空隙率と通気性を有する生産性に優れた多層多孔膜である。また、本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、従来のような複雑な製造工程を用いないで得られる経済的な多孔膜であり、連通した微細孔を必要とする分離膜をはじめとして、シャットダウン機能が必要な電池セパレータ、通気防水材等の用途に好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、多孔膜層(X)と多孔膜層(Y)を少なくとも1層ずつ積層したものであり、多孔膜層(X)と多孔膜層(Y)を積層した2層構造のX/Yだけでなく、X/Y/X、Y/X/Y、X/Y/X/Y等の3層以上の多層フィルムであっても構わない。なかでも、多孔膜層(Y)が外側に位置するX/Y、Y/X/Y、X/Y/X/Y等が好適に用いられる。
(1)ポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)
多孔膜層(X)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)を含有した特定のポリオレフィン樹脂樹脂組成物(C)からなる。また、多孔膜層(Y)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)を含有した特定のポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる。
(i)結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等との共重合体のポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、4−メチル−ペンテンの単独重合体、4−メチル−ペンテンとエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等との共重合体等のポリメチルペンテン樹脂等が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用して用いることができる。中でも、安価でありながら高強度かつ高剛性であって耐熱温度が比較的高い結晶性ポリプロピレン樹脂が好適に用いられる。
前記ポリプロピレン樹脂は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレン樹脂である。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン重合単位10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン樹脂が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン(本発明ではα−オレフィンに含める)、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含有量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)メルトフローレートMFRまたは結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレートMFRは、JIS K 7210に準拠し、下記の条件で測定された値である。
結晶性ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂の場合、温度190℃、加重荷重21.18Nで測定。結晶性ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂の場合、温度230℃、加重荷重21.18Nで測定。結晶性ポリオレフィン樹脂が4−メチル−1−ペンテンの場合、温度260℃、荷重21.18で測定。
結晶性ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂の場合、メルトフローレートは製膜の安定性から0.1〜50g/10minの範囲のものが好ましい。
(ii)α−オレフィン共重合体(B)及びα−オレフィン共重合体(b)
α−オレフィン共重合体(B)及びα−オレフィン共重合体(b)は、共に2種以上のα−オレフィンのランダム共重合体であって、主成分となるα−オレフィン重合単位のα−オレフィン共重合体(B)またはα−オレフィン共重合体(b)に対する含有量は、それぞれ40〜80重量%、好ましくは40〜75重量%である。主成分となるα−オレフィン重合単位の含有量が80重量%を超える場合には、それぞれのα−オレフィン共重合体の開裂が発生し難くなり、所期の多孔膜が得られ難い。尚、ここで「主成分」とは、2種以上のα−オレフィンのうち、最も含有量の高いα−オレフィン成分をさす。
α−オレフィン共重合体(B)またはα−オレフィン共重合体(b)に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。α−オレフィン共重合体(B)またはα−オレフィン共重合体(b)としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。このうちエチレン−プロピレン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRまたはα−オレフィン共重合体(b)のメルトフローレートMFRは、JIS K 7210に準拠し、それぞれポリオレフィン樹脂組成物(C)または(c)を構成する相手となる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)または(a)の場合と同一の条件で測定された値である。
また、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)または結晶性ポリオレフィン樹脂(a)がポリプロピレン樹脂の場合、α−オレフィン共重合体(B)またはα−オレフィン共重合体(b)は、プロピレン重合単位を含有したα−オレフィン共重合体が望ましく、そのプロピレン重合単位の含有量は、α−オレフィン共重合体の重量基準で30〜80重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。プロピレン重合単位の含有量が前記範囲より多過ぎる場合には、結晶性ポリプロピレンのマトリックス中に存在するプロピレン−α−オレフィン共重合体領域に細孔が形成され難く、また、プロピレン重合単位の含有量が前記範囲より少なすぎる場合には、結晶性ポリプロピレンとプロピレン−α−オレフィン共重合体の界面剥離が生じ易くなるため低温延伸性が低下し、細孔径も大きくなり易い。
(iii)ポリオレフィン樹脂組成物(C)
ポリオレフィン樹脂組成物(C)は結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)からなり、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRとのメルトフローレート比MFR/MFR(以下、「MFR比AB」という)は、0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲である。MFR比ABが前記範囲の場合には、α−オレフィン共重合体(B)が結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に微分散するために微細で連通した細孔が得られ易く、微細な細孔同士の接触点が増加し、JIS P 8117で測定された透気抵抗度(ガーレー)が小さく、通気性の大きな多孔膜が得られ易い。また、延伸性に優れるために空隙率の高い多孔膜が得られ易く、通気性も一層大きくなる。
具体的には、前記MFR比ABが0.1〜10の範囲の場合には、得られた多孔膜(X)においては、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、1〜2μmの微細な細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が5μm以下の微細な細孔が認められ、空隙率は20〜80%となる。
尚、ポリオレフィン樹脂組成物(C)のみを用いた単層多孔膜は、透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100ml、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hで、後述の電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有するが、該多孔膜を製造する場合、後述の製膜工程における加工条件幅が比較的狭く、生産性を向上させるために、ドラフト比を大きくしたり、ロール温度を下げたりすると、空隙率や通気性が低下する傾向にあり、より高い生産性が得られ難い。
尚、電池セパレータの場合、電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したらセパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能(以下「シャットダウン機能」という)が求められている。そのため膜破れする温度T(以下「膜破れ温度」という)と細孔を閉塞する温度(以下「シャットダウン温度」という)Tの差ΔT=T−Tを大きくし、かつ、より早い段階で異常反応を停止し温度上昇を抑えるべくシャットダウン温度を低減することが望まれている。本発明においては、MFR比ABが0.1〜10の場合には、膜破れ温度Tとシャットダウン温度Tの差が20℃以上のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜が得られ、これは特に電池セパレータとして好適に用いることができる。この電池セパレータとしての優れたシャットダウン機能は、MFR比を0.1〜10とすることにより、細孔径が小さく閉塞しやすいこと、また、α−オレフィン共重合体(B)自体が占める領域の中での細孔形成が多く、α−オレフィン共重合体(B)が相溶性を有しマトリックスとなる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と強固に絡み合い、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)がα−オレフィン共重合体(B)の熱収縮を抑えることに起因すると推察される。
ポリオレフィン樹脂組成物(C)における結晶性ポリオレフィン樹脂(A):α−オレフィン共重合体(B)の重量比は、30〜70:30〜70が好ましく、40〜60:40〜60がより好ましい。該重量比が上記の範囲内であれば、α−オレフィン共重合体(B)領域に形成される細孔の連なりが多くなり本発明の連通した細孔が得られ易く、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に存在するα−オレフィン共重合体(B)の微分散構造が得られ易くなる。
(iv)ポリオレフィン樹脂組成物(c)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(c)は結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)からなり、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(b)のメルトフローレートMFRとのメルトフローレート比MFR/MFR(以下、「MFR比ab」という)は、10を超え1,000以下の範囲であることが好ましい。MFR比abが前記範囲であれば、MFR比ABが0.1〜10の場合に比べ、延伸により形成される細孔の孔径が大きく、連通した細孔の割合が低下し、また、延伸性も低下する傾向があるものの、加工条件幅が広く樹脂組成物が製膜条件や延伸条件の変動の影響を受け難いため、特性の安定した多孔膜が得られ易い。
具体的には、前記MFR比abが10を超え1,000以下の場合には、得られた多孔膜層(Y)においては、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、5μm前後の細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が15μm以下の細孔が認められ、空隙率は20〜80%となる。
尚、ポリオレフィン樹脂組成物(c)のみを用いた単層多孔膜は、、透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000秒/100ml、透湿度が200〜10,000g/m・24hであるが、該多孔膜では、MFR比ABが0.1〜10の場合に比べ、細孔径が大きいため通気性の向上が図り難く、また、電池セパレータとして用いた場合に、シャットダウン機能に欠ける等の課題がある。
ポリオレフィン樹脂組成物(c)における結晶性ポリオレフィン樹脂(a):α−オレフィン共重合体(b)の重量比は、30〜70:30〜70が好ましく、更に好ましくは40〜60:40〜60である。結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)の重量比が上記の範囲であれば連通した細孔が比較的得られやすく、α−オレフィン共重合体(b)の分散性も良い。
ポリオレフィン樹脂組成物(C)を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)、及びポリオレフィン樹脂組成物(c)を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)の製造方法は特に限定されず、上記の条件を満足すれば、いかなる製造方法を用いてもよい。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリオレフィン樹脂とα−オレフィン共重合体とを溶融混練等によって混合することによりポリオレフィン樹脂組成物を製造してもよい。
また、結晶性ポリオレフィン樹脂とα−オレフィン共重合体とを多段重合により連続的に重合することによって製造してもよい。例えば、複数の重合器を使用し、1段目で結晶性ポリオレフィン樹脂を製造し、引続き2段目で結晶性ポリオレフィン樹脂の存在下にα−オレフィン共重合体を製造し、両者の混合組成物を連続的に製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリオレフィン樹脂中にα−オレフィン共重合体が均一に分散した混合組成物が安定して得られるため好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜には、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に微分散したα−オレフィン共重合体(B)領域及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中に微分散したα−オレフィン共重合体(b)領域に微細な開裂が多数認められるが、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び/または結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の重合成分であるエチレン、プロピレン、ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが、α−オレフィン共重合体(B)及び/またはα−オレフィン共重合体(b)のコモノマーであることが望ましい。α−オレフィン共重合体が結晶性ポリオレフィン樹脂の重合成分であるα−オレフィンを一定以上含有するために該結晶性ポリオレフィン樹脂と相溶性を有しており、この結晶性ポリオレフィン樹脂と相溶性を有するα−オレフィン共重合体が、結晶性ポリオレフィン樹脂より低強度であるため、延伸応力によりα−オレフィン共重合体領域で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところであり、その結果、得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、細孔径が小さく、空隙率や通気度が大きいものとなっている。
尚、本発明においてα−オレフィン共重合体(B)領域とは、α−オレフィン共重合体(B)自体が占める領域、及びα−オレフィン共重合体(B)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。従って、α−オレフィン共重合体(B)領域に生じる細孔には、α−オレフィン共重合体(B)自体が占める領域の中で生じる開裂による細孔、及び結晶性ポリオレフィン樹脂(A)等とα−オレフィン共重合体(B)との境界領域で生じる界面剥離による細孔が含まれる。また、α−オレフィン共重合体(b)領域についても同様に、α−オレフィン共重合体(b)自体が占める領域、及びα−オレフィン共重合体(b)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。
尚、本発明において結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)、及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)が前記連続重合法により得られる場合、前記MFR比ABまたはMFR比abは、通常は結晶性ポリオレフィン樹脂及びα−オレフィン共重合体のメルトフローレートを各々測定することにより求められる。しかし、結晶性ポリオレフィン樹脂を多段重合により連続的に製造した場合(最初に結晶性ポリオレフィン樹脂を重合し、次いで共重合体を重合する場合)は、共重合体のMFRを直接測定できないため、直接測定可能なポリオレフィン樹脂のMFR、得られるポリオレフィン樹脂組成物のメルトフローレートMFRWHOLE及びポリオレフィン樹脂組成物中の共重合体の含有量W(重量%)から、下記式によりMFRを算出して、MFR比を求めることができる。
log(MFR)={log(MFRWHOLE)−(1−W/100)log(MFR)}/(W/100)
本発明のポリオレフィン樹脂多層多孔膜を形成するための膜状成形物の成形材料であるポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)には、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)の他に、通常のポリオレフィン樹脂に使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。
中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示でき、無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示でき、滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル類が例示できる。
α晶造核剤としては、タルク、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルベンゾエート)、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等の公知のα晶造核剤が挙げられる。これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良い。
これらの添加剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の使用目的等により適宜選択することができるが、通常ポリオレフィン樹脂組成物(C)または(c)の重量基準で0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。
また、本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜を形成するための通常ポリオレフィン樹脂組成物(C)及び(c)には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び(a)以外の熱可塑性樹脂やα−オレフィン共重合体(B)及び(b)以外の弾性共重合体を1種または2種以上添加しても構わない。
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び(a)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
また、α−オレフィン共重合体(B)及び(b)以外の弾性共重合体としては、α−オレフィン共重合体(B)及び(b)以外のオレフィン系弾性共重合体、スチレン系弾性共重合体、ウレタン系弾性共重合体、ポリエステル系弾性共重合体、ポリアミド系弾性共重合体、塩化ビニル系弾性共重合体等の各種弾性共重合体が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用して用いることができる。中でも、α−オレフィン共重合体(B)及び(b)以外のオレフィン系弾性共重合体であるジエン系共重合体は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中へのα−オレフィン共重合体(B)の分散、及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中へのα−オレフィン共重合体(b)の分散を向上させるため好適に用いられる。
ジエン系共重合体は、芳香族ビニル化合物やα−オレフィンと共役ジエンとの共重合体及びその水素添加した共役ジエン系共重合体と、α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体である非共役ジエン系が挙げられる。特に、水素添加した共役ジエン系共重合体(以下「水添ジエン系共重合体」という場合がある)は、各種ポリオレフィン樹脂との相溶性に優れ、ポリオレフィン樹脂中に微分散し易く、また、2種以上の熱可塑性樹脂の相溶化剤として働き、マトリックスとなるポリオレフィン樹脂中に他の熱可塑性樹脂を微分散させることもできるため好適に用いられる。
水添ジエン系共重合体としては、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとからなるブロック共重合体を水素添加したもの、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとからなるランダム共重合体を水素添加したもの、1種以上のα−オレフィンと共役ジエンとからなるブロック共重合体を水素添加したもの、1種以上のα−オレフィンと共役ジエンをランダム共重合したものを水素添加したものが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併用して用いられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられ、特に、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。中でも、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
また、非共役ジエン系共重合体としては、エチレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体、エチレン−ブテン−非共役ジエン系共重合体等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併用して用いられる。
非共役ジエンとしてはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等があるが、特にジシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンが好ましい。
ジエン系共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
また、本発明におけるジエン系共重合体は、必要に応じ、芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体をグラフト共重合したものでも構わない。芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物やメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸等、またマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。
ジエン系共重合体のメルトフローレートMFRB2は特に限定されるものではないが、0.1〜20g/10分の範囲が成形加工性に優れるため好適である。
本発明においてポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)には、それぞれ結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及びα−オレフィン共重合体(B)以外、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)及びα−オレフィン共重合体(b)以外の各種熱可塑性樹脂を2種以上添加しても構わない。この場合、溶融混練されたポリオレフィン樹脂組成物においてジエン系共重合体は各成分の界面に介在し、マトリックスを構成する結晶性ポリオレフィン樹脂中に球状、針状または板状として存在するα−オレフィン共重合体や他の熱可塑性樹脂を微分散状態とすることを可能とする。このため延伸により形成された細孔は小さくなり、連通孔を形成し易くなる。
前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)に、上記添加剤を配合してポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)とする方法は、特に限定されるものではないが、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(2)ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の形成
本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、多孔膜層(X)と多孔膜層(Y)を少なくとも1層ずつ積層したものであって、その積層方法は、溶融樹脂の押出時に積層する共押出方法、溶融樹脂の製膜時に積層するサーマルラミネート方法、製膜及び延伸により得られた多孔膜層(X)と多孔膜層(Y)を積層するドライラミネートまたはウェットラミネート法、加熱エンボスロールにより点融着または線融着させるポイントボンディング法等が挙げられる。なかでも、多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)と多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)の長所と短所を補完するために、前記共押出方法やサーマルラミネート方法が望ましく、特に、共押出方法は、複雑な設備を必要とせず、押出から製膜延伸まで一貫で生産が可能なことから好適に用いられる。以下に共押出方法について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
共押出方法において、本発明のオレフィン樹脂製多層多孔膜は、多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)を溶融し混練したものと多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)を溶融混練したものを積層し膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。
(i)製膜工程
前記ポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)から多層構造の膜状成形物を得るための製膜工程は、多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)を溶融し混練したものと多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)を溶融し混練したものを共押出方式によりダイ内またはフィードブロック内で積層し多層構造の膜状溶融物とし、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法等の製膜装置により冷却固化する。中でも、膜厚さの精度が高く多層化が容易なTダイフィルム成形法が好適に用いられる。
ポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点以上の押出成形温度で製膜することができる。多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)と多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)は、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の剛性を向上させて、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に分散したα−オレフィン共重合体(B)領域と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中に分散したα−オレフィン共重合体(b)領域に均一かつ微細な細孔が生じさせ易くするため、200〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
前記多層構造を有する膜状溶融物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する該膜状溶融物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般にポリオレフィン樹脂製フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、ポリオレフィン樹脂組成物(C)及びポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる多層構造を有する膜状溶融物を製膜する際のドラフト比は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましく、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって多孔膜層(X)及び多孔膜層(Y)に連通した細孔が形成され易くなる。
特に、MFR比ABが0.1〜10の範囲にあるポリオレフィン樹脂組成物(C)はドラフト比の影響を受け易く、ポリオレフィン樹脂組成物(C)を用いて単層多孔膜とした場合には、ドラフト比が大きくなるに従い空隙率および通気性が大きく低下するが、該ポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる膜状溶融物の表層に、MFR比abが10を超え1,000以下のポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる膜状溶融物を積層した膜状成形物は、ドラフト比の影響を受け難く、該膜状成形物を延伸して得られるオレフィン樹脂製多層多孔膜は、微細な細孔を有しながら、空隙率が高く優れた通気性を有することが見出された。
また、インフレーションフィルム成形法の場合には、前記ドラフト比に加え、インフレーションフィルムの周長Lと円形リップの周長Lの比で表されるブロー比L/Lにより得られるポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性も変化するが、ドラフト比が上記範囲内であれば、ブロー比は1〜10程度の範囲が好適に用いられる。ブロー比が上記範囲内であれば、膜状成形物の安定生産が可能で、得られる膜状成形物の多孔化がし易い。
また、マトリックスとなる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の剛性を向上させて結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に分散したα−オレフィン共重合体(B)領域及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中に分散したα−オレフィン共重合体(b)領域に均一かつ微細な細孔を生じさせ易くするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷が望ましく、冷却ロールの温度は60〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。冷却ロールの温度が上記の範囲内であれば、所期の多孔化が得られ易く、溶融樹脂がロールへ密着して生産性を損なう恐れがない。
特に、MFR比ABが0.1〜10の範囲にあるポリオレフィン樹脂組成物(C)は冷却条件の影響を受け易く、ポリオレフィン樹脂組成物(C)を用いて単層多孔膜とした場合には、冷却ロール温度が低下するにつれて空隙率および通気性が大きく低下するが、該ポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる膜状溶融物の表層に、MFR比abが10を越え1,000以下のポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる膜状溶融物を積層した膜状成形物は、冷却条件の影響を受け難く、該膜状成形物を延伸して得られるポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、微細な細孔を有しながら、空隙率が高く優れた通気度を有することが見出された。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件と多孔膜の用途の要求特性によって決定され特に限定されるものではないが、好ましくは20μm〜2mm、より好ましくは50〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/minの範囲が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置をはじめとして、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組合せからなるTダイフィルム成形装置等の各種製膜装置により得られる。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点に達しない温度で1〜30分間程度加熱することにより実施される。
更に、本発明のポリオレフィン樹脂多層多孔膜は、公知の無機質充填剤、有機質充填剤等を含有した樹脂組成物を本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜形成用樹脂組成物と共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向または横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に分散したα−オレフィン共重合体(B)領域と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中に分散したα−オレフィン共重合体(b)領域に連通した細孔が形成される。この点が、本発明の製造方法が、従来技術である単成分延伸法、多成分延伸法及び混合抽出法等と根本的に異なるところである。これにより本発明の製造方法は、混合抽出法のような複雑な抽出及び乾燥工程等の製造工程や、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)のラメラ結晶間のフィブリル化により細孔を発現させる単成分延伸法に見られる製膜後の熱処理による結晶化工程等を不要とするだけでなく、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙を生じさせる多成分延伸法の場合の延伸性不良や平均細孔径が大きくなりやすく空隙率が低い等の課題を大幅に改善し、任意の平均細孔径や空隙率を有する多孔膜を優れた生産性を以って提供することを可能にする。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行ったり、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。尚、膜状成形物は前記製膜工程においてドラフトされるため、例え低ドラフト比で製膜された膜状成形物であっても、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)中に分散したα−オレフィン共重合体(B)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)中に分散したα−オレフィン共重合体(b)は樹脂の流れ方向つまり縦(MD)方向に沿って配向しており、一段目の延伸は横方向への一軸延伸法または縦横方向への同時二軸延伸法により行うことが望ましいが、一段目に縦方向への延伸を行い二段目に横方向へ延伸を行う逐次二軸延伸法でも構わない。
この一段目の延伸温度は、α−オレフィン共重合体(B)の融点または軟化点Tmαより低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲が好適に用いられる。また、一段目の延伸倍率は、特に限定されるものではなく、必要に応じ行われる二段目の延伸条件や多孔膜の用途の要求特性から決定されるが、通常、1.5〜7倍の範囲である。
延伸倍率が上記の範囲であれば優れた特性を持つポリオレフィン樹脂製多層多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。また、同時二軸延伸の場合には、面積倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)は2〜50倍が好ましく、更に好ましくは4〜40倍である。面積倍率がこの範囲であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
尚、、MFR比ABが0.1〜10のポリオレフィン樹脂組成物(C)は、延伸性に優れ単層で多孔膜とする場合でも通常1.5〜7倍程度の延伸が可能であるが、MFR比abが10を超え1,000以下のポリオレフィン樹脂組成物(c)は、延伸性に劣るため、1.5〜4倍程度の延伸しかできない。本発明のポリオレフィン樹脂多層多孔膜は、MFR比ABが0.1〜10のポリオレフィン樹脂組成物(C)を、MFR比abが10を超え1,000以下のポリオレフィン樹脂組成物(c)に積層することにより、延伸性を改良することが可能となった。
本発明の多層多孔膜は、必要に応じ二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。また、該延伸温度がα−オレフィン共重合体(B)及びα−オレフィン共重合体(b)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる多孔膜の厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、多孔膜の用途の要求特性により決定され、特に限定されるものではないが、通常1.5倍〜7倍の範囲である。延伸倍率が前記の範囲内であば、延伸効果が十分で、延伸切れの多発により生産性が低下する恐れがない。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま多孔質となった膜状成形物を結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の融点TmA及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点Tmaより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の上限温度より高いと、形成された細孔が閉塞することもあり、また、温度が上記の下限温度より低いと熱固定が不十分となり易く、後に細孔が閉鎖したり、またポリオレフィン樹脂製多層多孔膜として使用する際に温度変化により熱収縮を起こし易くなる。
本発明のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の厚さは、特に限定されるものではないが、生産性の観点から10〜200μm程度が好ましい。
本発明のオレフィン樹脂製多層多孔膜には、必要に応じ、界面活性剤処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、スルホン化処理、紫外線処理、放射線グラフト処理等の親水化処理を施すことができ、また各種塗膜を形成することができる。
上記の方法で得られるポリオレフィン樹脂製多層多孔膜は、従来の多孔膜と同様に、空気清浄化や水処理用の濾過膜または分離膜、電池や電気分解用のセパレータ、建材や衣料等の透湿防水用途等、各種の分野に用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、用いられた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件にて測定した。
(2)空隙率:延伸前の膜状成形物サンプルの断面観察による各層厚さと延伸後のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の断面観察による各層厚さを求め、下記式より空隙率を求めた。
空隙率(%)=100−(100×延伸前の厚さ)/(延伸倍率×延伸後の厚さ)
(3)最大細孔径:縦(MD)及び横(TD)の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、細孔の長軸方向の長さの最大値をもって最大細孔径とした。
(4)透湿度:JIS L 1099に準じて測定した。
(5)透気抵抗度(ガーレー):JIS P8117に準じて、B型ガーレーデンソメーター(テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(6)孔閉塞温度Tと膜破れ温度T:サンプルを3インチの円形ホルダーに固定したものを120℃から170℃の温度域で5℃ごとに恒温槽に1時間放置し、透気抵抗度(ガーレー)を測定し、1万秒/100ml以上となる温度を孔閉塞温度とした。また、膜破れが発生する温度を膜破れ温度とした。
(7)延伸性:縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃とし延伸倍率0.5倍ごとに縦方向の一軸延伸を実施した。延伸破断しない延伸倍率を可延伸倍率とし、延伸性を評価した。可延伸倍率が高いほど延伸性が優れる。
尚、実施例及び比較例で使用した結晶性ポリオレフィン樹脂、α−オレフィン共重合体及びジエン系共重合体の略号と内容を以下に示す。
PP1,PE1:プロピレン重合単位含有量64重量%のプロピレン−エチレン共重合体
を48重量%含有した結晶性ポリプロピレン樹脂(エチレン−プロピレンブロック共
重合体)、MFR2.5g/10min、引張強さ11MPa、結晶性ポリプロピレ
ンのMFR/プロピレン−エチレン共重合体のMFR=1
PP2,PE2:プロピレン重合単位含有量60重量%のプロピレン−エチレン共重合体
を42重量%含有した結晶性ポリプロピレン樹脂(エチレン−プロピレンブロック共
重合体)、MFR14.5g/10min、引張強さ17MPa、結晶性ポリプロピ
レンのMFR/プロピレン−エチレン共重合体のMFR=100
HSBR:水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体、JSR(株)製、商品名ダイナ ロン1320P、MFR(230℃)3.5g/10min、引張強さ4MPa
1)多層多孔膜形成用樹脂組成物の作成
多孔膜層(X)用として表1の実施例1に示す結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)に、また、多孔膜層(Y)用として表1の実施例1に示す結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)に、それぞれ、配合後の合計重量基準でα晶造核剤としてナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.3重量%、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融し混練してペレット化し、ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の無孔フィルム層(X)用ポリオレフィン樹脂組成物(C)と多孔膜層(Y)用ポリオレフィン樹脂組成物(c)を得た。尚、本発明の実施例及び比較例で用いた結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)及び結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)は、連続重合法により1段目で結晶性ポリオレフィン樹脂(結晶性ポリプロピレン樹脂)を重合し、2段目でα−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体)を重合することによって得たものを使用した。
2)多層多孔膜の作成
[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
中間層用として65mmφ押出機E1を1台、表層用として40mmφ押出機E2と40mmφ押出機E2の2台を有し、リップ幅300mmのマルチマニホールド式のTダイを備えた3種3層Tダイ製膜装置を用いた。前記の多孔膜(X)用ポリオレフィン樹脂組成物(C)を1台の65mmφ押出機E1へ投入し、また、多孔膜層(Y)用ポリオレフィン樹脂組成物(c)を2台の40mmφ押出機E2、40mmφ押出機E3へ投入し、押出温度280℃で溶融したものを、リップクリアランスを0.3mmに調整したマルチマニホールド式のTダイより膜状に共押出しを行い、多孔膜層(X)用ポリオレフィン樹脂組成物(C)の両面に多孔膜層(Y)用ポリオレフィン樹脂組成物(c)が積層された膜状溶融物とした。該膜状溶融物を、ドラフト比1.6の条件で90℃の冷却ロール上で冷却固化し、幅280mm、厚さ200μmの膜状成形物を作成した。尚、該膜状溶融物を冷却固化する際に冷却ロールとの非接触面(押出機E2側)はエアーナイフにより空冷を実施した。尚、、多孔膜層(X)用ポリオレフィン樹脂組成物(C)の吐出量は12kg/hr、多孔膜層(Y)用ポリオレフィン樹脂組成物(c)の吐出量は押出機E2及び押出機E3ともに4kg/hrとした。
得られた膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
[延伸工程/多孔膜の作成]
前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度23℃とし、延伸倍率3倍の条件で縦方向(MD)に延伸したのち、更に、延伸温度80℃、変形速度200%/秒、延伸倍率3倍の条件で横方向(TD)に延伸しポリオレフィン樹脂製多層多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表1に示した。
縦方向の延伸倍率を5倍、横方向の延伸倍率を5倍とした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表1に示した。
製膜時にリップクリアランスを0.6mmとする以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表1に示した。
製膜時にリップクリアランスを1.2mmとする以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表1に示した。
製膜時にロール温度を80℃とする以外は、実施例1と同様に実施した。得られた膜状成形物の延伸性とポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表2に示した。
製膜時にロール温度を70℃とする以外は、実施例1と同様に実施した。ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表2に示した。
多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)及び多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)に、ジエン系共重合体である水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(JSR(株)製、商品名ダイナロン1320P、MFR(230℃)3.5g/10min)を、配合後の各樹脂組成物の総重量に対しそれぞれ5%含有させた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
多孔膜層(X)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(C)及び多孔膜層(Y)を構成するポリオレフィン樹脂組成物(c)に、ジエン系共重合体である水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(日本合成ゴム(株)製、商品名ダイナロン1320P MFR(230℃)3.5g/10min)を、配合後の各樹脂組成物の総重量に対しそれぞれ25%含有させた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
(比較例1)
押出機E2および押出機E3を停止し、押出機E1だけを用い、表3の比較例1に示すポリオレフィン樹脂組成物(C)の吐出量を20kg/hrとする以外は、実施例6と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製単層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表3に示した。
(比較例1)
押出機E2および押出機E3を停止し、押出機E1だけを用い、表3の比較例1に示すポリオレフィン樹脂組成物(C)の吐出量を20kg/hrとする以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製単層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表3に示した。
(比較例2)
製膜時にリップクリアランスを0.6mmとする以外は、比較例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表3に示した。
(比較例3)
製膜時にリップクリアランスを1.2mmとする以外は、比較例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表3に示した。
(比較例4)
製膜時にロール温度を80℃とする以外は、比較例1と同様に実施した。得られた膜状成形物の延伸性とポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表3に示した。
(比較例5)
製膜時にロール温度を70℃とする以外は、比較例1と同様に実施した。得られた膜状成形物の延伸性とポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表3に示した。
(比較例6)
押出機E2および押出機E3を停止し、押出機E1だけを用い、表4の比較例6に示すポリオレフィン樹脂組成物(C)の吐出量を20kg/hrとする以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製単層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表4に示した。
(比較例7)
製膜時にリップクリアランスを0.6mmとする以外は、比較例6と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表4に示した。
(比較例8)
製膜時にリップクリアランスを1.2mmとする以外は、比較例6と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性を表4に示した。
(比較例9)
製膜時にロール温度を80℃とする以外は、比較例6と同様に実施した。得られた膜状成形物の延伸性とポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表4に示した。
(比較例10)
製膜時にロール温度を70℃とする以外は、比較例6と同様に実施した。得られた膜状成形物の延伸性とポリオレフィン樹脂製多層多孔膜の特性を表4に示した。
比較例1〜比較例10で示されたように、MFR比ABの小さいポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる単層多孔膜はMFR比abの大きいポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる単層多孔膜に比べ、透気抵抗度は小さく通気性に優れるものの、製膜時のドラフト比や膜状溶融物を冷却する際のロール温度の依存性が大きい。これに対し、実施例1〜実施例6で示されたように、ポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる多孔膜層(X)とポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる多孔膜層(Y)とが積層された多層多孔膜は、いずれの単層多孔膜と比較しても通気性に優れ、また、製膜時のドラフト比や前記ロール温度が変化しても透気抵抗度の上昇や透湿度の低下を抑えることが可能である。このことは、ポリオレフィン樹脂組成物(C)からなる単層多孔膜の場合、製膜時に徐冷条件であっても膜状溶融物が表面近傍の層から冷却されるため、表面近傍の多孔化が阻害されるが、ポリオレフィン樹脂組成物(c)からなる単層多孔膜の場合には、製膜時のドラフト比や冷却条件に比較的影響され難いため、多孔膜層(X)となるポリオレフィン樹脂組成物(C)の表層に多孔膜層(Y)となるポリオレフィン樹脂組成物(c)を積層することにより、製膜後・延伸前の膜状成形物の表面改質がなされ、連通孔の形成が十分図られたことが原因と推察される。
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜について、膜破れ温度T及びシャットダウン温度Tを測定した結果、それぞれT170℃、T135℃であった。ΔTが35℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
実施例8で得られたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜について、膜破れ温度T及びシャットダウン温度Tを測定した結果、それぞれT170℃、T130℃であった。ΔTが40℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(比較例11)
比較例1で得られたポリオレフィン樹脂製単層多孔膜について、膜破れ温度T及びシャットダウン温度Tを測定した結果、それぞれT170℃、T135℃であった。ΔTが35℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(比較例11)
比較例6で得られたポリオレフィン樹脂製単層多孔膜について、膜破れ温度T及びシャットダウン温度Tを測定した結果、それぞれT170℃、T160℃であった。ΔTが10℃であり電池セパレータとして若干のシャットダウン機能を有していた。
(比較例8)
市販の電池セパレータ(商品名セルガード2400、セルガード(株)製、厚さ27μm、空隙率38%、透気抵抗度600秒/100m1)について、膜破れ温度T及びシャットダウン温度Tを測定した結果、Tは165℃であったが、160℃でも透気抵抗度が710秒/100mlであり10,000秒/100m1以上とはならず、Tは測定不可能であり、電池セパレータとしてシャットダウン機能は認められなかった。
(表1)
Figure 2005144829
(表2)
Figure 2005144829
(表3)
Figure 2005144829
(表4)
Figure 2005144829
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、連通した微細孔と高い通気度を必要とする分離膜を初めとして、シャットダウン機能が必要な電池セパレータ、通気防水材等の用途に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. 結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と主成分のα−オレフィン重合単位の含有量が40〜80重量%であるα−オレフィン共重合体(B)とを含有するポリオレフィン樹脂組成物(C)から形成された多孔膜層(X)と、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と主成分のα−オレフィン重合単位の含有量が40〜80重量%であるα−オレフィン共重合体(b)とを含有するポリオレフィン樹脂組成物(c)から形成された多孔膜層(Y)とが、少なくとも一層ずつ積層されたポリオレフィン樹脂製多層多孔膜であって、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRのメルトフローレート比MFR/MFRが0.1〜10の範囲であり、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレートMFRとα−オレフィン共重合体(b)のメルトフローレートMFRのメルトフローレート比MFR/MFRが10を超え1,000以下であり、α−オレフィン共重合体(B)領域及びα−オレフィン共重合体(b)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  2. ポリオレフィン樹脂組成物(C)における結晶性ポリオレフィン樹脂(A):α−オレフィン共重合体(B)の重量比が30〜70:30〜70であり、ポリオレフィン樹脂組成物(c)における結晶性ポリオレフィン樹脂(a):α−オレフィン共重合体(b)の重量比が30〜70:30〜70であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  3. メルトフローレート比MFR/MFRが0.2〜5であることを特徴とする請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  4. 結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a)が、結晶性ポリプロピレンであり、α−オレフィン共重合体(B)とα−オレフィン共重合体(b)がプロピレン−α−オレフィン共重合体である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  5. 結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とα−オレフィン共重合体(B)が、1段目で結晶性ポリオレフィン(A)を製造し、連続して2段目でα−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られた混合組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  6. 結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィン共重合体(b)が、1段目で結晶性ポリオレフィン(a)を製造し、連続して2段目でα−オレフィン共重合体(b)を製造する工程を含む多段重合法により得られた混合組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  7. ポリオレフィン樹脂組成物(C)及び/またはポリオレフィン樹脂組成物(c)が、ジエン系共重合体を5〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  8. α−オレフィン共重合体(B)領域及びα−オレフィン共重合体(b)領域に連通した細孔が、ポリオレフィン樹脂組成物(C)の膜状溶融物層の少なくとも片面にポリオレフィン樹脂(c)の膜状溶融物層を重ね合わせて膜状多層溶融物とし、該膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形した後、該膜状多層成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  9. 膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形する際のドラフト比が1〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  10. 膜状多層溶融物を膜状多層成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  11. 多孔膜の膜破れ温度Tが150℃以上であって、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔTが20℃以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。
  12. 透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100mlであり、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hである請求項1〜11のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂製多層多孔膜。


JP2003384574A 2003-11-14 2003-11-14 ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜 Expired - Fee Related JP4186798B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003384574A JP4186798B2 (ja) 2003-11-14 2003-11-14 ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003384574A JP4186798B2 (ja) 2003-11-14 2003-11-14 ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005144829A true JP2005144829A (ja) 2005-06-09
JP2005144829A5 JP2005144829A5 (ja) 2006-08-10
JP4186798B2 JP4186798B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=34692918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003384574A Expired - Fee Related JP4186798B2 (ja) 2003-11-14 2003-11-14 ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4186798B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008307890A (ja) * 2007-05-11 2008-12-25 Mitsubishi Plastics Inc 積層多孔性フィルム、それを利用した電池用セパレータおよび電池
WO2011043160A1 (ja) * 2009-10-07 2011-04-14 東レ株式会社 多孔性ポリプロピレンフィルムロール
JP2013032017A (ja) * 2007-05-11 2013-02-14 Mitsubishi Plastics Inc 積層多孔性フィルムの製造方法
JP2013076210A (ja) * 2011-09-29 2013-04-25 Seiren Co Ltd ハウスラップ材
CN103819814A (zh) * 2009-03-09 2014-05-28 旭化成电子材料株式会社 聚烯烃微多孔膜、层叠聚烯烃微多孔膜、聚烯烃微多孔膜的制造方法
WO2021132521A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 三菱ケミカル株式会社 多孔性断熱フィルム及びその製造方法
EP3676893A4 (en) * 2017-11-21 2021-08-18 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha ELECTRICAL STORAGE DEVICE SEPARATOR

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04309546A (ja) * 1990-12-21 1992-11-02 Amoco Corp 配向高分子性微孔性フィルム
JPH10241659A (ja) * 1997-02-28 1998-09-11 Nitto Denko Corp 電池セパレータ用多孔質フィルムの製造方法
WO1999011684A1 (fr) * 1997-08-29 1999-03-11 Chisso Corporation Composition de copolymere de propylene/propylene-ethylene et son procede de preparation

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04309546A (ja) * 1990-12-21 1992-11-02 Amoco Corp 配向高分子性微孔性フィルム
JPH10241659A (ja) * 1997-02-28 1998-09-11 Nitto Denko Corp 電池セパレータ用多孔質フィルムの製造方法
WO1999011684A1 (fr) * 1997-08-29 1999-03-11 Chisso Corporation Composition de copolymere de propylene/propylene-ethylene et son procede de preparation

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008307890A (ja) * 2007-05-11 2008-12-25 Mitsubishi Plastics Inc 積層多孔性フィルム、それを利用した電池用セパレータおよび電池
JP2013032017A (ja) * 2007-05-11 2013-02-14 Mitsubishi Plastics Inc 積層多孔性フィルムの製造方法
CN103819814A (zh) * 2009-03-09 2014-05-28 旭化成电子材料株式会社 聚烯烃微多孔膜、层叠聚烯烃微多孔膜、聚烯烃微多孔膜的制造方法
WO2011043160A1 (ja) * 2009-10-07 2011-04-14 東レ株式会社 多孔性ポリプロピレンフィルムロール
JP2013076210A (ja) * 2011-09-29 2013-04-25 Seiren Co Ltd ハウスラップ材
EP3676893A4 (en) * 2017-11-21 2021-08-18 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha ELECTRICAL STORAGE DEVICE SEPARATOR
US11955662B2 (en) 2017-11-21 2024-04-09 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Separator for electric storage device
WO2021132521A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 三菱ケミカル株式会社 多孔性断熱フィルム及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4186798B2 (ja) 2008-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5461018B2 (ja) 2軸延伸微細多孔質膜
KR101249180B1 (ko) 다공성 폴리프로필렌 필름
US7141168B2 (en) Porous polyolefin membrane
JP2005145998A (ja) 熱可塑性樹脂多孔膜
JP2002522610A (ja) 耐破壊性ポリオレフィン膜
KR101959778B1 (ko) 미다공막
JP4186798B2 (ja) ポリオレフィン樹脂製多層多孔膜
JP4797813B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP4894794B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP2010095629A (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータ
JP4466039B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP6787165B2 (ja) 積層多孔フィルム及びその製造方法
JP2003327731A (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP2006114746A (ja) ポリオレフィン樹脂製電気二重層キャパシタ用セパレータ
JP2005145999A (ja) ポリオレフィン樹脂製多孔膜
JP4305133B2 (ja) 粘着シート用基材シート
JP5705605B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂多孔シート及びポリプロピレン系樹脂多孔シートの製造方法
JP6922161B2 (ja) 延伸多孔フィルムの製造方法
JP4742214B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP2005129435A (ja) ポリオレフィン樹脂製電池セパレータ
JP7214978B2 (ja) 延伸多孔フィルム
JP4742213B2 (ja) ポリオレフィン樹脂脂取りフィルム
JP2005144830A (ja) 熱可塑性樹脂製多層フィルム
JP4778152B2 (ja) 多孔性フィルムの製造方法
JP6651997B2 (ja) 積層多孔フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060626

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080819

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees