JP2005144587A - フレキシブルダイ - Google Patents

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【課題】押切刃の刃高を高くすることなく打抜きかすを確実に除去できるようにする。また、プラスチックシートの打抜き加工も問題なく行えるようにする。
【解決手段】弾性材料製のフレキシブルベース2の片面に所定パターンの押切刃3が形成されたフレキシブルダイ1において、押切刃2にて囲われる領域内のフレキシブルベース2の一部を押切刃3が突出する側に向けて変形させた弾性片4を設け、その弾性片4の弾性力にて被加工シートSの打抜きかすS1を除去する構造とする。これにより押切刃3の刃高を高くすることなく、打抜きかすS1を確実に除去することが可能になる。また、プラスチックシートを加工する場合であっても、静電気による問題が起こることがないので良好な打抜き加工を実現できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、紙シートやプラスチックシート(フィルム)等のシート材の打抜き加工やハーフカットなどに用いられるフレキシブルダイに関する。
従来、例えば印刷したラベルの打抜きや離型紙部を残すハーフカットなどの加工を行う方法としては、ベニヤ板等のダイボードに、打抜きパターンに応じた溝切加工を行い、その加工した溝に帯状の刃(トムソン刃)を嵌め込んだダイを作製し、このダイをプレス加工機などに装着して打抜き加工やハーフカットを行うという方法が採られている。
また、最近では、紙シートやプラスチックシートなどのシート材の加工方法として、フレキシブルベース(強磁性体)の片面に、カッティングラインの形状に応じたパターン形状の押切刃を有するフレキシブルダイ(ロータリダイまたはフラットダイ)を作製し、このフレキシブルダイを、図14に示すようなロータリ加工装置200、あるいは図15に示すような平板プレス装置300などに装着して、プラスチックシートS(もしくは紙シート)の打抜き加工やハーフカットを行うという方法も採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照。)。なお、このようなフレキシブルダイは機械加工やエッチングにて製作されており、エッチングにより製作されたものは一般にエッチング刃と呼ばれている。
特開2000−190284号公報 特開2002−221220号公報 特開2000−198100号公報
ところで、上記したようなフレキシブルダイ等を用いた打抜き加工においては、押切刃の内側(押切刃に囲まれる領域)にシート材の打抜きかすが残ることを防止するために、図16に示すように、押切刃401の内側に打抜きかす除去用のスポンジ402を配置するという方法が採られている。
しかしながら、スポンジにて打抜きかすを除去する方法を用いた打抜き加工において、プラスチックシートの打抜き加工を行う場合、スポンジとプラスチックシートとの接触等により発生する静電気によって、打抜きかすがスポンジに引っ付いてしまうことがある。また、打抜きかすが除去された際にスポンジもフレキシブルダイから外れてしまうという不具合が生じることもある。なお、フレキシブルダイから離脱したスポンジは、ストックしておけば再利用することが可能であるが、スポンジに引っ付いた打ち抜きかす(プラスチックシート)を剥がすことは難しい上、打抜きかすを除去したスポンジをフレキシブルダイに再度装着する作業も面倒である。
さらに、押切刃の内側にスポンジを配置した場合、そのスポンジの厚み(圧縮状態での厚み)に相当する分だけ押切刃の刃高(ベースからの突出高さ)を高くすることが必要となる。つまり、押切刃の刃高を、打抜き加工に必要な刃高にスポンジの圧縮状態での厚みに相当する高さを加えた寸法とする必要があるが、フレキシブルダイにおいて押切刃の刃高を高くすると、機械加工やエッチングなどの加工工数が多くなって加工コストのアップにつながる。
なお、以上のような問題は、図17に示すようなシートS0を短冊状にカットする加工においても発生する。このような短冊状カットの場合、カット製品自体が押切刃の刃間に残ってしまう。
また、フレキシブルダイ等を用いてシール商品などのハーフカットを行う場合にも、上述と同様な同じ問題が発生する。さらに、ハーフカットの場合、シール(上紙)と台紙(離型紙)との間の糊が押切刃に付着してしまい、図18に示すように、シールとシールとの間の部分(どぶ部)Dが台紙Pから浮き上がるという問題もある。
本発明はそのような問題を解決するためになされたものであり、押切刃の刃高を高くすることなく、打抜きかすの除去などを確実に行うことが可能であり、しかも、プラスチックシートの打抜き加工やハーフカットなどを問題なく行うことが可能なフレキシブルダイの提供を目的とする。
本発明は、弾性材料製のベースの片面に所定パターンの押切刃が形成されたフレキシブルダイであって、前記押切刃の刃間に存在する前記ベースの一部を前記押切刃が突出する側に向けて変形させた弾性体が設けられていることによって特徴づけられる。
ここで、本発明で言う「押切刃の刃間」とは、(1)打抜き加工やハーフカットにおいて閉パターンで形成された押切刃にて囲われる領域、(2)短冊状カットにおいて所定の間隔をあけて並ぶ押切刃の刃間、(3)複数の閉パターンの押切刃が1つのベース上に形成されている場合、その互いに隣接する閉パターン間における押切刃の刃間(例えば図18に示すどぶ部Dに対応する部分)など、ベース上で所定の間隔をあけて並ぶ押切刃と押切刃との刃間のことを指す。
本発明のフレキシブルダイによれば、切り起こし加工等によりベースの一部を押切刃の形成面側に突出させた弾性体を設けているので、その弾性体の弾性力(復元力)にて打抜きかすを確実に除去することができる。
しかも、打抜きかすを除去する弾性体がベースの一部を変形させた部材(切り起こし片等)であるので、打抜き加工時において、弾性体が被加工シートとの当接により圧縮された状態のときに、弾性体の上面(シート接触面)をベース上面(刃形成側の面)と略同じ高さにすることが可能となる(図4(B)参照)。従って、本発明のフレキシブルダイでは、押切刃の刃高に打抜きかす除去用の弾性体の厚みを考慮する必要がなく、打抜きかす除去用スポンジを用いる場合と比較して、押切刃の刃高を低くすることができ、加工コストの低減化を達成できる。
さらに、被加工シートであるプラスチックシートの接触等により静電気が発生しても、弾性体の弾性力(復元力)にて、打抜きかすを確実に除去することができる。また、当然のことながら、弾性体はベースの一部を変形させた部材であるので、打抜き加工時に弾性体がダイから外れてしまうとい不具合が起こることもない。
ここで、本発明のフレキシブルダイは、図17や図18に示すような短冊状カットやハーフカットにも適用することができ、これらの加工においても上述と同様な作用効果を達成することができる。また、ハーフカットに適用する場合、フレキシブルダイについて、図18に示すどぶ部Dに対応する部分(押切刃間の部分)に、上記と同様な弾性体(切り起こし片等)を設けておけば、どぶ部Dの浮き上がりを防止することができる。
なお、本発明のフレキシブルダイは、帯鋼などを母材としてエッチング処理にて押切刃を形成する方法、あるいは、切削加工や研削加工などの機械加工により押切刃を形成する方法のいずれの方法で製作してもよい。
本発明によれば、弾性材料製のベースの片面に所定パターンの押切刃が形成されたフレキシブルダイにおいて、押切刃と押切刃との間に存在するベースの一部を、押切刃が突出する側に向けて変形させることにより弾性体を設けているので、押切刃の刃高を高くすることなく、打抜きかす除去などを確実に行うことが可能となり、加工コストの低減化をはかることができる。さらに、プラスチックシートの打抜き加工やシール製品のハーフカットなどの加工も問題なく行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2はそれぞれ本発明のフレキシブルダイの一例を示す要部平面図及び要部断面図である。図3は図1のフレキシブルダイの斜視図である。
この例のフレキシブルダイ1は、図15に示すような平板プレス装置300などに適用されるフラットダイ(もしくは図14に示すようなロータリ加工装置200などに適用されるロータリダイ)であって、フレキシブルベース2の片面に押切刃3が、例えば図10に示すプラスチックシートSのカッティングラインLに対応するパターン(4角アールの矩形パターン)で形成されている。
そして、この例では、矩形パターンの押切刃3にて囲われる領域F内のフレキシブルベース2に、U字形の切り込みを入れ、その切り込み部分を押切刃3が突出する側に変形(切り起こし)させることにより、押切刃3の内側に打抜きかす除去用の弾性片4を設けた点に特徴がある。
このように、押切刃3にて囲われる領域Fに、フレキシブルベース2の一部を切り起こした弾性片4を設けておくと、打抜き加工の過程において、図4(A)→(B)に示すように、被加工シートであるプラスチックシートSにて弾性片4がフレキシブルベース2側に向けて押圧され弾性片4が変形し、この変形状態(押切刃3がシートSを完全に打抜く直前の状態)において、弾性片4の表面(シート接触面)がフレキシブルベース2の上面(刃形成面)に略一致するようになる(図4(B))。そして、押切刃3にてプラスチックシートSが完全に打抜かれた時点で、図4(C)に示すように、弾性片4の弾性力(復元力)によって打抜きかすS1が押切刃3の外方に除去される。
次に、図1〜図3に示すフレキシブルダイの製造方法の一例を、図5を参照しながら説明する。
(1)図7に示す形状の露光パターン12aつまり図10に示すカッティングラインLに対応する露光パターン12aを有するフォトマスク(ネガフィルム)12を製版しておく。
(2)図5(A)に示すように、金属板11として強磁性体で弾性材料である鋼板(例えば厚さ:0.5mm)を用い、その金属板11の表面にフォトレジストを一様に塗布してフォトレジスト膜13を形成する。
(3)図5(B)に示すように、フォトレジスト膜13の上面にフォトマスク12を配置・位置決めした状態で露光を行い、さらにフォトレジスト膜13の現像を行って、金属板11の表面上に、図8に示すようなレジストパターン14を形成する(図5(C))。
(4)レジストパターン14をマスクとして金属板11のエッチングを開始し、そのエッチングの進行が、所定深さ(押切刃3の刃高を考慮した深さ)に達した時点でエッチングを停止する。このエッチングにより、図5(D)に示すように、フレキシブルベース2が形成されるとともに、そのフレキシブルベース2上に断面台形状の突部(突条)10がカッティングラインに沿って形成される。
(5)NC加工機を使用して、図6(A)〜(C)に示すように、断面台形状の突部10の両側面を円錐形状の切削工具21にて切削して刃先加工を行うことによって、図1〜図3に示すような矩形パターンの押切刃3を得る。
(6)ワイヤー放電加工装置を使用して、矩形パターンの押切刃3にて囲われる領域F内のフレキシブルベース2に、図1に示すようなU字形の切り込み加工した後に、その切り込み部分を押切刃3が突出する側に向けて変形(切り起こし)させることにより、図1〜図3に示す形状の弾性片4を形成する。
なお、以上の製造工程では、弾性片4を加工する際の切り込みの形成をワイヤー放電加工にて行っているが、これに替えてエッチング法を用いて切り込み(スリット)を形成するようにしてもよい。その具体的な例を図9を参照しながら以下に説明する。
(11)図1に示すU字形の切り込みに対応する部分のみを除去する露光パターン16aを有するフォトマスク(ポジフィルム)16を製版しておく。
(12)図9(A)に示すように、金属板11の表面にフォトレジストを一様に塗布し、さらに金属板11の裏面にフォトレジストを一様に塗布して、金属板11の表面及び裏面にそれぞれフォトレジスト膜13,15を形成する。
(13)図9(B)に示すように、金属板11の表面のフォトレジスト膜13上にフォトマスク(ネガフィルム)12(図7参照)を配置・位置決めするとともに、金属板11の裏面のフォトレジスト膜15上に前記フォトマスク(ポジフィルム)16を配置・位置決めする。なお、金属板11の表面側のフォトマスク13と裏面側のフォトマスク16とはレジストマークを基準として相互に位置合わせした状態で、それらフォトマスク13,16の一端部を粘着テープ17にて接合する。
(14)金属板11の表裏のフォトレジスト12,15の露光と現像を行ってレジストパターンを形成した後、その表裏のレジストパターンをマスクとして金属板11のエッチングを行って、図9(C)に示すように、フレキシブルベース2及び断面台形状の突部(突条)10を形成するとともに、突部(突条)10にて囲われる領域F内のフレキシブルベース2にU字形の切り込み(スリット)20を形成する。
<実施形態2>
図11及び図12はそれぞれ本発明のフレキシブルダイの他の例を示す要部平面図及び要部断面図である。図13は図11のフレキシブルダイの斜視図である。
この例のフレキシブルダイ101は、押切刃3にて囲われる領域F内のフレキシブルベース2に、渦巻状の切り込みを入れて、その切り込み部分を押切刃3が突出する側に変形(切り起こし)させることにより、押切刃3の内側に、渦巻螺旋状に突出する弾性体104を設けた点に特徴があり、それ以外の構成は前記した<実施形態1>と同じである。なお、この例においても、渦巻状の切り込みの加工には前記した<実施形態1>と同様なワイヤー放電加工法あるいはエッチング法を採用する。
ここで、以上の各例では、弾性片4及び弾性体104を加工する際の切り込みの形状をU字形または渦巻形状としているが、本発明はこれに限られることなく、打抜きかすを除去できる形状の弾性体(弾性片)を形成することが可能であれば、切り込みの形状は特に限定されず、例えば三角形、矩形または台形などの任意の形状を採用することができる。
また、以上の各例では、カッティングラインが矩形(4角アール)のフレキシブルダイについて説明したが、本発明はこれに限られることなく、三角形や丸形状、あるいは、動物・アニメーションのキャラクタ等の図柄、花柄模様、文字等の複雑な形状をカッティングする各種のフレキシブルダイにも適用できる。
さらに、本発明は、打抜き加工のほか、図17や図18に示すような短冊状カットやハーフカット用のフレキシブルダイにも適用できる。
本発明は、例えば紙シートやプラスチックシートの打抜きなど、各種のシート材の打抜き加工やハーフカットなどの加工に有効に利用できる。
本発明のフレキシブルダイの一例を示す要部平面図である。 図1のフレキシブルダイの断面図である。 図1のフレキシブルダイの斜視図である。 図1のフレキシブルダイの作用説明図である。 図1のフレキシブルダイの製造方法の一例を模式的に示す図である。 図1のフレキシブルダイの製造方法の一例を模式的に示す図である。 図5の製造方法に使用するフォトマスクを模式的に示す図である。 図5の製造方法において形成するレジストパターンを模式的に示す平面図である。 図1のフレキシブルダイの製造方法の他の例を示す図である。 打抜き加工を行うプラスチックシートの一例を示す正面図である。 本発明のフレキシブルダイの他の例を示す要部平面図である。 図11のフレキシブルダイの断面図である。 図11のフレキシブルダイの斜視図である。 ロータリ加工装置の一部を模式的に示す斜視図である。 平板プレス装置の一例を模式的に示す正面図である。 シートの打抜き加工において打抜きかすを除去する方法の一例を模式的に示す断面図である。 短冊状カットの例を模式的に示す図である。 ハーフカットの例を模式的に示す図である。
符号の説明
1 フレキシブルダイ
2 フレキシブルベース
3 押切刃
4 弾性片
F 押切刃にて囲われる領域
L カッティングライン
S プラスチックシート

Claims (1)

  1. 弾性材料製のベースの片面に所定パターンの押切刃が形成されたフレキシブルダイであって、前記押切刃の刃間に存在する前記ベースの一部を前記押切刃が突出する側に向けて変形させた弾性体が設けられていることを特徴とするフレキシブルダイ。

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