JP2005140221A - 歯車 - Google Patents

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JP2005140221A JP2003376632A JP2003376632A JP2005140221A JP 2005140221 A JP2005140221 A JP 2005140221A JP 2003376632 A JP2003376632 A JP 2003376632A JP 2003376632 A JP2003376632 A JP 2003376632A JP 2005140221 A JP2005140221 A JP 2005140221A
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Mitsufumi Kudo
充史 工藤
Keiichi Kita
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Abstract

【課題】より強度を向上させた、騒音が生じにくい歯車を実現する。
【解決手段】 所定の軸中心を有するボス部(11)の周縁から放射状に突出する複数の金属歯部(12)を有し略歯車形状を呈する金属ボス(10)における、その金属歯部を所定の樹脂から成る被覆部(20)で覆う構成の歯車(1)であって、金属ボスの歯先円の半径(r2)が、当該歯車の歯底円の半径(r3)より大きくなるようにし、金属ボスの金属歯部が、歯車の歯部(2)の歯元を補強するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯車に関し、特に歯車の歯部が樹脂により覆われる歯車に関する。
従来より、樹脂、プラスチックにより成形されてなる樹脂歯車が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
樹脂歯車は、金属歯車に比べ、歯車同士が噛み合う際に発せられる音が小さいので、静寂性が望まれる各種装置に用いられている。
特開平6−294459号公報
しかしながら、上記特許文献1の場合、歯車全体が樹脂により形成されているため、噛み合った歯車に対し、動力伝達のために荷重がかかった際に、歯車の歯部が撓むことなどがある。そして、その動力伝達のための荷重負荷が大きい場合に、歯車の歯部が大きく撓み、その歯部の歯元に生じる応力が、樹脂の許容曲げ応力を上回ってしまうと、図10に示されるように、その歯元に亀裂が入るなど、歯車が損傷してしまうことがあり、その強度は十分ではなかった。
本発明の課題は、より強度を向上させた、騒音が生じにくい歯車を提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、所定の軸中心を有するボス部(11)の周縁から放射状に突出する複数の金属歯部(12)が設けられた金属ボス(10)と、金属ボスの少なくとも金属歯部を所定の樹脂により覆った被覆部(20)と、を有する歯車(1等)であって、金属歯部を有する金属ボスの歯先円の半径(r2)は、当該歯車の歯底円の半径(r3)より大きいことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、歯車は、所定の軸中心を有するボス部の周縁から放射状に突出する複数の金属歯部を有し略歯車形状を呈する金属ボスは、所定の樹脂から成る被覆部により覆われ、少なくとも金属ボスの金属歯部が被覆部で覆われている。
そして、この歯車において、金属歯部を有する金属ボスの歯先円の半径は、当該歯車の歯底円の半径より大きいようになっている。
つまり、この歯車は、内部が金属で構成されており、歯車を回転させる所定の回転軸に連結されるボス部や、歯車の歯部の芯材となる金属歯部は、金属であることによる強度を有している。そして、金属歯部が樹脂である被覆部で覆われて、歯車の歯部が構成されているので、歯車同士が噛み合う際に、その歯部における被覆部が接触するようになっている。
特に、金属歯部を有する金属ボスの歯先円の半径は、当該歯車の歯底円の半径より大きいので、歯車の軸中心から金属ボスの金属歯部の歯先までの距離が、その軸中心から歯車の歯底までの距離より長い。つまり、歯車の内部において、金属ボスの金属歯部が、この歯車の歯部の芯材として、歯車の歯底円に交差するように内在しており、この歯底円に相当する歯部の歯元を補強するようになっている。
このように、金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った歯車は、歯車同士が噛み合う際に、その歯部における被覆部が接触することにより、樹脂歯車と同様に生じる音が小さくなる。そして、歯車の歯部の歯元に相当する内側には、金属ボスの金属歯部が内在していることにより、従来の樹脂歯車に比べ、歯元の強度は向上することになる。
よって、このように金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った構成の歯車は、金属に基づく剛性を有するとともに、歯車同士が噛み合う際に発せられる音が小さく、樹脂歯車特有の騒音が生じにくい性質を有する歯車であるといえる。また、無給油下においても摩耗しにくいという樹脂の特性を持つ歯車でもある。
従って、この歯車は、金属に基づく強度を有するとともに、樹脂に基づく静音性及び自己潤滑性を有する。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の歯車において、被覆部は、その厚みが均一になるように形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、金属歯部を覆う被覆部を、その厚みが均一になるように形成することにより、歯車の寸法安定性を向上させることができ、歯車の精度を向上させることができる。
特に、被覆部を樹脂により成形加工する場合、高温の樹脂を冷却してその被覆部を形成する際に、樹脂が収縮するので、その収縮率を考慮して、歯車の被覆部を形成することになる。その被覆部の厚みが均一であれば、収縮後の被覆部の厚みや形状を予想設計しやすい。つまり、金属歯部やその金属歯部を有する金属ボスの形状に基づき、所望する歯車の外形を形づくるように、被覆部を形成することができ、容易に所望する形状を有する歯車を形成することができる。
よって、金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った歯車を、容易に形成することができるとともに、歯車の精度を向上させることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の歯車において、被覆部は、その金属歯部の部位に応じて、その厚みが異なるように形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、金属歯部を覆う被覆部を、その金属歯部の部位に応じて、その厚みが異なるように形成することにより、様々な用途の歯車を形成することができる。
例えば、同一形状の金属ボスであっても、被覆部の形状を異ならせることにより、様々な形状の歯車を形成することができる。そこで、金属では形成し難いが、樹脂によっては形成しやすい外形形状の歯車を形成することにより、金属に基づく剛性を有するとともに、樹脂に基づく静音性を有する歯車とすることができる。
また、例えば、歯車同士が噛み合う際に当接する部位の被覆部の厚みを他の部位より厚くするなど、部位に応じて被覆部を適切な厚みにすることにより、歯車の稼動時に生じる音をより小さくすることなどができる。このように、金属歯部の部位に応じて、その金属歯部を覆う被覆部の厚みが異なるように形成することにより、歯車の性能、性質をコントロールすることができる。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の歯車において、被覆部には、当該歯車の回転軸方向に突出するフィン部(21)が形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、金属歯部を覆う被覆部には、当該歯車の回転軸方向に突出するフィン部が形成されている。
このように、歯車の回転軸方向に突出するようにフィン部が形成されていると、その歯車が所定の軸を中心に回転し稼動する際、フィン部は歯車の周囲の空気をかき回すように作用する。
つまり、この歯車が稼動する際、フィン部が歯車の周囲の空気をかき回すことにより、歯車の周囲の空気を循環させて、部分的に加熱した歯車の部位や周囲からの放熱を起こりやすくすることができ、歯車への蓄熱を未然に防ぐことができる。
よって、歯車や歯車の周囲の放熱性が向上し、歯車や歯車の周囲が蓄熱してしまうことによるトラブル、例えば、蓄熱し高温化した歯車が摩耗劣化し易くなるトラブル、を軽減することができる。
請求項1記載の発明によれば、金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った歯車は、歯車同士が噛み合う際に、その歯部における被覆部が接触することにより、歯車が噛み合う際の音が小さくなる。そして、歯車の歯部の歯元に相当する内側には、金属ボスの金属歯部が内在していることにより、従来の樹脂歯車に比べ、歯元の強度は向上することになる。
よって、このように金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った構成の歯車は、金属に基づく剛性を有するとともに、歯車同士が噛み合う際に発せられる音が小さく、樹脂歯車特有の騒音が生じにくい性質を有する歯車であるといえる。
従って、この歯車は、金属に基づく強度を有するとともに、樹脂に基づく静音性を有する。
請求項2記載の発明によれば、金属歯部を覆う被覆部を、その厚みが均一になるように形成することにより、歯車の寸法安定性を向上させることができ、歯車の精度を向上させることができる。よって、金属ボスの金属歯部を樹脂である被覆部で覆った歯車を、容易に形成することができるとともに、歯車の精度を向上させることができる。
請求項3記載の発明によれば、金属歯部を覆う被覆部を、その金属歯部の部位に応じて、その厚みが異なるように形成することにより、様々な用途の歯車を形成することができる。例えば、歯車同士が噛み合う際に当接する部位の被覆部の厚みを他の部位より厚くするなど、部位に応じて被覆部を適切な厚みにすることにより、歯車の稼動時に生じる音をより小さくすることなどができる。このように、金属歯部の部位に応じて、その金属歯部を覆う被覆部の厚みが異なるように形成することにより、歯車の性能、性質をコントロールすることができる。
請求項4記載の発明によれば、金属歯部を覆う被覆部には、当該歯車の回転軸方向に突出するフィン部が形成されているので、その歯車が所定の軸を中心に回転し稼動する際、フィン部は歯車の周囲の空気をかき回し、歯車の周囲の空気を循環させて、部分的に加熱した歯車の部位や周囲からの放熱を起こりやすくすることができ、歯車への蓄熱を未然に防ぐことができる。
本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る歯車の、その歯車が回転する所定の回転軸方向と垂直な面における断面図である。図2は、その歯車の一部断面斜視図である。
(実施形態1)
図1、図2に示されるように、歯車1は、金属ボス10と、金属ボス10の周囲を覆う被覆部20とにより構成されている。
金属ボス10は、所定の軸中心を有するボス部11と、そのボス部11の周縁から放射状に突出するように設けられた複数(本実施の形態においては16個)の金属歯部12・・・を有しており、略歯車形状を呈している。
ボス部11には、所定の軸を嵌め込むための嵌合孔13aを有する軸受部13がその軸方向に突出するように形成されている。
金属歯部12は、インボリュート形状を呈するように形成されている。
なお、金属ボス10は、所定の金属、例えば、SS材、SC材などの鉄や合金鋼などからなり、ロストワックス法や焼結加工、あるいは機械加工などにより形成される。
被覆部20は、所定の樹脂、例えば、ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂などからなる。
被覆部20は、図3に示されるように、所定の歯車の型の内側に、金属ボス10を位置合わせして配置し、歯車の型と金属ボス10との間の空間部分に溶融した樹脂を流し込み、その樹脂を冷却して固化させる成形加工により形成される。
そして、図1に示される歯車1は、金属ボス10の表面に均一な厚さの被覆部20を被覆するように調整された歯車の型を用いることで形成されており、金属歯部12は均一な厚みで樹脂により覆われて、歯部2を形成している。
つまり、歯車1は、金属歯部12の形状に基づく、インボリュート歯形の歯部2を有する平歯車であり、その歯車の表面、特に、歯部2を形成する金属歯部12の表面が樹脂である被覆部20で覆われた歯車である。
次に、図1に基づき、歯車1の特性について説明する。
図1に示されるように、歯車1において、歯車1の歯先円C1の半径(r1)は、金属ボス10の金属歯部12の先端における金属ボス10の歯先円C2の半径(r2)より大きい。
また、歯車1の歯底円C3の半径(r3)は、金属ボス10の金属歯部12の根元における金属ボス10の歯底円C4の半径(r4)より大きい。
そして、金属ボス10の歯先円C2の半径(r2)は、歯車1の歯底円C3の半径(r3)より大きい。
つまり、歯車1の軸中心から金属ボス10の金属歯部12の歯先先端部までの距離(r2)が、その軸中心から歯車1の歯底までの距離(r3)より長いので、歯車1の歯部2において、金属ボス10の金属歯部12が、歯車1の歯底円C3に交差するように内在しており、この歯車1の歯部2の芯材となっている。
このように、歯車1において、この歯車1を回転させる所定の回転軸に連結されるボス部11(軸受部13)や、歯車1の歯部2の芯材となる金属歯部12は、所定の金属からなるので、それぞれ金属であることによる強度を有している。特に、金属である金属歯部12が、歯車1の歯部2の芯材となることにより、この歯車1の歯底円に相当する歯元を補強するようになっている。
そして、金属歯部12が樹脂である被覆部20で覆われて、歯車1の歯部2が構成されているので、歯車同士が噛み合う際には、その歯部2における被覆部20が接触するようになっている。
次に、図4に基づき、歯車1の強度、特に、歯車の歯元表面における応力について説明する。
図4(a)に示すように、歯車1の軸中心から歯部2が突出する方向に延出する仮想線としての基準線αと、歯部2の歯元において基準線αと垂直に交差する仮想線としての歯元線βを定める。
そして、歯車1の歯部2に作用力としての負荷荷重Fが、歯元線βと平行な向きに、歯元線βからの距離Lの負荷点に作用したとする。
なお、この歯車1において、歯部2の歯元における巾(歯厚)はh1、歯部2における金属歯部12の歯元における巾はh2である。また、図4(b)に示すように、歯車1の歯筋方向の巾(歯巾)はbである。
ここで、この負荷荷重Fに関するモーメントをMとし、歯車1(歯部2)における断面二次モーメントをIとすると、それぞれ、
M=FL
I=(bh3)/12
と、表すことができる。
また、歯車1(歯部2)における中立軸までの距離をy、被覆部20の樹脂の縦弾性係数をE1、金属ボス10の金属の縦弾性係数をE2とする。そして、本実施の形態においては、
y=h1/2
2=30E1
2=h1/2
とする。
上記条件下での、歯車1(歯部2)の歯元における応力σ1を、材料力学の式に基づき求めると、
σ1=ME1y/(E11+E22
=ME1y/((E1(bh1 3)/12)+(30E1(b(h1/2)3)/12))
=48My/19bh1 3 ・・・・・(1)
と、式(1)のように表すことができる。
一方、歯車が樹脂にのみより形成されている従来の樹脂歯車の場合、歯車(歯部)の歯元における応力σ2は、
σ2=ME1y/E11
=12My/bh1 3 ・・・・・(2)
と、式(2)のように表すことができる。
従って、本発明の歯車1の歯元にかかる応力σ1は、従来の樹脂歯車の歯元にかかる応力σ2より、4/19倍(σ1/σ2=4/19、約0.21倍)低減しており、歯元の強度が向上しているといえる。
このように、金属ボス10の金属歯部12を樹脂である被覆部20で覆った歯車1において、歯車1の歯部2の歯元に相当する内側には、金属ボス10の金属歯部12が芯材のように内在していることにより、その歯元の強度を向上させることができる。
また、金属ボス10の金属歯部12を樹脂である被覆部20で覆った歯車1は、歯車同士が噛み合う際に、その歯車1の歯部2における被覆部20が接触することにより、歯車が噛み合う際に生じる音が小さくなる。
よって、このように金属ボス10の金属歯部12を被覆部20で覆った構成の歯車1は、金属に基づく剛性を有するとともに、歯車同士が噛み合う際に発せられる音が小さく、樹脂歯車特有の騒音が生じにくい性質を有する歯車とすることができる。
また、この歯車1は、伝達負荷が大きい場合でも、歯車1の歯部2の歯元を損傷することなく金属歯車のように稼動させることができるとともに、被覆部20の樹脂の性質に基づき自己潤滑性を有する樹脂歯車のように、金属歯車では不可能な無潤滑状態で稼動させることができる。
従って、この歯車1は、金属に基づく強度を有するとともに、樹脂に基づく静音性を有する歯車であるといえる。
さらにまた、歯車1は、金属ボス10の表面を樹脂である被覆部20で覆った構造であるので、その被覆部20を樹脂により成形加工する場合、高温の樹脂が冷却されて固化する際に、その樹脂は収縮するが、従来の樹脂歯車のように歯車全体が樹脂であることに比べ、その樹脂の収縮する寸法は少なくてすむので、樹脂が収縮するヒケの影響は受けにくい。また、そのより少ない収縮寸法によっては、収縮後の被覆部20の厚みや形状を予想設計しやすい。つまり、所望する歯車の外形を形づくり易いので、所望する形状を有する歯車を形成することができる。
よって、金属ボス10を樹脂である被覆部20で覆う歯車は、容易に形成することができるとともに、その歯車の精度を向上させることができる。
次に、歯車1の寸法安定性について説明する。
ここで、樹脂及び金属の線膨張係数をそれぞれβ1=0.000083(1/℃)、β2=0.0000117(1/℃)とする。
半径方向の伸び(膨張率)△Xは一般的に、△X=β×r(長さ)×△t(温度差)と
表せ、図1に示す歯車1の歯部2における歯先方向の伸びを簡易的に上記式を用いて求めることができる。
ここでは△t=40℃、r2=20mmと仮定する。(r1−r2)はr2に比べて極
めて微小であるから(r1−r2)を無視すれば、△X=β2×r2×△t=0.009
36mmを得る。これは金属のみの歯車の場合とほぼ同じ値を示す。
一方、歯車が樹脂のみで成型される従来の樹脂歯車の場合、上記式のβ2をβ1に代えれば容易に結果が得られ、△X=0.0664mmとなる。
従って、本発明の歯車1は、従来の樹脂歯車に比べ、その膨張率が約0.14倍(0.0093/0.0664=約0.14)低減しており、寸法安定性が向上しているといえる。
このように、本発明の歯車1は、芯材としての金属ボス10に、樹脂を被覆した構造であり、熱などにより膨張しやすい樹脂は、その歯車1(金属ボス10)の表面側に所定の厚みを有する被覆部20として配設されているので、従来の樹脂歯車のように、歯車全体が樹脂により成形されたものに比べ、膨張率は低く、その形状の変化が少ない。
よって、歯車1は、動作環境の温度の変化がある場合でも、所定の形状を維持しやすく、所望する動作、動力伝達を行うことができる。
なお、実施形態1における歯車は、図2に示される歯車1のように、金属ボス10の金属歯部12と、金属ボス10のボス部11の両面を被覆部20により覆う構造のものに限らず、図5に示される歯車1aのように、金属ボス10の金属歯部12と、金属ボス10のボス部11の片面側を被覆部20により覆う構造の歯車であってもよい。
また、図6に示される歯車1bのように、金属ボス10の金属歯部12を被覆部20により覆う場合に、金属歯部12の先端から側面にかけて被覆部20を配設し、歯底部分には被覆部20を配設せず、金属ボス10(ボス部11)が剥き出しになるような構造の歯車であってもよい。このように、金属ボス10のうち少なくとも金属歯部12が被覆部20で覆われていればよい。
つまり、動力伝達時に、歯車が噛み合い、接触する部分が少なくとも被覆部20により覆われていればよい。
(実施形態2)
次に、図7、図8を参照して、本発明の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分について説明する。
図7に示されるように、歯車1cは、金属ボス10cと、金属ボス10cの周囲を覆う被覆部20とにより構成されている。
金属ボス10cは、所定の軸中心を有するボス部11と、そのボス部11の周縁から放射状に突出するように設けられた複数の金属歯部12c・・・を有しており、略歯車形状を呈している。
金属歯部12cは、断面視略台形形状を呈するように形成されている。
そして、歯車1cは、金属ボス10cの表面に所定の被覆部20を被覆するように調整された歯車の型を用いることで形成することができる。特に、歯車1cがインボリュート歯形の歯部2を有する平歯車となるように、金属歯部12の部位に応じて、その厚みが異なるように被覆部20が形成されている。
また、図8に示されるように、歯車1dは、金属ボス10dと、金属ボス10dの周囲を覆う被覆部20とにより構成されている。
金属ボス10dは、所定の軸中心を有するボス部11と、そのボス部11の周縁から放射状に突出するように設けられた複数の金属歯部12d・・・を有しており、略歯車形状を呈している。
金属歯部12dは、断面視略半円形形状を呈するように形成されている。
そして、歯車1dは、歯車1cと同様に、歯車1dがインボリュート歯形の歯部2を有する平歯車となるように、金属歯部12dの部位に応じて被覆部20の厚みが異なるように形成されるように調整された歯車の型を用いることで形成することができる。
この歯車1c、歯車1dとも、金属歯部の部位に応じて被覆部20の厚みが異なるように形成されており、特に、歯車の歯部2が互いに噛み合う際に接触する歯部2の先端側ほど、被覆部20の厚みが厚くなるように形成されている。それにより、歯車の稼動時に、歯車の歯部2が互いに噛み合う際に生じる音をより小さくすることなどができるようになっている。
また、この歯車1c、歯車1dとも、金属ボス(10c、10d)の歯先円C2の半径(r2)は、歯車(1c、1d)の歯底円C3の半径(r3)より大きい。
つまり、歯車(1c、1d)の軸中心から金属ボス(10c、10d)の金属歯部(12c、12d)の歯先先端部までの距離(r2)が、その軸中心から歯車(1c、1d)の歯底までの距離(r3)より長いので、歯車(1c、1d)の歯部2において、金属ボス(10c、10d)の金属歯部12が、歯車(1c、1d)の歯底円C3に交差するように内在しており、この歯車(1c、1d)の歯部2の芯材となっている。それにより、金属歯部12が、この歯車(1c、1d)の歯元を補強するようになっている。
また、金属ボス10の金属歯部12をインボリュート歯形に形成することは型成形では精度がでず、機械加工では加工時間がかかるが、樹脂である被覆部20を、型を用いて成形することによってはインボリュート形状を成形しやすい。
つまり、インボリュート歯形の歯部を有する金属歯車を形成するより、形成しやすい形状(例えば、略台形形状や略半円形形状)の金属歯部(12c、12d)(金属ボス10)を覆うように、外形形状がインボリュート形状の被覆部20を形成し、その歯車(1c、1d)の歯部2をインボリュート歯形とすることによって、容易にインボリュート歯車を形成することができる。
このように、加工しやすい形状の金属歯部(金属ボス10)に、その金属歯部の部位に応じて厚みが異なるように被覆部20を形成することにより、金属に基づく剛性を有するとともに、樹脂に基づく静音性を有する歯車を形成することができる。
(実施形態3)
次に、図9を参照して、本発明の実施形態3について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分について説明する。
図9に示されるように、歯車1eは、金属ボス10と、金属ボス10の周囲を覆う被覆部20とにより構成されている。
金属ボス10は、所定の軸中心を有するボス部11と、そのボス部11の周縁から放射状に突出するように設けられた複数の金属歯部12・・・を有している。
そして、歯車1eは、金属ボス10の表面に所定の被覆部20を被覆するように調整された歯車の型を用いることで形成することができる。
特に、金属歯部12(金属ボス10)を覆う被覆部20には、金属ボス10の軸受部13が突出する方向、つまり、この歯車1eを回転させる所定の回転軸方向に突出するフィン部21が形成されている。
このように、歯車1eの回転軸方向に突出するようにフィン部21が形成されていると、この歯車1eが所定の回転軸を中心に回転し稼動する際、フィン部21は歯車1eの周囲の空気をかき回すように作用する。
つまり、この歯車1eが稼動する際、フィン部21が歯車1eの周囲の空気をかき回すことにより、歯車1eの周囲の空気を循環させて、部分的に加熱した歯車1eの部位やその周囲からの放熱を起こりやすくすることができ、その加熱してしまった歯車1eやその周囲を冷却することができる。
よって、歯車1eやその周囲の放熱性が向上し、歯車1eやその周囲が蓄熱してしまうことによるトラブル、例えば、蓄熱し高温化した歯車1eが摩耗劣化し易くなるトラブル、を軽減したり防止することができる。
特に、歯車1eの内部には、熱伝導性がよい金属である金属ボス10が備えられているので、その金属ボス10を伝わり、歯車1eに蓄熱してしまった熱を放熱することができるので、従来の樹脂歯車に比べ、放熱性が向上し、蓄熱に伴う歯車の摩耗を軽減することができる。
また、フィン部21は、歯車の片面側に設けることに限らず、その両面側に設けるようにしてもよい。
なお、以上の実施の形態においては、歯車をインボリュート形状の歯部を有する平歯車としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、歯車の歯部の形状は任意であり、また、ヘリカル歯車、はすば歯車などであってもよい。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明に係る歯車の、回転軸方向と垂直な面における断面図である。 本発明に係る歯車の、一部断面斜視図である。 歯車の金属ボスに被覆部を形成する説明図である。 歯車の歯部の拡大図であり、(a)は歯部の平面図、(b)は歯部の斜視図である。 本発明に係る歯車の、一部断面斜視図である。 本発明に係る歯車の断面図である。 本発明の実施形態2における歯車の断面図である。 本発明の実施形態2における歯車の断面図である。 本発明の実施形態2における歯車の断面図である。 従来の歯車が損傷する際の説明図である。
符号の説明
1 歯車
2 歯部
10 金属ボス
11 ボス部
12 金属歯部
13 軸受部
20 被覆部
21 フィン部

Claims (4)

  1. 所定の軸中心を有するボス部の周縁から放射状に突出する複数の金属歯部が設けられた金属ボスと、
    前記金属ボスの少なくとも前記金属歯部を所定の樹脂により覆った被覆部と、を有する歯車であって、
    前記金属歯部を有する前記金属ボスの歯先円の半径は、当該歯車の歯底円の半径より大きいことを特徴とする歯車。
  2. 前記被覆部は、その厚みが均一になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯車。
  3. 前記被覆部は、その金属歯部の部位に応じて、その厚みが異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯車。
  4. 前記被覆部には、当該歯車の回転軸方向に突出するフィン部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の歯車。
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