JP2005139538A - 曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%を含み、残部がAlおよび不純物からなるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板において、このアルミニウム合金板に10% の予歪みを加えた後に90度曲げ加工して、曲げ縁曲部に導入されたひずみであって、曲げ縁曲部の断面組織を1 万倍の透過型電子顕微鏡で観察するとともに、この顕微鏡視野内の結晶粒を電子線後方散乱回折法で走査した際のIQマップで観察することによって、多数の線として目視されるひずみにおける、隣り合う線同士の平均間隔が5 μm 以上であることとする。
【選択図】 図1
Description
(粗大なひずみ分布)
本発明における6000系Al合金板の曲げ加工の際に導入されるひずみの内、前記粗大なひずみとは、このアルミニウム合金板に10% の予歪みを加えた後に90度曲げ加工して、曲げ縁曲部に導入されたひずみであって、曲げ縁曲部の断面組織を1 万倍の透過型電子顕微鏡(TEM) で観察するとともに、この顕微鏡視野内の結晶粒を電子線後方散乱回折法(EBSP)で走査した際のIQマップで観察することによって、多数の略平行な線群として目視されるひずみである。
なお、これら組織の規定に際して、Al合金板の平均結晶粒径を50μm 以下の微細化させることが好ましい。結晶粒径をこの範囲に細かく乃至小さくすることによって、フラットヘム加工などの曲げ加工性やプレス成形性が確保乃至向上される。結晶粒径が50μm を越えて粗大化した場合、曲げ加工性や張出などのプレス成形性が著しく低下し、ヘム部での割れなどの不良や、プレス成形時の割れや肌荒れなどの不良が生じ易い。
次に、本発明Al合金板の化学成分組成の実施形態につき、以下に説明する。
本発明Al合金板の基本組成は、上記ひずみ分布間隔などの組織規定、また特に、自動車用のアウタパネルなどのパネルとして必要な、成形性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性を確保するために、Al-Mg-Si系(6000 系)Al 合金とする。Al-Mg-Si系(6000 系)Al 合金の範囲でなければ、本発明で規定する上記ひずみ分布間隔の規定などにならず、曲げ加工性や前記必要諸特性が発揮されない。
Si:0.1〜2.5%。
Siは、固溶強化と、成形後の塗装焼き付け処理などの、比較的低温短時間での人工時効処理時に、MgとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、板としての必要強度を得るための必須の元素である。したがって、プレス成形性、ヘム加工性と、パネルとしての必要諸特性を兼備させるための最重要元素である。
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要強度を得るための必須の元素である。
これらの元素は、結晶粒の微細化に有用であり、曲げ加工性を向上できる。例えば、Mn、Cr、Zr、V などは、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果がある。また、Fe、Tiなどは晶出物を生成して、再結晶粒の核となり、結晶粒の粗大化を阻止する役割を果たす。ため、微細な結晶粒を得ることができる。但し、各々含有量が大きすぎると、粗大な化合物を形成し、破壊の起点となり、曲げ加工性が却って劣化する。したがって、前記各元素を選択的に含有させる場合は、その含有量は、概ね0.1%以上の通常の6000系における各元素の不純物量以上の含有量とし、上限は各々以下の通りとする。Fe:1.0% 以下、Mn:1.0% 以下、Cr:0.3% 以下、Zr:0.3% 以下、V:0.3%以下、Ti:0.1% 以下。
これらの元素は、時効硬化速度を向上させるのに有用である。即ち、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、Al合金材組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させる効果がある。また、時効処理状態で固溶したCuなどは成形性を向上させる効果もある。但し、各々含有量が大きすぎると、粗大な化合物を形成して曲げ加工性が劣化する。またCu含有量が大きすぎると耐食性も劣化する。したがって、前記各元素を選択的に含有させる場合は、その含有量は、概ね0.1%以上の通常の6000系における各元素の不純物量以上の含有量とし、上限は各々以下の通りとする。Cu:1.0% 以下、Ag:0.2% 以下、Zn:1.0% 以下。
本発明Al合金板が特に対象とするヘム加工は、特にフラットヘム加工を意図している。具体的なフラットヘム加工方法を例示すると、アウタ板の縁をポンチなどの工具により90°に近い角度まで折り曲げるダウンフランジ工程、アウタ板の縁を更に約135 °まで内側に折り曲げるプリヘム工程を経て、インナ板端部をアウタ板の折り曲げ部内に収容 (挿入) し、アウタ板の縁を工具により更に180 °の角度まで内側に折り曲げてフラットヘムが形成される。このフラットヘムでは、インナ板と、アウタ板の180 度折り曲げ部とが接合、密着され、フラットな曲げ部形状を有する。
本発明Al合金板の製造方法について、以下に説明する。
前記した本発明組織のひずみ分布間隔を得るためには、均質化熱処理温度は、350 〜500 ℃の範囲の、できるだけ低い温度を選択することが好ましい。上記成分組成との関係もあるが、均質化熱処理温度が高過ぎると、前記ひずみ分布間隔が5 μm 未満となる可能性が大きい。なお、この均質化熱処理温度を低くした場合に、均質化が不十分となる場合には、その後に、より高温で均質化熱処理温度を行い、2 段階で均質化熱処理しても良い。
前記した本発明組織のひずみ分布間隔を得るためには、冷延前の中間焼鈍を施す場合には、板をコイルの状態で焼鈍するようなバッチ式の焼鈍炉よりも、コイルから板を巻き戻しながら通板して連続的に焼鈍を行なう、連続焼鈍炉タイプが好ましい。連続焼鈍炉タイプであれば、板を急速に加熱できるし、500 ℃以上の高温で短時間の焼鈍が可能である。板を急速に加熱するほど、また、500 ℃以上の高温で短時間の焼鈍ほど、本発明組織のひずみ分布間隔が得られる。一方、この反対に、前記バッチ式の焼鈍炉では、前記ひずみ分布間隔が5 μm 未満となる可能性が大きい。
前記した本発明組織のひずみ分布間隔を得るためには、冷延における板の加工率を65% と高めることが好ましい。冷延における板の加工率が65% 未満では、前記ひずみ分布間隔が5 μm 未満となる可能性が大きい。
前記した本発明組織のひずみ分布間隔を得るためには、溶体化処理温度は530 ℃以上の高めとすることが好ましい。溶体化処理温度が530 ℃未満の場合には、前記ひずみ分布間隔が5 μm 未満となる可能性が大きい。
前記した本発明組織のひずみ分布間隔を得るためには、溶体化および焼入れ処理後に、50〜100 ℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1 〜24時間の必要時間保持する、予備時効処理あるいは復元処理を行うことが好ましい。また、予備時効処理後の冷却速度は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。
Al合金板が予めプレス成形後に曲げ加工されることを模擬して、供試板に10% の予歪みを加えた後に、90度曲げ加工した。そして、前記図3 に示した、曲げ縁曲部2 より試料3 を採取し、断面組織を1 万倍のTEM で観察するとともに、この顕微鏡視野内の結晶粒を電子線後方散乱回折法で走査した際のIQマップで観察することによって、多数の略平行な線として目視される、視野内のひずみの平均分布間隔 (μm)を測定した。これらの結果を表3 に示す。
上記調質処理直後の供試板の元のAl合金板の圧延方向に平行な(L方向の) 耐力 (σ0.2)を、As耐力(MPa) として測定した。なお、引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行った。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
張出成形試験の条件は、長さ200mm ×幅110mm の試験片に対して、100mΦの球頭張出工具を用い、一般防錆油を潤滑油として塗布した後に、成形速度4mm/s 、BHF200kNで張出成形して破断成形高さ(LDH0:mm) を求めた。
曲げ加工性評価としてのフラットヘム加工試験の条件は、長さ180mm ×幅30mmの試験片に、10% の歪みを予め加えた後、角度180 °の密着曲げ(内側曲げ半径R=約0.25mm)を行った。この密着曲げは、試験片端部を内側に180 度折り曲げ、試験片板面に密着させるものである。フラットヘム加工性は、この曲げ縁曲部表面の割れ発生程度を目視で確認し、下記基準に基づいて評価した。
更に、低温時効処理能を調査するため、5%の歪みをあらかじめ与えた後、170 ℃×20分の比較的低温短時間の人工時効硬化処理を施し、処理後の各供試板の (元のAl合金板の圧延方向に平行な(L方向の) 耐力 (σ0.2)を、BH後耐力 (MPa ) として測定した。なお、発明例と比較例ともに、前記室温時効後のAl合金板の前記測定方法による結晶粒径は全て50μm 以下であった。
Claims (5)
- Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%を含み、残部がAlおよび不純物からなるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板において、このアルミニウム合金板に10% の予歪みを加えた後に90度曲げ加工して、曲げ縁曲部に導入されたひずみであって、曲げ縁曲部の断面組織を1 万倍の透過型電子顕微鏡で観察するとともに、この顕微鏡視野内の結晶粒を電子線後方散乱回折法で走査した際のIQマップで観察することによって、多数の線として目視されるひずみにおける、隣り合う線同士の平均間隔が5 μm 以上であることを特徴とする曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0% 以下、Mn:1.0% 以下、Cr:0.3% 以下、Zr:0.3% 以下、V:0.3%以下、Ti:0.1% 以下、の内の1 種または2 種以上を含む請求項1に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が、更に、Cu:1.0% 以下、Ag:0.2% 以下、Zn:1.0% 以下、の内の1 種または2 種以上を含む請求項1または2に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板がプレス成形後に曲げ加工されるものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が自動車アウタパネル用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
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