JP2005138267A - 抜き型とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 母材2,3中に切断刃1を取り囲む空間4を有し、ここに樹脂を充填、固化して切断刃1を固定した抜き型、及び空間4にガスを充填し、母材2に複数のガス流出孔を設けてガスを流出させ、製品と打ち抜き屑とが容易に分離できるようにした抜き型。
【選択図】 図3
Description
図19は、従来の抜き型を示す斜視図であり、図20(a)は、レーザー光線を用いて細溝を形成した場合の図19のY,Y線での拡大切断面図であり、図20(b)は、エンドミル、ワイヤを用いて細溝を形成した場合の図19のY,Y線での拡大切断面図である。従来、プラスチックシートや段ボールシートのようなシート状物を所望の形状に打ち抜くための抜き型としては、板状体(本明細書においては、「母材」という)、例えば、ベニヤ板などのような木製の合板、プラスチック製板、金属製板からなる母材2に貫通した細溝6を設け、その細溝6に切断刃(ビク刃)1をはめ込んで固定したものが使用されている(特許文献1参照)。19は切断刃1の刃先である。母材2に細溝6を形成する手段としては、従来、糸鋸等が使用されていたが、近年レーザー光線によるレーザーカット法、エンドミルを用いるエンドミルカット法、ワイヤを用いるワイヤカット法等が採用されてきている。
上記のように、糸鋸やレーザー光線等を用いて母材に細溝を形成し、その細溝に切断刃をはめ込み固定することによって得られた抜き型を、段ボールシート等の打ち抜きに使用している場合には、それほどの精度の要求がなされていなかったこともあって、上記の事実があまり問題となることはなかった。しかしながら、電子部品などに用いられるプラスチックシートのような高度に正確な打ち抜きが要求されるシート状物の打ち抜きの場合には、高速で、多数枚打ち抜くうちに切断刃の固定に緩みが生じ、正確な打ち抜きができなくなることが、大きな問題となってクローズアップしてくることがわかった。
そして、上記のような抜き型の廃棄処分の一つの手段として、焼却による廃棄処分が行なわれているが、上記のように、抜き型には打ち抜いた製品及び打ち抜き屑を容易に抜き型から分離可能とするためにゴム等の弾性体が設けられている。そのため、そのような抜き型を焼却すると、ゴム等の弾性体から硫黄の酸化物、一酸化炭素等の有毒ガスや地球温暖化の原因となっている二酸化炭素等が発生し、環境問題を引き起こすことになる。
また、本発明は、シート状物を打ち抜いて得られる製品と打ち抜き屑とを製品に抜き跡を残すことなく容易に分離でき、しかも、上記のような焼却廃棄による環境問題を引き起こすことのない抜き型を提供することを第二の目的とする。
(1) 所望の形状に細溝が形成され、その細溝に切断刃がはめ込まれた2枚の母材の少なくとも一方に該切断刃の周囲を包囲する形の樹脂充填室と、該樹脂充填室に連通する樹脂導入孔が形成され、該樹脂充填室に流動性の樹脂が充填、固化されたことを特徴とする抜き型(以下、第一の抜き型という)。
(2)前記切断刃には、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔が設けられている、(1)に記載の抜き型。
(3)所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝と、表面の複数のガス噴き出し孔と連通しガス導入口を有する噴き出しガス室を有する母材と、前記細溝にはめ込まれた切断刃とを有することを特徴とする抜き型(以下、第二の抜き型という)。
(4)前記噴き出しガス室が、母材の溝にはめ込まれた、ガス噴き出し孔を開けた管により形成されていることを特徴とする(3)に記載の抜き型。
(5)前記母材が所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝が形成されている第一の母材と、第一の母材に形成された細溝と同じ形状に形成された細溝に沿って複数のガス噴き出し孔を有する第二の母材からなり、少なくとも一方の母材に切断刃と前記噴き出しガス室及びガス導入口が形成されていることを特徴とする(3)に記載の抜き型。
(6)前記細溝のさらに内側に別の切断刃が前記第二の母材又は前記第一の母材と第二の母材との両方にはめ込まれている(5)記載の抜き型。
(8)前記切断刃には、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔が設けられている、(7)記載の抜き型。
(9)前記複数のガス噴き出し孔が、前記細溝に沿って該細溝の両側に設けられている(3)〜(8)のいずれか一項に記載の抜き型。
(10)前記母材がさらに表面の複数の吸引孔と連通し吸引口を有する吸引室を有することを特徴とする(3)〜(9)のいずれか一項に記載の抜き型(以下、第四の抜き型という)。
(11)前記複数の吸引孔が、前記細溝に沿って前記複数のガス噴き出し孔よりも外側に設けられている(10)に記載の抜き型。
(12)前記母材が多層構造を有し、噴き出しガス室と吸引室が別の層に設けられていることを特徴とする(10)又は(11)に記載の抜き型。
(13)前記吸引室が、母材の溝にはめ込まれた、吸引孔を開けた管により形成されていることを特徴とする(10)〜(12)のいずれか一項に記載の抜き型。
(14)前記樹脂の充填、固化が、上下プレス定盤の間で前記抜き型をプレスした状態で行われたことを特徴とする(1)、(2)、(7)又は(8)に記載の抜き型。
(15)前記細溝が、レーザー光線、エンドミル、ワイヤのいずれかにより形成されたものである(1)〜(14)のいずれか一項に記載の抜き型。
(16)所望の形状に細溝が形成され、その細溝に切断刃がはめ込まれた2枚の母材の少なくとも一方に該切断刃の周囲を包囲する形の樹脂充填室と、該樹脂充填室に連通する樹脂導入孔を形成し、該樹脂充填室に流動性の樹脂を充填、固化することを特徴とする(1)、(2)、(7)又は(8)に記載の抜き型の製造方法。
(17)前記樹脂の充填、固化を、上下プレス定盤の間で前記抜き型をプレスした状態で行うことを特徴とする(16)に記載の抜き型の製造方法。
なお、「切断刃を包囲する」樹脂充填室又は噴出しガス室の形状には、図5(a)(b)に示すような切断刃の両側を包囲する形も、図5(c)に示すような切断刃の片側を包囲する形も含まれる。
また、切断刃として、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔を少なくとも一つ有する切断刃を使用することにより、切断刃が母材に所望の形状に一段と正確、かつ強固に固定されることが可能となる。
さらに、樹脂の充填、固化を、上下プレス定盤間でプレスした状態で行うことにより、切断刃の刃先が水平に揃った状態で固定され、より正確な打ち抜きが可能になる。
本発明の第二の抜き型は、抜き型母材中に空間部を形成し、その空間部から抜き型上方にガスを噴出させるように構成することにより、打ち抜き製品と打ち抜き屑とを抜き型から浮き上がらせ、容易に抜き型と分離することが可能となる。そのため、打ち抜き製品に抜き跡が残らない。この機構は母材そのものの成形によって設けるか、あるいは母材から簡単に取り外せる管を用いたものであるため、切断刃の刃先が丸くなったり、破損したりして、抜き型としての継続使用が不可能になって焼却処分をすることになっても、ゴム等の弾性材が原因となっていた硫黄の酸化物、一酸化炭素等の有毒ガスや地球温暖化の原因となっている二酸化炭素等の発生がなく、環境問題を引き起こすこともないという優れた効果を奏するものである。
本発明の第一の抜き型及び上記(5)に記載された構成の第二の抜き型は、2枚の母材のみで樹脂またはガスを充填する空間を形成するように構成されているため、廉価かつ簡便に製造できる。
本発明の第三の抜き型は、上記樹脂充填室の内部にさらに空間部を有し、その空間部から抜き型上方にガスを噴出させるように構成することにより、切断刃が所望の形状に正確に固定されている上に、打ち抜き製品と打ち抜き屑とを抜き型から浮き上がらせ、容易に抜き型と分離することが可能である。
本発明の第四の抜き型によれば、第二の抜き型のガスを噴出させる機構に加え、さらに母材に吸引室となる空間部を形成し、ガスを噴出している位置とは別の位置で吸引孔から吸引を行うので、打ち抜き製品と抜き型の分離が一層容易になる。
第一の抜き型の母材としては、どのような材料から形成された板状体でも良いが、合成樹脂により形成された板状体が好ましい。合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。
木製の板状体や薄い木製のシート状物を数枚積層した板状体、例えば、ベニヤ板でも良い。
また、多くの枚数を打ち抜く場合、やや固い材質のものを打ち抜く場合などには、薄い金属製の板状体を使用することもできる。
板状体は、2枚使用するので、あまり厚くないもので良く、6〜8mm程度の厚さのもので良い。
なお、本発明の抜き型はいずれも母材の厚さを調節することにより、高さの高い切断刃を使用する抜き型から低い切断刃を使用する抜き型まで、広く適用することが可能である。
切断刃、樹脂との一体化を良くし、それらの間での相対的なズレが生じないようにするために、切断刃の刃部の下方で、2枚の母材間に位置している部分(即ち、樹脂と接する部分)に凹部又は貫通孔が少なくとも一つ設けられていることが好ましい。
樹脂導入孔は樹脂を充填するための孔であり、少なくとも一つ設けられる。樹脂充填室及び樹脂導入孔の高さは、狭いほうが好ましいが、充填する樹脂の流動性を考慮すると、4〜8mm、好ましくは、6mm程度である。勿論、充填する樹脂として、流動性の良い樹脂を使用する場合には、4mm以下とすることもできる。
樹脂充填室に充填される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
なお、樹脂以外でも、室温で流動性があり、樹脂充填室に充填、固化して切断刃の固定を行えるものであれば、上記樹脂と同様に使用することができる。
図1は、本発明の抜き型により打ち抜かれたシート状物を示す図であり、図2は、本発明の抜き型にはめ込まれる前の所望の形状に配置された状態の切断刃(凹部を有するものの例)を示す図であり、図3は、本発明の第一の抜き型を示す斜視図であり、図4(a)は下側の母材3の斜視図であり、図4(b)は上側の母材2を裏返した状態の斜視図であり、図5(a)は、図3のX,X線での切断面図である。図5(b)及び(c)は、樹脂充填室を別の形にした例の切断面図である。
切断刃として、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔を少なくとも一つ有する切断刃を使用することにより、切断刃と樹脂とがしっかりと一体化、固定され、切断刃が母材に対し所望の形状に一段と正確、かつ強固に固定されることが可能となる。また、このような構造にすることにより、流動性の樹脂が、多少収縮性であっても切断刃が母材に対し所望の形状に正確、かつ強固に固定されることが可能となる。
なお、図12には、母材2、3に位置決め用孔23を設け、そこに位置決め用ピン22を通して両母材2、3を正確に位置決め、固定する構成の説明図を示した。
また、図6(a)に示すように抜き型8を上下のプレス定盤9、10の間に配置し、図6(b)に示すようにプレス定盤9、10で切断刃1の高さaと同じ間隔にプレスした状態で、樹脂充填室に流動性の樹脂を充填し、固化することが好ましい。このようにすることで、樹脂充填、固化の際の切断刃1の刃先のブレが防止でき、刃先が水平に揃った状態で樹脂による固定が行われるためである。
本発明の第二の抜き型には、所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝と、必要な溝、もしくは空間部及びそれに連通する孔が形成されている母材が使用される。
母材は、どのような材料から形成された板状体でも良いが、木製の板状体や薄い木製のシート状物を数枚積層した板状体、例えば、ベニヤ板が好ましい。
焼却処分しないのであれば合成樹脂により形成された板状体でも良い。合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。
母材となる板状体は必要に応じ多層構造とし、各層で必要な空間部などを形成したのち接着、一体化したものを使用することもできる。
板状体の厚さは、切断刃の高さ、材質、大きさ等により適宜に決められるが、特に限定されるものではない。例えば、4〜20mm程度の厚さのもので良い。
ワイヤによる細溝の形成は、公知の種々のワイヤによる加工(切断等)手段を採用することにより行うことができる。例えば、三菱ワイヤ放電加工機DIAX(三菱電機会社製)等を用いることもできる。
勿論、母材の細溝は、他の手段、例えば、ウォータージェット等により形成しても良い。
細溝に切断刃をはめ込む際に容易にはめ込めるように、細溝の幅を多少幅広に、形成することもできる。
この機構は、母材に噴き出しガス室となる空間部を形成し、そこに連通するガス噴き出し孔をあけて、そこからガスを噴出させるものである。噴き出しガス室等の形成は、例えば母材を多層構造にし、そのうちの1層にガス室となる溝を、好ましくは切断刃をはめ込む細溝を取り囲む、もしくは細溝に沿った形に形成し、他の層を接着して、表面からこの溝に通ずる複数の孔を開けて、噴き出しガス室に導入したガスが噴出するようにすることができる。
噴き出しガス室の形状は、ガス導入口が設けられていれば特に制限はなく、角筒状、円筒状など、種々の形状を採用しうる。
管は、溝に着脱自在にはめ込めるものであればいかなるものでもよく、例えば塩化ビニルなどのチューブを使用することができる。管の形状は例えば円筒状、角柱状などを採用することができる。管は1本のみでも、2本以上を用いてもよい。
このとき、管はしっかりはめ込まれていれば固定しなくてもよいが、必要に応じビスによって着脱できる留め具によって適当な箇所で固定してもよいし、簡単にはがれる程度に接着してもよい。
上記の管は、母材上部から着脱自在に溝にはめ込まれているため、抜き型廃棄時には、切断刃とともに、取り外すことができる。母材がベニヤなどの焼却可能な材質である場合、管は取り外して焼却できるので、有害なガスの発生が防止できる。
管もしくは母材に複数のガス噴き出し孔が形成される。特に、切断刃が直線である部分以外の部分、即ち、角や湾曲している部分に設けることが好ましい。
ガス噴き出し孔の大きさは、ガス噴き出し孔の数やその間隔、打ち抜き製品の大きさや厚さ、導入ガス圧などを考慮して決められるが、例えば、直型0.5〜2mm程度とすることができる。
また、母材の細溝には、一部切断刃に代えて押罫をはめ込むこともできる。
各母材の材料や厚さは、第一の抜き型と同様である。
各母材に切断刃をはめ込むための細溝が設ける方法についても、第一の抜き型と同様である。
ガス噴き出し孔は、公知の穿孔手段により形成されて良く、特に限定されるものではない。エンドミルやレーザー光線等により形成されても良い。
ガス噴き出し孔の大きさは、ガス噴き出し孔の数やその間隔、打ち抜き製品の大きさや厚さ、導入ガス圧などを考慮して決められるが、例えば、直径0.5〜2mm程度とすることもできる。
切断刃には、後述する空間部に導入されるガスが空間部内を自由に流通することができるように、切断刃の刃部の下方で、2枚の母材間に位置する部分に凹部又は貫通孔が少なくとも一つ設けられる。
母材の細溝には、一部切断刃に代えて押罫をはめ込むこともできる。
また、打ち抜き製品と打ち抜き屑とを抜き型から浮き上がらせ、分離後に空間部内のガスを排出しやすいように、ガス排出口を設けることもできる。
空間部(噴き出しガス室)の高さは、母材の材質、大きさ等により決められ、特に限定されるものではないが、好ましくは、18mm程度の厚さの板状体を母材としたとき9mm程度である。勿論、4mm以下とすることもできる。
また、この第二の抜き型においては、上記細溝のさらに内側に別の切断刃が前記第二の母材又は前記第一の母材と第二の母材との両方にはめ込まれている抜き型とすることができる。このときの内側の切断刃には、外側の通常の切断刃と同じものの他、厚みの半分だけ切断する半切れやミシン目に切るミシン刃、折り曲げ線をつける罫線なども含まれる。このような構成は、第一の抜き型においても同様に採用することができる。
図7は二枚の母材を有する構成の本発明の第二の抜き型の一例を示す斜視図であり、図8(a),(b)は、この第二の抜き型を構成する第一の母材及び第二の母材を示す斜視図であり、図9(a)は、図7のX,X線での切断面図である。空間部(噴き出しガス室)14の形状は特に制限はなく、種々の形状をとることができ、図9(a)で示したと別の形の例を図9(b)に示した。
図10は二枚の母材を有する構成の本発明の第二の抜き型の他の一例を示す断面図であり、切断刃1の内側に別の切断刃1’が設けられている例である。上述のように刃先19’は外側の切断刃1の先端19と同様の完全に切断する刃先でなくてもよい。内側の切断刃1’は外側の切断刃1と同様に細溝6’にはめ込まれている。
ガス噴き出し孔18は、縦、横に間隔をおいて複数個形成させることも可能である。ガス噴き出し孔18は、特に、角のある部分に設けることが好ましい。ガス噴き出し孔18は、細溝6に沿って細溝6の片側だけに設けることもできる。
ガス噴き出し孔18の形状は、特に特定されるものではなく、円形、多角形、楕円形など、いずれの形状でも良く、また、一種類の形状でなくとも良い。
なお、細溝6に囲まれている領域の中央部において、ガス噴き出し孔18で発生する上向きの力とは逆の、下向きの力がかかるようにすると、打ち抜き製品と打ち抜き屑が抜き型からより浮き上がりやすくなる。例えば噴き出しガス室の中央部を仕切って吸引用の空間を設け、ここにあけた孔から吸引を行ったり、着脱自在のゴム吸引具を用いたりする方法がある。(後述する本発明の第四の抜き型は、この一例である。)
即ち、所望の形状に細溝6が形成され、場合によっては空間部(噴き出しガス室)14とガス導入口17が形成された第一の母材13の上に、第一の母材13に形成されている細溝6と同形状の細溝6が形成され、場合によっては空間部(噴き出しガス室)14及びガス導入口17と、多数のガス噴き出し孔18が形成された第二の母材12が接着剤などにより接着固定される。そして、2枚の母材12,13には、例えば下部に凹部を有する切断刃1の刃先19が第二の母材12の上方に位置するようにはめ込まれる。このようにして、2枚の母材12,13により空間部14が形成される。空間部14にガスを導入するために母材12及び/又は13の一辺には空間部14と連通しているガス導入口17が設けられている。
空間部14は、ガス噴き出し孔18及びガス導入口17をふさいだ場合に完全に密閉されていることが好ましいが、打ち抜き製品と打ち抜き屑とを抜き型から浮き上がらせることができれば、必ずしも完全密封の状態でなくとも良く、ガス噴き出し孔18からある程度のガスが噴出される程度であっても良い。
この例における切断刃は、上記の例と同様に図2に示したようなものが使用できる。図16は本発明の第二の抜き型の他の一例の斜視図であり、図17は切断刃と管を取り外した母材2の斜視図であり、図18(a)は図16のX,X線での断面図である。
この抜き型においても使用時にはガス導入口17にプラグ等が差し込まれ、ガス(空気等)の供給が行われる。
また、図18(c)は止め具39を設けた状態を示す一部断面斜視図であり、止め具39はビス40で母材2に取り付けられている。止め具39は好ましくは切断刃1の内側に適宜数箇所設ける。これにより、管15が溝38内に固定される。止め具39とビス40は銅、ステンレス、鉄などの金属や合板、木材などを用いることができ、管15や切断刃1と同様に母材2から取り外しが可能である。
なお、打ち抜き屑が、抜き型から容易に浮き上がるようにするために、母材にはめ込まれた切断刃1の外側に形成されているガス噴き出し孔18のさらに外側に、それらのガス噴き出し孔18を包囲する形で押罫等(図示されていない)を設けても良い。
また、上記のように、ガス導入口17からガス噴き出し孔18へのガスの供給が、空間部14を経て行なわれるようにする代わりに、ガス導入口17とガス噴き出し孔18とを繋ぐ複数本のパイプを通してなされるようにしても良い。
第三の抜き型の製造方法は特に制限はないが、例えば切断刃1を第一の母材13の溝6に嵌入し、樹脂充填室4内に空間部14を形成させる管15を固定した状態で第一の母材13と第二の母材12を合わせる。このとき切断刃1の刃先は第二の母材12の上方に出た状態になる。このようにして形成した樹脂充填室4内に樹脂5を充填、固化させた後、第二の母材12の所望の箇所にガス噴き出し孔18を、空間部14に連通させて穿孔する方法があげられる。このときの樹脂5の充填、固化は、第一の抜き型について図6を参照して説明したと同様に、上下のプレス定盤間に抜き型を配置し、切断刃1の高さaにプレスした状態で行うのが好ましい。
本発明の第四の抜き型には、所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝と、必要な溝、もしくは空間部及びそれに連通する孔が形成されている母材が使用される。
母材の材質や厚さ、使用しうる切断刃や細溝、溝の形成については、第二の抜き型の説明においてあげたと同様である。
ガス噴き出しの機構は、第二の抜き型について説明したと同様である。
吸引室は噴き出しガス室と同様、母材を多層構造にして、そのうちの一層(噴き出しガス室のある層とは別の層)に溝を形成して他の層を接着し、表面からこの溝に通ずる吸引孔をあけることで吸引室としてもよいし、第二の抜き型の噴き出しガス室について説明したと同様の管を使用して吸引室を形成してもよい。
また、吸引孔が穴あけ用の刃(丸、楕円、四角など、種々の形状の穴をあけるための切断刃)の内部が吸引孔になるよう、吸引口と吸引室を形成してもよい。この場合、穴あけ刃内の抜きカスが吸引室に吸い込まれて除去され、吸引口から取り出されるという効果を奏する。この場合の母材の吸引孔の大きさは、開けようとする穴(穴あけ刃の内部の穴)よりも大きくすると、抜きカスがスムーズに吸い込まれる。
図1は、本発明の抜き型により所望の形状Aに打ち抜かれたシート状物を示す図であり、図2は、本発明の抜き型にはめ込まれる前の所望の形状に配置された状態の切断刃1(凹部を有するものの例)を示す図であり、図13は本発明の第四の抜き型の一例を示す斜視図であり、図14(a)は図13のX,X線での部分断面図である。
この抜き型において、母材2は31〜33の3層で構成されており、例えば、それぞれベニヤ板などの木製の四角い板状体からなる。最下層31に吸引室34が形成され、中間層32に噴き出しガス室14が形成されている。母材2の表面(切断刃1の刃先19側)から、ガス噴き出し孔18が噴き出しガス室14に、吸引孔35が吸引室34に連通するように開けられている。また、母材中間層32の側面からガス導入口17が噴き出しガス室14に連通しており、吸引口36が吸引室34に連通している。切断刃1の内側の噴き出しガス室14や吸引室34にも連通させるため、切断刃1の凹部がある箇所に対応してガス導入口17や吸引口36が設けられる。抜き型使用時にはガス導入口17及び吸引口36にガス供給用もしくは吸引用プラグ等を差し込み、ガス導入口17にはガス(空気等)の供給を、吸引口36からは減圧吸引を行う。
この母材2の3層の構造を抜き型の一部を分解した斜視図として図15(a)〜(c)に示した。(a)は最下層31のみの状態を示したものであり、切断刃1をはめ込んだ細溝6と吸引室34となる溝が形成されている。(b)はその上に中間層32を重ねた状態を示したものであり、中間層32には細溝6および噴き出しガス室14となる溝と、吸引室34に連通する吸引孔35が形成されている。(c)は31〜33の3層をすべて重ねた状態を示したものであり、最上層33には、細溝6、吸引孔35、及びガス噴き出し孔18が形成されている。
また、図14(c)には、切断刃1のほかに設けられた穴あけ用切断刃1’の内部に吸引孔35を設けた形態を断面図で示した。抜きカス41は穴あけ用切断刃1’の刃先19’から吸引室34内に吸い込まれ、吸引室34と連通する吸引口から取り出される。図14(c)において42は板材であり、切断刃1’が切断作業において母材31に食い込んでしまうのを防止するために設けたものである。板材42の材質は例えば鉄、アルミニウム、塩化ビニルなどが挙げられる。
なお、図14(c)に示した例では、吸引孔35は打ち抜き製品を吸引するとともに抜きカスを吸い込んで除去するものであるが、穴あけ用切断刃の内部に抜きカス吸引用の吸引孔、吸引室及び吸引口を設け、これとは別に、穴あけ用切断刃のない箇所に打ち抜き製品吸引用の吸引孔を設けてこれと連通する吸引室、吸引口を設け、抜きカスの除去と打ち抜き製品の吸引を別々に行わせる形態も可能である。
2,3 母材
4 樹脂充填室
5 樹脂
6,6’細溝
7 樹脂導入孔
7’ 脱気及び樹脂流出孔
8 抜き型
9 上プレス定盤
10 下プレス定盤
12 第二の母材
13 第一の母材
14 空間部(噴き出しガス室)
15 管
17 ガス導入口
18 ガス噴き出し孔
19,19’刃先
20 短い切断刃
21 ゴム等の弾性体
22 位置決め用ピン
23 位置決め用孔
31 母材最下層
32 母材中間層
33 母材最上層
34 吸引室
35 吸引孔
36 吸引口
37 ガス導入孔
38 溝
39 止め具
40 ビス
41 抜きカス
42 板材
Claims (17)
- 所望の形状に細溝が形成され、その細溝に切断刃がはめ込まれた2枚の母材の少なくとも一方に該切断刃の周囲を包囲する形の樹脂充填室と、該樹脂充填室に連通する樹脂導入孔が形成され、該樹脂充填室に流動性の樹脂が充填、固化されたことを特徴とする抜き型。
- 前記切断刃には、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔が設けられている、請求項1に記載の抜き型。
- 所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝と、表面の複数のガス噴き出し孔と連通しガス導入口を有する噴き出しガス室を有する母材と、前記細溝にはめ込まれた切断刃とを有することを特徴とする抜き型。
- 前記噴き出しガス室が、母材の溝にはめ込まれた、ガス噴き出し孔を開けた管により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の抜き型。
- 前記母材が所望の形状に切断刃をはめ込むための細溝が形成されている第一の母材と、第一の母材に形成された細溝と同じ形状に形成された細溝に沿って複数のガス噴き出し孔を有する第二の母材からなり、少なくとも一方の母材に切断刃と前記噴き出しガス室及びガス導入口が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の抜き型。
- 前記細溝のさらに内側に別の切断刃が前記第二の母材又は前記第一の母材と第二の母材との両方にはめ込まれている請求項5記載の抜き型。
- 所望の形状に細溝が形成され、その細溝に切断刃がはめ込まれた2枚の母材の少なくとも一方に該切断刃の周囲を包囲する形の樹脂充填室と、該樹脂充填室に連通する樹脂導入孔が形成され、該樹脂充填室に流動性の樹脂が充填、固化されており、かつ、該樹脂充填室の内部に前記噴き出しガス室を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の抜き型。
- 前記切断刃には、樹脂と接触する部分に凹部又は貫通孔が設けられている、請求項7記載の抜き型。
- 前記複数のガス噴き出し孔が、前記細溝に沿って該細溝の両側に設けられている請求項3〜8のいずれか一項に記載の抜き型。
- 前記母材がさらに表面の複数の吸引孔と連通し吸引口を有する吸引室を有することを特徴とする請求項3〜9のいずれか一項に記載の抜き型。
- 前記複数の吸引孔が、前記細溝に沿って前記複数のガス噴き出し孔よりも外側に設けられている請求項10に記載の抜き型。
- 前記母材が多層構造を有し、噴き出しガス室と吸引室が別の層に設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の抜き型。
- 前記吸引室が、母材の溝にはめ込まれた、吸引孔を開けた管により形成されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の抜き型。
- 前記樹脂の充填、固化が、上下プレス定盤の間で前記抜き型をプレスした状態で行われたことを特徴とする請求項1、2、7又は8に記載の抜き型。
- 前記細溝が、レーザー光線、エンドミル、ワイヤのいずれかにより形成されたものである請求項1〜14のいずれか一項に記載の抜き型。
- 所望の形状に細溝が形成され、その細溝に切断刃がはめ込まれた2枚の母材の少なくとも一方に該切断刃の周囲を包囲する形の樹脂充填室と、該樹脂充填室に連通する樹脂導入孔を形成し、該樹脂充填室に流動性の樹脂を充填、固化することを特徴とする請求項1、2、7又は8に記載の抜き型の製造方法。
- 前記樹脂の充填、固化を、上下プレス定盤の間で前記抜き型をプレスした状態で行うことを特徴とする請求項16に記載の抜き型の製造方法。
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