JP2005133893A - 冠型保持器及び該保持器を組み込んだ玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持器の半径方向の動き量を抑制すると共に、保持器の剛性を確保することにより保持器爪先端部の変形を抑え、極低温時における異音を防止可能な冠型保持器及び玉軸受を提供する。
【解決手段】冠型保持器において、保持器ポケット6のポケット面6aにおける内径側縁6b寄りに係り部7を突設し、該係り部によって保持器5の半径方向の動きを抑制し、この保持器5におけるポケット底の断面積をT、転動体の断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたときの剛性パラメータTG/Dを、260MPa〜350MPaの範囲として保持器の変形を防ぎ、極低温時における異音の発生を抑制する。
【選択図】図2
【解決手段】冠型保持器において、保持器ポケット6のポケット面6aにおける内径側縁6b寄りに係り部7を突設し、該係り部によって保持器5の半径方向の動きを抑制し、この保持器5におけるポケット底の断面積をT、転動体の断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたときの剛性パラメータTG/Dを、260MPa〜350MPaの範囲として保持器の変形を防ぎ、極低温時における異音の発生を抑制する。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えばエアコンファンモータ等の一般電化製品に組み込まれるモータ、或いは自動車部品用小型モータなどの回転支持部分を構成する玉軸受に関し、特に、極低温条件下において使用するのに好適な玉軸受の改良に関するものである。
転がり玉軸受は、内輪と外輪の間に冠型保持器を介して複数個の玉(転動体)が周方向に転動可能に配置されており、図12に示すように、冠型保持器100には前記複数の玉を周方向に等間隔に配置するポケット200が設けられている。
ところで、自動車用エアコンファンモータ等の小型モータや自動車用プーリ、ファンなどの回転支持部に組み込まれる転がり玉軸受は、極低温条件下(例えば−20度〜−40度)においても使用されることがある。このように極低温条件下において使用される場合、特に回転初期において異音が発生することがある。これは、極低温条件下において、軸受に封入されるグリースの流動性が常温に比して著しく低下し、冠型保持器ポケット面と玉との潤滑が枯渇し、両者の摩擦により冠型保持器が半径方向に振動するものと考えられる。
ところで、自動車用エアコンファンモータ等の小型モータや自動車用プーリ、ファンなどの回転支持部に組み込まれる転がり玉軸受は、極低温条件下(例えば−20度〜−40度)においても使用されることがある。このように極低温条件下において使用される場合、特に回転初期において異音が発生することがある。これは、極低温条件下において、軸受に封入されるグリースの流動性が常温に比して著しく低下し、冠型保持器ポケット面と玉との潤滑が枯渇し、両者の摩擦により冠型保持器が半径方向に振動するものと考えられる。
従来このような問題の改善策として、保持器の半径方向の動き量を抑制する手段が講じられている。
従来の対策(1)
保持器ポケットの内径側縁、外径側縁の少なくともいずれか一方の一部に保持器の半径方向の動きを抑制する係り部を設けることにより、半径方向の動き量を抑制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来の対策(2)
保持器ポケットを通るP.C.D.(Pitch Circle Diameter ピッチ円直径ともいう。)が玉のP.C.D.に対して大きく或いは小さくすることで、半径方向の動き量を抑制するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−158951号公報
実開昭58−195118号公報
従来の対策(1)
保持器ポケットの内径側縁、外径側縁の少なくともいずれか一方の一部に保持器の半径方向の動きを抑制する係り部を設けることにより、半径方向の動き量を抑制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来の対策(2)
保持器ポケットを通るP.C.D.(Pitch Circle Diameter ピッチ円直径ともいう。)が玉のP.C.D.に対して大きく或いは小さくすることで、半径方向の動き量を抑制するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記(1)又は(2)の従来の対策では、極低温時に玉から保持器が変形を伴うほどの力が与えられた場合、保持器の材質や形状によっては、ポケット爪先端部が開き、本来の効果が得られない場合がある。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、保持器の半径方向の動き量を抑制すると共に、保持器の剛性を確保することにより保持器爪先端部の変形を抑え、極低温時における異音を防止可能な冠型保持器及び玉軸受を提供することを目的とする。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、保持器の半径方向の動き量を抑制すると共に、保持器の剛性を確保することにより保持器爪先端部の変形を抑え、極低温時における異音を防止可能な冠型保持器及び玉軸受を提供することを目的とする。
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明がなした技術的手段は、円環状に形成されると共に、円周方向の複数箇所に転動体を収容保持するポケットを設け、該ポケットは、転動体の直径より大きなポケット面を有すると共に、各ポケットの軸方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅の小さい開口部を設けた冠型保持器において、該保持器ポケットの内径側縁側、外径側縁側の少なくともいずれか一方で保持器の半径方向の動きを抑制する形態を有し、且つ前記保持器ポケット底の断面積をT、転動体の断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたとき、剛性パラメータTG/Dが260MPa〜350MPaの範囲であることを特徴とする冠型保持器としたことである。
前記保持器の半径方向の動きを抑制する形態としては、次のa乃至cの形態を一例として挙げる事ができる。
a.保持器ポケットのポケット面における内径側縁寄りと外径側縁寄りの少なくともいずれか一方の所望箇所に突設した係り部により保持器の半径方向の動きを抑制する。この係り部は、保持器軸心に向かって閉じる方向に円すい形を有するか、或いは保持器軸心に向かって開く方向に円すい形を有するものとした。また、係り部は、保持器ポケット面の内径側縁寄りと外径側縁寄りのいずれか一方に設けた複数個の突起によって構成されていても良い。
b.保持器ポケットを通るP.C.D.が、転動体のP.C.D.に対して大きく或いは小さく構成したことにより保持器の半径方向の動きを抑制する。
c.保持器ポケットの内径側縁寄りのポケット面と外径側縁寄りのポケット面の少なくともいずれか一方の所望領域を円すい面としたことにより保持器の半径方向の動きを抑制する。
a.保持器ポケットのポケット面における内径側縁寄りと外径側縁寄りの少なくともいずれか一方の所望箇所に突設した係り部により保持器の半径方向の動きを抑制する。この係り部は、保持器軸心に向かって閉じる方向に円すい形を有するか、或いは保持器軸心に向かって開く方向に円すい形を有するものとした。また、係り部は、保持器ポケット面の内径側縁寄りと外径側縁寄りのいずれか一方に設けた複数個の突起によって構成されていても良い。
b.保持器ポケットを通るP.C.D.が、転動体のP.C.D.に対して大きく或いは小さく構成したことにより保持器の半径方向の動きを抑制する。
c.保持器ポケットの内径側縁寄りのポケット面と外径側縁寄りのポケット面の少なくともいずれか一方の所望領域を円すい面としたことにより保持器の半径方向の動きを抑制する。
少なくとも、相対回転可能に配設した一対の軌道輪と、該軌道輪間に保持器を介して組み込まれる複数個の転動体で構成される転がり玉軸受において、前記保持器が、上記a乃至cのいずれかに記載の構成を有する冠型保持器であることを特徴とする転がり玉軸受としたことである。
本発明の冠型保持器によれば、保持器ポケットの内径側縁側、外径側縁側の少なくともいずれか一方で保持器の半径方向の動きを抑制することができる。
また、該保持器ポケット底の断面積をT、転動体断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたとき、剛性パラメータTG/Dが260MPa〜350MPaの範囲とする構成にすることにより剛性が確保され、保持器(保持器爪先端部)の変形を抑制することができる。
これらの作用により、極低温時の異音の防止が可能となる。
また、該保持器ポケット底の断面積をT、転動体断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたとき、剛性パラメータTG/Dが260MPa〜350MPaの範囲とする構成にすることにより剛性が確保され、保持器(保持器爪先端部)の変形を抑制することができる。
これらの作用により、極低温時の異音の防止が可能となる。
本発明によれば、保持器の半径方向動き量は、前記ポケットの内径側縁側、外径側縁側の少なくとも何れか一方で抑制される。
また、極低温条件下での回転の場合、保持器には、玉から変形を伴うほどの力が与えられることがあり、その場合、玉から前記ポケットの内径側縁あるいは外径側縁に力が加わり、ポケットの爪先端が開き易くなる。本発明では、保持器ポケット底の断面積をT、転動体断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたときの剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaの範囲内としたことにより、保持器の剛性を確保することができたため、保持器の変形を抑制することができる。これらの作用により、極低温時の異音の防止が可能な軸受を提供することができる。
また、極低温条件下での回転の場合、保持器には、玉から変形を伴うほどの力が与えられることがあり、その場合、玉から前記ポケットの内径側縁あるいは外径側縁に力が加わり、ポケットの爪先端が開き易くなる。本発明では、保持器ポケット底の断面積をT、転動体断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたときの剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaの範囲内としたことにより、保持器の剛性を確保することができたため、保持器の変形を抑制することができる。これらの作用により、極低温時の異音の防止が可能な軸受を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1乃至図4は実施例1、図5は実施例2、図6は実施例3、図7は実施例4、図8は実施例5、図9は実施例6、図10は実施例7、図11は実施例8を夫々示す。
なお、本明細書にて説明する各実施例は、本発明の一実施例にすぎず何等これらに限定して解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、本明細書にて説明する各実施例は、本発明の一実施例にすぎず何等これらに限定して解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
図1は、例えばエアコンファンモータ等の一般電化製品に組み込まれるモータ、或いは自動車部品用小型モータ等の回転支持部分を構成する本発明の転がり軸受の一実施形態を示す。なお、本実施形態の転がり軸受は、その配設箇所に限定はされないが、特に、極低温条件下において使用される。
転がり軸受1は、相対回転可能に配設した一対の軌道輪(外輪2と内輪3)と、該軌道輪2,3間に組み込まれる複数個の転動体(玉)4と、該転動体4を収容保持する冠型保持器5とで構成されている。転がり軸受1は、少なくとも前記構成からなるものであればよく、密封板などその他の構成を追加・変更等することは本発明の範囲内で可能である。
本発明は、冠型保持器5に特徴的な構成を有し、その他の構成、例えば外輪2、内輪3、転動体4等については特に限定解釈されないため、以下冠型保持器5についての説明に留め、その他の構成についての説明は省略する。
転がり軸受1は、相対回転可能に配設した一対の軌道輪(外輪2と内輪3)と、該軌道輪2,3間に組み込まれる複数個の転動体(玉)4と、該転動体4を収容保持する冠型保持器5とで構成されている。転がり軸受1は、少なくとも前記構成からなるものであればよく、密封板などその他の構成を追加・変更等することは本発明の範囲内で可能である。
本発明は、冠型保持器5に特徴的な構成を有し、その他の構成、例えば外輪2、内輪3、転動体4等については特に限定解釈されないため、以下冠型保持器5についての説明に留め、その他の構成についての説明は省略する。
図2に示すように、冠型保持器5は、円環状に形成されると共に、円周方向の複数箇所に転動体4を収容保持するポケット6を設けて構成されている。
ポケット6は、外径面5aと内径面5bにわたり貫通せしめて転動体4の直径(玉径)Daより大きなポケット面6aを有するよう形成すると共に、各ポケット6の保持器軸方向の一方側に転動体4の直径(玉径)Daより開口幅の小さい開口部6eを設けて構成されている。
ポケット6は、例えば、貫通方向(保持器軸心Oから半径方向ともいう)hに円筒形のポケット面6aを有する。なお、ポケット面6a形状は図示形状に何等限定されるものではなく、例えば転動体の直径より僅かに大きな球面(例えば単一球面)のポケット面としてもよく、本発明の範囲内で他の形状を選択可能である。
ポケット6は、外径面5aと内径面5bにわたり貫通せしめて転動体4の直径(玉径)Daより大きなポケット面6aを有するよう形成すると共に、各ポケット6の保持器軸方向の一方側に転動体4の直径(玉径)Daより開口幅の小さい開口部6eを設けて構成されている。
ポケット6は、例えば、貫通方向(保持器軸心Oから半径方向ともいう)hに円筒形のポケット面6aを有する。なお、ポケット面6a形状は図示形状に何等限定されるものではなく、例えば転動体の直径より僅かに大きな球面(例えば単一球面)のポケット面としてもよく、本発明の範囲内で他の形状を選択可能である。
ポケット6は、図2,3に示すように、内径側縁6b寄りのポケット面6aの一部に、保持器半径方向r(図3参照)の動きを抑制する係り部7を設けている。
係り部7は、例えばポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の内径側縁6b寄りのポケット面6aの所望範囲に、保持器5の軸心Oに向かって閉じる方向に円すい形に突出形成されている(図2,3参照)。
図2,3中、7aは円すい面を示す。
円すい面7aを有する係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。すなわち、本実施形態では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の内径側縁6b寄りのポケット面6aに、所望範囲にわたり相対向して一対の係り部7,7を形成しているが、複数個ずつ相対向して形成しても良く、また上記係り部7を内径側縁6b寄りと外径側縁6c寄りの双方のポケット面6aに形成してもよい。
係り部7は、例えばポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の内径側縁6b寄りのポケット面6aの所望範囲に、保持器5の軸心Oに向かって閉じる方向に円すい形に突出形成されている(図2,3参照)。
図2,3中、7aは円すい面を示す。
円すい面7aを有する係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。すなわち、本実施形態では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の内径側縁6b寄りのポケット面6aに、所望範囲にわたり相対向して一対の係り部7,7を形成しているが、複数個ずつ相対向して形成しても良く、また上記係り部7を内径側縁6b寄りと外径側縁6c寄りの双方のポケット面6aに形成してもよい。
本実施例では、保持器5の剛性を確保するために、保持器ポケット底(保持器ポケット底6fの最も薄い位置8)の断面積をT、転動体4の断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたときの剛性パラメータTG/Dを、260MPa〜350MPaの範囲内とした。前記、断面積Tは、図2・図6及び図7にて、付号8で示す保持器ポケット底6fの最も薄い位置での断面積(図2のA−A線で断面した面の面積)である。
ここで、保持器5の剛性値について検討する。
保持器5の材料(例えば、66ナイロンにガラス繊維を含有させたもの、46ナイロンにガラス繊維を含有させたものなど)や、保持器ポケット底断面積を変えて、剛性パラメータTG/Dを230MPa、240MPa、260MPa、290MPa、300MPaと変化させた数種の保持器を試作し、低温時の異音発生率を比較した。
図4にその結果を示す。ここでの評価条件は、保持器5の構成が上述の通り異なるのみで、その他は以下の通りである。
試験軸受:内径8mm、外径22mm、幅7mm、エステル系合成油を封入
雰囲気温度:−40度
回転条件:1800min−1(内輪回転)、軸方向予圧9.8N
保持器5の材料(例えば、66ナイロンにガラス繊維を含有させたもの、46ナイロンにガラス繊維を含有させたものなど)や、保持器ポケット底断面積を変えて、剛性パラメータTG/Dを230MPa、240MPa、260MPa、290MPa、300MPaと変化させた数種の保持器を試作し、低温時の異音発生率を比較した。
図4にその結果を示す。ここでの評価条件は、保持器5の構成が上述の通り異なるのみで、その他は以下の通りである。
試験軸受:内径8mm、外径22mm、幅7mm、エステル系合成油を封入
雰囲気温度:−40度
回転条件:1800min−1(内輪回転)、軸方向予圧9.8N
評価の結果、剛性パラメータTG/Dが260MPa以上の場合に、異音発生率が非常に低くなることが図4からも分かる。なお、更に剛性パラメータTG/Dを大きくし、350MPaを越すと、保持器成型時の金型のアキシアルドローにおける保持器爪の変形或いは割れが生じ得る虞があるため、ある程度の弾性域を設ける必要がある。
したがって本実施例では、保持器5全体の半径方向rの動きは前記ポケット6の係り部7で抑制されると共に、剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとすることで保持器の変形を防ぎ、極低温時における異音の発生を抑制することができる。
したがって本実施例では、保持器5全体の半径方向rの動きは前記ポケット6の係り部7で抑制されると共に、剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとすることで保持器の変形を防ぎ、極低温時における異音の発生を抑制することができる。
本実施例では、保持器5の剛性パラメータTG/Dを変更する為、材料、断面積を変更しているが、本発明はこれに何ら限定されない。
本発明では、保持器5の剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとしているが、高速の条件(例えば5万回転)では、玉4から保持器5に加わる力と共に、遠心力の影響から保持器5の変形が更に加速されるため、より好ましくは280MPa以上とすると良い(280MPa〜350MPa)。
本発明では、保持器5の剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとしているが、高速の条件(例えば5万回転)では、玉4から保持器5に加わる力と共に、遠心力の影響から保持器5の変形が更に加速されるため、より好ましくは280MPa以上とすると良い(280MPa〜350MPa)。
図5に本実施例2を示す。本実施例では、上述した実施例1の係り部7の他の形態について説明する。
本実施例では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の外径側縁6c寄りのポケット面6aの所望範囲に係り部7を突設し、該係り部7が、保持器5の軸心Oに向かって開く方向に円すい形に突出形成するものとした。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、前記保持器ポケット6の係り部7で抑制される。また、本実施例においても、円すい面7aを有する係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。すなわち、本実施形態では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の外径側縁6c寄りのポケット面6aに、所望範囲にわたり相対向して一対の係り部7,7を形成しているが、複数個ずつ相対向して形成しても良い。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本実施例では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の外径側縁6c寄りのポケット面6aの所望範囲に係り部7を突設し、該係り部7が、保持器5の軸心Oに向かって開く方向に円すい形に突出形成するものとした。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、前記保持器ポケット6の係り部7で抑制される。また、本実施例においても、円すい面7aを有する係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。すなわち、本実施形態では、ポケット6の相対向する爪6d,6dの先端近傍の外径側縁6c寄りのポケット面6aに、所望範囲にわたり相対向して一対の係り部7,7を形成しているが、複数個ずつ相対向して形成しても良い。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
図6に本実施例3を示す。本実施例では、実施例1にて説明した係り部7の他の形態について説明する。
本実施例では、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りのポケット面6aに複数の小径ドーム状突起を設け、該突起をもって係り部7とした実施の一例である。なお、突起からなる係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りのポケット面6aに備えた突起からなる係り部7で抑制される。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本実施例では、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りのポケット面6aに複数の小径ドーム状突起を設け、該突起をもって係り部7とした実施の一例である。なお、突起からなる係り部7の大きさ・形状・配設数量などは、図示例に特に限定されず任意に設定可能である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りのポケット面6aに備えた突起からなる係り部7で抑制される。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
図7に本実施例4を示す。本実施例では、実施例3にて説明した係り部7の他の実施例について説明する。
本実施例では、保持器ポケット6の外径側縁6c寄りのポケット面6aに、係り部7となる複数の小径ドーム状突起を設けた実施の一例である。
本実施例によれば、保持器半径方向rの動きは、外径側縁6c寄りのポケット面6aに備えた複数の小径ドーム状突起からなる係り部7で抑制される。
その他の構成及び作用効果については、実施例3と同様である。
本実施例では、保持器ポケット6の外径側縁6c寄りのポケット面6aに、係り部7となる複数の小径ドーム状突起を設けた実施の一例である。
本実施例によれば、保持器半径方向rの動きは、外径側縁6c寄りのポケット面6aに備えた複数の小径ドーム状突起からなる係り部7で抑制される。
その他の構成及び作用効果については、実施例3と同様である。
図8に本実施例5を示す。
本実施例は、玉径よりも僅かに大きな単一球面のポケット面6aを有するポケット6の場合、係り部7を設ける構成に代えて、ポケット6の中心を通るP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対して大きくさせる構成(偏心構成)を採用することで、保持器半径方向rの動きを抑制したものである。
すなわち、本実施例ではポケット6のP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対し、保持器外径d2側に偏在させている。この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6bで抑制される。
なお、ポケット6のP.C.D.を玉4のP.C.D.に対し、保持器外径d2側に偏在させるにあたり、その偏在の程度は特に限定されず、本発明の範囲内で設計変更可能である。また、保持器5の剛性パラメータTG/Dは、前記実施例と同様に260MPa〜350MPaとする。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本実施例は、玉径よりも僅かに大きな単一球面のポケット面6aを有するポケット6の場合、係り部7を設ける構成に代えて、ポケット6の中心を通るP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対して大きくさせる構成(偏心構成)を採用することで、保持器半径方向rの動きを抑制したものである。
すなわち、本実施例ではポケット6のP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対し、保持器外径d2側に偏在させている。この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6bで抑制される。
なお、ポケット6のP.C.D.を玉4のP.C.D.に対し、保持器外径d2側に偏在させるにあたり、その偏在の程度は特に限定されず、本発明の範囲内で設計変更可能である。また、保持器5の剛性パラメータTG/Dは、前記実施例と同様に260MPa〜350MPaとする。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
図9に本実施例6を示す。本実施例では、上述した実施例5の他の形態について説明する。
本実施例では、玉径よりも僅かに大きな単一球面のポケット面6aを有するポケット6の場合において、ポケット6の中心を通るP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対して小さくさせる構成(偏心構成)を採用することで、保持器半径方向rの動きを抑制した実施の一例である。すなわち、本実施例ではポケット6のP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対し、保持器内径d1側に偏在させている。
その他の構成及び作用効果については、実施例5と同様である。
本実施例では、玉径よりも僅かに大きな単一球面のポケット面6aを有するポケット6の場合において、ポケット6の中心を通るP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対して小さくさせる構成(偏心構成)を採用することで、保持器半径方向rの動きを抑制した実施の一例である。すなわち、本実施例ではポケット6のP.C.D.を、玉4のP.C.D.に対し、保持器内径d1側に偏在させている。
その他の構成及び作用効果については、実施例5と同様である。
図10に本実施例7を示す。
本実施例では、保持器5の各ポケット6が、保持器5の軸心Oから半径方向rに向かって円筒形のポケット面6aと、保持器内径側縁6b寄りで保持器5の軸心Oに向かって閉じる方向に円すい形のポケット面6a-1で構成され、保持器5の剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとした例である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りの円すい形のポケット面6a-1で抑制される。なお、円すい形のポケット面6a-1の傾斜角度や形成領域は図示例に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本実施例では、保持器5の各ポケット6が、保持器5の軸心Oから半径方向rに向かって円筒形のポケット面6aと、保持器内径側縁6b寄りで保持器5の軸心Oに向かって閉じる方向に円すい形のポケット面6a-1で構成され、保持器5の剛性パラメータTG/Dを260MPa〜350MPaとした例である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の内径側縁6b寄りの円すい形のポケット面6a-1で抑制される。なお、円すい形のポケット面6a-1の傾斜角度や形成領域は図示例に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
図11に本実施例8を示す。本実施例では、上述した実施例7の他の形態について説明する。
本実施例では、保持器5の各ポケット6が、保持器5の軸心Oから半径方向rに向かって円筒形のポケット面6aと、保持器外径側縁6c寄りで保持器5の軸心Oに向かって開く方向に円すい形のポケット面6a-1で構成されている実施の一例である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の外径側縁6c寄りの円すい形のポケット面6a-1で抑制される。なお、円すい形のポケット面6a-1の傾斜角度や形成領域は図示例に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
その他の構成及び作用効果については、実施例7と同様である。
本実施例では、保持器5の各ポケット6が、保持器5の軸心Oから半径方向rに向かって円筒形のポケット面6aと、保持器外径側縁6c寄りで保持器5の軸心Oに向かって開く方向に円すい形のポケット面6a-1で構成されている実施の一例である。
この場合、保持器5全体の半径方向rの動きは、保持器ポケット6の外径側縁6c寄りの円すい形のポケット面6a-1で抑制される。なお、円すい形のポケット面6a-1の傾斜角度や形成領域は図示例に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
その他の構成及び作用効果については、実施例7と同様である。
1:転がり軸受
2:外輪(軌道輪)
3:内輪(軌道輪)
4:転動体(玉)
5:冠型保持器
6:ポケット
6a:ポケット面
6b:内径側縁
6c:外径側縁
6f:ポケット底
7:係り部
O:保持器軸心
2:外輪(軌道輪)
3:内輪(軌道輪)
4:転動体(玉)
5:冠型保持器
6:ポケット
6a:ポケット面
6b:内径側縁
6c:外径側縁
6f:ポケット底
7:係り部
O:保持器軸心
Claims (6)
- 円環状に形成されると共に、円周方向の複数箇所に転動体を収容保持するポケットを設け、該ポケットは、転動体の直径より大きなポケット面を有すると共に、各ポケットの軸方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅の小さい開口部を設けた冠型保持器において、
該保持器ポケットの内径側縁側と外径側縁側の少なくともいずれか一方で保持器の半径方向の動きを抑制する形態を有し、
且つ前記保持器ポケット底の断面積をT、転動体の断面積をD、保持器材質の曲げ弾性率をGとしたとき、剛性パラメータTG/Dが260MPa〜350MPaの範囲であることを特徴とする冠型保持器。 - 保持器の半径方向の動きを抑制する形態は、保持器ポケットのポケット面における内径側縁寄りと外径側縁寄りの少なくともいずれか一方の所望箇所に突設した係り部であることを特徴とする請求項1に記載の冠型保持器。
- 保持器半径方向の動きを抑制する係り部は、保持器軸心に向かって閉じる方向に円すい形を有するか、或いは保持器軸心に向かって開く方向に円すい形を有することを特徴とする請求項2に記載の冠型保持器。
- 保持器の半径方向の動きを抑制する形態は、保持器ポケットを通るP.C.D.が、転動体のP.C.D.に対して大きく或いは小さく構成したことを特徴とする請求項1に記載の冠型保持器。
- 保持器の半径方向の動きを抑制する形態は、保持器ポケットの内径側縁寄りのポケット面と外径側縁寄りのポケット面の少なくともいずれか一方の所望領域を円すい面としたことを特徴とする請求項1に記載の冠型保持器。
- 少なくとも、相対回転可能に配設した一対の軌道輪と、該軌道輪間に保持器を介して組み込まれる複数個の転動体で構成され、
前記保持器が、請求項1乃至5のいずれかに記載の冠型保持器であることを特徴とする玉軸受。
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JP2003372781A JP2005133893A (ja) | 2003-10-31 | 2003-10-31 | 冠型保持器及び該保持器を組み込んだ玉軸受 |
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-
2003
- 2003-10-31 JP JP2003372781A patent/JP2005133893A/ja not_active Withdrawn
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