JP2005132868A - クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】適度なモジュラスおよび高い伸びと接着性を有するゴム状弾性体となり、揮発成分が発生せず、かつ硬化物の表面に可塑剤等の液状物が移行することがない、さらには、硬化促進触媒を添加しても充填塗布時にタレない優れたクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を提供する。
【解決手段】イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂および有機表面処理炭酸カルシウムとを含有し、汚染防止性に優れ、かつ有機溶剤等の揮発性物質成分を含有しない、また、硬化速度を高めてもタレない1成分形湿気硬化型のウレタン系シーリング材により解決した。
【選択図】なし

Description

本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含む新規なクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物に関するものである。
従来より、半導体、食品、医薬品などの工場や研究所などで使用されているクリーンルームにおいては、室内空気中の浮遊粒子状物質を捕集、除去して清浄化した雰囲気中で作業が行われていたが、最近では、半導体のより高度な集積化や食品、医薬品のより高度な安全衛生の要求などにより、クリーンルーム内の空気中には浮遊粒子状物質だけでなく、クリーンルーム内で製造、試験あるいは使用される製品や機器類などに液状汚染物質やガス状有機物が微量であっても付着しないことが要求されている。
従来クリーンルームの壁材や間仕切り用のパーティションの目地や隙間に、密封あるいは防水を目的として1成分形や2成分系のシリコーン系シーリング材が使用されており、これらは低分子のシランやアルコールあるいはオキシムなどのガス状有機物を発生することが判明し、この改善のために湿式シール材としてポリウレタン系のものが提案されている。
例えば、少なくとも一方はガス状有機物を発生しない、硬化後にポリウレタン樹脂となる主成分および添加剤からなるポリウレタン系湿式シール材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、このシール材は、ガス状有機物は発生しないが、可塑剤成分が低分子量であり、ポリウレタン樹脂との相溶性が悪く、硬化後のシーリング材表面に移行し(ブリードし)表面に出てきてしまうため、その可塑剤成分が精密機械、シリコーンウェハー、食品等に付着し汚染させてしまうという欠点と揺変性付与剤を使用していないため垂直の目地等に充填施工した場合、湿式シール材がタレ(スランプ)を超こしてしまうという欠点がある。
また、硬化後にポリウレタン樹脂となる主成分と添加剤とを有してなり、有機溶剤が配合されないで用いられるポリウレタン系一液湿気硬化性組成物が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、この硬化性組成物は、ガス状有機物は発生しないものの特殊な揺変性付与剤を使用するためこの揺変性付与材の製造が困難であるという欠点があり、また、可塑剤成分が硬化物表面にブリードし前記と同様の付着汚染を引き起こすという欠点がある。
特開平09−95661号公報 特開2001−354848号公報
本発明は、このような従来の欠点を解決して、大気中などの水分(湿気など)により硬化して、適度なモジュラスおよび高い伸びと接着性を有する優れたゴム状弾性体となり、硬化途中ならびに硬化後においても、さらに周囲の雰囲気が常温においても、50〜100℃の高温においても揮発成分(ガス状有機物)が発生せず、かつ硬化物の表面に可塑剤等の液状物が移行(ブリード)することがないため、クリーンルーム内で製造あるいは使用される製品や精密機器類などを汚染することがない、さらには、硬化促進触媒を添加して硬化速度を高めても充填塗布時にタレない(スランプしない)優れたクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を提供することを目的とする。
上述した欠点を改善すべく研究を進めたところ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂と有機表面処理炭酸カルシウムとを組み合わせることにより上記問題を改善できることができるという知見を得て、本願発明に至ったものである。
より詳細には、本願発明は、
(1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂と、有機表面処理炭酸カルシウムとを含有し、かつ揮発成分を実質的に含有しないことを特徴とするクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
(2)前記実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂が、数平均分子量1,000〜20,000のものであることを特徴とする(1)に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
(3)耐候安定剤、充填剤、カップリング剤、保存安定性改良剤(脱水剤)および着色剤の群より選ばれる1種または2種以上の添加剤をさらに含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
(4)前記揮発成分が、前記クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を90℃の高温雰囲気に3時間置いたときに質量の減少として測定される成分であって、該質量の減少が前記クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の0.1質量%未満である、(1)ないし(3)のいずれかの1項に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
に関するものである。
本願発明で使用する各成分などについて説明する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、本願発明において硬化成分として使用するものであり、有機ポリイソシアネートと活性水素含有化合物とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰条件で反応させて得られるものである。
有機ポリイソシアネートとしては、具体的には例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフエニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート等のジフエニルメタンジイソシアネート(MDI)類、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート(TDI)類、ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられ、これらは単独または2種以上を組合わせて用いることができる。これらのうち、硬化後の引張り接着性などが優れている点で、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートが好ましく、さらにTDI類が好ましく、特に2,4−トルエンジイソシアネートが好ましい。
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオール、アミノアルコール、ポリアミンなどが挙げられる。これらの化合物のうち、高分子のポリオールが好適である。
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール等、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの高分子ポリオールのうち、作業性、接着性、耐候性などが優れている点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、または酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子アルコール類、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子アミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、例えば、低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ一バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子アルコール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、これらを共重合したポリエーテルポリオール、更に、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオールなどが挙げられる。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのモノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキサイドなどのエポキシドを開環重合させたポリオキシアルキレンモノオールなども使用できる。これらのうち、特にポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水素添加した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
これらの高分子ポリオールの数平均分子量は500〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類等のうち分子量500未満のもの、またはこれらの2種以上の混合物が好適に例示される。
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物は1種または2種以上を組合わせて使用することができる。
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオール、場合により更に鎖延長剤の活性水素(基)とのイソシアネート基/活性水素(基)の当量比は、1.1〜5.0/1.0が好ましく、更に1.3〜2.0/1.0が好ましい。このようにして得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、特に0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは0.4〜5.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。また、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、炭酸ガスによる発泡を防止することが困難になるため好ましくない。
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)などの金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩などの公知のウレタン化触媒を用いることができる。これらのうち金属有機酸塩や有機金属と有機酸との塩が好ましい。また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
本発明において用いられる、実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂は、高分子量のため100℃前後の高温雰囲気においても揮発することがなく、かつ高分子量であるにもかかわらず低粘度であり、さらにまたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと相溶性に優れているため、これを配合することにより、得られるクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の粘度を下げる効果が大きなため、有機溶剤を使用しなくても押出しや充填塗布等の作業性を優れたものとすることができるとともに、硬化物の表面にブリードしないため、ブリードした液状物が半導体や食品に付着して汚染させてしまうということがないという効果を奏するものであり、具体的には、出発物質としてショ糖を使用し、そのショ糖の水酸基に対してアルキレンオキサイドを付加重合させた後、末端の水酸基をアルキルエーテル化して封鎖することにより得られるものである。ショ糖の水酸基に対するアルキレンオキサイドの付加重合は通常の方法で行うことができ、触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下または不存在下に、常圧または加圧下に1段階または多段階で行われる。
なお、前記実質的に反応性を有しないとは、ショ糖の水酸基に対してアルキレンオキサイドを付加重合させたのち、末端の水酸基をアルキルエーテル化して封鎖した後も極めて少量の水酸基などのイソシアネート基に対して反応性を有する官能基が残存する場合があるが、この残存官能基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との反応は、硬化性組成物の製造時においても貯蔵中においても無視することができ、本願発明の目的を達成する上で影響がないことを意味する。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、得られる実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂の粘度が低く、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとの相溶性に優れるため、これを含有するクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の粘度低下に効果があり作業性を良好なものとさせ、かつ硬化後のシーリング材表面にブリードしない点で、プロピレンオキサイド単独或いはプロビレンオキサイドとエチレンオキサイドとの併用が好ましく、特にプロピレンオキサイド単独が好ましい。なお、2種以上のアルキレンオキサイドを併用する場合、ランダム付加共重合でもよいし、ブロック付加共重合でもよい。
前記アルキルエーテル化のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ラウリル、イソプロピルなど1価の脂肪族炭化水素基が挙げられ、これらは単独で、或いは2種以上が併用されていてもよい。これらのうちメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどの炭素数1〜4の1価のアルキルが好ましい。
前記実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂の数平均分子量は、1,000〜20,000の高分子量のものが好ましく、更に5,000〜10,000が好ましく、1,000を下回ると硬化物の表面にブリードし易くなり、20,000を超えると得られるクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の粘度が上がり作業性が悪化し好ましくない。
本発明において実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1〜300重量部が好ましく、更に30〜150重量部が好ましい。1重量部を下回るとシーリング材組成物の粘度低下効果が無くなり作業性が悪化し、300重量部を超えるとシーリング材組成物の硬化後のゴム弾性物性が低下し好ましくない。
なお、実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂の市販品としては、三洋化成工業社製のサンフレックスSPX−80が挙げられる。
有機表面処理炭酸カルシウムは、クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物に揺変性を付与して、クリーンルームの内壁などの垂直面に充填や塗布したときにタレ(スランプ)を起こさないようにする作用を有する。一般に揺変性付与剤として、たとえば、コロイダルシリカ、石綿粉、有機表面処理炭酸カルシウム(脂肪酸処理炭酸カルシウム)等の無機系揺変性付与剤、および有機ベントナイト、脂肪酸アマイド等の有機系揺変性付与剤が挙げられるが、これらのうちコロイダルシリカは少量の配合で揺変性を付与できるものの、クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の硬化速度を高めるため後述する硬化促進触媒を使用すると揺変性付与構造が破壊され、垂直面に充填や塗布したときにタレを起こすため使用が制限されてしまうことがある。しかしながら、有機表面処理炭酸カルシウムにはこのような欠点がなく、クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物に安定した揺変性を付与することができるため、特に好ましい。
前記有機表面処理炭酸カルシウムは、公知の方法で製造することができる。まず微粉末状の炭酸カルシウムは、たとえば石灰石を焼成炉で焼成し、炭酸ガスと生石灰に分解した後、生石灰は水を加えて水化精製し、石灰乳とし、炭酸ガスを吹き込んで反応させるか、または炭酸ガス気流中に石灰乳を噴務し向流または並流のかたちで接触させて反応させて製造することができ(一般に軽質炭酸カルシウムと称される)、次いでこの微粉末状炭酸カルシウムに揺変性付与能力を与える目的と二次凝集を防ぐ目的で脂肪酸金属塩や、ロジン酸等の樹脂酸の金属塩などで微粉末状炭酸カルシウムの表面を処理して脂肪酸表面処理炭酸カルシウムや樹脂酸表面処理炭酸カルシウムなどの有機表面処理炭酸カルシウムが得られる。ここで脂肪酸金属塩としては、好ましくは炭素数10〜25の脂肪酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムの塩である。これらの市販品としては、例えば白艶華CC、白艶華CCR、白艶華R06、VIGOT−10、VIGOT−15、STAVIGOT−15A(全て白石工業社製)、NCC#3010、NCC#1010(日東粉化工業社製)等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち揺変性付与効果が高い点で脂肪酸表面処理炭酸カルシウムが特に好ましい。
なお、重質炭酸カルシウムと呼ばれる天然の炭酸カルシウムを粉砕して微粉体状にしたものを脂肪酸金属塩や樹脂酸金属塩で処理したものも使用できる。
この有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜0.5μm、さらに0.03〜0.15μmが好ましく、BET比表面積は5〜200m/g、さらに10〜60m/gが好ましい。
平均粒径が、0.01μmを下回るか、あるいはBET比表面積が200m/gを超えると得られるクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の粘度が上がり作業性は悪化し、平均粒径が0.5μmを上回るか、あるいはBET比表面積が5m/gを下回ると揺変性付与効果がなくなるため好ましくない。
本願発明において、シーリング材組成物は、クリーンルーム内で製造あるいは使用される製品や精密機器類などを汚染させないため、揮発成分を実質的に含有しないことが必要である。この揮発成分は、クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を90℃の高温雰囲気に3時間置いたときに質量の減少として測定される成分であり、主として有機溶剤などの低分子量で低沸点の有機化合物からなり、該質量の減少が前記クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の0.1質量%未満であることがとくに好ましい。
なお、本発明において揮発成分を実質的に含有しないという意味は、きわめて微量の揮発成分を含有していても本願発明の目的を達成する上でまったく悪影響がないことを示す。
つぎに、本願発明のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物において用いられる添加剤について説明する。
本願発明における添加剤としては、耐候安定剤、充填剤、カップリング剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
耐候安定剤としては、硬化樹脂の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用されるものである。耐候安定剤としては具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光硬化性化合物を挙げることができる。
酸化防止剤としてはヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられ、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、旭電化工業社製の商品名アデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87等の分子量1,000未満の低分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤、同じくアデカスタブシリーズのLA−63P、LA−68D、あるいはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名CHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LD等の分子量1,000以上の高分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリト−ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
光硬化性化合物としては、アクリロイル基やメタクリロイル基などの光によって反応硬化する基を分子内に1個以上含有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、イソシアネート基含有ウレタン樹脂に水酸基含有アクリレート化合物や水酸基含有メタクリレート化合物を反応させたウレタンアクリレートやウレタンメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートやトリメチロールプロパントリメタクリレートなどのエステルアクリレートやエステルメタクリレート、ポリエチレンアジペートポリオールのアクリレートやメタクリレートなどのポリエステルアクリレートやポリエステルメタクリレート、ポリエーテルポリオ−ルのアクリレートやメタクリレートなどのポリエーテルアクリレートやポリエーテルメタクリレート、あるいはポリケイ皮酸ビニル類、アジド化樹脂などが挙げられ、分子量10,000以下、更に分子量5,000以下の単量体、オリゴマーが好ましく、特にアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を1分子当たり平均して2個以上含有するものが好ましい。
これらの耐候安定剤は単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100重量部に対して、0.01〜30重量部、特に0.1〜10重量部配合するのが好ましい。
充填剤、カップリング剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤は、それぞれ増量や補強、接着性向上、保存安定性(貯蔵安定性)の向上、着色などのために、本願発明のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物に配合して使用することができる。
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状充填剤、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤、あるいはこれらの表面を脂肪酸やシランカップリング剤等の有機物で処理した充填剤、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン等の粉末や中空体、サランマイクロバルーン等の有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤および/またはその部分加水分解縮合物を挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤および/またはその部分加水分解物が接着性に優れているので好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する化合物および/またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組合せて使用できる。
保存安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
充填剤、カップリング剤、保存安定性改良剤、および着色剤の合計の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100重量部に対して0〜500重量部、特に5〜300重量部であることが好ましい。
本願発明のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物において、前記各添加剤成分はそれぞれ1種類または2種以上を混合して使用することができる。
本願発明において、クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物にさらに硬化促進触媒を添加することができる。
使用することができる硬化促進触媒としては、たとえば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属のアルコキシド、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、モルホリン等の有機アミンやその塩などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。これらのうち硬化を促進する効果が高い点で有機金属と有機酸との塩が好ましく、さらにジブチル錫ジラウレートが好ましい。
なお、本願発明のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物は作業性の点から1液湿気硬化型として使用するのが好ましいが、本願発明のシーリング材組成物を主剤とし、水などの硬化剤を混合して硬化させる2液硬化型としても使用できる。
本願発明のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物は、汚染防止性に優れ、かつ有機溶剤等の揮発性物質成分を含有しない1成分形湿気硬化型のウレタン系シーリング材として好適に用いられる。
本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂と、有機表面処理炭酸カルシウムとを含有し、かつ揮発成分を含有しないクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物であるから、大気中などの水分により硬化して、高い伸びと接着性を有する優れたゴム状弾性体となり、硬化途中ならびに硬化後においても、さらに周囲の雰囲気が常温においても、50〜100℃の高温においても揮発成分(ガス状有機物)が発生せず、かつ硬化物の表面に可塑剤等の液状物が移行(ブリード)することがないため、クリーンルーム内で製造あるいは使用される製品や精密機器類などを汚染することがない、さらには硬化促進触媒を添加して硬化速度を高めても充填塗布時にタレない(スランプしない)という優れた効果を奏する。
以下に本願発明の実施例を示すが、本願発明がこれに限定されるものではない。
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、窯素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながらポリオキシプロピレングリコール(三井武田ケミカル社製、Diol−3000、数平均分子量3,000)332gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井武田ケミカル社製、MN−4000、数平均分子景4,000)66gと、2,4−トルエンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、T−100)44gとを攪拌しながら仕込み、次いでジブチル錫ジラウレート0.4gを加え、80℃で4時間攪拌して反応させた後、冷却してウレタンプレポリマーを合成した。
得られたウレタンプレポリマーは、滴定によるイソシアネート基含有量2.2質量%、25℃における粘度13,000mPa・sの常温で粘稠な液体であった。
〔実施例1〕
加熱・冷却装置および窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー300gを仕込み、攪拌しながら(実質的に反応性官能基を有しない)ショ糖のポリエーテル化樹脂(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80、数平均分子量8,000)250g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕)5g、予め乾燥した炭酸カルシウム200g、酸化チタン20gおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM403)1gを順次仕込み均一になるまで攪拌、混合した。次いで脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)250gとp−トルエンスルフォニルイソシアネート5gとジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込みさらに均一になるまで攪拌、混合し、次いで減庄脱泡し、容器に充填、密封してクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
〔比較例1〕
実施例1において、(実質的に反応性官能基を有しない)ショ糖のポリエーテル化樹脂250gを使用しないで、代わりにジオクチルフタレート250gを使用し、炭酸カルシウムの使用量を420gにし、さらに脂肪酸表面処理炭酸カルシウム250gを使用しないで、代わりにコロイダルシリカ(日本アエロジル杜製、AEROSIL200)30gを使用した以外は同様にしてシーリング材組成物を調製した。
以上の結果を表1に示す
Figure 2005132868
試験方法
(1)揮発分
JIS K 6833(1994)「接着剤の一般試験方法」、6.4不揮発分の試験方法に準じ、平形はかり瓶50×30mmの外壁に沿って同形に成形したアルミニウム箔の皿に、実施例1と比較例1で得たシーリング材組成物を試料として用い、試料1.5gを採り、その質量を量り、次いで90℃の恒温槽に入れ3時間加熱乾燥した後とりだし放冷しその質量を量り、(1)に示す計算式により揮発分を求めた。
V=(Wa−Wb)/ Wa×100 (1)
ここに、V :揮発分(質量%)
Wa:乾操前の試料の質量(g)
Wb:乾燥後の試料の質量(g)
(2)押出し性
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して測定した(測定温度23℃)。押出し時間が5秒以下のものを○と評価した。
(3)スランプ
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」に準拠して、スランプ(縦)を測定した(測定温度23℃)。
(4)タックフリー
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.19タックフリー試験」に準拠して測定した。タックフリー時間が5時間以内のものを○と評価した。
(5)汚染性
硬化後のシーリング材の表面に可塑剤等の液状成分が出てきていないことを評価するために、液状成分がブリードしていると硬化物表面が著しく粘着し、表面に塵埃が多量に付着して黒く汚れてしまうことに着目して、汚染性を試験した。
試験方法は、厚さ5mmのスレート板を使用し、深さ5mm、幅25mm、長さ150mmの目地を作製し、その目地にシーリング材組成物を打設し、余分のシーリング材をヘラでかきとり、表面を平らにしたものを、23℃、50%相対湿度で14日間養生し試験体を作製した。
養生後の試験体の表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)をふりかけ、ただちに試験体を裏返し、底面を手で軽く叩き余分の黒色珪砂を落とした。表面に付着した残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察して、以下の判定基準により養生後の汚染性を判定した。
○は液状成分が硬化後のシーリング材の表面にブリードしていないことを示している。
〔実施例2〕
実施例1で調製したクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物について、ガス状有機物が発生しないことを確認するために、ガス分析を行った。
(1)試験方法
実施例1で調製したクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を約10×10mm、厚さ約2mmに整形塗布し、これを試料として、塗布直後のものと、23℃、50%相対湿度で7日間養生硬化させたものそれぞれについて、発生するガス状有機物の分析を行った。
試料を正常なガラスセル内に入れ、ガラスセル内に高純度窒素ガスを0.1L/minの流量で導入し、ガラスセルの出口に有機物ガス捕集用の吸着管を取り付け、常温で1時間、窒素ガスを流通させて試料から発生する有機物ガスを吸着管に吸着捕集する。この吸着管を、加熱脱着装置付のガスクロマトグラフ質量分析装置にセットし、吸着管に捕集されたガス状有機物を加熱脱着によってガスクロマトグラフ質量分析装置に導入して定性および定量分析を行う。
(2)試験結果
分析結果を以下の表2に示す。同表に示している分析対象物質は、従来のシーリング材からガス発生が確認されている物質のうち、比較的揮発性が低く、そのために、シーリング材から長期間にわたって徐々にガス化して放散され、また、半導体製品等に吸着すると汚れとして残留し易く、製品不良の原因となりやすい成分である。
実施例1で調製したクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物では表2に示したようにこれら成分のすべてが不検出あるいは定量下限値以下であることが判明した。したがって、ガス状有機物を発生してクリーンルームの清浄度を低下させる恐れがなく、クリ−ンルーム用として実用性が高いことが確認できた。
Figure 2005132868

Claims (4)

  1. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂と、有機表面処理炭酸カルシウムとを含有し、かつ揮発成分を実質的に含有しないことを特徴とするクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
  2. 前記実質的に反応性官能基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂が、数平均分子量1,000〜20,000のものであることを特徴とする請求項1に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
  3. 耐候安定剤、充填剤、カップリング剤、保存安定性改良剤(脱水剤)および着色剤の群より選ばれる1種または2種以上の添加剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
  4. 前記揮発成分が、前記クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物を90℃の高温雰囲気に3時間置いたときに質量の減少として測定される成分であって、該質量の減少が前記クリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物の0.1質量%未満である、請求項1ないし3のいずれかの1項に記載のクリーンルーム用ウレタン系シーリング材組成物。
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