JP2005132862A - 共重合体ラテックスおよび水性塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 路面表示用に用いた場合に、塗料の保存安定性および機械的安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性に優れる水性塗料組成物、および該水性塗料組成物に好適な共重合体ラテックスを提供する。
【解決手段】 pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなる共重合体ラテックス。該ラテックスを含む、水性路面表示用塗料として好適な水性塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、共重合体ラテックスおよび水性塗料組成物に関し、さらに詳しくは、路面表示用に用いた場合に、塗料の保存安定性および機械的安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性に優れる水性塗料組成物、および該水性塗料組成物に好適な共重合体ラテックスに関するものである。
路面表示塗料は、環境汚染や施工時の危険性を考慮して、溶剤塗料から水性塗料に代わりつつある。水性路面表示塗料には、配合後の塗料の機械的安定性および保存安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性にも優れることが求められている。
従来、例えば、特許文献1には、ガラス転移温度が0〜70℃で、平均分子量が15万以上のアルコキシシリル基を有するアクリル系エマルジョン、着色剤、および充填剤からなる水性路面表示塗料が開示されている。ここで使用されるアルコシキシリル基を有するアクリル系エマルジョンとしては、アニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤の存在下で、単量体混合部を重合して得られたものが具体的に開示されている。しかしながら、このようなアクリル系エマルジョンを用いた塗料は、塗料の保存安定性に優れ、得られた塗膜の耐水性に優れるものの、塗料の機械的安定性に劣り、乾燥性も不十分であった。
また、特許文献2には、アニオン的に安定化された重合体ラテックスに、多官能性アミン重合体を配合した水性路面表示塗料が開示されている。ここで使用されるアニオン的に安定化された重合体ラテックスとしては、アニオン性界面活性剤の存在下に、単量体混合物を重合して得られたものが具体的に開示されている。しかしながら、このような重合体ラテックスを用いた塗料は、乾燥性に比較的優れるものの、塗料の保存安定性および機械的安定性が不十分である上に、塗膜の耐水性も不十分であった。
さらに、特許文献3には、カルボキシル基などの酸基を有するバインダーポリマー、多官能アミンおよびエポキシ基を有するシラン化合物などの架橋剤からなる水性路面表示塗料が開示されている。ここで使用されるバインダーポリマーとしては、アニオン性界面活性剤の存在下に、単量体混合物を重合して得られたものが具体的に開示されている。しかしながら、このようなバインダーポリマーを使用した該塗料は、乾燥性及び得られた塗膜の耐水性に優れるものの、塗料の保存安定性や機械的安定性が不十分であった。
特開平9−169944号公報 特開平10−60308号公報 特開平10−102004号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、路面表示用に用いた場合に、塗料の保存安定性および機械的安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性にも優れる水性塗料組成物、および該水性塗料組成物に好適な共重合体ラテックスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のpH滴定変曲点最大値を有する両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなる共重合体ラテックスを用いると、塗料の保存安定性および機械的安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性にも優れる、水性路面表示用塗料として好適な水性塗料組成物が得られることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなる共重合体ラテックスが提供される。
また、本発明によれば、上記の共重合体ラテックスに、重量平均分子量が1,000〜50,000の酸基含有オリゴマーを配合してなる共重合体ラテックス組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の共重合体ラテックス、重量平均分子量が1,000〜50,000の酸基含有オリゴマーおよび充填剤を含む水性塗料組成物が提供される。該水性塗料組成物は、水性路面表示用塗料として好適に使用できる。
本発明によれば、路面表示用に用いた場合に、保存安定性および機械的安定性に優れ、塗布後の乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性に優れる水性塗料組成物、および該水性塗料組成物に好適な共重合体ラテックスが提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(共重合体ラテックス)
本発明の共重合体ラテックスは、pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなるものである。
本発明で用いる酸基含有単量体としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基などの酸基を含有する単量体であれば、特に限定されないが、スルホン酸基、リン酸基などの強酸基を含有するものが好ましく、スルホン酸基を含有する単量体がより好ましく使用できる。
スルホン酸基を含有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、4−スルフォニックアシドブチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することもできる。
リン酸基を含有する単量体としては、例えば、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレーなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することもできる。
カルボキシル基を含有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの酸無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;等を挙げることができる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することができる。
酸基含有単量体の使用量は、単量体混合物全量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜2重量%である。この使用量が少なすぎると、水性塗料組成物の機械的安定性が低下する傾向があり、逆に多いと、塗膜の乾燥性が低下する傾向にある。
酸基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の他の単量体の中でも、塗膜の耐候性に優れる点で、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体がより好ましく使用できる。
上記の他の単量体の使用量は、単量体混合物全量に対して、好ましくは99.9〜95重量%、より好ましくは98〜99.8重量%である。この使用量が少なすぎると、得られた塗膜の耐水性に劣る傾向があり、逆に多すぎると水性塗料組成物の機械的安定性が低下する傾向がある。
本発明の共重合体ラテックスを得るにあたり、pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、前記の単量体混合物を共重合することが必須の条件であり、前記の単量体混合物を乳化共重合することが好ましい。
本発明において、pH滴定変曲点最大値とは、pH滴定変曲点のうち、最も高いpH値をいう。pH滴定変曲点とは、両性界面活性剤を溶解した水溶液に塩基を添加して、pH3〜12の範囲でpH滴定を行なった際の、塩基添加量に対して、両性界面活性剤を溶解した水溶液のpHをプロットした場合に、該pH滴定曲線における変曲点に対応するpH値をいう。なお、変曲点とは、該pH滴定曲線において、接線の傾きの変化がプラスからマイナスに変化する点をいう。
前記のpH滴定変曲点は、一種の両性界面活性剤について、ひとつまたは複数存在する。
pH滴定変曲点をただひとつ有する両性界面活性剤の場合は、それをpH滴定変曲点最大値とし、pH滴定変曲点を複数有する両性界面活性剤の場合は、それらのうち最も高いpH値をpH滴定変曲点最大値とする。
pH滴定変曲点は、具体的に以下のように測定することができる。
(1)200mlビーカーに所定の濃度となるよう希釈した試料溶液100mlをサンプリングする。なお、前記所定濃度は、pH3〜12の範囲で、pH滴定するのに要する全塩基滴定量が約10mlとなるように設定する。
(2)試料溶液のpHが3を下回る量の希塩酸(10%)を試料溶液に添加する。
(3)例えば、電位差自動滴定装置(AT−500N:京都電子工業(株)製)を用いて、25℃で、塩基として0.1規定のメタノール性水酸化カリウム溶液を用い、1回の滴定量を0.2mlとし、滴定間隔を30秒として、pH12まで滴定を行なう。
(4)塩基添加量に対して、試料溶液のpHの変化をプロットし、該pH滴定曲線における変曲点に対応するpH値を求める。(この操作は、電位差自動滴定装置に付属する自動計算装置により求めることもできる。)この変曲点が複数存在する場合は、その最大のpH値をpH滴定変曲点最大値とする。
pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムアルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。市販品としては、例えば、三洋化成工業(株)製の、レボンS(pH滴定変曲点最大値=pH10.2)、レボンU(pH滴定変曲点最大値=pH9.5)、レボン2000(pH滴定変曲点最大値=pH9.37)、レボン2000L(pH滴定変曲点最大値=pH8.85)、レボンLD−36(pH滴定変曲点最大値=pH8.45)などが使用できる。これらの両性界面活性剤は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、pH滴定変曲点最大値がpH9〜10.5の両性界面活性剤が好ましく使用できる。
前記の両性界面活性剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。この使用量が少なすぎると重合安定性が劣って、粗大凝集物が発生し易くなると共に、塗料の乾燥性が低下する傾向があり、逆に多すぎると、塗料の耐水性に劣る傾向がある。
重合に際して、上記の両性界面活性剤に加えて、アニオン性界面活性剤を併用することが好ましい。適量のアニオン性界面活性剤を併用することにより、重合安定性がより良好となり、その種類を選択することで、より乾燥性に優れる水性塗料組成物が得られる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウムなどの強酸基に由来するアニオンを有する界面活性剤;ロジン酸カリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム塩などの弱酸基に由来するアニオンを有する界面活性剤;などが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のアニオン性界面活性剤の中でも、より乾燥性に優れる水性塗料組成物が得られる点で、弱酸基に由来するアニオンを有する界面活性剤が好ましく、ロジン酸カリウムおよびオレイン酸カリウムがより好ましく使用できる。
アニオン性界面活性剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.2〜1.5重量部である。この使用量が少なすぎると重合安定性が劣って、粗大凝集物が発生し易くなる傾向があり、逆に多すぎると、塗料の乾燥性および耐水性に劣る傾向がある。
重合に際して、本発明の効果を本質的に損なわない限り、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどのノニオン性界面活性剤を用いることもできる。
重合は、使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、行なうことが必須の条件であり、使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より0.7低いpH値を超えるpHの水相中で行なうことが好ましい。使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1以上低いpHの水相中で重合を行なうと、重合安定性に劣り、水性塗料組成物に好適に使用できる共重合体ラテックスが得られない。
なお、2種以上の両性界面活性剤を使用する場合には、より高いpH滴定変曲点最大値を有する両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、重合を行なう。
前記水相のpHの上限は、特に限定されないが、通常、pH12、好ましくはpH11.5である。
重合に際しては、通常、水が使用される。
水の使用量は、特に限定されないが、単量体混合物100重量部に対して、通常、50〜500重量部、好ましくは70〜200重量部である。
水相のpHを所望の範囲に調節するには、水相に塩基を添加する。
塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基:アンモニアなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記塩基のなかでも、乾燥性及び塗膜の耐水性により優れる水性塗料組成物が得られる点で、アンモニアが好ましく使用できる。
塩基の添加量は、水相のpHが所望の値となるように適宜選択する。
本発明においては、上記した点を除き、従来公知の乳化重合法に準じて、乳化重合すればよい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルベンゼンパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤の中でも、無機過硫酸塩が重合安定性の点で好ましく使用でき、また、これと重亜硫酸ナトリウム、硫酸第1鉄等の還元剤とを組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。
重合開始剤の使用量は、全単量体混合物100重量部当たり、通常、0.1〜2重量部、好ましくは0.2〜1重量部である。
本発明においては、分子量調整剤を用いることもできる。
分子量調整剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステル;α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子量調整剤の使用量は、所望に応じて適宜選択すればよい。
重合を行なうに際して、単量体混合物および界面活性剤の添加方法としては、一括添加、分割添加、連続添加のいずれでも採用することができる。
分割添加方式の場合、単量体混合物や界面活性剤の組成と使用量を各段で変化させてもよい。連続添加方式の場合、単量体混合物および界面活性剤の組成と使用量を、均一にしても、経時で、連続的にまたは断続的に変化させてもよい。
なかでも、単量体混合物、前記の両性界面活性剤の一部または全部および重合に使用する水の一部を混合して得られる単量体乳化物を、反応器に連続的に添加しながら重合する方法が好ましく採用できる。
上記した以外にも、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩;シードラテックス、分散剤、脱酸素剤、キレート剤などの重合副資材を適宜使用してもよい。
重合温度は、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
重合時間は、所望の重合転化率に達するまで、適宜選択できる。
以上のように単量体混合物を共重合し、所望の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして重合反応を停止する。
重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
重合反応を停止した後、所望により未反応単量体を除去し、固形分濃度やラテックスpHを調整して、共重合体ラテックスが得られる。
共重合体ラテックスには、通常配合される、老化防止剤、pH調整剤、増粘剤、分散剤、防腐剤、抗菌剤などの配合剤を適宜添加することもできる。
共重合体ラテックスを構成する共重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、通常、−50〜+50℃である。本発明の共重合体ラテックスを水性路面表示用塗料に適用する場合には、該共重合体のガラス転移温度は、−5〜+50℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることにより、低温時の成膜性と耐汚染性のバランスに優れる水性路面表示用塗料が得られる。
前記の共重合体のガラス転移温度は、単量体混合物の組成を適宜選択することにより容易に調節できる。
共重合体ラテックスの体積平均粒子径は、好ましくは100〜300nm、より好ましくは120〜250nmである。
共重合体ラテックスの固形分濃度は、好ましくは48〜65重量%、より好ましくは50〜60重量%である。固形分濃度が低すぎると乾燥性に劣る傾向があり、あまりに高い固形分濃度に調製することは、非常に困難である。
共重合体ラテックスのpHは、重合に使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超える値とし、該pH滴定変曲点最大値より0.7低いpH値を超える値とすることが好ましい。共重合体ラテックスのpHの上限は、特に限定されないが、通常、pH12、好ましくはpH11.5である。
(水性塗料組成物)
本発明の水性塗料組成物は、前記の共重合体ラテックスおよび充填剤を含むものである。
充填剤としては、水性塗料組成物に通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硅石粉、セライト、クレー、タルク、マイカ、アルミナなどが挙げられる。充填剤の配合量は、前記の共重合体ラテックス固形分100重量部当たり、好ましくは100〜400重量部、より好ましくは150〜300重量部、特に好ましくは170〜250重量部である。この配合量が少なすぎると、水性塗料組成物の固形分濃度が低くなり乾燥性に劣る傾向があり、逆に多過ぎると充填剤を分散し難くなると共に、水性塗料組成物の粘度が高くなり取り扱い難くなる傾向になる。
本発明の水性塗料組成物は、さらに、重量平均分子量が1,000〜50,000の酸基含有オリゴマーを含有するものであることが好ましい。該オリゴマーを含有する水性塗料組成物は、塗料の保存安定性および機械的安定性により優れ、塗布後の乾燥性が格段に向上したものとなる。
(酸基含有オリゴマー)
前記の酸基含有オリゴマーは、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基などの酸基を含有するオリゴマーであれば、特に限定されないが、カルボキシル基を含有するものが好ましく好ましく使用できる。
酸基含有オリゴマーは、通常、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基などの酸基をを含有する単量体を重合するか、該酸基を含有する単量体およびこれと共重合可能な単量体を共重合して得られるものである。
カルボキシル基を含有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの酸無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;等を挙げることができる。なかでも、マレイン酸およびその酸無水物が好ましく使用できる。これらのカルボキシル基を含有する単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することができる。
スルホン酸基を含有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、4−スルフォニックアシドブチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することもできる。
リン酸基を含有する単量体としては、例えば、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレーなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用することもできる。
前記の酸基を含有する単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の他の単量体の中でも、塗料の乾燥性により優れる点で、芳香族ビニル単量体が好ましく、スチレンがより好ましく使用できる。
酸基含有オリゴマーの酸価としては、好ましくは100〜500mgKOH/g、より好ましくは180〜350mgKOH/gとなる範囲である。この酸価は、JIS K 0070に基づき測定される値である。この酸価は、例えば、前記の酸基を含有する単量体の使用割合を適宜選択して重合することにより、調節できる。
なお、該オリゴマー中の酸基が予め中和され、塩を形成している場合には、酸性側で処理して元の酸基へ誘導した後、測定することができる。
酸基含有オリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは3,000〜30,000である。重量平均分子量が上記範囲にあれば、塗料の保存安定性および乾燥性、並びに塗膜の耐水性のバランスにより優れる水性塗料組成物が得られる。この重量平均分子量は、例えば、重合開始剤の量や分子量調整剤を適量使用するなどの常法により、調整することができる。
酸基含有オリゴマーは、常法により、前記の酸基を含有する単量体を重合するか、または前記の酸基を含有する単量体およびこれと共重合可能な単量体を共重合して製造することができる。また、該オリゴマーに相当する市販品があれば、それを用いることもできる。
本発明における酸基含有オリゴマーは、塩基により中和して、水溶液の状態で用いることが好ましい。
中和に使用する塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基:アンモニアなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記塩基のなかでも、乾燥性及び塗膜の耐水性により優れる水性塗料組成物が得られる点で、アンモニアが好ましく使用できる。塩基の添加量は、酸基含有オリゴマーの酸価に応じて、該オリゴマーが水溶性を呈する範囲で適宜選択できる。
酸基含有オリゴマーの含有量は、前記の共重合体ラテックス固形分100重量部当たり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。この配合量が少なすぎると塗料の乾燥性が低下する傾向にあり、逆に多すぎると塗膜の耐水性が低下する傾向がある。
水性塗料組成物へ酸基含有オリゴマーを含有させる方法としては、特に限定されないが、(1)前記の共重合体ラテックスおよび充填剤を含む組成物を調製した後、酸基含有オリゴマーを配合する方法、(2)前記の共重合体ラテックス、充填剤および酸基含有オリゴマーを同時に混合する方法、(3)前記の共重合体ラテックスに酸基含有オリゴマーを配合した共重合体ラテックス組成物を調製した後、それに充填剤を配合する方法などが挙げられる。なかでも、塗料の保存安定性および機械的安定性により優れ、塗布後の乾燥性がより向上した水性塗料組成物が得られる点で、(3)の方法が好ましい。
前記(3)の方法における共重合体ラテックス組成物は、前記の共重合体ラテックス固形分100重量部当たり、酸基含有オリゴマーを、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部配合してなるものである。この配合量が少なすぎると塗料の乾燥性が低下する傾向にあり、逆に多すぎる塗膜の耐水性が低下する傾向がある。
前記共重合体ラテックス組成物のpHは、重合に使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超える値にすることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物には、着色顔料を配合することができる。
着色顔料としては、水性塗料組成物に通常使用されるものが使用でき、例えば、酸化チタン、黄鉛、弁柄、シアニンブルー、シアニングリーンなどが挙げられる。着色顔料を配合する場合の配合量は、前記の共重合体ラテックスの固形分100重量部当たり、20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは40〜100重量部である。この配合量が少なすぎると、隠蔽力が不足して水性路面表示用塗料としては不適であり、逆に多すぎると、着色顔料を分散し難くなると共に、水性路面表示用塗料としては塗料粘度が高くなり取り扱い難くなる。
本発明の水性塗料組成物には、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどのビニル系シランカップリング剤;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのメタクリロキシ系シランカップリング剤;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;などが挙げられる。これらの中でも、塗料の保存安定性に優れる点で、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく使用できる。これらのシランカップリング剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、前記の共重合体ラテックス固形分100重量部あたり、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.3〜1重量部である。
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて分散剤、湿潤剤、可塑剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、増粘剤などを適宜添加することができる。
造膜助剤としては、例えば、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールなどが挙げられる。
本発明の水性塗料組成物の固形分濃度は、50重量%以上であることが好ましく、60〜90重量%の範囲であることがより好ましく、70〜85重量%の範囲であることが特に好ましい。この固形分濃度が低すぎると塗料の乾燥性に劣る傾向にあり、逆に高すぎると、塗料の製造が困難となる。
水性塗料組成物のpHは、重合に使用した両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超える値とすることが好ましく、前記の塩基、なかでもアンモニアを添加してpHを調節することが好ましい。
本発明の水性塗料組成物を製造する方法としては、通常の水性塗料組成物を製造する方法が採用できる。例えば、共重合体ラテックスに、所望により分散剤や消泡剤などを添加して、ドライピグメント法によって、充填剤および所望により着色顔料を分散し、その後、所望の造膜助剤、凍結防止剤などを混合して水性塗料組成物を製造する。
本発明の水性塗料組成物の塗布方法としては、スプレー、エアレススプレー、ロール、ブラシなどの公知の塗布方法を採用することができる。
本発明の水性塗料組成物は、例えば、路面表示用塗料、建築物の内装または外装の塗料、門塀用塗料、自動車の内装または外装の塗料、自動車の制振性塗料、自動車の耐チッピング塗料、自動車の内・外装部品の塗料、電気製品のハウジング用塗料などとして使用できる。なかでも、水性路面表示用塗料として好適に使用できる。
水性路面表示用塗料として使用する場合には、視認性向上のために、ガラスカレットやガラスビーズを配合したり、塗布した直後、その表面にガラスビーズを散布したりすることもできる。また、さらに乾燥性を向上させるために、塗布した後、その表面に多価金属塩の水溶液や水吸収性の物質を散布することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限り、重量基準を示す。
評価は、以下のように行なった。
(pHの測定)
pHメーター(M−8:(株)堀場製作所製)を用いて、25℃におけるpHを測定した。
(両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値)
電位差自動滴定装置(AT−500N:京都電子工業(株)製)を用いて、25℃で、前記したように測定した。
(体積平均粒子径)
光散乱型粒子径測定装置(モデルN4:コールター社製)を用いて、共重合体ラテックスの体積平均粒子径を測定した。
(共重合体ラテックスのガラス転移温度)
得られた共重合体ラテックスをガラスモールドに流延し、厚さ0.3mmの乾燥フィルムを作成した。このフィルムについて、示差走査熱量計(EXSTAR6000DSC:セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、昇温速度20℃/分で、−100〜150℃の測定温度範囲で測定した。
(水性塗料組成物の保存安定性)
得られた塗料の粘度を測定した後、50℃で30日間保存した後の粘度を測定した。保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を計算して、下記の基準で表示した。
○:変化率10%未満
△:変化率10%以上20%未満
×:変化率20%以上
(水性塗料組成物の機械的安定性)
マロン式機械的安定性試験機にて測定した。作製した水性塗料組成物75gを秤量し、荷重15Kg/cm2、回転数が1,000rpmで10分間処理した。処理後の塗料を予め秤量しておいた100メッシュ金網にて濾過した後、105℃で2時間乾燥した。乾燥後、金網上の残渣物を秤量して、塗料75gに対する比率を計算して、下記基準で表示した。この残渣物量が少ないほど、例えば、スプレー塗布などで水性塗料組成物に機械的せん断が加えられる場合でも、粗大凝集物の発生が少なく、スプレー塗布性に優れ、破損欠陥が少ない塗膜が得られる。
○:0.2%未満
△:0.2%以上0.5%未満
×:0.5%以上
(水性塗料組成物の乾燥性)
得られた塗料をガラス板上に厚さ200μmのアプリケーターで塗布し、無風状態下で、JIS K5665に準じてタイヤ付着性を観察した。塗膜全体がガラス板から剥離しなくなる時間を初期乾燥性として示し、塗膜表面の剥離物がタイヤに付着しなくなった時間をタイヤへの付着時間として示す。
(塗膜の耐水性)
得られた塗料をガラス板上に厚さ200μmのアプリケーターで塗布し、室温で72時間乾燥した後、水に24時間浸漬した。該サンプルを水から取り出し、塗膜表面の状態を観察し、以下の基準で判定した。
○:塗膜表面の状態が、水浸漬前と比べ変化がない。
△:塗膜が水で膨らんで、ガラス板と剥離している箇所が、部分的に存在する。
×:ほぼ全面に亘り、塗膜がガラス板と剥離している。
(実施例1)
<共重合体ラテックスの製造>
耐圧容器に、脱イオン水33部、両性界面活性剤としてナトリウムアルキルジアミノグリシン(レボンS:三洋化成工業(株)製:pH滴定変曲点最大値=pH10.2)1.5部、ロジン酸カリウム0.6部および28%アンモニア水溶液0.21部を添加した。この水溶液のpHは9.6であった。この水溶液に、アクリル酸ブチル50部、メタクリル酸メチル49.6部およびスチレンスルホン酸ナトリウム塩0.4部を添加し、混合して単量体乳化物を得た。
耐圧反応容器に、脱イオン水40部、トリポリリン酸ナトリウム0.1部、ナトリウムアルキルジアミノグリシン(レボンS:三洋化成工業(株)製)0.05部、および28%アンモニア水溶液0.5部を添加した。この水溶液のpHは10.5であった。反応容器中の水溶液の温度を80℃に昇温した後、その温度を保持しながら、前記の単量体乳化物を5時間に亘り反応器に連続的に添加した。なお、単量体乳化物の連続添加を開始すると同時に、過硫酸カリウム0.12部を溶解した水溶液を反応器に添加して、重合反応を開始させた。
単量体乳化物の連続添加を完了した後、過硫酸カリウム0.12部を溶解した水溶液を反応器に添加し、さらに80℃で2時間反応を継続した。その後、重合系を冷却して重合反応を停止した。この時点の重合転化率は97%であり、反応溶液のpHは、9.8であった。
得られた反応溶液から、未反応単量体を除去した後、アンモニア水でpHを10.5に、固形分濃度を52%に調整して、共重合体ラテックスAを得た。共重合体ラテックスAの体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2および3)
重合処方を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に重合して、共重合体ラテックスBおよびCを得た。これらの体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
両性界面活性剤の代わりに、乳化重合において通常使用されるラウリル硫酸ナトリウムを用い、表1に示す重合処方にする以外は、実施例1と同様に重合して、共重合体ラテックスDを得た。共重合体ラテックスDの体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
28%アンモニア水溶液の添加を行なわず、乳化共重合する際の水相中のpHを調整しなかった以外は、実施例1と同様に重合した。しかしながら、重合安定性に劣り、粗大凝集物が多量に発生したため、以降の評価は中止した。
Figure 2005132862
(実施例4)
共重合体ラテックスA(固形分)100部に対して、スチレン−無水マレイン酸オリゴマー(酸価=285KOHmg/g、重量平均分子量=9,500;SMA3000:Sartomer社製)1.5部を28%アンモニア水溶液で完全中和して得られた固形分濃度が50%である水溶液を添加して、共重合体ラテックス組成物A1を得た。
共重合体ラテックス組成物A1(固形分)100部に対して、該ラテックス組成物を攪拌しながら、消泡剤(SM5515:東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)2部、炭酸カルシウム230部および酸化チタン75部を添加し、配合物を調整した。引き続き、該配合物にメタノール7.5部および2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ(株)製)8部を添加して、水性塗料組成物を得た。なお、28%アンモニア水溶液を用いて、該塗料組成物のpHを10.5に調製した。
前記の水性塗料組成物の保存安定性、機械的安定性、乾燥性および塗膜の耐水性を測定し、その結果を表2に示す。
(実施例5)
共重合体ラテックスAの代わりに共重合体ラテックスBを用い、SMA3000に代えてSMA2625(酸価=220KOHmg/g、重量平均分子量=9,000;Sartomer社製)1.5部を用い、塗料配合物を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様に配合して、水性塗料組成物を得た。この水性塗料組成物の保存安定性、機械的安定性、乾燥性および塗膜の耐水性を測定し、その結果を表2に示す。
(実施例6)
共重合体ラテックスAの代わりに共重合体ラテックスCを用い、SMA3000の使用量を1.3部に代え、塗料配合物を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様に配合して、水性塗料組成物を得た。この水性塗料組成物の保存安定性、機械的安定性、乾燥性および塗膜の耐水性を測定し、その結果を表2に示す。
(比較例3)
共重合体ラテックスAの代わりに共重合体ラテックスDを用いる以外は、実施例4と同様に配合して、水性塗料組成物を得た。この水性塗料組成物の保存安定性、機械的安定性、乾燥性および塗膜の耐水性を測定し、その結果を表2に示す。
Figure 2005132862
表2から以下のようなことがわかる。
乳化重合において通常使用されるアニオン性界面活性剤の存在下に、単量体混合物を共重合して得られた共重合体ラテックスDを用いると、塗料の乾燥性および塗膜の耐水性に劣る(比較例3)。
この比較例に対して、本発明の共重合体ラテックスA〜Cを用いて得られる水性塗料組成物は、保存安定性、機械的安定性および乾燥性に優れ、その塗膜は耐水性にも優れている(実施例4〜5)。

Claims (13)

  1. pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなる共重合体ラテックス。
  2. pH滴定変曲点最大値がpH8〜10.5の両性界面活性剤、およびアニオン性界面活性剤を含む界面活性剤の存在下、該両性界面活性剤のpH滴定変曲点最大値より1低いpH値を超えるpHの水相中で、酸基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を共重合して得られる共重合体を含有してなる共重合体ラテックス。
  3. アニオン性界面活性剤が、弱酸基に由来するアニオンを有するものである請求項2記載の共重合体ラテックス。
  4. 酸基含有単量体の使用量が、単量体混合物全量の0.1〜5重量%である請求項1〜3のいずれか一に記載の共重合体ラテックス。
  5. 酸基含有単量体が、強酸基を含有するものである請求項1〜4のいずれか一に記載の共重合体ラテックス。
  6. 両性界面活性剤の使用量が、単量体混合物100重量部あたり、0.3〜5重量部である請求項1〜5のいずれか一に記載の共重合体ラテックス。
  7. 両性界面活性剤の使用量が、単量体混合物100重量部あたり、0.3〜5重量部であり、且つ、アニオン性界面活性剤の使用量が、単量体混合物100重量部あたり、0.1〜2重量部である請求項2または3記載の共重合体ラテックス。
  8. 共重合体ラテックスを構成する共重合体のガラス転移温度が−5〜+50℃である請求項1〜7のいずれか一に記載の共重合体ラテックス。
  9. 共重合体の体積平均粒子径が100〜300nmである請求項1〜8のいずれか一に記載の共重合体ラテックス。
  10. 請求項1〜9のいずれかに一に記載の共重合体ラテックスに、重量平均分子量が1,000〜50,000の酸基含有オリゴマーを配合してなる共重合体ラテックス組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれかに一に記載の共重合体ラテックスおよび充填剤を含む水性塗料組成物。
  12. 請求項1〜9のいずれかに一に記載の共重合体ラテックス、重量平均分子量が1,000〜50,000の酸基含有オリゴマーおよび充填剤を含む水性塗料組成物。
  13. 水性路面表示用塗料である請求項11または12のいずれか一に記載の水性塗料組成物。
























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