JP2005132150A - 船外機のギヤケース構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構成で、キャビテーションの発生を抑制する。
【解決手段】 左右方向最大幅位置PMAXより進行方向後方で且つ吸水口22より進行方向後方において、ギヤケース中間部26の左側面26aの上部(キャビテーションプレート23乃至上方部分24との接続部近傍)から下部(砲弾部25との接続部近傍)までにかけて、その鉛直方向の曲率半径R(z)が、鉛直方向に沿って同じように変化するように設定されており、すなわち、任意の同じ高さの位置同士では、曲率=(1/R(z))が略同一である。その結果、従来に比し、水平断面形状が、湾曲した尻すぼみ形状とならず、左側面26aが、中心線CLに対して略平行な略直線状となっている。右側面についても同様に形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】 左右方向最大幅位置PMAXより進行方向後方で且つ吸水口22より進行方向後方において、ギヤケース中間部26の左側面26aの上部(キャビテーションプレート23乃至上方部分24との接続部近傍)から下部(砲弾部25との接続部近傍)までにかけて、その鉛直方向の曲率半径R(z)が、鉛直方向に沿って同じように変化するように設定されており、すなわち、任意の同じ高さの位置同士では、曲率=(1/R(z))が略同一である。その結果、従来に比し、水平断面形状が、湾曲した尻すぼみ形状とならず、左側面26aが、中心線CLに対して略平行な略直線状となっている。右側面についても同様に形成される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、高速艇等に適用される船外機のギヤケース構造に関する。
従来、船外機においては、船が高速で推進される場合は、ギヤケースの周りを流れる水の流速が速くなるため、ギヤケースの水中に没している翼断面形状をした胴部、すなわち、ギヤケースの、キャビテーションプレートより上方の部分と砲弾部とを接続する支柱部(以下、「ギヤケース中間部」と称する)に、負圧領域が生じやすい。
負圧領域が生じると、抵抗が増大して推進効率が低下するだけでなく、負圧部の圧力が飽和水蒸気圧を下回った場合、そこに気体が発生し、いわゆるキャビテーションが発生する。そして、その気体により発生した気泡が、水流によって飽和水蒸気圧よりも高い圧力領域に入ると、その気泡が破裂し、ギヤケースの側部表面を激しく叩く(エロージョン)。これによって、ギヤケースの側面の塗装のはがれが発生し、さらに時間経過により下地が露出し、腐食しやすくなることもある。
この対策として、下記特許文献1では、ギヤケース中間部の側部において負圧が生じる部分に、左右両側に連通する整流口を設け、水流の剥離現象乃至キャビテーションの抑制を図るようにしている。
特開平5−270490号公報
しかしながら、上記特許文献1では、整流口を設けたために、ギヤケース内を通る排気通路の面積が小さくなり、ギヤケースの形状も複雑化し、フィルタ等の部品が増加する等の不利があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構成で、排気通路を拡大すると共に、キャビテーションの発生を抑制することができる船外機のギヤケース構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、簡単な構成で、排気通路を縮小することなく、段部より後方に水流の剥離を生じさせることで、ギヤケース後部側面において安定したキャビテーションを発生させることができる船外機のギヤケース構造を提供することにある。
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項1の船外機のギヤケース構造は、ギヤケースの、キャビテーションプレートより上方の部分と砲弾部とを接続するギヤケース中間部に、エンジン冷却用の水を吸水する吸水口が設けられた船外機のギヤケース構造であって、少なくとも、前記吸水口の後端と進行方向に直交する左右方向の前記ギヤケース中間部の最大幅位置のうち前方に位置しない方から、前記ギヤケースの後端近傍にかけて、前記ギヤケース中間部の水平断面における側面形状が、前記ギヤケースの左右方向中心線に対して略平行となるように形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、ギヤケース後半部側面における負圧領域が減少し、キャビテーションの発生が抑制されるだけでなく、排気通路を広くすることができる。また、従来のギヤケースに対して、外郭形状の変更で済むので、構成が複雑化することもない。
上記第2の目的を達成するために本発明の請求項2の船外機のギヤケース構造は、ギヤケースの、キャビテーションプレートより上方の部分と砲弾部とを接続するギヤケース中間部に、エンジン冷却用の水を吸水する吸水口が設けられた船外機のギヤケース構造であって、少なくとも、前記吸水口の後端と進行方向に直交する左右方向の前記ギヤケース中間部の最大幅位置のうち前方に位置しない方から後方に向かって、前記ギヤケース中間部の水平断面における側面形状が略直線となるように形成され、前記略直線に形成された側面部分の後端部から前記ギヤケースの後端までの間に、左右方向の幅が、進行方向前側に対して後側の方が狭くなるような少なくとも1つの段部が形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、ギヤケース中間部において、段部で水の流れが切られるので、段部より後方に水流の剥離が生じる。そのため、ギヤケース中間部の段部より後方の側面が、安定したキャビテーションで覆われる。また、排気通路を小さく設計する必要がない。
本発明の請求項1の船外機のギヤケース構造によれば、簡単な構成で、排気通路を拡大すると共に、キャビテーションの発生を抑制することができる。
本発明の請求項2の船外機のギヤケース構造によれば、簡単な構成で、排気通路を縮小することなく、段部より後方に水流の剥離を生じさせることで、ギヤケース後部側面において安定したキャビテーションを発生させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〈第1の実施の形態〉
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るギヤケース構造が適用された船外機の一例を示す縦断面図である。なお、以降、船外機1について、同図左方(船体側)を「前方」、右方を「後方」、上方を「上方」と呼称する。また、同図手前側を「左舷側」または「左側」、奥側を「右舷側」または「右側」と呼称する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るギヤケース構造が適用された船外機の一例を示す縦断面図である。なお、以降、船外機1について、同図左方(船体側)を「前方」、右方を「後方」、上方を「上方」と呼称する。また、同図手前側を「左舷側」または「左側」、奥側を「右舷側」または「右側」と呼称する。
図1に示すように、この船外機1はエンジンホルダ4を備え、エンジンホルダ4の上方にエンジン2が設置される。エンジンホルダ4の下面にはオイルパン5が接合固定され、オイルパン5の下部にドライブシャフトハウジング6、ギヤケース(ロアケース)7が順に固定され、エンジン2、エンジンホルダ4及びオイルパン5の周囲は上下分割可能なエンジンカバー8によって覆われている。
エンジンホルダ4、オイルパン5及びドライブシャフトハウジング6内にはドライブシャフト13が略垂直に配置される。ドライブシャフト13は、ドライブシャフトハウジング6内を下方に向かって延び、ドライブシャフトハウジング6の下方に設けられたギヤケース7内のベベルギヤ16、16及びプロペラシャフト14を介して、推進装置であるプロペラ15を駆動するように構成される。
また、プロペラシャフト14の前端部には、シフトロッド18が鉛直方向に設けられ、その上端が、図示しない操作レバーに連結されている。この操作レバーにより、シフトロッド18を介して、クラッチドッグをベベルギヤ16、16に選択的に噛合させることで、プロペラシャフト14が正回転または逆回転する。
ドライブシャフトハウジング6の下部には、ドライブシャフト13によって駆動されるウォータポンプ21が設けられ、ギヤケース7に吸水口22が設けられる。ギヤケース7内にはさらに、排気通路29が形成される。エンジン2の不図示の排気ポートから排出される排気ガスは、所定の排気通路を経て排気通路29に導入され、下方に開口する排気通路29の下方開口部29aを通って水中に排出される。ウォータポンプ21によって吸水口22から冷却水として取り入れた外部の水(海水、湖水、河水等)は、エンジン2の各部位を冷却し、冷却機能を果たした後、排気通路29内を通る排気ガスと共に、プロペラ15の中心孔から船外機1外部の水中に放出される。
ギヤケース7の前部上部には、推進時の水しぶきを抑えるためのスプラッシュプレート17が設けられる。ギヤケース7の後部上部には、プロペラ15による空気の吸い込みを防止するためのキャビテーションプレート23が設けられる。ギヤケース7の下半部には、ベベルギヤ16、16及びプロペラシャフト14等が内装される砲弾部25が設けられる。ギヤケース7の、キャビテーションプレート23より上方の部分24と砲弾部25とは、ギヤケース中間部26により表面が滑らかに繋がっている。砲弾部25の下部には、プロペラ15の保護と走安性向上のためのスケッグ28が設けられる。
図2(a)、(b)は、ギヤケース7の主にギヤケース中間部26及び砲弾部25を示す外観図である。同図(a)は左舷側から見た図、同図(b)は左舷側の斜め後方から見た図である。図3(a)は、図2(a)のA−A線に沿うギヤケース中間部26の後半部の断面の外郭形状を示す図、図3(b)は、図2(b)のB−B線に沿う断面の外郭形状を示す図である。
ギヤケース中間部26は、左右方向の幅が、図2(a)、(b)に示す最大幅位置PMAXで最大となる。最大幅位置PMAXより進行方向後方で且つ吸水口22の後端22aより進行方向後方におけるギヤケース中間部26の左側面26aは、図3(b)に示すように凹状に湾曲している。ここで、左側面26aの上部(キャビテーションプレート23乃至上方部分24との接続部近傍)から左側面26aの下部(砲弾部25との接続部近傍)までにかけて、その鉛直方向の曲率半径を「R(z)」と記す。曲率半径R(z)は、鉛直方向の位置によって異なるが、最大幅位置PMAX及び吸水口22の双方に対して後方であって左側面26aの後端26aaまでの領域においては、鉛直方向に沿って曲率が同じように変化するように設定されており、すなわち、任意の同じ高さの位置同士では、曲率=(1/R(z))が略同一である。
また、水平断面形状については、図3(a)に示すように、最大幅位置PMAX及び吸水口22の後方において、ギヤケース中間部26の左側面26aは、ギヤケース中間部26の後端26bの近傍の後端26aaにかけて略直線で、且つ従来に比し、中心線CLに対してより平行に近くなっている。このような傾向は、A−A線に限らず、ギヤケース中間部26の任意の水平断面において同様である。
上述のように、ギヤケース中間部26は、上方部分24及び砲弾部25を、段差ができないよう滑らかに接続するので、同高位置同士で曲率を略一定とした結果、従来の船外機のギヤケースとは異なり、後方にいくにつれて湾曲して尻すぼみとなるような形状とはならない。
また、図2(b)、図3(a)に示すように、左側面26aの後端26aaからギヤケース7の左右方向における中心線CLに向かって、左側面26aに連接する連接面27が形成され、後端26aaには、左側面26aと連接面27とで角部CO1が形成される。
なお、ギヤケース中間部26の右側面の形状についても左側面26aと左右対称で全く同様であり、曲率の設定及び側面後端の角部の構成についても左舷側と全く同様である。
図4は、高速推進時を想定した数値解析結果を示す、図2(a)のC−C線に沿う断面形状における圧力分布図である。同図(a)は、従来のギヤケース中間部の断面形状、同図(b)は、本実施の形態のギヤケース中間部26の断面形状に相当する。この数値解析は、ギヤケース中間部の側面形状の違いによる圧力分布の差異を知る目的で、C−C線断面に相当する断面形状をモデル化して行ったものである。
同図(a)に示すように、従来のギヤケース中間部は、その断面形状が、流体中で抵抗の比較的小さい流線形(対称翼形状)をしており、最大幅位置PMAXから後方にいくにつれて湾曲して尻すぼみとなっている。
従来のギヤケース中間部の形状では、同図(a)に示すように、領域AR2、AR3という広範囲の負圧領域が生じている。この領域AR2、AR3では、キャビテーションが生じやすく、ギヤケースの抵抗増大の大きな要因となっている。一方、本実施の形態に相当する同図(b)に示すギヤケース中間部の形状では、負圧領域は領域AR1であり、同図(a)の例に比し範囲が狭くなっている。この差異は、主として側面形状、特に鉛直方向の曲率の違いによるものである。
図5は、ギヤケース中間部におけるキャビテーションの発生状況を示す図である。同図(a)、(b)は、それぞれ図4(a)、(b)に対応している。
すなわち、従来のギヤケース中間部の形状では、図5(a)に示すように、領域CA1という広範囲に亘ってキャビテーションが発生し、この領域CA1で塗装の剥がれ等が生じるおそれがある。一方、本実施の形態に相当する図5(b)に示すギヤケース中間部の形状では、キャビテーション発生領域は、領域CA1に比し狭い領域CA2であり、同図(a)の例に比しキャビテーションの発生が抑制されている。
また、図4(b)には、本実施の形態のギヤケース7の排気通路29が付記されている。これに対応して、図4(a)に、従来のギヤケースの排気通路50が付記されている。両者を比較してわかるように、排気通路の形状が、ギヤケース中間部の形状から制約を受ける。本実施の形態では、上記のような曲率設定としたことで、従来に比し、ギヤケース中間部26の側面が、進行方向に対して、より平行に近くなっている。その結果、ギヤケース後半部側面における負圧領域が減少し、キャビテーションの発生が抑制される。それだけでなく、排気通路50に比し排気通路29が、特に後部において広くなっている。これにより、従来に比し排気通路が拡大するだけでなく、ギヤケース中間部26の厚みが後半部においても厚いことから、ギヤケース7の剛性向上にも繋がっている。
本実施の形態によれば、ギヤケース中間部26が、上方部分24と砲弾部25とを滑らかに接続し、且つ最大幅位置PMAX及び吸水口22の後方において、ギヤケース中間部26の側面の鉛直方向における曲率(1/R(z))を、同高位置同士で略同一とした結果、最大幅位置PMAXから側面後端26aaにかけて、任意の水平断面における側面形状が、中心線CLに対して略平行な略直線形状となり、湾曲した尻すぼみ形状でなくなった。これにより、ギヤケース中間部26の後半部側面における負圧領域を減少させて、水流の剥離乃至キャビテーションの発生を抑制することができるだけでなく、排気通路29を広くすることができる。キャビテーションの抑制は、塗装の剥がれや下地の腐食の未然防止につながる。また、高速推進時において負圧領域が減少することで、抵抗が減少して推進効率が向上する。さらに、従来のギヤケースからみれば、曲率の変更及び角部の形成等、外郭形状の簡単な変更で済むので、構成が複雑化することもない。
なお、ギヤケース中間部26の側面形状は、中心線CLに対して極力平行に近い角度で形成されるのが望ましい。
〈第2の実施の形態〉
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る船外機のギヤケース構造における、ギヤケース中間部の後半部の断面の外郭形状を示す図であり、図3(a)に対応している。本第2の実施の形態では、ギヤケース中間部26の形状のみが第1の実施の形態と異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る船外機のギヤケース構造における、ギヤケース中間部の後半部の断面の外郭形状を示す図であり、図3(a)に対応している。本第2の実施の形態では、ギヤケース中間部26の形状のみが第1の実施の形態と異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
上記第1の実施の形態では、ギヤケース中間部26の左側面26aの後端26aaに角部CO1が形成され(図3(a)参照)、後端26aaの位置で水が左側面26aの表面から切れ、それより後方で水流の剥離が生じて、キャビテーションと同様の現象が発生する。
本発明の第2の実施の形態では、この現象に着目し、ギヤケース中間部の側面の途中に段部を設け、その段部で水流の剥離を意図的に生じさせると共に、その水流をギヤケース7より十分に後方に導くことで、キャビテーションの崩壊の影響をギヤケース7が受けないように構成する。
すなわち、図6に示すように、最大幅位置PMAXから、ギヤケース中間部30の後端30bの間において、左側面30aが、その後端30aaまで、水平断面における側面形状が略直線で且つ中心線CLに対して略平行となるように形成される。そして後端30aaから中心線CLに向かって、左側面30aに連接する連接面31が形成される。これにより、後端30aaには、左側面30aと連接面31とで角部CO2が形成され、この角部CO2が、段部ST1を構成している。連接面31には、ギヤケース中間部30の後端30bにかけて形成される後部左側面32が連接している。
つまり、左側面30aは、最大幅位置PMAXから後端30aaまでの長さL1の範囲で、略直線的で、中心線CLに対して略平行であり、最大幅位置PMAXから長さL1分だけ後方の位置に段部ST1が形成される。右側面についても左右対称に同様に構成され、段部ST1も設けられる。段部ST1では、水流の剥離が生じるが、その剥離した水流は、後方で合流する。ここで、高速推進時において、左右の段部ST1で剥離した左右の水流が、ギヤケース中間部30の後端30bより十分に後方の仮想位置CPで合流するように、上記長さL1が設定される。
ところで、従来のギヤケース中間部の水平断面における側面形状と比較すると、図6中に併記した従来のギヤケース中間部の左側面51(A)、51(B)(図4(a)参照)に対し、本実施の形態では、曲線的な左側面51(A)を、略直線で中心線CLに対して略平行な左側面30aに変更し、それと共に、左側面30aの後端30aaに段部ST1を設けたことになる。従来では、最大幅位置PMAX付近で発生したキャビテーションが、左側面51(B)付近で崩壊し、エロージョンが起きていたが、本実施の形態では、キャビテーションが生じる領域をギヤケース中間部30の後端30bより後方とし、キャビテーションの崩壊が仮想位置CP近傍で生じるようにして、ギヤケース中間部30にエロージョンが起きないようになっている。
すなわち、角部CO2乃至段部ST1の機能は、左側面30aの後端30aaの位置で水を表面から切り、それより後方で水流の剥離を生じさせ、それをギヤケース中間部30の後端30bより十分に後方に流すことである。これにより、連接面31、32を安定したキャビテーションが覆う形となり(空洞部が形成され)、エロージョン等の問題が生じない。
ところで、連接面31が中心線CLと成す鋭角θは、本実施の形態では、約45°に設定されている。角部CO2は、水の流れを表面から切るという機能を十分果たせることが望ましい。水流の安定した剥離状態を確実に形成して、より安定したキャビテーションを発生させる上では、鋭角θは、少なくとも30°以上、好ましくは45°以上に設定するのがよい。
なお、ギヤケース中間部30の左側面30aを、水平断面において中心線CLと略平行な略直線形状とすることは、第1の実施の形態と同様に、上記曲率(1/R(z))を略一定とすることで容易に実現可能である。
本実施の形態によれば、ギヤケース中間部30の側面の途中において、段部ST1で、水の流れを表面から切って、意図的に水流の剥離を生じさせ、なおかつ剥離した水流がギヤケース中間部30の後端30bより後方で合流するようにしたので、ギヤケース中間部30の段部ST1より後方の側面が、安定したキャビテーションで覆われる。また、排気通路を小さく設計する必要がない。よって、簡単な構成で、排気通路を縮小することなく、意図的な水流の剥離を生じさせることで、ギヤケース後部側面において安定したキャビテーションを発生させることができる。
なお、第2の実施の形態において、水の流れを表面から切るという観点からは、段部は1つでなくてもよく、左右方向の幅が、進行方向前側に対して後側の方が狭くなるような段部であれば、複数設けてもよい。
なお、第1、第2の実施の形態において、最大幅位置PMAXより吸水口22の後端22aが後方にある構成を例示したが、ギヤケース中間部30の側面を中心線CLと略平行な略直線形状に形成する範囲は、少なくとも、最大幅位置PMAXと上記後端22aのうち前方に位置しない方より後方の範囲であればよい。
7 ギヤケース、 22 吸水口、 22a 後端、 23 キャビテーションプレート、 24 上方部分、 25 砲弾部、 26 ギヤケース中間部、 26a 左側面(側面)、 26aa 後端(側面後端)、 27 連接面、 30 ギヤケース中間部、 30b 後端、 PMAX 最大幅位置、 R(z) 曲率半径、 1/R(z) 曲率、 CL 中心線、 θ 鋭角、 CO1、CO2 角部、 ST1 段部
Claims (3)
- ギヤケース(7)の、キャビテーションプレート(23)より上方の部分(24)と砲弾部(25)とを接続するギヤケース中間部(26)に、エンジン冷却用の水を吸水する吸水口(22)が設けられた船外機のギヤケース構造であって、
少なくとも、前記吸水口の後端(22a)と進行方向に直交する左右方向の前記ギヤケース中間部の最大幅位置(PMAX)のうち前方に位置しない方から、前記ギヤケースの後端(26b)近傍にかけて、前記ギヤケース中間部の水平断面における側面形状が、前記ギヤケースの左右方向中心線(CL)に対して略平行となるように形成されたことを特徴とする船外機のギヤケース構造。 - ギヤケースの、キャビテーションプレートより上方の部分と砲弾部とを接続するギヤケース中間部に、エンジン冷却用の水を吸水する吸水口が設けられた船外機のギヤケース構造であって、
少なくとも、前記吸水口の後端と進行方向に直交する左右方向の前記ギヤケース中間部の最大幅位置のうち前方に位置しない方から後方に向かって、前記ギヤケース中間部の水平断面における側面形状が略直線となるように形成され、前記略直線に形成された側面部分の後端部(30aa)から前記ギヤケースの後端(30b)までの間に、左右方向の幅が、進行方向前側に対して後側の方が狭くなるような少なくとも1つの段部(ST1)が形成されたことを特徴とする船外機のギヤケース構造。 - 平面視において、前記略直線に形成された側面部分と共に前記段部を形成する後側面が、前記左右方向中心線に対して成す鋭角(θ)は、30°以上に設定されたことを特徴とする請求項2記載の船外機のギヤケース構造。
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