JP2005129382A - ニッケル・水素蓄電池及びハイブリッド電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ニッケル・水素蓄電池を、中間程度の充電深度で充放電させるハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源等に用いる場合において、焼結式ニッケル極が劣化するのを抑制して、高出力を長期間維持できるようにする。
【解決手段】 正極1に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池において、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で18m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いるようにし、またこのニッケル・水素蓄電池をハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源として用いるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 正極1に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池において、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で18m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いるようにし、またこのニッケル・水素蓄電池をハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源として用いるようにした。
【選択図】 図1
Description
この発明は、ニッケル・水素蓄電池及びこのニッケル・水素蓄電池を電気駆動手段用の電源として用いたハイブリッド電気自動車に係り、特に、正極に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池において、焼結式ニッケル極が劣化するのを抑制して、高出力を長期間維持できるようにした点に特徴を有するものである。
近年、アルカリ蓄電池としては、ニッケル・カドミウム蓄電池に比べて、高容量であり、環境安全性にも優れているという点から、ニッケル・水素蓄電池が広く利用されるようになっている。
そして、このようなニッケル・水素蓄電池においては、その正極として、焼結式ニッケル極と非焼結式ニッケル極とが使用されている。
ここで、上記の焼結式ニッケル極においては、穿孔鋼板等の両面にニッケル微粉末を焼結させた多孔性の焼結基板を用い、この多孔性の焼結基板における微細孔内に、溶液含浸法等により活物質となる水酸化ニッケルを析出させるようにしている。
一方、非焼結式ニッケル極はペースト式ニッケル極とも呼ばれ、活物質となる水酸化ニッケルに結着剤を加えてペーストを調製し、このペーストを発泡状や繊維状になった多孔度の高い導電性基体に塗布し、これを乾燥させて得るようにしている。
ここで、上記のペースト式ニッケル極の場合、活物質となる水酸化ニッケルを多く充填させることができて、高エネルギー密度化が容易に行えるが、一般に集電性が悪くて、高出力を得ることが困難であるため、高容量を目的とした用途に主に用いられている。
一方、焼結式ニッケル極の場合、集電性が高くて高出力を得ることができるため、大電流での放電が必要とされる電動工具等に主に用いられており、最近においては、このような焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池がハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源として用いられるようになっている。
ここで、上記のような焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池を電動工具の電源に用いる場合には、一般にこのニッケル・水素蓄電池を満充電させて使用するため、充電により正極から発生した酸素によって負極に用いている水素吸蔵合金が酸化されて、負極が早く劣化されるようになり、正極に用いた焼結式ニッケル極の劣化は大きな問題とならなかった。
しかし、このような焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池をハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源として用いる場合には、満充電させずに、中間程度の充電深度(SOC)で充放電を行うため、正極からの酸素の発生が少なくなって負極に用いている水素吸蔵合金の劣化が遅くなり、正極に用いた焼結式ニッケル極が劣化して、高出力を長期間維持することができなくなるという問題が生じた。
この発明は、ニッケル・水素蓄電池をハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源等に用いる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、ニッケル・水素蓄電池を中間程度の充電深度で充放電を行う場合において、焼結式ニッケル極が劣化するのが抑制されて、高出力を長期間維持することができるようにすることを課題とするものである。
この発明におけるニッケル・水素蓄電池においては、上記のような課題を解決するため、正極に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池において、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で18m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いるようにしたのである。さらに好ましくは、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で20m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いるようにしたのである。
また、この発明におけるハイブリッド電気自動車においては、上記のような課題を解決するため、上記のようなニッケル・水素蓄電池を電気駆動手段用の電源として用いるようにしたのである。
この発明におけるニッケル・水素蓄電池のように、正極に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が18m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いると、この焼結式ニッケル極における比表面積が大きいため、充放電反応が速やかに進行するようになる。
この結果、この発明におけるニッケル・水素蓄電池を、ハイブリッド電気自動車の電気駆動手段用の電源等のように、中間程度の充電深度で充放電を行うようにした場合において、焼結式ニッケル極が劣化するのが抑制されて、高出力を長期間維持できるようになる。
以下、この発明の実施例に係るニッケル・水素蓄電池を添付図面に基づいて具体的に説明すると共に、この実施例のニッケル・水素蓄電池を用いた実験により、ハイブリッド電気自動車における電気駆動手段用の電源等のように、中間程度の充電深度で充放電を行うようにした場合においても、高出力を長期間維持することができるようになることを明らかにする。なお、この発明におけるニッケル・水素蓄電池は、特に下記の実施例に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
この実施例においては、正極に用いる焼結式ニッケル極を作製するにあたり、多孔度が85%のニッケル焼結基板を用い、このニッケル焼結基板を硝酸コバルトと硝酸亜鉛とを加えた硝酸ニッケル水溶液に浸漬させて乾燥させた後、このニッケル焼結基板を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させる操作を9回繰り返して行って、ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を充填させた。
その後、このニッケル焼結基板を硝酸ニッケルと硝酸イットリウムとを含む水溶液に浸漬させて乾燥させた後、このニッケル焼結基板を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、上記の水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の表面の一部に、水酸化イットリウムY(OH)3の被覆層が形成された焼結式ニッケル極を作製した。なお、焼結式ニッケル極について、窒素ガスを用いたBET法によってその比表面積を測定したところ、下記の表1に示すように、作製時のBET比表面積は17.4m2/gであった。
一方、負極を作製するにあたっては、組成式MmNi3.8Co0.5Al0.3Mn0.5(但し、MmはLa、Ce、Pr、Ndからなるミッシュメタルである。)で表される平均粒径が30μmの水素吸蔵合金粒子100重量部に、結着剤のポリエチレンオキシド1.0重量部と少量の水とを加え、これらを均一に混合してペーストを調製し、このペーストをニッケルめっきしたパンチングメタルからなる集電体の両面に均一に塗布し、これを乾燥し圧延させて、水素吸蔵合金電極からなる負極を作製した。
また、セパレータとしては、ポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体で構成された不織布を使用し、アルカリ電解液としては、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとを含むアルカリ電解液を使用し、設計容量が約6.5Ahになった図1に示すような円筒型のニッケル・水素蓄電池を作製した。
ここで、上記のニッケル・水素蓄電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記の正極1と負極2との間にセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させると共に、この電池缶4内に上記のアルカリ電解液を注液した後、電池缶4と正極蓋6との間に絶縁パッキン8を介して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、上記の絶縁パッキン8により電池缶4と正極蓋6とを電気的に分離させた。また、上記の正極蓋6と正極外部端子9との間にコイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常に上昇した場合には、このコイルスプリング10が圧縮されて電池内部のガスが大気中に放出されるようにした。
そして、上記のようにして作製したニッケル・水素蓄電池を、25℃の温度条件の下で、650mAで16時間充電させた後、650mAで1.0Vまで放電させ、これを1サイクルとして、10サイクルの充放電を繰り返して、このニッケル・水素蓄電池を活性化させた。なお、このように活性化させたニッケル・水素蓄電池から上記の焼結式ニッケル極を取り出し、これを水洗し、乾燥させた後、窒素ガスを用いたBET法によってその比表面積を測定したところ、下記の表1に示すように、活性化後のBET比表面積は21.6m2/gであった。
また、上記のように活性化させたニッケル・水素蓄電池を3.25Aの電流で1時間充電させた後、6.5〜200Aの範囲の電流でそれぞれ10秒間放電させてそれぞれの電圧を測定し、上記の電流と電圧とをプロットしてその傾きから抵抗を測定したところ、活性化させた後のニッケル・水素蓄電池における電池抵抗は、下記の表1に示すように2.12mΩになっていた。
次に、上記のようにして活性化させたニッケル・水素蓄電池について、25℃の温度条件の下で、6.5Aで30分間充電させて、充電深度が約50%になるようにした。
その後、このニッケル・水素蓄電池をハイブリッド電気自動車に搭載して実走行を行う場合を想定し、電池の温度が約45℃となるようにし、充電深度を約40〜60%の範囲にすると共に、放電電流と充電電流の電流値の幅を約−100〜+80Aの範囲にして充放電を繰り返して行い、実走行を行った場合の走行距離に換算し、走行距離が32000km(20kmile)、96000km(60kmile)、128000km(80kmile)、144000km(90kmile)になった時点の各ニッケル・水素蓄電池を得た。
そして、上記の各ニッケル・水素蓄電池を1.0Vまで放電させた後、3.25Aの電流で1時間充電させ、6.5〜200Aの範囲の電流でそれぞれ10秒間放電させてそれぞれの電圧を測定し、上記の電流と電圧とをプロットしてその傾きから各ニッケル・水素蓄電池における電池抵抗を測定し、その結果を下記の表1に示した。
また、上記の各ニッケル・水素蓄電池からそれぞれ焼結式ニッケル極を取り出し、これを水洗し、乾燥させた後、窒素ガスを用いたBET法によって各焼結式ニッケル極の比表面積を測定し、その結果を下記の表1に示した。
この結果、走行距離が144000kmに対応するニッケル・水素蓄電池の電池抵抗が、活性化後のニッケル・水素蓄電池の電池抵抗の約130%に達しており、ハイブリッド電気自動車に使用する場合、電池抵抗の上昇がこの範囲であれば使用できると考えられる。
このため、活性化した時点におけるニッケル・水素蓄電池においては、その焼結式ニッケル極のBET比表面積が少なくとも18m2/g以上であることが必要である考えられる。
また、焼結式ニッケル極のBET比表面積が20m2/g未満になった時点からニッケル・水素蓄電池の電池抵抗が急激に増加しているため、活性化した時点におけるニッケル・水素蓄電池においては、その焼結式ニッケル極のBET比表面積が20m2/g以上であることが好ましいと考えられる。
また、表1に示すように、焼結式ニッケル極を作製した時点における比表面積に比べて、活性化した後のニッケル・水素蓄電池における焼結式ニッケル極のBET比表面積が大きく増加しているのは、活性化によって正極活物質である水酸化ニッケルの規則的な配列が乱れるためであると考えられ、このようなBET比表面積の増加の割合は、焼結式ニッケル極を作製した時点におけるBET比表面積の値によらずほぼ一定である。
このため、活性化した後のニッケル・水素蓄電池における焼結式ニッケル極のBET比表面積が18m2/g以上になるようにするためには、焼結式ニッケル極を作製した時点におけるBET比表面積が14.5m2/g以上になるようにし、また活性化した後のニッケル・水素蓄電池における焼結式ニッケル極のBET比表面積が20m2/g以上になるようにするためには、焼結式ニッケル極を作製した時点におけるBET比表面積が16.1m2/g以上になるようにすることが必要であると考えられる。
なお、焼結式ニッケル極の比表面積を変化させる方法としては、前記のようにニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を充填させる際における水酸化ナトリウム水溶液の濃度や温度を変更させたり、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間を変更させる等の方法により行うことができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極リード
6 正極蓋
7 負極リード
8 絶縁パッキン
9 正極外部端子
10 コイルスプリング
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極リード
6 正極蓋
7 負極リード
8 絶縁パッキン
9 正極外部端子
10 コイルスプリング
Claims (3)
- 正極に焼結式ニッケル極を用いたニッケル・水素蓄電池において、窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で18m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いたことを特徴とするニッケル・水素蓄電池。
- 請求項1に記載したニッケル・水素蓄電池において、上記の窒素ガスの吸着により測定されるBET比表面積が、上記のニッケル・水素蓄電池を活性化した状態で20m2/g以上になった焼結式ニッケル極を用いたことを特徴とするニッケル・水素蓄電池。
- 請求項1又は請求項2に記載したニッケル・水素蓄電池を電気駆動手段用の電源として用いたことを特徴とするハイブリッド電気自動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003364354A JP2005129382A (ja) | 2003-10-24 | 2003-10-24 | ニッケル・水素蓄電池及びハイブリッド電気自動車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003364354A JP2005129382A (ja) | 2003-10-24 | 2003-10-24 | ニッケル・水素蓄電池及びハイブリッド電気自動車 |
Publications (1)
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JP2005129382A true JP2005129382A (ja) | 2005-05-19 |
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ID=34643354
Family Applications (1)
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JP2003364354A Pending JP2005129382A (ja) | 2003-10-24 | 2003-10-24 | ニッケル・水素蓄電池及びハイブリッド電気自動車 |
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JP (1) | JP2005129382A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015198061A (ja) * | 2014-04-03 | 2015-11-09 | 新日鐵住金株式会社 | アルカリ蓄電池正極用ニッケル焼結基板の製造方法、及びアルカリ蓄電池正極用ニッケル焼結基板 |
-
2003
- 2003-10-24 JP JP2003364354A patent/JP2005129382A/ja active Pending
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JP2015198061A (ja) * | 2014-04-03 | 2015-11-09 | 新日鐵住金株式会社 | アルカリ蓄電池正極用ニッケル焼結基板の製造方法、及びアルカリ蓄電池正極用ニッケル焼結基板 |
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