JP2005129251A - 鉛蓄電池の状態管理装置及び鉛蓄電池の電圧降下予測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の要因で生じる出力電圧の降下を考慮して、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる鉛蓄電池の状態管理装置及びその関連技術を提供する。
【解決手段】所定の放電を行うのに先立って、その放電の放電量ADに基づいて、放電に伴う溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVAを取得し、鉛蓄電池1の内部抵抗値RP及び放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づき、放電が行われている際に鉛蓄電池1の内部抵抗値RPの寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVBを取得し、放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づいて、前記放電に伴う鉛蓄電池1内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVCを取得し、取得した降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、放電により降下した鉛蓄電池1の予想出力電圧値VPを導出する。
【選択図】図1
【解決手段】所定の放電を行うのに先立って、その放電の放電量ADに基づいて、放電に伴う溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVAを取得し、鉛蓄電池1の内部抵抗値RP及び放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づき、放電が行われている際に鉛蓄電池1の内部抵抗値RPの寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVBを取得し、放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づいて、前記放電に伴う鉛蓄電池1内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量dVCを取得し、取得した降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、放電により降下した鉛蓄電池1の予想出力電圧値VPを導出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置及びその関連技術に関し、特に車載用の鉛蓄電池の状態管理に用いる技術に関する。
車載用等の鉛蓄電池については、残存容量や劣化度等により、負荷の駆動中に鉛蓄電池の出力電圧が最低動作電圧を下回ってしまい、負荷の動作が途中で停止してしまう場合がある。このような事態は、負荷の駆動開始前に、鉛蓄電池の放電能力が負荷の駆動に耐え得るものか否かが判断できるれば回避可能である。
この鉛蓄電池の放電能力を検出するための従来の技術としては、鉛蓄電池の残存容量を検出し、それに基づいて放電能力を推測するものがある。
しかしながら、鉛蓄電池からの放電が実際に行われると、種々の要因により鉛蓄電池の出力電圧の降下が生じるため、残存容量のみに基づいた放電能力の推測では精度に限界があり、正確な放電能力の検出を行うことができない。
そこで、本発明の解決すべき課題は、種々の要因で生じる出力電圧の降下を考慮して、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる鉛蓄電池の状態管理装置及びその関連技術を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVAを取得する取得手段と、取得された前記降下量dVAに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、を備える。
また、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVBを取得する取得手段と、取得された前記降下量dVBに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、を備える。
さらに、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である降下量dVCを取得する取得手段と、取得された前記降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、を備える。
また、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得する第1の取得手段と、前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得する第2の取得手段と、前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得する第3の取得手段と、取得された前記第1の降下量dVA、前記第2の降下量dVB及び前記第3の降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、を備える。
さらに、好ましくは、前記第3の取得手段は、前記放電時の前記電流値Iに基づいて、予め設定された式
dVC=α×ln(I)+β
α,β:予め設定された係数
により、前記第3の降下量dVCを導出するのがよい。
dVC=α×ln(I)+β
α,β:予め設定された係数
により、前記第3の降下量dVCを導出するのがよい。
また、好ましくは、前記鉛蓄電池の温度を検出する温度検出手段と、前記鉛蓄電池の出力電圧を検出する電圧検出手段と、をさらに備え、前記第1の取得手段は、前記温度検出手段及び前記電圧検出手段によって検出された前記鉛蓄電池の温度値及び出力電圧値に基づいて、その時点における前記鉛蓄電池の硫酸の平均活量値を推定した第1の推定活量値を導出するとともに、その第1の平均活量値と前記放電の前記放電量に基づいて前記放電に伴う前記硫酸濃度の前記減少量を導出し、その減少量と前記第1の推定活量値とに基づいて前記放電後の前記鉛蓄電池の硫酸の平均活量値を推定した第2の推定活量値を導出し、その第1の推定活量値及び第2の推定活量値に基づいて前記第1の降下量dVAを導出するのがよい。
さらに、好ましくは、前記第2の取得手段は、電圧降下量の予測対象である前記所定の放電以外の放電時における前記鉛蓄電池の特性に基づいて前記内部抵抗値を取得し、その内部抵抗値を用いて前記第2の降下量dVBの導出を行うのがよい。
また、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVAを取得し、取得した前記降下量dVAに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する。
さらに、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVBを取得し、取得した前記降下量dVBに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する。
また、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である降下量dVCを取得し、取得した前記降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する。
さらに、前記課題を解決するための手段は、所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得し、前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得し、前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得し、取得した前記第1の降下量dVA、前記第2の降下量dVB及び前記第3の降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する。
請求項1、8に記載の発明によれば、所定の放電の放電量に基づいて、放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVAを取得し、取得した降下量dVAに基づいて、放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出するため、その予測降下量に基づき、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる。
請求項2、9に記載の発明によれば、鉛蓄電池の内部抵抗値及び放電時に鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、放電が行われている際に鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVBを取得し、取得した降下量dVBに基づいて、放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出するため、その予測降下量に基づき、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる。
請求項3、10に記載の発明によれば、放電時に鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、放電に伴う鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である降下量dVCを取得し、取得した降下量dVCに基づいて、放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出するため、その予測降下量に基づき、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる。
請求項4、11に記載の発明によれば、所定の放電を行うのに先立って、その放電の放電量に基づいて、放電に伴う溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得し、鉛蓄電池の内部抵抗値及び放電時に鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、放電が行われている際に鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得し、放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得し、取得した第1ないし第3の降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出するため、その予測降下量に基づき、種々の要因で生じる出力電圧の降下を考慮して、鉛蓄電池の放電能力を正確に判定できる。
請求項5に記載の発明によれば、放電時の電流値Iと、放電に伴う鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる出力電圧の降下量である第3の降下量dVCとの関係が簡単な形で関係づけらた式(近似式)を用いて第3の降下量dVCの導出が行われるため、第3の降下量dVCの導出のための演算を容易かつ高精度に行うことができるとともに、第3の降下量dVCの導出に必要な式等を記憶しておくために必要な記憶容量を抑制できる等の効果が得られる。
請求項6に記載の発明によれば、放電に伴う鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを簡易かつ精度よく取得することができる。
請求項7に記載の発明によれば、放電が行われている際に鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを簡易かつ精度よく取得することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の状態管理装置(以下、単に「状態管理装置」という)のブロック図である。この状態管理装置は、図1に示すように、鉛蓄電池1の温度を検出する温度センサ(温度検出手段)3と、鉛蓄電池1の出力電圧を検出する電圧センサ(電圧検出手段)5と、鉛蓄電池1の出力電流を検出する電流センサ(電流検出手段)6と、この状態管理装置の制御(状態管理に必要な情報処理を含む)を統括する処理部(第1ないし第3の取得手段及び導出処理手段)7と、検出した鉛蓄電池1の状態に関する情報を画像、警告灯又は音声等により出力する出力部9とを備えて構成されている。本実施形態では、この状態管理装置は車両に搭載され、所定の放電により生じる車載用の鉛蓄電池1の出力電圧の降下量を予測し、これによって鉛蓄電池1の放電能力(例えば、所定の放電後における出力電圧の予測値)等の検出を行うようになっている。
なお、処理部7は、図示しないマイコン及びメモリ等を備えて構成されている。出力部9は省略可能である。図1における温度センサ3、電圧センサ5及び電流センサ6の設置形態(設置位置等)は例示であり、これに限定されるものではない。
まず、この状態管理装置が、所定の放電後における鉛蓄電池1の出力電圧の予測値を検出する原理について説明する。
検出手順を大略的に説明すると、予め設定された放電の放電量に基づいて、その放電に伴う鉛蓄電池1の溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得し、鉛蓄電池1の内部抵抗値及び前記放電時に鉛蓄電池1からの出力が予想される予め設定された予想電流値に基づき、前記放電が行われている際に鉛蓄電池1の内部抵抗値の寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得し、前記記放電時に鉛蓄電池1から出力が予想される予め設定された前記予想電流値に基づいて、前記放電に伴う鉛蓄電池1内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得し、取得した第1〜第3の降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、前記放電を仮に行った場合における放電直前の鉛蓄電池1の出力電圧の予測値(あるいは、出力電圧の予測降下量)VPを導出するようになっている。
すなわち、その時点の出力電圧の値VS、及び上記の第1〜第3の降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、仮に前記放電を行った場合における放電終了直前の鉛蓄電池1の出力電圧の予想値(予想出力電圧値)
VP=VS−dVA−dVB−dVC (1)
を導出する。ここで、値VSはその時点における鉛蓄電池1の端子開放電圧であり、電圧センサ5により計測される。
VP=VS−dVA−dVB−dVC (1)
を導出する。ここで、値VSはその時点における鉛蓄電池1の端子開放電圧であり、電圧センサ5により計測される。
ここで、どのような放電に対して、その放電直前の鉛蓄電池1の出力電圧の予測を行うかは、予め処理部7に登録しておくこととする。例えば、その放電により鉛蓄電池1から放出される放電電流の値ID(A)及び放電時間t(min)等により放電の内容を特定し、その放電電流値ID及び放電時間t等を処理部7に登録しておくことにより、放電内容の登録が行われる。
まず第1の降下量dVAの取得について説明する。
鉛蓄電池1の起電力(出力電圧)Eは、ネルンストの関係式により次のように表される。
E=E0+(RT/nF)×ln(aav1 2/aav2 2) (2)
上式(2)におけるE以外の変数は、
aav1:硫酸の平均活量、
aav2:水の平均活量、
n:反応に関与する電子数(ここではn=2)、
F:ファラデー定数(9.648×104Cmol-1)、
R:気体定数(8.314Jmol-1K-1)、
E0:鉛蓄電池の標準起電力(単セル2.0485Vで6セルで12.291V)、
T:鉛蓄電池の溶液温度、
である。
上式(2)におけるE以外の変数は、
aav1:硫酸の平均活量、
aav2:水の平均活量、
n:反応に関与する電子数(ここではn=2)、
F:ファラデー定数(9.648×104Cmol-1)、
R:気体定数(8.314Jmol-1K-1)、
E0:鉛蓄電池の標準起電力(単セル2.0485Vで6セルで12.291V)、
T:鉛蓄電池の溶液温度、
である。
水の平均活量aav2を1で近似すると、上式(2)より近似的に、
E=E0+(RT/F)×ln(aav1) (3)
の関係が得られる。これをaav1(以下、単に「aav」と記載する)について解くと、
aav=exp((F/RT)×(E-E0)) (4)
が得られる。
E=E0+(RT/F)×ln(aav1) (3)
の関係が得られる。これをaav1(以下、単に「aav」と記載する)について解くと、
aav=exp((F/RT)×(E-E0)) (4)
が得られる。
そこで、本実施形態では、上式(4)を用いて第1の降下量dVAを導出することとしている。
次に、硫酸の平均活量aavと硫酸濃度との関係を導くために、放電量ADと硫酸濃度との関係について検討する。鉛蓄電池1から放電量ADの放電が行われると、それに伴って溶液の硫酸濃度が低下し、これにより鉛蓄電池1の出力電圧が降下する。そこで、この放電に伴って生じる硫酸濃度の減少量dmとすると、値dmと放電量ADとの間には、次のような関係が成り立つ。
dm=((mf−me)/C)×AD (5)
mf:満充電時の硫酸モル濃度値(mol/kg)
me:定格容量放電時の硫酸モル濃度値(mol/kg)
C:鉛蓄電池1の定格容量(Ah)
AD:放電量(Ah)
上記式(5)において、値mf,me,C,ADは既知の値である。なお、放電量ADは既知の値である放電電流値ID及び放電時間tに基づき、AD=(t/60)×IDにより与えられる。また、値mfが対応する満充電時とは残存容量が100%の状態をいい、値meが対応する定格容量放電時とは残存容量が0%の状態をいう。
mf:満充電時の硫酸モル濃度値(mol/kg)
me:定格容量放電時の硫酸モル濃度値(mol/kg)
C:鉛蓄電池1の定格容量(Ah)
AD:放電量(Ah)
上記式(5)において、値mf,me,C,ADは既知の値である。なお、放電量ADは既知の値である放電電流値ID及び放電時間tに基づき、AD=(t/60)×IDにより与えられる。また、値mfが対応する満充電時とは残存容量が100%の状態をいい、値meが対応する定格容量放電時とは残存容量が0%の状態をいう。
また、本願発明者は、鉛蓄電池1の硫酸濃度と硫酸の活量との関係についても試験等を行った。図2ないし図4は、65℃、25℃及び−30℃時における鉛蓄電池1の硫酸活量と質量モル濃度との関係を示すグラフである。本実施形態では、まず、図2ないし図4に例示するグラフのように、鉛蓄電池1の異なる複数の温度について、鉛蓄電池1の硫酸の活量を硫酸の質量モル濃度を変化させて実測し、各温度における鉛蓄電池1の硫酸の活量と硫酸の質量モル濃度との関係を調べた。図2なしい図4のグラフにおける各黒点は実測値を示している。
この測定の結果、本願発明者は、鉛蓄電池1の温度にかかわらず、鉛蓄電池1の硫酸の活量の対数値と質量モル濃度との間に比例関係があることに気づいた。例えば、硫酸の質量モル濃度を横軸、硫酸の活量の対数値を縦軸にとった図2ないし図4のグラフにおいて、各実測値は近似的に直線グラフG1〜G3上に沿って分布している。
この硫酸の活量の対数値と硫酸濃度との比例関係を式に表すと、次のようになる。
aav=Aexp(Bm) (6)
aav:硫酸の平均活量値
m:硫酸モル濃度値(mol/kg)
A,B:予め設定された係数
上式(6)において、変数A,Bは、平均活量値aavと濃度値mとの関係式を規定するための係数であり、上式(6)における平均活量値aavと濃度値mの関係が実測値に近接するような値に予め設定されている。また、この係数A,Bは、鉛蓄電池1の異なる温度ごとに設定される。図5には、−30℃、25℃、65℃における係数A,Bの値が例示的に示されている。また、図6及び図7は、鉛蓄電池1の温度と係数A,Bの値の関係を示している。なお、係数A,Bは、必要な温度範囲内において設定された複数温度について上述の図2ないし図4のグラフに示すような実測を行って、その実測結果に基づいてその複数温度における係数A,Bを決定し、必要な温度範囲内における他の温度における係数A,Bの値は、その実測により決定した係数A,Bの値から推定して決定するのが効率的で好ましい。
aav:硫酸の平均活量値
m:硫酸モル濃度値(mol/kg)
A,B:予め設定された係数
上式(6)において、変数A,Bは、平均活量値aavと濃度値mとの関係式を規定するための係数であり、上式(6)における平均活量値aavと濃度値mの関係が実測値に近接するような値に予め設定されている。また、この係数A,Bは、鉛蓄電池1の異なる温度ごとに設定される。図5には、−30℃、25℃、65℃における係数A,Bの値が例示的に示されている。また、図6及び図7は、鉛蓄電池1の温度と係数A,Bの値の関係を示している。なお、係数A,Bは、必要な温度範囲内において設定された複数温度について上述の図2ないし図4のグラフに示すような実測を行って、その実測結果に基づいてその複数温度における係数A,Bを決定し、必要な温度範囲内における他の温度における係数A,Bの値は、その実測により決定した係数A,Bの値から推定して決定するのが効率的で好ましい。
そこで、本実施形態では、このような鉛蓄電池1の特性及び導出した関係式に基づき、第1の降下量dVAを導出することとしている。すなわち、所定の放電を行う前の状態における鉛蓄電池1の温度値T及び出力電圧値VSを、温度センサ3及び電圧センサ5を介して検出し、その検出値(T,VS)を上式(4)に代入することにより、その時点における鉛蓄電池1の硫酸の平均活量値aSを取得することができる。
さらに、その取得した平均活量値aSを上式(6)に代入することにより、その時点における硫酸濃度値mSが得られる。そして、その硫酸濃度値mSから、上式(5)により得られる硫酸濃度の減少量dmを減算すると、すなわち
mF=mS−dm (7)
より、仮に所定放電を行った後の予想される予想硫酸濃度値mFが得られる。
mF=mS−dm (7)
より、仮に所定放電を行った後の予想される予想硫酸濃度値mFが得られる。
この予想硫酸濃度値mFに基づいて、上式(6)により、放電後に予想される硫酸の予想平均活量値aFが得られる。
このため、放電中に鉛蓄電池1の温度変化がない場合(あるいは、温度変化を無視する場合)には、放電前の時点における硫酸の平均活量値aS及び温度値Tと、放電後に予想される硫酸の予想平均活量値aFとに基づいて、上式(4)により、第1の降下量dVAが次のように得られる。
dVA=(RT/F)×ln(aS/aF) (8)
上式(8)において、変数Tには放電前における温度の計測値が代入され、変数aSは、上式(4)により放電前の計測値である温度値T及び出力電圧値VSの関数として与えられる。
上式(8)において、変数Tには放電前における温度の計測値が代入され、変数aSは、上式(4)により放電前の計測値である温度値T及び出力電圧値VSの関数として与えられる。
また、変数aFは、次のようして取得される。すなわち、まず、上式(4)より取得した放電前の時点における硫酸の平均活量値aSに基づいて上式(6)を用いて、その時点における硫酸濃度値mSを取得する。このときに使用される式(6)の係数A,Bは、放電前の時点における温度値Tに対応した係数値が用いられる。続いて、取得したその時点における硫酸濃度値mSと、上式(5)を用いて取得した放電に伴う濃度減少量dmとを上式(7)に代入して、放電後の予想硫酸濃度値mFを取得する。そして、その予想硫酸濃度値mFを上式(6)に代入することにより、変数aFの値を取得する。このとき使用される式(6)の係数A,Bは、温度変化を考慮しないため、放電前の時点における温度値Tに対応した係数値が用いられる。
一方、放電中に鉛蓄電池1の温度変化が予想される場合には、放電前の時点における硫酸の平均活量値aS及び温度値TSと、放電後に予想される硫酸の予想平均活量値aF及び予想温度値TFとに基づいて、上式(4)により、第1の降下量dVAが次のように得られる。
dVA=(RTS/F)×ln(aS)−(RTF/F)×ln(aF) (9)
上式(9)において、変数TSには放電前における温度の計測値が代入され、変数TFには放電後に予想される温度値が推定されて代入される。変数aSは、上式(4)により放電前の計測値である温度値TS及び出力電圧値VSの関数として与えられる。
上式(9)において、変数TSには放電前における温度の計測値が代入され、変数TFには放電後に予想される温度値が推定されて代入される。変数aSは、上式(4)により放電前の計測値である温度値TS及び出力電圧値VSの関数として与えられる。
また、変数aFは、次のようして取得される。すなわち、まず、上式(4)より取得した放電前の時点における硫酸の平均活量値aSに基づいて上式(6)を用いて、その時点における硫酸濃度値mSを取得する。このときに使用される式(6)の係数A,Bは、放電前の時点における温度値TSに対応した係数値が用いられる。続いて、取得したその時点における硫酸濃度値mSと、上式(5)を用いて取得した放電に伴う濃度減少量dmとを上式(7)に代入して、放電後の予想硫酸濃度値mFを取得する。そして、その予想硫酸濃度値mFを上式(6)に代入することにより、変数aFの値を取得する。このとき使用される式(6)の係数A,Bは、温度変化を考慮するため、放電後に予想される予想温度TFに対応した係数値が用いられる。
次に、第2の降下量dVBの取得について説明する。本実施形態では、鉛蓄電池1の実施形態の内部抵抗値を検出し、その検出した内部抵抗値と予め設定された放電電流値IDとに基づいて第2の降下量dVBを取得するようになっている。
まず鉛蓄電池1の実際の内部抵抗の検出手順について説明する。本実施形態では、鉛蓄電池1から放電(例えば、パルス状の放電)が行われるのに伴って、鉛蓄電池1の放電特性を検出し、その検出結果に基づいて実際の内部抵抗値の検出が行われるようになっている。この放電は、処理部(上位概念の用語を用いると放電処理手段)7に積極的に行われるようにしてもよく、あるいは、車両の通常動作に伴って鉛蓄電池1から所定レベルの放電が行われるのを利用するようにしてよい。処理部7による積極的な放電としては、例えば鉛蓄電池1を微小時間だけ所定の抵抗値の負荷(図示せず)に接続することが考えられる。
より具体的には、鉛蓄電池1に微小時間のパルス状の放電(例えば、1CAで10msecの放電)を行わせ、これに同期して、電圧センサ5及び電流センサ6を介して、放電の開始前の鉛蓄電池1の出力電圧である第1の電圧値と、放電が行われている途中(本実施形態では放電開始直後(例えば、放電開始から1msec後))における鉛蓄電池1の出力電圧である第2の電圧値及び放電電流値とを検出し、その取得した第1の電圧値、第2の電圧値及び放電電流値に基づいて、鉛蓄電池1の実際の内部抵抗を推定した値である推定内部抵抗値を導出するするようにした(パルス放電法)。図8はこの放電時の電流、電圧の波形図である。あるいは、この変形例として、図8に示すように、放電途中(例えば、放電終了時)における鉛蓄電池1の出力電圧値V3(第2の電圧値)及び放電電流値Iと、放電終了直後(例えば、放電終了時から1msec後)における鉛蓄電池1の出力電圧値V4(第1の電圧値)とを検出し、これらの検出値(V3,V4,I)に基づいて、内部抵抗値の導出を行うようにしてもよい。
しかし、このパルス放電法により計測した上記各検出値(V1,V2,I)を式
R1=(V1-V2)/I (10)
に代入して内部抵抗値R1を導出すると、導出した内部抵抗値R1と鉛蓄電池1の実際の内部抵抗値との間にずれが生じてしまう。
R1=(V1-V2)/I (10)
に代入して内部抵抗値R1を導出すると、導出した内部抵抗値R1と鉛蓄電池1の実際の内部抵抗値との間にずれが生じてしまう。
そこで、本願発明者は、上記各検出値(V1,V2,I)に基づいて上記式(10)より導出した内部抵抗値R1と実際の内部抵抗値との相関関係を実験により調べた。なお、実際の内部抵抗値を直接計測することは困難なため、パルス放電法よりも精度のよい交流法(周波数:1kHz)により計測した値を実際の内部抵抗値の値として考えることとした。
図9は、交流法による内部抵抗の計測値とパルス放電法による内部抵抗の計測値(R1)との相関関係を示しており、横軸が交流法による値、縦軸がパルス放電法による値に対応している。図9の相関関係より、上記式(10)により導出した値R1と交流法により計測した値(実際の内部抵抗値)との間には、比例関係があることが分かる。
そこで、本実施形態では、この比例関係に着目し、パルス放電法により計測した上記各検出値(V1,V2,I)を、予め設定された式
RP=cR((V1-V2)/I) (11)
に代入して、前記推定内部抵抗値RPを導出するようにした。ここで、上記式(11)における係数cRは、予め設定された補正のための比例係数であり、0.3〜0.9の範囲内の値(例えば、0.8)に設定される。なお、図9のグラフG4はcR=0.8の直線に対応している。
RP=cR((V1-V2)/I) (11)
に代入して、前記推定内部抵抗値RPを導出するようにした。ここで、上記式(11)における係数cRは、予め設定された補正のための比例係数であり、0.3〜0.9の範囲内の値(例えば、0.8)に設定される。なお、図9のグラフG4はcR=0.8の直線に対応している。
そして、本実施形態では、そのように取得された推定内部抵抗値RPと放電電流値IDとに基づき、関係式
dVB=ID×RP (12)
により第2の降下量dVBを取得するようになっている。
dVB=ID×RP (12)
により第2の降下量dVBを取得するようになっている。
なお、実際には、鉛蓄電池1の内部抵抗は放電中も変化する(大きくなる)が、本実施形態では、放電前後で内部抵抗は一定であると仮定して第2の降下量dVBの導出を行っている。
次に、第3の降下量dVCの取得について説明する。
電極反応における電荷移動過程が律速となる場合の電極電位(過電圧)と電流密度の関係を表す基本式として、バトラー・ヴォルマー式がある。このバトラー・ヴォルマー式を過電圧が大きい場合について適用すると、近似的に次の式が得られる(ターフェル式)。
η=c1×ln(i)+c2 (13)
c1,c2:係数
本願発明者は、このターフェル式(13)が、鉛蓄電池1の放電電流値Iと化学反応の寄与により生じる電圧降下量(過電圧)dVCとの関係を表す式として利用できないかと想い到り、試験によりその検証を行った。
c1,c2:係数
本願発明者は、このターフェル式(13)が、鉛蓄電池1の放電電流値Iと化学反応の寄与により生じる電圧降下量(過電圧)dVCとの関係を表す式として利用できないかと想い到り、試験によりその検証を行った。
試験の手法としては、種々の放電を鉛蓄電池1に行わせ、放電直後の電圧降下量を計測し、その計測した電圧降下量から鉛蓄電池1の内部抵抗の寄与分を除いた値を過電圧として求め、その計測結果をグラフにした(図10参照)。
そして、ターフェル式(13)に基づき、放電電流値Iと電圧降下量(過電圧)dVCとについての関係式
dVC=α×ln(I)+β (14)
α,β:予め設定された係数
を設定し、最小自乗法を用いて、図10の計測値に最も適合する係数α,βの値を決定した。図10のグラフG5は、上式(14)において例えばα=0.2395,β=0.5813のときに対応しており、本実施形態では、例えばこのα,βの値が設定値として採用される。図10の計測結果とグラフG5との関係より、上式(14)により放電電流値Iと電圧降下量dVCとの関係が近似的に適切に表されていることが分かる。
dVC=α×ln(I)+β (14)
α,β:予め設定された係数
を設定し、最小自乗法を用いて、図10の計測値に最も適合する係数α,βの値を決定した。図10のグラフG5は、上式(14)において例えばα=0.2395,β=0.5813のときに対応しており、本実施形態では、例えばこのα,βの値が設定値として採用される。図10の計測結果とグラフG5との関係より、上式(14)により放電電流値Iと電圧降下量dVCとの関係が近似的に適切に表されていることが分かる。
処理部7のメモリ等には、上記の関係式(1)、関係式(4)(予め設定された値F,R,E0を含む)、関係式(5)(予め設定された数値mf,me,C,ADを含む)、関係式(6)(各温度ごとに予め設定された各係数A,Bの値を含む)、関係式(7)、関係式(8)(或いは、放電前後の温度変化の影響を考慮する場合は関係式(9))、関係式(11)(予め設定された係数cRを含む)、関係式(12)(予め設定された放電電流値IDを含む)、及び、関係式(14)(予め設定された係数α,βを含む)が予め登録されており、これらの関係式(1),(4)〜(12),(14)を用いた、処理部7のマイコンによる演算処理により鉛蓄電池1の所定放電後に予想される予想出力電圧値VPの取得処理が行われるようになっている。
次に、処理部7による鉛蓄電池1の所定放電後の予想出力電圧値VPの取得のための処理動作について一例を挙げて説明する。なお、以下の図11に示す処理動作は、あくまでも一例であり種々のバリエーションが考えられる。
図11に示すように、ステップS1では、所定放電後の予想出力電圧値VPの取得に必要な鉛蓄電池1に対する計測処理が行われる。すなわち、その時点における鉛蓄電池1の温度値T及び出力電圧値VSが温度センサ3及び電圧センサ5を介して行われるとともに、上述のパルス放電法を用いたその時点における鉛蓄電池1の推定内部抵抗値RPの検出が行われる。
続くステップS2では、上述した原理に従って、予め設定された放電により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の第1ないし第3の降下量dVA,dVB,dVCが導出され、その降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、所定放電後の鉛蓄電池1の予想出力電圧値VPが導出される。
続くステップS3では、導出された予想出力電圧値VPが、電圧値予測に係る所定放電の供給対象である所定負荷の最低動作電圧に対応した所定の基準レベルを上回っているか否か等の判定処理が行われる。そして、例えば、予想出力電圧値VPが前記基準レベルを上回る場合には、前記処理負荷の駆動(前記処理負荷への給電)が許容される一方、予想出力電圧値VPが前記基準レベルを下回る場合には、電源電圧不足による動作停止等を回避するため、前記処理負荷の駆動が禁止される等の処理が行われる。また、このステップS3では、予想出力電圧値VPに基づく判定結果(例えば、所定負荷の駆動の可否等)に関する情報が画像表示等により出力部9を介して必要に応じて出力される。
このステップS1〜S3の処理は、所定放電の放電開始(所定負荷の駆動開始)に先だって、所定のタイミングで行われる。
図12は、上記の導出処理により導出した予想出力電圧値VPとその実際の実測値との一致度合いを示すグラフである。図12では、鉛蓄電池1に1Aの放電電流を放電時間を変化させつつ行わせる場合について、放電後に予想される予想出力電圧値VPとその実測値との対比を行った。図12のグラフ中の「○」が予想出力電圧値VPに対応し、「×」が実測値に対応している。この対比の結果、放電後の出力電圧値を高精度に予測できていることが分かる。
以上のように、所定の放電を行うのに先立って、その放電の放電量ADに基づいて、放電に伴う溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得し、鉛蓄電池1の内部抵抗値RP及び放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づき、放電が行われている際に鉛蓄電池1の内部抵抗値RPの寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得し、放電時に鉛蓄電池1から出力される電流の電流値IDに基づいて、前記放電に伴う鉛蓄電池1内での化学反応の寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得し、取得した第1ないし第3の降下量dVA,dVB,dVCに基づいて、放電により降下した鉛蓄電池1の予想出力電圧値VPを導出するため、その予想出力電圧値VPに基づき、種々の要因で生じる出力電圧の降下を考慮して、鉛蓄電池1の放電能力を正確に判定できる。
また、上述の原理により、放電に伴う鉛蓄電池1の溶液の硫酸濃度減少により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得するため、第1の降下量dVAを簡易かつ高精度に取得できる。
さらに、上述の原理により、放電が行われている際に鉛蓄電1池の内部抵抗値RPの寄与により生じる鉛蓄電池1の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得するため、第2の降下量dVBを簡易かつ高精度に取得することができる。
また、放電時の電流値IDと、放電に伴う鉛蓄電池1内での化学反応の寄与により生じる出力電圧の降下量である第3の降下量dVCとの関係が簡単な形で関係づけらた式(14)を用いて第3の降下量dVCの導出が行われるため、第3の降下量dVCの導出のための演算を容易かつ高精度に行うことができるとともに、第3の降下量dVCの導出に必要な式(14)等を記憶しておくために必要な記憶容量を抑制できる等の効果が得られる。
1 鉛蓄電池
3 温度センサ
5 電圧センサ
6 電流センサ
7 処理部
9 出力部
3 温度センサ
5 電圧センサ
6 電流センサ
7 処理部
9 出力部
Claims (11)
- 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、
前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVAを取得する取得手段と、
取得された前記降下量dVAに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、
を備える、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、
前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVBを取得する取得手段と、
取得された前記降下量dVBに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、
を備える、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、
前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である降下量dVCを取得する取得手段と、
取得された前記降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、
を備える、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の状態管理装置であって、
前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得する第1の取得手段と、
前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得する第2の取得手段と、
前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得する第3の取得手段と、
取得された前記第1の降下量dVA、前記第2の降下量dVB及び前記第3の降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する導出処理手段と、
を備える、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 請求項4に記載の鉛蓄電池の状態管理装置において、
前記第3の取得手段は、
前記放電時の前記電流値Iに基づいて、予め設定された式
dVC=α×ln(I)+β
α,β:予め設定された係数
により、前記第3の降下量dVCを導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 請求項4又は5に記載の鉛蓄電池の状態管理装置において、
前記鉛蓄電池の温度を検出する温度検出手段と、
前記鉛蓄電池の出力電圧を検出する電圧検出手段と、
をさらに備え、
前記第1の取得手段は、
前記温度検出手段及び前記電圧検出手段によって検出された前記鉛蓄電池の温度値及び出力電圧値に基づいて、その時点における前記鉛蓄電池の硫酸の平均活量値を推定した第1の推定活量値を導出するとともに、その第1の平均活量値と前記放電の前記放電量に基づいて前記放電に伴う前記硫酸濃度の前記減少量を導出し、その減少量と前記第1の推定活量値とに基づいて前記放電後の前記鉛蓄電池の硫酸の平均活量値を推定した第2の推定活量値を導出し、その第1の推定活量値及び第2の推定活量値に基づいて前記第1の降下量dVAを導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 請求項4ないし6のいずれかに記載の鉛蓄電池の状態管理装置において、
前記第2の取得手段は、
電圧降下量の予測対象である前記所定の放電以外の放電時における前記鉛蓄電池の特性に基づいて前記内部抵抗値を取得し、その内部抵抗値を用いて前記第2の降下量dVBの導出を行う、ことを特徴とする鉛蓄電池の状態管理装置。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、
前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVAを取得し、
取得した前記降下量dVAに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の電圧降下予測方法。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、
前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量dVBを取得し、
取得した前記降下量dVBに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の電圧降下予測方法。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、
前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である降下量dVCを取得し、
取得した前記降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の電圧降下予測方法。 - 所定の放電により生じる鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測する鉛蓄電池の電圧降下予測方法であって、
前記放電の放電量に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池の溶液の硫酸濃度減少により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第1の降下量dVAを取得し、
前記鉛蓄電池の内部抵抗値及び前記放電時に前記鉛蓄電池からの出力が予想される電流の電流値に基づき、前記放電が行われている際に前記鉛蓄電池の内部抵抗値の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第2の降下量dVBを取得し、
前記放電時に前記鉛蓄電池から出力が予想される電流の所定の電流値に基づいて、前記放電に伴う前記鉛蓄電池内での化学反応の寄与により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量である第3の降下量dVCを取得し、
取得した前記第1の降下量dVA、前記第2の降下量dVB及び前記第3の降下量dVCに基づいて、前記放電により生じる前記鉛蓄電池の出力電圧の降下量を予測した予測降下量を導出する、ことを特徴とする鉛蓄電池の電圧降下予測方法。
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