JP2018189579A - 二次電池の劣化推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電履歴によって電池抵抗が変化する二次電池において、正確に二次電池の劣化推定を行う。【解決手段】二次電池の劣化推定装置12は、所定周期で、検出した電池電圧Vb、電池電流Ib、および電池温度Tbに基づいて二次電池10の抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出部40と、過去所定期間内に算出された複数の抵抗変化率を、設定した寄与度に応じて演算することで二次電池10の劣化度合を算出する劣化度合算出部42とを備える。二次電池10は、その充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる有意なヒステリシスが一部の充電率範囲で生じている。劣化度合算出部42は、二次電池10の充電率が有意なヒステリシスが生じる充電率範囲にあるときに検出した電池電圧Vb、電池電流Ib、および電池温度Tbにより算出された抵抗変化率の寄与度を低下させて劣化度合を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載された二次電池の経年劣化を推定する装置に関する。
駆動源の一つとして、回転電機を搭載した電動車両が広く知られている。かかる電動車両には、充放電可能な二次電池が搭載される。二次電池は、回転電機を電動機として駆動する際に当該回転電機に電力を供給したり、回転電機を発電機として駆動した際に発電された電力を蓄電したりする。
二次電池は、充電と放電を繰り返すことで電池抵抗が増加し、劣化が進行する。そこで、従来から、二次電池の劣化度合を推定することが行われている。例えば、所定周期で、電池電圧および電池電流などに基づいて電池抵抗を算出し、算出された電池抵抗と、初期状態(新品時)の電池抵抗(初期電池抵抗)との比率(抵抗変化率)を求めることで、二次電池の経年劣化を推定する装置が知られている。特許文献1には、二次電池の内部を推定する電池モデル式と、センサにより検出された電池電圧、電池電流および電池温度を用いて抵抗変化率を求めることで、二次電池の劣化推定を行うことが開示されている。二次電池の劣化度合が高いと推定された際には、さらに劣化が進むことを抑制するために二次電池の入出力が制限される。
特開2008−241246号公報
二次電池の中には、一部の充電率(SOC:State Of Charge)の範囲において、充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる(ヒステリシスを有する)ものがある。このような二次電池として、例えば、正極材料としてスピネル系化合物を用いたリチウムイオン電池が挙げられる。電池抵抗がヒステリシスを有することで、例えば、二次電池を継続して充電して充電率を所定の充電率(第1の充電率)にした後にさらに充電をした時の電池電圧の挙動と、二次電池を継続して放電して充電率を第1の充電率にした後に同様の充電をした時の電池電圧の挙動とが異なることになる。
このような二次電池において、ヒステリシスを有する充電率の範囲で、電池電圧、電池電流などの電池情報を取得し、その電池情報から電池抵抗を算出し抵抗変化率を求めても、その抵抗変化率は、充放電履歴に応じて変動するものである。よって、その抵抗変化率をそのまま用いても、正確な二次電池の劣化度合を推定することができない。
そこで、本発明の目的は、充放電履歴によって電池抵抗が変化する二次電池において、正確に二次電池の劣化推定を行うことである。
本発明の二次電池の劣化推定装置は、二次電池の劣化推定装置であって、前記二次電池の電池電圧を検出する電圧センサと、前記二次電池の電池電流を検出する電流センサと、前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、所定周期で、検出した電池電圧、電池電流、および電池温度に基づいて前記二次電池の抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出部と、過去所定期間内に算出された複数の前記抵抗変化率を、設定した寄与度に応じて演算することで前記二次電池の劣化度合を算出する劣化度合算出部と、を備え、前記二次電池は、その充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる有意なヒステリシスが一部の充電率範囲で生じており、前記劣化度合算出部は、前記二次電池の充電率が前記有意なヒステリシスが生じる充電率範囲にあるときに検出した電池電圧、電池電流、および電池温度により算出された前記抵抗変化率の寄与度を低下させて前記劣化度合を算出する、ことを特徴とする。
本発明の二次電池の劣化推定装置によれば、有意なヒステリシスが生じる充電率範囲にあるときに検出した電池電圧、電池電流、および電池温度により算出された抵抗変化率の寄与度を低下させて劣化度合を算出するので、正確に二次電池の劣化推定を行うことができる。
二次電池の劣化推定装置の構成の概略を示すブロック図である。 SOCに対する電池電圧の変化と、ヒステリシス領域およびノンヒステリシス領域とを示す図である。 充電前の充放電履歴によって充電中の電圧挙動が変化する一例を示す図である。 SOCおよび抵抗変化率を算出する処理の流れを示すフローチャートである。 抵抗変化率ごとに寄与度を設定して劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。 別の実施形態における抵抗変化率ごとに寄与度を設定して劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。 電池温度に対する寄与度の設定例を示す図である。 別の実施形態における抵抗変化率ごとに寄与度を設定して劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。 別の実施形態における抵抗変化率ごとに寄与度を設定して劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<装置構成>
図1には、本実施形態の二次電池10と、二次電池の劣化推定装置12との構成の概略が示されている。二次電池10と、二次電池の劣化推定装置12とは電動車両に搭載されている。電動車両は、ハイブリッド車両や電気自動車等である。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、後述するモータジェネレータに加えて、エンジンを備えている。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、後述するモータジェネレータだけを備えている。
二次電池10は、直列に接続された単電池を有している。なお、二次電池10は、並列に接続された単電池を有していても良い。二次電池10の種類としては、種々考えられるが、本例では、正極材料としてリチウムマンガン酸化物(LiMn24)等のスピネル系化合物を用いたリチウムイオン二次電池を使用している。スピネル系化合物を正極材料として用いた二次電池10の場合、充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる有意なヒステリシスが一部の充電率範囲で生じるが、これについては後述する。なお、充電率とは、二次電池10の満充電容量に対する現在の充電容量を示す値であり、一般的には、SOC(State Of Charge)と呼ばれる値である。以下、充電率をSOCと言うことがある。
二次電池10は、正極ライン16と負極ライン18とを介してインバータ20に接続されている。インバータ20は、二次電池10の直流電力を交流電力に変換して車両駆動用のモータジェネレータ14を駆動する。また、モータジェネレータ14が発電した交流電力はインバータ20によって直流電力に変換されて二次電池10に充電される。
二次電池の劣化推定装置12は、電圧センサ22と、電流センサ24と、温度センサ26と、制御部28とを備えている。電圧センサ22は、二次電池10の端子間電圧値を検出する。検出された電圧値は、検出電圧値(電池電圧)Vbとして、制御部28に入力される。電流センサ24は、二次電池10に入出力する電流値を検出する。検出された電流値は、検出電流値(電池電流)Ibとして制御部28に入力される。なお、電流センサ24は、放電電流を正値、充電電流を負値として検出する。温度センサ26は、二次電池10の温度を検出する。検出された温度は、検出温度値(電池温度)Tbとして、制御部28に入力される。なお、温度センサ26は、一つでもよいし、複数でもよい。温度センサ26が複数設けられている場合には、当該複数の温度センサ26の検出値の統計値、例えば、平均値や最高値、最低値等を、電池温度Tbとして扱えばよい。
制御部28は、マイクロプロセッサ、A/D変換器、D/A変換器、記憶部30などを含んで構成されている。制御部28には、各種センサ22,24,26が接続されている。制御部28は、記憶部30等に予め格納されているプログラムを実行することによって、各種センサ22,24,26からの入力信号・データを用いて所定の演算処理を実行し、演算処理結果に基づく出力信号・データを生成する。本実施形態では、制御部28は、後述する抵抗変化率算出部40および劣化度合算出部42として機能する。
<ヒステリシスについて>
図2は、本例の二次電池10の充電率(SOC)に対する電池電圧の変化を示す図である。図2では、二次電池10を充電して充電率(SOC)を0%から100%にした時の電池電圧が示されている。二次電池10を放電して充電率(SOC)を100%から0%にした時の電池電圧も、図2に示したグラフとほぼ同じとなる。
本例の二次電池10は、上述したように、その充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる有意なヒステリシスが一部の充電率範囲で生じる。図2では、その充電率範囲が「H(ヒス領域)」として示されている。本例の二次電池10の場合、図2示すように、充電率が高い領域であって充電率が変化しても電池電圧がほとんど変化しない領域が、有意なヒステリシスが生じる領域となっている。以下、有意なヒステリシスが生じる充電率の領域を、ヒステリシス領域Hまたはヒス領域Hという。
図3は、充放電履歴によって(充電継続後か放電継続後かによって)充電中の電圧挙動が変化する一例を示す図である。図3には、充電率を0%からθh%(但し、θhはヒス領域の充電率)まで充電した後、所定時間Δtpだけ充電を休止し(電池電流を0Aとし)、その後に電池電流をIcとして所定時間Δteだけ充電を行なった際の電池電圧の挙動が破線(Li)で示されている。また、図3には、充電率を100%からθh%まで放電した後、所定時間Δtpだけ放電を休止し(電流を0Aとし)、その後に電池電流をIcとして所定時間Δteだけ充電を行なった際の電池電圧の挙動が実線(Lo)で示されている。図3に示すように、同じ充電率θh%で、同じように充電を行っても、充電を行なう前の充放電履歴(充電継続していたか、または、放電継続していたか)によって電圧挙動が変化する。これは、同じ充電率θh%であっても、充電継続後と放電継続後とで電池抵抗が異なっているためである。
ヒステリシス領域Hは、次のように定義することができる。充電を継続した後の充電率θ=nのときの電池抵抗をRi[n]、放電を継続した後の充電率θ=nのときの電池抵抗をRo[n]、規定の閾値をΔRdefとした場合、有意なヒステリシスが生じる充電率範囲(ヒステリシス領域H)は、(|Ri(n)−Ro(n)|≧ΔRdef)を満たす領域である。一方、ヒステリシス領域Hでは無い領域(以下、ノンヒステリシス領域NHまたはノンヒス領域NHと言う)は、(|Ri(n)−Ro(n)|<ΔRdef)を満たす領域である。なお、以下において、(|Ri(n)−Ro(n)|)を電池抵抗の乖離量ΔRioという。
また、ヒステリシス領域Hは、次のように定義することもできる。充電を継続した後の充電率θ=nのときに、図3のように所定電流Icで所定時間Δteだけ充電し、充電を終了した時点の電池電圧をVi[n]とする。また、放電を継続した後の充電率θ=nのときに、図3のように所定電流Icで所定時間Δteだけ充電し、充電を終了した時点の電池電圧をVo[n]とする。また、規定の閾値をΔVdefとする。その場合、ヒステリシス領域Hは、(|Vi(n)−Vo(n)|≧ΔVdef)を満たす領域である。一方、ノンヒステリシス領域NHは、(|Vi(n)−Vo(n)|<ΔVdef)を満たす領域である。なお、以下において、(|Vi(n)−Vo(n)|)を電池電圧の乖離量ΔVioという。
二次電池10は、劣化が進むにつれて電池抵抗が増加する。よって、二次電池10の劣化度合は、電池抵抗の変化の割合(抵抗変化率)によって推定することが可能である。抵抗変化率は、二次電池10の初期状態(新品時)の電池抵抗(初期電池抵抗)に対する、現在の二次電池10の電池抵抗である。二次電池10の劣化度合は、具体的には、次のように算出することができる。所定周期で、電池情報(電池電圧Vb、電池電流Ib、電池温度Tb)を取得し、その電池情報から電池抵抗を算出し抵抗変化率を求める。そして、過去所定期間内に求められた複数の抵抗変化率を演算する(例えば平均値を算出する)ことで、二次電池10の劣化度合を算出する。
しかし、本例の二次電池10は、充電率(SOC)の一部にヒス領域Hが存在するため、正確に二次電池10の劣化度合を算出することが困難である。すなわち、充電率がヒス領域Hにあるときに検出した電池情報(電池電圧Vb、電池電流Ib、電池温度Tb)から電池抵抗を算出し抵抗変化率を求めても、その抵抗変化率は充放電履歴によって変動するものである。よって、その抵抗変化率をそのまま演算に用いて劣化度合を算出してしまうと、正確な劣化度合を得ることができない。そこで、充電率がノンヒス領域NHにあるときに検出した電池情報から算出された抵抗変化率のみを用いて劣化度合を算出することも考えられるが、その場合には抵抗変化率を得られる機会が減り、二次電池10の劣化の推定精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態の二次電池の劣化推定装置12は、充電率がヒス領域にあるときに検出した電池情報から求められた抵抗変化率を劣化度合の算出に用いるが、その抵抗変化率の寄与度を低下させて劣化度合の算出を行なう。
<SOC及び抵抗変化率の算出処理>
次に、本実施形態の二次電池の劣化推定装置12が行う処理について詳細に説明する。まず、制御部28は、所定周期Δt1で、充電率(SOC)及び抵抗変化率を算出する。図4は、制御部28が所定周期Δt1で実行する充電率(SOC)及び抵抗変化率の算出処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、S100で、制御部28は、電圧センサ22の検出電圧値(電池電圧Vb)を取得する。次に、S102で、制御部28は、電流センサ24の検出電流値(電池電流Ib)を取得する。次に、S104で、制御部28は、温度センサ26の検出温度(電池温度Tb)を取得する。
S106で、制御部28は、電池電圧Vb、電池電流Ib及び電池温度Tbのいくつかを用いて充電率(SOC)を算出する。SOCの算出方法には種々の方法があるが、例えば、特開2008−241246号公報に記載されている電池モデル式を用いたSOCの推定方法(算出方法)を使用することができる。具体的には、電池電圧Vbおよび電池温度Tbを入力として、電池モデル式に従って二次電池10の内部状態を推定する。そして、その推定結果に基づいてSOCを算出する。
次に、S108で、制御部28は、抵抗変化率算出部40として機能し、電池電圧Vb、電池電流Ib及び電池温度Tbを用いて二次電池10の抵抗変化率grを算出する。抵抗変化率grは、現時点の電池抵抗Raと、初期状態(新品時)の電池抵抗(初期電池抵抗)Ranとの比率(Ra/Ran)である。例えば、二次電池10の出荷時に初期電池抵抗Ranを測定して予め記憶部30に記憶しておき、Vb,Ib及びTbから現時点の電池抵抗Raを公知の方法で算出することで、抵抗変化率grを求めることができる。なお、初期電池抵抗Ranは、二次電池10の出荷時の電池抵抗に限らず、二次電池10の使用がある程度進んだ時点における電池抵抗であっても良い。
また、抵抗変化率grの算出方法は、特開2008−241246号公報に記載されている電池モデル式を用いた算出方法であっても良い。Vb,Ib及びTbと、現在の電池状態に対応する初期電池抵抗Ranとを用いて、電池モデル式により抵抗変化率grを算出する。
次に、S110で、制御部28は、算出されたSOCと抵抗変化率grとを対応付けて記憶部30に記憶する。図4のフローを、制御部28が、所定周期Δt1で実行することにより、SOC及び抵抗変化率grの組合せからなる情報が複数得られることになる。
<劣化度合の算出処理>
次に、制御部28が実行する二次電池10の劣化度合の算出処理について説明する。制御部28は、劣化度合算出部42として機能し、過去所定期間内(ΔtPD内)に図4のフロー(SOC及び抵抗変化率の算出処理)を複数回実行することにより得られた複数の抵抗変化率から二次電池10の劣化度合を算出する。具体的には、制御部28は、ΔtPD内の複数の抵抗変化率のそれぞれに寄与度を設定し、設定した寄与度に応じてそれらを演算することで二次電池10の劣化度合を算出する。図5は、制御部28が所定周期Δt2で実行する二次電池10の劣化度合の算出処理の流れを示すフローチャートである。所定周期Δt2は、所定周期Δt1(図4のフローの実行周期)よりも長い時間である。
図5に示すように、S200〜S208で、制御部28(劣化度合算出部42)は、過去所定期間内(ΔtPD内)に得られた複数のSOCと抵抗変化率grとの組合せを1つずつ読み出し、読み出した抵抗変化率grに対して寄与度を設定していく。以下、具体的に、それについて説明する。
まず、S200で、劣化度合算出部42は、ΔtPD内に得られた1つの充電率(SOC)と抵抗変化率grとの組合せを読み出す。次に、S202で、劣化度合算出部42は、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認する。読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合(S202:Yes)には、S204で、劣化度合算出部42は、寄与度αをα2とし、その寄与度αを読み出された抵抗変化率grに設定する(寄与度αを抵抗変化率grに対応付ける)。本実施形態では、α2は1.0未満の値である。一方、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率ではない場合(S202:No)、すなわち、読み出されたSOCがノンヒス領域NHの充電率である場合には、S206で、劣化度合算出部42は、寄与度αをα1とし、その寄与度αを読み出された抵抗変化率grに設定する。本実施形態では、α1の値は1.0である。このように、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合には、読み出されたSOCがノンヒス領域NHの充電率である場合に比べて、より低い寄与度αを抵抗変化率grに設定する。換言すれば、二次電池10のSOCがヒス領域Hの充電率にあるときに検出した電池電圧Vb、電池電流Ib、および電池温度Tbにより算出された抵抗変化率grには、二次電池10のSOCがノンヒス領域NHの充電率にあるときに検出したVb、Ib、およびTbにより算出された抵抗変化率grに比べて、より低い寄与度αを設定する。
次に、S208で、劣化度合算出部42は、ΔtPD内で得られた全てのSOCと抵抗変化率grとの組合せを読み出したかを確認する。読み出していない組合せがある場合(S208:No)には、S200に戻り、次のSOCと抵抗変化率grとの組合せを読み出し、寄与度を設定する。一方、全ての組合せを読み出した場合(S208:Yes)には、S210に進む。
次に、S210で、劣化度合算出部42は、読み出された複数の抵抗変化率grとそれらの各々に設定された寄与度αから二次電池10の劣化度合を算出する。本実施形態では、抵抗変化率grの各々に設定された寄与度αで各々の抵抗変化率grを重み付けし、重み付けした抵抗変化率gr同士を加算することで劣化度合を算出する。具体的な算出方法を以下に示す。読み出された抵抗変化率grの数をm個とし、各々の抵抗変化率をgr#i(i=1〜m)とし、各々の抵抗変化率gr#iに設定された寄与度をα#i(i=1〜m)とする。そして、まず、寄与度の合計値αtoを、次の(数1)式により算出する。
次に、二次電池10の劣化度合DRを、次の(数2)式により算出する。
上記のように寄与度に応じて抵抗変化率を重み付けして劣化度合を算出することで、ヒス領域Hの充放電履歴によって変動する抵抗変化率の寄与度は低く設定されているため、正確に二次電池10の劣化度合を算出することができる。
次に、S212で、制御部28は、S210で算出された劣化度合に応じてインバータ20を制御し、二次電池10の入出力を制限する。つまり、劣化度合の値が大きい(二次電池の劣化が進んでいる)場合には、二次電池10の劣化がさらに進むのを抑制するために、二次電池10の入出力を制限する。これは、例えば、電池温度に対する二次電池10の入出力範囲を狭くすることにより行う。具体的には、二次電池10の電池温度が所定温度以上では二次電池10の入出力をしない等の制限を行う。また、二次電池10の入出力制限は、例えば、SOCに対する二次電池10の入出力範囲を狭くすることにより行う。具体的には、二次電池10のSOCが第1所定値以上では二次電池10の入力をしない、あるいは、二次電池10のSOCが第2所定値以下では二次電池10の出力をしない等の制限を行う。以上説明した図5のフローを、制御部28は所定周期Δt2で実行する。
<本実施形態における効果>
以上説明した本実施形態の二次電池の劣化推定装置12は、二次電池10の充電率が有意なヒステリシスが生じる充電率範囲(ヒス領域H)にあるときに検出した電池電圧Vb、電池電流Ib、および電池温度Tbにより算出された抵抗変化率grの寄与度αを低下させて劣化度合を算出する。すなわち、充放電履歴によって変動する抵抗変化率grの寄与度αを低下させて劣化度合を算出する。よって、正確に二次電池10の劣化度合を算出することができる。また、二次電池10の充電率がノンヒス領域にあるときに検出したVb、Ib、およびTbにより算出された抵抗変化率grのみを用いて劣化度合を算出する場合に比べて、抵抗変化率grを得られる機会が増えるので、劣化度合の推定精度を向上することができる。正確に二次電池10の劣化度合が得られることで、二次電池10の入出力制御を精度良く行なうことが可能となる。それにより、二次電池10の電池寿命を向上することができ、二次電池10の過剰な入出力制限が抑制されることで電動車両の燃費を向上することができる。
<電池温度により寄与度を変更する実施形態>
次に、別の実施形態である電池温度により寄与度を変更する実施形態について説明する。本例の二次電池10は、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRio(充電継続後の電池抵抗と放電継続後の電池抵抗との差)、あるいは、ヒス領域Hにおける電池電圧の乖離量ΔVio(充電継続後にさらに充電した時の電池電圧と、放電継続後に充電した時の電池電圧との差)が、電池温度Tbが低くなるほど大きくなる。そこで、この実施形態では、二次電池10の充電率がヒス領域Hにあるときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを、Tbが低くなるほど低下させる。それにより、Tbが低いことで変動が大きい抵抗変化率grによって、劣化度合の算出精度が悪化してしまうことを抑制する。
図6は、この実施形態における二次電池10の劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。図6のフローチャートと、以上で説明した図5のフローチャートとの違いは、図6のフローチャートにおいてS300,S304〜S308のステップが変更または追加されている点である。その他のステップは同じであるため、それらのステップについては基本的に説明を省略する。
図6に示すように、S300で、制御部28(劣化度合算出部42)は、過去所定期間内(ΔtPD内)に得られた1つの充電率(SOC)と抵抗変化率grと電池温度Tbとの組合せを読み出す。ここで、以上で説明した図4のフロー(SOCと抵抗変化率grの算出処理)のS110では、充電率(SOC)と抵抗変化率grとを組み合わせて記憶部30に記憶していたが、この実施形態では、さらに電池温度Tbを組み合わせて記憶部30に記憶しておく。それにより、図6のS300で、充電率(SOC)と抵抗変化率grと電池温度Tbとの組合せを読み出せるようにしておく。
次に、S302で、劣化度合算出部42は、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認する。読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合(S302:Yes)にはS304に進む。S304で、劣化度合算出部42は、読み出された電池温度Tbが閾値Tth1以下であるかを確認する。読み出された電池温度Tbが閾値Tth1以下ではない場合(S304:No)は、S308で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα21に設定する。α21は、α1(SOCがノンヒス領域NHの充電率である場合の寄与度)以下の値である。一方、読み出された電池温度Tbが閾値Tth1以下である場合(S304:Yes)は、S306で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα22に設定する。α22は、α21より小さい値であり、この実施形態では電池温度Tbに応じてα22の値を変化させる。図7は、電池温度Tbに対する寄与度α22の設定例を示す図である。図7のグラフは、例えば予め記憶部30に記憶しておく。図7のグラフでは、電池温度Tbが低くなるほど寄与度α22を小さくし、電池温度Tbが閾値Tth2以下では寄与度α22を0にしている。劣化度合算出部42は、図7のグラフを用いて電池温度Tbに対応する寄与度α22を取得し、その寄与度α22(=α)を抵抗変化率grに設定する。なお、図7のグラフは、一次関数により電池温度Tbに対する寄与度α22が規定されているが、電池温度Tbが低くなるほど寄与度α22を小さくするように規定されていれば良く、例えば、二次関数あるいは指数関数などにより電池温度Tbに対する寄与度α22が規定されていても良い。
図6に戻り、S306〜S310のいずれかにおいて抵抗変化率grに寄与度αを設定した後は、S312に進み、劣化度合算出部42は、全ての抵抗変化率grに寄与度αを設定するまでS300〜S312の処理を繰り返す。そして、S314で、劣化度合算出部42は、二次電池10の劣化度合を算出する。
以上説明した実施形態の二次電池の劣化推定装置12は、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRio(または、電池電圧の乖離量ΔVio)が大きくなる電池温度Tbが低温時にあるときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを低く設定し、劣化度合を算出する。すなわち、電池温度Tbが低温であることによって、より大きく変動する抵抗変化率grの寄与度αを低下させて、劣化度合を算出する。よって、この実施形態によれば、より正確に二次電池10の劣化度合を算出することができる。
以上説明した実施形態では、図6のフローにおいて、電池温度Tbが閾値Tth1以下である場合(S304:Yes)には、S306で、電池温度Tbが低くなるに従って寄与度α(α22)を小さくなるように設定した(図7参照)。しかし、電池温度Tbが閾値Tth1以下である場合(S304:Yes)に、S306で、寄与度α(α22)を所定値(例えば0)に設定するようにしても良い。
また、以上説明した実施形態では、SOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認(S302)し、電池温度Tbが閾値Tth1以下であるかを確認(S304)することによって、抵抗変化率grに寄与度αを設定した。しかし、SOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認するステップ(S302)を省略し、電池温度Tbが閾値Tth1以下であるかを確認するステップ(S304)のみによって、抵抗変化率grに寄与度αを設定しても良い。すなわち、電池温度Tbのみに基づいて抵抗変化率grに寄与度αを設定しても良い。
<休止時間により寄与度を変更する実施形態>
次に、さらに別の実施形態である休止時間により寄与度を変更する実施形態について説明する。本例の二次電池10は、充電継続後または放電継続後に二次電池10が休止していた時間(電池電流Ibが0Aであった時間)が長くなる程、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRi(またはヒス領域Hにおける電池電圧の乖離量ΔVio)が小さくなる。換言すれば、図3を用いて説明した充電継続後または放電継続後における充電時の電圧挙動のグラフにおいて、充電継続後または放電継続後の休止時間Δtpが長くなるほど、その後の充電時の電池電圧の挙動の差(乖離量ΔVio)は小さくなる。そこで、この実施形態では、二次電池10の休止時間によって抵抗変化率grに設定する寄与度αを変更する。具体的には、SOCがヒス領域Hの充電率にあるときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを、電池情報の検出前に二次電池10が休止ししていた時間(休止時間Δtp)が長い場合に、上昇させる。
図8は、この実施形態における二次電池10の劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートと、以上で説明した図5のフローチャートとの違いは、図8のフローチャートにおいてS400,S404〜S408のステップが変更または追加されている点である。その他のステップは同じであるため、それらのステップについては基本的に説明を省略する。
図8に示すように、S400で、制御部28(劣化度合算出部42)は、過去所定期間内(ΔtPD内)に得られた1つの充電率(SOC)と抵抗変化率grと休止時間Δtpとの組合せを読み出す。ここで、以上で説明した図4のフロー(SOCと抵抗変化率grの算出処理)のS110では、SOCと抵抗変化率grとの組合せを記憶部30に記憶していたが、この実施形態では、さらに休止時間Δtpを組み合わせて記憶部30に記憶しておく。それにより、図8のS400で、充電率(SOC)と抵抗変化率grと休止時間Δtpとの組合せを読み出せるようにしておく。なお、休止時間Δtpは、例えば次のように取得することができる。図4のフロー(所定周期Δt1で実行されるフロー)で、S102で取得される電池電流Ibを記憶部30に記憶(各周期でIbを記憶部30に記憶)しておく。そして、図4のフローにおいて、例えばSOCを算出するタイミング(S106)で、記憶部30に記憶されている過去の複数の電池電流Ib(電池電流Ibの履歴)を読み出し、その電池電流Ibの履歴から、現在の図4のフローの実行前に電池電流Ibが0Aであった時間(休止時間ΔTp)を算出する。具体的には、電池電流Ibの履歴を、最新のものから過去のものに向かって遡って確認していくことにより、直近の電池電流Ibが0Aであった時間(休止時間ΔTp)を算出する。
次に、図8のS402で、劣化度合算出部42は、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認する。読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合(S402:Yes)にはS404に進む。S404で、劣化度合算出部42は、読み出された休止時間Δtpが閾値t#th1以上であるかを確認する。読み出された休止時間Δtpが閾値t#th1以上ではない場合(S404:No)は、S408で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα24に設定する。α24は、α1(SOCがノンヒス領域NHの充電率である場合の寄与度)より小さい値である。一方、読み出された休止時間Δtpが閾値t#th1以上である場合(S404:Yes)は、S406で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα23に設定する。α23は、α24より大きい値であり、α1以下の値である。このように、休止時間Δtpが長い場合(閾値t#th1以上である場合)には、短い場合(閾値t#th1未満である場合)に比べて、高い寄与度α(α23)を抵抗変化率grに設定する。
次に、S406〜S410のいずれかにおいて抵抗変化率grに寄与度αを設定した後は、S412に進み、劣化度合算出部42は、全ての抵抗変化率grに寄与度αを設定するまでS400〜S412の処理を繰り返す。そして、S414で、劣化度合算出部42は、二次電池10の劣化度合を算出する。
以上説明した実施形態の二次電池の劣化推定装置12は、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRio(または、電池電圧の乖離量ΔVio)が小さくなる直前の休止時間Δtpが長時間であるときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを高く設定し、劣化度合を算出する。すなわち、休止時間Δtpが長時間であることによって変動量が小さい抵抗変化率grの寄与度αを高くして、劣化度合を算出する。これにより、SOCがヒス領域Hの充電率であっても変動量が小さい抵抗変化率grの寄与度αを過剰に下げることなく、その抵抗変化率grをより有効に劣化度合の算出に用いることができる。
<ΔSOCにより寄与度を変更する実施形態>
次に、さらに別の実施形態であるΔSOC(単位時間あたりのSOCの変動量)により寄与度を変更する実施形態について説明する。本例の二次電池10は、充放電履歴においてSOCの変動量が小さい程、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRi(またはヒス領域Hにおける電池電圧の乖離量ΔVio)が小さくなる。換言すれば、図3を用いて説明した充電継続後または放電継続後における充電時の電圧挙動のグラフにおいて、その充電継続または放電継続における単位時間あたりのSOCの変動量(ΔSOC)が小さくなるほど、その後の充電時の電池電圧の挙動の差(乖離量ΔVio)は小さくなる。そこで、この実施形態では、二次電池10のΔSOCによって抵抗変化率grに設定する寄与度αを変更する。具体的には、SOCがヒス領域Hの充電率にあるときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを、電池情報の検出前の単位時間あたりのSOCの変動量(ΔSOC)が小さい場合に、上昇させる。
図9は、この実施形態における二次電池10の劣化度合を算出する処理の流れを示すフローチャートである。図9のフローチャートと、以上で説明した図5のフローチャートとの違いは、図9のフローチャートにおいてS500,S504〜S508のステップが変更または追加されている点である。その他のステップは同じであるため、それらのステップについては基本的に説明を省略する。
図9に示すように、S500で、制御部28(劣化度合算出部42)は、過去所定期間内(ΔtPD内)に得られた1つの充電率(SOC)と抵抗変化率grとΔSOCとの組合せを読み出す。ここで、以上で説明した図4のフロー(SOCと抵抗変化率grの算出処理)のS110では、SOCと抵抗変化率grとの組合せを記憶部30に記憶していたが、この実施形態では、さらにΔSOCを組み合わせて記憶部30に記憶しておく。それにより、図9のS500で、SOCと抵抗変化率grとΔSOCとの組合せを読み出せるようにしておく。なお、ΔSOCは、例えば次のように取得することができる。図4のフローを所定周期Δt1で実行することで、記憶部30には、複数のSOC(SOCの履歴)が記憶されている。図4のフローにおいて、例えばSOCを算出するタイミング(S106)で、記憶部30に記憶されているSOCの履歴を読み出し、そのSOCの履歴から、直近の単位時間における最大のSOC(SOC#max)と最小のSOC(SOC#min)とを抽出する。そして、SOC#maxとSOC#minとの差(SOC#max−SOC#min)をΔSOCとして取得する。
次に、図9のS502で、劣化度合算出部42は、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認する。読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合(S502:Yes)にはS504に進む。S504で、劣化度合算出部42は、読み出されたΔSOCが閾値θth1以下であるかを確認する。読み出されたΔSOCが閾値θth1以下ではない場合(S504:No)は、S508で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα26に設定する。α26は、α1(SOCがノンヒス領域NHの充電率である場合の寄与度)より小さい値である。一方、読み出されたΔSOCが閾値θth1以下である場合(S504:Yes)は、S506で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα25に設定する。α25は、α26より大きい値であり、α1以下の値である。このように、ΔSOCが小さい場合(閾値θth1以下である場合)には、大きい場合(閾値θth1より大きい場合)に比べて、高い寄与度α(α25)を抵抗変化率grに設定する。
次に、S506〜S510のいずれかにおいて抵抗変化率grに寄与度αを設定した後は、S512に進み、劣化度合算出部42は、全ての抵抗変化率grに寄与度αを設定するまでS500〜S512の処理を繰り返す。そして、S514で、劣化度合算出部42は、二次電池10の劣化度合を算出する。
以上説明した実施形態の二次電池の劣化推定装置12は、ヒス領域Hにおける電池抵抗の乖離量ΔRio(または、電池電圧の乖離量ΔVio)が小さくなるΔSOCが小さいときに検出した電池情報(Vb,Ib,Tb)により算出された抵抗変化率grの寄与度αを高く設定し、劣化度合を算出する。すなわち、ΔSOCが小さいことによって変動量の少ない抵抗変化率grの寄与度αを高くして、劣化度合を算出する。これにより、SOCがヒス領域Hの充電率であっても変動量が小さい抵抗変化率grの寄与度αを過剰に下げることなく、その抵抗変化率grをより有効に劣化度合の算出に用いることができる。
10 二次電池、12 二次電池の劣化推定装置、14 モータジェネレータ、16 正極ライン、18 負極ライン、20 インバータ、22 電圧センサ、24 電流センサ、26 温度センサ、28 制御部、30 記憶部、40 抵抗変化率算出部、42 劣化度合算出部。
次に、S210で、劣化度合算出部42は、読み出された複数の抵抗変化率grとそれらの各々に設定された寄与度αから二次電池10の劣化度合を算出する。本実施形態では、抵抗変化率grの各々に設定された寄与度αで各々の抵抗変化率grを重み付けし、重み付けした抵抗変化率gr同士を加算することで劣化度合を算出する。具体的な算出方法を以下に示す。読み出された抵抗変化率grの数をm個とし、各々の抵抗変化率をgr_i(i=1〜m)とし、各々の抵抗変化率gr_iに設定された寄与度をα_i(i=1〜m)とする。そして、まず、寄与度の合計値αtoを、次の(数1)式により算出する。
次に、図8のS402で、劣化度合算出部42は、読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率であるかを確認する。読み出されたSOCがヒス領域Hの充電率である場合(S402:Yes)にはS404に進む。S404で、劣化度合算出部42は、読み出された休止時間Δtpが閾値t_th1以上であるかを確認する。読み出された休止時間Δtpが閾値t_th1以上ではない場合(S404:No)は、S408で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα24に設定する。α24は、α1(SOCがノンヒス領域NHの充電率である場合の寄与度)より小さい値である。一方、読み出された休止時間Δtpが閾値t_th1以上である場合(S404:Yes)は、S406で、劣化度合算出部42は、読み出された抵抗変化率grの寄与度αをα23に設定する。α23は、α24より大きい値であり、α1以下の値である。このように、休止時間Δtpが長い場合(閾値t_th1以上である場合)には、短い場合(閾値t_th1未満である場合)に比べて、高い寄与度α(α23)を抵抗変化率grに設定する。
図9に示すように、S500で、制御部28(劣化度合算出部42)は、過去所定期間内(ΔtPD内)に得られた1つの充電率(SOC)と抵抗変化率grとΔSOCとの組合せを読み出す。ここで、以上で説明した図4のフロー(SOCと抵抗変化率grの算出処理)のS110では、SOCと抵抗変化率grとの組合せを記憶部30に記憶していたが、この実施形態では、さらにΔSOCを組み合わせて記憶部30に記憶しておく。それにより、図9のS500で、SOCと抵抗変化率grとΔSOCとの組合せを読み出せるようにしておく。なお、ΔSOCは、例えば次のように取得することができる。図4のフローを所定周期Δt1で実行することで、記憶部30には、複数のSOC(SOCの履歴)が記憶されている。図4のフローにおいて、例えばSOCを算出するタイミング(S106)で、記憶部30に記憶されているSOCの履歴を読み出し、そのSOCの履歴から、直近の単位時間における最大のSOC(SOC_max)と最小のSOC(SOC_min)とを抽出する。そして、SOC_maxとSOC_minとの差(SOC_max−SOC_min)をΔSOCとして取得する。

Claims (1)

  1. 二次電池の劣化推定装置であって、
    前記二次電池の電池電圧を検出する電圧センサと、
    前記二次電池の電池電流を検出する電流センサと、
    前記二次電池の電池温度を検出する温度センサと、
    所定周期で、検出した電池電圧、電池電流、および電池温度に基づいて前記二次電池の抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出部と、
    過去所定期間内に算出された複数の前記抵抗変化率を、設定した寄与度に応じて演算することで前記二次電池の劣化度合を算出する劣化度合算出部と、を備え、
    前記二次電池は、その充電率に対する電池抵抗が、充電継続後と放電継続後とで一定以上異なる有意なヒステリシスが一部の充電率範囲で生じており、
    前記劣化度合算出部は、
    前記二次電池の充電率が前記有意なヒステリシスが生じる充電率範囲にあるときに検出した電池電圧、電池電流、および電池温度により算出された前記抵抗変化率の寄与度を低下させて前記劣化度合を算出する、
    ことを特徴とする二次電池の劣化推定装置。
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