JP2005126928A - 建築駆体内の内部構造体支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄骨又は鉄筋コンクリート等の建築駆体内の住戸空間に、これと独立して組立収納される内部構造体を組付、分解容易に収容支持させる。
【解決手段】 この発明の支持構造は、鉄骨又は鉄筋コンクリート等からなる建築駆体A内に形成された住戸空間S内に、該建築駆体Aから独立した外周壁を備え且つ住戸空間S内で組み立てられる内部構造体Cを収容設置する建築構造である。
該内部構造体Cの外周と住戸空間Sの内面との間に、内部構造体Cと住戸空間Sの内面との寸法誤差を調整する調整間隙Hを設けるとともに内部構造体Cを建築駆体A側に調節可能に固定又は支持させる調節部材を設けてなる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、主としてマンションその他の集合住宅やオフィスビル又はホテル等の建設において建築駆体内に居住用住戸等の内部構造体を組立収容して支持させる支持構造に関する。
従来、主としてマンション等の集合住宅の建築において、その建築コストの低減や建築の能率を向上させるために、鉄筋コンクリートや鉄骨構造物からなる建築駆体の個別の住戸空間に、予め工場生産によって製造された枠状ユニットを収容設置し、その内部に部屋ユニットを収容してセットする方法(特許文献1)、住戸全体を分割してユニット化して住戸空間に収容設置し、それぞれを連結する方法(特許文献2)、バスルームやクローゼット、トイレ等の機能別の単体ユニットと間仕切りパネルを住戸空間内に収容して設置する工法、及び建築駆体内に施工される間仕切りパネルは、該間仕切りパネルの下部をプラグアンカーによって床スラブに固定した状態で、上部を天井スラブに固定した上辺固定具に連結して立設支持する組立て手段がある。(特許文献3)
特開平11−200498号公報(第3頁、第3図) 特開平8−184204号公報(第3頁、第4図) 特開平8−312168号公報(第5頁、第13図)
しかし上記従来技術においては、いずれもユニット部分を工場生産できるために生産の合理化やコスト低減、現場作業の省力化等が実現できる利点があるが、次のような問題がある。(1)ユニット化された内部構造物は、工場で完成した後、車両輸送やクレーンによる積み降ろし及び現場工事での吊り上げや収納等の取り扱いに対応する強度が求められるために、全体を囲むフレーム構造や吊り上げ荷重が集中する部分は高強度の鉄骨や鉄筋が必要であり、全体として取り扱いに不便な重量物となり、本来内部構造物としては必要のない強度を負荷することによる高コスト化を免れない。
(2)また大型クレーンや大型車両等の搬送手段を必要とするほか、建築駆体に対する収納設置のためにも収納用のレール,キャスターその他の移動及び案内手段を必要とする。
(3)さらに上記ユニットの大半は施工現場での溶接やコンクリートの現場打ち作業を必要とするほか、これらのユニットを設置するために建築駆体に特別の構造を持たせる必要がある等の欠点がある。
(4)その他上記のような各種の問題点はいずれも各住戸の住宅設計やデザインの制約を受けるため、そのコストや工事方法の制約により設計の自由度が乏しく且つ住戸全体のリフォームも大きく制約を受け、全体のリフォームは殆ど不可能である等の欠点がある。
(5)また建築駆体内に施工される間仕切りパネルは、床スラブに固定した状態で上部を天井スラブに固定した上辺固定具に対し、単に連結するだけの取付け手段によって支持されるため、間仕切りパネルが傾いて組立てられた場合の修正が困難であると共に、間仕切りパネルが人体の衝突等によって強く押圧されたとき支持力が不足し周壁側に押動されたり変形を伴う等の問題がある。
上記課題を解決するために本発明の建築駆体の居住用住戸構造は、第1に、建築駆体A内に形成された住戸空間S内に、該建築駆体Aから独立した外周壁を備え且つ住戸空間S内で組み立てられる内部構造体Cを収容設置する建築構造であって、該内部構造体Cの外周と住戸空間Sの内面との間に、内部構造体Cと住戸空間Sの内面との寸法誤差を調整する調整間隙Hを設けるとともに内部構造体Cを建築駆体A側に調節可能に固定又は支持させる調節部材を設けてなることを特徴としている。
第2に、調整部材が住戸空間Sの床面上に配置されて内部構造体Cを支持し且つレベル調節を行うレベル調節部材9であることを特徴としている。
第3に、調節部材が内部構造体Cの上部と住戸空間Sの天井面との間に設けられ、内部構造体Cを住戸空間Sの底面側に押圧力を作用させる状態で保持される天井隙間調節具20であることを特徴としている。
第4に、調節部材が内部構造体Cの外周壁側と住戸空間Sの内周壁との間に設けられ、内部構造体Cをその外周側より住戸空間Sの内側に向かって押圧するように保持される隙間調節部材10であることを特徴としている。
第5に、調節部材が内部構造体Cの外周側に進退調節可能に突出して保持されるボルト27を備え、該ボルト27の先端側が住戸空間Sの内周壁又は天井面に押接されることを特徴としている。
第6に、ボルト27の操作端であるボルトヘッド側を、内部構造体C内より回動操作可能に内部構造体Cの内側に露出させて取り付けたことを特徴としている。
第7に、調節部材が住戸空間Sに対して内部構造体Cの姿勢決め及び位置決めを伴って固定又は支持することを特徴としている。
第8に、内部構造体Cが柱状部材2及び横材1,3を用いた軸組によって組み立てられることを特徴としている。
以上のように構成される本発明の構造体支持構造は、次のような効果を奏する。
建築駆体A内の住戸空間と内部構造体との間に調整間隙を設けたので、内部で組立てられる内部構造体の外寸に対して住戸空間の内寸が歪みや成形・組立誤差等により不足しても、それが調整間隙の許容範囲内であれば、内部構造体を寸法修正や構造修正なしに内部で組み立てることが可能である。
また調節部材は、建築駆体に対する内部構造体のレベル調節や上下方向の固定又は支持、前後左右方向の固定等を実際に形成された調整間隙の広狭に応じて進退又は厚み調節しながら行うことができ、結果として内部構造体を外周方向から内向きに押圧して均一な力で簡単な構造及び作業で正しい姿勢での支持ができる。
このため住戸空間の周壁や床面及び天井面に対して直接取付固定して内装を行う必要がなく、独立した内部構造体の内部での組立固定が実現できるので、内装工事が迅速で能率的になり、デザインの自由度も高い。そしてリフォームに適し解体も簡単であるほか、解体後の資材の再利用にも便利である。
また単一の構造体(剛体)として組み立てられた内部構造体を住戸空間内の全外周方向から均一に押圧支持するので、耐震性も高く地震に対しても外力を内部構造体全体に受けるために破損や変形等が少ないという効果がある。
しかも建築物としての住宅,ホテル,オフィスビル等は、建築駆体自体によりその設計上の強度が与えられており、内部構造体には内装構造物としての強度以上の強度は求められないので、上記内部構造物は寸法,材質,軸組強度等の面では比較的簡易な構造物にできる利点もある。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3はこの発明を実施した集合住宅(マンション)の施工例を示す間取り図と縦横の断面図を示す。
この例では、鉄骨又は鉄筋コンクリート等によりなる建築駆体A内に床を構成する床スラブF1と、天井を構成する天井スラブF2,前後左右の周壁W(W1〜W4)とによって、個々の住宅内部スペースとなる住戸空間Sが略直方体状に形成されており、必要箇所に柱体P,縦横の梁部B1,B2が設けられている。
上記住戸空間S内にはその床面と天井面及び前後左右の周壁面の平面及び凹凸面に沿うように内部構造体C(以下単に構造体と称す)が設置されている。同図面では表示を省略するが、この構造体Cと住戸空間Sの天井面及び前後左右の周壁内面との間には、構造体Cの外径寸法に対する建築駆体Aの建築時の寸法誤差を許容し、且つその住戸空間S内での構造体Cの組立を容易にするための僅かな施工用の隙間(例えばそれぞれ10mm程度又はそれ以上)が設けられている。
構造体Cはその下部構造を構成する土台又は根太等からなる下部横材1と、該下部横材1又はその交点上に立設される内部材としての柱部材2と、該柱部材2,2・・間に横設される梁状の横材(梁部材)3とを構造部材(主材)として構成される。これらの構造部材はいずれも木材であり強度、加工精度の確保、加工後の変形防止のためには集成材又は木材チップを積層したOSB等のような配向性部材(積層材)が望ましい。
上記下部横材1と柱部材2及び梁材3とは、いずれも軸組構造によって軸組みされ、この軸組みは、作業が可能な限り柱部材2の木口に予め仕口加工を施して行なう伝統的な軸組工法を採用することができるが、作業能率及びリフォーム時の解体作業の便宜等を考慮すると、本件発明者の提案に係る特許第2879392号,同第2867127号,同2964126号,実用新案登録第2593562号に記載のワンタッチ着脱自在な金具等の軸組具を用いることが望ましい。
また上記構造体Cの組立ては、木口加工も含めて柱状又は梁状に予め加工された木材を住戸空間S内に搬入してその内部で行なわれ、先ず通常の一戸建て木造住宅の場合と同様に、土台及び根太からなる下部横材1を床形状に沿って床スラブF1の床面上に枠組みしながら連結配置する。
このとき床面が水平な平坦面に仕上げられている場合はそのままでよいが、不陸がある場は、床板5と床スラブF1との間に、後述する不陸調整手段として、レベル及び支持点高さ調整用のスペーサやジャッキ等のレベル調節部材9を所定の配置を以て複数介挿する。
この複数のレベル調節部材9は、床面全体の不陸の程度に応じて床支持高さを調整し、床板5を床スラブF1から所定の高さ位置に床下間隙を形成し水平状に敷設することができる。この後、床板5に設置した下部横材1介し又は直接的に柱部材2を立設し構造体Cの組立てが行なわれ、必要によって床下間隙には配線類が施工される。
一方、組立てられる下部横材1,柱部材2,横材3等は、その適所が前記住戸空間Sに介挿される隙間調節部材10によって周壁W側から内側に向けて押圧さされることにより張り支持(押圧付勢支持)されることにより、構造体Cの全体を建築駆体A内で隙間Hを維持することができ、また構造体Cの構造枠を前後左右から締め付け状態とすることによって剛体枠構造にする。
上記下部横材1は後述する柱部材2のイレギュラー配置をする場合を除き、前後方向及び左右方向共に標準となるピッチ(例えば1P=910mm)毎の平行線(例えばX1〜X9,Y1〜Y11のピッチ線)上に配置されるのを原則とし、柱部材2や仕切壁その他ガスや上下水道、電気配線等の配管スペース(PS)等の都合によりイレギュラーに配置する場合も可能な限り、ピッチ線間の1/2P(=455mm)の位置に配置するようになっている。
そして床板5を支える根太5aも1/2P間隔で大引5bや土台間に軸組配置され、ユニットバスやユニットトイレ等を設置する場合は、これらが直接床スラブF1の床面状に載置することも可能である。
さらに柱部材2も上記同様にピッチ線X1〜X9,Y1〜Y11上に立設されるのを基本とし、必要に応じてイレギュラー配置される。図示する例では左右の壁中の柱部材2はすべてのピッチ線上に配置されており、前後端の柱部材2は例えば玄関ドア等の扉4や窓のサッシ部6の幅の関係でイレギュラー配置が多くなっている。
これに対し、下部構造以外の横材(梁部材)3はピッチ線X1〜X9,Y1〜Y11のような標準間隔(隣接間隔)をもって配置される必要はなく、図2,図3に示すように各仕切壁7の下端部,サッシ6の上下端部,構造体C内の各室(部屋)の天井パネル8の高さ位置,柱部材2の上端間に横設されている。そしてこの横材3の断面形状や断面寸法は、壁構造や天井パネル8の設置構造に応じて任意な断面形状に形成されるので必ずしもすべてが一様な断面ではない。
尚、上段の横材3と天井パネル8との間に形成される比較的広い空間は、例えば特願2002−144107号の明細書及び図面に示されるような天井収納家具の収納スペースとして利用することができる。
次に、図4〜図9を参照し上記のような構造体Cに実施される、前記レベル調節部材9及び床の敷設構造並びに下部横材1,横材3,柱部材2,隙間調節部材10、並びにこれらを使用した建築工法等について説明する。
この構造体Cの床構造は図9で示すように、例えば床板5をレベル調節部材9によって大引5bを支持し調節する方式と、床パネルをレベル調節部材9によって直接的に支持し調節する方式が、構造体C及び部屋の仕様によって選択される。即ち、前者の床敷設構造は、床スラブF1上に配置した複数のレベル調節部材9,9・・によって大引5bを水平状にレベルをだして支持し、該大引5b上に前述の配置間隔を有して根太5a,5a・・を固定し、該根太5aの上に一側から他側に向けて床板5,5・・が順次敷設される。
また後者の床敷設構造は、例えばOA用床フロアーのように簡易型の床構造の場合は、方形ブロック状の床パネルを床スラブF1に配置されたレベル調節部材9に直接的に載置した状態で水平レベルをだして連結し構成される。そして、床スラブF1と床板5の間に形成される床下間隙内に各種の配線及び配管が施工される。
図示例のレベル調節部材9は、床スラブF1に載置する側の台座部9aに対し、床板5側を支持する受け座部9bをネジ部9cを介して高さ調節可能な、在来のものと同様なジャッキ式を用いている。(図4,図9)
このレベル調節部材9は図示例のものに限定することなく、図4に点線で示すような調節板9dを用いたレベル調節手段にすることができる。即ち、このレベル調節部材9は床板5を敷設する根太5aと床スラブF1との間隙に、断面を楔状に形成した左右一対の調節板9d,9dを互いに重ね合わせ、該重ね代を加減することにより高さ調節することができる。またこの他に、レベル調節部材9は配線類を内装して床スラブF1に沿設される配線容器(図示せず)を高さ調節可能に構成することができる。
次いで、水平状に敷設された床板5には、下部横材1を位置決めするための位置決め部材11が装着される。この位置決め部材11は図1で示されるような、間取りの輪郭に沿ってネジ或いは接着剤等の固定手段によって床板5上に固定される。また図示例の位置決め部材11は方形状断面の胴縁状の棒材で形成している。
下部横材1は角柱形状の平坦な上下面に中央部の長手方向に沿って、上記位置決め部材11及び柱部材2の端部に形成される軸部(仕口部)2aを嵌合せしめる形状の凹溝1aを穿設している。これにより下部横材1は側面視でH字状の断面形状となり、その平坦な前後面には後述する装着具12を圧入嵌合せしめる2条の取付溝13,15を穿設し、且つ隙間調節部材10を設置するための、複数のボルト孔16を所定の間隔を有し高さ方向の中心部に形成している。
また複数の柱部材2の上部を軸組み連結して横設される横材3は、上記下部横材1と略同形状の断面で太さ及び長さを使用される箇所に対応して形成される。この横材3は下側の凹溝1aに対し、下部横材1又は床板5或いは床スラブF1から立設される、柱部材2の軸部2aを嵌合して軸組み支持される。
そして、図9で示すように横材3の上側の凹溝1aには、角棒状のスペーサ部材17又は連結部材19が嵌合される。
図示例のスペーサ部材17は、天井スラブF2と横材3の間に形成される天井隙間Lにおいて、スペーサ部材17と凹溝1a間に打ち込み楔型の天井隙間調節具20を介挿することによって上方に持ち上げることができ、スペーサ部材17の上面を天井スラブF2に押接させることができる。(図9)
これによりスペーサ部材17は天井隙間調節具20を介し、天井スラブF2側から横材3を下方に強く押圧することができ、柱部材2を張り支持固定する。またスペーサ部材17は横材3の全長にわたって設けると、天井隙間Lを気密状態に遮蔽することができる。また図4で示すように、天井スラブF2から横材3を張り支持する押圧手段は、ネジジャッキ式の天井隙間調節具20を横材3を直接的に押圧するように設けるか、又は横材3に載置した載せ木20aを介して張り支持するように設けることができる。
また図9で示す横材3の凹溝1aに嵌合する連結部材19は、上方の突出部分に別の横材3の凹溝1aを嵌合させると、横材3の上部に別の横材3を連結設置することができ、且つ両者間を気密状に接合することができる。
同図では上記別の横材3と天井スラブF2側の横材3aとを仕切板3bで接続することにより、欄間状の上部仕切壁体3cを構成している。そして、横材3aと天井スラブF2との隙間に前記調節板9d,9dと同様な天井隙間調節具20を設け、上部仕切壁体3cを介して横材3を天井スラブF2側から張り支持している。
柱部材2は角柱の両端に前記下部横材1及び横材3の凹溝1aに嵌合する軸部2aを形成し、その前後面には下部横材1,横材3のものと同様な取付溝13とボルト孔16を形成している。また柱部材2の左右両側面には後述する壁板36取付け用の壁支持部材25或いは壁体25aを位置決め固定する凹溝状の支持溝26を形成している。(図7,図8)
上記のように構成した構造部材は、水平状に敷設された床板5に位置決め固定された位置決め部材11に対し、所定長さに形成された下部横材1が順次嵌合固定される。次いで各下部横材1の交点上で隅柱となる柱部材2が軸組みされ、下部横材1の中途部に柱間隔を有して間柱となる柱部材2が軸組みされる。次いで立設された複数の柱部材2,2・・の上部の軸部2aに、各対応する長さに形成された横材3がその凹溝1aを嵌合し軸組みされて梁を形成し、構造体Cの構造枠が構成される。
次いで、下部横材1,柱部材2,横材3等のボルト孔16に設けた隙間調節部材10を調整し、建築駆体Aとの間に隙間を形成し張り支持することによって、構造体Cを建築駆体A内に剛体構造で構成される。
図4〜図9を参照し隙間調節部材10について説明する。隙間調節部材10は下部横材1,横材3或いは柱部材2に穿設されたボルト孔16に対し、構造体Cの内側から挿入したボルト27と、ボルト孔16から突出したボルト27のネジ部に螺挿されるナット29等で構成される。そして、ボルト孔16は両端にボルト27の頭部とナット29を没入状に嵌挿する径大な嵌め孔30,30を前後対称形状に穿設形成される。
この構成により、ボルト27の頭部を締め込み方向に回動(緊締)すると、ボルト27の先端部は螺装されたナット29を介して突出し壁Wに接当する。次いでさらに同方向に回動すると、ボルト27は進動し壁Wを押圧する反作用によって、ナット29を介して柱部材2等の構造部材を住戸空間Sの内方に向けて押圧させる。
これにより図8で示すように、構造体Cの前後方向並びに左右方向のそれぞれにおいて、一方に位置する隙間調節部材10のボルト27を緊締する量と、他方に位置する隙間調節部材10のボルト27の緊締量を加減調節することにより、構造体Cの前後及び左右の位置決めを、壁Wの凹凸や構成部材の加工,組み付け誤差等に対応させて調整することができ、構造体Cの組立てを簡単且つ速やかに行うことができる。
即ち、傾倒状態で立設されている柱部材2を垂直姿勢に修正するときは、例えば横材3に設けた隙間調節部材10を修正方向に調節すると、該横材3を介し軸組されている柱部材2の修正を簡単に行うことができる。さらに柱部材2に設けられている隙間調節部材10を調節すると、柱全体を壁W側から押圧支持することができる。
そして、構造体Cの全周囲に設けた隙間調節部材10が調整されると、構造体Cは建築駆体A内で各隙間調節部材10が設置された個所で、壁W1〜W4側から構造体Cの全周囲を内方に向けて締め付け状態にすることができ、耐震性に優れた押圧支持状態で固定される。従って、地震等の振動や経年変化に伴う構造部材の狂いを低減することができる。また上記構成からなる隙間調節部材10は建築駆体A内への構造部材の位置決め施工を簡単に行うことができるから、建築コストを低減すると共に工期の短縮を図ることができる。
さらに隙間調節部材10は、構造体Cの内側にボルト27の頭部を位置させ調節操作を行なう構成にしているので、狭い隙間H内で工具を用いてボルト27の緊緩を行なう不便な隙間調整を行なうことがない。またボルト27の頭部はボルト孔16の嵌め孔30内に没入させることができるから、部材の表面から大きく突出することを防止できる。
従って、ボルト27の頭部側を柱部材2や横材3等の建築用内部材に装着具12を介して後付け装着される、後述する化粧板等の建築用外部材31によって簡単に覆い隠すことができる。
尚、実施に当たりナット29は嵌め孔30内で回り止めを行なう座金付きにすると、隙間H内にスパナを差し込んでナット29の回り止めを行なう作業を必要としない。
次に、図5〜図7を参照し構造体Cに実施される、前記建築用内部材に建築用外部材を装着する装着構造及び装着具について説明する。
図示例の建築用内部材(以下内部材と言う)は一定の厚み又は奥行きのある構造部材としての、柱部材2及び下部横材1,横材3が主体となる。
また建築用外部材(以下外部材と言う)31は上記内部材の表面を覆うように装着される板状部材であり、柱部材2に装着される化粧板及び縦板や横板等の壁板、並びに下部横材1及び横材3等に装着される裾板やなげし板等である。
先ず図5,図6で示す内部材としての柱部材2に対し外部材(化粧板)31を装着し柱の表面を覆う装着構造について説明する。柱部材2の表面側と外部材31の裏面側の相対応する位置には凹溝状の2条分の取付溝13,15がそれぞれ形成される。一方、装着具12は溝方向に沿って板状又は帯状をなし、その内端側と外端側をそれぞれ取付溝13と取付溝15内に圧入嵌合されて係止する厚さと巾を有して、プラスチック成形等によって可撓性を備えて形成される。
これにより三者の組付けは、先ず柱部材2の取付溝13に対し、装着具12の内端側を押し込み又は打ち込み等の圧入手段によって嵌合する。
次いで、柱部材2の表面から突出した装着具12の外端側に、外部材31の取付溝15を沿わせて位置決めし適宜な圧入手段によって押圧する。これにより外部材31は装着具12を介し柱部材2に簡単に装着することができる。
また外部材31は複数の装着具12の外端側に嵌合されるので、上下及び左右方向並びに装着方向への移動を防止ししっかりと装着することができる。また柱部材2に設けたボルト27及びボルト孔16は外部材31によって覆い隠すことができる。さらに逆順な動作によって外部材31及び隙間調節部材10の解除を行うことができるから、構造体Cを解体する際にその分解も簡単に行うことができる。
同図の外部材31は柱表面を装飾形成する平坦な化粧板を示すが、この装着構造によれば、柱部材2に圧入嵌合した装着具12に対し、図7で示すように、共通の取付溝15を有する別デザインの外部材31を自由に装着することもできる。即ち、図7の外部材31は柱部材2よりも広巾でその裏面側に柱部材2に嵌合させる嵌合凹部35を穿設し、外表面を滑らかな湾曲面で形成したデザインにしている。この例による外部材31は柱部材2に嵌め込んで装着することができ、例えば壁体25aから露出する柱部材2の両側コーナー部を外部材31で覆うことができる。また柱部材2の両側に突き合わせて組付けられる壁体25aとの合せ目(隙間)を外部材31の裏面側で覆って塞ぐこともでき、壁の機密性及び意匠性を高めることができる。
次に図4,図9を参照し構造体Cに形成される仕切壁7の壁構造について説明する。先ず相隣る柱部材2には側面に形成した支持溝26に沿って壁支持部材25が装着される。この壁支持部材25は立設された柱部材2に対し後付け作業によって装着するか、又は工場サイドにおいて予め柱部材2の両側面又は一側面に壁支持部材25を止めネジや釘又は接着剤等の固着手段によって一体的な柱構造物として製作される。
図示例の壁支持部材25は、その前後の一側面又は両側面に壁板36の裏面側に上下段に突出形成した係止部37を、係脱可能に係止する複数の取付部39を形成している。
上記係止部37は下向き鉤型のフック片を壁板36の裏面側で取付部39に対向する位置に横方向に形成している。また取付部39は壁支持部材25の側面に上向きに切欠いたフック部にしている。この構成により壁支持部材25の各取付部39に壁板36の各係止部37を挿入して互いに係合させると、柱部材2に対し壁板36を下方及び前後方向の位置決めをしながら簡単に取付固定することができる。そして、上記のように装着された壁板36は組付け時とは逆の上方に持ち上げて前側に引くと、互いのフック部の係合を解除し壁板36を壁支持部材25から簡単に外すことができる。
この際、装着される壁板36は表側の上下左右のコーナー部に面取部を設けて肉薄状の差し込み支持用の縁部が形成される。一方、上方の横材3と該横材3に装着される外部材31の下辺間と、下部横材1と該下部横材1に装着される外部材31の上辺間には、それぞれ壁板36の上下の縁部を差し込む差込支持溝40が形成される。これにより壁板36は壁支持部材25に装着されたとき、その上下の縁部を差込支持溝40内に係脱可能に差し込み支持することができる。
以上の如く構成される居住用住戸構造は、先ず、建築駆体Aの住戸空間S内で床スラブF1に複数のレベル調節部材9を配置し、前述した床の敷設構造によって床板5を床下間隙を有し敷設支持する。次いでレベル調節部材9によって不陸調整し水平状態に敷設された床板5に、間取りの輪郭を形成する位置決め部材11を固定し、該位置決め部材11に下部横材1を凹溝1aを嵌合し位置決め固定し、固定された下部横材1の所定の位置に柱部材2を軸組みし立設する。このとき下部横材1は凹溝1aの略全長が位置決め部材11に嵌合係止されるので、床板5に対しがたつきなく安定して固定することができ、これにより柱部材2の軸組み作業も容易に行うことができる。
次いで、立設された柱部材2,2・・の上部に横材3を軸組みし、隣接する横材3,3を連結することにより、内部構造体Cの全体的な構造枠を構成する。この際上記構造部材の組立てに当たっては、間取りの一側面或いは仕切壁を構成する単位毎の下部横材1,柱部材2,横材3を予めユニット構造となるように組立て、このユニット構造の単位構造枠を施工現場の床板5に対し単位毎に組み付けて行うこともできる。この場合にも床面に不陸のある床スラブF1に対し水平状に敷設された床板5には柱部材2が略垂直姿勢で立設される。
次いで、構造部材の各所に設置した隙間調節部材10を前述のように柱部材2が垂直姿勢になるように調節する。これにより下部横材1,柱部材2,横材3と周壁Wとの間の隙間Hをそれぞれ設定でき、各構造部材の周囲を内側に向けて押圧した張り支持状態で位置決めし、また柱部材2を垂直姿勢に精度よく修正支持することができる。
そして、本実施形態で示すように柱部材2及び下部横材1,横材3側に設けた隙間調節部材10は、該隙間調節部材10を構成するボルト27及びナット29を予め柱部材2及び横材1,3等の構造部材に組み付けた状態で軸組みすることもできるから、狭い隙間H内で隙間調節部材10を組み付けたり調整する等の煩雑な作業を要しない。また隙間調節部材10は内部構造体Cの内側から調節操作できるので、建築駆体A内への内部構造体Cの位置決め施工を簡単に行うことができ、建築コストを低減すると共に工期の短縮を図ることができる。
次いで、天井隙間調節具20を調節し建築駆体Aの天井スラブF2側から上方の横材3を各箇所で天井隙間Lを有して押圧する。これにより柱部材2は床スラブF1と床板5を介し床スラブF1との間で軸組み部を締め固めした状態で、柱部材2の垂直姿勢を維持し張り支持され、構造体Cを免震性に優れた剛構造にする。また上記のようにして組立てられる構造枠は大きな歪みを伴うことなく組立て誤差も抑制できるから、構造枠に対する各種の壁板36の取り付けを精度よく簡単に行うことができ、柱部材2に対する壁板36の隙間調整等の煩雑な作業を省力することができる。
また図示例の如く隙間調節部材10は、柱部材2又は下部横材1,横材3等に形成したボルト孔16に、ボルト27を構造体Cの内側から挿入することができると共に、ボルト27の回動操作を広い住戸空間S内で無理なく行ない、隙間Hの調節を簡単且つ迅速に行うことができる。また構造体Cに多数使用される隙間調節部材10は、ボルト27及びナット29等の市販部品を用いた簡潔な構成によって、取り扱い易く且つ廉価に提供することができる等の利点がある。
また隙間調節を行なった後は、ボルト27の頭部は構造部材に対し装着具12を介して着脱自在に装着される外部材31によって、外観を損なうことなく簡単に覆い隠すことができる。
従って、上記のように構成される構造体Cは、構造部材の組立てが簡単で外部材31及び壁板36等の取付けも容易であるため、高度に熟練した技能を必要とせず迅速な施工ができ、工事期間を短縮することができるうえ工事費の低減にもつながる。また単に組立てが簡単なだけでなく、解体工事も組立ての逆順を追って行なうことができるので、各住戸の部分的なリフォームは勿論、全体のリフォームも簡単に低コストに行うことができる。
さらに、建築駆体Aによって所要強度が与えられる構造体Cの構造部材は、高い強度を必要としない小断面の木材等で現場組立てや内装施工することができるので、その結果材料も比較的短尺物で軽量材の使用が可能になる。そして、材料自体は工場加工によって量産もでき、現場加工が不要な上に、専門の大工工事も殆どなく一般作業員による施工を可能にすることができる。
また予め工場生産された資材の保管や搬送、現場での積み卸し及び搬入等も大型クレーン等を必要とせず、取り扱いも簡単且つ安全で低コストになるという利点がある。また予め大きくユニット化されたののように現場での搬入にレールやキャスター等の搬入手段や据付手段も必要としない。
この発明は鉄筋コンクリートや鉄骨による建築駆体の空間部に、住戸としての内装を施すマンション等の集合住宅,ホテル,オフィスビル等に広く応用できるものである。
本発明に係わる建築駆体の居住用住戸構造の間取り図である。 図1のII−II断面図である。 図1のIII−III断面図である。 本発明を実施した構造体の構成を一部破断をして示す側断面図である。 建築用外部材の装着構造及び装着具の構成を示す分解斜視図である。 図5の装着構造及び装着具の構成を示す拡大断面図である。 別実施形態に係わる装着構造と隙間調節部材の構成を示す断面図である。 内部構造体の柱部材及び仕切壁と隙間調節部材の構成を示す平断面図である。 内部構造体の要部の構成を一部破断をして示す斜視図である。
符号の説明
1 下部横材
2 柱部材(内部材)
3,3a 横材(内部材)
7 仕切壁
9 レベル調節部材
10 隙間調節部材
11 位置決め部材
12 装着具
13,15 取付溝
16 ボルト孔
17 スペーサ部材
20 天井隙間調節具
27 ボルト
29 ナット
31 外部材
A 建築駆体
C 内部構造体
1 床スラブ
2 天井スラブ
L 天井隙間
H 隙間
S 住戸空間
W 周壁
1〜W4

Claims (8)

  1. 建築駆体(A)内に形成された住戸空間(S)内に、該建築駆体(A)から独立した外周壁を備え且つ住戸空間(S)内で組み立てられる内部構造体(C)を収容設置する建築構造であって、該内部構造体(C)の外周と住戸空間(S)の内面との間に、内部構造体(C)と住戸空間(S)の内面との寸法誤差を調整する調整間隙(H)を設けるとともに内部構造体(C)を建築駆体(A)側に調節可能に固定又は支持させる調節部材を設けてなる建築駆体内の内部構造体支持構造。
  2. 調整部材が住戸空間(S)の床面上に配置されて内部構造体(C)を支持し且つレベル調節を行うレベル調節部材(9)である請求項1の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  3. 調節部材が内部構造体(C)の上部と住戸空間(S)の天井面との間に設けられ、内部構造体(C)を住戸空間(S)の底面側に押圧力を作用させる状態で保持される天井隙間調節具(20)である請求項1又は2の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  4. 調節部材が内部構造体(C)の外周壁側と住戸空間(S)の内周壁との間に設けられ、内部構造体(C)をその外周側より住戸空間(S)の内側に向かって押圧するように保持される隙間調節部材(10)である請求項1,2又は3の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  5. 調節部材が内部構造体(C)の外周側に進退調節可能に突出して保持されるボルト(27)を備え、該ボルト(27)の先端側が住戸空間(S)の内周壁又は天井面に押接される請求項3又は4の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  6. ボルト(27)の操作端であるボルトヘッド側を、内部構造体(C)内より回動操作可能に内部構造体(C)の内側に露出させて取り付けた請求項5の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  7. 調節部材が住戸空間(S)に対して内部構造体(C)の姿勢決め及び位置決めを伴って固定又は支持する請求項1,2,3,4,5又は6の建築駆体内の内部構造体支持構造。
  8. 内部構造体(C)が柱状部材(2)及び横材(1),(3)を用いた軸組によって組み立てられる請求項1,2,3,4,5,6又は7の建築駆体内の内部構造体支持構造。
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