JP2005126685A - アルカリ可溶性樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感度、残膜率、現像性、解像度、耐熱性、熱変色性、耐薬品性に優れ、特に多種多様な基板への密着性、可視光域における透明性を大幅に向上させたレジスト膜を形成し得る感放射線性樹脂組成物の主成分となるアルカリ可溶性樹脂を提供すること。
【解決手段】 特定のビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシエステル化合物と、多価アルコールと、多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させることにより得られる、アルカリ可溶性樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)の層間絶縁膜および保護膜などの永久膜を形成するための材料として好適なアルカリ可溶性樹脂に関する。本発明は、さらに、この樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物に関する。
半導体産業分野では、半導体デバイスは、感放射線性樹脂組成物(レジスト)を用いてパターンを形成することによって、製造されている。近年のパターンの微細化に伴って高解像度を有するとともに感度の高い感放射線性樹脂組成物が求められている。
半導体デバイスの微細なパターンを製造するには、ミクロンオーダーの解像度が得られるレジストが必要であり、さらにサブミクロンの高解像度が得られるレジストが要求されることもある。しかし、一般的には数μm〜数十μmオーダーの解像度が得られ、かつ特に広い面積の基板を用いてスループット(生産速度)を上げても高い歩留まりを示す高感度レジストが強く要望されている。
そしてこのようなミクロンオーダーのパターンを生産性よく製造するため、通常各工程においては大量処理あるいは高速処理が可能な種々の方式が採用されることが多い。従って、このような処理条件に耐えるためにレジストには種々の性能が必要とされる。たとえば下地基板のエッチング工程は、大量バッチ処理が可能なウェットエッチング方式で行われることが多く、このためパターンを形成するレジストには、基板との密着性やエッチャントに侵されない耐薬品性が必要とされる。またイオンインプランテーション工程などが加わる場合には、高温加熱に耐えうる耐熱性が要求される。
このようなレジストとしては、従来、ノボラック樹脂とキノンジアジド化合物とを含むポジ型の感放射線性樹脂組成物が知られており、集積回路の製造において多く用いられている。しかしながらこのタイプの感放射線性樹脂組成物は、解像度およびリアクティブイオンエッチング(RIE)方式の場合に要求されるドライエッチング耐性には優れているが、上記のようなウェットエッチングに耐えうる耐薬品性が不充分であり、さらには感度、基板との密着性、および耐熱性についても充分であるとはいえない。
上記以外にも、例えば、アクティブマトリクス型の液晶ディスプレイ(AM−LCD)に組み込まれた薄膜トランジスタ(TFT)の回路を形成するためにも、微細なパターンを形成し得るレジストが求められている。液晶ディスプレイ(LCD)は、近年急速に発展しており、特に1画素ごとにTFTを組み込んだAM−LCDは、その応答速度の早さからCRT(ブラウン管)に代わる次世代表示デバイスの本命とみなされており、表示画面を大きくすることが望まれている。
ところで、AM−LCDのTFT回路は、一般には、数ミクロン程度の解像度が得られる感放射線性樹脂組成物(レジスト)を用いて形成されている。しかし、上述のように液晶ディスプレイの画面面積を大きくするためには、半導体の大量生産の場合と同様に、該レジストは解像度が高く、優れた感度、基板との密着性、耐熱性などを有することが要求される。
さらに上記液晶ディスプレイを製造する場合には、上記のようなAM−LCD回路以外にも、従来熱硬化性樹脂を用いて形成されている層間絶縁膜、カラーフィルター用保護膜などの永久膜を、感放射線性樹脂組成物で形成しようとする試みが盛んに行われている。
このような液晶ディスプレイの層間絶縁膜、保護膜などの永久膜を形成するには、耐熱性、耐薬品性、および透明性に優れた感放射線性樹脂組成物が要求される。しかし、上記のようなノボラック樹脂とキノンジアジド化合物とを含む従来のポジ型感放射線性樹脂組成物を用いても、耐薬品性、基板との密着性、耐熱性、透明性などが不充分である。
上記半導体デバイスや液晶ディスプレイの製造のためのレジストに用いられているノボラック樹脂の欠点を解消すべく、フルオレン骨格を有する感放射線性樹脂が提案されている。例えば、特許文献1には、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシ(メタ)アクリレートと多塩基性カルボン酸またはその無水物との反応生成物を用いた耐熱性のアルカリ可溶性液状樹脂が開示されている。さらに、特許文献2には、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物と、酸無水物と、酸二無水物とを同時に反応させて得られる、カルボキシル基を有する、高分子量のアルカリ可溶性樹脂が開示されている。
上述のように、半導体デバイスおよび液晶ディスプレイの製造工程では、ポジ型レジストが一般的に多用されているが、上記フルオレン骨格を有する樹脂は、ポジ型レジストに要求される高い性能(例えば、耐熱性)を十分満足させるには未だ不十分であった。これに対して、特許文献3では、特定のビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシ化合物と脂環式または芳香族単塩基性カルボン酸とから形成されるエポキシエステル化合物に、少なくとも1種の多塩基性カルボン酸またはその無水物を反応させることにより得られる、アルカリ可溶性樹脂が提案されている。
このように、種々の特性が改善されたアルカリ可溶性樹脂を含む感放射線性樹脂組成物が提案されている。しかし、近年、窒化ケイ素膜基板や酸化ケイ素膜基板などの多種多様の基板が利用されるため、さらに、これらの基板に対して良好な密着性を示す感放射線性樹脂組成物が求められている。また可視光領域における透明性においても、更に高い性能を持つ樹脂および該樹脂を含む感放射線性樹脂組成物が求められている。
特開平4−345673号公報 特開平5−339356号公報 特開2004−35685号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、感放射性樹脂組成物、特にポジ型の感放射性樹脂組成物の主成分として有用なアルカリ可溶性の性質を有する樹脂、および該樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、従来のノボラック樹脂やフルオレン骨格を有する感放射線性樹脂を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物に比較して、多種多様な基板との密着性、および可視光領域における透明性に優れる被膜を形成することが可能なため、ミクロンオーダーの半導体集積回路、大型化されたAM−LCD画面などを生産性よく製造することができ、さらに層間絶縁膜、保護膜などの永久膜形成材料としても好適である感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシエステル化合物(a1)と、多価アルコール(a2)と、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)とを、反応させることにより、現像性、多種多様な基板への密着性、可視光域における透明性を大幅に向上させた、ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂、および該樹脂を含む感放射線性樹脂組成物を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表されるエポキシエステル化合物(a1):
Figure 2005126685
(式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基、フェニル基、またはハロゲン原子、Rはそれぞれ独立して、単塩基性カルボン酸に由来する部位を含む基を示す)と、多価アルコール(a2)と、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)とを、反応させることにより得られる。
好適な実施態様においては、上記エポキシエステル化合物(a1)の水酸基と多価アルコール(a2)の水酸基とのモル比は99/1〜50/50である。
好適な実施態様においては、上記多価アルコール(a2)は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールからなる群から選択される少なくとも1種の多価アルコールである。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記いずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂を含有する。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、上記いずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド化合物を含有する。
本発明の液晶ディスプレイの層間絶縁膜は、上記感放射線性樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
本発明の液晶ディスプレイの保護膜は、上記感放射線性樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
本発明によれば、このように、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシエステル化合物と多価アルコールと多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させることにより、アルカリ可溶性の性質を有する樹脂が得られ、さらに、該樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物が提供される。この樹脂組成物は、感度が高く、解像度に優れ、現像性および現像時の残膜性にも優れる。この組成物を硬化して得られる硬化膜は、耐熱性、熱変色性、耐薬品性に優れるとともに、多種多様な基板への密着性が良好であり、可視光域における透明性に極めて優れる。さらに、該アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂組成物の貯蔵安定性にも優れている。
本明細書で「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、およびプロトンビーム線のうちの少なくとも1種をいう。
以下に、本発明のアルカリ可溶性樹脂、該樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物、および該組成物を用いた薄膜の形成について、順次説明する。
(I)アルカリ可溶性樹脂
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表されるエポキシエステル化合物(以下、「エポキシエステル化合物(a1)」という場合がある):
Figure 2005126685
(式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基、フェニル基、またはハロゲン原子、Rはそれぞれ独立して、単塩基性カルボン酸に由来する部位を含む基を示す)と、多価アルコール(a2)と、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)とを反応させることにより得られる。本明細書において、このアルカリ可溶性樹脂を「アルカリ可溶性樹脂(A)」という場合がある。
上記エポキシエステル化合物(a1)は、例えば、以下の一般式(2)で示されるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物に単塩基性カルボン酸を作用させることにより得ることができる。また、下記エポキシ化合物(2)は、該化合物の2個のエポキシ基の一方のみがエステル化され、一方はそのまま残留しているような化合物であってもよい。
Figure 2005126685
式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基、フェニル基、またはハロゲン原子である。
上記エポキシエステル化合物(a1)の調製に用いられる単塩基性カルボン酸としては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:(メタ)アクリル酸、シクロプロパンカルボン酸、2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、2−シクロペンテニルカルボン酸、2−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−へプチルシクロヘキサンカルボン酸、4−シアノシクロヘキサン−1−カルボン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサン−1−カルボン酸、2−(1,2−ジヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)プロピオン酸、シキミ酸、3−ヒドロキシ−3,3−ジフェニルプロピオン酸、3−(2−オキソシクロヘキシル)プロピオン酸、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸、4-シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸水素アルキル、シクロヘプタンカルボン酸、ノルボルネンカルボン酸、テトラシクロドデセンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸、(4−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ−4−イル)酢酸、p−メチル安息香酸、p−エチル安息香酸、p−オクチル安息香酸、p−デシル安息香酸、p−ドデシル安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−エトキシ安息香酸、p−プロポキシ安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−ペンチルオキシ安息香酸、p−ヘキシルオキシ安息香酸、p−フルオロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、p−クロロメチル安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、ペンタクロロ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、o−ベンゾイル安息香酸、o-ニトロ安息香酸、o−(アセトキシベンゾイルオキシ)安息香酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸モノシクロヘキシルエステル、フェノキシ酢酸、クロロフェノキシ酢酸、フェニルチオ酢酸、フェニル酢酸、2−オキソ−3−フェニルプロピオン酸、o−ブロモフェニル酢酸、o−ヨードフェニル酢酸、メトキシフェニル酢酸、6−フェニルヘキサン酸、ビフェニルカルボン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、フェナントレンカルボン酸、アントラキノン−2−カルボン酸、インダンカルボン酸、1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ケイ皮酸、3−メトキシケイ皮酸、4−メトキシケイ皮酸、キノリンカルボン酸などで、これらは単独で用いても良く、2以上を組み合わせても良い。
上記アルカリ可溶性樹脂(A)の調製に用いられる多価アルコール(a2)とは、分子中に水酸基を二つ以上含有する化合物を指し、例えば、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、酒石酸、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、キリシトール、ソルビトール、イノシトール、ジペンタエリスリトール、ポリグリセリンなど。これらのうち、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3官能以上の化合物を用いると、得られる樹脂を含む組成物から得られる薄膜と基板との密着性が優れ、かつ該膜の透明性が優れるため、好ましい。これらの多価アルコール(a2)は単独で用いても良く、2以上を組み合わせても良い。
上記アルカリ可溶性樹脂(A)の調製に用いられる多塩基性カルボン酸(a3)は、ジカルボン酸、テトラカルボン酸などの複数のカルボキシル基を有するカルボン酸であり、これらの多塩基性カルボン酸、あるいはその無水物としては、次の化合物が挙げられる:マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、グルタル酸などのジカルボン酸およびそれらの無水物;トリメリット酸またはその無水物、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、4-(1,2−ジカルボキシエチル)-1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、などのテトラカルボン酸およびそれらの酸二無水物など。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、上記エポキシエステル化合物(a1)、多価アルコール(a2)、および多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)を反応させることにより得られる。この反応において、エポキシエステル化合物(a1)、多価アルコール(a2)、および多塩基性カルボン酸の添加順序は特に問わない。例えば、これらを同時に混合して反応させる、エポキシエステル化合物(a1)と多価アルコール(a2)とを混合し、ついで、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)を添加、混合して反応させるなどの方法がある。また、これらの反応生成物にさらに多塩基性カルボン酸を添加し、反応させてもよい。
多塩基性カルボン酸またはその無水物の種類および数を適宜選択することによって、フェノールフルオレン骨格を有し、かつ、構造の異なる種々のアルカリ可溶性樹脂(A)を製造することができる。具体的には、例えば、以下の(i)〜(iii)に示す第1〜第3のアルカリ可溶性樹脂が調製されるが、これらは例示である。
(i) 第1のアルカリ可溶性樹脂:エポキシエステル化合物(a1)と、多価アルコール(a2)と、1種類の多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)とを混合し、反応させて得られる樹脂;
(ii) 第2のアルカリ可溶性樹脂:エポキシエステル化合物(a1)と、多価アルコール(a2)と、2種類またはそれ以上の多塩基性カルボン酸またはその無水物の混合物(例えば、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物の混合物)(a3)とを混合し、反応させて得られる樹脂。;および、
(iii) 第3のアルカリ可溶性樹脂:エポキシエステル化合物(a1)と、多価アルコール(a2)と、テトラカルボン酸またはその二無水物(a3−1)とを反応させ、得られる反応生成物とジカルボン酸またはその無水物(a3−2)とを反応させて得られる樹脂。
このようにして得られる、構造が異なるアルカリ可溶性樹脂(A)は、それぞれ、目的の用途に応じて利用される。
なお、「多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)」とは、「特定の多塩基性カルボン酸およびそれに対応する無水物のうちの少なくとも一方」という意味であり、例えば、多塩基性カルボン酸がフタル酸であれば、フタル酸およびフタル酸無水物のうちの少なくとも一方を指していう。
また、「多塩基性カルボン酸またはその無水物の混合物」、「2種類以上の混合物」とは、少なくとも2種類の多塩基性カルボン酸またはその無水物が同時に存在することをいう。従って、上記(ii)の方法においては、少なくとも2種類の多塩基性カルボン酸またはその無水物が反応に関与する。
アルカリ可溶性樹脂は、上記いずれの方法においても、エポキシエステル化合物(a1)、多価アルコール(a2)、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)を、上記例示の方法(順序)で、例えば、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒中に溶解(懸濁)し、加熱して反応させることにより製造される。
上記アルカリ可溶性樹脂の製造において、エポキシエステル化合物(a1)と多価アルコール(a2)とは、エポキシエステル化合物(a1)の水酸基と多価アルコール(a2)の水酸基とのモル比が、99/1から50/50となるように調整することが好ましく、95/5から60/40であることがより好ましい。多価アルコール(a2)の水酸基のモル比が50%を超えると、得られる樹脂の分子量が急激に増大し、ゲル化の恐れがある。また、1%未満では、得られる樹脂の分子量が充分に上がらず、耐熱性を向上させることが出来ない。
多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)は、エポキシエステル化合物(a1)と多価アルコール(a2)の水酸基の合計1当量(モル)に対して、酸無水物基換算で0.4〜1当量、好ましくは0.75〜1当量の割合で反応に供される。多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)が酸無水物基換算で、0.4当量未満では、得られるアルカリ可溶性樹脂の分子量が高くならない。そのため、このようなアルカリ可溶性樹脂を含む感放射線性樹脂組成物を用いて露光および現像を行った場合に、得られる被膜の耐熱性が不充分であったり、被膜が基板上に残存する場合がある。上記多塩基性カルボン酸またはその無水物が酸無水物基換算で1当量を超える場合には、未反応の酸あるいは酸無水物が残存し、得られるアルカリ可溶性樹脂の分子量が低くなり、該樹脂を含む感放射線性樹脂組成物の現像性に劣る場合がある。
なお、酸無水物基換算とは、使用する多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)に含まれるカルボキシル基および酸無水物基を全て酸無水物に換算したときの量を示す。
上記第2および第3のアルカリ可溶性樹脂の製造に際しては、2以上の多塩基性カルボン酸またはその無水物を用いる。一般的に、ジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物とが用いられる。ジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物との割合は、モル比で1/99〜90/10であることが好ましく、5/95〜80/20であることがより好ましい。ジカルボン酸無水物の割合が、全酸無水物の1モル%未満では樹脂粘度が高くなり、作業性が低下するおそれがある。さらに、得られる樹脂の分子量が大きくなりすぎるため、該樹脂を含む感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に薄膜を形成し、露光を行った場合に、該露光部が現像液に対して溶解しにくくなり、目的のパターンが得られにくくなる傾向にある。ジカルボン酸無水物の割合が全酸無水物の90モル%を超えると得られる樹脂の分子量が小さくなりすぎるため、該樹脂を含む組成物を用いて基板上に塗膜を形成した際に、プリベーグ後の塗膜にスティッキングが残るなどの問題が生じやすくなる。
上記いずれの場合の場合にも、エポキシエステル化合物(a1)と多価アルコール(a2)と多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)の反応時には、反応温度は50〜130℃が好ましく、より好ましくは70〜120℃である。反応温度が130℃を超えるとカルボキシル基と水酸基の縮合が一部起こり、急激に分子量が増大する。一方、50℃未満では反応がスムーズに進行せず、未反応の多塩基性カルボン酸またはその無水物が残存する。
このようにして得られる本発明のアルカリ可溶性樹脂は、感放射線性樹脂組成物の主成分として好適に用いられる。
(II)感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂(A)を含有する。通常、この組成物には、該アルカリ可溶性樹脂(A)および放射線反応性の化合物が含有される。この組成物がポジ型の感放射線性樹脂組成物である場合には、該放射線反応性の化合物は、例えばキノンジアジド化合物(以下、キノンジアジド化合物(B)という場合がある)であり、ネガ型の感放射線性樹脂組成物である場合には、放射線反応性の化合物は、例えばアクリレートなどである。本発明の感放射線性樹脂組成物は、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。
以下にポジ型感放射線性樹脂組成物を例に挙げて、本発明の感放射線性樹脂組成物についての説明を行う。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂(A)およびキノンジアジド化合物(B)、さらに必要に応じて架橋剤(以下、架橋剤(C)という場合がある)を含有する。この架橋剤(C)は、該アルカリ可溶性樹脂(A)間に架橋を形成し得る官能基を有する化合物である。この組成物は、架橋剤(C)を含有する場合にも含有しない場合にも、さらに必要に応じて、(i)増感剤、 (ii)界面活性剤、(iii)接着助剤、(iv)添加剤、(v)溶媒などを含有する。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(A)は、上記第1、第2、および第3のいずれの樹脂であってもよく、これらは単独の樹脂であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に含有されるキノンジアジド化合物(B)は、放射線照射により該化合物中のジアゾ部分がカルボン酸に変化しアルカリ可溶性となる性質を有する。従って、この化合物が含有されることにより、組成物全体がポジ型の感放射線性樹脂組成物として機能するようになる。このキノンジアジド化合物(B)としては、多価フェノールの水酸基のすべてまたは一部が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物が好適に用いられる。具体的には、多価フェノールの水酸基の20〜100%が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物が好適である。さらに、上記以外のキノンジアジド化合物も利用可能である。
このようなキノンジアジド化合物(B)としては、以下のエステル化物が挙げられる:(b.1)トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.2)テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.3)ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.4)ヘキサヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.5)ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.6)ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.7)トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.8)1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.9)ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.10)2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.11)1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.12)4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.13)ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.14)3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(b.15)2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、および(b.16) 1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物以外のキノンジアジド化合物。
これらのうち、(b.1)のトリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−キノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、次の化合物が挙げられる:2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなど。
(b.2)のテトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、次の化合物が挙げられる:2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなど。
(b.3)のペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.4)のヘキサヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.5)のビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.6)のビス(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.7)のトリ(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.8)の1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.9)のビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2− ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.10)の2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.11)の1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.12)の4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.13)のビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.14)の3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.15)の2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物としては、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(b.16)の1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物以外のキノンジアジド化合物としては、オルソベンゾキノンジアジド、オルソナフトキノンジアジド、オルソアントラキノンジアジドまたはオルソナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、およびこれらの核置換誘導体;オルソナフトキノンスルホニルクロリドと、水酸基またはアミノ基を有する化合物との反応生成物などが挙げられる。上記の水酸基またはアミノ基を有する化合物としては、例えば、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、カルビノール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残してエステル化またはエーテル化された没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミンなどを挙げることができる。
さらに、上記以外のキノンジアジド化合物として、J.Kosar 著“Light-Sensitive Systems”339 〜352,(1965).JohnWilley & Sons社(New York)、W.S.De Forse著“Photoresist”50,(1975) McGraw-Hill,Inc.(New York)などに記載されているキノンジアジド化合物も利用可能である。
上述のうち、キノンジアジド化合物(B)としては、次の化合物が好適である:2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなど。キノンジアジド化合物(B)は、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いられる。
キノンジアジド化合物(B)のうち特に好適な1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル類(上記b.1〜b.15の化合物)は、たとえば1,2−キノンジアジドスルホン酸のハロゲン化物を、塩基触媒の存在下で、対応する多価フェノール(多価ヒドロキシ化合物)と反応させることによりエステル化して得られる。
より具体的には、たとえば上記化合物のうち、(b.2)の化合物である2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルは、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−キノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとを縮合させて得られる。
このようなエステル化反応には、上記多価ヒドロキシ化合物の水酸基1当量に対して、1,2−キノンジアジドスルホン酸のハロゲン化物は通常1.0〜1.2当量の割合で用いられることが望ましい。
上記キノンジアジド化合物(B)は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、5〜100重量部の割合で含有されるのが好ましく、10〜50重量部の割合で含有されるのがより好ましい。キノンジアジド化合物(B)の量が5重量部未満であると、該組成物から形成される塗膜は露光部(放射線が照射された部分)と未露光部(放射線が照射されなかった部分)との溶解度差が小さくなってパターニングが困難になることがある。他方、キノンジアジド化合物(B)の量が100重量部を超えると、上記塗膜中のキノンジアジド化合物が短時間の放射線照射では、充分に分解されず、その結果、感度が低下してしまうことがある。
本発明の組成物に含有され得る架橋剤(C)は、該組成物を用いて基板上に薄膜を形成し、露光・現像を行った後に、加熱によりアルカリ可溶性樹脂(A)同士を架橋させる働きを有し、現像後の薄膜を強化するために含有される。このような架橋剤(C)としては、メラミン類;グリコールウリル類;および分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
上記メラミン類としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブチロールメラミン、部分メチロール化メラミンおよびそのアルコキシアルキル化メラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、部分メチロール化ベンゾグアナミンおよびそのアルキル化体などを挙げることができる。
これらのうち、アルコキシアルキル化メラミン、特にアルコキシメチル化メラミンが好適である。その代表例として、以下の一般式(3)で示されるN,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミンが挙げられる:
Figure 2005126685
(式中、6個のRは、それぞれ独立して、アルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基である)。
上記架橋剤(C)のうち、グリコールウリル類としては、アルコキシメチル化グリコールウリルが好適であり、そのような化合物としては、例えば、下記一般式(4)で示されるN,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリルが挙げられる:
Figure 2005126685
(式中、4個のRは、それぞれ独立して、アルキル基、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基である)。
これらのメラミン類およびグリコールウリル類として市販されている化合物としては、三和ケミカル社製ニカラックMW30LM、MW100LM、MX−750、MX−290、MX−280、N−2702などが、そして三井サイテック社製PL−1174、CYMEL300などが挙げられる。上記メラミン類およびグリコールウリル類のうちアルコキシアルキル化メラミンが好ましく、特にアルコキシメチル化メラミンが好ましい。
上記架橋剤(C)がメラミン類またはグリコールウリル類である場合には、該架橋剤は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して1〜100重量部の割合で含まれていることが好ましく、5〜50重量部含まれていることがより好ましい。架橋剤(C)がアルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、1重量部未満の場合、該組成物を用いた薄膜を基板上に形成し、露光および現像を行った後に加熱処理を行なっても、充分な架橋が得られず、最終的に得られる薄膜の耐熱性が不充分となる場合がある。含有量が100重量部を超えると、組成物全体のアルカリに対する溶解性が高くなる。そのため現像時に残膜率が低下し、好ましくない。
上記架橋剤(C)のうち、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;およびトリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレートなどのエポキシ基を少なくとも2個有する比較的低分子量のエポキシ化合物が挙げられる。
これらの少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用することもできる。該エポキシ基を有する化合物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、1〜50重量部の量で組成物中に含有される。
本発明の組成物に必要に応じて含有される上記(i)の増感剤は、キノンジアジド化合物(B)の放射線に対する感度を向上させるために用いられる。このような増感剤としては、たとえば、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−1,4−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、バルビツール酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類、アロキサン類、マレイミド類などが挙げられる。これらを組み合わせて用いてもよい。
このような増感剤は、キノンジアジド化合物(B)100重量部に対して、通常100重量部以下の割合で、好ましくは4〜60重量部の割合で含有される。
上記(ii)の界面活性剤は、例えば、溶剤を含む本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布したときに、ストリエーション(塗布すじあと)の防止して塗布性を向上させるため、あるいは塗膜の現像性を向上させるために含有される。
このような界面活性剤としては、次の化合物あるいは商品が挙げられる:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジアルキルエステル類(例えば、ポリオキシエチレンジラウレートおよびポリオキシエチレンジステアレート)などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップ303、エフトップ352(新秋田化成(株)製);メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173(大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム(株)製);アサヒガードAG710、サーフロンS−382、サーフロンSC−101、サーフロンSC−102、サーフロンSC−103、サーフロンSC−104、サーフロンSC−105、サーフロンSC−106(旭硝子(株)製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社油脂化学工業(株)製)など。これらは単独であるいは2種以上組合せて用いられる。
このような界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物全体の2重量%以下、好ましくは1重量%以下の量で含有される。
上記(iii)の接着助剤は、溶剤を含む液状の組成物の基板との密着性を向上させるために含有される。このような接着助剤としては、官能性シランカップリング剤などが挙げられる。
上記(iv)の添加剤としては、帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、顔料、染料などが挙げられる。
上記(v)の溶媒は、組成物中の各成分を均一に溶解し、例えば基板上への塗工を容易にするために用いられる。このような溶媒としては、組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に制限はない。溶媒としては、例えば、次の化合物がある:メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;および2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類。
これらの中では、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類およびジエチレングリコール類が好ましい。特に3―エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
(III)感放射線性樹脂組成物を用いた薄膜の形成
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)を含む感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に薄膜を形成し、放射線照射を行った後、現像することにより所定のパターンを有する薄膜を形成することができる。
例えば、ポジ型の組成物の場合は、アルカリ可溶性樹脂(A)を溶媒に溶解し、この溶液に放射線反応性の化合物としてキノンジアジド化合物(B)、さらに必要に応じて上記架橋剤(C)、増感剤、界面活性剤などの各種成分を、所定の割合で混合することにより、感放射線性樹脂組成物の各成分を含有する液状物を得る。これを例えば、孔径0.05〜1.0μm程度のミリポアフィルターなどでろ過して、均一な液状物とするのがより好適である。感放射線性樹脂組成物の各成分は、通常、使用される直前に混合されるが、混合後の溶液は長期間の貯蔵安定性にも優れている。
このようにして得られた液状のポジ感放射線性樹脂組成物を基板表面に塗布し、加熱などの手段により溶媒を除去すると、塗膜を形成することができる。基板表面への感放射線性樹脂組成物溶液の塗布方法は特に限定されず、たとえばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法などの各種の方法を採用することができる。
次いでこの塗膜は、通常、加熱(プリベーク)される。加熱条件は各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常70〜120℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら1〜10分間、オーブン中では10〜30分間加熱処理をすることによって薄膜を得ることができる。
次にプリベークされた塗膜に所定パターンのマスクを介して放射線、例えば紫外線を照射する。そのことにより、放射線反応性の化合物が変化する。例えばキノンジアジド化合物を含有するポジ型組成物の場合は、該化合物のジアゾ基の部分がカルボン酸に変化し、アルカリ可溶となる。そのため放射線照射により組成物全体のアルカリに対する溶解度が照射前に比べて高くなる。アクリレート化合物を含有するネガ型組成物の場合は、放射線照射により該アクリレート化合物が放射線照射により重合する。そのため、組成物全体のアルカリに対する溶解度が照射前に比べて低くなる。従って、例えば、適切な濃度でアルカリを含む現像液を用いることにより、現像が可能となる。
次いで、適切な現像液により不要な部分を除去して所定のパターンの被膜が形成される。現像液としては、通常、アルカリを含む水溶液が用いられ、該アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジn−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどの環状アミン類などがある。
また、上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒、界面活性剤などを適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。現像時間は通常30〜180秒間であり、現像の方法としては液盛り法、シャワー法、ディッピング法などが用いられ得る。現像後、流水洗浄を30〜90秒間行い、不要な部分を除去し、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、パターンが形成される。その後このパターンを、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、所定温度たとえば150〜250℃で、所定時間たとえばホットプレート上なら2〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることによってパターン化された硬化被膜を得ることができる。
このように、本発明のアルカリ可溶性樹脂を含み、優れた性質を有する感放射性樹脂組成物が提供される。例えば、該アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物とを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物は、溶媒を含む液状の組成物として、基板上に塗布し、プリベークした後の塗膜はスティッキングフリーである。従ってパターンを密着させて露光することが可能になり、極めて高い解像度が得られる。さらに現像性が良好であり、現像時の残膜性にも優れる。本発明の組成物を硬化して得られる硬化膜は、耐熱性、透明性、基材との密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、表面硬度などに優れる。さらにこの硬化膜は有機性の塗膜であるため、低誘電率である。そのため、本発明の組成物は、多くの用途に利用することが可能である。
特にこの組成物は、液晶ディスプレイ(LCD)の層間絶縁膜あるいは保護膜を形成するための材料として有用である。このような層間絶縁膜あるいは保護膜は、本発明の組成物を用いた上記薄膜形成方法により、当該分野で用いられる通常の手法に従って調製することが可能である。
これ以外にも、本発明の組成物は、例えば、半導体集積回路、液晶ディスプレイ用薄膜トランジスタ(TFT)回路、回路製造用のマスクなどを作成するためのポジ型レジストとして利用される。さらに、LCD以外の電子部品の保護膜用材料(例えば、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁および/または平坦化膜の形成材料;プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジスト;あるいは、液晶表示素子におけるビーズスペーサーの代替となる柱状スペーサーの形成に好適なアルカリ可溶型の感光性組成物などとして好適に用いられる。さらに、本発明の組成物は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスクなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
以下、合成例、実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。以下の合成例、実施例および比較例において「部」は「重量部」を示す。
(合成例1)エポキシエステル化合物の合成
1Lのセパラブルフラスコに、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(式(2)で示される化合物;R=H:エポキシ当量231)200g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1.9g、1−アダマンタンカルボン酸154.1g、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル152.6gを仕込み、25ml/分の流速で窒素を吹き込みながら昇温し、100〜105℃の温度で16時間反応させた。反応終了後ジエチレングリコールメチルエチルエーテル203.4gを加えて希釈し、ビスフェノールフルオレン型エポキシエステル樹脂(式(1)で示される化合物;R=H;R=アダマンタンカルボン酸に由来する残基)を固形分濃度50重量%の淡黄色透明な樹脂溶液として得た。
(合成例2)エポキシエステル化合物の合成
1Lのセパラブルフラスコに、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ化合物(式(2)で示される化合物;R=CH:エポキシ当量245)212g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1.9g、1−アダマンタンカルボン酸154.1g、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル152.6gを仕込み、25ml/分の流速で窒素を吹き込みながら昇温し、100〜105℃の温度で24時間反応させた。反応終了後、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル215.4gを加えて希釈し、ビスクレゾールフルオレン型エポキシエステル化合物(式(1)で示される化合物;R=CH;R=アダマンタンカルボン酸に由来する残基)を固形分濃度50重量%の淡黄色透明な樹脂溶液として得た。
(合成例3)エポキシエステル化合物の合成
1Lのセパラブルフラスコに、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(式(2)で示される化合物;R=H;エポキシ当量231)200g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1.9g、シクロヘキサンカルボン酸109.4g、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル132.6gを仕込み、25ml/分の流速で窒素を吹き込みながら昇温し、100〜105℃の温度で16時間反応させた。反応終了後、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル176.8gを加えて希釈し、ビスフェノールフルオレン型エポキシエステル化合物(式(1)で示される化合物;R=H;R=シクロへキサンカルボン酸に由来する残基)を、固形分濃度50重量%の淡黄色透明な樹脂溶液として得た。
(合成例4)エポキシエステル化合物の合成
1Lのセパラブルフラスコにビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(式(2)で示される化合物;R=H;エポキシ当量231)200g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1.9g、9−フルオレンカルボン酸182.0g、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル163.7gを仕込み、25ml/分の流速で窒素を吹き込みながら昇温し、100〜105℃の温度で16時間反応させた。反応終了後、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル218.3gを加えて希釈し、ビスフェノールフルオレン型エポキシエステル樹脂(式(1)で示される化合物;R=H;R=9−フルオレンカルボン酸に由来する残基)を固形分濃度50重量%の淡黄色透明な樹脂溶液として得た。
(実施例1.1)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン1.5g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル14.3g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は80.0mgKOH/gで、重量平均分子量は4200であった。
(実施例1.2)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、トリメチロールエタン2.7g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル19.9g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物17.1gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は98.5mgKOH/gで、重量平均分子量は4400であった。
(実施例1.3)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジペンタエリスリトール 1.0g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル13.8g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、100〜105℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は79.5mgKOH/gで、重量平均分子量は4500であった。
(実施例1.4)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例2で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン 1.4g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル13.8g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.4gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は79.8mgKOH/gで、重量平均分子量は4200であった。
(実施例1.5)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例3で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン 1.7g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル16.3g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物14.7gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は90.1mgKOH/gで、重量平均分子量は3950であった。
(実施例1.6)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例4で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン 1.4g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル13.3g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物11.9gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は75.0mgKOH/gで、重量平均分子量は4400であった。
(実施例1.7)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン 1.5g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル18.8g、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8g、および1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸4.6gを仕込み、110〜115℃で2時間反応させ、黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は80.0mgKOH/gで、重量平均分子量は4000であった。
(実施例1.8)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジトリメチロールプロパン1.5g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル18.8g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、90〜95℃で2時間反応させ、反応液中の酸無水物基の消失をIRスペクトルにより確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸4.6gを加えて90〜95℃で4時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は81.5mgKOH/gで、重量平均分子量は4400であった。
(実施例1.9)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ペンタエリスリトール 0.8g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル13.6g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、100〜105℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は80.5mgKOH/gで、重量平均分子量は4400であった。
(実施例1.10)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、トリメチロールプロパン 3.1g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル20.2g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物17.1gを仕込み、100〜105℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は98.0mgKOH/gで、重量平均分子量は4300であった。
(比較例1.1)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル23.7g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、90〜95℃で6時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。反応液中の酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は98.5mgKOH/gで、重量平均分子量は4000であった。
(比較例1.2)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル23.7g、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8g、および1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸4.4gを仕込み、110〜115℃で2時間反応させ、黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は105.0mgKOH/gで、重量平均分子量は3500であった。
(比較例1.3)アルカリ可溶性樹脂の合成
300mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた樹脂溶液96.0g、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル23.7g、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.8gを仕込み、90〜95℃で2時間反応させ、反応液中の酸無水物基の消失をIRスペクトルにより確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸4.4gを加えて90〜95℃で4時間反応させ、淡黄色透明なアルカリ可溶性樹脂溶液を得た。得られた溶液に含まれる樹脂の酸価(樹脂固形分換算)は97.0mgKOH/gで、重量平均分子量は3500であった。
(実施例2.1)
実施例1.1で得られたアルカリ可溶性樹脂(A)100重量部(溶液中の樹脂の固形分換算)、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(キノンジアジド化合物;上述のb.2に対応)20重量部、およびエポキシ化合物(架橋剤(C);三井化学(株)製TECHMORE VG3101)10重量部を、固形分濃度が30重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた。これを孔径0.2μmのミリポアフィルタで濾過した。
得られた溶液を用い、下記(1)に示すパターンの形成方法に従い、基板上にパターンを形成した。パターンの形成工程および得られたパターンにつき、下記(2)に示す項目について試験を行った。
(1)パターンの形成方法
上記得られた溶液を、直径4インチのシリコン基板(円盤状)にスピンナーを用いて塗布した後、90℃で2分間ホットプレート上でプリベークして膜厚2.0μmの塗膜を形成する。得られた塗膜を、キャノン製PLA−501Fコンタクト露光機により所定のパターンのマスクを介して、所定の時間で露光した後、0.5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、25℃で60秒間現像する。次いで水でリンスし、乾燥することによりシリコン基板上にパターンを形成する。
(2)評価方法
2.1.感度
上記において、マスクとしてステップタブレット(光学濃度12段差のネガマスク)を塗膜上に載置・密着させて、露光および現像を行なう。基板上に残存するステップタブレットの段数を調べ、露光部の塗膜を除去するのに最低限必要な露光量を求める。
2.2.残膜率
プリベーク後の膜厚(初期膜厚)および現像後の膜厚を測定する、(現像後の膜厚/初期膜厚)×100を算出し、以下のように評価する:
◎:残膜率95%以上
○:残膜率90以上〜95%未満
×:残膜率90%未満
2.3.現像性
現像後のライン部分の表面荒れおよびスペース部分の樹脂残渣(スカム)の有無を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、以下のように評価する:
○:スカムがまったく観察されない
△:一部にスカムが観察される
×:全面にスカムが観察される
2.4.解像度
最適露光時間において解像されている最小のスペースパターンの該スペースの寸法を走査型電子顕微鏡により測定する。
2.5.密着性
シリコン基板の代りにシリコン酸化膜基板を用いたこと以外は、基板上記パターン形成方法(1)に従い、に各種線幅のラインアンドスペースパターンを形成する。現像後のパターンはがれにつき観察し、以下のように評価する:
○:パターンはがれが観察されない
△:一部にはがれが観察される
×:全面ではがれが観察される
2.6.透明性
シリコン基板の代りにガラス基板「コーニング7059(コーニング社製)」を用いたこと以外は、上記パターン形成方法(1)と同様にして、パターンを形成する。このパターンを有するガラス基板に、405nmにおける光強度が9.5mWの紫外線を500mJ/cmとなるように照射する。次いで、得られたガラス基板の透過率を分光光度計「U−2000(日立製作所製)」を用いて400〜700nmの波長で測定し、以下のように評価する:
◎:最低透過率が97%以上である
○:最低透過率が95%以上97%未満である
×:最低透過率が95%未満である
2.7.耐熱性
上記パターン形成方法(1)に従い、シリコン基板に約10μmのラインアンドスペースパターンを形成した。このパターンを有するシリコン基板に、405nmにおける光強度が9.5mWの紫外線を500mJ/cmとなるように照射する。これをクリーンオーブンにて240℃で60分間加熱して、ラインパターンの熱変形を観察する。加熱前と加熱後のラインパターンの断面形状を比較し、次のように評価する:
◎:加熱前後に変化が見られない
○:加熱前後にわずかに変化が見られる
△:やや変化が見られる
×:著しく変化が見られる
2.8.熱変色性
シリコン基板の代わりにガラス基板「コーニング7059(コーニング社製)」を用い、上記2.7項に従って、パターンを形成し240℃での加熱を行う。加熱前後において、ガラス基板上のパターン部分の光の透過率を、分光光度計「U−2000(日立製作所製)」を用いて400〜700nmの波長で測定する。透過率の変化は、次式により求める:、
透過率の変化=[(加熱前透過率−加熱後透過率)/加熱前透過率]×100(%)
○:透過率の変化が5%未満
△:透過率の変化が5〜10%の範囲にある
×:透過率の変化が10%を超える
2.9.耐薬品性
上記パターン形成方法(1)と同様にしてシリコン基板上に塗膜を形成し、露光を行わずにクリーンオーブンにて200℃で30分間、加熱処理を行う。加熱処理後の薄膜を有する基板を下記の各種薬液に下記の条件で浸漬する:
〈a〉酸性溶液:5重量%HCl水溶液中に室温で24時間浸漬
〈b〉アルカリ性溶液:
〈b-1〉5重量%NaOH水溶液中に室温で24時間浸漬
〈b-2〉4重量%NaOH水溶液中に50℃で10分間浸漬
〈b-3〉1重量%NaOH水溶液中に80℃で5分間浸漬
〈c〉溶剤:
〈c-1〉N−メチルピロリドン(NMP)中に40℃で10分間浸漬
〈c-2〉NMP中に80℃で5分間浸漬
浸漬処理前後の膜厚を測定し、次式で膜厚変化率を求め、以下のように耐薬品性を評価する:
膜厚変化率=[(処理前の膜厚−処理後の膜厚)/処理前の膜厚]×100(%)
◎:〈a〉〜〈c〉すべての処理において、膜厚変化率が2%未満である
○:〈a〉〜〈c〉すべての処理において、膜厚変化率が2%以上5%未満である
△:少なくとも1種の薬液処理において、膜厚変化率が5%以上10%未満の範囲である。
×:少なくとも1種の薬液処理において、膜厚変化率が10%以上である。
本実施例で用いた上記溶液中の成分の組成を表1に、各試験の評価結果を表2に示す。後述の実施例2.2〜2.12および比較例2.1〜2.4についても併せて表1および2に示す。
(実施例2.2〜実施例2.12)
表1に示す種類および量のアルカリ可溶性樹脂(A)、キノンジアジド化合物(B)、および架橋剤(C)を用いて、実施例2.1と同様に操作し、評価を行った。
(比較例2.1)
アルカリ可溶性樹脂(A)の代わりに、従来から用いられているm/pクレゾールノボラック樹脂を用い、現像液として2.38重量%のTMAH水溶液を用いたこと以外は、実施例2.1と同様に操作し、評価を行った。
(比較例2.2〜比較例2.4)
表1に示す種類および量のアルカリ可溶性樹脂(A)、キノンジアジド化合物(B)、および架橋剤(C)を用いて、実施例2.1と同様に操作し、評価を行った。
Figure 2005126685
Figure 2005126685
表1および2から明らかなように、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、感度および現像性に優れており、残膜率に優れ、耐熱性、耐薬品性、基板との密着性、および透明性に優れた被膜(パターン)を形成し得ることがわかる。特に本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物を用いて得られる被膜は、比較例の樹脂組成物を用いた場合に比べて密着性、透明性が著しく優れた被膜を形成することが明らかである。
(実施例3.1〜3.12)
実施例2.1〜2.12で得られたミリポアフィルタ濾過後の溶液を、5℃で3か月間保存した。保存後の溶液を用いて各々実施例2.1と同様にパターンを形成し、各項目の評価を行った。いずれもにおいても各々実施例2.1〜2.12と同等の結果が得られた。従って、このポジ型感放射線性樹脂組成物は、貯蔵安定性にも優れていることがわかる。
本発明の樹脂組成物は、半導体集積回路あるいはLCD用TFT回路製造用のレジスト材料、層間絶縁膜、保護膜などの永久膜形成材料として有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシエステル化合物(a1):
    Figure 2005126685
    (式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基、フェニル基、またはハロゲン原子、Rはそれぞれ独立して、単塩基性カルボン酸に由来する部位を含む基を示す)と、多価アルコール(a2)と、多塩基性カルボン酸またはその無水物(a3)とを、反応させることにより得られる、アルカリ可溶性樹脂。
  2. 前記エポキシエステル化合物(a1)の水酸基と多価アルコール(a2)の水酸基とのモル比が99/1〜50/50である、請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂。
  3. 前記多価アルコール(a2)がトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールからなる群から選択される多価アルコールである、請求項1または2に記載のアルカリ可溶性樹脂。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド化合物を含有する、ポジ型感放射線性樹脂組成物。
  6. 請求項4または5に記載の樹脂組成物により形成される液晶ディスプレイの層間絶縁膜。
  7. 請求項4または5に記載の樹脂組成物により形成される液晶ディスプレイの保護膜。
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