JP2005123784A - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】音声ミュートオンを指示する信号が得られたら、ΔΣ変調信号を積分し、さらにこの積分値を256サンプル分取り込んで平均値を出力する。以降は、これら積分値と平均値が等しくなったタイミングで、ΔΣ変調信号の出力を遮断し、DCパワーアンプからの音声出力を停止させる。
【選択図】図3
Description
ANDゲート13は、この図に示すD級パワーアンプ100から出力する音声(楽音)をミュートするためのミュート機能に応じて設けられるもので、上記ΔΣ変調信号Sdsと、ミュートON/OFF信号が入力される。この場合のミュートON/OFF信号は、ミュートオフ(音声出力停止解除)に対応してHレベルで、ミュートオン(音声出力停止)に対応してLレベルとなる信号である。
これに対して、例えばミュートオフからミュートオンに切り換えられたとして、LレベルのミュートON/OFF信号がANDゲート13に入力されると、ANDゲート13の出力は、ΔΣ変調器12からのΔΣ変調信号Sdsの出力にかかわらず、Lレベルが継続される。つまり、ANDゲート13からは、ΔΣ変調信号Sdsが出力されないことになる。
PWM変調器14では、ミュートがオフの状態では、ANDゲート13から入力されるΔΣ変調信号Sdsに応じてパルス幅が可変のPWM信号を出力する。
また、ミュートがオンの状態では、ANDゲート13から定常的にLレベルが入力されるが、これに応じては、この場合には、デューティが50%のPWM信号を継続して出力するように動作するものとする。
増幅出力部15は、周知のようにして、PWM信号をスイッチングして増幅するスイッチング増幅回路と、この増幅出力を音声信号波形とするためのローパスフィルタとから成る。
ミュートオフのとき、増幅出力部15には、上記のようにして、ΔΣ変調信号Sdsに応じてパルス幅が可変のPWM信号が入力される。増幅出力部15では、入力されたPWM信号をスイッチングしてローパスフィルタに通過させた増幅出力により、スピーカ16を駆動する。これにより、スピーカ16からは例えば楽音などとしての音声が出力されることになる。
また、ミュートオンのときには、ディーティが50%のPWM信号が入力される。増幅出力部15が、このようなPWM信号をスイッチングしてローパスフィルタに通過させることで、スピーカ16には、ほぼ0レベルの増幅出力が供給されることになる。つまり、無音の状態が得られることになり、出力音声にミュートがかかっている状態が得られる。
このようにして、パルス幅の変化が大きなものとなるのは、上記したミュートオフからミュートオンの状態遷移のときだけではなく、同様の理由から、ミュートオンからミュートオフの状態に遷移するときにも生じ得るものである。
つまり、第1の所定のデジタル信号処理を実行する第1の信号処理手段から出力され、第2の所定のデジタル信号処理を実行する第2の信号処理手段に入力されるべき中間処理信号についての第1の所定時間ごとの平均値とされる、第1の平均値を得る第1の平均値出力手段と、この信号処理装置からの信号出力についての停止又は停止解除の指示信号が入力されて以降の所定タイミングで、第1の所定時間よりも長く設定された第2の所定時間において得られる第1の平均値についての平均値を、第2の平均値として得るための平均値取得動作を開始する、第2の平均値出力手段と、この第2の平均値出力手段により上記第2の平均値が得られた以降のタイミングで、第2の平均値と第1の平均値とについて、等しいか否かについての比較動作を開始する比較手段と、この比較手段により第2の平均値と1の平均値が等しいとされる比較結果が得られたタイミングに応じて、第2の信号処理手段に入力されるべき中間処理信号を遮断する、又は通過させるように信号切り換えを実行する信号切換手段とを備えることとした。
つまり、第1の所定のデジタル信号処理により得られ、第2の所定のデジタル信号処理が施されるべき中間処理信号についての第1の所定時間ごとの平均値とされる、第1の平均値を得る第1の平均値出力手順と、信号出力についての停止又は停止解除の指示信号が入力されて以降の所定タイミングで、第1の所定時間よりも長く設定された第2の所定時間において得られる第1の平均値についての平均値を、第2の平均値として得るための平均値取得動作を開始する、第2の平均値出力手順と、この第2の平均値出力手順により第2の平均値が得られた以降のタイミングで、第2の平均値と記第1の平均値とについて等しいか否かについての比較動作を開始する比較手順と、この比較手順により第2の平均値と第1の平均値が等しいとされる比較結果が得られたタイミングに応じて、第2のデジタル信号処理のための中間処理信号の入力経路を遮断する、又は通過させるように信号切り換えを実行する信号切換手順とを実行するように構成するものである。
ここで、第1の平均値と第2の平均値とが等しくなるということは、1つには、上記中間処理信号を音声信号波形としてみた場合に、上記中間処理信号は、第2の平均値を基準レベルとしてみたときに、或る程度の期間にわたってこの基準レベルに近い状態にあるということがいえる。本発明としては、信号出力についての停止又は停止解除のために、上記のような信号波形の状態となっているときに第2の信号処理手段への中間処理信号の入力の遮断又は通過をコントロールすることになる。これにより、第2のデジタル信号処理が施される信号としては、ノイズ要因となるような信号状態の変化が抑制される。
この図に示すD級パワーアンプ1には、所定のサンプリング周波数及び量子化ビットによるデジタルオーディオ信号を入力することとしている。このデジタルオーディオ信号は、先ず、デジタルフィルタ11に入力される。
デジタルフィルタ11では、入力されるデジタルオーディオ信号について、元のサンプリング周波数に対する所定倍のサンプリング周波数によりリサンプリングを行う、いわゆるオーバーサンプリング等をはじめとする所要のデジタル信号処理を施す。このようにしてデジタルフィルタ11にて信号処理が施されたデジタルオーディオ信号は、ΔΣ変調器12に対して出力される。
そして、ANDゲート13は、後述するようにして、制御回路20から出力されるミュートコントロール信号Scntに応じて、ΔΣ変調器12から出力されるΔΣ変調信号Sdsを遮断してPWM制御回路14に入力させないように動作する。或いは、ΔΣ変調信号Sdsを通過させてPWM制御回路14に入力させるように動作する。つまり、制御回路20による音声ミュートのオン/オフコントロールに応じて、PWM制御回路14に入力させるべきΔΣ変調信号Sdsの遮断/通過を切り換えるようにして、信号切換を行う。
制御回路20及びこのANDゲート13による、音声信号についてのミュートオン(停止)/ミュートオフ(停止解除)の切り換えのための動作は後述する。
PWM変調器14では、このようにして入力されたΔΣ変調信号Sdsについて、PWM(Pulse Width Moduraton)変調処理を施す。前述もしたように、このときのΔΣ変調信号Sdsは、音声信号波形の振幅に応じて"1","0"の密度が変化する1ビットのパルス列である。そして、この信号がPWMにより変調されることによっては、"1","0"の密度に応じてパルス幅が変化する(振幅は一定である)PWM信号が生成される。つまり、ΔΣ変調信号Sdsに対応する音声信号波形の振幅に応じて、パルス幅が可変された信号が得られる。
上記のようにしてLレベル入力(信号無入力)が継続されるとき、本実施の形態のPWM変調器14では、先に図10(b)によっても説明したように、デューティ50%によるPWM信号を出力するようにされている。
増幅出力部15は、周知のようにして、PWM信号をスイッチングして増幅するスイッチング増幅回路と、この増幅出力を音声信号波形とするためのローパスフィルタとから成る。スイッチング増幅回路は、例えば高圧でスイッチングを行うことのできるNチャンネルのパワーMOS−FETを備えて構成することができる。また、ローパスフィルタは、周知のようにして、LCローパスフィルタが採用される。
なお、このようにして、入力信号が無いときにPWM変調器からデューティ50%によるPWM信号を出力させ、このPWM信号を増幅することで、信号出力を停止させるようにしたD級アンプの構成は既に知られている。
これに対して、ミュートオンであることに対応して、制御回路20からLレベルのミュートコントロール信号Scntを出力しているとすると、ANDゲート13の出力としては、ΔΣ変調信号Sdsが"1","0"で変化するのにかかわらず、常にLレベルになる。つまり、PWM変調器14対しては信号が無入力の状態となる。
このようにして、ANDゲート13は、制御回路20から出力されるミュートコントロール信号Scntのレベル(H/L)に応じて、先にも述べたようにして、PWM制御回路14の入力段において、ΔΣ変調信号Sdsの遮断/通過を切り換えるようにされる。
制御回路20としては、例えば図示するようにして、大きくは、タイミング発生器21と、ミュートタイミング決定部22とから成る。
つまり、タイミング発生器21は、ミュートON/OFF信号によるミュートオン/オフの指示を入力したのに応じて、ミュートタイミング決定部22が実行すべき動作タイミングを設定する。なお、タイミング発生器21としては、例えばミュートON/OFF信号のH(ミュートオン)/L(ミュートオフ)の切り換えを検知したのに応じて、しかるべきタイミングで、例えばパルス信号によるタイミング信号Stm1,Stm2,Stm3を発生して出力するように、論理回路などを組み合わせて構成することができる。
積分ブロック23では、ΔΣ変調器12から出力されるΔΣ変調信号Sdsを入力して、その入力された値についての積分を行う。この積分処理は、タイミング信号Stm1に応じて開始/終了するようにされる。
この積分ブロック23における積分結果である積分値Sdtは、平均値算出ブロック24と、比較ブロック25に対して分岐して入力される。
積分ブロック23では、所定のサンプルタイミングで積分値Sdtを出力し、平均値算出ブロック24では、このサンプルタイミングに応じてサンプル単位で積分値Sdtを取り込むようにされる。ここでは、平均値算出ブロック24は、256サンプル分を取り込んで、この256サンプル分の積分値Sdtについての平均値Savを算出するようにされる。平均値算出ブロック24は、この256サンプル分の積分値Sdtの平均値Savを算出すると、以降の平均値算出のための動作については停止し、この256サンプル分の積分値Sdtによる平均値Savを継続して出力するようにされる。
なお、タイミング信号Stm3は、この場合には、タイミング信号Stm2の発生出力時点から、上記256サンプル分の期間を経過した後に出力されるように、タイミング発生器21にて発生される。また、タイミング信号Stm1の発生出力タイミングは、タイミング信号Stm2と同様となる。
比較ブロック25には、比較対象となる信号として、平均値算出ブロック24からの平均値Savと、積分ブロック23からリアルタイム的に出力されており、現時点でのΔΣ変調信号Sdsについての積分結果を示す積分値Sdtとが入力される。比較ブロック25では、これら平均値Savと積分値Sdtの値についての比較を行い、次のようにして比較結果に応じて、H/Lレベルの論理値による出力を行う。
比較ブロック25は、入力される平均値Savと積分値Sdtの値について比較を行うことで、両者の値が等しくなる(一致する)状態が得られたか否かについて判定するようにしている。
そして、比較結果として、平均値Savと積分値Sdtの値が異なっている状態にあるときは、これまで出力していた論理値を維持するようにされる。つまり、これより以前においてHレベルを出力していたのであれば、このHレベルの出力を継続し、Lレベルを出力していたのであれば、このLレベルの出力を継続する。
これに対して、平均値Savと積分値Sdtの値が等しくなって一致した状態が得られたことを判定すると、この判定結果をトリガとして、これまでの論理値出力を反転させ、以降は、この反転した論理値を維持するようにされる。つまり、比較ブロック25は、上記一致の判定が得られる以前においてLレベルを出力していたのであれば、一致の判定を得たタイミングでHレベルに反転させて出力を継続させる。逆に、一致の判定が得られる以前においてHレベルを出力していたのであれば、一致の判定を得たタイミングでHレベルに反転させて出力を継続させることになる。
このことから、相対的な関係として、積分値SdtはΔΣ変調信号Sdsについての短期間における平均値に相当するのに対して、平均値SavはΔΣ変調信号Sdsについての長時間における平均値に相当するものであるということがいえる。
ここで、積分値Sdtは入力されるΔΣ変調信号Sdsに対応する音声波形の振幅を直流化した出力であり、上記しているように、ΔΣ変調信号Sdsについての短時間平均値ということがいえる。これに対して、平均値Savとしては、この積分値Sdtとしての平均値よりも、さらに長時間にわたってサンプリングした積分値Sdtを平均化した、長時間平均値とされる。従って、積分値Sdtにおける変動成分をより抑制して直流化したものであることになる。
そして、このような積分値Sdtと平均値Savが一致するタイミングというのは、ΔΣ変調器12からのΔΣ変調信号Sdsの出力を音声信号波形としてみた場合に、平均値Savに対応する音声信号波形のレベルを基準レベルとして、ΔΣ変調信号Sdsが示すレベルが、この基準レベルとほぼ一致しているときであるということがいえる。
そして、このような信号状態であるときに対応して、本実施の形態では、ミュートのオン/オフの切り換えのために、比較ブロック25から出力するミュートコントロール信号Scntにより、ANDゲート13からPWM変調器14に入力されるΔΣ変調信号Sdsの遮断/通過をコントロールすることになる。上記したような信号状態であるときに、PWM変調器14へのΔΣ変調信号Sdsの入力の停止/開始を行うようにすれば、例えば図10にて説明したようなPWM信号のパルス幅変化の相関性が保たれた状態で、PWM信号はデューティ50%の状態に移行することになる。或いは逆に、デューティ50%の状態からΔΣ変調信号Sdsに応じたパルス幅変化を示す状態に移行することになる。そして、このような状態でPWM信号が変化することで、従来において問題となっているような、ミュートオン/オフの切り換えのときに生じるポップノイズが有効に抑制されることになる。
本実施の形態では、このようなアイドリングノイズの重畳量が最も少ないときにミュートオン/オフの切り換え(PWM復調器14へのΔΣ変調信号Sdsの入力停止/開始)が行われるということにもなるので、ポップノイズ低減の効果はさらに有効なものとなっている。
また、上記信頼性という観点からすれば、できるだけ多くのサンプル数とすることが好ましいということになるのであるが、サンプル数が多くなるほど、平均値算出ブロック25において、サンプルしたデータ値を保持しておくためのレジスタの段数が増加することになって、例えば回路規模が大きくなる。また、サンプルをレジスタに取り込んでいる期間は、比較のための準備期間であり確実に、実際にミュートオン/オフ切換が行われるまでのタイムラグとなるから、聴覚上気になる程度にまでこのタイムラグが長くなることも好ましくない。そこで、実際としては、上記した長時間平均値としての実用的信頼性と、回路規模、タイムラグとの兼ね合いを考慮してサンプル数を決定すべきということになる。
この場合、ミュートON/OFF信号は、例えばH/Lレベルに応じて、ミュートのオン/オフを示すような信号とされればよい。また、ミュートのオン/オフとH/Lの論理値との対応も、ここでは特に指定しない。
そして、例えば図3(a)の時点t1として示すようにして、この時点以前ではミュートオフを示していたミュートON/OFF信号が、ミュートオンを示す状態に変化したとする。
また、同じ時点t1のタイミングで、タイミング発生器21は、図3(c)の時点t1に示すように、タイミング信号Stm2も出力させる。この時点t1でのタイミング信号Stm2は平均値算出ブロック23の動作を開始させることを指示する信号である。平均値算出ブロック23は、このタイミング信号Stm2に応じて、時点t1から、256サンプル分の積分値Sdtの平均値算出のための動作を開始する。つまり、時点t1直後からは、先ず、積分値Sdtを取り込んで、256サンプル分を保持していくための処理を行っていくことになる。
この場合において、時点t2を経過した直後の段階では、まだ、平均値Savと積分値Sdtが一致していない状態であることから、比較ブロック25からの出力としては、時点t2以前からのHレベルを維持させている。
Hレベルの停止コントロール信号Sstに応じては、ΔΣ変調器12は、その変調動作を継続するようにされる。これにより、ΔΣ変調器12からはΔΣ変調信号Sdsの出力を継続することになる。
また、Hレベルのミュートコントロール信号ScntがANDゲート13に対して入力されているときには、ANDゲート13では、もう一方の入力であるΔΣ変調信号Sdsに応じた論理値を出力することになる。つまり、入力されるΔΣ変調信号Sdsをそのまま通過させてPWM変調器14に入力させていることになる。
これにより、図1に示すD級パワーアンプ1としては、入力されたデジタルオーディオ信号を増幅して音声として出力している状態にあることになる。つまり、ミュートオフの状態が得られていることになる。
先ず、Lレベルのミュートコントロール信号Scntが入力されると、ANDゲート13では、もう一方の入力に供給されるΔΣ変調信号Sdsの値にかかわらず、Lレベルを定常的に出力することになる。これは、たとえΔΣ変調器12からΔΣ変調信号Sdsが出力されているとしても、PWM変調器14への信号入力が無い(遮断された)状態であるということになる。
そして、このミュートオンのタイミングは、積分値Sdtと平均値Savが一致して等しいときであり、従って、前述した理由により、音声出力停止時のポップノイズは抑制されることになる。
本実施の形態では、この強制ミュートオンのタイミングを、時点t2により比較ブロック25が比較動作を開始してから、さらに積分値Sdtの256サンプル分に相当する時間長を経過したタイミングである、時点t4に設定することとしている。
また、タイミング発生器21は、同じ時点t4において、図3(c)に示すようにして、平均値算出ブロック24の動作を停止させるためのタイミング信号Stm2を出力する。これにより、平均値算出ブロック24は、時点t2から継続していた平均値Savの出力を停止する。
なお、確認のために述べておくと、この時点t4におけるタイミング発生器21による、上記タイミング信号Stm1,Stm2,Stm3の出力動作は、図3(d)に示したようにして、時点t3において既にミュートがオンとされた場合においても、これにかかわらず必ず実行されるものとなる。
この図4において、時点t1より以前は、例えば上記図3での時点t4以降における状態に対応している。つまり、制御回路20におけるタイミング発生器21、及びミュートタイミング決定部22としての積分ブロック23、平均値算出ブロック24が動作を停止している状態である。そして、比較ブロック25は比較動作を停止していると共に、Lレベルの出力を継続しており、これによりミュートがオンとされて音声出力が停止されている状態にある。
この時点t1におけるミュートON/OFF信号の変化に応じた動作として、タイミング発生器21では、図3に示した場合と同様にして、タイミング信号Stm1,Stm2を出力する。これに応じて、時点t1以降においては、積分ブロック23、平均値算出ブロック24は、図3と同様にして動作する。
これに応じて、比較ブロック25は以降の比較動作は停止する。そして、この場合においては、時点t3以前においてLレベルを出力していたので、時点t3以降からは、Hレベルに反転させた出力を継続する。
これにより、先ず、停止コントロール信号SstがHレベルとされることになるが、これによっては、ΔΣ変調器12におけるレジスタクリアのための動作が解除されることになる。レジスタクリアが解除されてレジスタへのデータセットが有効になれば、ΔΣ変調器12としての変調動作が開始されることになり、ΔΣ変調器12からは入力デジタルオーディオ信号に応じたΔΣ変調信号Sdsの出力が開始されることになる。
また、比較ブロック25の出力がHレベルとなることで、ANDゲート13の一方の入力端子にもHレベルが入力されることになる。これにより、ΔΣ変調信号Sdsから出力されたΔΣ変調信号Sdsは、ANDゲート13を通過するようにしてPWM変調器14に対して入力される。この結果、スピーカ16からは音声出力が開始されることになる。つまり、音声ミュートがオフ(解除)とされたことになる。
そして、このようなミュートオフのタイミングとしても、積分値Sdtと平均値Savが一致して等しい状態が得られているときに対応しており、従って、音声出力開始時のポップノイズも抑制されることになる。
これにより、積分ブロック23は、時点t1から開始させていた積分のための処理を停止し、平均値算出ブロック24、時点t2から開始させていた平均値Savの出力を停止する。
なお、この場合においても、時点t4におけるタイミング発生器21によるタイミング信号Stm1,Stm2,Stm3の出力は、強制ミュートオフとしての動作に対応するから、時点t3においてミュートがオフとされたか否かにかかわらず実行されるものとなる。
図5は、第2の実施の形態としてのD級パワーアンプ1Aとしての構成を示している。なお、図1に示した第1の実施の形態のD級パワーアンプ1と同一とされる構成部位については同一符号を付してここでの説明は省略する。
第2の実施の形態としては、このようにしてΔΣ変調器において、DCディザを加える構成を採る場合に対応している。
通常であれば、このDCディザ発生器30から出力されるDCディザ信号Sdiz1は、ΔΣ変調器12に対して直接入力してよい。しかしながら、この場合には、DCディザ信号Sdiz1を、一旦、制御回路20Aに入力することとしている。詳しいことは後述するが、制御回路20Aでは、入力したDCディザ信号Sdiz1についてレベル調整が可能とされており、レベル調整後のDCディザ信号Sdiz1を、調整DCディザ信号Sdiz2としてΔΣ変調器12に入力する。
ΔΣ変調器12では、上記したようにして、調整DCディザ信号Sdiz2を加算するようにして重畳した入力デジタルオーディオ信号について、ΔΣ変調処理を行うようにされる。
図6によると、第2の実施の形態の制御回路20Aとしては、先に図2に示した制御回路20に対して、フェーダブロック26が追加された構成となっていることが分かる。このフェーダブロック26には、DCディザ発生回路30から出力される一定レベル(規定量)のDCディザ信号Sdiz1が入力される。フェーダブロック26では、入力されたDCディザ信号Sdiz1について、フェードアウトさせるようにして徐々にディザ量(信号レベル)を低下させ、最終的に下限値である0レベルとすることが可能とされている。また逆に、フェードインさせることも可能とされている。つまり、例えば0レベルの状態から徐々にディザ量(信号レベル)を増加させ、最終的にDCディザ信号Sdiz1に対応する一定レベルにまで増加させる。そして、このようにしてフェーダブロック26を経由したDCディザ信号Sdiz1を、調整DCディザ信号Sdiz2として、ΔΣ変調器12に出力するようにされる。このようなDCディザ量を可変する処理は、制御回路20Aが実行すべき処理として、ΔΣ変調器12におけるΔΣ変調処理に関連した、1つの信号処理ということがいえる。
なお、上記のようにして、フェードイン/フェードアウトの処理は、入力されたDCディザ信号Sdiz1に対して、一定値を加算/減算していくことで実現可能である。また、このときに、加算/減算のための上記一定値を設定するための時定数を予めいくつか用意して選択可能とすることで、フェードイン/フェードアウトに要する時間を可変することが可能である。
先ず、図7は、ミュートON/OFF信号が、ミュートオフからミュートオンを指示する状態に変化した場合の動作を示している。
この場合、時点t0以前においては、図7(a)に示すように、ミュートON/OFF信号はミュートオフを示しており、このとき、比較ブロック25では、図7(e)(f)に示されるように、比較動作を停止した状態で、Hレベルを出力している。これにより、ミュートがオフとされて音声が出力されている状態となっている。また、積分ブロック23及び平均値算出ブロック24は、図7(e)(f)に示すようにして、動作を停止している状態にある。
ΔΣ変調器において規定の適正量のDCディザを加えることで、前述したようにビートノイズとしての発振現象は抑制される。しかしながら、このようなDCディザを加えてΔΣ変調した場合においては、ΔΣ変調信号Sdsとしての出力にも、このDCディザの成分が含まれている。このために、ミュートオン/オフに応じて、ΔΣ変調信号Sdsのオン/オフを行った場合には、DCディザ成分が含まれている分、ポップノイズが生じやすくなる。
これは、例えば先の第1の実施の形態としての手順によりミュートオン/オフをした場合にもいえる。つまり、積分値Sdtと平均値Savの一致に応じたミュートオン/オフの切り換えは、結果的にはΔΣ変調器14におけるアイドリングノイズの影響によるポップノイズを主として排除する効果を有しているものだからである。
そして、このようにしてDCディザ量を0とした後に、先の第1の実施の形態と同様の手順によりΔΣ変調信号Sdsを遮断するタイミングを決定するようにされる。これにより、第1の実施の形態と同様にして、主にアイドリングノイズに対応して生じるポップノイズを抑制してミュートオンの状態に移行させることができる。
この図において、時点t1より以前は、例えば上記図7での時点t4以降における状態に対応している。つまり、制御回路20Aにおけるタイミング発生器21、及びミュートタイミング決定部22としての積分ブロック23、平均値算出ブロック24が動作を停止している状態である。そして、比較ブロック25は比較動作を停止していると共に、Lレベルの出力を継続しており、これによりミュートがオンとされて音声出力が停止されている状態にある。さらに、この場合には、ΔΣ変調器12に入力されるべき調整DCディザ信号Sdiz2は、図8(b)に示されているようにして、0レベルとなっている。
この場合において、時点t1以降におけるタイミング発生器21によるタイミング信号Stm1,Stm2,Stm3の出力タイミングと、これに応じた図8(c)(d)(e)(f)に示される積分ブロック23,平均値算出ブロック24、比較ブロック25の動作は、図4(b)(c)(d)(e)による説明と同様にして行われることになる。
フェーダブロック26では、0レベルを出力させている状態において解除通知信号Stuが立ち上がると、調整DCディザ信号Sdiz2の出力レベルをフェードインさせる。つまり、調整DCディザ信号Sdiz2の出力レベルを、入力のDCディザ信号Sdiz1の本来のレベルに対応する規定レベルにまで徐々に増加させるように動作する。
従って、このときには、ΔΣ変調信号SdsにはDCディザ成分は含まれていないので、DCディザ成分に起因するポップノイズが発せられることはない。つまり、音声出力を開始させるときには、DCディザ成分をΔΣ変調信号Sdsに含ませないことで、ポップノイズの抑制効果が最も高い状態となるようにしている。そして、この後において、ΔΣ変調器12に対して入力させる調整DCディザ信号Sdiz2を、フェードインさせて徐々に増加させていくようにされる。なお、ここで調整DCディザ信号Sdiz2を急峻に規定量となるようにはせず、徐々に増加させているのも、フェードインの場合と同様にして、急峻なレベル増加によるポップノイズの発生を避けることを目的としている。そして、この後において、ΔΣ変調器12では、適正量のDCディザを加えたΔΣ変調処理を実行していくようにされる。
一例として、DCアンプの出力によりモータを駆動する構成も知られているが、本発明をこのようなモータ駆動回路に適用することができる。
つまり、例えばモータ駆動信号を入力してΔΣ変調処理、PWM変調処理を行い、PWM信号を増幅出力部により増幅して得られる出力電流(若しくは電圧)によりモータを回転駆動する回路である。このような回路に本発明を適用すれば、モータの停止、及び回転開始の際に、ポップノイズやアイドリングノイズなどに相当するノイズ成分、及びDCディザ成分に起因するノイズなどがモータ駆動信号に発生することが抑制される。これにより、スムーズなモータの停止動作又は回転開始動作を得ることが可能である。
Claims (8)
- 第1の所定のデジタル信号処理を実行する第1の信号処理手段から出力され、第2の所定のデジタル信号処理を実行する第2の信号処理手段に入力されるべき中間処理信号についての第1の所定時間ごとの平均値とされる、第1の平均値を得る第1の平均値出力手段と、
信号処理装置からの信号出力についての停止又は停止解除の指示信号が入力されて以降の所定タイミングで、上記第1の所定時間よりも長く設定された第2の所定時間において得られる第1の平均値についての平均値を、第2の平均値として得るための平均値取得動作を開始する、第2の平均値出力手段と、
上記第2の平均値出力手段により上記第2の平均値が得られた以降のタイミングで、この第2の平均値と、上記第1の平均値とについて、等しいか否かについての比較動作を開始する比較手段と、
上記比較手段により上記第2の平均値と上記第1の平均値が等しいとされる比較結果が得られたタイミングに応じて、上記第2の信号処理手段に入力されるべき上記中間処理信号を遮断する、又は通過させるように信号切り換えを実行する信号切換手段と、
を備えていることを特徴とする信号処理装置。 - 上記第2の平均値出力手段は、
上記指示信号が入力されたタイミングに応じて、上記平均値取得動作を開始するようにされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記指示信号が入力されたタイミングに応じて、先ず、信号処理装置において、少なくとも、上記第1のデジタル信号処理に関連する所定の関連信号処理を実行する関連信号処理手段をさらに備えると共に、
上記第2の平均値出力手段は、
上記関連信号処理手段による上記所定の信号処理が実行された後のタイミングで、上記平均値取得動作を開始するようにされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記第1の信号処理手段は、上記第1のデジタル信号処理としてΔΣ変調処理を実行するように構成され、
上記関連信号処理手段は、上記関連信号処理として、上記ΔΣ変調処理の対象となるデジタル信号に加えるディザを、所定の規定量から所定の下限量まで、所定の時間経過を伴って減少させる処理を実行するようにされている、ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。 - 上記比較手段により上記第2の平均値と上記第1の平均値が等しいとされる比較結果が得られたタイミングに応じて、信号処理装置において、少なくとも、上記第1のデジタル信号処理に関連する所定の関連信号処理を実行する関連信号処理手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記第1の信号処理手段は、上記第1のデジタル信号処理としてΔΣ変調処理を実行するように構成され、
上記関連信号処理手段は、上記関連信号処理として、上記ΔΣ変調処理の対象となるデジタル信号に加えるべきディザを、所定の下限量から所定の規定量まで、所定の時間経過を伴って増加させる処理を実行するようにされている、ことを特徴とする請求項5に記載の信号処理装置。 - 上記信号切換手段は、
上記比較手段の比較動作が開始されて以降において、上記第2の平均値と上記第1の平均値が等しいとされる比較結果が得られることなく所定時間経過した場合には、上記信号切り換えを実行するようにされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 第1の所定のデジタル信号処理により得られ、第2の所定のデジタル信号処理が施されるべき中間処理信号についての第1の所定時間ごとの平均値とされる、第1の平均値を得る第1の平均値出力手順と、
信号出力についての停止又は停止解除の指示信号が入力されて以降の所定タイミングで、上記第1の所定時間よりも長く設定された第2の所定時間において得られる第1の平均値についての平均値を、第2の平均値として得るための平均値取得動作を開始する、第2の平均値出力手順と、
上記第2の平均値出力手順により上記第2の平均値が得られた以降のタイミングで、この第2の平均値と、上記第1の平均値とについて、等しいか否かについての比較動作を開始する比較手順と、
上記比較手順により上記第2の平均値と上記第1の平均値が等しいとされる比較結果が得られたタイミングに応じて、上記第2のデジタル信号処理のための上記中間処理信号の入力経路を遮断する、又は通過させるように信号切り換えを実行する信号切換手順と、
を実行することを特徴とする信号処理方法。
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