JP2005120582A - ダム流入汚濁水制御設備およびダム流入汚濁水制御方法 - Google Patents

ダム流入汚濁水制御設備およびダム流入汚濁水制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ダム湖に汚濁水が一時的に流入した場合に、その汚濁水がダム付近に流入しな
いように制御することが簡単にできるダム流入汚濁水制御設備を提供すること。
【解決手段】 浮沈式フェンス1をダム湖2の両岸3a,3bに差し渡すようにして張設
するとともに、該フェンス1の上流側水面に汚濁センサ4を設置し、該汚濁センサ4の信
号に基づいて前記フェンス1を浮沈させるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダム流入汚濁水制御設備、およびダム流入汚濁水制御方法に関するものであ
る。
水道水取水ダム等においては、洪水時にダム湖に流入した汚濁水がそこに留まることを
解消するために、ダムの上流と下流とを結ぶバイパストンネルを形成し、該トンネルを介
して汚濁水を、取水口よりも下流に逃がすようにしたダム流入汚濁水制御設備がある(例
えば、特許文献1,2参照)。
特開平5−179631号公報(図1、図2) 特開平9−143961号公報(図1、図3)
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されているダム流入汚濁水制御設備では、例
えば、集中豪雨等の一時的な降雨によってダム湖の水が汚濁された場合に、その都度バイ
パストンネルを開放して汚濁水をダム下流に放流することは、ランニングコストの多大な
上昇を招いてしまう。
そこで本発明は、上記した背景技術が有する実情に鑑みて、特に、ダム湖に汚濁水が一
時的に流入した場合に、その汚濁水がダム付近に流入しないように制御することが簡単に
できる、ダム流入汚濁水制御設備およびダム流入汚濁水制御方法を提供することを目的と
する。
上記した課題を解決するため、請求項1のダム流入汚濁水制御設備では、浮沈式フェン
スをダム湖の両岸に差し渡すようにして張設するとともに、該フェンスの上流側水面に汚
濁センサを設置し、該汚濁センサの信号に基づいて前記フェンスを浮沈させるようにした
ことを特徴としている。
また、請求項2のダム流入汚濁水制御設備では、上記請求項1の発明において、上記浮
沈式フェンスが、空気によって浮力が付与される浮沈式フロートと、該フロートから垂下
されたカーテンを備えていることを特徴としている。
更に、請求項3のダム流入汚濁水制御設備では、上記請求項2の発明において、上記浮
沈式フロートの適宜位置に、常時浮上している補助フロートを配設したことを特徴として
いる。
また、請求項4のダム流入汚濁水制御設備では、上記請求項2の発明において、上記浮
沈式フェンスを、常時浮上しているフロートと該フロートから垂下されたネットによって
構成されるネットフェンスを並設させるとともに、前記ネットの下縁を、前記浮沈式フェ
ンスのカーテンの上部に取付けたことを特徴としている。
また、請求項5のダム流入汚濁水制御方法では、浮沈式フェンスをダム湖の両岸に差し
渡すようにして張設し、前記フェンスの上流側水面が汚濁された際に、前記フェンスを水
面上に浮上させて、フェンスの上流側水面の汚濁水がダム前面水域に流れ込むのを防止し
、前記フェンスの上流側水面が清浄になったとき、前記フェンスを水中に沈降させて、フ
ェンスの上流側水面の水をダム前面水域に流入させることを特徴としている。
上記した請求項1のダム流入汚濁水制御設備によれば、安価な設備で、ダム湖の水が汚
濁した場合に、その汚濁水がダムの前面水域に流入するのを防止することができる。
上記した請求項2のダム流入汚濁水制御設備よれば、カーテンによって水面から適宜深
さまでの汚濁水を、ダム前面水域に流入するのを確実に防止すことができる。
上記した請求項3のダム流入汚濁水制御設備によれば、補助フロートによって、浮沈式
フェンスの沈降量を一定深さに維持することができる。
上記した請求項4のダム流入汚濁水制御設備によれば、ネットフェンスのフロートによ
って、浮沈式フェンスを所定位置に保持することができ、浮沈式フロートを浮沈させるた
めのエアーが少なくて済むとともに、浮沈式フェンスが水中に沈降している状態でも、ネ
ットフェンスのネットによって、ゴミ等がダム前面水域に流入するのを阻止することがで
きる。
上記した請求項5のダム流入汚濁水制御方法によれば、安価な設備で、ダム湖の水が汚
濁した場合に、その汚濁水がダムに流入するのを防止することができる。
以下、上記した本発明に係るダム流入汚濁水制御設備およびダム流入汚濁水制御方法の
実施の形態を、図面等を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は本発明に係るダム流入汚濁水制御設備の一実施の形態を概念的に示した
斜視図、図2は図1における汚濁水制御設備のフェンスを浮上させた状態を示した要部斜
視図、図3は図1における汚濁水制御設備のフェンスを沈降させた状態を示した要部斜視
図、図4はフェンスを沈降させるためのエア給排気配管を示した管路図である。
図示したダム流入汚濁水制御設備Aでは、浮沈式フェンス1がダム湖2の両岸3a,3
bに差し渡すようにして張設され、該フェンス1の上流側水面に汚濁センサ4が設置され
、該汚濁センサ4の検出信号に基づいて、浮沈式フェンス1にエアーを給排気するエア給
排気制御装置5が設置されている。
上記浮沈式フェンス1では、図2および図3に示したように、適宜間隔に、常時浮力が
付与されている補助フロート6,6・・・が配置され、それらの補助フロート6,6・・
・間に、空気を供給することによって浮力が付与され、排気することによって浮力を失う
浮沈式フロート7,7・・・が配置されている。そして、前記浮沈式フロート7,7・・
・は、例えば補助フロート6を貫通して設けられたパイプ(ホース)8によって互いに連
通され、最端部の浮沈式フロート7が、図1に示したように、エア給排気制御装置5のパ
イプ(ホース)9に接続されている。
また、上記浮沈式フェンス1では、補助フロート6および浮沈式フロート7に、カーテ
ン10が垂下されており、該カーテン10の下縁には、カウンタウエート11が取付けら
れている。カーテン10の上下方向の幅Lは、10メートル程度に設計され、水面からか
なりの深さまでの汚濁水を、ダム前面水域に流入するのを防止している。
上記エア給排気制御装置5は、図4に示したように、コンプレッサ12によって常時エ
アーが蓄積されるエアレシーバ13を備えている。そして、エアレシーバ13は、制御弁
14を介してパイプ9に接続されている。この制御弁14は、CPU等を備えた制御部1
5によって、エアレシーバ13を浮沈式フロート7に連通させるエア供給状態と、浮沈式
フロート7を大気に開放するエア排気状態とを実現する。上記エア給排気制御装置5の制
御部15は、汚濁センサ4に接続され、該汚濁センサ4の検知信号に基づいて、上記制御
弁14に上記制御を行なう。
上記した汚濁水制御設備Aでは、通常、即ち、ダム湖2の上流側の水が清浄である場合
には、浮沈式フロート7内からエアーが排気され、図3に示したように、カーテン10の
上縁が水中に沈降されている。
一方、集中豪雨等によって上流側の水が汚濁された場合には、その汚濁状態が汚濁セン
サ4によって検出され、エア給排気制御装置5によって制御弁14が作動され、浮沈式フ
ロート7内にエアーが供給され、図2に示したように、浮沈式フェンス1の上縁が水面に
浮上される。
これにより、水面の汚濁水は浮沈式フェンス1に堰き止められて、ダム16側へ流入す
ることはない。なお、ダム湖2の上流側の適宜深さの水(まだ汚濁されていない水)は、
カーテン10の下方からダム16の前面水域に流入する。
雨が上がり、時間が経過すると、水面は次第に澄み、また水面の汚濁水は沈降する。浮
沈式フェンス1の上流側の水が澄んでくると、その水の清浄状態が汚濁センサ4によって
検出される。この汚濁センサ4の検知信号に基づき、エア給排気制御装置5によって制御
弁14が作動され、浮沈式フロート7内のエアーが排気され、浮沈式フェンス1は、図3
に示したように、再びその上縁の一部が沈降し、その部分から上流側の澄んだ水がダム1
6の前面水域に流入する。
図5乃至図7は、本発明に係るダム流入汚濁水制御設備の他の実施の形態を示したもの
であり、図5はその全体を概念的に示した斜視図、図6は図5における汚濁水制御設備の
フェンスを浮上させた状態を示した要部斜視図、図7は図5における汚濁水制御設備のフ
ェンスを沈降させた状態を示した要部斜視図である。
このダム流入汚濁水制御設備Bでは、ネットフェンス17がダム湖2の両岸3a,3b
に差し渡すようにして張設されている。このネットフェンス17には、常時浮力が付与さ
れているフロート18,18・・・が適宜な間隔をもって配置され、それらのフロート1
8,18・・・には、上下方向の幅Laが1m程度のネット19が垂下されている。そし
て、このネットフェンス17のネット19の下縁には、浮沈式フェンス1のカーテン10
の上部が縫合等によって取付けられている。
なお、このダム流入汚濁水制御設備Bでは、浮沈式フェンス1に補助フロート6はなく
、浮沈式フロート7のみによって構成されている。
上記したダム流入汚濁水制御設備Bでは、通常、即ち、ダム湖2の上流側の水が清浄で
ある場合には、浮沈式フロート7内からエアーが排気されており、カーテン10の上縁が
、図7に示したように水中に沈降され、清浄な水がダム16側に流入する。
一方、集中豪雨等によって上流側の水が汚濁された場合には、その汚濁状態が汚濁セン
サ4によって検出され、エア給排気制御装置5によって制御弁14が作動され、浮沈式フ
ロート7内にエアーが供給され、図6に示したように、浮沈式フェンス1の上縁が水面に
浮上される。
これにより、水面の汚濁水は浮沈式フェンス1に堰き止められて、ダム16の前面水域
に流入することはない。なお、浮沈式フェンス1の上流側の適宜深さの水(まだ汚濁され
ていない水)は、カーテン10の下方からダム16の前面水域に流入する。
雨が上がり、時間が経過すると、水面は次第に澄み、また水面の汚濁水は沈降する。浮
沈式フェンス1の上流側の水が澄んでくると、その水の清浄状態が汚濁センサ4によって
検出される。この汚濁センサ4の検知信号に基づいて、エア給排気制御装置5によって、
制御弁14が作動され、浮沈式フロート7内のエアーが排気される。
これにより、浮沈式フェンス1は、図7に示したように、その上縁の一部が沈降し、そ
の部分から上流側の澄んだ水がダム16側に流入する。
上記した実施形態のダム流入汚濁水制御設備Bでは、ネットフェンス17のフロート1
8によって浮沈式フェンス1の全体が支持されている構造であるため、浮沈式フロート7
の浮力は小さくて済む。また、浮沈式フロート7が水中に沈降している状態でも、ネット
フェンス17が水面上に位置されているので、該ネットフェンス17によってゴミ等が捕
捉され、ゴミ等がダム16側に流入する虞もない。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定され
ず、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変
更が可能であることは当然である。
本発明に係るダム流入汚濁水制御設備の一実施の形態を概念的に示した斜視図である。 図1における汚濁水制御設備の浮沈式フェンスを浮上させた状態を示した要部斜視図である。 図1における汚濁水制御設備の浮沈式フェンスを沈降させた状態を示した要部斜視図である。 浮沈式フェンスを沈降させるためのエア給排気配管を示した管路図である。 本発明に係るダム流入汚濁水制御設備の他の実施の形態を示した概念的な斜視図である。 図5における汚濁水制御設備の浮沈式フェンスを浮上させた状態を示した要部斜視図である。 図5における汚濁水制御設備の浮沈式フェンスを沈降させた状態を示した要部斜視図である。
符号の説明
1 浮沈式フェンス
2 ダム湖
3a,3b 岸
4 汚濁センサ
5 エア給排気制御装置
6 補助フロート
7 浮沈式フロート
8,9 パイプ(ホース)
10 カーテン
11 カウンタウエート
12 コンプレッサ
13 エアレシーバ
14 制御弁
15 制御部
16 ダム
17 ネットフェンス
18 フロート
19 ネット
A,B ダム流入汚濁水制御設備

Claims (5)

  1. 浮沈式フェンスをダム湖の両岸に差し渡すようにして張設するとともに、該フェンスの
    上流側水面に汚濁センサを設置し、該汚濁センサの信号に基づいて前記フェンスを浮沈さ
    せるようにしたことを特徴とする、ダム流入汚濁水制御設備。
  2. 上記浮沈式フェンスは、空気によって浮力が付与される浮沈式フロートと、該フロート
    から垂下されたカーテンを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のダム流入汚濁
    水制御設備。
  3. 上記浮沈式フロートの適宜位置に、常時浮上している補助フロートを配設したことを特
    徴とする、請求項2に記載のダム流入汚濁水制御設備。
  4. 上記浮沈式フェンスに、常時浮上しているフロートと該フロートから垂下されたネット
    とによって構成されるネットフェンスを並設させるとともに、前記ネットの下縁を、前記
    浮沈式フェンスのカーテンの上部に取付けたことを特徴とする、請求項2に記載のダム流
    入汚濁水制御設備。
  5. 浮沈式フェンスをダム湖の両岸に差し渡すようにして張設し、前記フェンスの上流側水
    面が汚濁された際に、前記フェンスを水面上に浮上させて、フェンスの上流側水面の汚濁
    水がダム前面水域に流れ込むのを防止し、前記フェンスの上流側水面が清浄になったとき
    、前記フェンスを水中に沈降させて、フェンスの上流側水面の水をダム前面水域に流入さ
    せることを特徴とする、ダム流入汚濁水制御方法。
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