JPH07127041A - ダム貯水池の流入水分離装置 - Google Patents

ダム貯水池の流入水分離装置

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JPH07127041A
JPH07127041A JP27921493A JP27921493A JPH07127041A JP H07127041 A JPH07127041 A JP H07127041A JP 27921493 A JP27921493 A JP 27921493A JP 27921493 A JP27921493 A JP 27921493A JP H07127041 A JPH07127041 A JP H07127041A
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water
reservoir
dam
inflow
river
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Masuji Oi
益二 大井
Yuzo Shin
有三 進
Yoshihiko Kono
吉彦 河野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水質不良の流入河川水を貯水池を素通りさせ
て下流河川に放流し池の汚染を防止してその水質を自浄
能力により良好に維持する。或いは水質の良好な流入河
川水を水質の不良の貯水池を素通りさせて下流河川に放
流し又はダム取水部から取水して、下流河川及び取水し
た水の水質を向上する。 【構成】 貯砂ダム13が河川11の流水中の土砂、土
石を貯え、流入水を定量水と過剰水に分離し放流する。
貯砂ダムと貯水池10の流水部10a間の地表に敷設さ
れた剛構造の分離導水路21が定量水を池に導く。カー
テンシート16が池のダム堤体14の近傍でダム堤体の
放流口14aを包囲して池面から池底までフロート17
と錘18により垂設され、池を貯水部10bと放流部1
0cに区分する。導水路21に接続した柔構造の分離導
水路22がカーテンシートを貫通して放流部まで延び貯
水部を通って池中に設けられ、定量水を放流部に導く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水位変動の頻繁なダム
貯水池又は水位変動の小さい自然湖沼のような閉鎖性水
域の水質汚濁を防止するダム貯水池の流入水分離装置に
関する。更に詳しくは、水質不良のダム流入河川水を貯
水池を素通りさせて下流河川に放流し貯水池の汚染を防
止してその水質を自浄能力により良好に維持するダム貯
水池の流入水分離装置、或いは水質の良好な流入河川水
を水質の不良の貯水池を素通りさせて下流河川に放流し
又はダム取水部から取水して、下流河川及び取水した水
の水質を向上するダム貯水池の流入水分離装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ダム貯水池や湖沼の上流域から排
出される人間の社会生活活動に基因する汚濁負荷量が増
大し、このため、ダム貯水池への流入水の有機物は貯水
池の浄化能力を上回るようになってきている。この流入
水が有機物を多く含むと、ダム貯水池は富栄養化が進み
その水質は次第に悪化する。この対策として貯水池上流
域で下水道整備がなされているが、その効果が現れるに
は未だ相当の期間を要し、その整備には多額の費用を必
要とする。この下水道事業は家屋等の生活空間からの排
出水が主な対象となっており、道路面や畑地からの汚濁
物質を除去する事業の整備を待つと更に期間を要するも
のと考えられる。またこのような現行の処理レベルは中
級処理であり、上水道用水源に適した貯水池の実現には
必ずしも十分とは言い難い。そのため根本的な対策とし
てよりレベルの高い活性炭等を使用した高度処理を採用
する必要がある。しかし、このためには前述した現行の
中級処理の達成期間に加えて更に相当の期間を必要とす
る。ダム貯水池の水質の悪化は種々の問題を発生させ、
特に上水道用の貯水池では取水した水の浄化費用を上昇
させるとともに、水道水の味を劣化させている。
【0003】従来、この点を改善し、即効性のある対策
として、ダム貯水池より高地に上地ダムを設け、ダム貯
水池と上地ダムを送水管で連結し、この送水管に通気管
を設けてこの通気管より気体を供給することにより、水
中の汚濁物質を気泡とともに水面上に浮上させて汚濁物
質の濃度を濃くする方法が開示されている(特開昭60
−129183)。この方法によれば、水面部に汚濁物
質を集めてその密度を高めて汚濁物質の粒子を干渉沈降
させてダム貯水池に堆積させ、貯水池の水を清澄化す
る。
【0004】一方、ダム貯水池への流入水に土砂又は土
石が含まれると、貯水池の底部に堆積した土砂又は土石
は貯水容量を減少させる。従来、この土砂又は土石の貯
水池堆積を防止するために、ダム上流の法面表土部に止
水シートを設けるか又は排水施工をし、ダム堤体の近傍
にフラップを有するフロート体を多重に展開して張り巡
らした後、ダム貯水池の堆積汚泥を浚渫するダムの環境
改善方法が提案されている(特開昭60−4040
9)。この方法によれば、ダム貯水池の汚泥の堆積を極
力回避でき、フロート体が汚泥粒子を沈降させ、フラッ
プには種々の生物が繁殖して有機物の浄化が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭60−
129183号公報及び特開昭60−40409号公報
に示される方法は、いずれも上流からの流入水がダム貯
水池の水と混合され、流入水が汚濁物質を多く含んでい
る場合には貯水池全体の水質汚濁が進む恐れがあった。
またいずれの方法も池底に堆積した汚泥を浚渫する必要
がある。貯水池における浚渫はその必要とする範囲が広
いため、沈降した流木、立木、巨礫等の粗大物が貯水池
に流れ込むと、上記方法ではこれらの粗大物の存在によ
り浚渫効率は低下し、かつ浚渫船を貯水池に常備しなけ
ればならない問題点があった。
【0006】本発明の目的は、水質不良のダム流入河川
水を貯水池を素通りさせて下流河川に放流し貯水池の汚
染を防止してその水質を自浄能力により良好に維持する
ダム貯水池の流入水分離装置を提供することにある。本
発明の別の目的は、水質の良好な流入河川水を水質の不
良の貯水池を素通りさせて下流河川に放流し又はダム取
水部から取水して、下流河川及び取水した水の水質を向
上するダム貯水池の流入水分離装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を、実施例に対応する図1及び図7を用
いて説明する。本発明のダム貯水池の流入水分離装置
は、貯砂ダム13と第1分離導水路21と第2分離導水
路22とカーテンシート16を備える。貯砂ダム13
は、ダム貯水池10に流れ込む河川11の貯水池との合
流部付近に設けられ、河川11の流入水Wに含まれる土
砂又は土石Gを貯え、越流する流入水Wを定量水Fと過
剰水Vとに分離して放流するように構成される。第1分
離導水路21は、貯砂ダム13に一端が接続され、他端
が貯水池10の流水部10aに接続され、貯砂ダム13
で分離された定量水Fを貯水池10に導く地表に敷設さ
れる剛構造の水路である。カーテンシート16は、上端
にフロート17が装着され、下端に錘18が装着され、
貯水池10のダム堤体14の近傍でダム堤体14にほぼ
平行に貯水池10を横断するか又はダム堤体14の放流
口14aを包囲するように池面から池底まで垂設され、
貯水池10を貯水部10bと放流部10cに区分するよ
うに構成される。更に第2分離導水路22は、第1分離
導水路21に一端が接続され、他端がカーテンシート1
6を貫通して放流部10cまで延び、貯水部10bを通
って貯水池10の水中に設けられ、定量水Fを放流部1
0cに導く柔構造の水路である。
【0008】
【作用】河川11から土砂、土石G、流木等の粗大物T
等を含む水が貯砂ダム13に到来すると、この流入水W
により連行される土砂又は土石Gは貯砂ダム13で貯え
られ、下流の分離導水路21及び22の摩耗を防止し、
これらの分離導水路21及び22の耐久性を高めると同
時に分離導水路21,22の閉塞をも防止する。また、
貯砂ダム13が土砂又は土石Gで充満した場合や、浮遊
性の流木等が流下した場合は、流水により連行されたこ
れら土石、流木等は貯砂ダム13を越流する。しかし、
これらの物体は水流とは異なり付着流とはならず重力に
より垂直に余水路28に落下し、分離導水路系からはス
クリーン等の閉塞性の高い設備によらず、自動的に除外
される。
【0009】貯砂ダム13で流入水Wは貯水池10が持
つ自浄能力に従って決められた割合で定量水Fと過剰水
Vに分離される。分離された定量水Fは分離導水路21
及び22を通って放流部10cに吐出される。このた
め、晴天時に路面等に蓄積された種々のゴミを多量に含
む小規模な降雨時の雨水や生活廃水等の河川11の流入
水Wはそのほとんどが貯水部10bを素通りしてダム堤
体14の放流口14aから放流され、この流入水Wは貯
水部10bにたたえられた水と混合しない。このため、
貯水池に流入する汚濁負荷量が激減し、貯水部10bの
水はその自浄能力により浄化される。一方、ダム貯水池
水質が既に悪化して、濁度が高い場合や低温である場合
等には、貯水池下流河川の環境保全のために、貯水池水
質よりも相対的に良好な水質である上流河川流水を素通
りさせる。
【0010】中規模以上の降雨時では、貯砂ダム13に
おいて分離された過剰水Vは分離導水路21を通らずに
貯水池10に流入する。この時の過剰水Vの水質は、既
に汚濁物質が先行して定量水Fの中に取り込まれた後で
あるので、良好であることが多い。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図1及び図2に示すように、ダム貯水池10
に流れ込む河川11の貯水池との合流部付近には貯砂ダ
ム13が設けられる。またダム貯水池10のダム堤体1
4の放流口14aを包囲するようにカーテンシート16
が半円筒状に設けられる。貯砂ダム13とカーテンシー
ト16の間には第1分離導水路21と第2分離導水路2
2が敷設される。第1分離導水路21と第2分離導水路
22の接合部は貯水池10の流水部10aに相当する。
また貯水池10はカーテンシート16により貯水部10
bと放流部10cに区分される。放流部10cの底部に
はエアレーション装置である噴気孔(図示せず)を多数
備えた通気管12が敷設され、この通気管12は貯水池
10の近くの地上に設けられた送気ポンプ15に接続さ
れる。
【0012】図3〜図7に示すように、貯砂ダム13は
河川11の流入水Wに含まれる土砂又は土石Gを一対の
分水堰23,23と貯砂ダム本体24とにより貯え、分
水堰23,23の頂部を越流する流入水Wを定量水Fと
過剰水Vとに分離して放流するように構成される。即
ち、ダム本体24は河川11の流入口に流入方向に直交
して設置され、図3及び図5に詳しく示すようにダム本
体24の中央部には過剰水Vを貯水池10に放水するた
めの合流余水路26が形成される。後述する流木、立木
等の粗大物を貯水池10に流さないようにするため、合
流余水路26には隙間が比較的広い柵26aが合流余水
路26を横断して設けられる。このダム本体24より上
流には半円柱状の背割り堤27が設けられ、上流からの
到来する河川11の流入水を2分するようになってい
る。
【0013】図3、図6及び図7に示すように、一対の
分水堰23,23は背割り堤27とダム本体24の間に
貯砂ダム流入方向に相対向して設けられ、これらの分水
堰23,23の間には上記合流余水路26に至る余水路
28が形成される。分水堰23の頂部には貯砂ダム13
の流水中心部の余水路28に向かって突出して湾曲端部
23aが形成される。余水路28の上方には一対の分水
堰23,23を補強し湾曲端部23a,23aを突っ張
るストラット29が余水路直角方向に間隔をあけて複数
設けられる。
【0014】この湾曲端部23aには所定の曲率が付与
される。この曲率により予め設定された定量水Fが端部
23aの付着流となり、この定量水Fが後述する集水側
溝23bに引き込まれる。湾曲端部23aはこの所定量
以上の過剰水V又は越流水Wに連行される流木、立木、
土石等の分離導水路21,22にとって管理上有害な粗
大物Tを余水路28に落下させるためのものである。こ
の湾曲端部23aにおける定量水Fと過剰水Vの分離割
合は、貯水池10の貯水部10bが持つ自浄能力により
決められる。通常、平時の河川流量の3倍程度までは定
量水Fとなるように湾曲端部23aの曲率半径、突出長
さ等が決められるが、貯水部10bの自浄能力が低く、
アオコを大量に発生し易い貯水池では年間を通じて流水
量の90%程度を付着流の定量水Fとし、その残余が過
剰水Vとなるように設計される。この場合過剰水Vが生
じるのは降雨量が極めて多いときだけである。
【0015】この湾曲端部23aの下方の堰中間部には
付着流となった定量水Fを集める集水側溝23bが貯砂
ダム流入方向に設けられる。集水側溝23bの底部にこ
の例では7つの集水縦管23cが1つの分水堰23の内
部にほぼ鉛直方向に設けられる。分水堰23の余水路2
8と反対側の壁面23dはダム本体24とともに流入水
Wを貯えかつ流入水Wに含まれる土砂又は土石Gを堆積
させる面となる。一対の分水堰23,23の上記集水縦
管23cの下端は貯砂ダム13の余水路28の路面下に
貯砂ダム流入方向に配管された集水管路32に接続され
る。この集水管路32はダム本体24の合流余水路26
の路面下を通ってクランク状に曲げられ、第1分離導水
路21に接続される。
【0016】この導水路21は集水管路32で集められ
た定量水Fを第2分離導水路22に導く管路であって、
貯砂ダム13から貯水池10の流水部10aまで敷設さ
れる。この流水部10aは貯水池10が通常満水になっ
たときの水面にほぼ位置し、第1分離導水路21は年間
を通じて常時地表に現れる。この導水路21はコンクリ
ート管のような剛構造の水路である。
【0017】この第1分離導水路21の下端には第2分
離導水路22の一端が接続される。第2分離導水路22
は貯水池10の貯水部10bの水中を通り、その他端が
カーテンシート16を貫通して放流部10cまで延びる
ように設けられる。これらの分離導水路21及び22は
分水堰23で決められた所定量の定量水Fを十分に流す
ことができる内径を有する。カーテンシート16の上端
には球状のフロート17が、またその下端には錘18が
それぞれ複数個間隔をあけて装着される。カーテンシー
ト16は貯水池10の中で垂下した状態で池の水位変動
に追随できるとともに、水を透過しないフレキシブルな
材質からなり、この例では合成ゴムシート、プラスチッ
クシート、布シート等から選ばれる。カーテンシート1
6が貯水部10bと放流部10cを効率的に遮断するた
めにカーテンシート16の直下の貯水池10の底部は平
坦に整地される。
【0018】図8及び図9に示すように、第2分離導水
路22は比重が1より小さい複数の導水管41と、これ
らの導水管41の間に導水管同士を連結する連結函42
を備える。連結函42の上面にはマンホール43が設け
られ、マンホール近傍の連結函42の上面にはワイヤロ
ープ44の下端が接続される。このロープ44の上端に
は池面に浮上可能な浮力調整装置47が接続される。マ
ンホール43は導水路22及び連結函42の内部を点検
員が点検するための入口であって、常時図示しない蓋で
閉止される。また連結函42の下面にはワイヤロープ4
9を介して錘48が接続される。
【0019】導水管41は複数の木製の四角枠体36を
重ね合わせた重合体37を複数組連結して形成される。
この例では四角枠体36の枠内面積は1.3m×1.3
mであり、1つの枠体36の厚さは20cmである。複
数の四角枠体36を重ね合わせた重合体37の1つの長
さは5〜10mである。図9に詳しく示すように、重合
体37は四角枠体36の枠辺に2箇所ずつ貫通孔36a
が設けられ、これらの貫通孔36aに合計6本のワイヤ
ロープ38を挿通し、緊張することにより形成される。
重合体37の内面は浮遊した砂の通過で摩耗しないよう
にシリコーンゴムでライニングしておくことが望まし
い。図8に示すように複数組の重合体37で形成された
導水管41はジョイント39により互いに連結され、更
に連結函42により連結され、柔構造の第2分離導水路
22が形成される。この例では連結函42と連結函42
の間隔は40〜60mである。貯水池10の貯水部10
bの広さに応じて導水管41の長さが決められる。また
浮力調整装置47は空気が封入される浮き袋であって、
封入される空気量の多寡によって浮力を調整できるよう
になっている。
【0020】このような構成のダム貯水池の流入水分離
装置による流入水の分離方法について説明する。貯砂ダ
ム13及び第1分離導水路21を構築した後で、送気管
12をダム堤体14の放流口14a近傍の池底部に配管
する。次いでカーテンシート16をダム堤体14の放流
口14a及び送気管12を包囲するように配置する。こ
れにより貯水池10は貯水部10bと放流部10cに区
分される。次に複数組の重合体37を貯水部10bに浮
かべ、これらをジョイント39で結合して導水管41に
する。複数の導水管41を所定の場所まで船等により曳
航して、これらの導水管41を連結函42により所定の
長さだけ連結してカーテンシート16と第1分離導水路
21の間に第2分離導水路22を敷設する。各連結函4
2に浮力調整装置47と錘48をそれぞれ接続した後、
ワイヤロープ44の長さと浮力調整装置47の内部の空
気量を調整して第2分離導水路22の放流部10cの開
口端が、ダム堤体14の放流口14aに対向するよう
に、その他の第2分離導水路22は水面より僅かに沈ん
だ水中で位置決めされる(図1参照)。
【0021】この状態で河川11から土砂、土石G、流
木、立木等の粗大物T等を含む水が貯砂ダム13に到来
すると、この流入水Wは背割り堤27で2分され、一対
の分水堰23,23の壁面23dとダム本体24で囲ま
れたところに貯えられる。ここで流入水Wに含まれる土
砂又は土石Gは貯えられる(図3、図6及び図7参
照)。土砂又は土石Gが分離導水路21及び22に流下
しないことにより、これらの分離導水路21及び22の
摩耗が防止され、これらの分離導水路21及び22の耐
久性を高める。
【0022】分水堰23を越流する流入水Wはその湾曲
端部23aで付着流の定量水Fと付着し切れずに余水路
28に落下する過剰水Vに分離する。湾曲端部23aで
流入水Wに含まれていた流木、立木、土石等の管理上不
都合を生じる恐れのある粗大物Tは余水路28に落下
し、合流余水路26の柵26aで停止する。過剰水Vが
生じた場合には、この過剰水Vは分離導水路21を通ら
ずに直接貯水池10に流入する。
【0023】湾曲端部23aで付着流となった定量水F
は壁面23eを伝わって集水側溝23bに集められ、更
に集水縦管23c及び集水管路32を通って第1分離導
水路21に導かれる。第1分離導水路21に入った定量
水Fは第2分離導水路22を通って放流部10cに吐出
される。第2分離導水路22に作用する外力は導水時に
おいては、分離導水路の両端は開放しているため、外水
圧と内水圧との差だけであり、その値も第2分離導水路
22を水中に極めて深く敷設しなければ、特に問題とな
らない。豪雨時のように、貯水池10の水量が増加して
図1及び図2に示す高い水位HWLになれば、導水管4
1は柔軟な構造であるため、水位に追随してその位置は
高くなる。逆に渇水期のように貯水池10の水量が減少
して図1及び図2に示す水位LWLになれば、同様に導
水管41の位置は低下する。
【0024】定量水Fに生活廃水のような汚濁物質が含
まれている場合には、送気ポンプ15を駆動して通気管
12の噴気孔から空気を放流部10cに送り込み、汚濁
した定量水Fを曝気する。清澄化した放流部10cの水
が放流口14aから下流河川51に放流される。通常、
生活廃水等の汚染された河川11の流入水Wはそのほと
んどが貯水部10bを素通りしてダム堤体14から放流
され、この流入水Wは貯水部10bにたたえられた水と
混合しない。このため、貯水部10bの水はその自浄能
力により浄化される。貯砂ダム13に貯えられた土砂又
は土石Gは所定量蓄積すると浚渫され、余水路28及び
合流余水路26に滞留した流木等の粗大物Tはやはり所
定量に達すると除去される。浚渫された土砂は建築用の
骨材として利用できる。また第2分離導水路22は長年
使用すると老朽化し、破損する。この場合には連結函4
2で分解し、摩耗した導水管を新品に置き換える。
【0025】なお、上記例ではカーテンシート16をダ
ム堤体14の放流口14aを包囲するように設けたが、
カーテンシート16を貯水池10のダム堤体14の近傍
でダム堤体14にほぼ平行に貯水池10を横断するよう
に設けてもよい。また、導水管として木製の四角枠体か
らなるものを例示したが、導水管は比重が1以下であれ
ば、プラスチック成形品又は内部に耐摩耗性の高いシリ
コーンゴムやテフロンでライニングした内径が1〜2m
程度の布製のホースでもよい。また、必要により第1分
離導水路及び第2分離導水路の内部に浄水機能を有する
エアレーション装置を設置したり、或いは微生物の付着
するリボンを垂下させてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、土
砂、土石、粗大物、汚濁物質等を含む流入水が上流河川
から流れ込んでも、土砂、土石及び粗大物は貯砂ダムで
せき止められ、貯水池の容量を減少させない。またダム
流入河川水の水質が不良の場合は、流入河川水の汚濁物
質を含む水は分水堰で定量水として第1及び第2分離導
水路を通って、貯水部を素通りして放流部から下流河川
に放流される。この結果、貯水池の水質汚濁を防止して
その水質を自浄能力により良好に維持することができ
る。加えてダム貯水池の水質が不良で流入河川水の水質
が良好な場合、流入河川水は第1及び第2分離導水路を
通って、貯水部を素通りして放流部から下流河川に放流
されるか、或いはダム取水部から取水される。この結
果、下流河川水および取水した水の水質を向上させるこ
とができる。
【0027】第2分離導水路は水中設置のため、単位長
さ当りのコストは低く抑えられ、導水路が長大であって
も、本発明の流水分離装置は安価に製造かつ施工でき
る。必要に応じて放流部または分離導水路内でエアレー
ションすれば、下流河川にとって好ましい水質とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の流入水分離装置を含むダム貯水
池の縦断面図。
【図2】その平面図。
【図3】その貯砂ダムの平面図。
【図4】その縦断面図。
【図5】図3のA−A線断面図。
【図6】図3のB−B線断面図。
【図7】図6のC部拡大図。
【図8】その第2分離導水路の拡大側面図。
【図9】その第2分離導水路を構成する四角枠体の組立
斜視図。
【符号の説明】
W 流入水 G 土砂,土石 F 定量水 V 過剰水 T 粗大物 10 ダム貯水池 10a 流水部 10b 貯水部 10c 放流部 11,51 河川 12 通気管(エアレーション装置) 13 貯砂ダム 14 ダム堤体 14a 放流口 15 送気ポンプ 16 カーテンシート 17 フロート 18,48 錘 21 第1分離導水路 22 第2分離導水路 23 分水堰 23a 湾曲端部 23b 集水側溝 23c 集水縦管 23d,23e 壁面 24 貯砂ダム本体 26 合流余水路 26a 柵 27 背割り堤 28 余水路 29 ストラット 32 集水管路 36 四角枠体 37 重合体 41 導水管 42 連結函 43 マンホール 44,49 ワイヤロープ 47 浮力調整装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 進 有三 福岡県福岡市西区下山門4丁目13番48号 (72)発明者 河野 吉彦 埼玉県朝霞市東弁財3丁目20番地の15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダム貯水池(10)に流れ込む河川(11)の前
    記貯水池との合流部付近に設けられ、前記河川(11)の流
    入水(W)に含まれる土砂又は土石(G)を貯え、越流する前
    記流入水(W)を定量水(F)と過剰水(V)とに分離して流下
    させる貯砂ダム(13)と、 前記貯砂ダム(13)に一端が接続され、他端が前記貯水池
    (10)の流水部(10a)に接続され、前記貯砂ダム(13)で分
    離された定量水(F)を前記貯水池(10)に導く地表に敷設
    される剛構造の第1分離導水路(21)と、 上端にフロート(17)が装着され、下端に錘(18)が装着さ
    れ、前記貯水池(10)のダム堤体(14)の近傍で前記ダム堤
    体(14)にほぼ平行に前記貯水池を横断するか又は前記ダ
    ム堤体の放流口(14a)を包囲するように池面から池底ま
    で垂設され、前記貯水池(10)を貯水部(10b)と放流部(10
    c)に区分するカーテンシート(16)と、 前記第1分離導水路(21)に一端が接続され、他端が前記
    カーテンシート(16)を貫通して前記放流部(10c)まで延
    び、前記貯水部(10b)を通って前記貯水池(10)の水中に
    設けられ、前記定量水(F)を前記放流部(10c)に導く柔構
    造の第2分離導水路(22)とを備えたダム貯水池の流入水
    分離装置。
  2. 【請求項2】 貯砂ダム(13)は、貯水池流入河川(11)の
    貯水池との合流部付近に流入方向に直交して設置され、
    中央部に過剰水(V)の貯水池(10)への合流余水路(26)が
    形成された貯砂ダム本体(24)と、 前記ダム本体(24)より上流に設けられ、上流からの流入
    水(W)を2分する背割り堤(27)と、 前記背割り堤(27)と前記ダム本体(24)の間に前記貯砂ダ
    ム流入方向に相対向して設けられ、前記ダム本体(24)と
    ともに流入水(W)を貯え、前記流入水(W)に含まれる土砂
    又は土石(G)を堆積させ、かつ越流する前記流入水(W)を
    定量水(F)と過剰水(V)とに分離する一対の分水堰(23,2
    3)と、 前記分水堰(23)に設けられ前記分水堰で分離された定量
    水(F)を集めて堰下部に導く複数の集水縦管(23c)と、 前記複数の集水縦管(23c)の下流端に接続され、定量水
    (F)を第1分離導水路(21)に導くように貯砂ダム(13)の
    下部に設けられた集水管路(32)とを備えた請求項1記載
    のダム貯水池の流入水分離装置。
  3. 【請求項3】 一対の分水堰(23,23)の間に余水路(28)
    が形成され、 前記分水堰(23)は、堰頂部に前記余水路(28)に向かって
    突出して形成され、堰頂部(28a)を越流する水量に応じ
    て所定量の定量水(F)を付着流とし、この所定量以上の
    過剰水(V)又は流入水(W)に含まれる粗大物(T)を前記余
    水路(28)に落下させる湾曲端部(23a)と、 前記湾曲端部(23a)の下方の堰中間部に貯砂ダム流入方
    向に設けられ、前記付着流の定量水(F)を集めて複数の
    集水縦管(23c)に流す集水側溝(23b)とを備えた請求項2
    記載のダム貯水池の流入水分離装置。
  4. 【請求項4】 第2分離導水路(22)は、比重が1より小
    さい複数の導水管(41)と、前記複数の導水管(41)の間に
    前記導水管同士を連結しそれぞれマンホール(43)を有す
    る複数の連結函(42)と、前記連結函(42)にそれぞれワイ
    ヤロープ(44)を介して接続された池面に浮上可能な浮力
    調整装置(47)と、前記連結函(42)にそれぞれ接続された
    錘(48)とを備えた請求項1記載のダム貯水池の流入水分
    離装置。
  5. 【請求項5】 導水管(41)は複数の四角枠体(36)を重ね
    合わせた重合体(37)を複数組連結して形成された請求項
    4記載のダム貯水池の流入水分離装置。
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