JP2005120307A - シリコーン含有水性コーティング剤組成物 - Google Patents

シリコーン含有水性コーティング剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 乳化液の放置安定性、塗膜の耐候性、耐汚染性、耐水性、耐溶剤性、特に耐雨筋汚染性に優れたシリコーン含有水性コーティング用組成物の提供。
【解決手段】 ポリアルコキシポリシロキサン、不飽和単量体、界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする水性分散体と、コロイド状無機粒子、スルフォコハク酸系界面活性剤からなるシリコーン含有水性コーティング剤組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、エマルジョン(乳化液)の放置安定性、塗膜の耐候性、耐汚染性、耐水性、耐溶剤性に優れた水性コーティング剤組成物の製造法に関するもので、特に建材塗料、接着剤、紙コーティング剤として有用な水性コーティング剤組成物およびその製造法に関する。
ポリアルコキシポリシロキサンあるいはテトラアルコキシシランや、アルコキシシリル基(加水分解性シリル基)含有単量体等を含有する樹脂、特にアクリル−シリコーン系樹脂は常温硬化性を有し、高硬度の塗膜を形成し、耐候性、耐汚染性等の性能に優れるので従来より接着剤や塗料用バインダー、紙コーティング剤として使用されている。
例えば、特許文献1には、アルコキシシリル基含有アクリル共重合体、テトラアルキルシリケート(テトラアルコキシシラン)及び/又はその縮合物、硬化触媒よりなる親水性硬化性組成物が開示され、塗膜表面が親水性となるので、汚染物質を雨水等により洗い流せることができ耐汚染性が有効であることが記載されている。
しかし、近年、塗料や接着剤の分野において、公害対策あるいは省資源の観点より、有機溶剤を使用するものから、水性あるいは水分散性樹脂への樹脂の転換が試みられているが、上記開示技術では、有機溶剤系での重合が中心で、水系では、安定な重合が出来ず目的とするエマルジョンの製造にはかなりの技術が必要となる。かかる水系での重合について種々の工夫が試みられており、例えば、アルコキシシリル基含有単量体を用いた乳化重合の例としては、特許文献2にはメタクリル酸アルキルエステル、アルコキシシラン基含有単量体、アクリルアミド等を乳化重合してなるエマルジョンが開示され、特許文献3には加水分解性シリル基とアミンイミド基を各々1分子中に少なくとも1個有する樹脂を含有する反応型樹脂エマルジョンが開示され、また特許文献4にはポリアルコキシポリシロキサンを有するシリコーン含有水性コーティング剤組成物が開示されている。しかしこれらの開示技術では、ある程度の耐候性、耐溶剤性は向上するものの、更なる改良が求められており、特に雨筋汚染に対する効果について、いまだ満足なものは得られていない。
特開平6−145453号公報 特開平3−227312号公報 特開平5−25354号公報 特開2000−53919号公報
本発明は乳化液の放置安定性、塗膜の耐候性、耐汚染性、耐水性、耐溶剤性、特に耐雨筋汚染性に優れたシリコーン含有水性コーティング用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果特定の水分散体にコロイド状無機粒子、スルフォコハク酸から得られる塗膜は耐候性、耐水性、耐溶剤性に優れる上、耐雨筋汚染性をも付与する事を見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち本発明の第1は(A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下になるように予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散体と、(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物である。
本発明の第2は(A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤、(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を重合開始剤(D)の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散剤と(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物である。
本発明の第3は(A)ポリアルコキシポリシロキサン又は(A’)テトラアルコキシシランと、(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体の部分縮合物、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散剤と(2)コロイド状無機粒子、および(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物である。
本発明の第4は1)成分が(3)スルフォコハク酸系界面活性剤及び/または(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤を用いて重合させて得られた、水性分散体である請求項1〜3いずれか記載のシリコーン含有水性コーティング剤組成物である。
本発明の第5は(A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散体と、(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物の製造方法である。
本発明のシリコーン含有水性コーティング用組成物は、乳化液の放置安定性、塗膜の耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐汚染性、耐雨筋汚染性に優れる塗膜物性を有する。
本発明について、以下具体的に説明する。まず、本発明で使用される原料について説明する。本発明で使用されるポリアルコキシポリシロキサン(A)とは、下記一般式(1)で示されるものであれば、特に限定されない。
Figure 2005120307
式中、nは平均縮合度で2以上の値、上記化合物が常温で流動性を有するものとなればよい。Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基(好ましくはアルキル基)のいずれかを示す。Rの炭素数は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状あるいは分岐を有するものでもよい。炭素数として好ましくは1〜10(より好ましくは1〜5)である。上記(A)の例としては、具体的には、nが2〜50が好ましく(より好ましくは3〜10)のポリメトキシポリシロキサン、ポリエトキシポリシロキサン、ポリプロピオキシポリシロキサン、ポリブトキシポリシロキサン等が挙げられるが、耐汚染性、耐水性、耐溶剤性が短時間で発揮される点で、ポリメトキシポリシロキサン、ポリエトキシポリシロキサンが好ましい。
本発明で使用される(A’)テトラアルコキシシランとは、具体的には、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピロキシシラン、テトラブトキシシラン等であるが、耐汚染性、耐水性、耐溶剤性が短時間で発揮される点で、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
上記(A)の製造法としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランを加水分解(縮合)することにより得られ、上記一般式(1)のnは加水分解率を制御することにより調整できる。
加水分解反応自体は、公知の方法によることができ、例えば、上記テトラアルコキシシランに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら通常、室温程度〜100℃で反応させることで可能である。加水分解の程度は、使用する水の量により適宜調節することができ、該縮合物が流動性を有し、かつ後述する(B)不飽和単量体に可溶であればよい。
本発明で用いられる(B)不飽和単量体としては、まずアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(本願においてアクリル酸および又はメタクリル酸をまとめて(メタ)アクリル酸と表す)が挙げられる。当該(メタ)アクリルエステルと共重合可能な単量体は、特に制限がないが、その具体例を示せば、カルボン酸基を持つ単量体及びそれらの塩(アミン塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等)、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられる。
カルボン酸基を持つ単量体としてはイタコン酸、フマール酸、シトラコン酸、リシノール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびこれらのモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系単量体類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。
アルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。
また、上記以外の(B)不飽和単量体の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、t−デカン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらに、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
本発明の(C)界面活性剤とは、本発明の組成物を製造するときに、(A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体各成分を水媒体中に乳化させ得る機能を持つものであればよく、反応性(イオン性)界面活性剤、非反応性(イオン性)界面活性剤等が挙げられるが塗膜の耐水性の点で反応性界面活性剤が好ましい。本発明の(C)界面活性剤には(3)スルフォコハク酸系界面活性剤、および/または(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤を使用することができる。
本発明において、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤は、下記式(2)で表されるスルフォコハク酸系化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
{式中、R,Rは同一でも、異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基またはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
さらに詳しくは、上記式(2)で表される化合物のR,Rにおいて、Rおよび/またはRが下記式(3)、(4)、(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
Figure 2005120307
Figure 2005120307
{式(3)、(4)、(5)、のそれぞれにおいて、R21は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基または置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、R22は水素またはメチル基である。)}
本発明において、一般式(2)〜(5)で表されるものとして、例えばスルフォコハク酸ジオクチルナトリウム{花王(株)製ペレックス(商標)OT−P、または三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)OT−75など}、スルフォコハク酸ジヘキシルナトリウム{三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)MA−80など}、三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2,JS−5、花王(株)製ラテムル(商標)S−120,S−180,S−180A、三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)TR−70、A−196−85、AY−100、IB−45、A−102,A−103、501などがある。
本発明において、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤は、(1)水性分散体の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部用いられ、より好ましくは、0.5〜10質量部、さらに好ましくは1.0〜5質量部用いる。この範囲で使用すると、耐水性良好なフィルムが形成される。
本発明において、(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤としては、(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であってアニオン性界面活性剤であるもの、(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であって分子内にラジカル重合性二重結合を有するアニオン性界面活性剤等が挙げられる。
本発明において、(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であってアニオン性界面活性剤は下記式(6)、(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
Figure 2005120307
(上記式(6)、(7)中、R51は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20アルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基などの炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
本発明において、(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であって分子内にラジカル重合性二重結合を有するアニオン性界面活性剤は下記式(8)、(9)、(10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
(式中、R71は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R72は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R73は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
Figure 2005120307
(式中、R81は水素またはメチル基、R82は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
Figure 2005120307
(式中、R91は炭素数8〜30のアルキル基、R92は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基、nは0または1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
上記式(8)で表されるアルキルフェノールエーテル系化合物として、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10などがあり、上記式(9)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025A、SR−1025A、SR−10N、SR−20Nなどがあり、上記式(10)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)KH−5、KH−10などが挙げられる。その他反応性界面活性剤として例えば、日本乳化剤(株)製Antox(商標)−MS−60などがあり、花王(株)製ラテムルPD−101、PD−104などがあり、三洋化成(株)製エレミノール(商標)RS−30などがある。
本発明において、ノニオン性の界面活性剤は下記式(11)、(12)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
Figure 2005120307
(上記式(11)、(12)中、R101は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20アルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基などの炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、R102は水素またはメチル基である。)本発明において、反応性界面活性剤は下記式(13)、(14)、(15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005120307
(式中、R121は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R122は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R123は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数である。)
Figure 2005120307
(式中、R131は水素またはメチル基、R132は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜100の整数、mは0〜50の整数である。)
Figure 2005120307
(式中、R141は炭素数8〜30のアルキル基、R142は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基、nは0または1〜200の整数である。)
上記式(13)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)RN−10、RN−20、RN−30、RN−50などが挙げられる。上記式(14)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)NE−20、NE−30、NE−40、ER−10、ER−20、ER−30、ER−40などが挙げられる。
本発明において(4)アルキレンオキサイド基を含有する界面活性剤の使用量は、(1)水性分散体の製造安定性と保存安定性と、塗膜の耐水性のかねあいから、(1)水性分散体の固形分100重量部に対し、0.1〜5重量%使用することができる。
本発明において乳化重合に使用される界面活性剤として(3)スルフォコハク酸系界面活性剤、(4)アルキレンオキサイド基を含有する界面活性剤以外には、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸カリウム、アクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(2−スルホエチル)エステルカリウム、メタクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルカリウム、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウム、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
本発明では水媒体中に、更に加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体(E)を含有させることも好ましく、特に加水分解性シリル基含有不飽和単量体を含有させるのが好ましい。該加水分解性シリル基含有不飽和単量体としては、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ ロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシ プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル メチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリポロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられるが、好ましくは、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランである。
また、水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、4−ブチルヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アリルアルコール、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられ好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアルコールである。
また、エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−(4(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル)アクリルアミド、ビスフェノールAジグリシジルエーテルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルである。
更に本発明では前記のポリアルコキシポリシロキサン(A)の替りに、ポリアルコキシポリシロキサン(A)又はテトラアルコキシシラン(A’)と加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体(E)の部分縮合物を用いることも好ましく、該部分縮合物は、上記(A)又は(A’)と(E)を水、触媒の存在下で反応させた後、アルコールを留去して得られるもので、かかる方法について述べる。
(A)又は(A’)と(E)の反応質量比は1/10〜10/0.1が好ましく、更には、5/10〜10/1である。1/10以上でコーティング剤組成物から得られた塗膜の耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐水性が良好で、10/0.1以下で、コーティング剤組成物から得られる塗膜の耐候性、耐水性、耐溶剤性に優れる。更に、(A)の低分子量成分に起因する臭気も少ない。水の使用量は、(A)又は(A’)と(E)の合計量100質量部に対して0.1〜50質量部、更には0.5〜30質量部である。0.1質量部以上で(A)又は(A’)と(E)との縮合は十分となり、50質量部以下で粘度が低く、更に不飽和単量体(B)への溶解性も良好である。
部分縮合に用いられる触媒としては(A)又は(A’)、(E)に可溶な酸官能基含有化合物であればよく、該酸官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基を含有する無機酸、有機酸、単量体、重合体等が挙げられる。該触媒として、具体的には、p−トルエンスルホン酸、硫酸、ギ酸、酢酸、リン酸等が挙げられ、該触媒の配合量は(A)と(E)の合計量100重量部に対して0.1〜20質量部、更には0.3〜10質量部である。0.1質量部以上では縮合反応が短時間で行われ、縮合反応が進行し、20質量部以下で重合時の安定性が保たれ、コーティング剤組成物から得られる塗膜の耐水性も良好である。また、反応時に希釈溶剤として、アルコール等を併用してもよい。
部分縮合の反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更には10〜80℃であり、反応温度としては、1〜50時間が好ましく、更には10〜40時間である。
縮合反応後、縮合で生成したアルコール(と希釈溶剤としてのアルコール)は30〜100℃で減圧下あるいは常圧下に、5質量%以下に留去すればよい。得られた部分縮合物は必要に応じて塩基で中和することが好ましく、中和は縮合反応直後または、上記のアルコール留去後に行われる。該塩基としてはアンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、好ましくはアンモニア、ジエチルアミンが用いられる。該塩基は直接水溶液として添加したり、アルコール溶液あるいは水/アルコールの混合溶液として添加することができ、その際の添加量としては、中和するのに必要な50〜110当量%を添加して、0〜100℃、1〜3時間程度撹拌して中和する。
又、本発明で用いられる(D)重合開始剤は、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能で、具体的には、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、 オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、
4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等が挙げられ、これらの中でもアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩等が挙げられる。
尚、該(D)重合開始剤は重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、また、後述する油滴の径を1000nm以下にする乳化の前の(A)〔及び(E)〕、(B)の混合液あるいは(A)又は(A’)と(E)の部分縮合物、(B)の混合液に予め添加したり、該乳化後の乳化液に添加してもよい。
本発明では、更に重合を安定に行うために重合の際に(F)加水分解抑制剤を添加することも好ましく、(F)該抑制剤は、塩基で中和してなる酸官能基及び/又はアミンイミド基を含有する化合物であることが好ましい。該化合物としては分散機能を有する高分子化合物、pH緩衝機能をもつ化合物、ラジカル重合機能をもつ化合物等が挙げられるが、分散機能を有する高分子化合物が好ましい。
まず、分散機能を有する高分子化合物について述べる。該化合物はスルホン酸基、カルキシル基、リン酸基等の酸官能基をもち、該官能基を塩基で中和した高分子化合物等が挙げられるが、カルボキシル基含有重合体を塩基で中和してなる高分子化合物が好ましい。該カルボキシル基含有重合体とは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマール酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、リシノール酸(好ましくは(メタ)アクリル酸、フマール酸)等のカルボキシル基含有単量体を単独重合又は他の不飽和単量体と共重合させて得られる。
また、上記高分子化合物は、アミンイミド基を含有するものも好ましく、該高分子化合物はアミンイミド基含有単量体を単独重合、又は不飽和単量体と共重合させて得られる。該アミンイミド基含有単量体としては、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−ヒド ロキシ−3’−フェノキシプロピル)アミンメタクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミンアクリルイミド、あるいは下記式(16)、(17)で示される単量体が挙げられる。
Figure 2005120307
Figure 2005120307
共重合の際に用いる他の不飽和単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、バーサチック酸ビニルエステル等の脂肪酸エステル等が単独又は併用して用いられる。
上記の高分子化合物の分子量については、数平均分子量が、500〜500000が好ましく、更に好ましくは700〜30000で、該分子量が500以上で得られるコーティング剤組成物の重合時の安定性が良好で、500000を越える時は高粘度化せず重合時の希釈剤が少なくすみ、経済的である。
上記カルボキシル基含有共重合体を更に塩基性化合物で中和するには、該塩基性化合物としてアンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノール、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、好ましくはアンモニア、ジエチルアミンが用いられる。
次に(F)加水分解抑制剤がpH緩衝機能をもつ化合物である場合について説明する。該化合物としては、反応系をpH6〜10に保持できるものであればよく、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、 ギ酸アンモニウム等が挙げられる。
又、上記(F)加水分解抑制剤は、同種異種の化合物を2種以上組み合わせて使用することもできる。
(A)〜(F)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で公知の連鎖移動剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を添加してもよい。又、塗膜の硬化を促進するため、有機スズ化合物、有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物等の硬化剤を添加してもよく、該硬化剤はエマルジョンの形で添加してもよい。
次に、上記で述べた(A)ポリアルコキシポリシロキサン(必要に応じて(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも一種の官能基を含有する単量体を併用したり、(A)ポリアルコキシポリシロキサンとして、(A)ポリアルコキシポリシロキサン又は(A’)テトラアルコキシシランと(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体の部分縮合物を用いる)、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中で、油滴の径を1000nm以下に予め乳化させ、水性乳化液を得る方法について以下詳細に説明する。
上記の各成分の仕込み方法としては、水に(C)を溶解した後、その他の成分を仕込むのが好ましい。
まず、(A)、(B)[必要に応じて(E)]を用いる場合の配合割合について説明する。(A)、(B)[必要に応じて(E)]配合割合は特に制限されないが、(A)/(B)/(E)=1〜70/99〜30/0〜50が好ましく、更には3〜50/97〜50/0〜20である。上記範囲内ではコーティング剤組成物の放置安定性が保たれ、コーティング組成物を塗膜にした時十分な耐候性、耐溶剤性、耐汚染性が得られるので好ましい。
また、(C)界面活性剤の配合量が(A)、(B)[(E)が存在する場合(A)、(B)、(E)]の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、更には0.3〜5質量部である。0.1質量部以上では、油滴の径を1000nm以下に乳化でき、又、安定な重合が行え、10質量部以下でコーティング剤組成物を塗膜にした時、耐水性が良好で好ましい。
また、(F)加水分解抑制剤を配合する場合、該配合量が(A)、(B)〔(E)が存在する場合(A)、(B)、(E)〕の合計量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、更には0.03〜3質量部である。0.01質量部以上で1000nm以下になるように乳化が行え、十分な重合安定性が得られ、10質量部以下でコーティング剤組成物を塗膜にした時の耐水性や、重合安定性が良好で好ましい。
水の使用量は(A)、(B)〔(E)が存在する場合(A)、(B)、(E)〕の合計量100質量部に対して50〜400質量部が好ましく、更には70〜200質量部とすることが好ましく、50質量部以上では水性乳化液が高粘度とならず、重合安定性も良好である。400質量部以下で生成する水性乳化液の濃度が高く、塗膜化する際の乾燥が良好で好ましい。尚、水の使用量には部分縮合物に含まれる水も含まれる。
次に、(A)又は(A’)と(E)の部分縮合物(A+E)、(B)を用いる場合の配合割合について説明する。(A+E)の部分縮合物、(B)の配合割合は特に制限されないが、(A+E)/(B)=1〜70/99〜30が好ましく、更には3〜50/97〜 50である。上記範囲内ではコーティング剤組成物の放置安定性が良好で、コーティング組成物を塗膜にした時十分な耐候性、耐溶剤性、耐汚染性が得られるので好ましい。
また、(C)界面活性剤の配合量が(A+E)、(B)の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、更には0.3〜5質量部である。0.1質量部以上でではコーティング剤組成物の安定な重合が行え、10重量部以下でコーティング剤組成物を塗膜にした時十分な耐水性が得られるので好ましい。
また、(F)加水分解抑制剤を配合する場合、該配合量が(A+E)、(B)の合計量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、更には0.03〜3質量部である。0.01質量部以上で十分な重合安定性が得られ、10質量部以下でコーティング剤組成物を塗膜にした時の耐水性や、重合安定性が良好で好ましい。
1000nm以下に油滴を乳化するにあたっては、高圧ホモジナイザー、超音波処理装置等の乳化装置を用いることが必要で、高圧ホモジナイザーを用いる際の圧力は10〜1500kg/cm2にすることが好ましく、更には、30〜1000kg/cm2である。乳化時の温度は、乳化中に組成物が反応しない程度の温度であれば問題なく、通常5〜60℃程度が適当である。又、乳化液の通過(Pass)回数は1〜5回程度が好ましい。なお上記の乳化する前に、攪拌、震動等により予備乳化しておくのが好ましい。
上記の乳化装置により、(A)、(B)〔必要に応じて(E)〕や(A+E)、(B)等の油滴成分を水媒体中で乳化させ、油滴の径を1000nm以下にすることが必要で、好ましくは50〜1000nm、更には100〜500nmである。該油滴の径が1000nm以下でコーティング剤組成物の重合安定性が良好である。
上記の乳化終了後、乳化液を昇温して重合を開始するのであるが、その方法としては(イ)乳化液全量をそのまま昇温して重合する、(ロ)乳化液の一部を昇温して重合を開始し、残りの乳化液を滴下して重合を継続する、(ハ)反応缶に水(必要に応じて一部の乳化剤及び一部又は全部の加水分解抑制剤、重合開始剤を仕込んでおいてもよい)を仕込んで昇温した後、乳化液を全量滴下又は、分割、連続滴下して重合する等が挙げられるが、重合温度の制御が容易であり、重合安定性も良い点で(ハ)が好ましい。
(D)重合開始剤は(A)と(B)〔(E)が存在する場合(A)、(B)、(E)〕の合計量100質量部に対して0.03〜2質量部が好ましく、更には0.05〜1質量部である。(A+E)を用いる場合は(A+E)と(B)の合計量100質量部に対して0.03〜2質量部が好ましく、更には0.05〜1質量部である。(D)が上記範囲以上では重合速度が速く、上記範囲を以下でコーティング剤組成物を塗膜にしたとき、耐溶剤性、耐候性が良好で好ましい。(イ)の重合条件としては、通常40〜90℃程度の範囲が適当であり、昇温開始後1〜8時間程度で反応が終了する。(ロ)の重合条件としては反応液の5〜50重量%を40〜90℃で0.1〜4時間重合した後、残りの反応液を1〜5時間程度かけて滴下して、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。(ハ)の重合条件としては水を反応液の5〜100重量%となるように仕込み、40〜90℃に昇温し、反応液を2〜5時間程度かけて滴下し、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。
上記の重合により以下のような構造をもつ組成物が出来ている物と推定される。まず、(A)と(B)の重合物が、相互進入した網目構造や(A)が(E)を界して(B)の重合物に結合したポリアルコキシポリシロキサン樹脂のグラフト構造をもつエマルジョン粒子を主成分としたコーティング剤組成物が得られる。
かかる重合体の粒子径は50〜1000nmの微粒子で、生成乳化液は放置安定性に優れ、各種性能、例えば、造膜性、密着性、耐薬品性、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等に優れ建材塗料、接着剤、紙コーティング剤等に有用である。
本発明における(2)コロイド状無機粒子としては、コロイダルシリカの入手が容易で、安価であり好ましい。コロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。コロイド状シリカをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62-69 (1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6, 792-801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488-493 (1988) などを参照できる。コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水または水溶性溶媒の分散体であり、その平均粒子径は好ましくは5〜120nm、より好ましくは10〜80nmである。粒子径が5nm以上では塗液の貯蔵安定性が良く、120nm以下では耐水白化性が良い。上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性のいずれであっても用いることができ、混合する(1)水性分散体の安定領域に応じて、適宜選択することができる。水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業(株) 製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OL、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT-20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25などが利用できる。
塩基性のコロイダルシリカとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミンの添加で安定化したシリカがあり、例えば日産化学工業(株)製スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−Lなど、旭電化工業(株)製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50など、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50など、デュポン社製ルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30などを挙げることができる。
また、水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製MA−ST−M(粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)などを挙げることができる。 また、これらの一種または二種類以上組み合わせてもよい。少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。また、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)を含んでいてもよい。
また、(2)コロイド状無機粒子としては、シリカ以外のコロイド状粒子を与える無機化合物を使用してもよく、当該無機化合物の具体例としては、TiO、TiO、SrTiO、FeTiO、WO、SnO、Bi、In、ZnO、Fe、RuO、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO、MoS、LaRhO、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb、ZrO、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどの光触媒能を有する半導体の他、Al、AlGa、As、Al(OH)、Sb、Si、Sn−In、Sb−In、MgF、CeF、CeO、3Al・2SiO、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeO、CrO、FeN、BaTiO、BaO−Al−SiO、Baフェライト、SmCO、YCO、CeCOPrCO、SmCO17、NdFe14B、Al、α−Si、SiN、CoO、Sb−SnO、Sb、MnO、MnB、Co、CoB、LiTaO、MgO、MgAl、BeAl、ZrSiO、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi、CrSi、CoSi、MnSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、BaC、BP、TiB、ZrB、HfB、RuSi、TiO(ルチル型)、TiO、PbTiO、AlTiO、ZnSiO、ZrSiO、2MgO−Al−5SiO、Nb、LiO−Al−4SiO、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなど挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
本発明で用いる(2)コロイド状無機粒子は有機ポリマーで被覆されていても良い。有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランを、コロイダルシリカを乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−71316号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、陰イオン性重合性単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−217702号公報に開示)、無機粒子に水溶性高分子化合物を吸着させ、ついでラジカル重合性モノマーの重合物で被覆する方法より得られる粒子(例えば、特開昭60−58237号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平6−199917号公報で開示)、コア/シェル構造を有し、コア中に有機高分子と有機高分子と共有結合していないシリカおよび/またはコロイダルシリカを配し、シェル中に有機高分子を配し、コア有機高分子/シェル有機高分子間に三次元架橋網目構造および/またはIPN構造を形成せしめることにより、コア中のシリカおよび/またはコロイダルシリカを共有結合によることなく物理化学的に粒子内に保持した粒子(例えば、特開平8−290912号公報に開示)、コロイダルシリカ、活性剤および水の存在下、エチレン性不飽和化合物を乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平11−1893号公報に開示)、カチオン性残基を介して、コロイド状シリカ粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開平11−209622号公報に開示)、直接またはノニオン界面活性剤を介して無機または有機粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開2000−290464号公報に開示)、無機または有機粒子表面にノニオン界面活性剤が集合または凝集して沈着しているコロイド状微粒子(例えば、特開2001−335721号公報に開示)などであることが好ましい。
本発明において、(2)コロイド状無機粒子は、(1)水性分散体の固形分100質量部に対し、好ましくは0.1〜95質量部用いられ、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部用いる。
本発明において、(1)水性分散体の固形分100質量部に対し、(2)コロイド状無機粒子および/または有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子の固形分が0.1〜95質量部および(3)スルフォコハク酸系界面活性剤が0.1〜20質量部であり、好ましくは(1)水性分散体の固形分100質量部に対し、(2)コロイド状無機粒子および/または有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子の固形分が0.1〜50質量部および(3)スルフォコハク酸系界面活性剤が0.5〜10質量部であり、さらに好ましくは(1)水性分散体の固形分100質量部に対し、(2)コロイド状無機粒子および/または有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子の固形分が0.5〜20質量部および(3)スルフォコハク酸系界面活性剤が1.0〜5質量部である。
(2)コロイド状無機粒子および/または有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子がこの範囲内であると得られる塗膜の耐水性が良好であり、かつ塗膜の雨筋が目立たない。
(3)スルフォコハク酸系界面活性剤がこの範囲内であると得られる塗膜の耐水性が良好であり、かつ塗膜の雨筋が目立たない。また塗液の貯蔵安定性が良好となる。なお(3)スルフォコハク酸の質量部とは水性コーティング用組成物全体中の量であり、重合中に用いる場合も含まれる。なお本発明の水性分散体とはエマルジョンも、機械的に分散したものも含まれる。
本発明について、以下具体的に説明する。 尚、以下記述で「%」、「部」とあるのは「質量%」、「質量部」である。
[実施例1]
コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコにポリエトキシポリシロキサン〔コルコート(株)エチルシリケート40〕(A)25部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(E)10部、水0.94部、ギ酸0.3部を室温で30時間反応させた後、副生したエタノールとギ酸を40℃、減圧下で留去し部分縮合物を得た。一方コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール100部を仕込み、80℃に昇温した。次いでアクリル酸15部、メチルメタクリレート35部、2−エチルヘキシルアクリレート50部にアゾビスイソブチロニトリル1.0部を溶解した混合液を80℃で4時間かけて滴下重合し、更に、80℃で3時間重合させた。次いで、攪拌しながらアンモニア水を添加し、更にイソプロピルアルコールを留去し、最後にアンモニア水でpH=8.0に調整して、加水分解抑制剤(F)の(25%)水溶液を得た。次に乳化剤(C)〔旭電化(株)製、SE−1025A〕2部及び上記 加水分解抑制剤(F)4部を水128.5部〔(F)に含まれる水も含む〕に溶解し、次いで上記部分縮合物35部、不飽和単量体(B)〔メチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレート45部〕90部の混合物に、アゾビスイソブチルニトリル0.5部を溶解したものを添加し、攪拌混合し予備乳化を行った。該予備乳化液を高圧ホモジナイザー(GAULIN社製)で圧力500kg/cm2、常温で1Pass処理し、200nmの径の油滴をもつ乳化液を調製した。次に重合缶に水64.25部を仕込み、80℃に昇温してから上記の乳化液を4時間かけて滴下し重合を行った。滴下後更に80℃で2時間重合しつづけ、冷却後5%アンモニア水でpHを8.5に調整し(1)水性分散体を得た。該水性分散体に対して以下の評価を行った。
(油滴の径及び平均粒子径)乳化後の油滴の径と乳化重合後のエマルジョンの平均粒子径を大塚電子製レーザー光散乱粒径測定機DLS−700で測定した。
(不揮発分)JIS K6828に準拠する条件にて不揮発分を測定した。
(粘度)JIS K7117に準拠する回転粘度計及び条件を用いて25℃にて粘度を測定した。
(pH値)JIS Z8802に準拠するpH計を用いてpH値を測定した。
(粗粒子量)得られた乳化液を100meshの金網で濾過し、濾過残分を105℃で1時間乾燥して得られた粗粒子の重量をエマルジョン100gに対する重量で示した。
(残留アルコール量)該乳化液を遠心分離後、水層についてHITACHI 163型 FIDガスクロマトグラフィーを使用して残留アルコール量を測定した。
得られた水性分散体にエアロゾルOT75を4部、スノーテックス30を7部配合してコーティング剤組成物を得た。該組成物に対して以下の評価を行った。
(放置安定性)該組成物を室温で3ケ月放置して、状態を目視で観察した。
○・・・変化無し
△・・・やや粘度上昇あり
×・・・粘度上昇又はゲル化
(臭気)上記乳化液の臭気を評価した。
○・・・ほどんどなし
△・・・わずかにあり
×・・・強い臭気あり
(耐候性)上記組成物をガラス板にキャスティング(条件は膜厚100μmにアプリケータでキャスティング)し室温で7日間乾燥後、屋外暴露を6カ月行い、塗膜の様子を目視で観察した。
◎・・・光沢のある透明塗膜であった。
○・・・やや光沢の低下が認められる程度で、塗膜状態は良好であった。
△・・・光沢の低下と塗膜の破壊が認められた。
×・・・光沢の著しい低下と著しい塗膜の破壊(白化、クラック)が認められた。
(耐汚染性)上記組成物をガラス板にキャスティング(条件は膜厚100μmにアプリケータでキャスティング)し室温で7日間乾燥後、屋外暴露を6カ月行い、塗膜の雨筋を目視で観察した。
◎・・・ほとんど雨筋が認められない。
○・・・一部にうっすら雨筋が認められた。
△・・・ところどころに雨筋が認められた。
×・・・全面にはっきり雨筋が認められた。
(耐水性)上記組成物をガラス板にキャスティングし、 室温で7日間乾燥後蒸留水に24時間浸漬後の塗膜の表面状態を目視で観察した。
◎・・・全く白化、膨れは認められなかった。
○・・・わずかに白化が認められたが、膨れは認められなかった。
△・・・白化、膨れが認められた。
×・・・白化、膨れが進行し、ところどころで溶出していた。
(耐溶剤性)上記組成物をガラス板にキャスティングし、室温で7日間乾燥後酢酸エチルに24時間浸漬後の表面状態を目視で観察した。
◎・・・変化なし
○・・・表面にやや膨れ、白化が認められた。
△・・・膨れ、白化が全面に広がった。
×・・・全体に膨れ、白化が進行し、ガラス板より塗膜が脱落した。
[実施例2]
実施例1で部分縮合物を製造する際に用いた(E)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部の替わりに、(E)2−ヒドロキシメタクリレート10部を用いて、同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例3]
実施例1で部分縮合物を製造する際に用いた(E)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部の替わりに、(E)グリシジルメタクリレート10部を用いて、同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例4]
実施例1で乳化液作成時の水128.5部を192.75部に増加させて、同様にして油滴の径200nmの乳濁液を得た。該乳化液の10%を重合缶に仕込み、80℃に昇温して、15分間重合してから残りの90%の乳化液を4時間かけて滴下した。更に80℃で2時間熟成を行い、シリコーン含有水性コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例5]
実施例1において、(F)加水分解抑制剤として、酢酸アンモニウムの25%水溶液4部を用いた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例と同様の評価を行った。
[実施例6]
実施例1において、(B)不飽和単量体〔メチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレート45部の混合物〕90部の替りに(B)不飽和単量体〔メチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレート45部、メタクリル酸アンモニウム塩の25%水溶液0.8部の混合物〕90.8部を用いた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例7]
実施例1で部分縮合物を製造する際に用いた(A)ポリエトキシポリシロキサン〔コルコート(株)エチルシリケート40〕の替りに(A)ポリメトキシポリシロキサン〔三菱化学社製,MS51〕を同量用いた以外は同様に実施し、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例8]
実施例1において、乳化の際に用いた部分縮合物35部の替りにポリエトキシポリシロキサン25部を用いて、更に、(B)不飽和単量体〔メチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレート45部の混合物〕90部の替りに(B)不飽和単量体〔メチルメタクリレート50部、n−ブチルアクリレート50部の混合物〕100部を用いた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例9]
実施例1において、乳化の際に用いた部分縮合物35部の替りにポリエトキシポリシロキサン25部と(E)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部を用いた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例10]
実施例1で部分縮合物を製造する際に用いた(A)ポリエトキシポリシロキサン〔コルコート(株)エチルシリケート40〕の替りに(A’)テトラエトキシシランを同量用いた以外は同様に実施し、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例11]
実施例1で添加したOT75の替わりにS180Aを重合する際の乳化液に加えて乳化重合させた以外は同様に実施し、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例1]
実施例1で乳化の際に用いた高圧ホモジナイザーの替りに通常のホモジナイザー(三田村理研工業(株)製、LD−X10/20型)を用いて、油滴の径を2000nmとした以外は、同様に処理し以下同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例2]
実施例1において、OT75をのぞいた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。実施例と比較例の評価結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例1においてスノーテックス30をのぞいた以外は同様に実施して、コーティング剤組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 2005120307
Figure 2005120307
本発明は、特に建材塗料、接着剤、紙コーティング剤として有用な水性コーティング剤の分野で好適に利用できる。

Claims (5)

  1. (A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散体と、(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物。
  2. (A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤、(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を重合開始剤(D)の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散剤と(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物。
  3. (A)ポリアルコキシポリシロキサン又は(A’)テトラアルコキシシランと、(E)加水分解性シリル基、水酸基あるいはエポキシ基の少なくとも1種の官能基を含有する不飽和単量体の部分縮合物、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散剤と(2)コロイド状無機粒子、および(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物。
  4. (1)成分が(3)スルフォコハク酸系界面活性剤及び(4)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤を用いて重合させて得られた、水性分散体である請求項1〜3いずれか記載のシリコーン含有水性コーティング剤組成物。
  5. (A)ポリアルコキシポリシロキサン、(B)不飽和単量体、(C)界面活性剤を含む水媒体中において油滴の径が1000nm以下に予め乳化させた水性乳化液を(D)重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする(1)水性分散体と、(2)コロイド状無機粒子、(3)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とするシリコーン含有水性コーティング剤組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342280A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Asahi Kasei Chemicals Corp 汚染防止用水性被覆組成物
CN103725146A (zh) * 2014-01-20 2014-04-16 天津市新丽华色材有限责任公司 水性超快干铝镜镜背保护涂料
JP2015124297A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 花王株式会社 コーティング組成物
JP2018508617A (ja) * 2015-02-09 2018-03-29 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトWacker Chemie AG コーティング塗布のためのエラストマーシリコーンエマルション

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